特許第6796640号(P6796640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796640セットアップモジュールを備えるワークピース機械加工システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796640
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】セットアップモジュールを備えるワークピース機械加工システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/01 20060101AFI20201130BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20201130BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20201130BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B23Q1/01 H
   B23Q17/00 C
   G05B19/418 Z
   B23Q17/22 Z
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-516650(P2018-516650)
(86)(22)【出願日】2016年6月9日
(65)【公表番号】特表2018-524194(P2018-524194A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】IB2016053380
(87)【国際公開番号】WO2016199044
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2018年10月15日
(31)【優先権主張番号】00831/15
(32)【優先日】2015年6月11日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】517430761
【氏名又は名称】ウォッチ・アウト・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ジャコー・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ラポルト・セバスチャン
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭48−009487(JP,U)
【文献】 実開昭59−163438(JP,U)
【文献】 特開昭63−022224(JP,A)
【文献】 特開平05−077112(JP,A)
【文献】 特開平05−228743(JP,A)
【文献】 特開2001−030166(JP,A)
【文献】 特開2002−346885(JP,A)
【文献】 特開2009−166135(JP,A)
【文献】 特開平08−118175(JP,A)
【文献】 特開2003−238179(JP,A)
【文献】 特開2006−142419(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第106271748(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00−11/00
B23Q 1/00−1/76
B23Q 3/00−3/154
B23Q 3/16−3/18
B23Q 9/00−9/02
B23Q 17/00−23/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを作り出すためのセット・アップ・モジュール(210)と機械加工モジュール(110)とを含むワークピース機械加工システムであって、
前記セット・アップ・モジュール(210)は、
*少なくとも1つのツール・ホルダ(122)を取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第1のツール・ホルダ(122)取り付けデバイス(1223)と、ワークピース・キャリア(123)を取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第1のワークピース・キャリア(123)取り付けデバイス(1232)とを含み、
前記機械加工モジュール(110)は、
*少なくとも1つのツール・ホルダ(122)を取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第2のツール・ホルダ(122)取り付けデバイス(1223)と、ワークピース・キャリア(123)を取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第2のワークピース・キャリア(123)取り付けデバイス(1232)とを含み、
*前記セット・アップ・モジュール(210)は、前記ワークピース・キャリア(123)に対する前記少なくとも1つのツール・ホルダ(122)の位置決めを制御するための第1の位置決め制御デバイス(121)をさらに含み、
*前記機械加工モジュール(110)は、前記ワークピース・キャリア(123)に対する前記少なくとも1つのツール・ホルダ(122)の位置決めをチェックするように適合された第2の位置決め制御デバイス(121)をさらに含み、前記ツール・ホルダ(122)及び前記ワークピース・キャリア(123)が、両方とも、セット・アップの後に、前記セット・アップ・モジュールから前記機械加工モジュールへ移送され得るようになっており、したがって、前記第2の位置決め制御デバイス(121)は、前記少なくとも1つのツール・ホルダ(122)と前記ワークピース・キャリア(123)との間の位置決めが、前記セット・アップ・モジュール(210)の上でのセット・アップの間に前記少なくとも1つのツール・ホルダ(122)と前記ワークピース・キャリア(123)との間に適用されたものと同一であるということを、前記機械加工モジュール(110)の上で確実にすることを可能にする、ワークピース機械加工システム。
【請求項2】
前記第1の位置決め制御デバイス(121)は、前記少なくとも1つのツール・ホルダ(122)と前記ワークピース・キャリア(123)との間の相対的位置決めに関する基準値を提供する、請求項1に記載のワークピース機械加工システム。
【請求項3】
前記第1の位置決め制御デバイス(121)及び前記第2の位置決め制御デバイス(121)は、少なくともX−Y平面において、前記ツール・ホルダ及び前記ワークピース・キャリアの前記位置決めをチェックするように適合されている、請求項1〜2のいずれか一つに記載のワークピース機械加工システム。
【請求項4】
前記ツール・ホルダ(122)は、いくつかのツールが取り外し可能に取り付けられることを可能にする、請求項1〜3のいずれか一つに記載のワークピース機械加工システム。
【請求項5】
前記第1及び第2のツール・ホルダ取り付けデバイス(1223)は、ツール・ホルダ(122)が移動可能なスライド(130、230)に取り外し可能に取り付けられることを可能にする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記セット・アップ・モジュール(210)は、前記ワークピース・キャリア(123)にリンクされている基準に対する前記ツール・ホルダ(122)の距離を測定及び記憶するための手段を含む、請求項1〜5のいずれか一つに記載のワークピース機械加工システム。
【請求項7】
前記セット・アップ・モジュール(210)は、前記ワークピース・キャリア(123)にリンクされている座標規準系において、前記ツール・ホルダ(122)の移動の方向を測定するための手段を含む、請求項1〜6のいずれか一つに記載のワークピース機械加工システム。
【請求項8】
前記機械加工モジュール(110)は、前記ワークピース・キャリア(123)にリンクされている基準に対する前記ツール・ホルダ(122)の前記距離を測定するための、及び、前記ワークピース・キャリア(123)にリンクされている前記基準に対する前記ツール・ホルダ(122)の前記距離に対する差を補償するための手段を含み、前記距離は、前記セット・アップ・モジュールの上で測定され、セット・アップの間に前記セット・アップ・モジュールの上で適用されたものと同一の、前記ツール・ホルダ(122)及び前記ワークピース・キャリア(123)の相対的位置決めを確実にするようになっている、請求項6に記載のワークピース機械加工システム。
【請求項9】
前記機械加工モジュール(110)は、前記ワークピース・キャリアにリンクされている座標規準系において、前記ツール・ホルダ(123)の移動の前記方向を測定するための、及び、前記セット・アップ・モジュールの上で測定された前記方向に対する差を補償するための手段を含む、請求項7又は8に記載のワークピース機械加工システム。
【請求項10】
前記セット・アップ・モジュール(210)の第1の位置決め制御デバイス及び第2の位置決め制御デバイスは、前記ワークピース・キャリア(123)に対する前記ツール・ホルダ(122)の前記相対的位置を補償するように適合されている、請求項1〜9のいずれか一つに記載のワークピース機械加工システム。
【請求項11】
前記セット・アップ・モジュール(10)の第1の位置決め制御デバイス及び第2の位置決め制御デバイスは、前記セット・アップ・モジュール(210)の前記基準値に対応する、前記ツール・ホルダ(122)及び前記ワークピース・キャリア(123)の相対的位置決め及び配向を得るように適合されている、請求項2及び10に記載のワークピース機械加工システム。
【請求項12】
前記セット・アップ・モジュール(210)は、前記セット・アップ・モジュール(210)の上で前記機械加工をセット・アップするために、前記機械加工モジュール(110)の上には設けられていないカメラ(260)又は高解像度センサを含む、請求項1〜11のいずれか一つに記載のワークピース機械加工システム。
【請求項13】
前記セット・アップを支援するためのセンサ(260)及び/又は測定システムを含む、請求項1〜12のいずれか一つに記載のワークピース機械加工システム。
【請求項14】
前記第2の位置決め制御デバイス(121)は、前記ワークピース・キャリア(123)及び前記ツール・ホルダ(122)の相対的位置決めが所定の値に対応するということをチェックするために配置されており、また、そうでない場合にはそれを修正するように配置されている、請求項1〜13のいずれか一つに記載のセット・アップ・モジュール。
【請求項15】
ワークピースを作り出すための機械加工モジュール(110)とセット・アップ・モジュール(210)とを使用して、ワークピースを機械加工するための機械加工プロセスであって、
前記セット・アップ・モジュール(210)によって、前記機械加工プロセスをセット・アップするステップと、
少なくとも1つのツール・ホルダ(122)を、前記セット・アップ・モジュール(210)から、生産のために使用されることとなる機械加工モジュール(110)へ移送するステップとを含み、前記機械加工プロセスは、
ワークピース・キャリア(123)を、セット・アップ・モジュール(210)から、生産のために使用されることとなる機械加工モジュール(110)へ移送するステップと、
前記セット・アップ・モジュール(210)上及び前記機械加工モジュール(110)上での前記ワークピース・キャリア(123)及び1つ又は複数の前記ツール・ホルダ(122)の相対的位置決めをチェックするステップであって、前記セット・アップ・モジュール(210)の上でのセット・アップの間に前記少なくとも1つのツール・ホルダ(122)と前記ワークピース・キャリア(123)との間で適用されたものと同一の、前記少なくとも1つのツール・ホルダ(122)と前記ワークピース・キャリア(123)との間の位置決めを前記機械加工モジュール(110)の上で確実にするためにチェックするステップと、
前記ワークピース・キャリア(123)及び前記ツール・ホルダ(122)によって、前記機械加工モジュール(110)の上でワークピースを機械加工するステップとをさらに含む、機械加工プロセス。
【請求項16】
セット・アップする前記ステップは、前記少なくとも1つのツール・ホルダ(122)と前記ワークピース・キャリア(123)との間の相対的位置決めに関する基準値の定義を含む、請求項15に記載の機械加工プロセス。
【請求項17】
前記機械加工モジュール(110)へ移送する前記ステップは、前記ワークピース・キャリア(123)に対する前記ツール・ホルダ(122)の相対的位置の補正を含む、請求項15又は16に記載の機械加工プロセス。
【請求項18】
相対的位置の補正は、前記セット・アップ・モジュール(210)の上で決定された前記基準値に対応する、前記ツール・ホルダ(122)及び前記ワークピース・キャリア(123)の相対的位置決め及び配向を得ることを可能にする、請求項17に記載の機械加工プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セット・アップ・モジュールと、生産するように意図された少なくとも1つの機械加工モジュールとを含む方法及びワークピース機械加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工モジュール(マシン・ツール)、とりわけ、バー・ターニング・マシン、自動旋盤、ミーリング・マシン、及び移送機械を使用して、ワークピースを製造することは、典型的に、3つの別々の局面を含む。
【0003】
第1のセット・アップ(又は、プリセット)局面では、オペレータ(たとえば、バー・ターナー・オペレータ)は、機械加工モジュールの上で、機械加工平面を定義してテストし、すなわち、機械加工されることとなる所望のワークピースを得るために必要とされる動作のシーケンス及び軸移動を定義してテストする。たとえば、オペレータは、最も効率的な機械加工平面が可能な限り得られることを確実にし、すなわち、ツール間の衝突、又は、ワークピースとの衝突を回避しながら、所与のワークピースが最小の動作によって機械加工されることを可能にすることを確実にする。オペレータは、使用されることとなるツールを選び、また、得られるワークピースの品質、たとえば、表面条件、公差の順守などをチェックする。
【0004】
第2の生産局面では、ワークピースのバッチは、プリセットされた機械加工モジュールの上で作り出され、パラメータは、セット・アップ局面の間に定義される。これは、生産的な局面だけである。多くの場合、それは、1日に24時間実施され、原材料は、バー・フィーダ又はスラグ(ブランク)・ローダによって、機械加工モジュールに給送される。
【0005】
ワークピースのバッチの生産は、たとえば、同じ機械加工モジュールの上で別のタイプのワークピースを作り出すために中断され得、マシンのメンテナンスなどを可能にし、次いで、その後に再開される。このケースでは、始動局面が、セット・アップ局面の間に以前に定義されたパラメータを適用するために必要である。この始動局面は、セット・アップ局面よりも速い。
【0006】
セット・アップの間にテストされた結果が得られることを可能にするプリセットされたパラメータによって、この生産が行われるということを確実にするために、セット・アップは、一般的に、生産のためにも使用され得る機械加工モジュールの上で実施される。これにより、生産が中断され(すなわち、アイドル時間)、また、生産機械がセット・アップ期間の期間中に動けなくなる。
【0007】
セット・アップ局面の間にプリセットされた機械加工パラメータをテストするために、たとえば、センサ、ビデオ・カメラなどの、特殊化した検査機器が、作り出されるワークピースの品質を測定するために必要とされる。このテスト機器は、機械加工モジュールの価格をより高価にする。多くの機械加工モジュールを備える設備のケースでは、それぞれのモジュールは、少なくともそれぞれのセット・アップ局面に関して、それ自身のテスト機器を装備している必要がある。ワークピースを外部でテストするために、機械加工モジュールからワークピースを除去することが可能であるが、この移送は、セット・アップ局面及びモジュールの非生産的な動かない時間をさらに遅くする。そのうえ、それは、機械加工プロセスの中間ステップの間のワークピースの特性の容易な測定を可能にしない。
【0008】
したがって、このセット・アップ局面又は始動局面の期間を低減させるために、さまざまな解決策が、先行技術において提案されてきた。
【0009】
たとえば、特許文献1は、外部セット・アップ・デバイスを説明している。このデバイスは、セット・アップがマシン・ツールの外側で実施されることを可能にし、また、得られたパラメータが生産機械の上で生産局面の前にテストされることを可能にする。セット・アップは、取り外し可能なツール・ホルダの上に装着されているツールを使用して実施され、取り外し可能なツール・ホルダは、次いで、生産機械へ移送され、ツールの変化、又は、それらのツール・ホルダの中でのツールの位置決めの変化によって、生産品質が影響を受けないことを確実にするようになっている。
【0010】
特許文献2は、数値制御を備えたマシン・ツールを説明している。数値的位置決めデバイスは、取り外し可能なツール・ホルダの位置決めを補正することを助け、また、必要とされる位置決めパラメータを穿孔テープの上に記録することを助ける。この解決策は、上記の文献と同じ欠点を有しており、ツール位置決めの差が補正されることを可能にするだけである。
【0011】
特許文献3は、別の数値的回路を説明しており、それは、セット・アップの間に事前決定されたツールの位置が生産の間に再現されることを可能にし、したがって、始動時間を低減させる。
【0012】
特許文献4は、ツールをそれらのツール・ホルダの中にプリセットするための方法を説明している。その方法は、取り外し可能なツール・ホルダを備えた外部セット・アップ・デバイスを実装しており、取り外し可能なツール・ホルダは、次いで、生産マシン・ツールに移送され得る。マシン・ツールは、ツール・ホルダの相対的位置決めを正しく再現する。
【0013】
特許文献5及び特許文献6は、シミュレーション・デバイスに関し、それは、マシン・ツールがプリセットされることを可能にし、外部セット・アップ・デバイスを実装している。
【0014】
特許文献7、特許文献8、特許文献9及び特許文献10は、マシン・ツールをプリセットするためのデバイスを説明しており、取り外し可能なツール・ホルダを備えた外部セット・アップ・デバイスを実装している。
【0015】
特許文献11は、いくつかのツール・ホルダを担持するコンベヤーを装備している生産テーブルを備えた生産機械を説明しており、ひいては、ツール・ホルダは、それぞれ、一連の隣接する加工ステーションの中の位置をとることができる。
【0016】
特許文献12は、マシン・ツールに関し、そのシャーシーは、ワークピース・キャリア及び1つ又は複数のツール・ホルダを支持するフレームを形成している。シャーシーの上でのワークピース・キャリア及びツール・ホルダの正しい位置決めを確実にするためのシステムが存在している。
【0017】
特許文献13は、いくつかの整合された機械加工セル、及び、機械加工されることとなるワークピースを輸送するための輸送デバイスを備えたワークピース生産ラインを説明している。それぞれの機械加工セルは、ツール・ホルダ及びワークピース・キャリアを含む。ツール・ホルダとそれに関連付けられているワークピース・キャリアとの間の相対的位置補償が存在している。
【0018】
また、特許文献14が引用され得、マシン・ツールの上のツール、パーツ、又は測定システムを調整するための光学デバイスを説明している。
【0019】
したがって、これらの異なる解決策は、生産することが意図された機械加工モジュールの外側で、機械加工平面をセット・アップ及びテストすることを可能にする。また、それらは、ツールをテストするために使用されてもよく、また、ツール・ホルダの上にツールを装着するために使用されてもよく、また、ツールをそれらのツール・ホルダの上に正確に装着することが生産の間に再現されることを確実にするために使用されてもよい。しかし、これらの解決策は、生産機械の上の結果の完全な再現性を保証しない。また、実際に、機械加工品質は、それぞれのモジュールの上のワークピース・キャリアの特性及び位置決めに依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】独国特許出願公開第1602821号明細書
【特許文献2】米国特許第3282138号明細書
【特許文献3】米国特許第4776247号明細書
【特許文献4】米国特許第3625097号明細書
【特許文献5】米国特許第3555690号明細書
【特許文献6】米国特許第4240207号明細書
【特許文献7】米国特許第3867763号明細書
【特許文献8】仏国特許発明第2768072号明細書
【特許文献9】米国特許第5595377号明細書
【特許文献10】米国特許第4880220号明細書
【特許文献11】独国実用新案第202013002678号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第102007042288号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第102005047250号明細書
【特許文献14】独国実用新案第20013242号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の1つの目的は、先行技術の制限を有さない機械加工システム及び外部セット・アップ・モジュールを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、これらの目的は、とりわけ、ワークピースを作り出すように意図されている機械加工モジュールとセット・アップ・モジュールとを含むワークピース機械加工システムであって、
セット・アップ・モジュールは、ツール・ホルダを取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第1のツール・ホルダ取り付けデバイスと、ワークピース・キャリアを取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第1のワークピース・キャリア取り付けデバイスと、前記ワークピース・キャリアに対する前記少なくとも1つのツール・ホルダの位置決めを制御するための第1の位置決め制御デバイスとを含み、
機械加工モジュールは、ツール・ホルダを取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第2のツール・ホルダ取り付けデバイスと、ワークピース・キャリアを取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第2のワークピース・キャリア取り付けデバイスと、前記ワークピース・キャリアに対する前記少なくとも1つのツール・ホルダの位置決めをチェックするように適合された第2の位置決め制御デバイスとを含み、
ツール・ホルダ及びワークピース・キャリアが、セット・アップの後に、両方とも、セット・アップ・モジュールから機械加工モジュールへ移送され得るようになっている、ワークピース機械加工システムによって実現される。
【0023】
この解決策は、セット・アップ・モジュールと機械加工モジュールとの間で、ツール・ホルダの移送だけでなく、ワークピース・キャリアの移送も可能にするという、先行技術を上回る特定の利点を有する。これは、セット・アップの間に以前にテストされたツール・ホルダ及びワークピース・キャリアによって、機械加工が実施されることを確実にする。したがって、ワークピース・キャリアの中の任意の不具合、たとえば、位置決め及び同心性などの不正確さが、セット・アップの間に測定され得、生産の間に補正又は補償され得る。
【0024】
また、この解決策は、生産するように意図されている機械加工モジュールを占領することなく、外部セット・アップ・モジュールの上で、セット・アップがバックグラウンド・タスクとして実施されることを可能にする。
【0025】
好適な実施形態では、セット・アップ・モジュールは、ワークピース・キャリアに対する少なくとも1つのツール・ホルダの位置決めを制御するための第1の位置決め基準を含む。機械加工モジュールは、第2の位置決め基準を含み、第2の位置決め基準は、ワークピース・キャリアに対する少なくとも1つのツール・ホルダの位置決めをチェックするために使用され得る。これは、セット・アップ・モジュールの上でのセット・アップの間に、及び、機械加工の間に、ワークピースに対するツール・ホルダ又はそれぞれのツール・ホルダの位置決めのエラーを補償することを可能にする。
【0026】
ツール・ホルダは、スライド(コーム(comb))に取り外し可能に取り付けられ得る。このために、それは、たとえば、取り外し可能な取り付け手段、たとえば、1つ又は複数のピン、又は、移動可能なスライドと係合することができる部分、たとえば、基準孔部若しくは表面を含むことが可能である。
【0027】
ツール・ホルダは、取り外し可能に取り付けられているいくつかのツールを含むことが可能である。
【0028】
機械加工モジュールの上に設けられた位置決め基準は、ツール・ホルダ及びワークピース・キャリアの相対的位置決めが、セット・アップの間にセット・アップ・モジュールに適用されたものと同一であり、及び/又は、位置決めの差を補償することを確実にすることを助ける。このように、フレームに対する機械加工モジュールの位置決めにかかわらず、ツール・ホルダ及びワークピース・キャリアの相対的位置決めを制御することが可能であり、したがって、ワークピース及びツールの相対的位置決めを制御することが可能である。
【0029】
セット・アップ・モジュールの上の位置決めシステムは、ツール・ホルダの位置とワークピース・キャリアにリンクされている基準との間の距離が測定されることを可能にし、この距離を記憶するように配置され得る。同様に、ツール・ホルダの実際の移動の方向(たとえば、所与の方向に移動するようにインストラクションが出されるとき)が、測定及び記憶され得る。
【0030】
これは、ワークピース・キャリアとツール・ホルダのピンニングと称される。これらの2つのコンポーネントは、常に、セット・アップ・モジュール及び機械加工モジュールの両方の上に、同じ距離において、及び、同じ配向で、互いに対して正確に整合されて位置決めされている。
【0031】
同様に、機械加工モジュールにおいて、ワークピース・キャリアにリンクされている座標規準系におけるツール・ホルダの移動の位置及び方向が測定され、セット・アップ・モジュールの上で決定された基準値によって補償される。位置決め及び/又は配向の任意の差が測定され、機械加工の間のツール・ホルダ・スライドの対応する移動によって補償される。
【0032】
位置決め制御デバイスは、単一のX−Y平面におけるツール・ホルダ及びワークピース・キャリアの位置決め、並びに、任意選択で、この平面における移動方向シータをチェックするために使用され得る。これは、Z軸に沿った位置決め及び配向の困難性を回避し、それは、一般的に、感度が低い。これは、整合させるのにより経済的で簡単なデバイスをもたらす。
【0033】
別の実施形態では、ツール及びワークピースをZ軸に沿って正確に位置決めすることも必要なときには、位置決め制御デバイスは、Z軸を含む1つ又は複数の平面における正確な位置決めも可能にするように設計され得る。
【0034】
第1及び第2の位置決め基準は、光学的なターゲットから構成され得る。これらの重ね合わせられたターゲットのアライメントは、ツール・ホルダとワークピース・キャリアの正しい位置決めを確実にする。位置決め制御システムは、重ね合わせられたターゲットを撮影するカメラと、イメージ分析のためのコンピュータ・モジュールとを含むことが可能である。
【0035】
たとえば、マトリックス・センサに基づくシステム、又は、容量式システム、誘導式システム、抵抗式システム、若しくは機械的なシステムを含む、他のタイプのターゲット、及び、他の位置決め制御システムが実装され得る。
【0036】
位置決め制御デバイスは、取り外し可能であり、また、ツール・ホルダ及びワークピース・キャリアにそれぞれリンクされ得る。
【0037】
位置決め制御デバイスは、セット・アップ・モジュール又は機械加工モジュールのフレームに取り付けられてリンクされ得る。
【0038】
位置決め制御デバイスは、ツール・ホルダ及びワークピース・キャリアにそれぞれ部分的に取り付けられ、部分的に取り外し可能であり、また、リンクされ得る。
【0039】
光学的なシステムのケースでは、液体の中に、たとえば、オイルの中に浸されたワークピースの位置をチェックすることによって、測定が実施され得る。これは、場合によっては切削液をスプレーすることによって、又は、切粉若しくはゴミの存在によって、引き起こされる測定エラーを防止することを助ける。
【0040】
セット・アップ・モジュールは、前記セット・アップ・モジュールの上で機械加工をセット・アップするために、機械加工モジュールの上には設けられていないカメラ又は高解像度センサを含むことが可能であり、得られた機械加工の品質をチェックすることが可能であり、また、設備のマシン・ツールのすべての上にこの種類の高解像度センサを設置することを抑えることが可能である。
【0041】
材料キャリアは、ターニング・マシンのガイド・ブッシュであることが可能である。
【0042】
材料キャリアは、クランプ又はマンドレルであることが可能である。
【0043】
材料キャリアは、パレット又はパレット・ホルダであることが可能である。
【0044】
また、機械加工されることとなるワークピースにターゲットを組み込むか又は取り付けることが可能である。
【0045】
機械加工プロセスのセット・アップのためのセット・アップ・モジュールにおいて、可能性のある実施形態では、そのようなセット・アップ・モジュールは、
−ツール・ホルダを取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第1のツール・ホルダ取り付けデバイスと、
−ワークピース・キャリアを取り外し可能に取り付けるための少なくとも1つの第1のワークピース・キャリア取り付けデバイスと
を含み、
前記ワークピース・キャリアに対する前記ツール・ホルダの位置決めが制御される、セット・アップ・モジュールに関する。
【0046】
また、本発明は、ワークピースを作り出すための機械加工モジュールとセット・アップ・モジュールとを使用して、ワークピースを機械加工するための機械加工プロセスであって、
セット・アップ・モジュールによって、機械加工プロセスをセット・アップするステップと、
少なくとも1つのツール・ホルダ及び少なくとも1つのワークピース・キャリアを、セット・アップ・モジュールから、機械加工モジュールへ移送するステップと、
前記ワークピース・キャリア及び前記ツール・ホルダによって、前記機械加工モジュールの上でワークピースを機械加工するステップと
セット・アップ・モジュール及び機械加工モジュールの上でのワークピース・キャリア及び1つ又は複数のツール・ホルダの相対的位置決めをチェックするステップであって、セット・アップ・モジュールの上でのセット・アップの間に前記少なくとも1つのツール・ホルダと前記ワークピース・キャリアとの間に適用されたものと同一の、前記少なくとも1つのツール・ホルダと前記ワークピース・キャリアとの間の位置決めを、前記機械加工モジュールの上で確実にするためにチェックするステップとを含む、機械加工プロセスに関する。
【0047】
本発明の実装形態の例は、添付の図によって示されている説明の中に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の実施形態による、機械加工モジュールの断面図である。
図2】本発明の実施形態による、セット・アップ・モジュールの斜視図である。
図3】セット・アップ・モジュールと機械加工モジュールとの間での、ツール・ホルダ及びワークピース・キャリアの移送を概略的に示す図である。
図4】セット・アップ・モジュール又は機械加工モジュールの上にツール・ホルダ及びワークピース・キャリアを装着することを概略的に示す図である。
図5】本発明の実施形態による、位置決め制御システムの例の断面図である。
図6】本発明の実施形態による、位置決め制御システムの例を概略的に示す図である。
図7】本発明の実施形態による、位置決め制御システムを概略的に示す図であり、照明は、ターゲットに対して、カメラから反対側にあることを示す図である。
図8】本発明の実施形態による、位置決め制御システムを概略的に示す図であり、イルミネーションは、ターゲットに対して、カメラと同じ側にあることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1に示されている機械加工モジュール110は、コンパクトなユニットを形成しており、保護カバー112によって境界を定められており、保護カバー112は、エンクロージャ114の境界を定める、閉じたケーシングを構成しており、エンクロージャ114は、比較的に耐密に封止され得る。この保護カバー112は、互いに平行な2つの垂直方向の側壁部112a及び112bと、フレームにリンクされた底部壁部112dに平行な水平方向の上部壁部112cと、垂直方向の後方壁部112eと、前方ドアを含むいくつかのパネルを有する前方壁部112fとを含む。
【0050】
前方壁部112fの中のウィンドウが、とりわけ、機械加工アセンブリ120を含有するエンクロージャ114を見るために使用され得る。この機械加工アセンブリ120は、少なくとも1つのツール・ホルダ122、スピンドル124、及びカウンタ・スピンドル125を含む。1つ又は複数のツール・ホルダ122は、下記に見られるように、電動式の移動可能なスライド又はコームの上に取り外し可能に装着される。
【0051】
機械加工アセンブリ120は、移動可能なスライド130の上に装着されている。図では、この移動可能なスライド130は、引き出しの形態になっている。好ましくは、スライド130は、受容部を形成しており、受容部は、任意の潤滑液体、とりわけ、オイル、及び、機械加工アセンブリによるワークピースの機械加工から結果として生じる材料の切粉を回収することが可能である。前記移動可能なスライド130がエンクロージャ114から外へ移動されること、及び、エンクロージャの中へ移動して戻されることを可能にするために、前記スライドは、ガイド手段132の上に装着されている。とりわけ、これらのガイド手段132は、レールの形態であることが可能である。
【0052】
機械加工アセンブリ120は、サポート・ベース126の上に配置されており、サポート・ベース126の上には、スピンドル124及びカウンタ・スピンドル125が、取り外し可能な1つ又は複数のツール・ホルダ122とともに装着されている。サポート・ベース126は、移動可能なスライド130の上に直接的に受けられる。したがって、単に、サポート・ベース126を移動可能なスライド130から分離させ、別の機械加工アセンブリ120を装備している新しいサポート・ベース126を同じ場所に位置決めすることによって、機械加工モジュールの完全な機械加工アセンブリ120を変更させることが可能であるということがわかる。
【0053】
また、機械加工モジュール110は、電気的なキャビネットを含み、電気的なキャビネットは、図には示されていないが、たとえば、後方壁部112eの上に位置付けされている。この電気的なキャビネットは、エンクロージャ114の中に、又は、エンクロージャ114の外側に配置されている。また、エンクロージャ114は、移動可能なスライド130の下に切粉トレイ128を含み、また、切粉トレイ128の下にオイル・パン129を含む。専用トレイ128及びパン129の中にオイル及び切粉を回収するために、スライド130の底部は、孔部が設けられている。スライドに固定されたシュートが、切粉をガイドするために設けられ得る。
【0054】
また、機械加工モジュール110には、ヒューム抽出システムが設けられており、ヒューム抽出システムは、エンクロージャの中に存在しており、ヒューム抽出煙突140を装備している。
【0055】
それぞれの機械加工モジュール110の動作の状態を視覚的に制御することを助けるために、有利には、信号ランプ142(図1から図3を参照)などのような、動作の状態の視覚的なインジケータが設けられている。
【0056】
機械加工モジュール110は、機械加工されることとなるバーのマガジン127をさらに含み、マガジンは、機械加工アセンブリ120の後方において、エンクロージャ114の中に位置している。機械加工されることとなるバーのこのマガジン127は、武器カートリッジ・マガジンと同じ方式で、バーを1本ずつ機械加工アセンブリ120に供給する。したがって、機械加工されることとなるバーのこのマガジン127は、機械加工アセンブリ120のためのバー・フィーダを形成し、機械加工モジュール110の後方から(図の中の右側)、原材料を伴うワークピース・キャリア123を供給する。既に準備ができている、異なる直径及び/又は異なる材料のバーのバッチは、オペレータが迅速に及び容易にマガジン127を再び装填することを可能にする。
【0057】
バーは、好ましくは、長さが1メートルよりも短い。機械加工されることとなるバーが極めて短いときには、マガジン127のフロア空間要件が低減されるだけでなく、バーの機械加工の間の振動も低減され、それは、機械加工プロセスの安定性、したがって、良好な品質の機械加工を確実にする。そのうえ、短いバーは、任意の特定のガイディングを必要とすることなく、ワークピース・キャリア123まで前方へ移動され得る。
【0058】
図2は、本発明の実施形態によるセット・アップ・モジュール210を示している。このセット・アップ・モジュールのエレメントの数は、機械加工モジュール110のものと同様又は同一であり、さらに詳細には説明されないこととなる。セット・アップ・モジュール210は、とりわけ、スライド230を含み、スライド230は、保護カバー212の中で移動可能であり、機械加工エレメントの取り外し又は挿入、とりわけ、下記に詳述されているそのワークピース・キャリア、カウンタ・スピンドル225、及びツール・ホルダを備えた、スピンドル124と同様のスピンドルの取り外し又は挿入を可能にする。エレメント240は、ヒューム抽出煙突であり、242は、セット・アップ・モジュールが動作しているか又は停止されているかということを示すライトである。図1に関連して説明されている機械加工モジュールのすべての他のエレメントが、セット・アップ・モジュールの中に存在していることが可能である。このモジュールは、大量のワークピースを大量生産するように意図されていないが、それにもかかわらず、高速生産又は大量生産を意図した特定のエレメントを簡略化することが可能である。たとえば、より小さい又はより遅いバー・フィーダ、より小さいオイル回収パン及び空気回収コンテナなどを提供することが可能である。
【0059】
そのうえ、セット・アップ・モジュール210は、前記セット・アップ・モジュールの上で機械加工をセット・アップし、作り出されるワークピースの品質をチェックするために、少なくとも1つの高解像度カメラ及び/又は少なくとも1つのセンサを含む(機械加工モジュール110には設けられていない)。このセンサは、1つ又は複数の高解像度及び/又は高周波カメラなどに基づいて、たとえば、フィーラー、表面インジケータ、ゲージ、高さ測定コラム、ビジョン・システムを含むことが可能である。測定結果は、1つ又は複数のスクリーン261の上に表示され得る。
【0060】
ツールは、ツール・グループ1220の中に分配されており、それぞれのツール・グループは、互いに隣り合った1つ又は複数のツールを含む。1つ又は複数のツール・グループは、同じツール・ホルダ122に固定されている。マシンは、いくつかのツール・ホルダ122を含むことが可能である。前記ツール・ホルダのうちの少なくとも1つは、たとえば、ピンを使用して、セット・アップ・モジュール210又は機械加工モジュール110の移動可能なスライド(コームと称される)の上に取り外し可能に装着されている。これは、図3に概略的に示されているように、ツール・ホルダ122を一方のモジュールから他方のモジュールへ移送することが可能であるということを意味している。同様に、ワークピース・キャリア123は、取り付けデバイス1232を使用して、セット・アップ・モジュール210及び機械加工モジュール110の上に取り外し可能に装着され、それが一方のモジュールから他方のモジュールへ移送され得るようになっている。位置補正デバイスは、有利には、下記に開示されているように、ワークピース・キャリアに対するツール・ホルダ又はそれぞれのツール・ホルダの相対的位置を補償するために使用され得る。
【0061】
1つ又は複数のツールは、対応するツール・ホルダの上に取り外し可能に装着され得る。ツール・ホルダ122に対するそれぞれのツールの相対的位置、及び/又は、カッティング・エッジの位置は、たとえば、設置エラーの場合に、測定及び補正エレメントによって適切な数値的補正を適用するために、数値的に測定されて記憶され得、測定及び補正エレメントは、それ自体は知られており、ツール・ホルダの位置補償手段とは異なっている。
【0062】
ワークピース・キャリア123は、たとえば、ガイド・ブッシュを含むことが可能であり、すなわち、それ自身で材料を保持することができるスピンドル、マンドレル、又はクランプによって保持される材料のバーをガイドすることができるエレメントを含むことが可能である。有利には、ワークピース・キャリアは、クランプへ変換され得るガイド・ブッシュを含むことが可能である。
【0063】
したがって、機械加工平面をセット・アップした後に、取り外し可能なツール・ホルダ122及び取り外し可能なワークピース・キャリア123は、セット・アップ・モジュール210から機械加工モジュール110へ移送され得る。これは、セット・アップの間にテスト及び承認された品質及び結果が得られることを可能にしたツール・ホルダ及びワークピース・キャリアによって、機械加工が実施されることとなるということを確実にする。このように、ツール・ホルダの変更から結果として生じる不具合、又は、ワークピース・キャリアを変更することから結果として生じる不具合が回避される。有利には、特定のワークピースのセット・アップのために使用されたツール・ホルダ及びワークピース・キャリアが、前記ワークピースに関連付けられ、また、在庫の中のワークピースのワークピース・プログラムと関連付けられ、前記ワークピースを機械加工するためだけに使用される。このキットは、前記ワークピースの2つのバッチの機械加工の間に保管されている。
【0064】
図4は、2つのツール・ホルダ122及び1つのワークピース・キャリア123を、モジュールの上に、たとえば、セット・アップ・モジュール又は機械加工モジュールの上に装着することを、概略的に示している。それぞれのツール・ホルダ122は、電動式の様式でその位置を移動及び補正することができるように、取り付けデバイス1223によって、モジュール110又は210のスライド(コーム)に取り付けられている。したがって、スライドに対するツール・ホルダ122の位置決めのエラー、又は、セット・アップ・マシンの上での位置決めに対する位置決めの差は、対応する様式でスライドの移動を修正することによって補償される。
【0065】
それぞれのツール・ホルダ122は、位置決め基準1221をさらに含み、たとえば、それに限定されないが、下記に開示されているように、ターゲット・キャリア1222の上に装着されている光学的なターゲットをさらに含む。有利には、マシンがいくつかのスライド(コーム)の上にいくつかのツール・ホルダ122を含むときに、いくつかの異なる位置決め基準が設けられることとなる。同様に、ワークピース・キャリア123は、取り付けデバイス1232によって装着されており、また、位置決め基準1231、たとえば、下記に詳述されている別の光学的なターゲットを含む。それぞれのツール・ホルダ及びワークピース・キャリアにリンクされた位置決め基準の相対的位置決めは、たとえば、フレームにリンクされたビジョン・システムによって制御され得、それは、位置決め基準1221と1231との間で、X軸及びY軸に沿って距離を測定することを可能にする。有利な実施形態では、システムは、所定の方向へのツール・ホルダ・スライド移動を制御し、イメージの中で測定される移動の実際の方向とターゲット方向との間の差シータを測定する。したがって、X軸及びY軸の直交性エラーを補償することを可能にする。
【0066】
セット・アップの間に使用された値に対応する、ツール・ホルダ及びワークピース・キャリアの相対的位置決め及び配向を機械加工の間に得るために、このように測定される位置決め及び移動の方向のエラーは、たとえば、前記ツール・ホルダの軸線によって補償される。
【0067】
図5は、2つの位置決め基準1221及び1231の部分的な断面の斜視図を示しており、2つの位置決め基準1221及び1231は、ツール・ホルダ及びワークピース・キャリアにそれぞれリンクされており、それらがモジュール110又は210のうちの1つの上に装着されるときに重ね合わせられる。モジュール110又は210のフレームにリンクされている固定位置決め制御デバイス121が、2つのターゲット1221及び1231の間の正しい相対的位置決めをチェックするために使用され得、また、セット・アップ・マシンの上で使用される位置決めに対するこの位置決めの任意のエラー又は差を補償するために使用され得る。位置決め制御デバイス121は、顕微鏡レンズを設けられたカメラから構成することが可能であり、又は、異なる重ね合わせられた光学的なターゲット1221及び1231のイメージをキャプチャすることができ、それらの相対的位置決めをチェックするようになっている光学的なシステムから構成することが可能である。したがって、コンピュータ化されたビジョン・システムが、距離x、y、及び、ターゲット1221と1231との間の移動方向シータのエラーを測定するために使用され得、前記エラーを補償するようになっている。
【0068】
また、あまり有利ではないが、ツール・ホルダ又はワークピース・キャリアに固定された位置決め制御デバイス、たとえば、カメラを設けるということも可能である。しかし、この解決策は、それぞれのツール・ホルダ又はキャリアに関して、制御デバイスを必要とする。
【0069】
また、同様に、カウンタ・スピンドル125の上のワークピース・キャリアにリンクされたターゲットと、カウンタ動作で1つ又は複数のツール・ホルダにリンクされたターゲットとを設けることも可能であり、互いに対する、及び/又は、メイン・ワークピース・キャリア123に対する、これらのエレメントの位置決めを制御するようになっている。
【0070】
図6は、ワークピース・キャリア123(たとえば、ガイド・ブッシュ又はスピンドル)に関連付けられたターゲット1231と、1つ又は複数のツール・ホルダ122に関連付けられた1つ又は複数のターゲット1221との重ね合わせを概略的に示している。示されているように、ワークピース・キャリアに関連付けられたターゲット1231は、ガイド・ブッシュ123に対してオフセットされた位置に装着されており、それにもかかわらず、前記ターゲットの軸線は、ガイド・ブッシュの軸線と平行になっている。同様に、それぞれのツール・ホルダ122の上に装着されているターゲット1221は、ターゲット・キャリア1222によってオフセットされている。ツール・ホルダの位置補正デバイスは、モータ1224を含み、モータ1224には、エンコーダ1225が設けられており、エンコーダ1225は、X軸に沿って、それぞれのツール・ホルダの位置Xを補正するために使用され得、機械加工の間にツール・ホルダを移動させ、ターゲット1221−1231の任意のX位置決めエラーを考慮するようになっている。同様に、エンコーダ1227を設けられたモータ1226が、Y軸に沿って、それぞれのツール・ホルダの位置Yを修正するために使用され得、ターゲット1221−1231の任意のY位置決めエラーを補正するようになっている。エレメント1220は、X及びYに沿って移動可能なツール・ホルダの上のツール・グループであり、一方、前記ツール・ホルダの上に装着されているツールのうちの1つの先端部は、基準1228によって示されている。示されているように、ツール・ホルダの基準に対するこの先端部の位置は、コンピュータによって測定及び記憶され得る。また、X−Y平面における配向の補正が、予測され得る。
【0071】
ターゲット1221及び1231は、たとえば、十字形状若しくは星形形状のパターンを含むことが可能であり、又は、線形のX軸及びY線に沿って、重ね合わせられたターゲットのアライメントをチェックすること、並びに、ワークピース・キャリアにリンクされている、座標規準系におけるターゲット1231の移動方向シータをチェックすることを助ける他のパターンを含むことが可能である。これらのパターンは、たとえば、ガラス基板の上のフォトリソグラフィーによってプリントされ得る。また、それぞれのターゲットに関する一意的な識別、たとえば、シリアル番号、バーコード、データグラムなどをプリントすることが可能であり、それぞれのターゲットを容易に識別するようになっており、したがって、前記ターゲットに関連付けられたツール・ホルダ又はワークピース・キャリアを容易に識別するようになっており、したがって、特定のワークピースがツール・ホルダ及び関連のワークピース・キャリアによって正しく機械加工されることを確実にする。また、一意的なツール・ホルダ識別は、数値制御1211のコンピュータ・メモリの中において、前記ツール・ホルダと関連付けられたパラメータ、たとえば、オフセット値、ゼロ値などを見出すために使用され得る。
【0072】
図7は、位置決め検証システムの実施形態を概略的に示している。この例では、位置決め制御デバイスは、ターゲット1221及び1231の一方の側部に、顕微鏡レンズ1213及びCCDカメラ121を含み、ターゲットの他方の側部に、照明1212を含む。照明1212によって発生される光は、重ね合わせられたターゲットを通過し、CCDカメラ121に到達し、CCDカメラ121は、レンズ1213によって拡大されたイメージ又はイメージのシーケンスをキャプチャする。ビジョン・モジュール1210、たとえば、コンピュータ・プログラムは、ターゲットのアライメントをチェックするために、CCDカメラによってキャプチャされたイメージを処理する。このモジュールによって提供される結果は、数値制御1211に送信され得、数値制御1211は、セット・アップ・モジュール又は機械加工モジュールを制御し、また、モータ1226及び1224を制御するために使用され得、観察されるエラーを補償するように、機械加工の間に、1つ又は複数のツール・ホルダを移動させるようになっている。また、たとえば、マイクロメータ・スクリューを使用して、マニュアル位置補正メカニズムが実装され得る。変形例では、セット・アップ・モジュールの中の位置決めエラーは、補正されないか、又は、完全には補正されないが、問題のターゲットに関して記憶され、機械加工モジュールの上での生産の間にこのエラーを再現するようになっている。
【0073】
図8は、位置決め検証システムの別の実施形態を概略的に示している。この例では、位置決め制御デバイスは、同軸の照明を備えた顕微鏡レンズ1214を含み、また、ターゲット1221及び1231に対して同じ側部にCCDカメラ121を含む。照明によって発生される光は、重ね合わせられたターゲットによって反射され、CCDカメラ121に到達し、CCDカメラ121は、レンズ1214によって拡大されたイメージ又はイメージのシーケンスをキャプチャする。上記のように、ビジョン・モジュール1210、たとえば、コンピュータ・プログラムは、ターゲットの位置決めをチェックするために、並びに、数値制御1211を介して補正を実施又は記憶するために、CCDカメラによってキャプチャされたイメージを処理する。
【0074】
他の位置決め基準も、ワークピース・キャリアに対する1つ又は複数のツール・ホルダの位置決めをチェックするために予測され得る。非限定的な例として、容量式システム、誘導式システム、若しくは磁気抵抗システム、又は機械的なフィーラーが、このために実装され得る。
【符号の説明】
【0075】
110 機械加工モジュール
112、212 保護カバー
112a 側壁部
112b 側壁部
112c 上部壁部
112d フレームにリンクされている底部壁部
112e 後方壁部
112f 前方壁部
114 エンクロージャ
120 機械加工アセンブリ
121 位置決め制御デバイス
1210 ビジョン・モジュール
1211 数値制御
1212 照明
1213 顕微鏡レンズ
1214 同軸の照明を備えたレンズ
122 取り外し可能なツール・ホルダ
1220 ツール・グループ
1221 ツール・ホルダの位置決め基準、たとえばターゲット
1222 ターゲット・キャリア
1223 ツール・ホルダ取り付けデバイス
1224 ツール・ホルダのX位置補正デバイス(モータ)
1225 モータ1224のエンコーダ
1226 ツール・ホルダのY位置補正デバイス(モータ)
1227 モータ1226のエンコーダ
1228 ツールのうちの1つの先端部
123 ワークピース・キャリア(ガイド・ブッシュ、マンドレル及び/又はクランプ)
1231 ワークピース・キャリアの位置決め基準、たとえばターゲット
1232 ワークピース・キャリア取り付けデバイス
124 スピンドル
125、225 カウンタ・スピンドル
126 サポート・ベース
127 機械加工されることとなるバーのマガジン
128、228 切粉トレイ
129 オイル・パン
130、230 移動可能なスライド
132 ガイドレール
140、240 ヒューム抽出煙突
142、242 信号ランプ
210 セット・アップ・モジュール
260 センサ又はカメラ
261 スクリーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8