【文献】
Quantification of Surface Functional Groups on Polymer Microspheres by Supramolecular Host-Guest Interactions,Chemical Communications,2011年,Vol.47, No.27,7842-7844
【文献】
Color Test for the Detection of Resin-Bound Aldehyde in Solid-Phase Combinatorial Synthesis,Journal of Combinatorial Chemistry,2002年,Vol.4, No.1,120-124
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記標的官能基がアルデヒド官能基を含有し、前記アルデヒド官能基が、前記アルデヒド官能基を固体支持体上に存在するアミノ基に付加する反応によって、固体支持体上に固定されている請求項1に記載の方法。
前記指示薬が4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、別名4−アミノ−5−ヒドラジノ−1,2,4−トリアゾール−3−チオール(Purpald(登録商標))を含有してなる請求項12又は13に記載の方法。
或る量の選択性化合物に前記標的官能基を接触させるステップが前記標的官能基を或る量の選択性化合物と反応させるステップを含む請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、用語「約」は、述べられた値の±10%の値をいう。
本明細書において、用語「付着(attachment)」、「結合(binding)」、「固定化(immobilized)」「連結(linking)」等は、共有結合に限定されないと理解すべきであり、二以上の分子の間のあらゆる型の誘引(attraction)、親和性(affinity)、立体配座選択(conformational selection)、誘導適合(induced fit)又は結合(bonding)を包含する。
本明細書において、句「効果的な量」は、意図した結果をもたらすのに適切な材料量を意味する。
本明細書において、用語「試料」は、目標被検体を有し又は有すると想定されるあらゆる試料を包含し、生物学的試料であっても非生物学的試料であってもよい。
本明細書において、用語「被験者」は、ヒト又はヒトでない哺乳動物をいう。
【0011】
図1には、表面に表面官能基12を有する例示的固体支持体10が示されている。表示された実施態様では、第一の結合対メンバー16を固体支持体10に固定するための連結剤14も、また、準備されている。しかしながら、本発明は、そのような連結剤を必要とせず、代わりに、第一の結合対メンバー16が表面官能基12に直接結合してもよいことが理解される。第一の結合対メンバー16は、表示されているように、試料中の第二の結合対メンバー18との接合に適していてよい。試料20は、標準試料であってもよく、第二の結合対メンバー18を有すると推測される試料(例えば、生物学的試料)であってもよい。従って、第二の結合対メンバー18は、固体支持体10の目標被検体と考えることができる。
【0012】
固体支持体10は、有機又は無機の水に不溶性で不浸透性の材料からなっていてよく、透明でも部分的に透明でもよい。更に、固体支持体10は、ビーズ、粒子、繊維、チューブ、ウエル、細片、棒、皿のような平面等々の形状をしていてよい。固体支持体10を使用しようとするアッセイの型により、固体支持体10は、それが使用される媒体中に懸濁可能であって不可能であってもよい。懸濁可能な支持体の例は、これらに限られないが、ラテックス、脂質二重層又はリポソーム、油滴、細胞、ハイドロゲル、磁性粒子等を含む。他の固体支持体材料には、ニトロセルロースポリマー、酢酸セルロース、ポリ(塩化ビニル)、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレン テレフタレート)、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)等のポリマーが含まれ、これらは、単独で、また、他の材料と一緒に用いられる。
【0013】
或る実施態様では、固体支持体は、1以上の固体粒子を含有してなる。粒子形状の場合、粒子は、例えば、少なくとも約0.02ミクロンから約100ミクロンの平均直径を有していてよい。特定の実施態様では、固体支持体は、約0.05ミクロンから約20ミクロン、又は約0.3ミクロンから約10ミクロンの平均直径を有していてよい。更に、粒子は、約10〜約100m
2/gの範囲の表面積を有していてよく、幾つかの実施態様では、粒子は、約60m
2/gの範囲の表面積を有していてよい。粒子は、有機でも無機でも、膨張可能であっても不可能であっても、多孔性であってもそうでなくてもよく、水に近似する密度、一般に約0.7g/mLから約1.5g/mLの密度を有してよく、透明な、部分的に透明な又は不透明な材料で構成されていてよい。
【0014】
粒子の形状は、規則的でも不規則であってもよい。粒子は、例えば、球体、楕円体、又は中空若しくは細孔を有する球体であってもよい。粒子は、核−殻粒子と称されているもののような、核と1以上の包囲層とを有する数層からなっていてもよい。或る実施態様では、粒子は、細胞及び微生物、例えば、赤血球、白血球、リンパ球、ハイブリドーマ、連鎖球菌、スタフィロコックス アウレウス、大腸菌、ウイルス等々、の生物学的材料から形成されていてもよい。粒子は、有機及び無機のポリマー、リポソーム、ラテックス粒子、磁性又は非磁性粒子、リン脂質小胞、カイロミクロン、リポ蛋白、染料の結晶、金属ゾル、シリカ粒子、ガラス粒子、磁性粒子、油滴、脂肪粒子、デキストラン及び蛋白凝集体等からなる粒子であってもよい。
【0015】
或る実施態様において、粒子は、ナノ粒子及び/又はミクロ粒子を含有する。そのような粒子は、約20nm以上、約20ミクロン以下、又は40nmと10ミクロンとの間の、又は0.1ミクロンと10ミクロンとの間の、又は0.1ミクロンと5ミクロンとの間の、又は0.15ミクロンと2ミクロンとの間の、近似直径を有していてよい。特定の実施態様では、ミクロ粒子は、水性溶液に懸濁された粒子であってよい。
【0016】
粒子は、水性溶液内に分散され及び/又は懸濁され得るポリマー粒子を含有していてよい。或る実施態様において、粒子は、水性媒体中に容易に分散可能であってよく、以下に説明するように、特異的結合対のメンバーに、直接又は(連結剤を介して)間接に接合できるように、吸着性であるか又は官能化可能であってよい。粒子は、自然産生材料、合成的に変性された自然産生材料又は合成材料であってよい。有機ポリマーの例には、ポリサッカライド、セファローゼとして入手可能なアガロースのような特別に架橋したポリサッカライド、セファデックス及びセファクリルとして入手可能なデキストラン、セルロース、でんぷん、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、遊離の水酸基官能性を有するエステル及びアミドのようなアクリレート及びメタクリレートの誘導体の単独重合体及び共重合体等が含まれる。
【0017】
或る実施態様において、固体支持体10は、1以上の常磁性粒子のような磁性粒子を含有する。粒子が磁性を有するとき、粒子に含まれる磁性材料は、永久磁石又は電磁石により誘引されやすい如何なる磁性材料であってもよい。そのような磁性材料の例は、磁性酸化鉄、磁性酸化クロム(CrO
2)、MnFeO
4、ZnFeO
4、CoFeO
4及び類似の磁性材料を含む。
【0018】
固体支持体10とともに使用する磁性粒子の更なる例には、ポリマー材料に包囲された磁性核を有するものが含まれる。ポリマー材料は、ポリスチレンやポリスチレン−ジビニルベンゼンのようなアッセイに用いるのに適切な如何なるポリマー材料であってもよい。他の実施態様では、磁性粒子は、酸化クロム磁性粒子(クローム粒子)を含有していてもよい。この後、更に議論するが、これらの粒子は、アルデヒド反応性である又はアルデヒド反応性基を含むように変性されてもよいアミン官能基のような懸垂表面基を有していてよい。
【0019】
酸化クロムの例には、特許文献1に教示されているような、縮小された表面を有する酸化クロムの核からなり、シリカで被覆され、更にシランで被覆されたものが含まれる。その関連する開示を参照により本明細書に導入する。使用し得る磁性及び非磁性の粒子の他の特定の例は、特許文献2に開示されている。その関連する開示を参照により本明細書に導入する。
【0020】
固体支持体10は、共有結合その他の方法で固体支持体10に結合されている表面官能基12を含有するかそれを含むように変性されていて、この表面官能基は、直接又は連結剤、例えば連結剤14、を介して、第一の結合対メンバー16に結合し得る。後者の場合、固体支持体10は、表面官能基12を含み、これが1以上の連結剤14に結合する。次に、各連結剤14は、1以上の特異的な結合対メンバー16に結合し得る。適切な表面官能基12の例には、アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノオキシ、シアニド、アルコール基等が含まれる。特定の実施態様では、表面官能基12は、アミン官能基を含む。
【0021】
或る実施態様においては、
図2に示すように、1以上の連結剤14が固体支持体10上の官能基12の間に用いられて、固体支持体10上の1以上の第一の結合対メンバーを固定する。或る実施態様においては、連結剤14は、酸素、イオウ、窒素及びリンからなる群から選ばれる1以上のメンバーを含有する。更に、連結剤14は、脂肪族でも芳香族でもよい。ヘテロ原子が存在するとき、酸素は、オキソ又はオキシとして、炭素、イオウ、窒素又はリンに結合して、存在し得る。窒素は、ニトロ、ニトロソ又はアミノとして、炭素、酸素、イオウ又はリンに結合して、存在し得る。イオウは、酸素と同様である。一方、リンは、ホスホネート又はホスフェートモノ若しくはジエステルとして、炭素、イオウ、酸素又は窒素に結合していてよい。或る実施態様においては、第一の結合対メンバー16と固体支持体10上の官能基12の間に結合を形成するのに有用であれば、如何なる化合物も、連結剤14として使用することができる。
【0022】
連結剤14の追加の例としては、これらに限られないが、アルデヒド、ジカルボン酸及び酸無水物、ポリアミン、ポリアルデヒド並びに2−イミノチオランヒドロクロリド、スルフォスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、m−マレイミドスクシンイミドエステル、N−スクシンイミジル−(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート及び当業者に知られている同様の化学種のようなヘテロ二官能性試薬が含まれる。
【0023】
連結剤は、更に、窒素基、ホスフェート基;アミノ基;ハロ又はトシルアルキル等のアルキル化試薬、オキシ(ヒドロキシ又はイオウ類似体であるメルカプト);オキソカルボニル(アルデヒド又はケトン等)、又はビニルスルホン若しくはα,β−不飽和エステル等の活性オレフィンを含有する化合物を含む。1つの実施態様において、これらの連結剤14は、第一の結合対メンバー16を、表面官能基12と第一の結合対メンバー16との反応により、固体支持体10上に固定することができる。アミンとカルボン酸若しくはその窒素誘導体又はリン酸とが反応すると、アミド、アミジン及びホスホルアミドが形成される。メルカプタンと活性化されたオレフィンとが連結されると、チオエーテルが形成される。メルカプタンとアルキル化試薬とが連結されるとチオエーテルが形成される。アルデヒドとアミンとが縮合条件下で連結されると、アルキルアミンが形成される。ケトン又はアルデヒドとヒドロキシルアミン(ヒドロキシル基の水素の代わりに置換基が存在する誘導体を含む。)とが連結されると、オキシム官能基(=N−O−)が形成される。カルボン酸又はリン酸とアルコールとが連結されると、エステルが形成される。本発明で使用し得る種々の連結剤は、当技術分野において公知である。例えば、非特許文献1を参照せよ。
【0024】
特定の実施態様において、連結剤14は、一端において固体支持体10上のアミン基と反応し、他端において第一の結合対メンバー16のアミン基と反応するものであってもよい。かくして、或る実施態様では、連結剤14は、少なくとも2つの活性カルボニル基−1つは固体支持体10上の官能基12と反応し、1つは第一の結合対メンバー16と反応する−を含有するグルタルアルデヒドのようなアルデヒドを含有してよい。
【0025】
第一の特異的な結合対16は、試料中の目標被検体に対して選択性であれば、対応する第二の結合対メンバー18のような、如何なる化合物を含んでいてもよい。従って、一実施態様において、第一の結合対メンバー16は、少なくとも特異的結合対の第二のメンバーと結合し又は誘引力、適合性等により結びつくものであれば、一対の成分の如何なるメンバーを含んでいてもよい。或る実施態様において、第一の結合対メンバー16は、1以上の第二の結合対メンバー18と結びついてよい。第一の結合対メンバー16及び1以上の第二の結合対メンバー18は、それぞれ、当技術分野で知られている特定の結合対の相補性メンバー(抗原−抗体、酵素−基質、ポリヌクレオチド相互作用等)であってよい。結合対メンバー16、18の例は、特許文献2に開示されているが、その全体を参照により本明細書に取り入れる。
【0026】
試料20は、目標被検体、例えば第二の結合対メンバー18、を有すると推測される適切な材料であれば、如何なる材料でもよい。1つの実施態様において、目標被検体は、適切な被験体からの体液を始めとする生物学的組織のような試料中に直接見出される如何なる分子でもよい。被験体は、ヒト又はヒト以外の哺乳動物であってよく、生物学的試料は、全血、血清、血漿、痰、リンパ液、精液、膣粘液、糞便、尿、脊髄液、唾液、便、脳脊髄液、涙、粘液等;毛髪、皮膚、臓器又は他の身体部分からの切片又は切除組織等の生物学的組織、等々を包含する。試料20は、当業者が理解するように、固体支持体10に試料を提供するのに必要な前処理又は下準備を受けてもよい。
【0027】
本発明のいくつかの側面は、第一の結合対メンバー16の付着に十分な結合部位が存在するかどうかを決定する方法に向けられている。
図1を再び参照して、固体支持体10上の表面官能基12の数及び/又は第一の結合対16への結合に利用できる連結剤14に結合している官能基の数を知ることが決定的に重要である。その上に第一の結合対メンバー16を固定するための固体支持体10の準備に際して、固体支持体10に固定された表面官能基及び/又は連結剤の数を知ることは有用である。更に、支持体上への固定のために第一の結合対メンバー16の導入に先立って、利用可能な結合部位の数を前以って知ることは、第一の結合対メンバー16の有効な量を準備するのに役立つ。繰り返すが、第一の結合対メンバー16への結合に利用できる官能基の数に対して第一の結合対メンバー16が少なすぎると、特に検出可能域の高濃度域において目標被検体を検出することができない不飽和の固体支持体10が生じる。一方、本明細書で記述する方法は、結合対メンバー16の過剰量が添加され、それにより、同様の固体支持体の製造中に浪費が生じるのを防止する。
【0028】
次に
図2及び3を参照すると、本発明の側面に従って、固体支持体上の官能基の数を決定するための方法に用いられる成分が図示されている。或る実施態様において、1以上の成分はキットとして提供されてもよく、本明細書に記述する方法を実行するための具体的形態で用意された包装及び/又は指示書を含んでいてもよい。
【0029】
図2の実施態様において、上述のように表面官能基12を有する固体支持体10が示されている。更に、共有結合又は他の方法で表面官能基12(固定された選択性化合物24として示されている。)に結合し得る選択性化合物22が準備されている。選択性化合物22と官能基12との間の相互作用の間に、選択性化合物22の一定量は、表面官能基12に結合しないかもしれない。この量は「フリー」であり、支持体10に結合していないので、上澄み液のような副生物26に捕捉されるかもしれない。
図3に示されているように、一定量の結合していない選択性化合物28を含有する副生物26が示されている。この副生物26に、結合していない選択性化合物28に結合しうる指示薬30が提供され、測定し得る結果が得られる。選択性化合物22、28及び指示薬30を利用した官能基12の量の測定方法を以下に詳細に述べる。
【0030】
もう1つの実施態様において、
図4に示されているように、表面官能基12を介して固体支持体10に結合した連結剤14を有する固体支持体10が示されている。この実施態様において、選択性化合物22は、共有結合又は他の方法で連結剤14の官能基15に結合して固定された選択性化合物24を提供し得るものである。更にこの実施態様において、選択性化合物22と官能基15との接触の間に、一定量の選択性化合物22が表面官能基12に結合しないことが認識された。この量は、「フリー」であり、上澄み液のような副生物26中に捕捉され得る。再び
図3を参照すれば、副生物26は、収集することが可能で、一定量の結合していない選択性化合物28を含有する。この副生物26に、副生物26中の結合していない選択性化合物28に結合して測定可能な結果を与え得る指示薬30が提供される。選択性化合物22、28及び指示薬30を利用して連結剤14上の官能基15の量を決定する方法を以下に詳細に記述する。
【0031】
図5を参照すると、固体支持体10上の標的官能基を定量する方法100が示されている。用語「標的官能基」は、固体支持体10上に直接又は間接に固定されているあらゆる官能基を含むと解される。従って、この用語は、上述のような表面官能基12又は連結剤14上の官能基15を指す。方法100において、一組の定量すべき標的官能基が選択される。一実施態様において、標的官能基は、固体支持体10上の表面官能基12であり、このものは、表面官能基12を固体支持体10に直接付加する反応によって、固体支持体10上に固定されている。例えば、固定されたアミノ官能基は、アミノシラン化合物と固体支持体10との間の反応により提供されてもよい。他の実施態様では、標的官能基は、連結剤14上に存在して固体支持体10上の表面官能基12に結びついてもよい。更に、連結剤14は、第一の結合対メンバー16と結びつくための標的官能基を含有する。標的官能基はアミノ官能基、アルデヒド官能基又は本明細書に述べる任意の他の官能基を含有していてもよい。固体支持体10及び第一の結合対メンバー16の両方に結びつくための連結剤14の官能基は、同一であってもよいが、本発明はそれに限定されないことを理解すべきである。
【0032】
一実施態様では、方法100は、固体支持体10上に固定された標的官能基を有効量の選択性化合物22と接触させるステップを有している。この接触の結果、選択性化合物22の幾つかが、標的官能基(12又は15)を介して、固体支持体10及び(もし存在すれば)結合されていない選択性化合物22を含有する副生物26(例えば上澄み液)に結合される。接触ステップ102は、結合が完結するために、適切な温度、例えば室温から50℃、で、適切な期間、例えば1時間から96時間、起きる。更に、接触ステップ102は、適切な容器内で生じる。一実施態様では、接触は、選択性化合物22と標的官能基(12又は15)とを反応させることを含む。
【0033】
一実施態様では、方法100は、更に、或る量の結合していない選択性化合物28を含んでいてもよい副生物26を得るためのステップ104を含む。一実施態様では、副生物26は、標的官能基に(共有結合で又は他の方法で)結合しなかった或る量の選択性化合物22(非結合選択性化合物28)を含む上澄み液を含有していてもよい。特定の実施態様では、成分は、容器に添加され、インキュベータ中に載置され、適切な時間に亘って混合されてもよい。その後、上澄み液のような生成した副生物25は、磁気分離、遠心分離等により、固体支持体10から分離されてよい。
【0034】
非結合選択性化合物28の量を決定するために、方法100は、副生物26(例えば上澄み液)中の非結合選択性化合物28と結合して測定可能な結果を生じる指示薬30を添加するステップ106を有していてもよい。指示薬30の添加は、測定可能な結果を生じるのに有効な、適切な温度、例えば室温から50℃、で、適切な期間、例えば1時間から96時間、起きる。測定可能な結果は、これらに限定されないが、吸光度、蛍光値及び電流信号値を含む。或る実施態様では、測定可能な結果は、測色結果を含む。
【0035】
従って、指示薬30は、測定可能な結果を生じる適切なものであれば、如何なる化合物であってもよい。例えば、指示薬30は、測色結果を与えるためのプロピルアミン、プロピオンアルデヒド及び2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBSA)からなる群から選ばれる化合物を含有していてよい。更に、これらの指示薬の各々は、特別の官能基/選択性化合物に対して、他のものよりも、より適切であってよい。例えば、非結合選択性化合物28が、アルデヒド選択性化合物と反応する1以上のアミノ基を有するものを含有する場合、プロピオンアルデヒドは、適切な指示薬30である。次に、選択性化合物22は、少なくとも一時的に標的官能基に結合し、それに指示薬30が結合してもよいものであれば、如何なる化合物でもよい。このようにして、指示薬30は、それに結合している選択性化合物の量を指示する測定可能な信号を与える。
【0036】
指示薬30の添加に続いて、方法100は、更に、測定可能な結果を測定するステップ108を含んでいてもよい。測定は、選択された検出モードを利用するマイクロプレートウエルリーダーのような、当技術分野で公知の適切な手段を用いて行なわれる。一般的な検出モードには、これらに限られないが、吸光度、蛍光強度、発光量、時間分解蛍光及び蛍光偏光が含まれる。検出器は、検出器からデータを受領し、このデータから少なくとも1つの結果を決定するように構成されている1以上のモジュールを含有する計算ユニットを含有するシステムの一部であってよい。このシステムは、計算ユニットにより提供される指示に従って、方法のためのあらゆる又は全ての成分を添加してよい。このようにして、計算ユニットは、電子制御回路として機能し得る。計算ユニットは、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、産業用コントローラ、プログラマブルロジックコントローラ、個別のロジック回路又はその他の適切な制御装置を含有する専用コンピュータを含有してよい。一実施態様では、計算ユニットは、更に1以上の入力チャネル、メモリ、及び出力チャネルを有していてよい。メモリには、コンピュータ可読媒体又は、例えばフロッピーディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ等の記憶装置が含まれてよい。一実施態様において、計算ユニットは、本発明の任意の側面を実行するための又は本明細書に記述する成分の任意の側面を制御するためのコンピュータ可読指令を含んでいてよい。
【0037】
一実施態様において、方法10は、更に、測定された結果から、副生物26中の非結合選択性化合物28の量を決定するステップを有する。非結合選択性化合物28の量は、当業者がよく理解している標準及び対照標準を用いて決定される。例えば、当技術分野で知られているように、結果を所定の濃度を有する複数の標準試料から生成された較正曲線の値と比較してもよい。
【0038】
更に、方法100は、副生物26、例えば上澄み液、の中の非結合選択性化合物28の量から固体支持体10上に固定された固定選択性化合物24の量を決定するステップ112を有してもよい。固定選択性化合物24の量は、接触ステップ102のために添加された選択性化合物22の出発濃度と決定された非結合選択性化合物28の量との間の相違を計算することにより決定し得る。固体支持体10上の固定選択性化合物24の量は、プロセスの個別の設計に応じて、表面官能基12又は連結剤14上の官能基15に(例えば共有結合で又はその他の方法で)結合された量となる。
【0039】
更に、方法は、固定された選択性化合物24の量から固体支持体10上に固定された標的官能基の量を決定するステップ114を含んでいてもよい。即ち、固定された選択性化合物24の量から、標的官能基(例えば官能基12又は15)の対応する数が決定される。例えば、或る実施態様において、1つの固定された選択性化合物24は、固体支持体10上の1つの標的官能基に対応し得る。或いは、1つの固定された選択性化合物24は、固体支持体10上の2以上の官能基に対応し得る。或る実施態様において、標的官能基の数は、特定の官能基の等価物の数として表現し得る。
【0040】
単なる例示として、2つの特別の実施態様を以下に簡潔に説明するが、本発明がそれに限られないことを理解すべきである。
【0041】
第一の特定の実施態様において、固体支持体10は、表面官能基12、即ち固定されたアルデヒド官能基、を有する。即ち、この例では、方法の1つの目的は、固体支持体10上のアルデヒド官能基の数を決定することである。これを達成するために、アルデヒド官能基は、アルデヒド官能基を固体支持体10上に存在するアミノ基に付加する反応により、固体支持体10上に固定される。この実施態様において、固体支持体10は、容易に市場から入手できるアミノ官能化常磁性粒子を含有していてもよい。更に、特定の実施態様において、アルデヒド官能基は、グルタルアルデヒドと固体支持体10上のアミノ基との反応によって、固体支持体10上に固定されていてもよい。
【0042】
次のステップで、固定されたアルデヒド官能基と選択的に反応する選択性化合物22が固体支持体10を含有する容器に添加され、混合され、有効な時間インキュベートされてもよい。一実施態様において、選択性化合物22は、プロピルアミンを含有する。プロピルアミンと固定されたアルデヒド官能基との反応の後、プロピルアミンは、理想的には、十分なプロピルアミンが存在するならば、実質的に全ての利用可能なアルデヒド官能基と反応する。反応は、成分を完全に反応させ、上澄み液を生成させるのに有効な適切な条件下で起きる。残存する非結合プロピルアミンは、上澄み液等の副生物26内に放置してよい。
【0043】
この上澄み液に、指示薬が添加される。指示薬は、この場合、上澄み液中の非結合プロピルアミンと反応する。この実施態様において、本発明者らは、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBSA)が適切な指示薬として作用することを見出した。TNBSAは、アミノ基を定量するのに用いられる市販の試薬である。TNBSAのアミンとの反応は、マイクロプレートを用いた場合、335nm、より便利には405nm、のピーク波長で容易に測定できる高発色性の生成物を生成する。得られる測定値から、この例における結合プロピルアミン及び非結合プロピルアミンの量が、上述のように決定され、固体支持体10上のアルデヒド官能基の数は、それから決定される。
【0044】
第二の特定の実施態様において、固体支持体10は、官能基12、例えば固定されたアミノ官能基、を含有する。即ち、この例において、方法の1つの目的は、固体支持体10上のアミノ官能基の数を決定することである。これを達成するために、上述のように、PMPを、アミノシランと反応させてアミノ官能化PMPを生成させてもよい。
【0045】
次のステップにおいて、固定されたアミノ官能基と選択的に反応する選択性化合物が固体支持体10を含有する容器に添加され、混合され、インキュベートされてもよい。この例において、選択性化合物22は、アルデヒド化合物のような、固定されたアミノ官能基と容易に反応するものであってよい。一実施態様において、選択性化合物は、プロピオンアルデヒドを含有する。プロピオンアルデヒドと固定されたアミノ官能基との反応の後、プロピオンアルデヒドは、理想的には、十分なプロピオンアルデヒドが存在するならば、利用可能なアミノ官能基と反応する。上述の例のように、反応は、上澄み液を生成させるのに有効な適切な条件下で起きる。この例において、残存する非結合プロピオンアルデヒドは、上澄み液内に放置してよい。
【0046】
この上澄み液に、指示薬30が添加される。指示薬は、この場合、上澄み液中の非結合プロピルアミンと反応する。この実施態様において、本発明者らは、シグマ−アルドリッチ社から入手可能なPurpald(登録商標)(4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−5−ヒドラジノ−1,2,4−トリアゾール−3−チオール)が適切な指示薬として作用することを見出した。TNBSAは、アミノ基を定量するのに用いられる市販の試薬である。カルボニル基とのPurpald(登録商標)の反応は、高発色性の生成物を生じる。一実施態様において、得られる生成物は、490−540nmに極大吸収を有する。得られる測定値から、この例における結合プロピオンアルデヒド及び非結合プロピオンアルデヒドの量が、上述のように決定され、固体支持体10上の固定されたアミノ官能基の数は、それから決定される。
【0047】
どちらの場合においても、固定された官能基の数の決定の後、第一結合対メンバー16の有効量が同様の固体支持体10上の固定された官能基24と反応させられる。一実施態様において、固体支持体10上の標的官能基の測定された数に基づいて、もし固体支持体10上の標的官能基の測定された数が所定の値より小さい場合、追加の標的官能基を固体支持体10に添加してよい。所定の値は、第一の結合対メンバー16の所定量に直接又は間接に結合するのに必要な標的官能基の数であってよい。もう1つの実施態様において、固体支持体10上の標的官能基の測定された数に基づいて、標的官能基に結合した第一結合対メンバーの化学量論量を含有する1以上の追加の固体支持体を製造してもよい。その結果、ここに記述する方法により測定された官能基の数を、固体支持体を最適に製造するための指針として利用することができる。
【0048】
もう1つの側面において、本明細書に記述する方法又はプロセスを実施するのに必要なあらゆる成分を含有するキットが提供される。一実施態様において、キットは、標的官能基に選択的に結合する選択性化合物及び本明細書で記述する選択性化合物に選択的に結合する指示薬を含有する。もう1つの側面において、キットは、本明細書に記述する方法を実行するための包装及び/又は取扱説明書を含んでいてよい。取扱説明書は、有形の媒体上に、印刷されたものでもよく、他の方法で固定され、記録され及び/又は保存されたものであってよい。
【0049】
本発明の側面を以下の実施例により実証するが、それは如何なる方法においても、制限を意図するものではない。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
常磁性粒子(PMP)のアミノ当量の定量に必要なインキュベーション時間の決定
[試料調製]
シーメンス社のアミン官能化常磁性粒子(AHI−PMP)の2つのロットを時間依存性研究のために使用した。各ロットの800mgに対して、40mL 25mMホウ酸ナトリウム(pH10.0、ホウ酸ナトリウム10水和物、シグマ社カタログ#S9640、から調製)を使用して、50mLFalconチューブ内で粒子を5回洗浄した。Dynamag−50(Life Technologies/Thermo Fisher)又は等価物を用いた磁気分離の後、上澄み液を除いた。最後の洗浄後、40mLの緩衝液で再懸濁させた。各100mg当たり、5mLを8つの15mL Falconチューブのそれぞれに、等しく分配した。
【0051】
各チューブに、1.6mLの50mMプロピオンアルデヒド(シグマ社)水溶液を添加した。チューブに25mMホウ酸塩(pH10.0)を8mLまで充填した。10mMプロピオンアルデヒド付きの100mgPMPを有するチューブを50℃インキュベータ内に載置し、軌道ミキサ上で混合した。次の時点:1、2、3、5、15、24、48及び72時間:で、各1つのチューブを取り除いて、DyanMag−15又は等価物を用いて磁気分離を行なった。上澄み液を各チューブから取っておいた。
【0052】
0〜2.5mMプロピオンアルデヒド標準試料(水溶液)を準備し、上澄み液の1/4希釈液(水溶液)を準備した。各試料を0.5mL微量遠心管にピペット採取し、適切なチューブホルダーを用いて8又は12チャンネルピペットが吸引できるようにした。これらの準備が完了したとき、7mg/mLのPurpald(登録商標、アルドリッチ社)を1M NaOHに溶解して、ヴォルテックスした。その後、0.3%過酸化水素(ACROS Organics社)の1容を混入させた。マルチチャンネルピペットで、Purpald(登録商標)/NaOH/過酸化水素溶液の200μLを複数のウエルのそれぞれに移し入れ、次いで、50μLの標準試料及び上澄み液試料を続けた。試料を軌道回転ミキサ上で10〜30分間、室温で混合した。標準色がピンク色が濃くなってくることで力を増してくるように見えたとき、マイクロプレートをマイクロプレートリーダー(例えば、Molecular Device社のVmax kinetic マイクロプレートリーダー)に移し、490nmで読み取った。
【0053】
[結果]
図6に示すように、8つの個別の標準について490nmにおける平均吸光度(3回測定した)をプロットし、マイクロモルアルデヒド対吸光度の二次フィッティング方程式を確立した。二次フィッティング方程式を使用してプロピオンアルデヒドの非結合マイクロモルを計算し、次いで、これを用いて結合アルデヒドのマイクロモルを計算した。PMPに結合したアルデヒドのマイクロモルは、希釈倍率の補正後、PMP上のアミンのアミン当量に等しかった。
【0054】
更に、
図7に示すように、PMPのプロピオンアルデヒドとの反応の24時間後、シフ塩基生成が完了したが、これは、アミノ当量の測定がミキサ上の50℃インキュベータで24時間以上実行し得ることを示す。
【0055】
(実施例2)
PMP12ロットのアミノ基当量の測定
[試料調製]
PMPの12ロットをシーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド社から入手した。各ロットからの材料100mgを個別の15mLのFalconチューブに載置し、10mLの25mMホウ酸ナトリウム(pH10.0)で5回洗浄した。DyanMag−15又は等価物を用いた磁気分離の後、上澄み液を除去し、最後の洗浄後、5mLの緩衝液で再懸濁させた。
【0056】
各チューブに、1.6mLの50mMプロピオンアルデヒド(シグマ社)水溶液を添加した。チューブに25mMホウ酸塩(pH10.0)を8mLまで充填した。10mMプロピオンアルデヒド付きの100mgPMPを有するチューブを50℃インキュベータ内に載置し、軌道ミキサ上で72時間混合した。次の時点:1、2、3、5、15、24、48及び72時間:で、各1つのチューブを取り除いて、DyanMag−15又は等価物を用いて磁気分離を行なった。上澄み液を各チューブから取っておいた。
【0057】
[96ウエル マイクロプレート上のアッセイ]
0〜2.5mMのプロピオンアルデヒド標準試料水溶液を調製し、1/4希釈上澄み液試料水溶液を調製した。各試料(標準及び上澄み液)を0.5mL微量遠心管にピペット採取し、適切なチューブホルダーを用いて8又は12チャンネルピペットが吸引できるようにした。その後、7mg/mLのPurpald(登録商標、アルドリッチ社カタログ番号162892−25G)を1MNaOHに溶解し、撹拌して完全に溶解させた。0.3%過酸化水素(ACROS Organics社)の1容を混入させた。0.3%過酸化水素(ACROS Organics社、カタログ番号426001000)の1容をPurpald(登録商標)溶液に混入させた。マルチチャンネルピペットで、200μLのPurpald(登録商標)/NaOH/過酸化水素をウエルに移し、次いで50μLの標準及び試料を続けた。その後、試料/標準を軌道回転ミキサ上で、室温で10〜30分間混合した。ピンク色が濃くなってくるのが見えたとき、マイクロプレートをマイクロプレートリーダー(例えば、Molecular Device社のVmax kinetic マイクロプレートリーダー)に移し、490nmで読み取った。
【0058】
[結果]
図8に示すように、8つの標準の平均吸光度(3回測定した)をプロットし、490nmにおけるマイクロモルアルデヒド対吸光度の二次フィッティング方程式を確立した。フィッティング方程式を使用してプロピオンアルデヒドの非結合マイクロモルを計算し、次いで、これを用いて結合プロピオンアルデヒドのマイクロモルを計算した。結合したプロピオンアルデヒドのマイクロモルは、PMP上のアミン当量に等しかった。PMPの1mg当たりのアミン当量のマイクロモルを、このようにして、決定した。試験したロットは、固体1mg当たり、ほぼ同じアミノ当量を有することが示された。
【0059】
(実施例3)
PMP−CHO粒子のアルデヒド当量の定量に必要なインキュベーション時間の決定
[試料調製]
アミノ官能化PMP(シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド)800mgを0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.5)でバッファー交換し、6.25%グルタルアルデヒド(ポリサイエンシーズ社カタログ#1909)により、50mg固形分/mLで3時間活性化し、Glas−Col 3D軌道振盪器(3D)により3時間混合して、PMP−CHO粒子とした。非結合のグルタルアルデヒドを0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.5)56mLで4回洗浄除去した。PMP−CHO粒子を、同じ緩衝液中に20mg固形分/mLで、新しいポリプロピレンボトル中に再懸濁させた。
【0060】
8本の15mLのFalconチューブに、それぞれ、PMP−CHO100mgを吸引し、25mMホウ酸ナトリウム(pH10。ホウ酸ナトリウム10水和物(シグマ社カタログ#S9640)から調製)10mLで5回洗浄し、その後、同じ緩衝液5mL中に再懸濁させた。各チューブに50mMプロピルアミン(シグマ社カタログ#240958)水溶液1.6mLを添加し、25mMホウ酸ナトリウム(pH10)で8mLとし、これにより、固体を10mMプロピルアミンと混合した。8本のチューブを0〜72時間、50℃インキュベータ中でインキュベートした。各時点で、上澄み液をDynaMag−15又は同等の磁石で分離し、等量の78mMのHEPES(シグマ社カタログ#H3375、pH調整なし)と混合して最終pHを約8.5±0.2とした。遠心分離した上澄み液を全時点が完了するまで2〜8℃に保った。
【0061】
[96ウエル マイクロプレート上のアッセイ]
5mLの25mMホウ酸ナトリウム(pH10)と等量の0.5M重炭酸ナトリウム(pH7.9)とを混合して10mLの混合緩衝液を調製し、pHを約8.8とした。等量の10mMプロピルアミンと78mMのHEPESとを混合することにより、5mMのプロピルアミン標準を調製し、次いで、混合緩衝液中0〜5mMのプロピルアミンに希釈した。200μLの標準を96のマイクロプレートウエルに、3回吸引した。更に、試料200μLを96のマイクロプレートウエルに、6回吸引した。標準の各ウエル及び試料の3つのウエルに50μLの0.01%TNBSA(又はピクリルスルホン溶液、シグマ社カタログ#92823)を添加した。50mMのホウ酸ナトリウム(pH8.5)50μLを試料コントロールのみに添加した。試料を振盪器上で室温で約60分間混合した。ウエルの溶液が適切な強度(吸光度約0.5〜1)の黄色〜橙色に変わったとき、ウエルのプレートをモレキュラーデヴァイス社のVmaxキネティックマイクロプレートリーダー等のマイクロプレートリーダーに移し、405nmで読み取った。
【0062】
[結果]
下表2に各時点で測定したA405及びマイクロモルアルデヒドを示す。
[各時点で測定したA405及びマイクロモルアルデヒド/gPMP−CHOのまとめ]
【表2】
【0063】
更に、
図9に、アルデヒド定量のためのシフ塩基生成の依存性を示す。特に、その結果は、50℃における22±2時間のインキュベーションで反応が完了することを示している。
【0064】
(実施例4)
ポリアミン及びトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBSA)を用いるPMP−CHOのアルデヒド基等量の測定
[試料調製]
2gのPMP(シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド社)を0.1Mのリン酸ナトリウム(pH7.5)でバッファー交換し、6.25%グルタルアルデヒド(ポリサイエンシーズ社カタログ#1909)により、50mg固形分/mLで3時間活性化し、Glas−Col 3D軌道振盪器(3D)又はEberbachミキサー(EB)により室温で3時間混合した。非結合のグルタルアルデヒドを0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.5)140mLで4回洗浄除去した。PMP−CHO粒子を、同じ緩衝液中に20mg固形分/mLで、新しいポリプロピレンボトル中に再懸濁させた。
【0065】
3D及びEBと標識した2本の15mLのFalconチューブに100mgを入れ、25mMホウ酸ナトリウム(pH10、ホウ酸ナトリウム10水和物(シグマ社カタログ#S9640)から調製)10mLで5回洗浄し、その後、同じ緩衝液5mL中に再懸濁させた。各チューブに50mMプロピルアミン(シグマ社カタログ#240958)水溶液1.6mLを添加し、25mMホウ酸ナトリウム(pH10)で充填して8mLとし、これにより、固体を10mMプロピルアミンと混合した。2本のチューブを24時間、50℃インキュベータ中でインキュベートした。その後、上澄み液をDynaMag−15又は同等の磁石で分離し、等量の78mMのHEPES(シグマ社カタログ#H3375、pH調整なし)と混合して最終pHを約8.5±0.2とした。10mMプロピルアミンストックを、PMP−CHOが存在しないほかは同様に、試料として調製した。
【0066】
[96ウエル マイクロプレート上のアッセイ]
5mLの25mMホウ酸ナトリウム(pH10)と等量の0.5M重炭酸ナトリウム(pH7.9)とを混合して10mLの混合緩衝液を調製し、pHを約8.8とした。等量のプロピルアミンと78mMのHEPESとを混合して5mMプロピルアミン標準試料を調製し、次いで希釈して、0〜5mMのプロピルアミンの混合緩衝液溶液を得た。200μLの標準試料を96のマイクロプレートウエルに、3回吸引した。試料200μLを96のマイクロプレートウエルに、6回吸引した。標準の各ウエル及び試料の3つのウエルに、50mMホウ酸ナトリウム(pH8.5)に溶解した50μLの0.01%TNBSA(又はピクリルスルホン溶液、シグマ社カタログ#92823)を添加し、試料コントロールのみには、各50mMのホウ酸ナトリウム(pH8.5)50μLを添加した。プレートを振盪器上で室温で約60分間混合した。ウエルの溶液が黄色から橙色に変わり適切な強度(吸光度約0.5〜1)に達したとき、ウエルのプレートをモレキュラーデヴァイス社のVmaxキネティックマイクロプレートリーダー等のマイクロプレートリーダーに移し、405nmで読み取った。
【0067】
図10は、プロピルアミンのマイクロモル対A490を示す。下表3は、試料コントロールを差し引いた後のアルデヒド等量(マイクロモル)を示す。
[PMP−CHOのアルデヒド等量]
【表3】
【0068】
(実施例5)
DOEデザイン並びにプロピルアミン及びTNBSAを用いたPMP−CHOのアルデヒド基等量の決定
[DOEデザイン]
DOE、実験計画、第17版、実験データの設計及び解析のための統計的方法がペンシルベニア州州立大学においてMinitab Inc.により販売されている。中心点及び応答変数を有する3要素の完全な要因設計変数が下記にリストされている。
[DOEデザイン及び応答変数]
【表4】
【0069】
[試料調製]
5〜5.5グラムに亘るPMPを、9つの調製条件(2
3+1=9)について、1LのNalgene スクエアボトルに、調製した。PMPを洗浄緩衝液(10mMリン酸ナトリウム、pH7.4)で3回洗浄し磁気的に分離した。上澄み液をピペット吸引により、排出した。各ウエットケーキに、種々の大きさ(0.25〜8L)のスクエアNalgene容器に入れられた、残存緩衝液を含有するPMPを、希釈グルタルアルデヒドの計算容積まで、添加して、室温で3時間、インディアナ州にあるGlas−Col社製造の3−D軌道振盪器により混合した。
【0070】
PMPを2回洗浄したのち、PMP−CHOを新しい1LのNalgene スクエア容器に移し、洗浄緩衝液で更に4回洗浄した。最終的なPMP−CHOウエットケーキを0.5LのNalgeneスクエアボトル中に洗浄緩衝液で再懸濁させて20mg/mLとし、アッセイまで2〜8℃で貯蔵した。
【0071】
[96ウエル マイクロプレート上のアッセイ]
マイクロプレート上でアッセイを実行するのに先立って、上記実施例5で説明したアッセイプロトコルを用いて、試料の各100mgを25mMのホウ酸ナトリウム(pH10)中で10mMのプロピルアミンで50℃で24時間インキュベートした。
【0072】
[結果]
表5に試料条件及び応答変数値をまとめた。
[DOEデザイン及び応答変数値のまとめ]
【表5】
【0073】
表6は、統計的解析からのフィッティング モデルを示す。特に、表6は、フィッティング モデルを、唯一の重要な要素である%グルタルアルデヒド(p=0.011<0.05)で換算した後のパラメーター値を示す。
[分散分析]
【表6】
【0074】
結果を
図11〜13に示す。
図11は、グルタルアルデヒドがアルデヒド基生成の主要因であることを示す効果プロットである。
図12は、%容器占有率と交差するPMPmg/mLを示す交互作用プロットである。
図13は、B(%グルタルアルデヒド)がアルデヒド基生成の主要因であることを図示するパレート図である。
図14は、0.744のD(Desirability)が70mg/mLの12.5%グルタルアルデヒド及び79%の容器占有率に設定された設計変数で達成されることが、レスポンスオプティマイザーによって示されたことを説明する図である。
【0075】
要するに、実施例5の実験は、PMP−CHOとプロピルアミンとの間のシフ塩基生成を、TNBSAを用いたマイクロプレート試験法と結びつけることにより、DOEを用いた最適化を達成し得ることを示す。
本発明の種々の実施態様を本明細書に示し述べてきたけれども、そのような実施態様が実施例としてのみ提供されていることは明らかであろう。多数の変動、変化及び置換を本明細書に述べた発明から離れることなくなし得る。従って、本発明は、従属する請求項の精神及び範囲によってのみ、限定される。