特許第6796578号(P6796578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップス ソリッド−ステート ライティング ソリューションズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6796578光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム
<>
  • 特許6796578-光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム 図000002
  • 特許6796578-光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム 図000003
  • 特許6796578-光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム 図000004
  • 特許6796578-光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム 図000005
  • 特許6796578-光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム 図000006
  • 特許6796578-光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム 図000007
  • 特許6796578-光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム 図000008
  • 特許6796578-光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム 図000009
  • 特許6796578-光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796578
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】光合成電子伝達系を作動させるための光エンジンシステム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   A01G7/00 601C
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-503948(P2017-503948)
(86)(22)【出願日】2015年7月21日
(65)【公表番号】特表2017-521087(P2017-521087A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】US2015041236
(87)【国際公開番号】WO2016014456
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年7月19日
(31)【優先権主張番号】62/027,049
(32)【優先日】2014年7月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/061,933
(32)【優先日】2014年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/102,637
(32)【優先日】2015年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500074578
【氏名又は名称】シグニファイ ノース アメリカ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】グレイツァル,ズデンコ
(72)【発明者】
【氏名】ペイン,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】シムコ,ピーター
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−115219(JP,A)
【文献】 特開2013−106550(JP,A)
【文献】 特開昭61−146122(JP,A)
【文献】 米国特許第5012609(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの照明デバイスを備える、人工照明下で植物を成長させるための園芸システムにおいて、
前記少なくとも1つの照明デバイスが、前記少なくとも1つの照明デバイスによって放出される光を受け取るために、前記少なくとも1つの照明デバイスに対して離隔した関係で位置決めされる植物の色素のピーク吸収から20ナノメートル(NM)以内の波長で光を放出する第1の照明素子を有し、
前記第1の照明素子からの光が、第1、第2、第3、および第4の照明時間間隔中に放出され、第1の暗い時間間隔が、前記第1の照明時間間隔と前記第2の照明時間間隔との間に提供され、第2の暗い時間間隔が、前記第2の照明時間間隔と前記第3の照明時間間隔との間に提供され、第3の暗い時間間隔が、前記第3の照明時間間隔と前記第4の照明時間間隔との間に提供され、
前記第1の暗い時間間隔と前記第2の暗い時間間隔と前記第3の暗い時間間隔とが異なる時間量であることを特徴とする、園芸システム。
【請求項2】
請求項1に記載の園芸システムにおいて、前記第1の照明素子が655NM〜740NMの波長で光を放出することを特徴とする、園芸システム。
【請求項3】
請求項1に記載の園芸システムにおいて、前記第の照明素子が425NM〜465NMの波長で光を放出することを特徴とする、園芸システム。
【請求項4】
請求項1に記載の園芸システムにおいて、植物の色素のピーク吸収から20NM以内の波長で光を放出する第2の照明素子を有する少なくとも1つの照明デバイスをさらに備えることを特徴とする、園芸システム。
【請求項5】
請求項4に記載の園芸システムにおいて、前記第1の照明素子が655NM〜740NMの波長で光を放出し、前記第2の照明素子が425NM〜465NMの波長で光を放出することを特徴とする、園芸システム。
【請求項6】
請求項1に記載の園芸システムにおいて、合成の速度を上げるために、495NM〜570NMの範囲内の光を放出する第2の照明素子を有する少なくとも1つの照明デバイスをさらに備えることを特徴とする、園芸システム。
【請求項7】
請求項6に記載の園芸システムにおいて、前記第2の照明素子が、前記第1の照明素子の第1の暗い時間間隔または第2の暗い時間間隔中に光を放出することを特徴とする、園芸システム。
【請求項8】
請求項1に記載の園芸システムにおいて、前記第1の照明素子が発光ダイオードであることを特徴とする、園芸システム。
【請求項9】
請求項5に記載の園芸システムにおいて、光合成の速度を上げるために、495〜570NMの範囲内の光を放出する第3の照明素子を有する少なくとも1つの照明デバイスをさらに備えることを特徴とする、園芸システム。
【請求項10】
請求項に記載の園芸システムにおいて、前記第1、第2、および第3の照明素子が同じ照明デバイスにおけるものであることを特徴とする、園芸システム。
【請求項11】
請求項に記載の園芸システムにおいて、前記第1、第2、第3、および第4の照明時間間隔が繰り返しサイクルであることを特徴とする、園芸システム。
【請求項12】
請求項に記載の園芸システムにおいて、前記第4の照明時間間隔の後であって、次の第1の照明時間間隔の前に、第4の暗い時間間隔をさらに備えることを特徴とする、園芸システム。
【請求項13】
人工照明下で植物を成長させる方法において、
少なくとも1つの照明デバイスによって放出される光を受け取るために、前記少なくとも1つの照明デバイスに対して離隔した関係で植物を位置決めするステップであって、前記少なくとも1つの照明デバイスが第1の照明素子を有する、ステップと、
前記第1の照明素子が、前記植物の色素のピーク吸収から20ナノメートル(NM)以内の波長で光を放出するステップと
を含み、
前記第1の照明素子からの光が、第1、第2、第3、および第4の照明時間間隔中に放出され、第1の暗い時間間隔が、前記第1の照明時間間隔と前記第2の照明時間間隔との間に提供され、第2の暗い時間間隔が、前記第2の照明時間間隔と前記第3の照明時間間隔との間に提供され、第3の暗い時間間隔が、前記第3の照明時間間隔と前記第4の照明時間間隔との間に提供され、
前記第1の暗い時間間隔と前記第2の暗い時間間隔と前記第3の暗い時間間隔とが異なる時間量であることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2014年7月21日出願の「Light Sources Adapted to Spectral Sensitivity of Plants」という名称の米国仮特許出願第62/027,049号明細書、2014年10月9日出願の「Photonic Engine System for Actuating the Photosynthetic Electron Transport Chain」という名称の米国仮特許出願第62/061,933号明細書、および2015年1月13日出願の「Photonic Engine System for Actuating the Photosynthetic Electron Transport Chain」という名称の米国仮特許出願第62/102,637号明細書に対する優先権の利益を主張し、かつそれらに基づき、上記特許出願のそれぞれの優先権の利益が本明細書で主張され、それぞれの全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、植物の成長に関する。より詳細には、本発明は、光合成を向上させるために植物に放射を当てる方法およびアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
光合成プロセス中、植物が様々な周波数の光を吸収して光合成を生じさせることが当技術分野でよく知られている。特に、光合成有効放射(PAR)は、約400ナノメートル(nm)〜700nmのスペクトル範囲内の放射である。また、最も豊富な植物色素であり、植物の代謝を司る色素であるクロロフィルが最も効率良く赤色および青色光を捕捉することが当技術分野でよく知られている。
【0004】
光合成中、植物中のクロロフィル色素は、光子を吸収して代謝プロセスを促進し、光子の他のエネルギーを放散する。同時に、赤/遠赤および青色/UV−AおよびUV−Bフォトセンサまたはフォトレセプタである他の色素が、植物の挙動および発育を調節するために化学的に反応する。したがって、赤色および青色のスペクトル光を提供することによって、植物は、より高速で成長することが示されている。
【0005】
さらに、植物が代謝回転時間または暗い時間を必要とすることも当技術分野で知られている。特に、色素が光子を受け取って代謝プロセスを受けているとき、色素は、追加の光子を受け取ることができない。それでも追加の光子が植物に衝突するとき、色素は引き続き代謝を試み、それにより、植物を緊張させて疲労させる。特に、光阻害は、光によって植物の光合成能力の減少が引き起こされる、すなわち光によって光化学系II(PSII)に対するダメージが引き起こされる現象である。光化学系IIは、光強度に関係なく光によってダメージを受け、(より高等な植物の典型的な葉での)ダメージを及ぼす反応の量子収量は10−8〜10−7の範囲内である。1つのPSII複合体が、捕捉された1000万〜1億個の光子ごとにダメージを受け、したがって、すべての光強度で光阻害が生じ、光阻害の速度定数は、ジュール/平方メートル単位で測定される植物のフルエンスまたは放射露光量に正比例する。光電子移動の効率は、ダメージの速度がその修復の速度を超えるときにのみ顕著に減少する。修復は、PSIIタンパク質合成を必要とする。
【0006】
二次的なダメージは、光合成装置が、酸素生成またはCO固定のプロセスで効率的に利用することができない光子を吸収するときに生じる。余剰の光子のエネルギーは、非同化光化学物質によって放散され、その大きさは、光合成複合体の能力を超えて光強度と共に線形に増加することが予想される。余剰の光子は、反応性酸素種(ROS)を生成することによって酸化ストレスをもたらす。低い光レベルでは、ROSのレベルは、ROS消毒酵素(スーパーオキシドディスムターゼ、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ)および複数の酸化防止剤(β−カロチン、α−トコフェロール)を含む酸化防止系によってサポート可能なレベルに減少させることができる。しかし、ROSの生成が加速され、高レベルのROSが大きい酸化ストレスを生じる。ROSは、PSIIへのフォトダメージを加速させず、代わりにPSIIの修復を阻害する。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の基本的な目的は、光源を使用して植物の成長特性を高めることである。本発明の別の目的は、植物の成長を向上させる費用対効果の高い照明を提供することである。本発明のさらに別の目的は、複数の植物に関して使用される照明アセンブリを提供することである。これらおよび他の目的、特徴、および利点は、本明細書の残りの部分から明らかになるであろう。
【0008】
人工照明素子を有する、人工照明下で植物を成長させるための園芸システムであり、人工照明素子は、植物の色素のピーク吸収から20nm以内の波長で光を放出する。照明素子は、放出された光が光合成のために植物によって吸収されるように、植物に対して離隔した関係で配置される。さらに、照明素子がパルスされて、所定の明暗時間間隔を提供し、これらの時間間隔は同期せず、光合成電子伝達系の代謝回転時間に比例する暗い時間間隔を提供する。追加の照明素子も使用され、この照明素子も同様に、植物の色素のピーク吸収から20nm以内の波長で、やはり光合成電子伝達系の代謝回転時間に比例してパルスされた光を放出して、植物の成長に影響を及ぼす。
【0009】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することが意図されている。本発明の排他的または網羅的な説明を提供することは意図されていない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
必ずしも正しい縮尺では描かれていない図面中、同様の番号は、異なる図において同様の構成要素を表すことがある。異なる添字を有する同様の番号は、同様の構成要素の異なる例を表すことがある。図面は、一般に例として、限定することなく、本明細書で論じる様々な実施形態を示す。
【0011】
図1図1は、植物生命体を成長させるための制御された環境内での照明アセンブリの斜視側面図である。
図2図2は、植物生命体を成長させるための照明アセンブリのブロック図である。
図3図3は、植物生命体を成長させるための照明アセンブリのトレイの上面図である。
図4図4は、植物生命体を成長させるための照明アセンブリ用の回路の概略図である。
図5図5は、様々な波長にわたるクロロフィルA、クロロフィルB、およびカロテノイドによって吸収される光の量を示すグラフである。
図6図6は、植物生命体を成長させるための照明アセンブリ用の回路の概略図である。
図7図7は、図6の回路に関する電圧および入力電流に関する波形を示すグラフである。
図8図8は、園芸システム用の照明デバイスの回路の概略図である。
図9図9は、図8の様々な照明素子に関する、時間の関数として入力電圧を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、光合成中に生じる化学反応に焦点を当て、光合成反応を効率的に生じ、望ましくない光阻害を最小限にするためのエンジンとして光を使用する。光阻害は、光合成の光化学反応を最終的には一時的に阻害して遅らせることになる副光化学反応により生じる。
【0013】
光合成中、2つの複合体、すなわち、光化学系Iおよび主として光化学系IIが、シトクロムβfと反応するための光合成電子伝達系(PETC)を提供して、水の酸化、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)の還元、およびアデノシントリフォスファート(ATP)の生成をもたらす。アデノシントリホスファート(ATP)は、細胞を帯電状態で保つことを司り、植物と動物との両方の生命のエネルギー通貨(energy currency)としても知られている化学物質である。
【0014】
科学者らは、光化学系II(PSII)が、この光化学反応を生じるために光による反応を受ける重要な複合体であると判断している。特に、光化学系II複合体は、一次キノンQおよび二次キノンQを有する連結したD1−ポリペプチドおよびD2−ポリペプチドを含む。D1−ポリペプチドは、二次キノン受容体Qに結合すると共に、一次電子供与体および受容体、すなわちP680およびフェオフィチンのための結合部位も有する。P680は、最適には680nmで光を吸収する2つのクロロフィルa分子から形成される。また、D1−ポリペプチドは、マンガン錯体MNCaとP680/Pheoラジカル対状態との間のレドックス中間体であるチロシン残基も有する。また、D1−ポリペプチドは、P680およびマンガン錯体と共に非ヘム鉄(Fe)をD2−ポリペプチドと共有する。また、光化学系II複合体を形成しているのは、シトクロムb559、集光性クロロフィルCP43およびCP47、β−カロチン、ならびに表在性タンパク質16、23、および33である。
【0015】
光が光化学系IIに衝突すると、光がP680と反応して光活性化させ、水分子から4つの電子が取り出される。具体的には、P680は、電子をフェオフィチンに移動させる。この時点で、P680に正電荷が生成されてP680を提供し、P680は、マンガンに結合された水から電子を抽出する。これは、2つの水分子から4つの電子が移動されて副生成物Oを生じるまで繰り返される。その一方で、電子は、フェオフィチンから一次キノンQに移動される。次いで、電子は二次キノンQに移動され、二次キノンQは、葉緑体から2つのプロトンを取り上げて、プラストキノールPQHを生成する。次いで、生成されたプラストキノールは、その電子を、電子伝達系を通して、シトクロムβfを介して光化学系I複合体に移動させる。
【0016】
光化学系Iは、2つの主成分psaAおよびpsaBを有する。光化学系IIと同様に、光化学系Iは、光を吸収する2つのクロロフィルa分子を含むが、これらのクロロフィルa分子は、最適には680nmではなく、最適には700nmの光を吸収し、したがってP700である。また、PSIは、結合されたキノンQ、および4Fe−4Sクラスタの組を含む。
【0017】
光子が植物に衝突するとき、P700電子は4Fe−4Sクラスタに移動され、したがって、電子は、葉緑体中のフェレドキシン(Fd)に移動され、その結果、P700が正電荷P700を有する。フェレドキシンは、4つのシステイン残基に配位結合された2Fe−2Sクラスタを有する水溶性の可動性電子キャリアである。次いで、プラストシアニンが電子をP700に移動させる。次いで、FADを含有するフラビンタンパク質がレダクターゼとしての役割を果たし、フェレドキシンから電子を受け取ってFADHを生成し、FADHは、次いで、水素化物をNADPに移動してNADPHを生成し、したがって当技術分野で知られているATP合成を促進する。したがって、電子移動系により、電子は水から移動されてATPの合成を生じる。
【0018】
この自然の奇跡が、大半の植物生命体の基礎となっている。しかし、非効率性が残っている。特に、例えばPSII複合体中で、P680は非常に反応性が高く、余剰に生成されると、反応し得るクロロフィルchl670およびβ−カロチンなどの他の化学物質と反応して、光により引き起こされるダメージをもたらす。特に、D1−ポリペプチドがP680を生成して所要の電子移動を行うとき、D1−ポリペプチドのタンパク質分解が生じ、ここで、電子移動のためにPSIIを再び使用することができるように、D1ポリペプチド、したがってPSIIを修復するためにD1−タンパク質合成が必要となる。タンパク質分解および最終的にはD1−タンパク質合成のこの期間中、余剰のP680が、chl670およびβ−カロチンなどの他の化学物質と反応して、そこから電子を抽出し、その結果、P680が適切に機能しなくなり、植物へのダメージまたは光阻害を引き起こす。特に、植物は、PSII系において酸化防止剤として作用する多官能性カロテノイドを合成する。このようにして、酸化防止剤は免疫システムとして機能して、酸化防止剤の生成によってPSIIおよび植物へのダメージを防止する。このプロセスは、光合成反応を最大限にするために使用されずに浪費されるかなりの量のエネルギーを使う。したがって、PSIIに送達されるプロトンの量を調整することによって、余剰のP680の生成、および余剰のchl670化学物質との化学反応を最小限にすることによって、光により引き起こされるダメージが最小限にされ、植物の成長が最大限にされる。この面でのエネルギー使用をなくすことによって、ほとんど成長のためにのみエネルギーを使用することができる。特定の植物において、栄養的価値から酸化防止剤が望まれる場合、より効率的な植物成長法は、成長サイクル全体にわたってこれらの酸化防止剤の生成を防止することであり、次いで、成長サイクルの最後に、植物は、一定の光を受けることができ、この光により、成長が最も理想的に阻害される時点で酸化防止剤が生じる。
【0019】
植物が必要とする光子の量を決定するための第1の方法は、PSIIでのS状態遷移を見ることである。光のフラッシュは、3回目、7回目、11回目のフラッシュ後に酸素の解放を引き起こすことが示されており、そこから、科学者は以下のように理論付けている:暗所にある植物はS状態であり、光の各フラッシュにより、PSIIによって光子が受け取られて化学反応を引き起こし、3回目のフラッシュまたは光子が副生成物Oを生じ、これは、2つの水分子から4つの電子が移動されており、電子移動が完了していることを示す。同様に、その後、PSIIはS状態になり、4回目のフラッシュが1つの光子を提供し、5回目のフラッシュが別の光子を提供し、最終的に、全4回のフラッシュにより、4つの電子の供与が行われ、したがって、7回目および次いで11回目のフラッシュの後に副生成物Oが生じる。これは、Kokサイクルとして知られている。
【0020】
基本的なレベルで、最初のフラッシュ中、第1の状態Sから第2の状態Sへの遷移があり、この遷移は、マンガン錯体MNCaからチロシン残基への電子移動を含み、チロシンラジカルを生成する。第2のフラッシュまたは追加の光子が導入される時点でS状態からS状態への遷移が生じ、チロシンラジカルの生成後およびMN錯体の酸化前に、MN錯体からのプロトンの解放を引き起こす。第3のフラッシュまたは別の光子の導入によって、S状態からS状態への、およびその後、S状態からS状態への遷移が生じて、二酸素の解放を生じる。具体的には、MN錯体のプロトン解放後、光子は、MN錯体から再びチロシン残基への電子移動を引き起こし、その後、水酸化およびMN還元の急速な開始が続き、MN錯体によって別のプロトンが解放される。最後に、第4のフラッシュが、MN錯体の酸化およびMN錯体の脱プロトン化により、S状態からS状態に戻る遷移を生じる。
【0021】
S状態遷移および機能は依然として理論的なものであるが、遷移の重要性が以下のように認識されている:光子がPSII複合体に衝突すると、初期化学反応が生じ、この化学反応には所定量の時間がかかり、新たな遷移状態になり、その後、追加の光子が必要となる。具体的には、化学反応がPSII複合体をS段階とS段階との間で遷移させるのにかかる時間量は、約70μsであり、S段階とS段階との間では、約190μsであり、S段階とS段階との間では約200μsであり、S段階とS段階との間では約1.1〜1.6msであり、S段階とS段階との間では、約30〜60μsである。同様に、光合成プロセス中、PSI複合体中のアンテナの光化学減衰は、15〜40psおよび5〜6nsである。換言すると、光合成プロセス中、異なる化学反応は異なる時間間隔で光子を必要とし、生じる各化学反応はそれに関連付けられる、余剰の光子が必要とされない所定の期間を有する。余剰の光子は、P680などのPSIおよびPSII複合体中の反応中心に追加のポテンシャルエネルギーを提供するにすぎず、このポテンシャルエネルギーは、上述したように、P680がPSII中の他の化学物質と反応して植物に害を及ぼすメカニズムを提供する。
【0022】
PSII中での光合成電子移動は線型と考えられるが、反応がβ−カロチンを介してPSIに電子を伝達すると、PSIの周りで周期的な電子伝達が機能する。具体的には、プロトンおよび電子伝達は、トランスチラコイドプロトンポテンシャル(pmf)の生成をもたらして、ATPの生成を促進する。高等植物では、これらの経路は、フェレドキシンキノンオキシドレダクターゼ(FQR)およびNAD(P)Hデヒドロゲナーゼ(NDH)に依存する経路からなる。これらの周期的な経路により、PSIの周りの電子流は、内腔のプロトン付加を向上させて電子伝達を制限し、それによりROSの生成を制限することによって、PSIIを保護する。したがって、PSIがこの機能を向上させるための照明の向上または適切な照明の提供は、ROSを引き起こすダメージを減少させる役割も果たす。したがって、PSIのP700反応中心に対して、所定の強度で所定の期間にわたって、700〜720nmの波長で適切な線量の光を提供することにより、PSIの周期的な流れの機能を最大限にし、PSIIにダメージを与えて植物の光合成効率を低下させる不要な化学反応をさらに制限する。
【0023】
したがって、植物による吸収のための光子解放の間で必要な適正な時間量を決定するためのアルゴリズムが開発される。さらに、このアルゴリズムは、植物の個々の色素およびシトクロム、ならびに所要の時間に色素およびシトクロムの化学反応を引き起こすために必要とされるエネルギーレベルを考慮に入れる。例えば、色素において、S0状態からS1状態への電子のジャンプを引き起こすのに必要なエネルギー量は、約1.84エレクトロンボルト(eV)、または676nmの波長で光によって提供されるエネルギーの量である。したがって、約680nmでエネルギーの吸収度がピークレベルを示す。光の波長が680nmから減少するにつれて、エネルギーレベルが増加する。したがって、例えば550nmでのみ光が提供されるとき、S0状態からS1状態への遷移を引き起こすのに十分なエネルギーが提供される。しかし、余剰のエネルギーが残り、これにより、植物が蛍光を発するか、または異なる波長で光を再放出するか、または余剰の熱が生成される。
【0024】
約445nmで約2.8eVのエネルギーが生成され、これは、電子をS0状態からS2状態にジャンプさせるのに十分なエネルギーである。次いで、電子は、S1状態に即座にクエンチングし、ここで電子移動が生じる。このクエンチングは、S1状態への直接のジャンプを引き起こす676nmでの1.84eVのエネルギーレベルに比べて、いくらか熱を浪費するが、しかし、第2の吸収ピークを示す。これは、他の波長、例えば550nmのみで提供されるエネルギーに比べて、余剰のエネルギーによるエネルギーの損失を最小限にする。このようにすると、光を設計する際に、676nmの光の生成が445nmの光の生成よりもかなり高コストである場合、676nmの光が好ましいものの、445nmの光を使用して、損失されるエネルギーの影響を最小限に抑えることができる。
【0025】
さらに、植物中のシトクロムも、光合成を生じる電子移動系に影響を及ぼす。例えば、シトクロムβfは、緑色の光(波長495nm〜570nm)を吸収するカロチンの主要色素を有する。この吸収は、より高い勾配をもたらし、したがって電子をより速く引き出して、酸化を速め、したがって光合成を速める。このようにして、緑色の光が光合成を調整し、信号を提供する。このようにして、電子移動系が赤色または青色の光から始まった後、プロセスの速度を上げるために緑色の光を提供することができる。
【0026】
一般に、ほとんどの植物が、クロロフィルA、クロロフィルB、もしくはカロテノイド、またはそれら3つの組合せを含む。特に、クロロフィルA、クロロフィルB、およびカロテノイドは、植物において光合成を担う色素である。図5は、曲線105(クロロフィルA)、曲線110(クロロフィルB)、および曲線115(カロテノイド)で示されるように、波長の関数としての、クロロフィルA、クロロフィルB、およびカロテノイドによって吸収される光の例示的なプロット100を示す。
【0027】
示される図において、曲線105は、クロロフィルAの受容性、または様々な波長の光の吸収度の例示を提供する。吸収度は、380〜780nmの波長で明らかなピークを有している。この例では、クロロフィルAの第1のピーク120は約400〜410nmで生じ、第2のピーク125は約430〜450nmで生じ、第3のピーク130は約670〜685nmで生じる。これらの例は例示であり、限定ではない。
【0028】
クロロフィルBの吸収度曲線110に関して、第1のピーク135は約430〜450nmで生じる。第2のピーク140は約470〜490nmで生じ、最後のピーク145は約665〜670nmで生じる。ここでも、これらの例は例示であり、限定ではない。
【0029】
カロテノイドの吸収度曲線115に関して、第1のピーク150は約415〜420nmで生じる。第2のピーク155は約465〜470nmで生じ、第3のピーク160は約510〜525nmで生じる。ここでも、これらの例は例示であり、限定ではない。
【0030】
クロロフィルA、クロロフィルB、およびカロテノイドに加えて、PSIIの光合成、破壊、および再構成に必須の他の光合成化学物質、例えばタンパク質およびβ−カロチンなどは、光反応性の化学反応と、これらの化学反応を引き起こすための光の特定の吸収波長とを有する。
【0031】
さらに、植物は、それらに関連付けられる遷移特性を自然に有する。特に、光が最初に植物に達するとき、光は略自動的に吸収されるが、光が引き続き追加のエネルギーを提供するにつれて、植物の自然の遷移特性により、光はそれほど迅速には吸収されなくなる。光がパルスされるとき、各パルス間にダウンタイムが存在し、植物の実質的なリセットを引き起こし、したがって、光に関して植物が有する遷移効果の最小化により、各光パルスが効率的に吸収される。このようにすると、所望の光化学反応を引き起こすのに必要な光および強度が小さくなる。したがって、植物での効率を最大限するために所定の時間間隔で光が提供されるだけでなく、光の所定の時間間隔中、光が均等にパルスされて、植物の遷移特性を最小限に抑え、光合成効率を高める。
【0032】
したがって、太陽によって受け取られる光の代わりとなるだけでなく、設計者によって望まれるように植物の光合成および成長を操作するためのツールとして、人工光を設計して使用することができる。
【0033】
単に例として、図1に園芸アセンブリ10が示されており、園芸アセンブリ10は、屋外、温室内、または屋内などを含めた任意の場所にあってよい。アセンブリ10は、典型的には横並びの関係で植えられた植物14が位置されるコンテナまたは空間12を含む。一実施形態では、保温デバイスであるコンテナ12が提供され、この保温デバイスは、一実施形態では、平行に離隔して配置された関係での頂壁18および底壁20に固定された、やはり平行に離隔して配置された関係での第1の側壁15および第2の側壁16と、後部壁22とを有する略長方形状であり、中空内部キャビティ24を形成する。前壁またはドアが側壁15または16に蝶番式に固定されて、本体12の内部キャビティ24へのアクセスを可能にする。好ましくは、ドアは、内部キャビティ24が見えるように透明材料から形成されるが、別の実施形態では、ドアは内部キャビティ24を完全に取り囲む。
【0034】
内部キャビティ24の内部には、実生31を含む複数の土塊30を受け取る開口29を有する複数の回転可能な保持部材またはトレイ28が配設される。特に、土塊30は、トレイ28の開口29によって受け取られて保持されるようなサイズおよび形状である。トレイ28は、様々な角度に回転または傾斜して、土塊30および実生31を光が完全に照らすことを保証する。
【0035】
複数の照明素子32が、各トレイ28に固定され、互いに電気的に接続される。好ましい実施形態では、複数の照明素子32は、AC入力を受け取る発光ダイオード素子である。特に、これらのアセンブリは、以下の特許出願の任意の1つからのAC駆動LED技術を組み込む。Grajcarの米国特許出願公開第2011/0101883号明細書;Grajcarの米国特許出願公開第2011/0109244号明細書;Grajcarの米国特許出願公開第2011/0210678号明細書;Grajcarの米国特許出願公開第2011/0228515号明細書;Grajcarの米国特許出願公開第2011/0241559号明細書;Grajcarの米国特許出願公開第2011/0273098号明細書;Grajcarの米国特許出願第13/452332号明細書;またはGrajcarの米国仮特許出願第61/570,552号明細書。これらすべての全体を参照により本明細書に援用する。
【0036】
一実施形態では、各照明素子32は、青色波長(450〜495nm)の光、紫外光および近紫外光(350〜450nm)、赤色の光(620〜750nm)、または電磁放射の放出を引き起こし、その光放出が利用される。特に、照明素子32は、照明素子32aおよび32bとして図3に示される同じトレイ28上に組み合わされた、電磁放射/紫外/青色波長の照明素子および赤色波長の素子を有する。そのような青色および赤色波長の照明素子32aおよび32bは、一実施形態では、異なる光持続時間を有する。したがって、一例として、第1の青色波長照明素子は3msの光持続時間を有し、赤色波長照明素子は2秒の光持続時間を有する。
【0037】
代替として、照明素子32aおよび32bは、同じ持続時間を有するが、互い違いである。この実施形態の一例として、第1の青色波長照明素子32aは、3msの光と3msの暗闇との持続時間または期間を有する。第2の赤色波長照明素子32bもトレイ上に提供され、これも、3msの光と3msの暗闇との持続時間または期間を有する。一実施形態では、第1および第2の照明素子は、同時に光を放出するか、または重畳を示す。別の実施形態では、第2の赤色波長照明素子は、第1の青色波長照明素子が光を発生している3msにわたって暗い。次いで、第2の赤色波長照明素子は、第1の青色照明素子が暗いかまたは光を放出していない3msにわたって光を発生している。
【0038】
照明素子32は、電源33によって電力供給され、さらに減光デバイス34を有し、減光デバイス34は、光の強度を3ルーメン未満に減少させる。したがって、一定の低強度波長光がコンテナ12全体にわたって放出される。光は、望まれる正確な波長の光を送るために、狭い周波数または単色でよい。さらに、低強度として述べているが、より高い強度の波長の光を提供することもできる。さらに、LED照明素子の特性により、LED素子が利用される実施形態では、光は、長時間にわたってオンのままであり得る。
【0039】
光の強度を3ルーメン未満に減少させることができる一方で、同様に、800ルーメンまたは1000ルーメン以上を出力するように光の強度を上げることもできる。同様に、光の持続時間は、数日、数週、または数ヶ月など長期間でよいが、明るい期間と暗い期間との間の時間は、数時間、数分、数秒、さらには数ミリ秒に制御することもできる。
【0040】
また、加湿デバイス36が、内部キャビティ24と関連付けられ、好ましくは頂壁18と係合し、配管要素を有し、配管要素は、ドア26が閉じられるときに内部キャビティ24での湿度を増加させることができる。このようにして、内部の湿度を制御して、湿度0%〜100%の任意の相対湿度を提供することができ、それにより、内部キャビティ24の湿度が予め決定される。好ましくは、湿度は、約50〜80%である。また、加熱デバイス38が、電源33に電気的に接続され、内部キャビティ24の内部に配設されて、内部キャビティ内で所定量の熱を提供する。
【0041】
一実施形態では、磁場源デバイス40は、保温デバイス10に関連付けられる。一実施形態では、磁場源デバイス40は、内部キャビティの内部にあり、実生31および得られる植物14を通るか、またはそれらに影響を及ぼす所定の磁束を生成する。
【0042】
さらに、別の考慮事項は、各照明素子の強度である。特に、植物14または実生31での強度またはルーメン/m2もしくはルックスが増加するにつれて、植物14または実生31に供給されるエネルギーの量が増加され、したがって、適切な照射量を提供するのに必要な時間の量、または光化学反応もしくは光合成を生じるために必要なエネルギーを減少させる。
【0043】
さらに、1日の持続時間中または光化学反応を生じるために光が提供される期間中、化学反応を生じるのに必要なエネルギーの照射量が増加する。特に、光合成を生じるのに必要な照射量は動的である。したがって、実際には、光化学反応または光合成を生じるのに十分なエネルギーを提供するのに必要な時間量は、1日のうちに、または時間の経過と共に増加することがあり、したがって、照明の期間の開始時には、3.5msなどの第1の所定量の時間で最適な照射量が提供され、12時間などの期間後には、14.5msなどの第2の所定量の時間の光が必要とされる。
【0044】
したがって、光周期を制御する制御装置200を使用することによって、各植物14または実生31のためのアルゴリズムを提供することができ、このアルゴリズムは、特別に適合されるか、または所定の期間、例えば12時間、24時間、もしくは48時間以上にわたって照明素子32の周波数または光周期を動的に変える。化学反応または光合成が生じるための動的に変化する要件に対応するように光周期を動的に増加することによって、光合成の効率が向上され、植物14または実生31の成長が最適化される。
【0045】
同様に、電圧、したがって光出力強度を増減させることによって、またはトレイアクチュエータ39に電気的に接続された制御装置200を有することによって、光の強度を制御装置200によって動的に変化させることができ、トレイアクチュエータ39は、トレイ28を機械的に昇降させて、照明素子32を植物14または実生31に近付けるまたは遠ざける。さらに、センサ41を制御装置200に電気的に接続することができ、植物14の高さを求め、トレイ28を植物14から離れるように自動的におよび動的に移動させて、適正な強度が植物に常に提供されることを保証する。
【0046】
横並びの関係で植えられているものとして説明しているが、単一の植物14、または互いに任意の関係で植えられる複数の植物14が企図され、本開示から逸脱しないものとする。一実施形態では、照明素子32が植物14に隣接して配置されるか、または取り付けられ、それにより、照明素子32によって放出される放射線を少なくとも1つの植物が受ける。
【0047】
照明素子32は減光可能であり、Grajcarの米国特許出願第12/824,215号明細書、および/またはGrajcarの米国特許出願第12/914,575号明細書に記載されているように構成される。それら両方の特許文献を本明細書に援用する。単に一例として、1つのそのようなアセンブリが図4に示されており、このアセンブリは、入力端子50の対を有し、これらの入力端子50は、周期的な励起電圧を受信するように適合され、それにより、これらの端子は、AC電流、または等しい大きさであり、極性が逆の電流を受け取ることができ、この電流は、励起電圧に応答して流れて、AC入力を提供する。次いで、AC電流が駆動回路52によって調整され、駆動回路52は、任意選択で、金属酸化物バリスタ(MOV)54および整流デバイス55を含み、整流デバイス55は、好ましい実施形態では、複数の発光ダイオード(LED)56から形成されたブリッジ整流器である。
【0048】
発光ダイオード(LED)56は、第1のネットワーク58内に配置され、第1のネットワーク58は、少なくとも第1のネットワーク58に関連付けられる順方向閾値電圧を超える励起電圧に応答して電流を伝導するように構成される。任意選択で、駆動回路52に応じて、抵抗器60または複数の抵抗器を使用して、第1のネットワーク58に達する前に電流を調整することができる。第1のネットワーク58のLED56は、任意のタイプまたは色のものでよい。一実施形態では、第1のネットワーク58のLED56は、約600〜750ナノメートル(nm)の波長を有する光を発生する赤色LEDである。別の実施形態では、LEDの第1のネットワークは、約350〜500nmの波長を有する光を発生する青色LEDである。代替として、本開示の範囲から逸脱することなく、赤色LEDと青色LEDとを一体に提供することができ、または緑色などの他の色のLEDを同様に使用することもできる。
【0049】
さらに、複数のLED56を有する第2のネットワーク62が、第1のネットワーク58と直列の関係で提供される。第2のネットワーク62のLED56は、任意のタイプまたは色でよい。一実施形態では、第2のネットワーク62のLED56は、約600〜750ナノメートル(nm)の波長を有する光を発生する赤色LEDである。別の実施形態では、LEDの第2のネットワークは、約350〜500nmの波長を有する光を発生する青色LEDである。代替として、本開示の範囲から逸脱することなく、赤色LEDと青色LEDとを一体に提供することができ、または緑色などの他の色のLEDを同様に使用することもできる。
【0050】
バイパス経路64が照明素子32内に提供され、バイパス経路64は、第1のネットワーク58と直列の関係であり、第2のネットワーク62と並列の関係である。また、バイパス経路64の内部に、制御されたインピーダンスを提供する素子があり、この素子は、例えば単にトランジスタ66でよく、一実施形態ではディプリーション型MOSFETである。追加のトランジスタまたは抵抗器などをバイパス経路64内部で使用することができ、それらはすべて、電流を調整して、バイパス経路64から第2のネットワーク62への滑らかで連続的な移行を提供する。
【0051】
したがって、LEDグループまたはネットワーク58および62の適切な選択、ならびに選択されたLEDネットワーク58および62を通るバイパス電流を変調するための1つまたは複数の選択的電流偏移調整回路の構成に基づいて、入力励起波形の関数としてシフトする色温度を実現または設計することができることが本開示から理解されよう。各グループ内のダイオードの数、励起電圧、位相制御範囲、ダイオードの色、およびピーク強度パラメータの選択は、様々な照明用途に関して改良された電気および/または光出力性能をもたらすように操作されることがある。
【0052】
照明素子32は、DC電源を利用せずに減光デバイス34を使用して変調することが可能である。図示される一実施形態では、減光デバイス34は、前縁および後縁フェーズカット素子を利用する。単に一例として、トライアック減光器が、前縁でフェーズカットを示し、IGBT減光器が、後縁でフェーズカットを示す。この実施形態では、前縁と後縁でのフェーズカットの両方を有する減光デバイスが、駆動回路構成52と電気的に連通している。このようにすると、減光デバイス34で両方を利用することによって、電流のない所定の期間が提供される。したがって、減光デバイス34に関連付けられる制御デバイスを使用して、電流のない期間、したがって暗い期間を決定することができる。
【0053】
別の実施形態では、減光デバイス34は、少なくとも1つのSCR(シリコン制御整流器)を含み、一実施形態では第1および第2のSCRを含み、これらは、所定の期間にわたって提供される電流をカットするために利用される。カットは、位相角0で、または代替として、ある角度で行うことができる。したがって、SCRを利用することによって、減光デバイス34は、照明素子32の制御可能なオン/オフスイッチとして機能する。特に、一実施形態では、制御ノブなどの制御デバイスが第1および第2のSCRと連通し、それにより、0〜30分の任意の所定の期間で所定の明暗期間を設定することができる。AC入力が提供されるため、DCベースの明滅と異なり、提供される暗さは完全な暗闇であり、電流が提供されないため、光子が生成されない。このようにして、特定の植物の要件に合致する所定の明暗持続期間を制御することができる。
【0054】
図6は、異なる照明素子32aおよび32bの千鳥配置を可能にする代替実施形態を示す。この実施形態は、AC入力70を有する回路68を示し、AC入力70は、AC電流を駆動回路構成69に提供し、駆動回路構成69は、ブリッジ整流器72の半分を含んで、一実施形態では赤色スペクトル出力を提供する第1の複数の照明素子32aに入力を供給する。ここで、並列に、第2の複数の照明素子32bが、ツェナーダイオードなどのダイオード74を介してAC入力から入力を受信する。また、各グループの照明素子32aおよび32bは、追加の電流調整素子を有し、これらの電流調整素子は、この実施形態では、制御抵抗器を有するトランジスタとして提供される。
【0055】
したがって、第1および第2の照明素子32aおよび32bに入力される電流が、図7に示されるように調整される。図7は、回路68から生じる照明素子32aおよび32bへの電圧入力80と電流入力82および84とを示す。第1の電流入力82は、正の電圧が回路に印加されるときには最大の電流入力86を提供し、電圧入力80がゼロ(0)未満に下がるときには電流88を提供しない。一方、第2の電流入力84は、電圧が負またはゼロ未満であるときには最大電流入力90を提供し、電圧がゼロよりも高いまたは正であるときには電流92は提供されない。
【0056】
したがって、単一の電圧源を用いて、各組の照明素子32aおよび32bへの電流周波数がオフセットされ、それにより、第1の照明素子32aに電流が流れていない(第1照明素子32aに暗闇を生じる)期間中、第2の照明素子32bには電流が流れており、それにより第2の照明素子32bによって光が提供され、その逆も成り立つ。このようにすると、ヒトは、連続的な光を知覚するが、植物は、それが吸収する光の波長の期間、次いでそれが吸収しない光の期間を受け、したがって個々の色素が明暗期間を感知する。
【0057】
同様に、照明素子32aおよび32bは、植物への光の変化する期間を提供するように制御される。したがって、単一の照明素子32aが駆動されて最初に光を提供し、次いで、植物での所定の化学反応が生じるのに必要な所定の期間に基づく所定の時間量にわたって、植物が吸収することができる光を放出せず、次いで照明素子32によって光が再び放出され、次いで第2の所定の期間にわたって、植物が吸収することができる光を放出せず、第2の化学反応を生じさせ、ここで、第1および第2の所定の期間は、等しくても異なっていてもよく、それぞれが植物中で所定の生物学的効果を引き起こす。したがって、吸収可能な光の放出間の様々な期間が提供され、ここで、そのような様々な期間は、限定はしないが、本開示の範囲から逸脱することなく、30μs、70μs、190μs、200μs、もしくは1.1ms、または15〜40ps、または5〜6nsを含む。このようにすると、光を吸収する期間と、化学反応を生じるために吸収されない出力(暗さを含む)とのタイミングを設定するために、個々の植物の要件に基づいてアルゴリズムを開発することができる。
【0058】
別の例示的実施形態では、図8および図9は、代替回路201およびその波出力のグラフをそれぞれ示す。回路201は、逆の大きさの電気励起を提供する入力202を有し、これは、整流器204によって整流され、互いに並列に提供された一連の照明素子206、208、および210に提供される。第1、第2、および第3の照明素子206、208、および210はそれぞれ単一のダイオードとして示されているが、概略的に、各照明素子が複数の一連の接続された発光ダイオードを備えることを当業者は理解されよう。各照明素子206、208、または210は、同じまたは異なる波長でよく、好ましくは、放出される光を受ける植物30の色素のピーク吸収波長から20nm以内の波長である。一実施形態では、第1の照明素子206は第1の波長であり、第2および第3の照明素子208および210は異なる波長である。
【0059】
好ましい第1、第2、および第3のインピーダンス素子212、214、および216はトランジスタであり、より好ましくは、MOSFETが、抵抗器217を有する回路201内およびバイパス経路内に配置されて、図9に示される出力を提供する。特に、図示されるように、第1の照明素子206は、パワーを受け、第1の所定の時間間隔である第1の明るい時間間隔218にわたって光を放出し、その後、所定量の時間にわたって第1の暗い時間間隔219が続き、次いで第2の明るい時間間隔220が続く。同様に、第2の照明素子208は、第1および第2の明るい時間間隔218および220の所定時間量と異なる所定時間量である第3の明るい時間間隔222と、それに続く第2の暗い時間間隔223と、次いで第4の明るい時間間隔224とを提供する。第3の照明素子210は、第3の暗い時間間隔225、第5の明るい時間間隔226、および第4の暗い時間間隔227を提供する。さらに、第5の暗い時間間隔229が第1の明るい時間間隔218の前に生じ、第6の暗い時間間隔が第2の時間間隔220の後に生じる。したがって、明暗の時間間隔は、非同期のまたは変動する明暗の時間間隔を提供するように操作することができる。特に、フェーズカット減光器を利用して、第5および第6の暗い時間間隔229および231を制御し、明るい時間間隔のパルス間の時間を変えて、光合成電子伝達系の代謝回転時間に比例するオフ時間または暗い時間を提供し、光阻害率を減少させる。同様に、明暗の時間間隔は、利用される最小パワーを有する光の最大の取込みを提供するために、植物の遷移特性に比例して光の期間を短縮するように変えることができる。
【0060】
保温チャンバタイプの構造と共にLED照明素子32を述べてきたが、植物を成長させるために人工光が使用される任意の環境に様々な波長の光または様々な光周期の光を送達することができる任意のタイプの光源が本開示によって企図され、そのような実施形態は本開示から逸脱しない。これは、限定はしないが、植物を照光するための白熱電球、高圧ナトリウムランプ、コンパクト蛍光ランプ、AC LED、またはDC LEDなどに関連付けた制御装置の使用を含む。これはまた、限定はしないが、植物の様々な所定の生物学的応答に関連付けられる様々な所定の期間と一致する様々な出力を提供するようにドライバの周波数を変調する制御装置を有するPWMドライバの使用を含む。
【0061】
特に、光の波長または色に関して、成長、収量、または根の成長など植物の特性を向上させるその植物用の光波長または色を決定する。特に、特定の植物中のクロロフィルまたはカロテノイドに応じて、ROSタイプの反応に使用されて植物に害を及ぼし得る余剰の680nmおよび700nmの光を最小限に抑えるように所定の期間に680nmまたは700nmでの光を必要とすることに加えて、植物中のクロロフィルまたはカロテノイドが吸収するのに適した光が提供されて、光合成を向上させる化学反応のための追加のエネルギーを植物に提供する。このようにすると、クロロフィルによって吸収される波長の光はまた、より効率的な光合成を向上および促進する。
【0062】
動作時、特定の植物のための所定の明暗期間を、成長または収量などの植物の特性を向上させるその植物に関する所定の光波長または色と共に調べて求めることができる。一実施形態では、この波長は680nmであり、別の実施形態では700nmである。このとき、照明素子32は、所定の光波長を提供するように製造され、減光デバイス34は、成長向上のための所定の明暗期間を提供するように調節することができる。
【0063】
照明素子の所定の波長が選択され、各照明素子に関して明暗の持続時間が決定されると、持続時間が達成される方式も選択される。この時点で、追加の色素が植物中に存在するかどうか判断するために植物が再び分析される。したがって、クロロフィルAが存在する実施形態では、植物は、クロロフィルBも存在するかどうか判断するために再分析される。クロロフィルBも存在する場合、次いで第2の照明素子または複数の照明素子を選択することができる。第1の照明素子と同様に、第2の照明素子が選択され、植物中の色素(クロロフィルA、クロロフィルB、またはカロテノイド)のピーク120、125、130、135、140、145、150、155、または160に関係する波長の狭帯域を有する。
【0064】
次いで、第1の選択された照明素子と同様に、光合成の化学反応を完了させるのに必要な光の照射量または量のための持続時間が決定される。この時点で、上述したのと同様に、必要な明暗の持続時間を提供する方法が、第2の照明素子に関して提供される。このようにすると、第1および第2の照明素子は何れも、植物中の色素が必要とする正確な光の波長および明暗の持続時間を提供し、したがって植物の成長を向上させる。同様に、この方法は、植物中のカロテノイド色素および他の化学物質に関係付けて使用することもできる。このようにして、光合成を向上させるための照明処置に達するために、1サイクル中の異なる期間に複数の異なる波長が利用される。
【0065】
したがって、所与の植物中での化学反応、ならびにこれらの反応を生じるために必要な光の波長、およびその反応を生じるために光が必要とされる光合成プロセス中の時間を分析する。したがって、所定の波長および所定の期間での光が提供されて、所定の化学反応を生じて、望まれる方式で光合成を実現する。
【0066】
植物の化学的構成が分析されると、提供される光の波長と、特定の照明素子に関する暗い期間または非反応性期間が提供される前に特定の植物に光が提供される所定の期間とを決定するためのアルゴリズムが開発される。例えば、第1の照明素子を提供することができ、第1の照明素子は、P680活性化中心を反応させる強度、またはフルエンスおよび第1の期間もしくは持続時間で680nmの波長の光を提供し、次いで、その特定の照明素子に関する第2の期間または持続時間が提供され、その期間には、光が提供されないか、または光合成電子伝達系に沿った電子の化学反応または移動が進行している間に生じる副化学反応を光出力が最小限に抑える強度またはフルエンスで光が提供される。
【0067】
次いで、その第2の期間または持続時間後に、680nm波長の光が、追加の化学反応を生じさせるような強度および第3の期間または持続時間で再び提供されて、光合成電子伝達系に沿って反応を促進し、次いで、第4の期間または持続時間が続き、この期間には、光が提供されないか、または強度が副化学反応を最小限に抑え、ここで、第4の期間は、光合成電子伝達系に沿って追加の化学反応が生じる時間の長さによって決定される。本開示から逸脱することなく、この第4の期間は、設計を容易にする目的で第2の期間と同じ長さを有することができるが、これらの期間は、異なる時間長を有していてもよい。次いで、680nmを提供するこの第1の照明素子は、前述したように、追加の明暗期間を提供するように制御することができる。
【0068】
同時に、第1の照明素子に隣接する(同じデバイス内に提供されてもそうでなくてもよい)第2の照明素子は、第1の照明素子と異なる波長である。第2の照明素子は、光合成を向上させるための光の量を提供するような強度および第1の期間で、第2の波長を提供する。第2の照明素子に関するこの第1の期間は、第1の照明素子に関する第1の期間中でよく、その第1の期間と重なり合っていてもよく、または光が提供されないもしくは限られた強度のみが提供される第1の照明素子の第2の期間中でもよい。したがって、一実施形態では、第1の波長(例えば410nmまたは500nmのみ)で第1のより低い強度での第1の一定の背景光が、より長期間にわたって、例えば少なくとも1分のみ、または代替として、少なくとも1時間もしくは代替として24時間にわたって提供される。同時に、このより長い期間中、第2の照明素子は、別の波長(例えばパルスされた680nmのみ)を提供し、または第2の時間にわたって、および一実施形態では、Kokサイクル中の期間に関係付けられる変動する時間未満の所定の期間にわたって、光がオンおよびオフで提供される。
【0069】
一実施形態では、光子解放の間の時間は、暗い期間、または光源が光子を放出しない時間として提供されることがあるが、光子を受け取る準備ができている期間の間の時間は、PSIIまたはPSI複合体中の反応成分によって吸収されない強度または波長で放出される光で埋めることもできる。単に例として、P680は、680nmの波長の光を吸収して、望まれる光化学反応を生じる。しかし、450nmの青色、さらには450nm未満であってUV範囲100nm〜400nmに入る波長を利用して、植物中での他の化学反応を生じることができ、そのような光は、P680によって吸収されず、それにより本開示によって考えられる光ダメージを引き起こさない。したがって、吸収されてPSII複合体と反応する第1の波長と、吸収されずにPSII複合体と反応しない波長とを介在的に、または同時に提供する光源は、本開示の範囲から逸脱せずに、光合成の所望の向上をもたらす。
【0070】
特に、植物を分析して、P680などの植物中の他の反応中心および他の化学物質に対して光の第2の波長が及ぼす影響を求め、有害な化学反応をやはり最小限にする。そのような有害な化学反応により、植物は、光合成ではなく、ダメージからの保護または修復にエネルギーを使用する。このようにすると、第2の波長の光は、植物に有害な強度またはフルエンスおよび期間で提供されることがある。しかし、植物へのエネルギーの提供をもたらす向上または改良は、全体的なプロセスをより効率的にし、光合成を向上させる。
【0071】
同様に、植物の遺伝的または化学的構成に応じて、様々な所望の化学反応に対応する追加の期間にわたる追加の波長を提供する追加の照明素子が企図される。単に例として、同様にPSIの反応中心のピーク吸収度レベルに対応する700または720nmの波長で光を提供する第3の照明素子が利用される。特に、個々の植物が研究され、照明デバイスの使用によって光合成を向上させるために、異なる期間および強度で異なる光波長が提供されて、植物中での有害な化学反応を最小限にし、化学物質および化学反応の性能を最大限にする。
【0072】
したがって、植物の連続的な成長を刺激する所定の明暗期間が提供される。本出願に関連して使用されるとき、所定の明暗期間は、その明暗をヒトが知覚することができない場合でさえ、植物14がどのように知覚することができるかによって測定または決定され、照明素子32によって光が放出されない期間を提供する。したがって、本開示に関連して、明滅および知覚不能な明滅(存在するが、ヒトには知覚できない)が所定の明暗期間を提供すると考えられる。光合成電子伝達系(PETC)の代謝回転時間に比例するオフ時間に光のパルスを使用することによって、光阻害率を減少させ、光合成効率を上げる。
【0073】
本出願人が行った実験では、3つの異なる光処理をタバコに加えた。同じ土壌、肥料、土壌用コンテナ、セットアップ時の温度、維持される温度、セットアップ時のRh湿度、および維持されるRhで、3つの同一のチャンバを提供した。さらには、おおまかなフルエンス、光の波長、およびエネルギーをすべて一定に保ち、唯一の相違点は、光の各波長が植物に送達された期間または時間量であった。各チャンバが、ディープレッド(約650nm〜670nmまたは720nm〜740nm)、ロイヤルブルー(約440nm〜460nm)、およびライムグリーン(約566nm〜569nm)を使用した。第1のチャンバ内で、ディープレッド、ロイヤルブルー、およびライムグリーンはそれぞれ、4つのパルス時間間隔で同時にパルスし、各パルス幅が約30μsであり、第1のパルス後、光のない約85μsを提供し、その後、30μsの第2のパルスを生じさせた。次いで、光がない約230μsの期間を、30μsの第3のパルスの前に提供した。次いで、光のない約240μsを提供し、その後、30μsの第4のパルスを生じさせた。最後に、光のない約1360μsの期間を設けた後、このサイクルを再び開始し、植物が完全に成長するまで、24時間にわたってこのパターンで維持した。
【0074】
第2のチャンバ内で、ディープレッドおよびロイヤルブルーが出力され、ここで、第1のチャンバと同様に、4つのパルス時間間隔が前の段落で述べたのと同一の時点で生じる。しかし、第2のチャンバ内で、ライムグリーン光源は、ディープレッドおよびロイヤルブルーの光源と同じ時間間隔ではパルスしなかった。そうではなく、1200μsにわたるサイクルにつき1回、ライムグリーン光源がパルスし、このサイクルは、ディープレッドおよびロイヤルブルー光源の第4の30μsパルスの終了の80μs後(4つのパルスのサイクルの終了と、4つのパルスの新たなサイクルの開始との間の1360μsの時間間隔または期間内)に始まり、4パルスの次のサイクルの最初の30μsのパルスの80μs前に終わる。次いで、このパターンを24時間にわたって維持した。
【0075】
最後のチャンバは、24時間にわたってディープレッド、ロイヤルブルー、およびライムグリーンの一定のDC光を提供する参照チャンバとした。ディープレッドと比較して、20%のロイヤルブルーおよび20%のライムグリーンが存在した。第1および第2のチャンバと全く同じ量の光が参照植物に達することを保証するように電流を調節した。
【0076】
この実験において測定を行い、インチ、長さ、湿潤重量、乾燥重量、および根の乾燥重量に関して、植物の芽のより大きい成長が示された。チャンバ1内の処理は、すべてのカテゴリーで最大値を示し、次いでチャンバ2が続いた。チャンバ1および2は、湿潤および乾燥重量で参照に比べて大幅な増加を有し、両方のチャンバ1および2が、参照よりも2〜3倍大きい重量を示した。したがって、Kokサイクルに基づいて、光のない1360μs以下の時間間隔を単に提供することによって、植物は、1日24時間成長することが可能であり、時間間隔を提供しない照明に加えてかなりの重量利得を得る。
【0077】
別の実験では、PETC同期パルス光が平均の光合成効率を高め、したがって植物の成長率を高めるという仮説を支持する最初の見解の下で、モデル植物としてトウモロコシを使用して3つの概念実証試験が行われた。
【0078】
したがって、植物に機能的な光のみを提供するように様々な光波長および様々な光発生期間を提供することが可能な照明素子32を利用する園芸システムが提供される。したがって、特に、所定の化学反応が生じるのに必要な時間に各光子が提供されて、植物にダメージを与える化学反応で使用される余剰の光子は、なくならないにせよ最小限にされる。ダメージを最小限にすることによって、成長が向上され、より速く成長し、より青々としたより良く発育した植物生命体が得られる。
【0079】
特に、光合成電子伝達系(PETC)の代謝回転時間に比例するオフ時間を提供するために植物の連続的な成長を刺激する所定の明暗期間を提供することによって、光阻害率を減少し、光合成効率を上げる。
【0080】
したがって、必要とされる光の波長と共に、明暗期間が植物によって必要とされるときを決定するためのアルゴリズムを開発することができるだけでなく、同様に、植物の遷移特性を最小限にするための時間間隔で光を提供することができる。
【0081】
光合成効率を最大限にすることによって、追加の炭素、したがって二酸化炭素の要件が提供される。したがって、植物光合成に利用可能なCOを増加することによって、植物の成長、色、および栄養の最大化をさらに向上させる。したがって、より速く、より健康的な植物が提供され、現在の技術水準を改良する。
【0082】
全体として、所与の植物の様々な特性を向上させることができる。したがって、植物の重量および密度を増加し、または葉のサイズを増加し、根の構造を増減し、もしくは植物の所定の特性を操作することができ、栽培者の要求を満たすカスタマイズされた植物成長を実現する光処理が提供される。これは、限定はしないが、植物中の栄養の増加、顧客にとっての最終製品である植物の一部のより速い成長、および植物の色または見た目を含む。
【0083】
したがってまた、複数の植物14を照光するための方法およびアセンブリ10が提示される。アセンブリ10は照明素子32を含み、照明素子32は、植物のための所定量の暗い時間または代謝回転時間を含む照明サイクルまたは位相を提供する。その結果、代謝プロセスの完了時に、植物14は、必要な休憩を取り、植物ストレスおよび緊張を緩和する。この点で、植物14は、次いで、より多くの光を吸収する準備ができて、光合成プロセスでの代謝を続ける。
【0084】
一方、光合成を引き起こすために必要な複合体および化学反応に基づいて光の波長を選択することによって、代謝および光合成が最大限にされる。特に、LEDは、LEDの異なるネットワーク58および62を備えることができ、植物14に関する理想的なPARに従って、その特定の植物14が受け取る光として、不連続なUV、近UV、青色光、および/または赤色光を発生する。その結果、24時間の一定の光成長サイクルを有することができるだけでなく、さらに植物の成長が最大限にされる。その結果、植物のより速い成熟およびより大きい収量が得られる。
【0085】
さらに、アセンブリ10は、容易に製造され、植物14に隣接して取り付けるまたは配置することによって、新たな園芸アセンブリおよび既存の園芸アセンブリに組み込まれる。最後に、AC入力から調整される電流が利用され、パルス幅変調がなくされるため、照明素子32に関連付けられるコストが大幅に低減される。したがって、少なくとも上記の目的がすべて達成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9