特許第6796585号(P6796585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796585光出力の改善された均一性のために適合された照明パネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796585
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】光出力の改善された均一性のために適合された照明パネル
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20201130BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201130BHJP
【FI】
   F21S2/00 495
   F21S2/00 497
   F21Y115:10
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-535675(P2017-535675)
(86)(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公表番号】特表2018-501624(P2018-501624A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】EP2015079789
(87)【国際公開番号】WO2016110380
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2018年12月12日
(31)【優先権主張番号】15150072.5
(32)【優先日】2015年1月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ボーアイ シルヴィア マリア
(72)【発明者】
【氏名】ケッテラルアイ ヘンドリク ヤン
(72)【発明者】
【氏名】デ ギア ロナルド コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】デ ヨング ミシェル
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/187788(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0042510(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102007059607(DE,A1)
【文献】 特開2004−186104(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0094393(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出力が生成される幅を有する光出力領域と、
前記光出力領域の方向を少なくとも部分的に向いている反射表面を有するリフレクタ構造と、
発光上面を有し、前記リフレクタ構造の下に配置された、固体照明要素の1つ又は複数の列であって、前記1つ又は複数の列は、前記光出力領域の前記幅に直交して延びる、固体照明要素の1つ又は複数の列とを備え、
前記固体照明要素がともに、少なくとも2つの照明要素サブセットを有し、前記照明要素サブセットが、
前記光出力領域の前記幅にわたって第1の光強度プロファイルを生じさせる第1の照明要素サブセットと、
前記光出力領域の前記幅にわたって第2の光強度プロファイルを生じさせる第2の照明要素サブセットとを含み、
これらの組み合わせた強度プロファイルが、前記光出力領域の前記幅にわたって、前記第1又は第2の強度プロファイルのいずれかより均一性の大きい第3の光強度プロファイルを生じさせ、
前記第1の明要素サブセットが、前記反射表面に対して、前記光出力領域に対する第1の直交変位の仮想光源位置に対応するビームプロファイルを生成し、
前記第2の明要素サブセットが、前記反射表面に対して、前記光出力領域に対する第2の直交変位の仮想光源位置に対応するビームプロファイルを生成する、
照明パネル。
【請求項2】
前記第1の照明要素サブセットの明要素は、前記第2の照明要素サブセットの明要素と交互配置される、請求項1に記載の照明パネル。
【請求項3】
前記リフレクタ構造は、列方向に沿って一定の断面形状を有する、請求項1に記載の照明パネル。
【請求項4】
前記リフレクタ構造は、前記照明パネルの一方の側に位置する第1の部分と、前記照明パネルの他方の側に位置する第2の部分とを備え、各部分は、その下に配置されたそれぞれ1組の1つ又は複数の照明要素列を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の照明パネル。
【請求項5】
照明要素の各列に対して、前記列の中の隣接する要素は、異なるサブセットに属する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の照明パネル。
【請求項6】
前記固体照明要素の1つ又は複数は、前記発光上面から光学的に下流に位置決めされた屈折層を備える、請求項1乃至5の何れか一項に記載の照明パネル。
【請求項7】
前記屈折層は、屈折板を備える、請求項に記載の照明パネル。
【請求項8】
前記固体照明要素の1つ又は複数の列は、対応するPCBの面に結合され、CBの前記表面は、その列の長さに沿って異なる点に、前記光出力領域からの複数の直交変位を有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の照明パネル。
【請求項9】
前記リフレクタ構造は、1つ又は複数の放物線状のリフレクタ要素を備える、請求項1乃至8の何れか一項に記載の照明パネル。
【請求項10】
吸音後面をさらに備え、前記リフレクタ構造は、前記出力領域と前記吸音後面との間に挟まれる、請求項1乃至9の何れか一項に記載の照明パネル。
【請求項11】
前記照明パネルの前記光出力領域は、部分的に透過性の層を含む、請求項1乃至10の何れか一項に記載の照明パネル。
【請求項12】
前記固体照明要素は、1つ又は複数のLEDを備える、請求項1乃至11の何れか一項に記載の照明パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光出力の改善された空間均一性を有する固体照明パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
建設の際、建造物の床、壁、及び天井に関連するコスト及び建設時間を低減させるために、モジュール式の表面システムが一般に用いられる。そのようなモジュール式システムの典型的な例は、多くの職業的な環境及び事務所の環境内に組み込まれているつり天井である。このようなつり天井は、標準的には、正方形/矩形の凹部を画定するプラスチック又は金属の格子から構成されており、それらの凹部は、天井に広がるぴったり合ったパネル又はタイルで埋め尽くされ、しばしば、規則的な箇所毎に専用の照明器具の照明パネルにより隔てられている。
【0003】
従来、そのような照明パネルは、1つ又は複数の蛍光管を、光の向きを変えるリフレクタと組み合わせて利用する。しかし、照明パネルの適用分野では、蛍光管に対する代替として、LEDなどの固体照明要素がますます使用されている。LEDには、従来の(蛍光又は白熱)光源と比較すると、長い寿命、高いルーメン効率、低い動作電圧、及びルーメン出力の高速変調を含む多数の一般的な利点がある。加えて、事務所の環境では、概して、大きいオープンスペースにわたる音の伝送を軽減するために、モジュール式システムが音響減衰要素を組み込むことが望ましい。特に、多くの場合、照明パネル自体が、吸音タイル又は層を組み込むことが望ましく、その結果、音響減衰性を損なうことなく、総天井表面積の比較的大きい部分に照明を設けることができる。
【0004】
したがって、モジュール式のLED照明パネルには、蛍光パネルと比較すると、多数の利点がある。しかし、管状の照明要素とは対照的に、個々のLEDパッケージは、非常に狭い出力領域でしか光放出を生成することができない。したがって、そのようなデバイス内では典型的に、複数のLEDが利用され、たとえば、リフレクタの下にアレイで配置され、リフレクタは、パネルの底面に位置する出力窓にわたって、放出された光の向きを変えるように適合される。
【0005】
WO2013/190447は、たとえば、吸音タイルと、LED要素のいくつかの列と、リフレクタ配置とを備えるモジュール式の照明デバイスを開示している。
【0006】
WO2014/187788は、天井内に取り付けられる発光音響パネルを開示している。この発光音響パネルは、空間が間に形成されるように平行に配置された吸音層及び光透過層を備える。この空間内に、光源及びリフレクタが配置され、その結果、光源によって放出される光は、リフレクタによって向きを変え、吸音層の反射側へ放出される。光源は、発光音響パネルのエッジに平行する線に沿って配置される細長い光源であり、細長い光源は、複数のLED要素を備える。
【0007】
知られているLED照明パネルには、窓の幅にわたって様々な点でより明るいスポット及びより暗いスポットが生じることを回避するために、均質な光分布を維持しながら、大きい横方向サイズ、たとえば約60×60cmより大きいサイズを実現するのが困難であるという欠点がある。光強度のそのような不均一性は、審美的に満足のいくものではなく、並びに機能的にも非効率的である。
【0008】
音響機能も組み込むパネルに伴うこの不均一性を回避するのは、特に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、固体照明要素のストリップを利用し、吸音タイル層を組み込むことが可能であるが、横方向サイズの大きいパネルでも、パネル領域の幅にわたって生成される光の強度分布が改善された均一性を呈する照明パネルが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
【0011】
本発明の一態様によれば、
光出力が生成される幅を有する光出力領域と、
光出力領域の方向を少なくとも部分的に向いている反射表面を有するリフレクタ構造と、
発光上面を有し、リフレクタ構造の下に配置された、1つ又は複数の固体照明要素列であって、光出力領域の幅に直交して延びる1つ又は複数の固体照明要素列とを備え、
固体照明要素がともに、少なくとも2つの照明要素サブセットを構成し、これらのサブセットが、
光出力領域の幅にわたって第1の光強度プロファイルを生じさせる第1のサブセットと、
光出力領域の幅にわたって第2の光強度プロファイルを生じさせる第2のサブセットとを含み、
組み合わせた強度プロファイルが、光出力領域の幅にわたって、第1又は第2の強度プロファイルのいずれかより均一性の大きい第3の光強度プロファイルを生じさせ、
第1の固体照明要素サブセットが、リフレクタの表面に対して、光出力領域に対する第1の直交変位の仮想光源位置に対応するビームプロファイルを生成するように適合され、
第2の固体照明要素サブセットが、リフレクタの表面に対して、光出力領域に対する第2の直交変位の仮想光源位置に対応するビームプロファイルを生成するように適合される、照明パネルが提供される。
【0012】
照明パネルは、固体照明要素の1つ又は複数のストリップから構成され、上に配置されたリフレクタの表面の方へ「上方」を向いている(1つの配置内)。リフレクタは、光透過出力領域(たとえば、光出力窓)の方向を少なくとも部分的に向いており、パネルの底面において照明要素のストリップの下に位置する。「少なくとも部分的に向いている」とは、出力領域の方向において少なくとも何らかのベクトル成分に対する表面法線を有することを意味する。
【0013】
照明要素は、たとえば、裸の構成要素として、又はたとえばビーム成形光学系と組合せのいずれかで、1つ又は複数のLEDを備える。
【0014】
照明要素の線は、実質上同じ方向に配置され、下にある出力窓の幅方向の延長に直交する。照明要素によって放出される光は、上にあるリフレクタ構造上に当たり、リフレクタ表面上の1つ又は複数の点から、及び/又はこれらの点の間で、反射され又は跳ね返される(場合により、複数回)。多かれ少なかれある程度の量だけ跳ね返された後、光は、パネルの底面に位置する出力領域の方へ誘導され、出力領域において、パネルから外へ直接伝搬され、又は別法として、設けられた出力窓を通過する際に拡散若しくは散乱される。
【0015】
照明要素の中には、2つのサブセットが配置され、各サブセットは、出力窓の幅方向の延長にわたって異なる光強度プロファイルを集合的に生成するように適合される。2つのサブセットは、出力領域の長さにわたって何らかの(場合により)共通の平均強度からの互いのずれを相互に相殺する強度プロファイルを生成するように選択的に適合される。このようにして、反射プロセスの性質のために必然的に生じる山及び谷が、第2のサブセットによって生成される特別に適合された共役強度プロファイルを重ね合わせることによって取り除かれることになるので、サブセットのいずれかによって単独で生成される場合よりも、均一性のさらに大きい強度プロファイルが出力窓にわたって確立される。
【0016】
「強度プロファイル」とは、出力領域の幅にわたる光の分布を広く意味し、実際には、任意の数の特有の物理量の分布又は拡散の点から表され又は理解される。たとえば、この文脈では、強度プロファイルは、パネルの幅にわたる輝度のグラフによって表され、或いは簡単に光度若しくは明度のグラフによって、又は強度若しくは明るさの尺度と直接的な物理関係を有する任意の他の尺度のグラフによって表される。プロファイルは、たとえば色分布で区別することもできる。
【0017】
第1の照明要素サブセットの照明要素は、第2の照明要素サブセットの照明要素と交互配置される。
【0018】
この実施形態によれば、2つのサブセットは、一方によって生成されるプロファイルが、他方によって生成されるプロファイル上へ可能な限りぴったりと重なり合うように、実質上空間的に絡み合わされ又は混ぜ合わされる。このようにして、2つのプロファイルは、可能な限り最も大きい程度まで「混合」される。理論的には、第1のプロファイルの範囲全体が、第2のプロファイルの範囲全体と重複する。均一性の実現は、2つの共役プロファイルの混合から得られるため、最大の空間的重複により、均一性のために最大の容量が確保される。
【0019】
1つの特定の例では、リフレクタ構造は、列方向に沿って一定の断面形状を有する。
【0020】
いくつかの例では、リフレクタは、湾曲した形状又は別の平面でない形状を有し、高さ方向に延びる。本発明の一実施形態では、照明要素列は、リフレクタが一定の形状を有するリフレクタの長さに平行するように、関連するリフレクタの下に配置される。したがって、照明要素の列の底面からリフレクタの表面への高さ方向の変位は、列の長さ全体に沿って一定のままである。この一定のリフレクタ形状は、これらの列に平行する軸に沿った点で直交方向に切断したリフレクタの断面である。
【0021】
そのような配置により、出力領域の幅方向の延長にわたって各ストリップによって生成される強度プロファイルを、窓の長さ(幅に直交する)に沿ってすべての点で同じにすることが可能になる(列の端部におけるエッジ効果は無視する)。これにより、重なり合うプロファイルによって生成される均一の幅分布が、長さに沿ってすべての点で忠実に複製されるため、窓の幅だけでなく長さにわたって強度の均一性が存在することが確実になる。
【0022】
リフレクタ構造は、パネルの一方の側に位置する第1の部分と、パネルの他方の側に位置する第2の部分とを備え、各部分は、その下に配置されたそれぞれ1組の1つ又は複数の照明要素列を有する。
【0023】
リフレクタは、このようにして、2つの部分に分割され、各部分は、パネルにおける相対する側に沿って位置決めされる。たとえば、2つの部分は、パネルの幅の両端に配置され、さらに、いくつかの実施形態では、各部分は、出力窓の方向における少なくともある程度のベクトル成分と、他方のリフレクタの方向における少なくともある程度のベクトル成分とを有する表面法線を有する反射表面を備える。この例によれば、そのすぐ下の照明要素から生じてリフレクタのいずれかの部分に入射する光の少なくとも一部は、反対の部分の方向にまず反射される。反対の部分では、光は、第1の部分の方へ後方に反射され、又はそれらの部分の形状に応じて、出力窓の方へ下方に反射され、若しくは下に位置決めされたそれぞれの照明要素の方へ反射される。
【0024】
2つの分離された部分の利点は、光が出力領域の幅全体にわたってより均等に拡散されることである。単一のリフレクタを用いた場合、リフレクタから離れる方向に減少する(平均)強度のパターンが必然的に生じ、分布の均一性が損なわれる。異なる位置に位置する第2のリフレクタ部分を利用することによって、第1のリフレクタに対する平均強度の低い領域が、第2のリフレクタに対する平均強度の高い領域と混合され、したがってより大きい均一性が実現される。
【0025】
各照明要素列に対して、その列の中の隣接する要素は、異なるサブセットに属する。
【0026】
そのような配置により、最も密な「混合」度が確保される。ちょうど2つのサブセットを備える一実施形態の場合、たとえば、各列の中で連続する照明要素は、第1のサブセットと第2のサブセットとが交互になり、その結果、その列全体で、2つのサブセットは、完全に均等に散らばる。その結果、2つの対応する強度プロファイルは、互いに事実上正確に「重なり合い」、出力窓にわたって可能な限り最大の均一性が可能になる。
【0027】
第1の固体照明要素サブセットは、リフレクタの表面に対して第1の入射強度のビームプロファイルを生成するように適合され、
第2の固体照明要素サブセットは、リフレクタの表面に対して第2の入射強度のビームプロファイルを生成するように適合される。
【0028】
したがって、各サブセットによって生じる、異なる「強度プロファイル」は、2つのサブセットの個々の要素が、リフレクタの表面においてサブセット特有の異なる入射強度の個々のビームを生成するように適合される配置から集合的に現れる。現れたプロファイルは、2つの特徴強度を選択的に調節することによって、出力領域にわたって均一の強度分布をともに生成するように調整される。
【0029】
出力領域の幅にわたって異なる強度プロファイルを生成するように、異なる照明要素サブセットを適合させるためのいくつかの可能性が存在する。たとえば、1つの可能性では、第1の固体照明要素サブセットは、光出力領域に対する法線方向において、リフレクタ表面に対する第1の変位に対応する光源位置を有し、
第2の固体照明要素サブセットは、光出力領域に対する法線方向において、リフレクタ表面に対する第2の変位に対応する光源位置を有する。
【0030】
この配置によれば、第1及び第2の照明要素サブセットは、リフレクタの表面から異なる相対距離をあけて位置するビーム源位置を有するように配置される。2つのサブセットの照明要素が、実質上同じ幅及び視準のビームで実質上同じ角度方向に光を伝搬するように配置された場合、その結果、異なるサブセットに属する要素から生じる光線は、異なる入射角度範囲でリフレクタ上に入射する。より近い光源位置を有する要素によって生成される光ビームは、たとえば、より遠い光源位置を有する要素によって生成されるものより狭い角度範囲でリフレクタ表面に当たる。したがって、異なる照明要素サブセットによって生成される光線は、異なる角度分布でリフレクタ表面から反射し、したがって、下にある出力領域の幅にわたって異なる反射強度プロファイルを生じさせる。
【0031】
上記の特定の例では、光源位置は、その発光表面又は開口がリフレクタの表面から異なる「垂直」距離をあけて位置するように2つのサブセットの照明要素を配置することによって変更される。
【0032】
しかし、本発明の照明パネルでは、第1の固体照明要素サブセットは、リフレクタの表面に対して、光出力領域に対する第1の直交変位の仮想光源位置に対応するビームプロファイルを生成するように適合され、
第2の固体照明要素サブセットは、リフレクタの表面に対して、光出力領域に対する第2の直交変位の仮想光源位置に対応するビームプロファイルを生成するように適合される。
【0033】
このようにして、リフレクタから異なる直交変位を占めるように照明要素開口を配置するのではなく、ビームのシフトさせた「仮想」光源を生成するように出力ビームを光学的に操作することによって、2組のビームの強度分布が変更される。
【0034】
たとえば、固体照明要素の1つ又は複数は、発光上面から光学的に下流に位置決めされた屈折層を備える。ここで、対応する照明要素によって放出される光は、屈折層を通過すると屈折し、それによって生成されたビームプロファイルの仮想光源位置をリフレクタ構造の表面に対して直交方向にシフトさせる。たとえば、一方の照明要素サブセットは屈折層を備えるが、他方のサブセットは屈折層を備えておらず、それによって、2つのサブセットのビームに対して異なる入射角範囲が引き起こされる。別法として、両方のサブセットが屈折層を組み込むが、異なる屈折率又は異なる厚さの材料から構成される。
【0035】
一例では、屈折層は、屈折板からなる。
【0036】
屈折板は、たとえば、照明パネルの周囲大気より屈折率の大きいガラス又はプラスチックのシートを含む。
【0037】
任意の実施形態で、1つ又は複数の照明要素列はそれぞれ、それぞれのPCBの表面に結合され、各PCBの表面は、その列の長さに沿って異なる点に、出力領域からの複数の直交変位を有する。
【0038】
たとえば、リフレクタ構造からの異なる垂直変位に光源位置を有する照明要素を備える上記の実施形態を実現するために、特定の列の中の連続する照明要素に対して、より高い変位とより低い変位とを交互に有するPCBが利用される。前記PCBは、交互により厚い区間とより薄い区間とを単に含み、又は波形の形状に屈曲又は変形され、隣接するより高い部分とより低い部分とを有する。
【0039】
リフレクタ構造は、1つ又は複数の放物線状のリフレクタ要素を備える。
【0040】
照明パネルは、吸音後面をさらに備え、リフレクタ構造は、光出力領域と後面との間に挟まれる。
【0041】
そのような実施形態には、その後面にわたって遮音性を提供するという利点がある。たとえば、複数の照明パネルが室内の天井照明の一部として設置される場合、音響タイルは、室内の異なる位置から搬送される音を防止するのに役立つ。照明パネル内にそのような吸音要素を組み込むことで、照明パネルが表面の総面積の大部分を占めるモジュール式の表面システムによって、効果的な音響減衰が実現される。
【0042】
照明パネルの光出力領域は、部分的に透過性の表面シートなど、部分的に透過性の層を含む。
【0043】
この実施形態では、出力領域に入射する光は、半透過性又は半透明の表面シートに当たり、前記シートを通過するとある程度放散又は散乱される。本発明は、均一の強度分布を有する出力領域に光が当たり、したがってパネルの観察者にとって、出力窓の下から見ると、外観は、その出力領域の範囲にわたって均一の明るさを有する発光パネルのものになることを確実にする。
【0044】
固体照明要素は、1つ又は複数のLEDを備える。
【0045】
本発明の例について、添付の図面を参照して詳細に次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】照明パネルの簡単な可能な例の光学的配置の概略図である。
図2】2つの別個の部分から成るリフレクタ構造を有する照明パネルの別の可能な例の概略図である。
図3】異なる相対高さに配置された数組の照明要素に対する照明パネルの幅にわたってシミュレートした輝度分布に対応するグラフである。
図4】改善された均一性の分布を生成するための図3の輝度分布の2つのシミュレートした混合を示すグラフである。
図5】第1の例示的な照明要素配置の一部分を示す図である。
図6】第2の例示的な照明要素配置の一部分を示す図である。
図7】屈折層によって生成される仮想光源のシフトの一例を示す光学的図である。
図8】仮想光源位置をシフトさせるための屈折板を備える第3の例示的な照明要素配置の一部分を示す図である。
図9】変動する厚さのPCBを備える第4の例示的な照明要素配置の一部分を示す図である。
図10】第5の例示的な照明要素配置の一部分を示す図である。
図11】第6の例示的な照明要素配置の一部分を示す図である。
図12】第7の例示的な照明要素配置の一部分を示す図である。
図13】第8の例示的な照明要素配置の一部分を示す図である。
図14】第9の例示的な照明要素配置の一部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、たとえばモジュール式の表面システム内で使用するための照明パネルを提供し、照明パネルは、リフレクタ構造に関連する1つ又は複数の固体照明要素ストリップを備える。照明パネルは、その出力領域の幅にわたる光強度の改善された均一性のために適合される。照明要素は、2つ以上のサブセットを備え、各サブセットは、パネル出力窓の幅にわたって異なる光強度プロファイルを集合的に生成するように適合される。サブセットは、混合されたとき、出力窓の幅にわたるある程度の共通の平均強度からの互いのずれを相互に相殺するプロファイルを生成し、それによって均一性の改善された組み合わせた強度プロファイルを生成するように選択的に適合される。例は、照明要素サブセットがリフレクタ表面に対して異なる実際又は仮想の光路長を有するように適合された配置を含む。照明パネルは、音響減衰機能を提供するための吸音後面をさらに備える。照明パネルから実質上均一の光出力を生成する方法も提供される。
【0048】
本発明は、複数の個々に不均一の光分布を重ね合わせて、任意の可視出力領域の全体的な範囲にわたって同質に見える全体的な出力プロファイルを生成するという原理に基づいている。これは、リフレクタ構造の向きを変えることと組み合わせて照明源を使用する一般的な手法を、照明要素の光学的配置を操作することによって、少なくとも2つの光源サブセットを生成するように適合させ、各サブセットが、リフレクタの範囲にわたって異なる強度プロファイルを実現するように適合されることによって実現される。
【0049】
図1に、第1の実施形態の簡単な例の光学的配置を示す。リフレクタ構造18の下に、固体照明要素列24が配置され、各固体照明要素は、リフレクタ構造の反射表面20の方向を向いている発光上面を有する。この照明要素列は、パネルの幅方向の延長14に直交して(すなわち、図1に示すように紙面の中に向かって)配置され、リフレクタ構造は、列方向に平行して同様に延びる。リフレクタ及び照明要素の下に、光出力領域12が位置する。いくつかの例では、光出力領域は、部分的に透過性の層又はタイルを含み、前記層は、光がパネルから外方に進むときに光を分散又は散乱させ、したがってパネルの観察者にとって審美的に満足のいくまぶしさのない同質の光出力を生成するように作用する。しかし、他の(非限定的な)例では、出力領域は、意図される応用例に応じて、単なるオープンスペース、部分的な層、又は完全に透過性の層を備えることもできる。
【0050】
以下の説明では、出力領域について、別法として、出力窓又は単に窓として説明することに留意されたい。これらの用語は、交換可能及び非限定的であることを理解されたい。特に窓は、何らかの特定の材料又は枠組みの配置の使用を必要とすることを意図するものではない。
【0051】
加えて、上記及び下記の説明では、「垂直」、「上方」、「左側」、「後方」、「下方」などの具体的な方向を示す用語に言及する。これらが使用される場合、純粋に例示的又は説明的であると解釈され、単に説明の明確さ及び簡潔さを助けるために用いられる。他の実施形態では、必然的に交互の同等の具体的な方向性が該当することがあるが、それにもかかわらず、相対的な変位、位置、又は経路は、実質上同じままであることもある。
【0052】
図1には、リフレクタの下に単一の照明要素列のみを示す。しかし、様々な実施形態では、複数の列が提供され、互いに対して平行に配置され、リフレクタの下で幅方向と長さ方向の両方に延びる照明要素のアレイを形成する。
【0053】
図1の例では、デバイスは、吸音バックパネル28をさらに備え、吸音バックパネル28は、音響減衰機能を実行するための音響タイルを備える。そのような特徴は特に、たとえばオープンプランの事務所における天井照明の応用例に該当する。事務所の1つの部分で生成された雑音が事務所の他の部分まで進む範囲を制限することが望ましい。ここで、照明パネル内の吸音後層は、照明パネルが総天井表面積の大部分を占める配置でも、効率的及び効果的な雑音減衰を可能にする。照明パネル自体が吸音機能を含まない場合、設置された照明パネル間の空間内で専用の音響天井タイルが使用され、特定の減衰仕様が必要とされる場合、これは、(非吸収性の)照明パネルによって覆うことができる可能な総表面積を制限することがある。対照的に、音響機能を組み込む照明パネルは、そのような領域の天井表面全体をパネルで覆うことを可能にし、縫い目のない「整った」審美性を空間に提供し、すべての天井パネルが同一の外観を有する。
【0054】
照明要素24によって放出される光は、リフレクタ20に当たり、パネルの幅方向の延長に沿って少なくとも部分的に向きを変え、したがって最初は非常に局所的な放出源を有する光を、パネルの広い領域にわたって再び分散させることが可能になる。特に、図1に示す例では、リフレクタは、放物線状又は近放物線状の表面を有する。これは、反射光線18によって示すように、リフレクタの焦点に一致する点から伝搬される光がすべて、パネルの幅方向軸に沿って向きを変えることを意味する。しかし、他の実施形態では、リフレクタは、異なる形状の表面を備えることもでき、又は照明要素列に対して異なる形で配置することもできる。リフレクタは、たとえば、すべて若しくはほとんどの入射光を幅方向ではなく出力領域の方向へ反射するように適合することができ、又は入射光線を出力領域の表面にわたる角度範囲で反射するように適合することもできる。
【0055】
いくつかの実施形態では、リフレクタは、一部又はすべての入射光を照明パネルの後面にわたって再び分散させるように適合される。たとえば、図1の例と同様に、音響タイルを備える実施形態では、タイルは、リフレクタから入射する光を出力領域の方へ下方に反射するように適合された半反射表面を備える。いくつかの例では、この半反射表面は、部分的な分散性を有し、その結果、光は、光線伝搬角度の拡散を有して、出力領域の方へ誘導される。これにより、LEDモジュールの直接の「像」が観察者の方向に投影されず、及び/又は対応する非常に明るいスポットが出力窓表面上に見えないことが確実になる。
【0056】
加えて、いくつかの実施形態では、リフレクタは、湾曲しているのではなく、平面であり、又は異なる角度で配置された接合された平面の区間を含む(すなわち、湾曲ではなく小平面化される)。
【0057】
図2に一例を示す1つの特定の実施形態では、リフレクタ構造は、2つの別個の部分を備え、これらの部分は、照明パネルの両側に互いに面して配置され、各部分の下には、それぞれの1つ又は複数の照明要素列が配置される。図2の特定の例では、これらのリフレクタ部分は、この場合も、放物線状又は近放物線状の表面を有する。これは、第1の放物線状部分30の焦点又はその付近の照明要素(要素24で示す)から入射する光が、出力窓14の表面に平行する方向に沿って、反対に配置された部分32の表面の方へ反射されることを意味する。第2の部分の表面に入射した後、光は、出力窓の方へ直接反射され、又はいくつかの実施形態では、まず、下にある照明要素のそれぞれの列の方へ下方に誘導されてから、リフレクタの第2の部分を介して、出力窓又は音響タイル(提供される場合)の方へ再び後方反射される。上記で論じたように、音響タイルは、入射光を出力領域の方へ半分散的に反射するように適合され、それにより出力領域にわたる強度プロファイルの均一性が改善される。
【0058】
これらの図の寸法は、原寸に比例しないことに留意されたい。たとえば、パネルの幅は、好ましくは、深さ(すなわち、天井パネルの場合は垂直方向の高さ)よりはるかに大きい。したがって、リフレクタは、図2に見えるより高さに関してはるかに遠く離れている。
【0059】
2つの分離された部分の利点は、光が出力領域の幅全体にわたってより均等に拡散されることである。単一のリフレクタを用いた場合、リフレクタから離れる方向に減少する(平均)強度のパターンが必然的に生じ、分布の均一性が損なわれる。異なる位置に位置する第2のリフレクタ部分を利用することによって、第1のリフレクタに対する平均強度の低い領域が、第2のリフレクタに対する平均強度の高い領域と混合され、したがってより大きい均一性が実現される。
【0060】
実際的な実施形態では、2つの部分の表面は、放物線状からずれるように適合されるが、場合によりその代わりに、より大きい若しくはより小さい偏心率を有する異なる円錐形の形状、又は異なるタイプの曲線をすべて採用することもできる。リフレクタ部分の一方又は両方の形状を選択的に適合させることによって、入射光の反射角の分布が調和され、表面にわたって異なる反射プロファイルの実現が可能になる。
【0061】
しかし、選択されるあらゆるミラー配置は、出力窓にわたる反射強度分布が範囲全体にわたって均一でないという問題を受ける。通常、結局は一部の場所で光が多くなりすぎ、他の場所で光が十分でなくなる。そのような結果は、局所的な光源位置を有する光を、ミラー構造を使用して非常に大きい表面積(照明要素に対して)にわたって拡散させるという困難なタスクの当然の帰結である。特に、通常、パネルのエッジに2つの強度最大値が位置し、パネルの中央に位置する中心の最小値に向かって減少することが見られる(又は逆も同様である)。
【0062】
しかし、照明要素をz方向に動かすことで(ここで、x及びy方向は、水平平面に広がり、すなわちそれぞれ図1及び図2の実施形態における出力窓の幅及び長さにわたると定義する)、光分布における山及び谷の位置が変化することが観察された。図1及び図2で、z軸は、紙面の上下方向である。
【0063】
図3に、異なるz位置に配置された照明要素に対するシミュレートした光分布を示す複数のグラフ36、38、40、42、44を示す(一定の位置で保持された放物線状のリフレクタに対して、その最も低い点は、z=0に位置決めされる)。図3のy軸は、カンデラ/m単位の輝度に対応し、x軸は、mm単位のx方向(幅方向14に対応)の変位に対応する。
【0064】
分布44は、最も低いz位置にある照明要素に対応し、z位置の昇順で38、42、40、及び36が続く。分布44は、z=0に位置決めされた照明要素に対応し、38はz=0.3mmの照明要素、42はz=0.5mm、40はz=0.7mm、36はz=0.9mmに対応する。照明要素はすべて、リフレクタの最も左側の点から8mmの同じx位置に位置決めされ、最も左側の前記点は、照明パネルの中心から590mmの変位を有する。
【0065】
生成された分布はそれぞれ、個々に不均一であり、前述の特徴的なエッジ効果及び中心の最大値/最小値を示す。しかし、プロファイル36及び38は、同じ点で互いにほぼ逆の山及び谷を有する分布を示すことが顕著である。これらの2つの分布を重ね合わせ、又は「平均化」したとき(図4に示すように)、その結果得られる組み合わせた分布46は、x方向にわたって著しく改善された均一性を呈する。
【0066】
したがって、その結果、両方の分布36、38を、照明パネル内で実質上同じy位置に、2つが重なり合うように同時に生成することによって、単独の36又は38のいずれかと比較して大きく改善された均質性を有する強度分布46が、出力領域の幅にわたって生成される。さらに、この作用は必然的に、2つの照明要素のサブセットを確立することによって、パネルの長さ全体に沿って後ろまで延び、部材要素は、y軸に沿って規則的な点(すなわち、照明要素列がパネルの幅に直交して延びるため、1つ又は複数の列に沿って規則的な点)に配置され、各サブセットは、部材要素が位置する各y位置に2つの分布の一方を生成するように適合される。それによって、各サブセットは事実上、2つの分布の重ね合わせによってx及びyの両方向において実質的な均質性を呈する組み合わせたプロファイルを出力領域の全範囲にわたって生じさせる2次元強度分布を、出力窓の表面にわたって生成する。
【0067】
パネルの長さに沿った幅方向強度分布の前述の「延長」は、各列の長さに沿ったすべての点において、その点におけるリフレクタ構造に対する照明要素の相対的な位置/配置が同一であると想定し、この列に沿ったあらゆる点に対して光学的配置が同じであると想定することに留意されたい。構造上、これは、列に平行する軸(すなわち、y軸)に沿った点で直交方向に切断したリフレクタの断面に対応し、前記軸に沿ったすべての点で均一の形状を有する。すなわち、そのような配置は、リフレクタ構造の高さ方向の輪郭に平行するように配置された照明要素列に対応する。
【0068】
図3及び図4のシミュレートした輝度グラフでは、光源照明要素を異なるz位置に配置することによって、異なる分布が生成されるが、異なる種類の操作によって強度プロファイルの同様の変動を引き起こすこともできる。最も一般的には、所与の照明要素サブセットによって生じる強度プロファイルは、個々の部材要素によって生成されるビームがリフレクタの表面に対して生じさせる特定の入射角範囲又はプロファイルを変動させることによって、簡単に変動する。異なる角度分布で入射する光を生じさせる照明要素のサブセットは、それに対応して変更される反射光分布を出力領域にわたって生成する。所与のサブセットのすべての部材をリフレクタに近づける(すなわち、それらのz位置を変化させる)ことは、この作用を実現する1つの手段である。なぜなら、リフレクタ表面へのビームの行程が短くなればなるほど、ビームがもたらす横方向の分散が小さくなるからである。しかし、他の同等に有効な手段も存在し、そのような手段について、以下の実施形態のいくつかにおいてより詳細に説明する。
【0069】
2つの異なるサブセットの照明要素は、互いに直接隣接して位置決めする必要はない。しかし、2つのプロファイルの最大の混合、したがって強度分布の可能な限り最善の平滑化のためには、2つのサブセットを可能な限り細かく空間的に混合することが好ましい。したがって、一実施形態では、照明要素列は、隣接する要素が異なるサブセットに属するように配置される。照明要素がちょうど2つのサブセットを構成する例では、これは、連続する要素が交互に第1のサブセットに属する要素と第2のサブセットに属する要素とになる列に対応する。
【0070】
そのような実施形態による例示的な列の小さい区間を図5に示す。照明要素24の第1のサブセット56が、PCB52上に取り付けられ、同じPCB上に取り付けられた照明要素の第2のサブセット58と交互配置される。その結果得られる配置では、この列におけるすべての隣接する照明要素が、異なるサブセットに属する。
【0071】
図5の特定の例では、2つの照明要素のサブセットは、光学的に、発光表面が異なる垂直変位を占め、したがって図3及び図4のグラフに示すz位置変動を具現化することを特徴とする。特に、これらのサブセットは、出力窓の表面に対して法線方向に、リフレクタ構造の表面からの異なる変位を有するように配置される。
【0072】
図5では、異なる変位は、サブマウント54が第2のサブセット58の照明要素の下に位置決めされ、したがって列全体が取り付けられたPCB52に対するそれらの垂直位置を上昇させることによって実現される。列がリフレクタの高さ方向の輪郭に平行するようにPCBが位置合わせされた場合(上記のように)、この配置の結果、2つの照明要素サブセットでは、各サブセットの部材がすべて、リフレクタ構造の表面から同じ垂直方向又は「高さ方向」の変位を共有する。したがって、パネルの長さ方向の延長に沿ったすべての点において、パネルの幅にわたって実質上同じ2つの強度分布が生じ、これらを重ね合わせて、出力領域の前部から背部に後ろまで延びる同じ混合分布を生成する。その結果、観察者にとってすべての点で実質上均一に見えるパネルの範囲全体にわたる分布が得られる。
【0073】
他の例では、代替配置を用いて、1つ又は複数の照明要素のサブセットの発光表面の異なる相対変位を実現する。図6に、1つのそのような代替配置の一例を示す。ここでは、サブマウントを用いて特定の照明要素のレベルを選択的に上昇させるのではなく、その代わりに、異なる垂直方向の延長を有する第2の照明要素サブセット62が事前に製作されている。これらの照明要素は、第1のサブセット24を構成する要素と同様に、発光上面を有し、したがって、構成要素の全体的な高さを単に延ばすことによって、図5の例と同じ変位作用が実現される。
【0074】
上記で論じたように、最も一般的な形態において、本発明では、異なる照明要素サブセットは、構成する照明要素がリフレクタの表面に対して異なる入射角範囲又はプロファイルを有する光線を含むビームプロファイルを生成するように適合されるだけでよい。これは、リフレクタ表面に対する照明要素の物理的な位置を変化させることで、近くの光源はより狭い入射ビームプロファイルを生成し、したがってより狭い入射角範囲を生成することから実現される。しかし、同じ作用は、仮想光源位置が同等にシフトするように当該サブセットの出力ビームを単に光学的に操作することによっても、同等に実現することができる。これは、たとえば、出射光を屈折させ、それによって生成されるビームの横方向範囲を事実上狭くし、したがってビームの仮想光源位置を垂直方向にシフトさせることによって行われる。
【0075】
図7に、そのような実施形態の背景にある光学的な概念を示す光線図を示す。空気(又は他の周囲媒体)より高い屈折率を有する任意の媒体からなる屈折層72が、1つ又は複数の照明要素から光学的に下流に位置決めされる。照明要素からの出射光線68(簡潔にするために、単一の例示的な光線を示す)が、層の下部境界に入射し、通過するにつれて境界法線の方へ屈曲する。この層を出る際、出射光70は、再び元通りに屈曲し、入射光の経路に平行する経路を取り戻す。しかし、この屈折の作用は、光線の出射経路を、普通ならとるはずの経路に対して、図に74で示す距離に等しい距離だけ左側(図7に示すように)へ事実上シフトさせることである。すなわち、出射光70を後方へ観念的に外挿して、仮想光源66を有する「仮想」光源光線78を求めることによって、屈折の作用は、仮想光源位置を、図に82で示す距離に等しい距離だけ垂直方向上方へシフトさせることである、ということがわかる。垂直シフト距離82は、屈折層80の全体的な高さから図7の略図に標示76で示す距離を引いた値に等しい。ただしこの値は概して、屈折層に使用される材料の屈折率に依存する。
【0076】
屈折層72は、必然的に、光源照明要素のすべての放出光線に対して上述した作用と同じ作用を実現し、全体的な結果は、出射ビームを事実上細くすることであり(すべての光線が光源位置の水平位置の方へ横方向にシフトするため)、これはすなわち、ビーム全体の光源位置を、比例する量だけ上方へシフトさせることに対応する。したがって、屈折層は、特定のサブセットの照明要素を物理的に変位させることと同じ光学的作用を実現する。
【0077】
図8に、図7に示す光学的原理を用いる照明要素列24の一例の小さい区間を示す。図5及び図6と同様に、2つのサブセットが示されており、隣接する照明要素は、異なるサブセットに属し、照明要素は、PCB52上に取り付けられる。2つのサブセットの一方に属する要素の上には、図7の屈折層80を構成する屈折板88が位置決めされる。これらの屈折板は、上述したように、一方の照明要素サブセットの仮想光源位置をシフトさせるが、他方のサブセットの仮想光源位置はシフトさせないように作用し、それにより、これら2つのサブセットによって異なる強度プロファイルが生成される。
【0078】
屈折板は、たとえば、ガラス又はプラスチックの層からなる。しかし、要素24をすぐ取り囲む大気又は他の環境より大きい屈折率を有する任意の材料を同等に用いることもできる。
【0079】
図7に示す例では、2つの照明要素サブセットの一方のみが屈折板を備える。しかし、他の例では、両方のサブセットが屈折層を備えることもできる。ただし、異なる屈折率を有する層が設けられる。
【0080】
屈折板を利用して照明要素の仮想光源位置をシフトさせることには、要素の物理的な変位を用いる前述した実施形態に比べて、照明パネルの製造がより簡単になり、パネルの光学的特徴がより柔軟に変化するという可能な利点がある。たとえば、異なる横方向及び垂直方向の延長を有する(したがって、異なる光学要件を有する)照明パネルのための照明要素を作製するには、設けられる屈折板の屈折率を変化させるだけでよいことから、ほぼ同一の製造プロセスを用いることができる。これは、異なるPCB又は異なる物理的なスペーサを形成及び適用する必要のある物理的な変位に基づく実施形態とは対照的である。
【0081】
しかし、図8の実施形態には、多数の光学板88を提供すること、また必要とされる照明要素にこれらの板を個々に結合又は重複することに関連するコストがより大きくなるという潜在的な欠点がある。
【0082】
異なるサブグループの照明要素が、発光上面がリフレクタの表面に対して異なる位置を占めるように適合される例について上述した。これらは、下に配置されたサブマウントを使用すること(図5)、及び特定の照明要素の寸法を垂直方向に延ばすこと(図6)によって、照明要素の高さをシフトさせることを含むものであった。
【0083】
しかし、代替の例では、代わりに照明要素が取り付けられ又は結合された下にあるPCBを操作し又は適合させることによって、同じ変位シフト作用が実現される。たとえば、図9は、本発明による例示的な照明要素列96の一区間を示し、下にあるPCB52は、より薄い区間92及びより厚い区間94を交互に有するように適合される。同一の照明要素24が各区間の表面上に1つずつ連続して取り付けられるとき、交互配置された下位区間が生じ、第2の区間は、垂直変位が高く、したがってリフレクタの表面からの変位が低減された照明要素を備える。
【0084】
別の可能な例を図10に示す。ここで、PCB52は、列の範囲に沿って均一の厚さを有するが、基板は、下に位置決めされたフィラーサブマウント100によって、規則的な点において物理的に持ち上げられる。フィラーサブマウント100は、PCBを変形させて、基板の表面に取り付けられた照明要素を持ち上げるように作用する。いくつかの例では、PCBは、照明要素が取り付けられる前に変形させることができ、又は別法として、要素が取り付けられた後に変形させることができる。
【0085】
この実施形態に関する変形形態において、図11は、波形のPCB52上に取り付けられた照明要素列24の一例を示し、基板の反りは、所与の空間に対して意図的に長すぎるように構築されたPCBを利用し、次いでこのPCBを、閉じ込め用の底面要素104及び側面要素106内に収容することによって実現される。ここでは、前述の実施形態と同様に、照明要素24は、反らす前にPCBに取り付けても、反らした後にPCBに取り付けてもよい。
【0086】
連続して取り付けられた照明要素の高さを交互に変動させるのではなく、いくつかの実施形態では、別法として、2つの異なるレベルの発光表面を含む一体化された照明要素パッケージを用いることもできる。これを実現する1つの手段は、パッケージ内の2つの異なるレベルにLEDなどの照明要素を収容するパッケージを組み立てることである。そのようなパッケージの一例を図12に示す。LEDパッケージ110は、互いに重なる2重層112、114を備える。各層内には、LED照明要素116、118が取り付けられ又は収容され、LED照明要素116、118は、各層から放出される光が自由に伝搬するように、それぞれの層内で異なる横方向位置に配置される。2つの層は、異なる厚さを含むように適合され、それによって異なる高さ方向の離隔距離を実現することが可能になる。次いで、そのようなパッケージは、照明パネルの長さに沿って列を作って配置され、それによって図9〜11の実施形態と同様に照明要素が交互になる同等の配置が生じる。
【0087】
図13には、交互に一体化された照明要素パッケージを利用する例示的な配置を、概略図の形で示す。この例では、照明パッケージ122は、単一の層124のみを含み、単一の層は、異なる横方向位置に配置された2つの照明要素126、128を中に収容する。PCBに対する2つの照明要素の垂直変位は、パッケージの一方の側の下に位置決めされたサブマウント132を使用することによって、パッケージ122を傾斜させて取り付けることによって、互いに異なるように適合される。
【0088】
いくつかの実施形態では、照明要素の取付け高さを操作するのではなく、リフレクタ構造自体の表面を操作することによって、連続する照明要素とリフレクタ表面との間で交互の垂直変位を引き起こすことが好ましい。図14に、そのような配置の一例を示す。ここでは、照明要素列24が、支持PCB136に対して均一の垂直変位で取り付けられる。しかし、重なり合ったリフレクタ構造138は区分され、奇数の要素140及び偶数の要素142が、互いに対して変位する。この結果、交互の照明要素のために、照明要素とリフレクタ構造138の表面との間でシフトした垂直変位が引き起こされる。
【0089】
他の例では、リフレクタは、類似の結果を実現するように他の形で操作される。たとえば、リフレクタ表面の交互の区分に、部分的に反射性の層が、その主表面より下のレベルで追加される。このようにして、残りの照明要素と比較すると、交互の照明要素と反射表面との間の光路が短くなる。他の例では、ミラーの形状が、異なる横方向位置で異なる垂直表面位置を有するように、たとえばミラーを反らすことによって、又は規則的に隔置されたくぼみを金属の中に生じさせることによって変更される。
【0090】
別の例によれば、第2のサブセットに属する照明要素の入射明度は、ミラーの対応する部分で入射光の一部を遮断することによって、又は照明要素自体により低い出力でビームプロファイルを生成させることによって、第1のサブセットによって生成される光の一部を「捨てる」ことで、第1のサブセットに属する照明要素の入射明度に比べて低減される。
【0091】
異なる特定の適用分野に対して適当な場合、改善又は変更された機能のために、前述の実施形態のいずれかと組み合わせて、追加の特徴を含むこともできる。たとえば、音響タイルは、照明パネルの光学機能の一部を実行する。たとえば、音響タイルの下面は、光反射又は光散乱機能を有する。これは、均一な光処理機能とすることができ、又はたとえば塗装されたパターンを使用することによってパターン化される。たとえば、タイルには、タイル上の位置に応じて塗料負荷を提供することができ、又は奇数及び偶数の照明要素の異なる挙動を実現することができるように、タイルの形状をスマートに選択することができる。
【0092】
いくつかの例では、音響タイルの第1の部分(ミラー近く)に当たる光の向きを、均一性の改善がより必要とされるタイルの他の部分に当たるように変えるための構成要素を含むことができる。これは、たとえば、フレネルミラー若しくはレンズ又はこれらの組合せを使用することによって行われる。この場合も、これは、奇数又は偶数の照明要素に対して異なる形で行うことができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、照明要素、リフレクタ構造、及び/又は屈折板は、機械的な動きを呈するように適合される。特に、リフレクタ構造の区分は、たとえば、第1の垂直位置から第2の垂直位置へ周期的に振動又はシフトするように適合される。このようにして、可動区分によって生成される強度分布は、時間的にシフトする。この動きが十分に速い速さ(すなわち、1秒当たり24回前後の振動より速い)で実行される場合、観察者には、両方の分布が同時に見える。2つが均一に混合するように適合される場合、観察者には、出力パネルにわたって光分布が均一に見える。
【0094】
したがって、光出力領域の幅にわたる第1及び第2の光強度プロファイルを時間的に連続して又は時間的に同時に組み合わせることができることが理解されよう。
【0095】
いくつかの実施形態では、混合チャンバ(照明パネルの内部体積)の1つ又は複数の部分は、周囲大気とは異なる屈折率の媒体で充填される。これは、たとえば、屈折板を利用することに対する代替として、関連する実施形態において屈折層の役割をする。
【0096】
開示する実施形態に対する他の変形形態は、特許請求される本発明を実践する際、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を読めば、当業者であれば理解及び実施されよう。特許請求の範囲では、「備える、含む、構成する(comprising)」という単語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除するものではない。相互に異なる従属請求項において、特定の方策について言及したことだけで、これらの方策の組合せを有利に使用することができないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、本範囲を限定すると解釈されるべきでない。
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