【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の要旨
本発明は、グルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)を使用してがん転移の形成を減少または阻止するための組成物および方法を提供する。一部の実施形態に従うと、本発明は、GLAの局部局所送達を使用した転移進行の減少または阻止を対象とする。一部の実施形態に従うと、GLAは、がん抗原(規定のペプチド、タンパク質、またはペプチド、タンパク質もしくはフラグメントの混合物としてであろうと、あるいは不活化または改変したがん細胞調製物としてであろうと)の同時投与を行うことなく使用される。一部の実施形態に従うと、GLAはCOX2阻害剤およびベータ−アドレナリン遮断剤と組み合わせる。
【0017】
本発明は、処置すべき腫瘍に隣接する空間もしくは空洞、あるいは代わりに、処置すべき腫瘍の排出リンパ節に隣接する空間もしくは空洞、または直接的に排出リンパ節へのGLAの局部局所送達を初めて開示する。GLAのこのような局部局所送達はまた、原発腫瘍の除去後に、腫瘤の摘除術後に形成される空間または空隙に実施することもできる。したがって、本発明は、処置転帰を改善するための、より制御された方式でのGLA投与を提供する。有利には、局部局所送達は、活性成分のより持続した効果を提供することができる。さらに、GLAの局部局所送達は、GLAのより低い全身投薬量、およびがんの設定において全身性送達に関連し得る有害な副作用の減少を可能にすることができる。
【0018】
本発明は、がん抗原、例えば、処置を受ける対象の腫瘍に由来する抗原、処置を受ける対象の腫瘍の種類に関連することが公知の抗原もしくは抗原を含有する抗原組成物、あるいは患者もしくは患者規定の腫瘍の混合物からの腫瘍細胞の投与物または腫瘍細胞の調製物に由来する抗原の調製物などの共投与を行うことなく、がん転移に対してGLAを使用すること(したがって、がんワクチンのための組成物という状況でのGLAの投与とは異なる)をさらに開示している。有利なことに、本発明において、GLAのこのような使用は、がんに特異的な抗原が同定されているがんの種類に限定されない。
【0019】
一部の実施形態では、GLAは、腫瘍切除手術後の固形腫瘍の転移の阻止のために利用される。手術前および手術後に投与されたGLAが、転移進行の有効な阻害を達成することが現在開示されている。
【0020】
本発明は、GLA処置を、ベータ−アドレナリン遮断剤および/またはCOX2選択的阻害剤での処置と組み合わせて、転移阻害の転帰をさらに最適化することができることをさらに開示している。任意の特定の理論または作用機序に束縛されることなく、ベータ−アドレナリン遮断剤とCOX2阻害剤の組合せは、がん患者に生じ得るストレス誘発性免疫抑制に対抗し、したがってGLAの効力の改善をもたらすことが企図される。本明細書で開示されている活性成分の組合せは、少なくとも相加的に、好ましくは相乗的に作用する。
【0021】
一態様では、本発明は、がんを有する対象を処置する方法であって、該方法は、活性成分としてグルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を対象に投与するステップを含み、該投与は、がんを処置するのに有効である方法を提供する。
【0022】
1つの態様によると、本発明は、対象における転移進行を減少させるまたは阻止するための方法であって、該方法は、活性成分としてグルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を対象に投与するステップを含み、該投与は、転移を減少させるまたは阻止するのに有効である方法を提供する。
【0023】
本明細書で使用する場合、「転移」、「がんの転移」または「腫瘍の転移」という用語は、交換可能に使用され、1つの器官または組織に位置する原発性がん性腫瘍由来のがん性細胞が、別の、隣接しない器官または組織において成長することを指す。転移はまた微小転移も包含し、微小転移とは、元の原発性がん性腫瘍の器官に直接つながりのない器官または身体の部分における検出不能な量のがん性細胞の存在である。転移はまた、プロセスのうちのいくつかのステップ、例えば、元の腫瘍部位からのがん細胞の離脱、ならびに身体の他の部分へのがん細胞の遊走および/または侵入などとして定義することもできる。
【0024】
本明細書で使用する場合、「転移進行の減少または阻止」とは、転移の拡散、進行および成長を遅延させるまたはさらに完全に阻害することを指す。この用語はまた、器官または組織内における転移の数を減少させること、ならびに本発明の組成物によって処置すべき既存のがんのサイズ、数または悪性腫瘍状態を減少させることも含み得る。当業者であれば理解しているように、転移進行の減少または阻止は、当技術分野で公知の様々な放射線写真、画像化、循環する腫瘍マーカー、動悸、直接測定または観察技術により測定した場合の腫瘍のサイズまたは数の減少を含む当技術分野で公知の標準的方法により測定することができる。したがって、転移進行の減少または阻止はまた、処置するがんの疾患状態に関連する徴候もしくは症状の減少、あるいは生存の延長または処置するがんの疾患の徴候もしくは症状の苦痛の減少により測定することができる。
【0025】
一部の実施形態では、GLAまたは薬学的に許容されるその塩は局部局所送達で投与される。
【0026】
本明細書で使用する場合、「局部局所送達」は、処置すべき腫瘍に隣接する空間もしくは空洞への送達、または処置すべき腫瘍の排出リンパ節に隣接する空間もしくは空洞、または直接的に排出リンパ節への送達を示す。腫瘍切除手術後に投与される場合、局部局所送達は、腫瘤の除去後に形成された空間または空隙への送達を含む。局部局所投与は、単一もしくは複数の局部局所空間への単回注射により、または同時もしくは少なくとも約1分間、数分間、数時間、数日もしくは数週間という期間にわたり与えられる一連の注射として実施することができる。本明細書で使用する場合、局部局所送達は、腫瘍内投与を含まない。さらに、局部局所投与は、医薬組成物が対象の体の外部表面に適用される局所的投与は含まない。
【0027】
一部の実施形態では、GLAまたは薬学的に許容されるその塩はがん抗原なしで投与される。
【0028】
一部の実施形態では、GLAまたは薬学的に許容されるその塩を含む、投与される医薬組成物はがん抗原を実質的に含まない。
【0029】
「実質的に含まない」とは、本明細書で使用する場合、約1%未満、好ましくは約0.1%未満、約0.01%(w/w)未満、約0.001%(w/w)未満を指す。
【0030】
一部の実施形態では、本方法は、腫瘍切除手術後に、対象における転移進行を減少させるまたは阻止するために使用される。一部の実施形態では、GLAまたは薬学的に許容されるその塩は前記腫瘍切除手術の周術期の期間中に投与される。
【0031】
「周術期の期間」とは、手術の直前、手術中および手術直後の期間を指す。これは、患者が手術のために準備している手術前の時間(「術前期間」)、これに続いて手術に費やされる時間(「術中期間」)および患者は回復中であり、通常合併症についてモニターされる手術後の時間(「術後期間」)を含む。周術期の期間は、病院、外科センターおよび/またはヘルスケアプロバイダーオフィスにおいて生じ得る。
【0032】
本明細書で使用する場合、周術期の期間とは典型的には、腫瘍切除手術の2〜10日前に始まり、前記手術の14〜21日後に終わる期間、例えば、手術の4〜5日前に始まり、手術の約14日後に終わる期間、または手術の7日前に始まり、手術の約7日後に終わる期間を指す。
【0033】
一部の実施形態では、GLAまたは薬学的に許容されるその塩は、手術前に少なくとも1回(例えば2回、3回、4回またはそれ超)投与される。一部の実施形態では、GLAまたは薬学的に許容されるその塩は、手術後に少なくとも1回(例えば2回、3回、4回またはそれ超)投与される。一部の実施形態では、GLAまたは薬学的に許容されるその塩は、手術前と手術後の両方に投与される。
【0034】
GLAまたは薬学的に許容されるその塩が複数回投与される一部の実施形態では、これは一定の用量で投与される。これらの実施形態にしたがえば、GLAまたは薬学的に許容されるその塩が投与されるたびに、これは同じ用量で投与される。GLAまたは薬学的に許容されるその塩が複数回投与される他の実施形態では、これは変動する用量で投与される。これらの実施形態にしたがえば、GLAまたは薬学的に許容されるその塩の投与される用量は、処置期間全体を通して変動する。
【0035】
一部の実施形態では、GLAは、以下の構造式(I):
【化1】
(式中、R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11〜C
20アルキルであり、R
2およびR
4はC
12〜C
20アルキルである)を有する。
【0036】
一部の実施形態では、R
1、R
3、R
5およびR
6は、ウンデシルであり、R
2およびR
4は、トリデシルである。
【0037】
一部の実施形態では、GLAは、以下の構造式(II):
【化2】
(式中、
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5およびL
6は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、−O−、−NH−または−(CH
2)−であり、
L
7、L
8、L
9、およびL
10は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、存在しないかまたは−C(=O)−であり、
Y
1は酸官能基であり、
Y
2およびY
3は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、−OH、−SH、または酸官能基であり、
Y
4は、−OHまたは−SHであり、
R
1、R
3、R
5およびR
6は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、C
8〜C
13アルキルであり、
R
2およびR
4は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、C
6〜C
11アルキルである)を有する。
【0038】
ある特定の実施形態では、本明細書で使用されるGLAアジュバントは、以下の構造式(III):
【化3】
(式中、
R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11〜C
20アルキルであり、R
2およびR
4は、C
9〜C
20アルキルである)を有し得る。
【0039】
より特定の実施形態では、GLAは、R
1、R
3、R
5およびR
6が、C
11〜
14アルキルであり、R
2およびR
4が、C
12〜
15アルキルである、上に記載された式IIIを有する。
【0040】
より特定の実施形態では、GLAは、R
1、R
3、R
5およびR
6が、C
11アルキルであり、R
2およびR
4が、C
13アルキルである、上に記載された式IIIを有する。
【0041】
より特定の実施形態では、GLAは、R
1、R
3、R
5およびR
6がC
11アルキルであり、R
2およびR
4がC
9アルキルである、上に記載された式IIIを有する。
【0042】
ある特定の実施形態では、GLAは合成物質であり、以下の構造式(IV):
【化4】
を有する。
【0043】
上記GLA構造(式IV)のある特定の実施形態では、R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11〜C
20アルキルであり、R
2およびR
4は、C
9〜C
20アルキルである。ある特定の実施形態では、R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11アルキルであり、R
2およびR
4は、C
9アルキルである。
【0044】
ある特定の実施形態では、GLAは合成物質であり、以下の構造式(V):
【化5】
を有する。
【0045】
上記GLA構造(式V)のある特定の実施形態では、R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11〜C
20アルキルであり、R
2およびR
4は、C
9〜C
20アルキルである。ある特定の実施形態では、R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11アルキルであり、R
2およびR
4は、C
9アルキルである。
【0046】
ある特定の実施形態では、GLAは合成物質であり、以下の構造式(VI):
【化6】
を有する。
【0047】
上記GLA構造(式VI)のある特定の実施形態では、R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11〜C
20アルキルであり、R
2およびR
4は、C
9〜C
20アルキルである。ある特定の実施形態では、R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11アルキルであり、R
2およびR
4は、C
9アルキルである。
【0048】
ある特定の実施形態では、合成物質GLAは、以下の構造:
【化7】
を有する。
【0049】
ある特定の実施形態では、合成物質GLAは、以下の構造:
【化8】
を有する。
【0050】
ある特定の実施形態では、合成物質GLAは、以下の構造:
【化9】
を有する。
【0051】
一部の実施形態では、本発明の方法は、ベータ−アドレナリン遮断剤およびCOX2阻害剤を投与するステップをさらに含む。
【0052】
一部の実施形態では、ベータ−アドレナリン遮断剤およびCOX2阻害剤の投与は、腫瘍切除手術の周術期の期間中に行う。
【0053】
一部の典型的な実施形態では、ベータ−アドレナリン遮断剤およびCOX2阻害剤は、別々の医薬組成物中に存在する。
【0054】
一部の実施形態では、ベータ−アドレナリン遮断剤、COX2阻害剤またはこれら両方は、手術前に少なくとも1回(例えば2回、3回、4回またはそれ超)投与される。追加的実施形態では、ベータ−アドレナリン遮断剤、COX2阻害剤またはこれらの両方は、手術後少なくとも1回(例えば2回、3回、4回またはそれ超)投与される。一部の実施形態では、ベータ−アドレナリン遮断剤、COX2阻害剤またはこれらの両方は、手術前と手術後の両方に投与される。
【0055】
一部の実施形態では、GLAまたは薬学的に許容されるその塩、ベータ−アドレナリン遮断剤およびCOX2阻害剤は、周術期の期間中の同じ日に投与される。他の実施形態では、これらは別々の日に投与される。
【0056】
一部の実施形態では、ベータ−アドレナリン遮断剤は、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オクスプレノロール(oxyprenolol)、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。各可能性は本発明の別々の実施形態を表している。特定の実施形態では、ベータ−アドレナリン遮断剤はプロプラノロールまたは薬学的に許容されるその塩である。
【0057】
一部の実施形態では、COX2阻害剤は、セレコキシブ、シミコキシブ、エトリコキシブ、エトドラク、エオリコキシブ(eoricoxib)、ルミラコキシブ、メロキシカム、パレコキシブ、ロフェコキシブ、チラコキシブ、バルデコキシブ、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。各可能性は本発明の別々の実施形態を表している。特定の実施形態では、COX2阻害剤はエトドラクまたは薬学的に許容されるその塩である。
【0058】
別の態様によると、本発明は、転移進行の減少または阻止における使用のための、活性成分としてGLAまたは薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物であって、がん抗原を実質的に含まない組成物を提供する。
【0059】
一部の実施形態では、医薬組成物は、唯一の活性成分としてのGLAまたは薬学的に許容されるその塩からなる。
【0060】
一部の実施形態では、医薬組成物は、局部局所送達のために製剤化される。
【0061】
一部の実施形態では、医薬組成物は、腫瘍切除手術の周術期の期間中の使用のためのものである。
【0062】
一部の実施形態では、医薬組成物は、腫瘍切除手術の周術期の期間中にベータ−アドレナリン遮断剤およびCOX2阻害剤と共に使用するためのものである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
対象における転移進行を減少させるまたは阻止するための方法であって、該方法は、活性成分としてグルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を該対象に投与するステップを含み、該投与は、転移を減少させるまたは阻止するのに有効である、方法。
(項目2)
前記投与が局部局所送達によるものである、項目1に記載の方法。
(項目3)
GLAまたは薬学的に許容されるその塩を含む前記医薬組成物が、がん抗原を実質的に含まない、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記医薬組成物が、腫瘍切除手術後に、前記対象における転移進行を減少させるまたは阻止するために投与される、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記投与が、前記腫瘍切除手術の周術期の期間中に行われる、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記医薬組成物が、前記手術の前(術前)に少なくとも1回投与される、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記医薬組成物が、前記手術の後(術後)に少なくとも1回投与される、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記医薬組成物が一定の用量で投与される、項目6から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記医薬組成物が変動する用量で投与される、項目6から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記GLAが、以下の構造式(I):
【化19】
(式中、
R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11〜C
20アルキルであり、R
2およびR
4は、C
12〜C
20アルキルである)
を有する、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
R
1、R
3、R
5およびR
6が、ウンデシルであり、R
2およびR
4が、トリデシルである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記GLAが、以下の構造式(II):
【化20】
(式中:
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5およびL
6は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、−O−、−NH−または−(CH
2)−であり、
L
7、L
8、L
9、およびL
10は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、存在しないかまたは−C(=O)−であり、
Y
1は酸官能基であり、
Y
2およびY
3は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、−OH、−SH、または酸官能基であり、
Y
4は、−OHまたは−SHであり、
R
1、R
3、R
5およびR
6は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、C
8〜C
13アルキルであり、
R
2およびR
4は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、C
6〜C
11アルキルである)を有する、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記GLAが、以下の構造:
【化21】
を有する、項目12に記載の方法。
(項目14)
ベータ−アドレナリン遮断剤および/またはCOX2阻害剤を投与するステップをさらに含む、項目1から13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記投与するステップが、腫瘍切除手術の周術期の期間中に行われる、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記ベータ−アドレナリン遮断剤およびCOX2阻害剤が、別々の医薬組成物中に存在する、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記ベータ−アドレナリン遮断剤、COX2阻害剤または両方が、前記手術前(術前)に少なくとも1回投与される、項目15または16に記載の方法。
(項目18)
ベータ−アドレナリン遮断剤、COX2阻害剤または両方が、前記手術の後(術後)に少なくとも1回投与される、項目15または16に記載の方法。
(項目19)
GLAまたは薬学的に許容されるその塩、ベータ−アドレナリン遮断剤およびCOX2阻害剤を含む前記医薬組成物が、前記周術期の期間中の同じ日に投与される、項目15または16に記載の方法。
(項目20)
GLAまたは薬学的に許容されるその塩、ベータ−アドレナリン遮断剤およびCOX2阻害剤を含む前記医薬組成物が、前記周術期の期間中の別々の日に投与される、項目15または16に記載の方法。
(項目21)
前記ベータ−アドレナリン遮断剤が、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される、項目14から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記ベータ−アドレナリン遮断剤が、プロプラノロールまたは薬学的に許容されるその塩である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記COX2阻害剤が、セレコキシブ、シミコキシブ、エトリコキシブ、エトドラク、エオリコキシブ、ルミラコキシブ、メロキシカム、パレコキシブ、ロフェコキシブ、チラコキシブ、バルデコキシブ、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される、項目14から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記COX2阻害剤が、エトドラクまたは薬学的に許容されるその塩である、項目23に記載の方法。
(項目25)
活性成分としてGLAまたは薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物であって、転移進行の減少または阻止における使用のための、医薬組成物。
(項目26)
がん抗原を実質的に含まない、項目25に記載の医薬組成物。
(項目27)
活性成分としてのGLAまたは薬学的に許容されるその塩からなる、項目25または26に記載の医薬組成物。
(項目28)
局部局所送達のために製剤化されている、項目25から27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目29)
腫瘍切除手術の周術期の期間中の使用のためのものである、項目25から28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目30)
腫瘍切除手術の周術期の期間中にベータ−アドレナリン遮断剤および/またはCOX2阻害剤と共に使用するためのものである、項目25から28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目31)
前記GLAが、以下の構造式(I):
【化22】
(式中、
R
1、R
3、R
5およびR
6は、C
11〜C
20アルキルであり、R
2およびR
4は、C
12〜C
20アルキルである)
を有する、項目25から30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目32)
R
1、R
3、R
5およびR
6が、ウンデシルであり、R
2およびR
4が、トリデシルである、項目31に記載の医薬組成物。
(項目33)
前記GLAが、以下の構造式(II):
【化23】
(式中、
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5およびL
6は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、−O−、−NH−または−(CH
2)−であり、
L
7、L
8、L
9、およびL
10は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、存在しないかまたは−C(=O)−であり、
Y
1は、酸官能基であり、
Y
2およびY
3は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、−OH、−SH、または酸官能基であり、
Y
4は、−OHまたは−SHであり、
R
1、R
3、R
5およびR
6は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、C
8〜C
13アルキルであり、
R
2およびR
4は、同じであるかまたは異なり、かつ独立して、C
6〜C
11アルキルである)
を有する、項目25から30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目34)
前記GLAが、以下の構造:
【化24】
を有する、項目25に記載の医薬組成物。
【0063】
本発明のこれらおよびさらなる態様および特徴は、以下に続く図、詳述された記載、実施例および特許請求の範囲から明らかとなる。