(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施形態>
【0019】
<冷蔵庫の概要>
本実施形態では、本発明の一例として、本発明の一局面の扉付き収容システムを飲料供給システムに適用した構成を例に挙げて説明する。また、本実施形態では、飲料供給システムが、冷蔵庫に内蔵された構成の一例について説明する。但し、本発明の一局面の飲料供給システムは、必ずしも冷蔵庫に内蔵されていなくてもよい。まず、本実施の形態にかかる飲料供給システム10が搭載される冷蔵庫1の概要について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる飲料供給システム10を搭載する冷蔵庫1を示す正面図である。
【0020】
本実施の形態にかかる冷蔵庫1は、上部に冷蔵室を、下部に冷凍室を搭載する。
図1に示すように、冷蔵庫1は、4つの扉を有している。具体的には、上部の冷蔵室に、観音開き式の扉(右側扉)2および扉(左側扉)3が設けられている。同様に、下部の冷凍室にも、観音開き式の扉が設けられている。また、冷蔵庫の各扉には、取っ手4がそれぞれ設けられている。そして、冷蔵庫1の冷蔵室用の正面から見て右側の扉2に、飲料供給システム10が搭載される。
【0021】
但し、飲料供給システム10が搭載される冷蔵庫1は、4つより少ない扉を有するものであってもよいし、4つより多い扉を有するものであってもよいし、冷蔵室が下段や中段に配置されるものであってもよい。
【0022】
図1では、飲料供給システム10の非使用時の状態を示している。
図1に示すように、非使用時の状態では、飲料供給システム10の回転扉21が冷蔵庫1の正面側に位置している。つまり、飲料供給システム10の注水機構は、回転扉21(扉)の裏側に配置され、見えない状態となっている。回転扉21の近傍には、物体検知センサ22が設けられている。
【0023】
また、冷蔵庫1の正面には、表示パネル23が設けられている。表示パネル23の位置は特に限定はされないが、本実施形態では、表示パネル23は、冷蔵室の左側の扉3の表面に配置されている。表示パネル23はタッチパネル式の表示装置であって、操作パネル(操作部)として機能することもできる。したがって、使用者は操作パネルから冷蔵庫1の運転モードや、飲料供給システム10の動作モードなどを変更することができる。
【0024】
物体検知センサ22は、その周囲に飲料供給システム10を使用する使用者の手などが近づいたり、当該センサに使用者の手が触れたりしたことを検知する。なお、物体検知センサ22は、例えば、静電容量式の非接触センサで構成される。例えば、物体検知センサ22は、検出対象の物体との距離に応じて出力電圧が変化するような近接センサであってもよい。これにより、冷蔵庫1の扉2の表面に手やグラスが接触して、汚れが付着することを抑えることができる。しかし、本発明はこれに限定はされず、回転扉の近傍に物体が存在するか否かを検知する検知部は、接触式のセンサ、押しボタンなどで構成してもよい。
【0025】
また、表示パネル23内には、人感センサ24が備えられている。人感センサ24は、冷蔵庫1の周辺に人が存在しているか否かを検知する。人感センサ24は、例えば、光電センサなどの非接触式センサで構成される。
【0026】
物体検知センサ22および人感センサ24の検知結果は、飲料供給システム10に備えられた制御部40(
図5参照)に送信される。そして、制御部40は、各センサの検知結果に基づいて回転扉21の開閉を制御する。例えば、物体検知センサ22が、使用者の手が近づいたこと又は触れたことを検知した場合には、制御部40は、回転扉21を閉状態から開状態へと移行させる。また例えば、人感センサ24が人の存在を検知している間は、飲料供給システム10が使用中であるか否かにかかわらず、制御部40は、回転扉21を開状態に維持することができる。
【0027】
図2は、冷蔵室用の右側の扉2部分の正面図である。
図3は、冷蔵室用の右側の扉2部分の斜視図である。
図2及び
図3では、飲料供給システム10の使用時の状態を示す。なお、飲料供給システム10の水タンク70は、扉2の裏側に配置されており、正面からは見えない状態となっているが、
図2では、便宜上、水タンク70を破線で示している。
【0028】
飲料供給システム10は、物体検知センサ22が使用者の手などを検知すると、回転扉21が水平方向に回転して、注水機構が正面に現れるように構成されている(
図4参照)。回転扉21が回転すると、
図2及び
図3に示すように、飲料供給システム10を構成する底部15(水受け)、背面板17、側面板19、注水レバー(レバー)32などが正面に現れる。
【0029】
そして、使用者の操作に基づいて、冷蔵室内において冷やされた水タンク70内の水が、注水口31(吐出部の吐出口)から吐出される。本実施の形態では、例えば、使用者がグラスなどの容器(被給水部材)で注水レバー32を背面板17側へ押すことで、グラス内へ水が供給される。なお、本実施形態では、注水レバー32の略中央部に開口部32aが形成されている。
【0030】
また、本実施形態の飲料供給システム10には、除菌ユニット50が備えられている。回転扉21が開状態のときには、除菌ユニット50は、背面板17および回転扉21の裏側に存在する(
図7参照)。すなわち、回転扉21が開状態のときには、注水口31と除菌ユニット50との間に、回転扉21および背面板17が介在する。そのため、回転扉21が開状態のときには、除菌ユニット50は、正面からは見えない状態となっているが、
図2では、便宜上、除菌ユニット50を破線で示している。除菌ユニット50などを含む飲料供給システム10のより詳細な構成については、後述する。
【0031】
物体検知センサ22の設置場所は特に限定されないが、本実施の形態では、飲料供給システム10の左隣りに配置されている。そして、物体検知センサ22が使用者を検知すると、
図4(a)から(c)に示すように、飲料供給システム10の回転扉21は左回りに回転し、左側から注水機構が現れる。これにより、グラスGなどを手に持った使用者は、物体検知センサ22の正面付近から横方向に手を移動させることで、容易に注水機構に手を近づけることができる。
【0032】
この構成によれば、飲料供給システムの利便性がより向上する。なお、飲料供給システムの回転扉が右回りに回転する構成の場合には、飲料供給システムの右隣に物体検知センサを設けることが好ましい。このように、飲料供給システムの回転方向に合わせて、物体検知センサが配置されていることが好ましい。
【0033】
上述した冷蔵庫における飲料供給システムの配置位置は、本発明の一例であり、本発明はこれに限定はされない。また、飲料供給システムの回転扉を開閉するための物体検知センサの配置位置についても、本実施形態の位置に限定はされない。
【0034】
<飲料供給システムの構成>
次に、本実施の形態にかかる飲料供給システム10の構成について詳述する。
図5には、飲料供給システム10の内部構成を示す。
図6および
図7は、
図2に示す飲料供給システム10のA−A線での断面図である。
図8および
図9は、
図2に示す飲料供給システム10のB−B線での断面図である。
図6および
図9は、回転扉21が閉状態の場合を示す。
図7および
図8は、回転扉21が開状態の場合を示す。また、
図10には、使用者Uが近づいたときの飲料供給システム10の動作を、(a)から(e)に順に示す。
【0035】
飲料供給システム10は、扉2の表面に形成された開口部に対して位置決めされるように、各部品が取り付けられる。すなわち、飲料供給システム10は、扉2の内部を抉るようにして配置されている。
【0036】
飲料供給システム10は、前面カバー12と背面カバー13とでその外形が形成されている。
図8などに示すように、背面カバー13の裏側(冷蔵室に面する側)には、断熱材14が配置されている。断熱材14には、発泡スチロール(発泡ポリスチレン)、発泡ウレタン(ウレタン吹き付け)、真空断熱材などの従来から用いられている断熱性材料を使用することができる。前面カバー12と背面カバー13との間には、その横断面が略半円形状の空間が形成される。この空間内には、給水室(収容室)10aが設けられている。給水室10aの内部に、水タンク70内の水を使用者UのグラスGなどへ吐出するために注水機構30(吐出部)が収容される。
【0037】
また、
図8などに示すように、背面カバー13の背面側には、除菌ユニット50が備えられている。除菌ユニット50は、断熱材14の一部をくり抜いて得られた空間に設置されている。本実施形態では、除菌ユニット50は、正面から見て給水室10aの略中央部に位置するように、配置されている(
図2参照)。ただし、除菌ユニット50の配置位置は、これに限定はされない。
【0038】
給水室10aは、主な構成部材として、底部15、上部取付部材16、背面板17、側面板19(右側面板19R、左側面板19L)、および回転軸18を備えている。底部15、上部取付部材16、背面板17、および側面板19によって、給水室10a内の空間が規定される。
【0039】
底部15は、給水室10aの底面を形成する。底部15は、注水口31やグラスGなどからこぼれた水などの飲料を受ける水受けとして機能する。底部15の下面には、回転軸18が配置されている。回転軸18は、前面カバー12に対して回転自在に取り付けられている。これにより、給水室10aは、回転中心Cを軸に回転することができる(
図10参照)。
【0040】
上部取付部材16は、給水室10aの上方に位置する。
図7などに示すように、上部取付部材16の上部には、上部回転軸61が設けられている。上部回転軸61は、回転軸18と同軸上に配置される。また、上部回転軸61は、給水室10aの回転を駆動する駆動モータ62(
図5参照)と接続されている。
【0041】
背面板17は、給水室10aの背面を構成する。回転扉21は、背面板17と重ねられている。回転扉21の表面は、飲料供給システム10が非使用の状態のとき、冷蔵庫1の正面に位置する(
図1参照)。そのため、回転扉21の表面は、扉2の表面を構成する素材と同じ素材で形成されていることが好ましい。
【0042】
注水機構30は、給水室10aの上方(すなわち、上部取付部材16によって形成された空間)に配置されている。注水機構30は、注水口31、注水レバー32、パイプ33、及び、支持部材34を備えている。注水レバー32には、開口部32aが形成されている。開口部32aは、後述する除菌ユニット50から放出された除菌用物質(例えば、除菌イオン)を通過させて、注水口31へと導く。
【0043】
本実施形態の飲料供給システム10では、注水レバー32に対して前方から負荷がかけられていない状態(レバーが手前に位置している状態)のとき、注水口31が閉じた状態となっている。そして、注水レバー32に対して前方から負荷がかけられると(レバーを奥へ押すと)、注水口31の弁が開き、例えば、注水機構30の上方に配置された水タンク70からパイプ33を通じて注水される。支持部材34は、側方から注水機構30を支持する部材である。
【0044】
注水口31からの飲料水の供給は、水タンク70を上方に配置することで、水の重量による自然落下を利用して行うことができる。またあるいは、ポンプを利用して飲料水の供給を行ってもよい。ポンプを利用する場合には、注水の終了時にポンプを逆回転させることが好ましい。これにより、注水終了後に、パイプ33内に残留した水が注水口31からこぼれ出ることを抑えることができる。
【0045】
以上のような構成により、給水室10aは、回転軸18及び上部回転軸61からなる軸を中心に回転することができる。そして、例えば、物体検知センサ22が使用者の手が近づいたことを検知すると、駆動モータ62が駆動し、給水室10aを回転させることができる。これにより、非使用時は回転扉21の裏面側に位置する給水室10aが、
図2に示すように冷蔵庫1の正面側へ現れる。
【0046】
<除菌ユニットの構成>
また、本実施形態の飲料供給システム10には、給水室10a内における細菌、微生物などの発生および増殖を抑えるための除菌ユニット50が備えられている。除菌ユニット50は、背面カバー13の裏側に配置されている。
【0047】
除菌ユニット50は、イオン発生器51、ファン52、気体流路53などで構成されている。イオン発生器51は、除菌用物質の一種である除菌イオンを発生させる。ここで、除菌用物質には、細菌および微生物の発生および増殖を抑える効果(すなわち、除菌作用または抗菌作用)を有する化学物質、除菌作用または抗菌作用を有するイオン(原子または分子がプラスまたはマイナスの電荷を帯びたもの)、紫外線などの除菌作用または抗菌作用を有する光などが含まれる。除菌作用を有する化学物質としては、例えば、次亜塩素酸、エタノール、オゾンなどが挙げられる。また、除菌作用を有するイオンとしては、例えば、OHラジカル、H
+、O
2−などが挙げられる。
【0048】
例えば、イオン発生器51は、除菌作用または抗菌作用を促すための静電霧化装置であってもよい。静電霧化装置は、殺菌剤を含む液体を帯電部で静電霧化し、帯電した微粒子を水滴として噴霧する。静電霧化装置としては、例えば、特許文献(特開2005−270669)に開示されている液体噴霧装置などを用いることができる。
【0049】
また、イオン発生器51の代わりに、次亜塩素酸またはエタノールなどの化学物質を含む液体をイオン化することなく噴霧する噴霧装置を用いることもできる。
【0050】
ファン52は、気体流路53の内部に配置されている。ファン52が運転を開始すると、気体流路53と給水室10aとの間で気体が循環する。本実施形態では、ファン52は、
図6において矢印で示す方向に気体を循環させる。すなわち、放出口53aから給水室10aの上方へ向けて気体を送風する。そして、放出口53aの下方に設けられた吸入口53bから給水室10a内の気体を回収する。このように、ファン52を回転させて、給水室10aと気体流路53との間で気体を循環させることで、給水室10a内に溜まった水分を蒸発させやすくすることができる。
【0051】
気体流路53は、背面カバー13の裏側に位置する。気体流路53には、イオン発生器51から放出された除菌用物質を給水室10a内に流入させる放出口53aと、給水室10a内の気体を、除菌ユニット側へ流出させる吸入口53bとが設けられている。放出口53aおよび吸入口53bは、背面カバー13に開口部を設けることによって形成されている。これにより、回転扉21が閉状態のときには、気体流路53と給水室10aとが連通した状態になる。
【0052】
<回転扉および除菌ユニットの制御方法>
続いて、回転扉21および除菌ユニット50の動作について説明する。先ず、
図5を参照しながら、回転扉21および除菌ユニット50の動作に関わる構成を説明する。
【0053】
図5に示すように、飲料供給システム10は、表示パネル23、人感センサ24、物体検知センサ22、駆動モータ62、回転扉21、扉開閉検知スイッチ25、イオン発生器51、ファン52、制御部40、及びタイマ44などを備えている。上述したように、回転扉21は、給水室10aに取り付けられている。
【0054】
表示パネル23は、タッチパネル式の表示装置であって、操作パネル(操作部)として機能することもできる。したがって、使用者は表示パネル23から冷蔵庫1の運転モードや、飲料供給システム10の動作モードなどを変更することができる。使用者が表示パネル23に対して行った入力に基づく情報は、制御部40へ送信される。また、使用者が表示パネル23を操作することで、飲料供給システム10の回転扉21の開閉を行うこともできる。
【0055】
物体検知センサ22は、その周囲に飲料供給システム10を使用する使用者の手などが近づいたり、当該センサに使用者の手が触れたりしたことを検知する。物体検知センサ22が検知した情報は、制御部40へ送信される。
【0056】
人感センサ24は、冷蔵庫1の周辺に人が存在しているか否かを検知する。人感センサ24が検知した情報は、制御部40へ送信される。
【0057】
駆動モータ62は、回転扉21が取り付けられている給水室10aの上部回転軸61と接続されている。駆動モータ62は、給水室10aの回転を駆動する。
【0058】
扉開閉検知スイッチ25は、回転扉21が開状態であるか閉状態であるかを検知する。扉開閉検知スイッチ25は、例えば、回転扉21(または給水室10a)と冷蔵室の扉2とにそれぞれ設けられている。各位置に配置されているスイッチがON状態となっているか否かで、回転扉21が開状態であるか閉状態であるかを検知することができる。
【0059】
イオン発生器51およびファン52については、上述したように、除菌ユニット50を構成する。イオン発生器51およびファン52の運転は、制御部40内の除菌ユニット制御部42によって制御される。
【0060】
制御部40は、飲料供給システム10内の各構成部品と接続され、これらの制御を行う。制御部40内には、回転制御部41、除菌ユニット制御部42、及びメモリ43などが備えられている。制御部40は、冷蔵庫1本体の制御部とは独立して設けられていてもよいし、冷蔵庫1の制御部(図示せず)に、その構成の一部として設けられていてもよい。
【0061】
回転制御部41は、飲料供給システム10の回転扉21の開閉動作の制御を行う。例えば、回転制御部41は、物体検知センサ22から送信された信号に基づいて、回転扉21の動作を開始させたり停止させたりする。これにより、回転扉21は開状態となったり、閉状態となったりする。ここで、回転扉21が開状態であるとは、回転扉21の背面側に位置する給水室10aが冷蔵庫1の正面に露出した状態のことをいう。また、回転扉21が閉状態であるとは、回転扉21が冷蔵庫1の正面側に位置する状態のことをいう。回転扉21が閉状態の場合には、回転扉21の表面と冷蔵庫1の扉2の表面とが略面一の状態になっている。
【0062】
除菌ユニット制御部42は、除菌ユニット50内の構成部材(例えば、イオン発生器51、ファン52など)の運転の開始および停止を制御する。また、除菌ユニット制御部42は、ファン52の回転数を制御する。
【0063】
メモリ43は、ROM(read only memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。メモリ43は、飲料供給システム10の動作プログラムや設定データを記憶するとともに制御部40による演算結果を一時記憶する。タイマ44は、飲料供給システム10内の各ユニットの動作時間や、あるユニットが動作を停止してから別のユニットが動作を開始するまでの時間を計測する。例えば、タイマ44は、回転扉21の開閉動作の所要時間を計測する。
【0064】
本実施形態の飲料供給システム10では、回転扉21の開閉は、物体検知センサ22および人感センサ24の検知結果に基づいて制御される。さらに、回転扉21(すなわち、給水室10a)が、開状態であるか閉状態であるかによって、除菌ユニット50の運転(動作)の開始および停止の制御が行われる。具体的には、回転扉21が閉状態のときに、除菌ユニット50(すなわち、イオン発生器51およびファン52)が運転状態となる。また、回転扉21が開状態のときに、除菌ユニット50(すなわち、イオン発生器51およびファン52)が運転停止状態となる。
【0065】
以下に、飲料供給システム10の動作の流れを、
図4および
図10などを参照しながら説明する。
図10では、使用者の手の位置(
図10中、Uで示す)に応じて飲料供給システム10の給水室10aが回転し、給水室10aが正面に現れる様子を(a)〜(e)として順に示す。
【0066】
先ず、飲料供給システム10が非使用時の状態(給水を行わない状態)について、
図6および
図9を参照しながら説明する。飲料供給システム10が非使用時の状態では、回転扉21は、冷蔵庫1の正面側に位置している。このとき、
図9に示すように、給水室10aは、除菌ユニット50と向き合うような位置関係となる。つまり、飲料供給システム10が非使用時のときには、給水室10a内の空間は、前面カバー12、背面カバー13、および回転扉21によって、ほぼ閉鎖された状態となっている。
【0067】
そして、この状態のとき、扉開閉検知スイッチ25は、除菌ユニット制御部42に対して、回転扉21が閉状態であるという情報を送信する。除菌ユニット制御部42では、回転扉21が閉状態であるという情報を受信している間は、除菌ユニット50を運転状態とする。すなわち、イオン発生器51から除菌用物質(例えば、+イオンおよび−イオン)を発生させるとともに、ファン52を回転させる。これにより、気体流路53の放出口53aから給水室10aへ向けて除菌用物質が放出される(
図6参照)。
【0068】
なお、本実施形態では、気体流路53の上流側(すなわち、ファン52、イオン発生器51、および放出口53aが設けられている側)が、気体の流れに沿って上方へ傾斜している。そのため、放出口53aから給水室10aへ放出された除菌用物質を、
図6の矢印で示すように、給水室10aの上方(すなわち、注水口31の配置位置)へ向けて送ることができる。これにより、注水口31周辺での雑菌の発生および増殖を抑えることができる。
【0069】
さらに、本実施形態では、気体の送風方向に沿って、除菌ユニット50と注水口31との間に位置する注水レバー32に開口部32aが形成されている。この構成により、放出口53aから放出された除菌用物資は、開口部32aを通過して、注水口31の周囲に送られる。そのため、除菌ユニット50から放出された除菌用物質をより効率的に注水口31へ送ることができる。
【0070】
その後、
図4(a)および
図10(a)に示すように、水を飲みたい使用者Uは、例えば、グラスGなどを持った状態で、物体検知センサ22の正面に手をかざす。このとき、物体検知センサ22が検知した情報は、制御部40内の回転制御部41および除菌ユニット制御部42へ送信される。
【0071】
そして、先ず、除菌ユニット制御部42は、除菌ユニット50(すなわち、イオン発生器51およびファン52)の運転を停止する。
【0072】
そして、制御部40において、除菌ユニット50が運転を停止したことを確認すると、回転制御部41は、駆動モータ62の回転を開始させる。すると、
図10(b)に示すように、飲料供給システム10は、その回転中心Cを軸として、左回りに回転を始める。これにより、回転扉21の裏面に隠れていた給水室10aが、
図10(c)から
図10(d)に示すように、冷蔵庫1の扉2の開口部の左側から徐々に正面に表れる(
図4(b)参照)。この給水室10aの露出に合わせて、使用者Uは、給水室10aへ手をスライド移動させることができる。そして、
図4(c)および
図10(e)に示すように、給水室10aを構成する注水レバー32が正面に位置したところで、回転動作は停止する。
【0073】
なお、回転制御部41が駆動モータ62の回転を開始させた後に、除菌ユニット制御部50が除菌ユニット50の運転を停止させてもよい。この場合は、
図4(c)および
図10(e)に示すように、給水室10aを構成する注水レバー32が正面に位置するまでに、除菌ユニット50の運転が停止していることが好ましい。これにより、物体検知センサ22が使用者の存在を検知してから、給水室10aの回転扉21が開く動作が開始するまでのレスポンス時間を短縮させることができる。
【0074】
このように、本実施の形態の飲料供給システム10では、飲料供給システム10の左隣りに物体検知センサ22が配置されている(
図1参照)とともに、飲料供給システム10が左回りに回転する構成となっている。つまり、飲料供給システム10は、物体検知センサ22が配置されている側から給水室10aが現れるような構成となっている。そのため、グラスを手に持った使用者Uは、物体検知センサ22の正面から、そのまま右方向へ手をスライドさせることで、給水室10aの底部15にグラスGを置くことができる。
【0075】
このとき、
図7および
図8に示すように、給水室10aは、冷蔵庫1の正面を向き開放状態となる。すなわち、回転扉21が開状態のときに、注水機構30と除菌ユニット50(具体的には、除菌ユニット50の放出口53aおよび吸入口53b)との間に、回転扉21が介在する。そのため、使用者が注水作業を行っているときに、万一水が給水室10a内に飛散した場合にも、除菌ユニット50の放出口53aおよび吸入口53bへ水が浸入する可能性を低下させることができる。
【0076】
給水作業が終了すると、使用者は、給水室10aから離れる。このとき、表示パネル23内に設けられている人感センサ24が、冷蔵庫1の周辺の人の有無を検知する。そして、人感センサ24が、冷蔵庫1から所定の距離以上人が離れたことを検知すると、この情報が、制御部40内の回転制御部41へ送信される。回転制御部41は、この情報を受けて、回転扉21(給水室10a)を、上述した回転動作と反対の方向(すなわち、右回り)に回転させる。これにより、給水室10aは、
図10(e)から(a)に示す状態へ順に移行し、最終的に、
図10(a)に示す状態となる。
【0077】
その後、例えば、タイマ44が時間を計測し、所定時間が経過すると、除菌ユニット制御部42は、除菌ユニット50の運転を開始させる。なお、除菌ユニット50は、回転扉21が閉状態の間、運転を継続することもできるし、タイマ44によって時間を計測し、一定期間経過した後に運転を停止したり、その後さらに運転を再開したりすることもできる。
【0078】
<第1の実施形態のまとめ>
以上のように、本実施の形態の冷蔵庫1には、飲料供給システム10が搭載されている。飲料供給システム10は、水平方向に回転する給水室10aを備えている。そして、飲料供給システム10は、非使用時の状態では、回転扉21の裏面に給水室10aが隠されており、使用時の状態では、回転扉21が回転し給水室10aが正面に露出する構成となっている。
【0079】
したがって、本実施形態の飲料供給システム10の構成によれば、非使用時の状態では、給水室10aが外部に露出することがないため、注水口31に埃や汚れなどが付着することを抑えることができる。そのため、より衛生的な飲料供給システムを提供できる。
【0080】
また、飲料供給システム10が非使用の状態では、給水室10aの注水機構が外部に露出していないため、装置外観の意匠性を向上させることができる。特に、本実施形態の飲料供給システム10では、冷蔵庫1の扉2と飲料供給システム10の回転扉21とが、略同一面上に位置するため、非使用時における冷蔵庫1の美観をより向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態の飲料供給システム10には、除菌ユニット50が備えられている。そのため、給水室10a内で細菌および微生物などの繁殖を抑えることができ、より衛生的な飲料供給システムを提供できる。
【0082】
また、本実施形態の飲料供給システム10では、除菌ユニット50は、回転扉21が閉状態のときに除菌用物質を給水室10a内に放出する。これにより、給水室10a内に放出される除菌用物質が、開放空間へ放出される可能性を低下させることができる。そのため、給水室10a内において、除菌用物質の濃度を適切な範囲に維持しやすくなる。すなわち、給水室10a内の除菌用物質の濃度を、望ましい除菌効果が得られる濃度にすることができる。また、給水室10a内の除菌用物質の濃度を、安全上問題のない濃度に維持することができる。
【0083】
また、例えば、オゾンなどのように、除菌用物質には特有の臭いを有するものもある。開放空間に対してこのような除菌用物質を放出すると、臭いが拡散する可能性が高くなる。これに対して、本実施形態の飲料供給システム10によれば、給水室10aが正面に露出しているときには、除菌ユニット50の運転は停止されるため、除菌用物質が開放空間へ拡散することが抑えられる。したがって、臭いが拡散する可能性も低下させることができる。例えば、除菌用物質にオゾンが含まれる場合には、給水室10a内の平均オゾン濃度を0.05ppm以下とすることが好ましく、給水室10a内の最大オゾン濃度を0.1ppm以下とすることが好ましい。
【0084】
また、本実施形態の飲料供給システム10では、物体検知センサ22が配置されている側から給水室10aの回転扉21が開くように構成されている。このように、物体検知センサ22の位置と、飲料供給システム10の回転方向とを合わせることで、飲料供給システム10の使用性を向上させることができる。なお、本実施の形態で説明した物体検知センサの位置、及び、飲料供給システムの回転方向は、本発明の一例であり、本発明はこれに限定はされない。例えば、物体検知センサを飲料供給システムの右隣に配置し、飲料供給システムを右回りに回転させる構成としてもよい。
【0085】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、冷蔵庫1に備えられた飲料供給システムの除菌ユニットの構成のみが、第1の実施形態とは異なる。そこで、以下では、第1の実施形態とは異なる構成に焦点を当てて説明する。
【0086】
図11および
図12には、第2の実施形態にかかる飲料供給システム110の構成を示す。
図11および
図12は、
図2に示す扉2のA−A線での断面構成を示すものである。
図11は、回転扉21が閉状態の場合を示す。
図12は、回転扉21が開状態の場合を示す。
【0087】
飲料供給システム110は、前面カバー12と背面カバー13とでその外形が形成されている。この空間内には、給水室(収容室)10aが設けられている。給水室10aの内部に、水タンク70内の水を使用者UのグラスGなどへ吐出するために注水機構30(吐出部)が収容される。給水室10aは、主な構成部材として、底部15、上部取付部材16、背面板17、側面板19(右側面板19R、左側面板19L)、および回転軸18を備えている。これらについては、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0088】
また、背面カバー13の背面側には、除菌ユニット150が備えられている。除菌ユニット150は、断熱材14の一部をくり抜いて得られた空間に設置されている。第1の実施形態と同様に、除菌ユニット150は、正面から見て給水室10aの略中央部に位置するように、配置されている(
図2参照)。
【0089】
除菌ユニット150は、イオン発生器151、ファン152、上方流路153、下方流路154、および循環流路155などで構成されている。イオン発生器151およびファン152は、第1の実施形態のイオン発生器51およびファン52と同様の構成が適用できる。
【0090】
上方流路153および下方流路154は、背面カバー13の裏側に位置する。上方流路153は、イオン発生器151から上方へ傾斜した流路を有する。上方流路153には、イオン発生器151から放出された除菌用物質を給水室10a内に流入させる放出口153aが形成されている。下方流路154は、イオン発生器151から下方へ傾斜した流路を有する。下方流路154には、イオン発生器151から放出された除菌用物質を給水室10a内に流入させる放出口154aが形成されている。循環流路155は、イオン発生器51の上流側に配置されている。循環流路155には、給水室10a内の気体を、除菌ユニット側へ流出させる吸入口155bが形成されている。放出口153a、放出口154a、および吸入口155bは、背面カバー13に開口部を設けることによって形成されている。
【0091】
この構成により、回転扉21が閉状態のときには、上方流路153、下方流路154および循環流路155と、給水室10aとが連通した状態になる。また、上方流路153は、イオン発生器151からの除菌用物質を斜め上方へ向けて放出する(
図11の矢印参照)。また、下方流路154は、イオン発生器151からの除菌用物質を斜め下方へ向けて放出する(
図11の矢印参照)。また、給水室10aの下方に設けられた吸入口155bから給水室10a内の気体を回収する。そして、ファン152を回転させて、給水室10aと各流路153・154・155との間で気体を循環させることで、給水室10a内に溜まった水分を蒸発させやすくすることができる。
【0092】
なお、第1の実施形態では、吸入口53bは、放出口53aと隣接するように、放出口53aのすぐ下に配置されていた。これに対して、第2の実施形態では、吸入口155bは、より下方(例えば、給水室10aの底部15と略同様の高さ)に配置されている。この構成により、給水室10aと各流路153・154・155との間で循環する気体を、給水室10aの下方により多く行き渡らせることができる。
【0093】
また、第1の実施形態と同様に、飲料供給システム110では、除菌ユニット150は、回転扉21が閉状態のときに運転を行って除菌用物質を給水室10a内に放出し(
図11参照)、回転扉21が開状態のときに運転を停止する(
図12参照)。これにより、給水室10a内に放出される除菌用物質が、給水室10a外の開放空間へ放出される可能性を低下させることができる。そのため、給水室10a内において、除菌用物質の濃度を適切な範囲に維持しやすくなる。
【0094】
以上のように、本実施の形態の飲料供給システム110では、除菌ユニット50に2つの放出口153aおよび154aが設けられている。これにより、給水室10aのより広範囲に向けて除菌用物質を放出することができる。より具体的には、放出口153aから放出された除菌用物質を、注水口31へ向けて放出することができる。また、放出口154aから放出された除菌用物質を、給水室10aの下方へ向けて放出することができる。
【0095】
なお、上記以外にも、例えば、イオン発生器を異なる場所に複数個設置し、給水室10aの異なる場所に対して除菌用物質を放出してもよい。また、ファンの送風方向を変更可能にして、給水室10aの多方向へ向けて除菌用物質を放出してもよい。このとき、注水機構30の注水口31と、水が溜まりやすい底部15とへ向けて、除菌用物質をそれぞれ放出させることが好ましい。
【0096】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、冷蔵庫1に備えられた飲料供給システムの除菌ユニットの構成のみが、第1の実施形態とは異なる。そこで、以下では、第1の実施形態とは異なる構成に焦点を当てて説明する。
【0097】
図13および
図14には、第3の実施形態にかかる飲料供給システム210の構成を示す。
図13および
図14は、
図2に示す扉2のA−A線での断面構成を示すものである。
図13は、回転扉21が閉状態の場合を示す。
図14は、回転扉21が開状態の場合を示す。
【0098】
飲料供給システム210は、前面カバー12と背面カバー13とでその外形が形成されている。この空間内には、給水室(収容室)10aが設けられている。給水室10aの内部に、水タンク70内の水を使用者UのグラスGなどへ吐出するために注水機構30(吐出部)が収容される。給水室10aは、主な構成部材として、底部15、上部取付部材16、背面板17、側面板19(右側面板19R、左側面板19L)、および回転軸18を備えている。これらについては、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0099】
また、背面カバー13の背面側には、除菌ユニット250が備えられている。除菌ユニット250は、断熱材14の一部をくり抜いて得られた空間に設置されている。
【0100】
除菌ユニット250は、イオン発生器251、ファン252、気体流路253などで構成されている。イオン発生器251およびファン252は、第1の実施形態のイオン発生器51およびファン52と同様の構成が適用できる。
【0101】
気体流路253は、背面カバー13の裏側に位置する。気体流路253には、イオン発生器251から放出された除菌用物質を給水室10a内に流入させる放出口253aと、給水室10a内の気体を、除菌ユニット側へ流出させる吸入口253bとが設けられている。放出口253aおよび吸入口253bは、背面カバー13に開口部を設けることによって形成されている。これにより、回転扉21が閉状態のときには、気体流路253と給水室10aとが連通した状態になる。
【0102】
なお、第1の実施形態では、吸入口53bは、放出口53aと隣接するように、放出口53aのすぐ下に配置されていた。これに対して、第3の実施形態では、吸入口253bは、より下方(例えば、給水室10aの底部15と略同様の高さ)に配置されている。この構成により、給水室10aと気体流路253との間で循環する気体を、給水室10aの下方により多く行き渡らせることができる。
【0103】
また、第1の実施形態と同様に、飲料供給システム210では、除菌ユニット250は、回転扉21が閉状態のときに運転を行って除菌用物質を給水室10a内に放出し(
図13参照)、回転扉21が開状態のときに運転を停止する(
図14参照)。これにより、給水室10a内に放出される除菌用物質が、給水室10a外の開放空間へ放出される可能性を低下させることができる。そのため、給水室10a内において、除菌用物質の濃度を適切な範囲に維持しやすくなる。
【0104】
<第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、冷蔵庫1に備えられた飲料供給システムの除菌ユニットの構成のみが、第1の実施形態とは異なる。そこで、以下では、第1の実施形態とは異なる構成に焦点を当てて説明する。
【0105】
図15および
図16には、第4の実施形態にかかる飲料供給システム310の構成を示す。
図15および
図16は、
図2に示す扉2のA−A線での断面構成を示すものである。
図15は、回転扉21が閉状態の場合を示す。
図16は、回転扉21が開状態の場合を示す。
【0106】
飲料供給システム310は、前面カバー12と背面カバー13とでその外形が形成されている。この空間内には、給水室(収容室)10aが設けられている。給水室10aの内部に、水タンク70内の水を使用者UのグラスGなどへ吐出するために注水機構30(吐出部)が収容される。給水室10aは、主な構成部材として、底部15、上部取付部材16、背面板17、側面板19(右側面板19R、左側面板19L)、および回転軸18を備えている。これらについては、第1の実施形態と略同様の構成が適用できる。ただし、注水機構30の注水レバー332には、開口部が形成されていないという点は、第1の実施形態とは異なっている。
【0107】
また、本実施形態では、除菌ユニット350の配置位置が、第1の実施形態とは異なっている。
図15に示すように、除菌ユニット350は、回転扉21の裏側(すなわち、背面板17側)の上方に設置されている。また、除菌ユニット350は、イオン発生器ではなく、UV照射器で構成されている。したがって、除菌ユニット350からは、除菌用物質として、紫外線が放射される。紫外線は殺菌効果を有するため、除菌ユニット350から照射された紫外線が注水口31などに当たることで、注水口31の周辺に存在する雑菌やカビなどの増殖を抑えることができる。照射される紫外線の波長は、例えば、400nm以下である。好ましくは、250nm以上300nm以下の波長領域を有する紫外線を使用する。
【0108】
また、飲料供給システム310では、除菌ユニット350は、回転扉21が閉状態のときに運転を行って紫外線を照射し(
図15参照)、回転扉21が開状態のときに運転(紫外線の照射)を停止する(
図16参照)。これにより、給水室10aが正面に露出しているときに、人体にとって有害となり得る紫外線の照射を停止することができる。
【0109】
なお、上記構成の除菌ユニット350の場合には、飲料供給システム310の回転扉21を、上下方向または左右方向にスライド移動するシャッタ式の開閉扉で構成することもできる。
【0110】
<第3の実施形態の変形例>
以下には、第3の実施形態の変形例を説明する。
図17には、変形例にかかる飲料供給システム310’の構成を示す。飲料供給システム310’では、除菌方法が第3の実施形態とは異なっている。具体的には、飲料供給システム310’では、光触媒と光とを用いて除菌を行う。
【0111】
図17に示すように、飲料供給システム310’では、注水機構30の先端部分の注水口31の周囲に、光触媒層355’が形成されている。光触媒層355’は、光触媒として、例えば酸化チタンを含んでいる。また、飲料供給システム310’には、除菌ユニット350’として、光照射器が備えられている。光照射器からは、紫外線または可視光線が放出される。光照射器から照射された光が光触媒層355’に当たると、光触媒層355’からは、OHラジカルが発生する。OHラジカルは、強い酸化力を有するため、表面に存在する細菌や微生物を死滅させることができる。
【0112】
なお、第3の実施形態と同様に、飲料供給システム310’では、除菌ユニット350’は、回転扉21が閉状態のときに運転を行って光を照射し(
図17参照)、回転扉21が開状態のときに運転(光の照射)を停止する。
【0113】
<第5の実施形態>
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。上述した各実施形態では、飲料供給システムが冷蔵庫に内蔵されている例について説明した。しかし、本発明の一態様の飲料供給システムは、必ずしも冷蔵庫に内蔵されている必要はなく、単体で、例えば、体育館、スポーツ施設、病院などの施設に設置されていてもよい。そこで、本実施の形態では、飲料供給システムが単体で設置されている例について説明する。
【0114】
図18(a)には、本実施形態にかかる飲料供給システム400の外観の構成を示す。
図18(a)では、飲料供給システム400の使用時の状態を示す。また、
図18(b)には、飲料供給システム400の内部構造を示す。
【0115】
飲料供給システム400は、表面パネル401、給水室10a、水タンク70、物体検知センサ422、および表示パネル423などを備えている。給水室10aは、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0116】
また、飲料供給システム400には、除菌ユニット50が備えられている。回転扉21が開状態のときには、除菌ユニット50は、背面板17および回転扉21の裏側に存在する。すなわち、回転扉21が開状態のときには、注水口31と除菌ユニット50との間に、回転扉21および背面板17が介在する。そのため、回転扉21が開状態のときには、除菌ユニット50は、正面からは見えない状態となっている。
図18では、便宜上、除菌ユニット50を破線で示している。
【0117】
図18(b)に示すように、回転扉421は、給水室10aの構成の一部として設けられている。具体的には、回転扉421は、背面板17と重なるように配置されている。
【0118】
飲料供給システム400は、物体検知センサ422が使用者の手などを検知すると、回転扉421が水平方向に回転するように構成されている。回転扉421が回転すると、給水室10aが正面に現れる。回転扉421の開閉動作の制御方法については、第1の実施形態の飲料供給システム10と同様の構成が適用できる。
【0119】
また、第1の実施形態と同様に、飲料供給システム400では、除菌ユニット50は、回転扉421が閉状態のときに運転を行って除菌用物質を給水室10a内に放出し、回転扉21が開状態のときに運転を停止する。これにより、給水室10a内に放出される除菌用物質が、開放空間へ放出される可能性を低下させることができる。そのため、給水室10a内において、除菌用物質の濃度を適切な範囲に維持しやすくなる。
【0120】
<第6の実施形態>
上述した飲料供給システムにおける給水室の回転構造は、飲料供給システムだけではなく、冷蔵庫の主扉の一部に小型の回転扉を設け、その回転扉の背面に小型収納庫(扉付き収容システム)を備える冷蔵庫の構成に適用することもできる。このような小型収納庫には、例えば、1個あるいは数個の飲料(牛乳パック、飲料パック、ペットボトルのお茶又は清涼飲料など)を収容することができる。
【0121】
このような小型収納庫に、使用頻度のより高い飲料を収容しておけば、冷蔵庫の主扉を開けることなく、回転扉から所望とする飲料を取り出すことができる。このようにして回転扉から飲料を取り出すことで、主扉を開けて飲料を取り出す場合と比較して、冷蔵庫内の温度上昇を抑えることができる。また、小型収納庫の回転扉を、比較的低い位置に設けることにより、小さな子供でも容易に回転扉から飲料を取り出すことができる。
【0122】
第6の実施形態では、冷蔵庫に搭載された小型収納庫に本発明の一態様の扉付き収容システムの構成が適用される例について説明する。
図19(a)から
図19(c)には、第6の実施形態に係る冷蔵庫500を示す。
【0123】
図19(a)に示すように、冷蔵庫500は、冷蔵室の扉502に、小型収納庫510および表示パネル523などを備えている。小型収納庫510は、回転扉521、物体検知センサ522などを備えている。物体検知センサ522は、小型収納庫510の右隣りに配置されている。
【0124】
また、
図19(b)に示すように、回転扉521の裏面側には、収納室(収容室)510aが設けられている。収納室510aには、例えば、1個あるいは数個の飲料(牛乳パック、飲料パック、缶飲料、ペットボトルのお茶又は清涼飲料など)を収容することができる。
【0125】
小型収納庫510は、物体検知センサ522が使用者の手などを検知すると、回転扉521が水平方向に回転するように構成されている。回転扉521が回転すると、
図19(c)に示すように、収納室510aが正面に現れる。本実施形態では、物体検知センサ522は、回転扉521の右隣に配置されている。そのため、物体検知センサ522が使用者の手などを検知すると、回転扉521は、第1の実施形態の回転扉21とは反対の方向(すなわち、右回り)に回転する。なお、第1の実施形態と同様に、回転扉521の左隣に物体検知センサ522が配置されている場合には、回転扉521は、左回りに回転して開状態となることが好ましい。
【0126】
このような小型収納庫510に、使用頻度のより高い飲料を収容しておけば、冷蔵庫500の扉502を開けることなく、回転扉521から所望とする飲料を取り出すことができる。このようにして回転扉521から飲料を取り出すことで、扉502を開けて飲料を取り出す場合と比較して、冷蔵庫内の温度上昇を抑えることができる。また、小型収納庫510の回転扉521を、比較的低い位置に設けることにより、小さな子供でも容易に回転扉521から飲料を取り出すことができる。
【0127】
また、本実施形態にかかる小型収納庫510には、第1の実施形態と同様に、除菌ユニット50が備えられている。回転扉521が開状態のときには、除菌ユニット50は、背面板および回転扉521の裏側に存在する。そのため、回転扉521が開状態のときには、除菌ユニット50は、正面からは見えない状態となっている。
図19(c)では、便宜上、除菌ユニット50を破線で示している。
【0128】
また、第1の実施形態と同様に、小型収納庫510では、除菌ユニット50は、回転扉521が閉状態のときに運転を行って除菌用物質を収納室510a内に放出し、回転扉521が開状態のときに運転を停止する。これにより、収納室510a内に放出される除菌用物質が、開放空間へ放出される可能性を低下させることができる。そのため、収納室510a内において、除菌用物質の濃度を適切な範囲に維持しやすくなる。
【0129】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。