特許第6796625号(P6796625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796625
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】温度センサの取付構造
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20060101AFI20201130BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   G01K1/14 L
   H01M2/10 E
   H01M2/10 S
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-138379(P2018-138379)
(22)【出願日】2018年7月24日
(65)【公開番号】特開2020-16489(P2020-16489A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 開
【審査官】 清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−017638(JP,A)
【文献】 特開2004−031006(JP,A)
【文献】 特開2004−233267(JP,A)
【文献】 特開2009−176601(JP,A)
【文献】 特開2017−147033(JP,A)
【文献】 特開2019−074327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00 − 19/00
H01M 2/10
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池が接続された電池パックに取り付けられ、前記単電池の温度を検知する温度センサの取付構造であって、
前記単電池の温度を検知する測温素子と、
前記測温素子を一体成形したセンサ本体と、
前記センサ本体より突設されて、前記単電池側に設けられた収容保持ケースの係止部に先端部が係止されるアーム状の弾性部と、
前記センサ本体を収容する前記収容保持ケースと、を備え、
前記弾性部は、前記センサ本体の両側上角縁部より起立した起立部と、前記起立部より連なるU字状の撓み部と、前記撓み部の先端に一体形成された棒状の前記先端部と、を有し、
前記センサ本体を前記収容保持ケース内に収容する際に、前記アーム状の弾性部に取付冶具を押し付けるための平坦部を、前記起立部と前記撓み部の連なる前記先端部と接近した位置に設けたことを特徴とする温度センサの取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の温度センサの取付構造であって、
前記アーム状の弾性部の平坦部に前記取付冶具を押し付けて前記収容保持ケース内に前記センサ本体を収容する際に、前記アーム状の弾性部の先端部側を前記平坦部側の内側に撓み変形させるようにしたことを特徴とする温度センサの取付構造。
【請求項3】
請求項1記載の温度センサの取付構造であって、
前記測温素子に接続される電線部は、前記測温素子に接続されるリードフレームと、前記リードフレームに芯線を接続した電線と、前記リードフレームと前記電線の芯線を覆う収縮チューブと、を備え、
前記電線部をL字状に折り曲げ形成して、前記センサ本体を前記収容保持ケース内に収容する際に、前記電線部が前記取付冶具の押付面側より離れるようにしたことを特徴とする温度センサの取付構造。
【請求項4】
請求項1記載の温度センサの取付構造であって、
前記収容保持ケースの周壁部の内側に前記係止部を突設し、前記アーム状の弾性部の先端部を前記係止部に係止させるようにしたことを特徴とする温度センサの取付構造。
【請求項5】
請求項1記載の温度センサの取付構造であって、
前記センサ本体の両側に前記アーム状の弾性部をそれぞれ設け、前記一対のアーム状の弾性部の前記起立部と前記撓み部の連なる前記先端部と接近した位置に前記平坦部をそれぞれ設けたことを特徴とする温度センサの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池が接続された電池パックに取り付けられ、単電池の温度を検知する温度センサの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド電気自動車等の車両に搭載されて駆動源として使用される電池モジュール(電池パック)の単電池の温度を検知する温度センサの取付構造として、図7に示す特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
図7に示す温度センサ3の取付構造1は、電池モジュールの単電池2に接触してその温度を温度センサ3で検知するものである。この温度センサ3は、単電池2の接触面側に図示しないPTCサーミスタ等の温度検出素子をインサート成形した合成樹脂製の本体部4と、この本体部4の幅方向両側から外側方向にそれぞれ突出する合成樹脂製のアーム状のバネ部5,5と、を有していて、本体部4の上端からは一対のリード線6,6が導出され、本体部4の下端には温度検出素子が収容されている。
【0004】
そして、温度センサ3は、電池モジュール側に設けられた保持部材7で覆われるように保持されていて、その蓋部7aで押し付けられる一対のアーム状のバネ部5,5の弾性力により、本体部4が下方に押し付けられて単電池2の上面2aに接触した状態で固定される。この際、温度センサ3のアーム状のバネ部5は、保持部材7の段付き状のバネ保持部7bにより保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−44850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の温度センサ3の取付構造1では、本体部4の両側から突出した一対のアーム状のバネ部5,5がM字状に屈曲しており、温度検出側である本体部4の下端を押す力(嵌合力)に対してアーム状のバネ部5が角度を持っていて、嵌合力をかける面積が狭いので、本体部4を単電池2側に組み付ける際に、アーム状のバネ部5が開いてしまい、本体部4の下端を単電池2の上面2a側に押し付ける力が安定しない。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、センサ本体を単電池側に組み付ける際に安定した状態で確実に押し付けることができる温度センサの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の単電池が接続された電池パックに取り付けられ、前記単電池の温度を検知する温度センサの取付構造であって、前記単電池の温度を検知する測温素子と、前記測温素子を一体成形したセンサ本体と、前記センサ本体より突設されて、前記単電池側に設けられた収容保持ケースの係止部に先端部が係止されるアーム状の弾性部と、前記センサ本体を収容する前記収容保持ケースと、を備え、前記弾性部は、前記センサ本体の両側上角縁部より起立した起立部と、前記起立部より連なるU字状の撓み部と、前記撓み部の先端に一体形成された棒状の前記先端部と、を有し、前記センサ本体を前記収容保持ケース内に収容する際に、前記アーム状の弾性部に取付冶具を押し付けるための平坦部を、前記起立部と前記撓み部の連なる前記先端部と接近した位置に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取付冶具で押し付けるための平坦部をアーム状の弾性部の起立部と撓み部の連なる先端部と接近した位置に設けたことにより、センサ本体を収容保持ケース内に収容して組み付ける際に、安定した状態で確実に押し付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の温度センサの取付構造を一部断面示す正面図である。
図2】上記温度センサの斜視図である。
図3】上記温度センサを側面側から切断した断面図である。
図4】上記温度センサを正面側から切断した断面図である。
図5】上記温度センサを単電池側に組み付ける直前の状態を一部断面で示す正面図である。
図6】上記温度センサを単電池側に組み付ける途中の状態を一部断面で示す正面図である。
図7】従来の温度センサの取付構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態の温度センサの取付構造を一部断面示す正面図、図2は同温度センサの斜視図、図3は同温度センサを側面側から切断した断面図、図4は同温度センサを正面側から切断した断面図、図5は同温度センサを単電池側に組み付ける直前の状態を一部断面で示す正面図、図6は同温度センサを単電池側に組み付ける途中の状態を一部断面で示す正面図である。
【0013】
図1に示すように、温度センサ11の取付構造10は、複数の単電池(電池セル)Dが並列接続された電池パック(電池モジュール)Mに取り付けられ、単電池Dの温度を検知するものであり、単電池Dの温度を検知する温度センサ11と、この温度センサ11のセンサ本体12を収容する合成樹脂製の収容保持ケース20と、を備えている。
【0014】
図2図4に示すように、温度センサ11は、正の温度特性をもつ(温度が上昇すると抵抗値が増加する)素子であるPTCサーミスタ(測温素子)13と、このPTCサーミスタ13をインサート成形により一体成形した合成樹脂製のセンサ本体12と、このセンサ本体12の両側面より一体突出形成されて、収容保持ケース20の係止部22に係止される一対のアーム状の弾性部14,14と、PTCサーミスタ13に接続される電線部16と、を備えている。
【0015】
図1図6に示すように、センサ本体12の各アーム状の弾性部14は、センサ本体12の両側上角縁部より起立した起立部14aと、この起立部14aより連なるU字状の撓み部14bと、このU字状の撓み部14bの先端に一体突出形成された棒状の先端部14cと、を有している。そして、各アーム状の弾性部14の起立部14aとU字状の撓み部14bとの間、即ち、アーム状の弾性部14の中央の先端部14cと接近した位置に、センサ本体12を収容保持ケース20内に収容して組み付ける際に、各アーム状の弾性部14に取付冶具40を押し付けるための平坦部15を一体形成してある。この取付治具40の下面41の両側には、下方に突出した押付面41a,41aになっていて、この各押付面41aが各アーム状の弾性部14の平坦部15の上側の平面15aに当接するようになっている。
【0016】
そして、図5図6に示すように、センサ本体12のアーム状の弾性部14の平坦部15に取付冶具40を押し付けて収容保持ケース20内にセンサ本体12を収容して組み付ける際に、取付治具40の押付面41aが平坦部15の上側の平面15aに当接すると共に、アーム状の弾性部14のU字状の撓み部14bが内側に撓み変形するようになっている。
【0017】
また、図3図4に示すように、PTCサーミスタ13に接続される電線部16は、PTCサーミスタ13に接続される一対のリードフレーム17,17と、この一対のリードフレーム17,17に各芯線18aを接続した一対の電線18,18と、リードフレーム17と電線18の芯線18aを覆うゴム製の収縮チューブ19と、を備えている。
【0018】
さらに、電線部16はL字状に折り曲げ形成されていて、センサ本体12を収容保持ケース20内に収容して組み付ける際に、電線部16が取付冶具40の押付面41a側より離れるようになっている。
【0019】
図1図5図6に示すように、センサ本体12を収容する収容保持ケース20は、単電池D側に設けられた保持部材30を介して単電池Dの上面dより離れた位置に配置されている。この収容保持ケース20は、合成樹脂により四角筒状に形成してあり、その両側壁(周壁部)21,21の内面の上側に係止部22,22をそれぞれ一体突出形成してある。そして、図1に示すように、収容保持ケース20内にセンサ本体12が取付治具40を介して収容されて組み付けられると、収容保持ケース20の両側壁21,21の各係止部22にセンサ本体12の一対のアーム状の弾性部14,14の各先端部14cがそれぞれ係止されるようになっている。
【0020】
尚、温度センサ11のセンサ本体12の下面側には、略U字状のアルミ板13Aが露出するようにインサート成形により一体形成されていて、このアルミ板13Aが単電池Dの上面dに接触するようになっている。また、リードフレーム17と電線18の芯線18aとは半田付けにより接続される。この半田付け部分を図4中符号Hで示す。
【0021】
以上実施形態の温度センサ11の取付構造10によれば、図5に示すように、単電池D側に保持部材30を介して設けられた収容保持ケース20内に温度センサ11のセンサ本体12を収容して組み付ける際に、取付冶具40の下面41の両側の一対の押付面41a,41aをセンサ本体12の一対のアーム状の弾性部14,14に設けられた各平坦部15の上側の平面15aに押し付けると、各アーム状の弾性部14の先端部14cが収容保持ケース20の係止部22の傾斜面22aをスライドすることにより、図6の矢印で示すように、各アーム状の弾性部14のU字状の撓み部14bが平坦部15側の内側に撓み変形する。この際、取付冶具40の一対の押付面41a,41aがセンサ本体12の一対のアーム状の弾性部14,14の各平坦部15の平面15aに当たって、この部分に取付冶具40を押す力が集中して一対のアーム状の弾性部14,14が従来のように外側に開くことがなく、収容保持ケース20の係止部22の位置まで安定した状態で取付冶具40を簡単かつ確実に押すことができる。
【0022】
また、取付冶具40の一対の押付面41a,41aでセンサ本体12の一対のアーム状の弾性部14,14の各平坦部15を押す際に、センサ本体12の上面側から延びた電線部16がL字状に折り曲げられていて、取付冶具40の一対の押付面41a,41aより離れているため、電線部16が組み付けの際の邪魔になることはなく、取付冶具40を押し易い。さらに、温度センサ11の薄型・小型化を図ることができる。
【0023】
そして、図1に示すように、センサ本体12の下面側のアルミ板13Aが単電池Dの上面dに接触するまで、取付冶具40の一対の押付面41a,41aでセンサ本体12の一対のアーム状の弾性部14,14の各平坦部15を押すと、センサ本体12の一対のアーム状の弾性部14,14の各先端部14cが収容保持ケース20の両側壁21,21の一対の係止部22,22にそれぞれ係止されて固定される。
【0024】
このように、取付冶具40の押付面41aで押し付けるための平坦部15をセンサ本体12のアーム状の弾性部14の中央に設けたことにより、センサ本体12を収容保持ケース20内に収容して組み付ける際に、安定して押し付けることができ、組付作業性を向上させることができる。
【0025】
尚、前記実施形態によれば、測温素子としてPTCサーミスタを用いたが、負の温度特性をもつ(温度が上昇すると抵抗値が減少する)素子であるNTCサーミスタやCRTサーミスタを測温素子として用いても良い。
【符号の説明】
【0026】
10 温度センサの取付構造
11 温度センサ
12 センサ本体
13 PTCサーミスタ(測温素子)
14,14 一対のアーム状の弾性部
14c 先端部
15 平坦部
16 電線部
17 リードフレーム
18 電線
18a 芯線
19 収縮チューブ
20 収容保持ケース
21 側壁(周壁部)
22 係止部
40 取付治具
41a 押付面
M 電池パック
D 単電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7