特許第6796660号(P6796660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796660切断された相補的なタグ切片を用いた標的核酸配列の検出方法及びその組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796660
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】切断された相補的なタグ切片を用いた標的核酸配列の検出方法及びその組成物
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6874 20180101AFI20201130BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20201130BHJP
   C12Q 1/6853 20180101ALI20201130BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20201130BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20201130BHJP
   C12Q 1/6888 20180101ALI20201130BHJP
   C12Q 1/689 20180101ALI20201130BHJP
   C12Q 1/6816 20180101ALI20201130BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20201130BHJP
【FI】
   C12Q1/6874 Z
   C12Q1/686 ZZNA
   C12Q1/6853 Z
   C12Q1/6869 Z
   C12Q1/6813 Z
   C12Q1/6888 Z
   C12Q1/689 Z
   C12Q1/6816 Z
   !C12N15/09 Z
【請求項の数】38
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2018-556900(P2018-556900)
(86)(22)【出願日】2017年4月21日
(65)【公表番号】特表2019-514384(P2019-514384A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】KR2017004297
(87)【国際公開番号】WO2017188669
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2018年10月24日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0050313
(32)【優先日】2016年4月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518378178
【氏名又は名称】ジンメトリックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENEMATRIX INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム スオク
(72)【発明者】
【氏名】キム ソクジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホン ソンピョ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヒョンジェ
(72)【発明者】
【氏名】チョ ウジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェイル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン スンミン
(72)【発明者】
【氏名】チョ エリ
(72)【発明者】
【氏名】ホン ソンス
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ソンヨン
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−508677(JP,A)
【文献】 特表2006−508632(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/193483(WO,A1)
【文献】 特表2010−511409(JP,A)
【文献】 特表2014−515604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68−1/6897
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’から3’末端に標的配列と非相補的なランダム核酸配列を含み、制限酵素認識配列及び標的配列と相補的な核酸配列を順次含む構造を有するプライマーであって、
前記プライマーから伸長した増幅産物には前記ランダム核酸配列における相補的な配列及び制限酵素認識配列が含まれ、前記増幅産物を制限酵素が切断して、ランダム核酸配列の相補的なタグ切片が放出され、前記相補的なタグ切片以外の切断副産物が生成されず、前記プライマーは、前記制限酵素によって切断される部位に変形されたdNTPが挿入されていることを特徴とするプライマー。
【請求項2】
前記制限酵素認識配列は、Pho I、PspGI、BstNI、TfiI、ApeKI、TspMI、BstBI、BstEII、BstNI、BstUI、BssKI、BstYI、TaqI、MwoI、TseI、Tsp45I、Tsp509I、TspRI、Tth111I、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI制限酵素及びNick制限酵素からなる群から選択された制限酵素に対する認識配列であることを特徴とする、請求項1に記載のプライマー。
【請求項3】
前記切断される部位に挿入される変形されたdNTPは、ホスホロチオエート化された(Phosphorothioated)dNTP、7−デアザプリン(Deazapurine)を含有したdNTP、またはDNA鋳型中の2’−O−メチルヌクレオチド(methyl nucleotide;2’−OMeN)を含むことを特徴とする、請求項に記載のプライマー。
【請求項4】
前記プライマーは、生成される切断された相補的なタグ切片の長さが5mer以上50mer以下であることを特徴とする、請求項1に記載のプライマー。
【請求項5】
前記プライマーは、配列番号1、3、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、74、76、78、80、82、84、86、115、117、119、121、123、125、127、129、131、151、153、155、156、159、161、163、164、166、168、170、204、205、207、218、220及び222からなる群から選択された1つ以上のプライマーである、請求項1に記載のプライマー。
【請求項6】
a)請求項1に記載のプライマーと標的配列をハイブリダイズさせるステップ;
b)前記a)ステップのハイブリダイゼーションにより増幅過程が進行するとき、前記プライマーから伸長された増幅産物を制限酵素が切断して、ランダム核酸配列の相補的なタグ切片が生成されて反応液に放出及び流入するステップ;及び
c)前記生成された切断された相補的なタグ切片を分析装置によって同定し、標的核酸配列の存在を確認するステップを含む、重合酵素連鎖反応中に増幅された標的配列の種類を区分及び分析するのに使用される標識を形成し、同定する方法。
【請求項7】
前記方法は、切断された相補的なタグ切片の質量を分析して、切断された相補的なタグ切片を同定することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記質量の分析に使用される機器は、MALDI−TOF質量分析器(MALDI−TOF MS、matrix−assisted laser desorption−ionization−time−of−flight mass spectrometer)、液体クロマトグラフィー質量分析器(Liquid Chromatography Mass Spectrometry)、または高性能液体クロマトグラフィー質量分析器(High Performance Liquid Chromatography Mass Spectrometry)であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記質量の分析に使用される切断された相補的なタグ切片の単位電荷当たりの質量(m/z)は、0超10000Da以下の間に存在することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
質量の分析に使用される切断された相補的なタグ切片の質量を保存するために、重合酵素の特性である3’末端のアデニン追加伸長機能が抑制されているDNA重合酵素を使用することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記切断された相補的なタグ切片の同定方法として、蛍光及びクエンチャー(Quencher)が標識されており、切断された相補的なタグ切片の相補的配列を有するオリゴヌクレオチドを用いて蛍光シグナルを分析することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、オリゴヌクレオチドと切断された相補的なタグ切片の二本鎖が一本鎖に解離される固有の解離温度を多様化して解離温度及び溶融ピークを分析し、切断された相補的なタグ切片を同定して標的配列の存在を確認することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、2つ以上のターゲットを検出する場合、異なる解離温度を有するようにして、溶融ピークの分析によって2種以上のターゲットを同時に分析するようにする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オリゴヌクレオチドの長さは、5個以上から50個以下の間のオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、オリゴヌクレオチドから塩基配列が伸長することを防止するために、オリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドをブロッキングすることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、オリゴヌクレオチドから塩基配列が伸長することを防止するために、オリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドにSpacer C3、Phosphate、ddC、Inverted ENDを付着することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、オリゴヌクレオチドから塩基配列が伸長することを防止するために、オリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドにクエンチャーを付着することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、性媒介疾患の原因を同定する、請求項に記載の方法。
【請求項19】
前記性媒介疾患の原因体は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、淋菌(Neisseria.gonorrhea)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、ヘルペスシンプレックスウイルス1(Herpes simplex virus 1)、ヘルペスシンプレックスウイルス2(Herpes simplex virus 2)、及びトレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)からなる群から選択されたことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、胃腸管疾患の原因体を同定する、請求項に記載の方法。
【請求項21】
前記胃腸管疾患の原因体は、ロタウイルスA(Rotavirus A)、アストロウイルス(Astrovirus)、アデノウイルスF40(Adenovirus F40)、アデノウイルスF41(Adenovirus F41)、ノロウイルスGI(Norovirus GI)、及びノロウイルスGII(Norovirus GII)からなる群から選択されたことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、ヒト乳頭腫ウイルスを同定する、請求項に記載の方法。
【請求項23】
前記ヒト乳頭腫ウイルスは、16型、18型、33型、35型、51型、53型、59型、68a型、及び82型からなる群から選択されたことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、呼吸器疾患の原因体を同定する、請求項に記載の方法。
【請求項25】
前記呼吸器疾患の原因体は、インフルエンザA/H1N1(Influenza A/H1N1)、インフルエンザA/H3N2(Influenza A/H3N2)、インフルエンザA/H1N1/2009pdm(Influenza A/H1N1/2009pdm)、インフルエンザB(Influenza B)、パラインフルエンザ1(Parainfluenza 1)、パラインフルエンザ3(Parainfluenza 3)、呼吸器合胞体ウイルスA(Respiratory syncytial virus A)、呼吸器合胞体ウイルスB(Respiratory syncytial virus B)、ヒトメタニューモウイルス(Human metapneumovirus)、及びアデノウイルス(Adenovirus)からなる群から選択されたことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記方法は、単一塩基多型性(SNP)の遺伝子型を分析することができる、請求項に記載の方法。
【請求項27】
前記単一塩基多型性は、BDNF遺伝子の単一塩基多型性であるrs6265の突然変異型であるA/A、野生型であるG/G、または異型接合体であるA/Gの遺伝子型を分析することができる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法は、オリゴヌクレオチドの蛍光シグナルのCt値を分析して、切断された相補的なタグ切片を同定することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項29】
請求項1に記載のプライマーを有効成分として含む、性媒介疾患診断用組成物。
【請求項30】
前記性媒介疾患は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、淋菌(Neisseria.gonorrhea)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、ヘルペスシンプレックスウイルス1(Herpes simplex virus 1)、ヘルペスシンプレックスウイルス2(Herpes simplex virus 2)、及びトレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)からなる群から選択された菌によって誘発されることを特徴とする、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
請求項1に記載のプライマーを有効成分として含む胃腸管疾患診断用組成物。
【請求項32】
前記胃腸管疾患は、ロタウイルスA(Rotavirus A)、アストロウイルス(Astrovirus)、アデノウイルスF40(Adenovirus F40)、アデノウイルスF41(Adenovirus F41)、ノロウイルスGI(Norovirus GI)、及びノロウイルスGII(Norovirus GII)からなる群から選択された菌によって誘発されることを特徴とする、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1に記載のプライマーを有効成分として含むヒト乳頭腫ウイルス診断用組成物。
【請求項34】
前記ヒト乳頭腫ウイルスの亜型は、16型、18型、33型、35型、51型、53型、59型、68a型、または82型を診断する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
請求項1に記載のプライマーを有効成分として含む呼吸器疾患原因体診断用組成物。
【請求項36】
前記呼吸器疾患は、インフルエンザA/H1N1(Influenza A/H1N1)、インフルエンザA/H3N2(Influenza A/H3N2)、インフルエンザA/H1N1/2009pdm(Influenza A/H1N1/2009pdm)、インフルエンザB(Influenza B)、パラインフルエンザ1(Parainfluenza 1)、パラインフルエンザ3(Parainfluenza 3)、呼吸器合胞体ウイルスA(Respiratory syncytial virus A)、呼吸器合胞体ウイルスB(Respiratory syncytial virus B)、ヒトメタニューモウイルス(Human metapneumovirus)、及びアデノウイルス(Adenovirus)からなる群から選択された菌によって誘発されることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
請求項1に記載のプライマーを有効成分として含む単一塩基変異分析用組成物。
【請求項38】
前記単一塩基変異は、BDNF遺伝子の単一塩基多型性であるrs6265の突然変異型A/A、野生型G/G、または異型接合体A/Gの遺伝子型を分析することができる、請求項37に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断された相補的なタグ切片を用いた標的核酸配列の検出方法及びその組成物に関し、具体的には、標的配列と特異的に反応するプライマーに標識物質を生成できる標識の鋳型を連結することによって、PCR反応中に制限酵素の活性によって標識が合成、放出されて反応液に流入するようにして増幅産物を識別する方法に関する。また、一つの標的配列には一つの種類の標識鋳型配列のみを使用し、反応中に生成された標識を様々な分析装置で分析して標識を識別することを特徴とする標識生成及び標識同定方法、並びにその方法に使用される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
重合酵素連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)は、低濃度の核酸を検出及び分析する際に非常に有用に活用されている技法の一つである。核酸の検出は、二本のオリゴヌクレオチド配列の相補性及び各DNA重合酵素の伸長反応に起因するものであって、これを用いて標的核酸配列を検出することができる。(Barry et al.,Current Opinion in Biotechnology,12:21,2001)。
【0003】
多重PCRは、多数の標的配列の核酸を同時に増幅できる方法であって、他の方法に比べて比較的迅速かつ簡便であるので、遺伝子検査、サンプル内の生物体の同定、微生物又はウイルスの感染の有無などの診断分野で非常に大きな役割を果たしている。
【0004】
このような多重PCRの結果を確認する最も一般的な方法は、PCR中に目的とする標的配列の増幅産物の大きさを多様化してプライマーを設計し、PCR結果物を電気泳動を介して増幅産物の大きさを分析することで、当該標的配列の増幅の有無を確認するものである。この場合、一度に増幅させることができる遺伝子の個数が実験的に3〜4個に限定されるが、これは、PCR反応中に生成できる増幅産物の大きさに応じて増幅効率が変わってしまい、均一な増幅効率を保証できないため、増幅産物の大きさを狭い範囲に限定しなければならないという制約があるためである。このとき、所望の遺伝子増幅産物の大きさが重なり合う場合も発生し、このように大きさに依存して多重PCRを分析する場合、検出方法の解析に対する限界点が存在するようになる。
【0005】
PCR結果を確認する場合、リアルタイム重合酵素連鎖反応(Real−time PCR)は、迅速な結果の確認を保証し、PCR中に蛍光物質を標識して、増幅産物の大きさと関係なく増幅の有無を確認することができる。リアルタイム重合酵素連鎖反応を行って検出する方式は、インターカレーティング方式とプローブ方式とに分けることができる。インターカレーティング方式は、二本鎖の塩基配列の間に蛍光物質が挿入されて蛍光強度を確認する方法を指す。このような方法は、二本鎖を形成する増幅産物を区分することができず、全て同じ波長の蛍光で観察し得るため、標的配列別に増幅産物を識別して1つ以上の増幅物を同時に検出、確認するのに限界を有している。プローブ(Probe)方式は、標的配列別に指定されているプローブの蛍光値を読み取って増幅産物を検出する方法であって、この方式を用いる場合、使用される機器の分析可能蛍光チャネルの個数に限定して増幅物を検出できるので、蛍光チャネルの個数以上の多重分析に適していない。
【0006】
したがって、できる限り多くの個数の多重分析が可能なようにPCR中に標識を挿入しようとする研究が継続的に行われた。
【0007】
Luminex社のxTAG技術の場合、核酸をなすチミン(T)、アデニン(A)、グアニン(G)のランダム配列で構成された一定の塩基配列を設定し、これをxTAGと命名した。観察しようとする標的配列の増幅時に、末端にxTAG配列が位置するようにプライマーにxTAGの配列を挿入して、PCR過程中にxTAGが増幅産物に挿入されるようにし、xTAGと相補的な配列が付着しているビーズと二次的に結合するようにして、2つの塩基配列の相補的な結合を形成するようにし、これを用いてターゲットを感知し、ビーズの蛍光で標的配列を分析する方法である。前記の方法は、xTAGが増幅に関与しなくても、増幅後のプライマーが完全に除去されないと、ビーズの相補的xTAGと結合して標識を認識する可能性があり、xTAGの相補的配列がPCRによって非特異反応を形成、非特異ターゲットを検出する誤りが生じることもあるという問題を有している。(U.S.patent no.7,645,868及び8,624,014)
【0008】
これを解決するために、PCR反応中に標識を構築し、標識がPCR反応に影響を与えず、できる限り多くの個数の多重検出が可能な技法に関する研究が継続的に行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決し、上記の必要性によって案出されたものであって、本発明の目的は、PCRのような増幅反応を用いた標的配列の増幅及び分析の実行時に、生成産物の長さに依存して結果を判断するときに生じる結果の不確実性を解決し、多重検出する場合、増幅確認の可能な最大個数に対する制約を解決する方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的はまた、標識を形成して標的配列の増幅を確認する場合、人為的な配列を標識それ自体として使用することによって引き起こされ得る非特異的増幅による誤りを解決して、正確度を高める方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、標的配列と非相補的なランダム核酸配列を含み、制限酵素認識配列及び標的配列と相補的な核酸配列を順次含む構造を有するプライマーを提供する。
【0012】
本発明の一具現例において、前記制限酵素認識配列は、Pho I、PspGI、BstNI、TfiI、ApeKI、TspMI、BstBI、BstEII、BstNI、BstUI、BssKI、BstYI、TaqI、MwoI、TseI、Tsp45I、Tsp509I、TspRI、Tth111I、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI制限酵素及びNick制限酵素からなる群から選択された制限酵素に対する認識配列であることが好ましいが、これに限定されない。
【0013】
本発明の他の具現例において、前記プライマーは、切断された相補的なタグ切片以外の切断副産物が反応に関与しないことを目的として、前記プライマーの制限酵素認識配列中の切断部位に変形されたdNTPが挿入されていることが好ましく、前記切断部位に挿入される変形されたdNTPは、ホスホロチオエート化された(Phosphorothioated)dNTP、7−デアザプリン(Deazapurine)を含有したdNTP、またはDNA鋳型中の2’−O−メチルヌクレオチド(methyl nucleotide;2’−OMeN)を含むことが好ましいが、これに限定されない。
【0014】
本発明は、他の具現例において、前記プライマーは、生成される切断された相補的なタグ切片の長さが5mer以上50mer以下であることが好ましいが、これに限定されない。
【0015】
本発明の一実施例において、前記プライマーは、配列番号1、3、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、74、76、78、80、82、84、86、115、117、119、121、123、125、127、129、131、151、153、155、156、159、161、163、164、166、168、170、204、205、207、218、220及び222からなる群から選択された1つ以上のプライマーであることが好ましいが、これに限定されない。
【0016】
また、本発明は、a)切断された相補的なタグ切片である標識を生成するための標識の鋳型を含む前記本発明のプライマーと標的配列をハイブリダイズさせるステップ;b)前記a)ステップのハイブリダイゼーションにより増幅過程が進行するとき、制限酵素の活性によって前記プライマーから切断された相補的なタグ切片が生成されて反応液に流入するステップ;及びc)前記生成された切断された相補的なタグ切片を分析装置によって同定し、標的核酸配列の存在を確認するステップを含む、重合酵素連鎖反応中に増幅された標的配列の種類を区分及び分析するのに使用される標識を形成し、同定する方法を提供する。
【0017】
本発明の一具現例において、前記方法は、切断された相補的なタグ切片の質量を分析して、切断された相補的なタグ切片を同定することが好ましく、前記質量の分析に使用される機器は、MALDI−TOF質量分析器(MALDI−TOF MS、matrix−assisted laser desorption−ionization−time−of−flight mass spectrometer)、液体クロマトグラフィー質量分析器(Liquid Chromatography Mass Spectrometry)、または高性能液体クロマトグラフィー質量分析器(High Performance Liquid Chromatography Mass Spectrometry)であることが好ましいが、これに限定されない。
【0018】
本発明の他の具現例において、質量の分析に使用される切断されたタグ切片の単位電荷当たりの質量(m/z)は、0超10000Da以下であることが好ましいが、これに限定されない。
【0019】
本発明の更に他の具現例において、前記増幅過程中に質量の分析に使用される切断された相補的なタグ切片の質量を保存するために、核酸重合酵素の固有の性質である3’末端のアデニン追加伸長効果(Aテーリング)の機能が抑制されているDNA重合酵素を使用することが好ましいが、これに限定されない。
【0020】
本発明の更に他の具現例において、前記切断された相補的なタグ切片の同定方法として、蛍光及びクエンチャー(Quencher)が標識されており、切断された相補的なタグ切片の相補的配列を有するオリゴヌクレオチドを用いて蛍光シグナルを分析することが好ましいが、これに限定れない。
【0021】
本発明の他の具現例において、前記方法は、前記オリゴヌクレオチドと切断された相補的なタグ切片の二本鎖が一本鎖に解離される固有の解離温度を多様化して解離温度及び溶融ピークを分析し、切断された相補的なタグ切片を同定して標的配列の存在を確認することが好ましいが、これに限定されない。
【0022】
本発明の更に他の具現例において、前記オリゴヌクレオチドの長さは、5個以上のオリゴヌクレオチドであることが好ましいが、これに限定されない。
【0023】
本発明の更に他の具現例において、前記方法は、オリゴヌクレオチドから塩基配列が伸長することを防止するために、オリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドにクエンチャーを付着することが好ましいが、これに限定されない。
【0024】
本発明の更に他の具現例において、前記方法は、オリゴヌクレオチドの蛍光シグナルのCt(Cycle threshold)値を分析することで、切断された相補的なタグ切片を同定することが好ましいが、これに限定されない。
【0025】
本発明の好ましい実施例において、前記方法は、性媒介疾患の原因菌を同定することが好ましく、前記性媒介疾患の原因菌は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、淋菌(Neisseria.gonorrhea)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、ヘルペスシンプレックスウイルス1(Herpes simplex virus 1)、ヘルペスシンプレックスウイルス2(Herpes simplex virus 2)、及びトレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)からなる群から選択されたものが好ましいが、これに限定されない。
【0026】
また、本発明は、前記本発明のプライマーを有効成分として含む性媒介疾患診断用組成物を提供する。
【0027】
本発明の更に他の実施例において、前記方法は、胃腸管疾患の原因体を同定することが好ましく、前記胃腸管疾患の原因体は、ロタウイルスA(Rotavirus A)、アストロウイルス(Astrovirus)、アデノウイルスF40(Adenovirus F40)、アデノウイルスF41(Adenovirus F41)、ノロウイルスGI(Norovirus GI)、及びノロウイルスGII(Norovirus GII)からなる群から選択されたものが好ましいが、これに限定されない。
【0028】
また、本発明は、前記本発明のプライマーを有効成分として含む胃腸管疾患原因体診断用組成物を提供する。
【0029】
本発明の更に他の好ましい実施例において、前記方法は、ヒト乳頭腫ウイルスを同定することが好ましく、前記ヒト乳頭腫ウイルスの亜型は、16型、18型、33型、35型、51型、53型、59型、68a型、及び82型からなる群から選択されたものが好ましいが、これに限定されない。
【0030】
また、本発明は、前記本発明のプライマーを有効成分として含むヒト乳頭腫ウイルス診断用組成物を提供する。
【0031】
本発明の更に他の好ましい実施例において、前記方法は、呼吸器疾患の原因体を同定することが好ましく、前記呼吸器疾患の原因体は、インフルエンザA/H1N1(Influenza A/H1N1)、インフルエンザA/H3N2(Influenza A/H3N2)、インフルエンザA/H1N1/2009pdm(Influenza A/H1N1/2009pdm)、インフルエンザB(Influenza B)、パラインフルエンザ1(Parainfluenza 1)、パラインフルエンザ3(Parainfluenza 3)、呼吸器合胞体ウイルスA(Respiratory syncytial virus A)、呼吸器合胞体ウイルスB(Respiratory syncytial virus B)、ヒトメタニューモウイルス(Human metapneumovirus)、及びアデノウイルス(Adenovirus)からなる群から選択されたものが好ましいが、これに限定されない。
【0032】
また、本発明は、前記本発明のプライマーを有効成分として含む呼吸器疾患診断用組成物を提供する。
【0033】
本発明の更に他の好ましい実施例において、前記方法は、単一塩基多型性(SNP、Single nucleotide polymorphism)が好ましく、前記単一塩基変異は、BDNF遺伝子(Brain−derived neurotrophic factor gene)のr6265からなる群から選択されたものが好ましいが、これに限定されない。
【0034】
また、本発明は、前記本発明のプライマーを有効成分として含むBDNF遺伝子のrs6265遺伝子分析用組成物を提供する。
【0035】
以下、本発明を説明する。
本発明者は、増幅反応を行い、結果を解析する場合、より容易かつ迅速で、効率的な方法によって各増幅産物を明確に区分できるようにすることによって、一度に多くの標的を対象として多重増幅反応を行い、結果を解析することができる方法を開発するために鋭意研究努力した。
【0036】
その結果、標識として使用できる核酸配列を増幅反応中に生成できるように、標識の鋳型となる配列をプライマーに挿入し、制限酵素を用いて標識のみを切断したとき、生成された標識が標的配列を検出するための標識としての役割を果たすことができることを確認し、これを様々な分析法に適用して、多重増幅反応の分析において既存の他の方法に比べて効率的かつ迅速に増幅の有無を識別できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0037】
本発明は、PCR反応中に増幅された標的配列の種類を区分及び分析するのに使用される標識を形成する方法に関する。
【0038】
特に、本発明では、(1)標識を生成するための標識の鋳型を含むプライマーと標的配列のハイブリダイゼーションステップと、(2)PCR反応中に制限酵素を用いて標識の鋳型から標識を生成するステップと、(3)生成された標識を様々な分析装置で分析して標識を識別するステップとを有することを特徴とする。
【0039】
(1)標識(CCTF−Cleaved Complementary Tag Fragment、以下、CCTF)を生成するための標識の鋳型を含むプライマー(CTPO−Cleavable Tag Primer Oligonucleotide、以下、CTPO)と標的配列をハイブリダイズさせるステップであって;CTPOは、標的配列と非相補的な核酸配列を含み(CCTFの鋳型)、制限酵素認識配列及び標的配列と相補的な核酸配列を順次含み、3’末端に位置した標的配列と相補的な核酸配列部位が標的配列とハイブリダイズされることによって、PCR反応中にプライマーとしての役割を果たす。
【0040】
(2)増幅過程中に制限酵素の活性によってCTPOからCCTFが生成されて放出されるステップであって;前記記述されたCTPOから伸長した増幅産物には制限酵素認識配列が挿入されるようになり、これを認識した熱安定性制限酵素の活性によってCCTFが生成されて反応液に流入する。
【0041】
(3)前記生成されたCCTFを様々な分析装置によって分析、同定して標的核酸配列の存在を確認するステップであって;生成されたCCTFの質量を測定してCCTFの種類を把握、増幅された物質を区分して標的核酸配列の存在を確認するか、または生成されたCCTFと相補的配列で構成されており、蛍光及びクエンチャーが標識されているオリゴヌクレオチド(SCO−Signal Capture Oligonucleotide、以下、SCO)とCCTFがハイブリダイズして二本鎖を形成し、再び一本鎖に解離される過程で蛍光の発光がなされ、この固有の解離温度を分析してCCTFの種類を確認し、標的核酸配列の増幅の有無を確認する。
【0042】
以下、本発明を詳細に説明する。
ステップ(1)において、CTPOと標的配列をハイブリダイズさせるに先立ち、CTPOの構造は、下記の構造式1のように、CCTFの鋳型となる部分と、制限酵素認識配列と、標的と相補的な配列部分とに分けられている。
【0043】
構造式1
5’−A−B−C−3’
【0044】
構造式1のA部位は、CCTFの鋳型となる部分であって、ランダム配列からなっており、標的配列とのアニーリング後、増幅して、CCTFの鋳型の相補的配列、すなわち、CCTF部分を伸長した後、増幅中に制限酵素によってCCTF部分が放出される。放出されたCCTFは、標識として標的配列特異的に分析可能なように、オリゴヌクレオチド5個以上の長さを有するランダム配列であることを特徴とする。ランダム配列は、PCR反応中に副産物を生成しない範囲であれば、いかなる配列でも使用することができる。CCTFの鋳型として使用されるヌクレオチド配列は、増幅反応中にハイブリダイゼーション反応を起こさない限り、いかなる配列でも構わない。
【0045】
Bは、制限酵素認識配列であって、増幅過程中に使用できる熱安定性を有する制限酵素及びNick制限酵素の特異的認識配列を意味する。その例として、Pho I、PspGI、BstNI、TfiI、ApeKI、TspMI、BstBI、BstEII、BstNI、BstUI、BssKI、BstYI、TaqI、MwoI、TseI、Tsp45I、Tsp509I、TspRI、Tth111I、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nt.BspQI、Nt.BstNBIなどがある。
【0046】
そのうち、最も好ましくはPspGIを使用することができ、本発明の実施例で使用した制限酵素はPspGIである。
【0047】
CCTF以外の切断副産物が反応に存在及び関与しないように、CTPOの制限酵素認識配列中の制限酵素によって切断される部位に変形されたdNTPを挿入させる。その種類としては、ホスホロチオエート化された(Phosphorothioated)dNTP、7−デアザプリン(Deazapurine)を含有したdNTP、またはDNA鋳型中の2’−O−メチルヌクレオチド(methyl nucleotide;2’−OMeN)などがある。従来技術として、論文PNAS 89(1992)392−396、及び核酸リサーチ(Nucleic Acids Research)20(1) 1991 55−61などは、本発明に応用できる。最も好ましくは、phosphothiolated bondを認識配列中の切断部位に挿入して、制限酵素によるCCTFの鋳型の切断を防止することで、CCTFを生成できる鋳型を確保し、CCTFの鋳型が反応液に流入して生じる副産物を防止することで、反応の効率を増大させることができる。CCTFを生成し、その鋳型が反応液に流入することを防止するという点で、従来技術であるSDA(Strand Displacement Amplification)方法(米国特許92−819,358)とは異なる発明の効果を示す。
【0048】
構造式1に示されたC部位は、制限酵素認識配列の後から3’末端までを意味し、標的特異的配列で構成され、増幅時に標的特異的に結合してプライマーとしての役割を維持できるようにする。
【0049】
ステップ(2)において、CTPOによる増幅産物が形成され、二本鎖として存在する増幅産物から制限酵素によってCCTFに切断されて反応液に放出されるときに使用される制限酵素の適正濃度は、使用目的に応じて多様に変更可能である。また、使用される重合酵素の種類に応じて結果において差があり、これもまた、使用目的に応じて多様に変更可能である。例えば、質量の分析を目的としてCCTFを形成する場合、CCTFの質量が、増幅過程と関係なく一定の質量を維持しなければならず、核酸重合酵素の固有の性質を反映しないことが好ましい。したがって、核酸重合酵素の固有の性質である3’末端のアデニン追加伸長効果(Aテーリング)がない核酸重合酵素を選定して使用しなければならない。核酸重合酵素のうち、Aテーリングをしない酵素としては、Phusionポリメラーゼ(Phusion polymerase)、Ventポリメラーゼ(Vent polymerase)、Deep Ventポリメラーゼ(Deep Vent polymerase)、Bstポリメラーゼ(Bst polymerase)などがある。
【0050】
しかし、質量の分析ではなく、他の技法を用いたCCTFの分析法を適用する場合、Aテーリング効果による結果に変動がないので、いかなる重合酵素を用いても構わない。
【0051】
制限酵素の効率を増大させてCCTFの生成及び反応液への流入を促進して効果を極大化するために、PCR過程中に制限酵素の反応時間を延長することができる。反応時間及び反応温度などは、具体的な制限酵素の種類、反応意図に応じて異ならせて適用することができる。
【0052】
ステップ(3)において、生成されたCCTFを様々な分析装置によって分析して標的核酸配列を同定するステップであって、生成されたCCTFの質量を直接分析する場合、CCTFの種類を長さ及び配列の組換えによって多様化し、これらの質量をMALDI−TOF MS、LC MS、HPLC MSなどの質量分析器を用いて分析すると、生成されたCCTFの固有の質量を観察することができ、これを用いて、増幅された標的配列の区分及び確認が可能である。好ましくは、MALDI−TOF MSによって観察し、観察の容易なCCTFの質量の範囲は1200Da以上である。前記の範囲の質量において、様々なCCTFを形成して増幅産物を観察することができる。
【0053】
CCTFの蛍光シグナルを観察することにより、増幅された標的配列の識別も可能であり、生成されたCCTFが、固有の解離温度で蛍光シグナルを提供できるように蛍光及びクエンチャーが標識されており、固有の解離温度を有するCCTFと相補的な配列であるSCOとハイブリダイズして、固有の解離温度で蛍光シグナルを分析し、CCTFの生成の有無を確認し、これによって標的核酸配列の存在を同定する方法である。
【0054】
CCTFの放出のためには、上述したように、使用目的による制限酵素の使用濃度を指定し、重合酵素の種類は、質量分析とは異なって、Aテーリングと関係がない。増幅産物から反応液へ放出されて流入したCCTFは、反応液に存在していたSCOと反応するようになり、SCOの構成は、次の通りである。
【0055】
5’末端方向から3’末端方向にCCTFとのハイブリダイゼーションが可能なように、CCTFの相補的配列が存在し、SCOの配列は、CCTFに依存的にCCTFの長さ、配列の組換えによって決定される。前記の(1)ステップで標識の種類を多様化するためにCCTFの長さ及び配列の組換えなどの方法を用いたように、CCTF及びSCOの固有の解離温度を付与するために、長さ及び配列の組み合わせを異ならせてデザインすることができる。このとき、SCOは、CCTFの相補的配列で構成され、配列中に蛍光物質を含有しており、蛍光物質の位置は、クエンチャーと一定の長さ以上離れて存在すれば、どこでも構わない。SCOの3’末端にはブロッカー(Blocker)が位置して、SCOが反応中にプライマーとしての役割を果たすことで、塩基配列が伸長することを防止する。ブロッカーとしては、Spacer C3、Phosphat、ddC、Inverted END及びクエンチャーなどを使用することができるが、これに限定されない。特に、SCOの3’末端にクエンチャーが位置すると、SCOが反応中にプライマーとしての役割を果たすことで、塩基配列が伸長することを防止すると同時に、CCTFとハイブリダイズされて二本鎖を形成する前に、FRET現象によって蛍光物質の発光を抑制する機能を有するようにする。クエンチャーを塩基配列伸長防止物質として混用して使用することによって、SCOの製造時に不必要なモディフィケーション(modification)反応を減少させ、製造反応の収率を高めることができ、さらに、製造コストを低減することができる。反応中に含まれているSCOと反応中に生成されるCCTFとのハイブリダイゼーションを用いて、指定された温度でハイブリダイズされた二本鎖の解離が観察されるかを蛍光で確認して分析することによって、標的配列によるCCTFの生成の有無を確認し、これを用いて標的配列を同定することができる。前記のSCOの固有の解離温度として指定できる温度の範囲は、〜95℃であり、それぞれの二本鎖の解離温度の干渉がなければ、蛍光物質毎に固有の解離温度を指定し、個数の上限に制限はない。
【0056】
SCOの蛍光物質とクエンチャーの組み合わせは、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、Alexa Fluor 790、ATTO 390、ATTO 425、ATTO 465、ATTO 488、ATTO 495、ATTO 514、ATTO 520、ATTO 532、ATTO Rho6G、ATTO 540Q、ATTO 550、ATTO 565、ATTO Rho3B、ATTO Rho11、ATTO Rho12、ATTO Thio12、ATTO 580Q、ATTO Rho101、ATTO 590、ATTO Rho13、ATTO 594、ATTO 610、ATTO 612Q、ATTO 620、ATTO Rho14、ATTO 633、ATTO 647、ATTO 647N、ATTO 655、ATTO Oxa12、ATTO 665、ATTO 680、ATTO 700、ATTO 725、ATTO 740、ATTO MB2、AMCA、AMCA−S、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY TR、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、Biosearch Blue、CAL Fluor Gold 540、CAL Fluor Orange 560、CAL Fluor Red 590、CAL Fluor Red 610、CAL Fluor Red 635、Pulsar 650、Quasar 570、Quasar 670、Quasar 705.FAM、Fluorescein、Fluorescein−C3、Calcein、Carboxyrhodamine 6G、Carboxy−X−rhodamine(ROX)、Cascade Blue、Cascade Yellow、Cy2、Cy3、Cy5、Cy3.5、Cy5.5、Cy7、Dansyl、Dapoxyl、Dialkylaminocoumarin、4’,5’−Dichloro−2’,7’−dimethoxy−fluorescein、DM−NERF、Eosin、Erythrosin、HEX、Hydroxycoumarin、IRD40、IRD 700、IRD 800、JOE、Lissamine rhodamine B、LC Red 610、LC Red 640、Marina Blue、Methoxycoumarin、Naphthofluorescein、NED、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514、Pacific Blue、PyMPO、Pyrene、Phycoerythrin、Rhodamine 6G、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Rhodol Green、2’,4’,5’,7’−Tetra−bromosulfonefluorescein、Tetramethyl−rhodamine(TMR)、Carboxytetramethylrhodamine(TAMRA)、Texas Red、Texas Red−X.TET、VIC、Yakima Yellow、BMN−Q460、DDQ−I、Dabcyl、BMN−Q530、BMN−Q535、Eclipse、Iowa Black FQ、BHQ−1、TQ2、IQ4、QSY−7、BHQ−2、TQ3、DDQ−II、BBQ−650、Iowa Black RQ、QSY−21、BHQ−3などがあり得、前記の羅列に限定されず、いかなる蛍光物質とクエンチャーも含むことができる。
【0057】
また、SCOとCCTFとの反応が、増幅反応及びCCTF形成反応と同時に起こるようになり、SCOの二本鎖の形成割合が標的配列の増幅量と同様の効率で示されることを活用して、固有の解離温度を有するSCOのCtグラフを作成することができ、これを用いて、固有解離温度分析方法と異なる方式で標的配列の同定が可能である。
【0058】
本発明の解決手段として作成された上記の内容は、本発明の実施例により最も好ましい具現例としてより詳細に記述される。
【発明の効果】
【0059】
本発明は、増幅反応中に制限酵素によって任意の標識(CCTF)が生成及び切断されるので、標識を形成するために添加した人為的な配列(CTPO)が、増幅反応が起こる前に制限酵素認識配列の二本鎖が形成されないため、ランダムに切断される可能性がなく、PCR中に標的配列特異的に生成された反応産物によってのみ標識が生成されるので、CCTFを形成するのに正確度が高く、PCR増幅産物の長さ又は特定の配列の特異度に依存していた既存のPCR結果分析方法よりも精巧な分析結果を得ることができ、様々な種類の増幅産物を同じ長さに生産しても、特異的に増幅産物の区分及び解析が可能である。また、このように生成されたCCTFの解析は、塩基配列を活用した分析法にほとんど適用できるので、解析のための装置を汎用的に選択、適用できる。特に、これは、増幅反応を用いた迅速な多重分析が必要な診断などの分野で活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】CCTFの形成の模式図であって、PCR反応中に使用されるCTPO及びCCTFの生成過程、CCTFの分析のための例示を模式化した代表図である。
図2】デュアルターゲットPCRでのCCTFの形成及びMALDI分析結果である。標的配列毎にそれぞれ異なるCCTFを形成できるようにCTPOをデザインし、増幅反応を経てMALDIで分析した結果、淋菌(Neisseria gonorrhoeae、NG)を増幅して切断されたCCTF1とマイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis、MH)を増幅して切断されたCCTF2の質量に該当するピークが観察された。
図3】性媒介疾患の原因体に対するリアルタイム重合酵素連鎖反応の溶融ピーク(Melting Peak)の分析結果である。クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis、CT)、淋菌(Neisseria.gonorrhea、NG)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis、MH)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium、MG)、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis、TV)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum、UU)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum、UP)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans、CA)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis、GV)、ヘルペスシンプレックスウイルス1(Herpes simplex virus 1、HSV1)、ヘルペスシンプレックスウイルス2(Herpes simplex virus 2、HSV2)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum、TP)、及び内部対照物質(Internal Control、IC)のターゲット別の多重固有解離温度測定結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(CT:FAM 80℃、NG:HEX 76.5℃、MH:HEX 68℃、MG:CalRed610 67.5℃、TV:Quasar670 71.5℃、UU:CalRed610 77℃、UP:FAM 77℃、CA:FAM 65℃、GV:Quasar670 78.5℃、HSV1:Quasar705 73.5℃、HSV2:Quasar705 79℃、TP:Quasar705 66℃、IC:Quasar670 63.5℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)(e)(f)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されなかった(g)。
図4】胃腸管疾患の原因体に対するリアルタイム重合酵素連鎖反応の溶融ピーク(Melting Peak)の分析結果である。ロタウイルスA(Rotavirus A、RVA)、アストロウイルス(Astrovirus、AstV)、アデノウイルスF40(Adenovirus F40、AdV 40)、アデノウイルスF41(Adenovirus F41、AdV 41)、ノロウイルスGI(Norovirus GI、NoV GI)、ノロウイルスGII(Norovirus GII、NoV GII)、及び外部対照物質(External control)のターゲット別の多重固有解離温度測定結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(RVA:HEX 78℃、AstV:CalRed610 78℃、AdV 40:CalRed610 67℃、AdV 41:CalRed610 67℃、NoV GI:FAM 68℃、NoV GII:FAM 84℃、EC:HEX 69℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されなかった(e)。
図5】ヒト乳頭腫ウイルスの検出のためのリアルタイム重合酵素連鎖反応の溶融ピーク(Melting Peak)の分析結果である。16型、18型、33型、35型、51型、53型、59型、68a型、82型、及びICのターゲット別の多重固有解離温度測定を示した結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(16型:HEX 76.5℃、18型:FAM 78℃、33型:Quasar670 71℃、35型:Quasar670 71℃、51型:Quasar670 71℃、53型:Quasar670 71℃、59型:Quasar670 71℃、68型a:Quasar670 71℃、82型:Quasar670 71℃、IC:Quasar670 67.5℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されなかった(e)。
図6】呼吸器疾患誘発ウイルスの検出のためのリアルタイム重合酵素連鎖反応の溶融ピーク(Melting Peak)の分析結果である。インフルエンザA/H1N1(Influenza A/H1N1、H1)、インフルエンザA/H3N2(Influenza A/H3N2、H3)、インフルエンザA/H1N1/2009pdm(Influenza A/H1N1/2009pdm、2009pdm)、インフルエンザB(Influenza B、Flu B)、パラインフルエンザ1(Parainfluenza 1、PIV 1)、パラインフルエンザ3(Parainfluenza 3、PIV 3)、呼吸器合胞体ウイルスA(Respiratory syncytial virus A、RSV A)、呼吸器合胞体ウイルスB(Respiratory syncytial virus B、RSV B)、ヒトメタニューモウイルス(Human metapneumovirus、MPV)、アデノウイルス(Adenovirus、AdV)、及び外部対照物質(EC、External control)のターゲット別の多重固有解離温度測定結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(H1:FAM 67.5℃、H3:FAM 76.5℃、2009pdm:FAM 86.5℃、Flu B:CalRed610 83.5℃、PIV 1:Quasar670 66℃、PIV 3:Quasar670 74℃、RSV A:HEX 63.5℃、RSV B:CalRed610 72℃、MPV:HEX 86℃、ADV:Quasar670 85℃、EC:CalRed610 68.5℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)(e)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されなかった(f)。
図7】BDNF遺伝子の単一塩基多型性であるrs6265の遺伝子型を分析するためのリアルタイム重合酵素連鎖反応の溶融ピーク(Melting Peak)の分析結果である。突然変異型であるA/A、野生型であるG/G、及び異型接合体であるA/Gのターゲット別の多重固有解離温度測定結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(A/A:76.5℃、A/G:76.5℃と75℃、G/G:75℃、IC:66℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されなかった(e)。
図8】リアルタイム重合酵素連鎖反応のCtグラフの結果である。各原因菌別のゲノムDNA(genomic DNA)を100pg/ulの濃度から10倍ずつ希釈した淋菌(Neisseria.gonorrhea、NG)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma.hominis、MH))、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma.parvum、UP)の多重リアルタイム重合連鎖反応の実験条件で示されたSCOの蛍光増幅曲線(fluorescent amplification curves)及び標準曲線(standard curves)結果であって、(a)グラフは、3つの標的配列が濃度別に同時に存在する場合に描かれる蛍光増幅曲線を示し、(b)グラフは、3つの標的配列がいずれも含まれない場合に描かれる陰性結果である。(a)グラフ中のNGに該当するグラフを単一蛍光増幅曲線で示して標準曲線を示すと、(c)及び(d)で示すことができ、MGに該当するグラフは(e)及び(f)で示すことができ、UPに該当する曲線は(g)及び(h)で示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0062】
実施例1.デュアルターゲットPCRでのCCTFの形成及びMALDI分析
多重標的配列の検出のためのPCR反応中に形成されたCCTFを、MALDI−TOF MSを用いて質量分析して標的特異的に検出が可能であることを証明するために、本実験を行った。本実施例1では、性媒介疾患の原因体である淋菌(Neisseria.gonorrhoeae、NG)及びマイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma.hominis、MH)のDNAを対象として行った。
【0063】
1.標的鋳型DNA及び配列特異的に作製されたプライマー
本実施例において標的とするNG及びMHの順方向プライマーはCTPOであって、発明の詳細な説明に記述された方法に基づいて作製された。順方向プライマーの5’末端は、CCTFの鋳型として使用できるように、NG及びMHのDNAと非相補的な配列で構成された任意の塩基配列であり、すぐに連続して制限酵素認識配列が位置するようにした。制限酵素認識配列の後から3’末端までは、NG及びMHのDNAの標的部位と相補的な配列で構成されているので、プライマーとしての役割を果たす。また、順方向プライマーの5’末端はそれぞれ異なる個数のヌクレオチドで構成して、生成されるCCTF毎に異なる質量値を有するようにした。これは、CCTFが形成されたときに質量で増幅物を区分できるように設計するためである。逆方向プライマーは、NG及びMHのDNAの標的部位と相補的な配列で構成されている。
【0064】
プライマー情報、及び増幅されて生成される標的配列情報は、次の通りである。
【0065】
プライマー1:5’−TGAACTAT*CCTGGTCCGACGTTTCGGTTGTGTTGAAACACCGCCCGG−3’(配列番号1)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、TGAACTAT*CCTGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0066】
プライマー2:5’−GCTCCTTATTCGGTTTGACCGG−3’(配列番号2)
【0067】
プライマー3:5’−ATCTATGATA*CCTGGTTTAGCTCCTATTGCCAACGTATTGG−3’(配列番号3)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、ATCTATGATA*CCTGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0068】
プライマー4:5’−TGTGTGGAGCATCTTGTAATCTTTGGTC−3’(配列番号4)
【0069】
増幅物1:GenBank:CP012028.1/Position(start−end):251416−251506
【0070】
5’TGAACTAT*CCTGGTCCGACGTTTCGGTTGTGTTGAAACACCGCCCGGAACCCGATATAATCCGCCCTTCAACATCAGTGAAAATCTTTTTTTTAACCGGTCAAACCGAATAAGGAGC−3’(配列番号5)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、TGAACTAT*CCTGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0071】
増幅物2:GenBank:AJ243692.1/Position(start−end):835−944
【0072】
5’ATCTATGATA*CCTGGTTTAGCTCCTATTGCCAACGTATTGGAAAAAAACTTTGGTATTGAAAAAGGATT
【0073】
TATGACAACAGTCCACTCATATACAGCAGACCAAAGATT
ACAAGATGCTCCACACA−3’(配列番号6)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、ATCTATGATA*CCTGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0074】
発明の実施例において、*で表示された部分は、PspGI制限酵素が切断する部位をブロッキング(blocking)するために認識配列中のCにmodified dCTPが挿入されたという標識である。
【0075】
増幅物から生成されるCCTFの配列及び質量は、次の通りである。
【0076】
CCTF 1:5’−CCAGGATAGTTCA−3’/4038.6Da(配列番号7)
【0077】
CCTF 2:5’−CCAGGTATCATAGAT−3’/4351.8Da(配列番号8)
【0078】
2.PCR増幅
順方向プライマーとしてプライマー1、プライマー3を、逆方向プライマーとしてプライマー2、プライマー4を投入して、同時にPCR反応を行い、CCTFが形成されたか否かを把握した。それぞれのプライマーを3μM、PspGI(NEB、USA)2U、PCRバッファ(PCR buffer、1x)、MgSO4 3mM、dNTP 400μM、Ventポリメラーゼ(Vent Polymerase)(NEB、USA)1U、及びNG、MH鋳型DNA 100pg/ulが含まれた総反応液20μlを、次の条件でC1000 PCR(Bio−Rad、USA)を用いてPCR反応を行った。
【0079】
94℃ 10分、
94℃ 30秒、62℃ 30秒、72℃ 30秒(35サイクル)、
85℃ 2.5時間
【0080】
3.PCR反応中に切断された切片の精製及び脱塩
PCR反応中に制限酵素で処理されて切断されたDNA切片を、前記溶液から分離するために、Oasis(Waters)C18イオン交換樹脂カラム(C18 reverse phase column chromatography)を用いた。前記制限酵素で処理した溶液に0.15Mトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA、pH7.6)70μlを入れて1分間放置する。カラムに100%アセトニトリル(ACN;Sigma、USA)と0.1M TEAA 1mlを通過させてレジン(Resin)を活性化させた後、前記制限酵素で処理した溶液と0.15M TEAAとの混合液100μl、0.1M TEAA 2ml及び3次蒸留水1mlを順に完全に通過させる。収集プレート(Collection Plate)上に前記カラムを位置させ、70%ACN 100μlを入れて通過させる。溶出液が収集プレートに集められると、前記収集プレートを120℃で60分間乾燥させる。
【0081】
4.MALDI−TOF MS分析
MALDIマトリックス(MALDI matrix)[22.8mgのクエン酸アンモニウム、148.5mgのヒドロキシピコリン酸(hydroxypicolinic acid)、1.12mlのアセトニトリル、7.8mlのH2O]4μlを、MALDI−TOF質量分析器(Biflex IV、Bruker)のアンカーチッププレート(Anchor chip plate)に予め点滴(dotting)した後、37℃で30分間乾燥させる。精製及び脱塩過程を経た収集プレートのサンプルに3次蒸留水を10μl入れて溶解させた後、乾燥されたMALDIマトリックス上に2μlを点滴し、MALDIマトリックスを再び37℃で30分間乾燥させた後、MALDI−TOF質量分析器で分析する。分析方法は、MALDI−TOF質量分析器のマニュアルに従う。
【0082】
前記反応によって生成されたCCTFを質量分析器で分析した結果は、図2に示される通りである。図2の結果、プライマー1とプライマー2との組み合わせでPCRを行ったときに形成されるCCTF1の質量である4083Da、及びプライマー3とプライマー4との組み合わせでPCRを行ったときに形成されるCCTF2の質量である4351Daのピークが確認できた(a)。これによって、CTPOによって形成されたCCTFを用いてPCR増幅産物を分析できることを立証し、なお、種々のプライマーが混入している反応物でも、標的配列を正確に増幅及び区分するのにCCTFを活用できることを検証した。
したがって、CCTFの標識化技法を用いてPCRを行い、PCRを行った後、MALDI−TOF MSを活用した質量分析法によって様々な長さの標識切片を識別することで、既存のPCR方式よりも精巧に標的核酸配列の検出が可能であることを証明した。
【0083】
実施例2.多重ターゲットPCRでのCCTFの形成及びCCTFの固有の解離温度のピーク分析
PCR反応中に生成されたCCTFは、固有の解離温度で蛍光シグナルを出し得るSCOと結合して固有の解離温度のピークを形成するようになり、これを、リアルタイム重合酵素連鎖反応(Real−time PCR)機器を用いてPCR過程後に直接観察が可能なようにした。PCR反応中にCCTFが形成されると同時に、反応容器内に共に投入されているSCOのCCTF相補的配列部位とハイブリダイズするようになり、二本鎖を形成するようになる。この二本鎖を一本鎖に解離させるときに示されるSCOの固有の解離温度を測定して、CCTFの種類をリアルタイム重合酵素連鎖反応機器によってPCRと同時に区分及び分析することができる。本実施例において使用したSCOは、それぞれ異なる蛍光レポーターを使用し、固有の解離温度を調節してCCTFの区分が可能なようにした。
【0084】
本実施例では、性媒介疾患の原因体12種、胃腸管疾患の原因体5種、ヒト乳頭腫ウイルス亜型9種、呼吸器疾患の原因体10種、BDNF遺伝子の単一塩基変異rs6265核酸を、リアルタイム重合酵素連鎖反応機器を用いてCCTF分析を行った。
【0085】
1.性媒介疾患の原因体の検出のための多重ターゲットPCRでのCCTFの形成及びCCTFの固有の解離温度のピーク分析
性媒介疾患の原因体であるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis、CT)、淋菌(Neisseria.gonorrhea、NG)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis、MH)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium、MG)、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis、TV)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum、UU)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum、UP)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans、CA)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis、GV)、ヘルペスシンプレックスウイルス1(Herpes simplex virus 1、HSV1)、ヘルペスシンプレックスウイルス2(Herpes simplex virus 2、HSV2)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum、TP)及び内部対照物質(Internal Control、IC)のDNAのリアルタイム重合酵素連鎖反応機器を用いたCCTF分析を行った。
【0086】
1)標的配列鋳型DNAの配列特異的に作製されたプライマー
本実施例で使用した順方向プライマーはCTPOであって、上述した実施例1と同じ原理で作製された。CTPOの5’末端は、19〜20merのヌクレオチド配列で構成されており、CCTFを形成できるように標的配列のDNAと非相補的な配列で構成される。その後に制限酵素認識配列が位置し、その後から3’末端までは、それぞれの標的部位と相補的な配列で構成されているので、プライマーとしての役割を果たす。逆方向プライマーは、それぞれの増幅しようとする標的部位と相補的な配列で構成されている。
【0087】
また、CCTFと相補的結合を形成して二本鎖の鋳型となるSCOは、3’末端の蛍光相殺分子(BHQ−1又はBHQ−2)を位置させ、蛍光レポーター分子を一定の距離を有するように位置させた。
【0088】
プライマー情報、及び増幅されて生成される標的配列情報は、次の通りである。
【0089】
プライマー5:5’−CCACTCCAGCCGGCTGACA*CCAGGACTTGGTGTGACGCTATCAGCAT−3’(配列番号9)
【0090】
プライマー6:5’−GTTTTCAAAACACGGTCGAAAACAAAGTC−3’(配列番号10)
【0091】
プライマー7:5’−CATCGCCACGAGCCGGTTAA*CCAGGTTGAAACACCGCCCGGAACCC−3’(配列番号11)
【0092】
プライマー8:5’−GCTCCTTATTCGGTTTGACCGGT−3’(配列番号12)
【0093】
プライマー9:5’−ACTCACGCTAATGGAGCGCA*CCAGGTTTAGCTCCTATTGCCAACGTATTGG−3’(配列番号13)
【0094】
プライマー10:5’−TGTGTGGAGCATCTTGTAATCTTTGGTC−3’(配列番号14)
【0095】
プライマー11:5’−GCTACCCAGCCGGCTACAAG*CCAGGCTTTATGGTGCTTATATTGGTGGCATG−3’(配列番号15)
【0096】
プライマー12:5’−CTGTATAACGTTGTGCAGCAGGTC−3’(配列番号16)
【0097】
プライマー13:5’−TGCCGCGTGATTCGATCCCA*CCAGGTATGTCCGGCACAACATGCGCT−3’(配列番号17)
【0098】
プライマー14:5’−GAGCTTACGAAGGTCGGAGTTGA−3’(配列番号18)
【0099】
プライマー15:5’−TCTCATAGCTGGGCCGCTG*CCAGGAAGTAGCATATGATGAAGCACACAACA−3’(配列番号19)
【0100】
プライマー16:5’−TAATGCAACGTGCATTTGCTTCAAC−3’(配列番号20)
【0101】
プライマー17:5’−CAGATCGTTGGCACTCTGCGA*CCAGGTTAAAGTAGCATATGATCAAGCTCATTCA−3’(配列番号21)
【0102】
プライマー18:5’−TTGTAATGATACAACGAGCATCATCATTAAT−3’(配列番号22)
【0103】
プライマー19:5’−GCTCGTATGCCGCTCCATATA*CCAGGCCAAATCTGGATCTTCCTCTGCATC−3’(配列番号23)
【0104】
プライマー20:5’−GAGCTTGAGCTGGACCCAGAG−3’(配列番号24)
【0105】
プライマー21:5’−ACGTGCCGTGCATCGTTGCA*CCAGGCAACCGGCTCCATTTTGGTGGAG−3’(配列番号25)
【0106】
プライマー22:5’−CGTCACGTCCTTCATCGGTCC−3’(配列番号26)
【0107】
プライマー23:5’−TCGCAGTCCCGTCGAGGAA*CCAGGAGGCCTGGCTATCCGGAGAAAC−3’(配列番号27)
【0108】
プライマー24:5’−CGTTGTGTTGGCCGCAGGTC−3’(配列番号28)
【0109】
プライマー25:5’−CTCATAGCTAGGCGCCTG*CCAGGGCTGCACGTGGGTCTGTTGTG−3’(配列番号29)
【0110】
プライマー26:5’−GGAAACGCAGGCCACGAAACC−3’(配列番号30)
【0111】
プライマー27:5’−GCTTCGCGTCTCAGGCCTGT*CCAGGGGGCATTACAGTTTTGCGTCATGAC−3’(配列番号31)
【0112】
プライマー28:5’−CAAGTCTGAGCACTTGCACCG−3’(配列番号32)
【0113】
プライマー29:5’−CTGTTAGCTCTGCGAGCT*CCAGGGGAGCGACACTTGTTGGTGTTGAC−3’(配列番号33)
【0114】
プライマー30:5’−TGATGAAATGAAGCCACCCGTGC−3’(配列番号34)
【0115】
SCO1:TCGGAGCCAGCGCGGCGTAAAC[T(FAM)]CCACTCCAGCCGGCTGACA[BHQ1](配列番号35)
【0116】
SCO2:TACAACAGCAGTACGGAGACGAC[T(HEX)]CATCGCCACGAGCCGGTTAA[BHQ1](配列番号36)
【0117】
SCO3:ATTTATTCTTACTCGATGTTAAA[T(HEX)]ACTCACGCTAATGGAGCGCA[BHQ1](配列番号37)
【0118】
SCO4:TATATATATATATTATTATAAA[T(CalRed610)]GCTACCCAGCCGGCTACAAG[BHQ2](配列番号38)
【0119】
SCO5:AAGAATAACTACTACAATCTACT[T(Quasar670)]TGCCGCGTGATTCGATCCCA[BHQ2](配列番号39)
【0120】
SCO6:TTATTATTATTATTATTATATA[T(CalRed610)]TCTCATAGCTGGGCCGCTG[BHQ2](配列番号40)
【0121】
SCO7:AATCTTCAATGCTTACCGTA[T(FAM)]CAGATCGTTGGCACTCTGCGA[BHQ1](配列番号41)
【0122】
SCO8:AAAATAAATAATATAATATA[T(FAM)]GCTCGTATGCCGCTCCATATA[BHQ1](配列番号42)
【0123】
SCO9:TCGGAGCCAGCGCGGCGTAACG[T(Quasar670)]ACGTGCCGTGCATCGTTGCA[BHQ2](配列番号43)
【0124】
SCO10:AAGAATAACTACTACAATCTAC[T(Quasar705)]TTCGCAGTCCCGTCGAGGAA[BHQ2](配列番号44)
【0125】
SCO11:TCGGAGCCAGCGCGGCGTAA[T(Quasar705)]CTCTCATAGCTAGGCGCCTG[BHQ2](配列番号45)
【0126】
SCO12:AAAATAAATAATATAATATAG[T(Quasar705)]CTTCGCGTCTCAGGCCTGT[BHQ2](配列番号46)
【0127】
SCO13:AAAATAAATAATATAATATA[T(Quasar670)]TCTGTTAGCTCTGCGAGCT[BHQ2](配列番号47)
【0128】
増幅物3:GenBank:X52557.1/Position(start−end):157−227
【0129】
CCACTCCAGCCGGCTGACA*CCAGGACTTGGTGTGACGCTATCAGCATGCGTATGGGTTACTATGGTGACTTTGTTTTCGACCGTGTTTTGAAAAC(配列番号48)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CCACTCCAGCCGGCTGACAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0130】
増幅物4:GenBank:X52364.1/Position(start−end):375−459
【0131】
CGCCCACCGCATCCCGCGCCCCTCCCTCAGCA*CCAGGTTGAAACACCGCCCGGAACCCGATATAATCCGCCCTTCAACATCAGTGAAAATCTTTTTTTAACCGGTCAAACCGAATAAGGAGC(配列番号49)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CGCCCACCGCATCCCGCGCCCCTCCCTCAGCAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0132】
増幅物5:GenBank:AJ243692.1/Position(start−end):835−944
【0133】
ACTCACGCTAATGGAGCGCA*CCAGGTTTAGCTCCTATTGCCAACGTATTGGAAAAAAACTTTGGTATTGAAAAAGGATTTATGACAACAGTCCACTCATATACAGCAGACCAAAGATTACAAGATGCTCCACACA(配列番号50)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、ACTCACGCTAATGGAGCGCAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0134】
増幅物6:GenBank:U09251.1/Position(start−end):3462−3687
【0135】
GCTACCCAGCCGGCTACAAG*CCAGGCTTTATGGTGCTTATATTGGTGGCATGCACCATGATCGTCCTTTTAAAAAGTCTGCGAGGATTGTTGGTGATGTAATGAGTAAATTCCACCCTCATGGTGATATGGCAATATATGACACCATGTCAAGAATGGCTCAAGACTTTTCATTAAGATACCTTTTAATTGATGGTCATGGTAATTTTGGTTCTATAGATGGTGATAGACCTGCTGCACAACGTTATACAG(配列番号51)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、GCTACCCAGCCGGCTACAAGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0136】
増幅物7:GenBank:XM_001582993.1/Position(start−end):705−768
【0137】
TGCCGCGTGATTCGATCCCA*CCAGGTATGTCCGGCACAACATGCGCTTATGTCCGGCACAACATGCGCTCTCCGCTTCCCAGGTCAGCTCAACTCCGACCTTCGTAAGCTC(配列番号52)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、TGCCGCGTGATTCGATCCCAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0138】
増幅物8:GenBank:AF085700.2/Position(start−end):4673−4873
【0139】
TCTCATAGCTGGGCCGCTG*CCAGGAAGTAGCATATGATGAAGCACACAACAAAATGGCGCATACTGTGTATTTCACTAATTTCTATCGTTCATCAAAACCACTATTTTTAGATGAAGAAGACCCAATTAATCCCTGTTTTCAAACTATTAGTATGGGTGGGGGTTATGTATCTGGTGAAGTGTATCGTTCTGATTTTGAAGTTGAAGCAAATGCACGTTGCATTA(配列番号53)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、TCTCATAGCTGGGCCGCTGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0140】
増幅物9:GenBank:AF085733.2/Position(start−end):4677−4886
【0141】
CAGATCGTTGGCACTCTGCGA*CCAGGTTAAAGTAGCATATGATCAAGCTCATTCAAAAATGGCACATACTGTCTATTTTACGAATTTTTATCGTTCATCTAAACCTTTATTTTTAGATGAAGAAGATCCAATCAACCCCTGTTTTCAAACAATTAGTATGGGTGGTGGATATGTTTCAGGTGAAATTTATCGTTCTGATTTTGAAATTAATGATGATGCTCGTTGTATCATTACAA(配列番号54)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CAGATCGTTGGCACTCTGCGAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0142】
増幅物10:GenBank:M90812.1/Position(start−end):1736−1811
【0143】
GCTCGTATGCCGCTCCATATA*CCAGGCCAAATCTGGATCTTCCTCTGCATCTGCTTCTGGATCATCAAGCAGCAGCACCAGCTCTGGGTCCAGCTCAAGCTC(配列番号55)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、GCTCGTATGCCGCTCCATATAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0144】
増幅物11:GenBank:L08167.1/Position(start−end):273−434
【0145】
ACGTGCCGTGCATCGTTGCA*CCAGGCAACCGGCTCCATTTTGGTGGAGTCGCTTGATCGTTTTGTGATCGTTTAGTGTGATGATTTATTATGTCTAGAGAGTTAAGCGATAGGCTTTTACTGGTGTATCACTGTAAGGGCGTATTGGTTGGATGCCTTGGTAGACAGGACCGATGAAGGACGTGACG(配列番号56)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、ACGTGCCGTGCATCGTTGCAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0146】
増幅物12:DQ889502.1/Position(start−end):123860−124007
【0147】
TCGCAGTCCCGTCGAGGAA*CCAGGAGGCCTGGCTATCCGGAGAAACAGCACACGACTTGGCGTTCTGTGTGTCGCGATGTCTCTGCGCGCAGTCTGGCATCTGGGGCTTTTGGGAAGCCTCGTGGGGGCTGTTCTTGCCGCCACCCATCGGGGACCTGCGGCCAACACAACG(配列番号57)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、TCGCAGTCCCGTCGAGGAAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0148】
増幅物13:GenBank:EU018100.1/Position(start−end):561−746
【0149】
CTCATAGCTAGGCGCCTG*CCAGGGCTGCACGTGGGTCTGTTGTGGGTAGAGGTGGGCGGGGAGGGCCCCGGCCCCACCGCCCCCCCCACAGGCGGCGCGTGCGGAGGGCGGCCCGTGCGTCCCCCCGGTCCCCGCGGGCCGCCCGTGGCGCTCGGTGCCCCCGGTATGGTATTCCGCCCCCAACCCCGGGTTTCGTGGCCTGCGTTTCC(配列番号58)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTCATAGCTAGGCGCCTGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0150】
増幅物14:GenBank:U57757.1/Position(start−end):910−1067
【0151】
GCTTCGCGTCTCAGGCCTGT*CCAGGGGGCATTACAGTTTTGCGTCATGACGGCTTTGAAGCTGACGACCTCATTGCAACCCTAGCAAAACGAGTTGCGGCTGAGCACTGTCATGTTGTGATTATCTCCTCAGATAAAGATGTACTTCAGCTTGTGTGTGATACGGTGCAAGTGCTCAGACTTG(配列番号59)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、GCTTCGCGTCTCAGGCCTGTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0152】
増幅物15:GenBank:NM_001035551.2/Position(start−end):214−369
【0153】
CTGTTAGCTCTGCGAGCT*CCAGGGGAGCGACACTTGTTGGTGTTGACAAGTTCGGTAACAAATACTACCAGAAGCTAGGCGATACTCAATACGGTATGCACAGATGGGTAGAGTATGCTTCAAAGGATCGTTACAACGCATCTCAAGTACCAGCTGAATGGCACGGGTGGCTTCATTTCATCA(配列番号60)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTGTTAGCTCTGCGAGCTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0154】
で表示された部分は、PspGI制限酵素が切断する部位をブロッキングするために認識配列中のCにmodified dCTPが挿入されたという標識である。SCOにおける括弧は、蛍光相殺分子と蛍光レポーターが位置した塩基配列の位置を意味する。増幅物から生成されるCCTFの配列は、次の通りである。
【0155】
CCTF3:5’−CCTGGTGTCAGCCGGCTGGAGTGG−3’(配列番号61)
【0156】
CCTF4:5’−CCTGGTTAACCGGCTCGTGGCGATG−3’(配列番号62)
【0157】
CCTF5:5’−CCTGGTGCGCTCCATTAGCGTGAGT−3’(配列番号63)
【0158】
CCTF6:5’−CCTGGCTTGTAGCCGGCTGGGTAGC−3’(配列番号64)
【0159】
CCTF7:5’−CCTGGTGGGATCGAATCACGCGGCA−3’(配列番号65)
【0160】
CCTF8:5’−CCTGGCAGCGGCCCAGCTATGAGA−3’(配列番号66)
【0161】
CCTF9:5’−CCTGGTCGCAGAGTGCCAACGATCTG−3’(配列番号67)
【0162】
CCTF10:5’−CCTGGTATATGGAGCGGCATACGAGC−3’(配列番号68)
【0163】
CCTF11:5’−CCTGGTGCAACGATGCACGGCACGT−3’(配列番号69)
【0164】
CCTF12:5’−CCTGGTTCCTCGACGGGACTGCGA−3’(配列番号70)
【0165】
CCTF13:5’−CCTGGCAGGCGCCTAGCTATGAG−3’(配列番号71)
【0166】
CCTF14:5’−CCTGGACAGGCCTGAGACGCGAAGC−3’(配列番号72)
【0167】
CCTF15:5’−CCTGGAGCTCGCAGAGCTAACAG−3’(配列番号73)
【0168】
2)PCR増幅及びSCOの固有の解離温度の測定
【0169】
それぞれプライマー5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30とSCO1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13にそれぞれ0.15μM、PspGI(NEB、USA)5U、PCRバッファ(PCR buffer、1x)、MgCl2 2.5mM、dNTP 200μM、h−Taq DNA polymerase(Solgent、Korea)1.6U、及びCT、NG、MH、MG、TV、UU、UP、CA、GV、HSV1、HSV2、TP及びICのgenomic DNA 100pg/rxnのtemplate DNAを添加して総反応液20μlでCFX96リアルタイム重合酵素連鎖反応(Bio−Rad、USA)を用いて、次のPCR反応を行った。
【0170】
95℃ 15分、
【0171】
95℃ 30秒、63℃ 1分(50サイクル)、
【0172】
変性温度95℃で15分間1回行い、変性温度95℃で30秒、アニーリング温度63℃で1分のサイクルを50回繰り返して行った。反応後、同一機器内で反応混合物を50℃に冷却し、50℃で30秒間維持した後、50℃から95℃にゆっくり加熱することによって、固有解離温度分析曲線を得た。データの分析はBio−Rad CFX Manager 1.6を用いた。
【0173】
図3の(a)は、CT、NG、MH、MG、TV、UU、UP、CA、GV、HSV1、HSV2、TP、ICの原因菌別の多重固有解離温度測定結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(CT:FAM 80℃、NG:HEX 76.5℃、MH:HEX 68℃、MG:CalRed610 67.5℃、TV:Quasar670 71.5℃、UU:CalRed610 77℃、UP:FAM 77℃、CA:FAM 65℃、GV:Quasar670 78.5℃、HSV1:Quasar705 73.5℃、HSV2:Quasar705 79℃、TP:Quasar705 66℃、IC:Quasar670 63.5℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)(e)(f)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されなかった(g)。
【0174】
したがって、CCTFの標識化技法を用いてPCRを行うと同時に、SCOの蛍光をリアルタイム重合酵素連鎖反応機器を活用して分析することによって、既存のPCR方式よりも迅速かつ簡単に標的核酸配列の検出が可能であることを証明した。
【0175】
2.胃腸管疾患の原因体の検出のための多重ターゲットPCRでのCCTFの形成及びCCTFの固有の解離温度のピーク分析
【0176】
胃腸管疾患の原因体であるロタウイルスA(Rotavirus A、RVA)、アストロウイルス(Astrovirus、AstV)、アデノウイルスF40(Adenovirus F40、AdV 40)、アデノウイルスF41(Adenovirus F41、AdV 41)、ノロウイルスGI(Norovirus GI、NoV GI)、ノロウイルスGII(Norovirus GII、NoV GII)及び外部対照物質(External control、EC)のDNAのリアルタイム重合酵素連鎖反応機器を用いたCCTF分析を行った。
【0177】
1)標的配列鋳型DNAの配列特異的に作製されたプライマー
【0178】
本実施例で使用した順方向プライマーはCTPOであって、上述した実施例1と同じ原理で作製された。CTPOの5’末端は、19〜20merのヌクレオチド配列で構成されており、CCTFを形成できるように標的配列のDNAと非相補的な配列で構成される。その後に制限酵素認識配列が位置し、その後から3’末端までは、それぞれの標的部位と相補的な配列で構成されているので、プライマーとしての役割を果たす。逆方向プライマーは、それぞれの増幅しようとする標的部位と相補的な配列で構成されている。
【0179】
また、CCTFと相補的結合を形成して二本鎖の鋳型となるSCOは、3’末端の蛍光相殺分子(BHQ−1又はBHQ−2)を位置させ、蛍光レポーター分子を一定の距離を有するように位置させた。
【0180】
プライマー情報、及び増幅されて生成される標的配列情報は、次の通りである。
【0181】
プライマー31:5’−GCAGGAGCCTCTCATCTCG*CCAGGCTCATTTATAGACARCTTCTCACTAATTC−3’(配列番号74)
【0182】
プライマー32:5’−AGTTTTTTCTGATCCAATYTGYTCTATTTC−3’(配列番号75)
【0183】
プライマー33:5’−TCAGACGGTTCGAGGCTCC*CCAGGARGATYAAGCGTGGAGTATAYATGG−3’(配列番号76)
【0184】
プライマー34:5’−TTTGCGTGCYTCTTCACACGC−3’(配列番号77)
【0185】
プライマー35:5’−AACGCGAATCGACCGGAT*CCAGGCGCGATGTGTTTGCCGATAAAAC−3’(配列番号78)
【0186】
プライマー37:5’−CATTGCGTCTGCCCCACTTG−3’(配列番号79)
【0187】
プライマー38:5’−AACGCGAATCGACCGGAT*CCAGGAAACAAGAACACCTATGCCTACATGAAC−3’(配列番号80)
【0188】
プライマー39:5’−ATGTTAACGTCCTTCCTGAAGTTCCAC−3(配列番号81)
【0189】
プライマー40:5’−TAGATCGGACTGCGAATCG*CCAGGGAGATCGCRATCTYCTGCCCGA−3(配列番号82)
【0190】
プライマー41:5’−RGCGTCCTTAGACGCCATCATC−3(配列番号83)
【0191】
プライマー42:5’−ATCTACAGCGTCGCATCACG*CCAGGCGCAATCTGGCTCCCARTTTTGTG−3(配列番号84)
【0192】
プライマー43:5’−GCGTCAYTCGACGCCATCYTCA−3(配列番号85)
【0193】
プライマー44:5’−CATAGGTCGAGGTCCTCAC*CCAGGGCAAACTCCGGCATCTACTAATAGACG−3(配列番号86)
【0194】
プライマー45:5’−AAGCGGTGATCCGCACAGTG−3(配列番号87)
【0195】
SCO14:TCGGCCGATCGTCCATAGAGTCAAGC[T(HEX)]CGCAGGAGCCTCTCATC TCG[BHQ1](配列番号88)
【0196】
SCO15:TCACGATGAGCGAGTTGAGCTACG[T(Calred610]ATCAGACGGTTCGAGGCTCC[BHQ2](配列番号89)
【0197】
SCO16:TGTTCAATATATAATGATAATATG[T(Calred610)]AACGCGAATCGACCGG AT[BHQ2](配列番号90)
【0198】
SCO17:TGTTCAATATATAATGATAATATG[T(Calred610)]AACGCGAATCGACCGG AT[BHQ2](配列番号91)
【0199】
SCO18:ACATTTATAATACAGTATTTTA[T(FAM)]TAGATCGGACTGCGAATCG[BHQ1](配列番号92)
【0200】
SCO19:AGCTCCTGCCAGTACTGCCATCCA[T(FAM)]ATCTACAGCGTCGCATCACG[BHQ1](配列番号93)
【0201】
SCO20:TAGTTATAATGAATAACTATTAT[T(HEX)]CATAGGTCGAGGTCCTCAC[BHQ1](配列番号94)
【0202】
増幅物16:GenBank:KT694942.1/Position(start−end):19−99
【0203】
GCAGGAGCCTCTCATCTCG*CCAGGCTCATTTATAGACARCTTCTCACTAATTCATATTCAGTAGATTTACATGATGAAATAGARCARATTGGATCAGAAAAAACT(配列番号95)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、GCAGGAGCCTCTCATCTCGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0204】
増幅物17:GenBank:AB000287.1/Position(start−end):2232−2321
【0205】
TCAGACGGTTCGAGGCTCC*CCAGGARGATYAAGCGTGGAGTATAYATGGACCTGCTTGTCTCGGGGGCAAGCCCAGGCAATGCATGGTCCCATGCGTGTGAAGARGCACGCAAA(配列番号96)
なお、前記プライマー配列中の先のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、TCAGACGGTTCGAGGCTCCは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0206】
増幅物18:GenBank:KM274923.1/Position(start−end):121−179
【0207】
AACGCGAATCGACCGGAT*CCAGGCGCGATGTGTTTGCCGATAAAACGTACCAACCGGAGCCCCAAGTGGGGCAGACGCAATG(配列番号97)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、AACGCGAATCGACCGGATは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0208】
増幅物19:GenBank:AB330122.1/Position(start−end):1407−1691
【0209】
AACGCGAATCGACCGGAT*CCAGGAAACAAGAACACCTATGCCTACATGAACGGTCGGGTGGCGGTTCCTAGCGCCCTCGATACCTACGTAAACATCGGGGCACGGTGGTCTCCAGATCCCATGGACAATGTTAACCCCTTCAATCACCACCGTAACGCCGGTCTGCGCTATCGATCCATGCTCTTGGGCAACGGGCGTTACGTACCCTTCCACATTCAAGTCCCCCAGAAGTTTTTTGCCATTAAAAATCTCCTCCTCTTACCGGGTTCCTACACCTACGAGTGGAACTTCAGGAAGGACGTTAACAT(配列番号98)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、AACGCGAATCGACCGGATは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0210】
増幅物20:GenBank:LN854564.1/Position(start−end):5325−5378
【0211】
TAGATCGGACTGCGAATCG*CCAGGGAGATCGCRATCTYCTGCCCGAATTCGTAAATGATGATGGCGTCTAAGGACGCY(配列番号99)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、TAGATCGGACTGCGAATCGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0212】
増幅物21:GenBank:KT202798.1/Position(start−end):5060−5107
【0213】
ATCTACAGCGTCGCATCACG*CCAGGCGCAATCTGGCTCCCARTTTTGTGAATGARGATGGCGTCGARTGACGC(配列番号100)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、ATCTACAGCGTCGCATCACGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0214】
増幅物22:GenBank:EF204940.1/Position(start−end):1707−1878
【0215】
CATAGGTCGAGGTCCTCAC*CCAGGGCAAACTCCGGCATCTACTAATAGACGCCGGCCATTCAAACATGAGGATTACCCATGTCGAAGACAACAAAGAAGTTCAACTCTTTATGTATTGATCTTCCTCGCGATCTTTCTCTCGAAATTTACCAATCAATTGCTTCTGTCGCTACTGGAAGCGGTGATCCGCACAGTG(配列番号101)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CATAGGTCGAGGTCCTCACは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0216】
で表示された部分は、PspGI制限酵素が切断する部位をブロッキングするために認識配列中のCにmodified dCTPが挿入されたという標識である。SCOにおける括弧は、蛍光相殺分子と蛍光レポーターが位置した塩基配列の位置を意味する。増幅物から生成されるCCTFの配列は、次の通りである。
【0217】
CCTF16:5’−CCTGGTGTCAGCCGGCTGGAGTGG−3’(配列番号102)
【0218】
CCTF17:5’−CCTGGTTAACCGGCTCGTGGCGATG−3’(配列番号103)
【0219】
CCTF18:5’−CCTGGTGCGCTCCATTAGCGTGAGT−3’(配列番号104)
【0220】
CCTF19:5’−CCTGGCTTGTAGCCGGCTGGGTAGC−3’(配列番号105)
【0221】
CCTF20:5’−CCTGGTGGGATCGAATCACGCGGCA−3’(配列番号106)
【0222】
CCTF21:5’−CCTGGCAGCGGCCCAGCTATGAGA−3’(配列番号107)
【0223】
CCTF22:5’−CCTGGTCGCAGAGTGCCAACGATCTG−3’(配列番号108)
【0224】
CCTF23:5’−CCTGGTATATGGAGCGGCATACGAGC−3’(配列番号109)
【0225】
CCTF24:5’−CCTGGTGCAACGATGCACGGCACGT−3’(配列番号110)
【0226】
CCTF25:5’−CCTGGTTCCTCGACGGGACTGCGA−3’(配列番号111)
【0227】
CCTF26:5’−CCTGGCAGGCGCCTAGCTATGAG−3’(配列番号112)
【0228】
CCTF27:5’−CCTGGACAGGCCTGAGACGCGAAGC−3’(配列番号113)
【0229】
CCTF28:5’−CCTGGAGCTCGCAGAGCTAACAG−3’(配列番号114)
【0230】
2)PCR増幅及びSCOの固有の解離温度の測定
それぞれプライマー31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45とSCO14、15、16、17、18、19、20にそれぞれ0.15μM、PspGI(NEB、USA)1U、PCRバッファ(PCR buffer、1x)、MgCl2 2.5mM、dNTP 200μM、DTT 0.1mM、RNase Inhibitor 1U、SuperiorScript III(Enzynomics、Korea)1U、及びRVA、AstV、AdV40、AdV41、NoV GI、NoV GII及びEC(MS2 phage)のgenomic RNA 1×10^4pg/rxnの核酸を添加して総反応液20μlでCFX96リアルタイム重合酵素連鎖反応(Bio−Rad、USA)を用いて、次のPCR反応を行った。
【0231】
55℃ 20分、95℃ 10分
95℃ 30秒、63℃ 1分(50サイクル)、
逆転写反応温度55℃で20分間1回、及び変性温度95℃で10分間1回行い、変性温度95℃で30秒、アニーリング温度63℃で1分のサイクルを50回繰り返して行った。反応後、同一機器内で反応混合物を50℃に冷却し、50℃で30秒間維持した後、50℃から95℃にゆっくり加熱することによって、固有解離温度分析曲線を得た。データの分析はBio−Rad CFX Manager 1.6を用いた。
【0232】
図4は、RVA、AstV、AdV40、AdV41、NoV GI、NoV GIIの原因菌別の多重固有解離温度測定結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(RVA:HEX 78℃、AstV:CalRed610 78℃、AdV40:CalRed610 67℃、AdV41:CalRed610 67℃、NoV GI:FAM 68℃、NoV GII:FAM 84℃、EC:HEX 69℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されないことを確認した(e)。
【0233】
したがって、CCTFの標識化技法を用いてPCRを行うと同時に、SCOの蛍光をリアルタイム重合酵素連鎖反応機器を活用して分析することによって、既存のPCR方式よりも迅速かつ簡単に標的核酸配列の検出が可能であることを証明した。
【0234】
3.ヒト乳頭腫ウイルスの検出のための多重ターゲットPCRでのCCTFの形成及びCCTFの固有の解離温度のピーク分析
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の亜型である16型、18型、33型、35型、51型、53型、59型、68a型、82型及び内部対照物質(Internal Control、IC)のDNAを用いて、リアルタイム重合酵素連鎖反応機器を用いたCCTF分析を行った。
【0235】
1)標的配列鋳型DNAの配列特異的に作製されたプライマー
本実施例で使用した順方向プライマーはCTPOであって、上述した実施例1と同じ原理で作製された。CTPOの5’末端は、19〜20merのヌクレオチド配列で構成されており、CCTFを形成できるように標的配列のDNAと非相補的な配列で構成される。その後に制限酵素認識配列が位置し、その後から3’末端までは、それぞれの標的部位と相補的な配列で構成されているので、プライマーとしての役割を果たす。逆方向プライマーは、それぞれの増幅しようとする標的部位と相補的な配列で構成されている。
【0236】
また、CCTFと相補的結合を形成して二本鎖の鋳型となるSCOは、3’末端の蛍光相殺分子(BHQ−1又はBHQ−2)を位置させ、蛍光レポーター分子を一定の距離を有するように位置させた。
【0237】
プライマー情報、及び増幅されて生成される標的配列情報は、次の通りである。
【0238】
プライマー46:5’−CTCTGATAGCGACTGCTCGCA*CCAGGATAATATAAGGGGTCGGTGGACCGG−3’(配列番号115)
【0239】
プライマー47:5’−CTCCATGCATGATTACAGCTGGGTT−3’(配列番号116)
【0240】
プライマー48:5’−ATCGGTCTCCTGAAAGCTGCG*CCAGGCAGAAGGTACAGACGGGGAGGGC−3’(配列番号117)
【0241】
プライマー49:5’−CACCTCCAGCCGCTCCCCTAAT−3’(配列番号118)
【0242】
プライマー50:5’−CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGCAACGATAACCGACCACCACAAGCA−3’(配列番号119)
【0243】
プライマー51:5’−CGGGGTCTGCACAGAACAGCTTT−3’(配列番号120)
【0244】
プライマー52:5’−CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGAGGACCCAGCTGAACGACCTTACAA−3’(配列番号121)
【0245】
プライマー53:5’−CTGTCCACCGTCCACCGATGTTATG−3’(配列番号122)
【0246】
プライマー54:5’−CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGGCTGGCAACGTACACGACAACG−3’(配列番号123)
【0247】
プライマー55:5’−GCTGTACAACGCGAAGGGTGTC−3’(配列番号124)
【0248】
プライマー56:5’−CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGTCCACCTATGCACCGAAACCTCCAA−3’(配列番号125)
【0249】
プライマー57:5’−TGCAGTGACGAGTCCCCGTGTAGTA−3’(配列番号126)
【0250】
プライマー58:5’−CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGGACTGTACACCGTATGCAGCGTG−3’(配列番号127)
【0251】
プライマー59:5’−GCGTATCAGCAGCTCATGTAA−3’(配列番号128)
【0252】
プライマー60:5’−CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGACAAACTCGACGTCGTCTCGGAA−3’(配列番号129)
【0253】
プライマー61:5’−CAGGTCACCACAACAAAGGCTCCGT−3’(配列番号130)
【0254】
プライマー62:5’−ATCAGGACGCAGCCGGTTCT*CCAGGCCAAGGACAGGTACGGCTGTCATC−3’(配列番号131)
【0255】
プライマー63:5’−GGTGCCCTTGAGGTTGTCCAGGTG−3’(配列番号132)
【0256】
SCO21:GAGACGTTTAAGTCCGCGACCGCTC[T(HEX)]CTGATAGCGACTGCTCGCA[BHQ1](配列番号133)
【0257】
SCO22:CAGGCGACGTCCATATGGTGCGCTA[T(FAM)]CGGTCTCCTGAAAGCTGCG[BHQ1](配列番号134)
【0258】
SCO23:CCCTTAGGTAACGTCTGGC[T(Qusar670)]GGCGTAGAGCACTTACGCT[BHQ2](配列番号135)
【0259】
SCO24:AAACTTTAATTATTGTATA[T(FAM)]CAGGACGCAGCCGGTTCT[BHQ1](配列番号136)
【0260】
増幅物23:GenBank:LC193821.1/Position(start−end):480−571
【0261】
CTCTGATAGCGACTGCTCGCA*CCAGGATAATATAAGGGGTCGGTGGACCGGTCGATGTATGTCTTGTTGCAGATCATCAAGAACACGTAGAGAAACCCAGCTGTAATCATGCATGGAG(配列番号137)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTCTGATAGCGACTGCTCGCAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0262】
増幅物24:GenBank:KC470209.1/Position(start−end):538−747
【0263】
ATCGGTCTCCTGAAAGCTGCG*CCAGGCACGACAGGAACGACTCCAACGACGCAGAGAAACACAAGTATAATATTAAGTATGCATGGACCTAAGGCAACATTGCAAGACATTGTATTGCATTTAGAGCCCCAAAATGAAATTCCGGTTGACCTTCTATGTCACGAGCAATTAAGCGACTCAGAGGAAGAAAACGATGAAATAGATGGAGTTAATCATCAACATTTACCAGCCCGACG(配列番号138)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、ATCGGTCTCCTGAAAGCTGCGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0264】
増幅物25:GenBank:KU298894.1/Position(start−end):535−860
【0265】
CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGACGCCATGAGAGGACACAAGCCAACGTTAAAGGAATATGTTTTAGATTTATATCCTGAACCAACTGACCTATACTGCTATGAGCAATTAAGTGACAGCTCAGATGAGGATGAAGGCTTGGACCGGCCAGATGGACAAGCACAACCAGCCACAGCTGATTACTACATTGTAACCTGTTGTCACACTTGTAACACCACAGTTCGTTTATGTGTCAACAGTACAGCAAGTGACCTACGAACCATACAGCAACTACTTATGGGCACAGTGAATATTGTGTGCCCTACCTGTGCACAACAATAAACATCATCTACAATGGCCGATCCTGAA(配列番号139)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTGGCGTAGAGCACTTACGCTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0266】
増幅物26:GenBank:M74117.1/Position(start−end):117−509
【0267】
CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGAGGACCCAGCTGAACGACCTTACAAACTGCATGATTTGTGCAACGAGGTAGAAGAAAGCATCCATGAAATTTGTTTGAATTGTGTATACTGCAAACAAGAATTACAGCGGAGTGAGGTATATGACTTTGCATGCTATGATTTGTGTATAGTATATAGAGAAGGCCAGCCATATGGAGTATGCATGAAATGTTTAAAATTTTATTCAAAAATAAGTGAATATAGATGGTATAGATATAGTGTGTATGGAGAAACGTTAGAAAAACAATGCAACAAACAGTTATGTCATTTATTAATTAGGTGTATTACATGTCAAAAACCGCTGTGTCCAGTTGAAAAGCAAAGACATTTAGAAGAAAAAAAACGATTCCATAACATCGGTGGACGGTGGACAG(配列番号140)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTGGCGTAGAGCACTTACGCTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0268】
増幅物27:GenBank:KU298905.1/Position(start−end):512−812
【0269】
CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGGCTGGCAACGTACACGACAACGTAACGAAACCCAAGTGTAATAAAGCCATGCGTGGTAATGTACCACAATTAAAAGATGTAGTATTGCATTTAACACCACAGACTGAAATTGACTTGCAATGCTACGAGCAATTTGACAGCTCAGAGGAGGAGGATGAAGTAGATAATATGCGTGACCAGCTACCAGAAAGACGGGCTGGACAGGCTACGTGTTACAGAATTGAAGCTCCGTGTTGCAGGTGTTCAAGTGTAGTACAACTGGCAGTGGAAAGCAGTGGAGACACCCTTCGCGTTGTACAGC(配列番号141)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTGGCGTAGAGCACTTACGCTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0270】
増幅物28:GenBank:KU298906.1/Position(start−end):3374−3558
【0271】
CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGTCCACCTATGCACCGAAACCTCCAAGACCTCCGCATTGTCCGTGGGTGCCAAAGACACACACCTACAACCACCACAGAAACGACGACGACCAGACGTCACAGACTCCAGAAACACCAAGTACCCCAACAACCTTTTGCGGGGACAACAATCCGTGGACAGTACTACACGGGGACTCGTCACTGCA(配列番号142)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTGGCGTAGAGCACTTACGCTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0272】
増幅物29:GenBank:KU298922.1/Position(start−end):226−366
【0273】
CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGGTTAAGACCGAAAACGGTGCATATAAAGGTAGTTAGAAAGAAAAGGGCAACGGCATGGCACGCTTTGAGGATCCTACACAACGACCATACAAACTGCCTGACTTGAGCACAACATTGAATATTCCTCTGCATGATATTCGC(配列番号143)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTGGCGTAGAGCACTTACGCTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0274】
増幅物30:GenBank:KC470271.1/Position(start−end):3389−3541
【0275】
CTGGCGTAGAGCACTTACGCT*CCAGGATGGCGCTATTTCACAACCCTGAGGAACGGCCATACAAATTGCCAGACCTGTGCAGGACATTGGACACTACATTGCATGACGTTACAATAGAGTGTGTCTATTGCAGAAGGCAACTACAACGGACAGAGGTATATGAATTTGCCTTTAGTGAC(配列番号144)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTGGCGTAGAGCACTTACGCTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0276】
増幅物31:GenBank:EF450778.1/Position(start−end):431−681
【0277】
GCTCATATGCGGCGCCATTTA*CCAGGGCAGGTTGCTATCAAGGTTACAAGACAGGTTTAAGGAGACCAATAGAAACTGGGCATGTGGAGACAGAGAAGACTCTTGGGTTTCTGATAGGCACTGACTCTCTCTGCCTATTGGTCTATTTTCCCACCCTTAGGCTGCTGGTGGTCTACCCTTGGACCCAGAGGTTCTTTGAGTCCTTTGGGGATCTGTCCACTCCTGATGCTGTTATGGGCAACCCTAAGGTGAAGGCTCATGGCAAGAAAGTGCTCGG(配列番号145)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、GCTCATATGCGGCGCCATTTAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0278】
で表示された部分は、PspGI制限酵素が切断する部位をブロッキングするために認識配列中のCにmodified dCTPが挿入されたという標識である。SCOにおける括弧は、蛍光相殺分子と蛍光レポーターが位置した塩基配列の位置を意味する。増幅物から生成されるCCTFの配列は、次の通りである。
【0279】
CCTF29:5’−TGCGAGCAGTCGCTATCAGAG−3’(配列番号146)
【0280】
CCTF30:5’−CGCAGCTTTCAGGAGACCGAT−3’(配列番号147)
【0281】
CCTF31:5’−AGCGTAAGTGCTCTACGCCAG−3’(配列番号148)
【0282】
CCTF32:5’−AGAACCGGCTGCGTCCTGAT−3’(配列番号149)
【0283】
2)PCR増幅及びSCOの固有の解離温度の測定
それぞれプライマー46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63とSCO21、22、23、24にそれぞれ0.15μM、PspGI(NEB、USA)5U、PCRバッファ(PCR buffer、1x)、MgCl2 2.5mM、dNTP 200μM、h−Taq DNA polymerase(Solgent、Korea)1.6U、及びHPV16型、18型、33型、35型、51型、53型、59型、68a型、82型及びICのgenomic DNA 100pg/rxnのtemplate DNAを添加して総反応液20μlでCFX96リアルタイム重合酵素連鎖反応(Bio−Rad、USA)を用いて、次のPCR反応を行った。
【0284】
95℃ 15分、
95℃ 30秒、63℃ 1分(50サイクル)、
変性温度95℃で15分間1回行い、変性温度95℃で30秒、アニーリング温度63℃で1分のサイクルを50回繰り返して行った。反応後、同一機器内で反応混合物を50℃に冷却し、50℃で30秒間維持した後、50℃から95℃にゆっくり加熱することによって、固有解離温度分析曲線を得た。データの分析はBio−Rad CFX Manager 1.6を用いた。
【0285】
図5は、16型、18型、33型、35型、51型、53型、59型、68a型、82型、ICのターゲット別の多重固有解離温度測定結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(16型:HEX 76.5℃、18型:FAM 78℃、33型:Quasar670 71℃、35型:Quasar670 71℃、51型:Quasar670 71℃、53型:Quasar670 71℃、59型:Quasar670 71℃、68型a:Quasar670 71℃、82型:Quasar670 71℃、IC:Quasar670 67.5℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されないことを確認した(e)。
【0286】
したがって、CCTFの標識化技法を用いてPCRを行うと同時に、SCOの蛍光をリアルタイム重合酵素連鎖反応機器を活用して分析することによって、既存のPCR方式よりも迅速かつ簡単に標的核酸配列の検出が可能であることを証明した。
【0287】
4.呼吸器疾患の原因体の検出のための多重ターゲットPCRでのCCTFの形成及びCCTFの固有の解離温度のピーク分析
呼吸器疾患の原因体であるインフルエンザA/H1N1(Influenza A/H1N1、Flu A/H1N1)、インフルエンザA/H3N2(Influenza A/H3N2、Flu A/H3N2)、インフルエンザA/H1N1/2009pdm(Influenza A/H1N1/2009pdm、Flu A/H1N1/2009pdm)、インフルエンザB(Influenza B、Flu B)、パラインフルエンザ1(Parainfluenza 1、PIV1)、パラインフルエンザ3(Parainfluenza 3、PIV3)、呼吸器合胞体ウイルスA(Respiratory syncytial virus A、RSV A)、呼吸器合胞体ウイルスB(Respiratory syncytial virus B、RSV B)、ヒトメタニューモウイルス(Human metapneumovirus、MPV)、アデノウイルス(Adenovirus、AdV)及び外部対照物質(Extraction Control、EC)の核酸のリアルタイム重合酵素連鎖反応機器を用いたCCTF分析を行った。
【0288】
1)標的配列鋳型DNAの配列特異的に作製されたプライマー
【0289】
本実施例で使用した順方向プライマーはCTPOであって、上述した実施例1と同じ原理で作製された。CTPOの5’末端は、19〜20merのヌクレオチド配列で構成されており、CCTFを形成できるように標的配列のDNAと非相補的な配列で構成される。その後に制限酵素認識配列が位置し、その後から3’末端までは、それぞれの標的部位と相補的な配列で構成されているので、プライマーとしての役割を果たす。逆方向プライマーは、それぞれの増幅しようとする標的部位と相補的な配列で構成されている。
【0290】
また、CCTFと相補的結合を形成して二本鎖の鋳型となるSCOは、3’末端の蛍光相殺分子(BHQ−1又はBHQ−2)を位置させ、蛍光レポーター分子を一定の距離を有するように位置させた。
【0291】
プライマー情報、及び増幅されて生成される標的配列情報は、次の通りである。
【0292】
プライマー64:5’−TTGCTATGGCTGACGGGGAAGAATGG−3’(配列番号150)
【0293】
プライマー65:5’−GCCCCGTTGAGAGCACGAAT*CCAGGGGGGTGAATCTTCTGCTTAATGTGAAGACA C−3’(配列番号151)
【0294】
プライマー66:5’−GGGCACCATGCAGTACCAAACGGAAC−3’(配列番号152)
【0295】
プライマー67:5’−CCGTGGCGCGAACTTATCGA*CCAGGATCACACTGAGGGTCTCCCAATAGAGC−3’(配列番号153)
【0296】
プライマー68:5’−TCAAAGACTAAGTGGTGCCATGGATGAAC−3’(配列番号154)
【0297】
プライマー69:5’−AAGTGACCTGCCATTGCGCG*CCAGGTATGTCTACAGCAGAGGGACCCAGC−3’(配列番号155)
【0298】
プライマー70:5’−GGCTTAGAGCACCGCGTCATT*CCAGGTGTCGCTACTGGAAGCGGTGATC−3’(配列番号156)
【0299】
プライマー71:5’−GCGATAGCTAAGGTACGACGGGTC−3’(配列番号157)
【0300】
プライマー72:5’−GTAGATTCGATCCATGCTCCTCTACTACC−3’(配列番号158)
【0301】
プライマー73:5’−CGTCTTACATGCGCAAGCGG*CCAGGTGATATTGAGTTCGGTAATGCAAGATCTGC−3’(配列番号159)
【0302】
プライマー74:5’−CCATAGAGATGGCAATAGATGAAGAGC−3’(配列番号160)
【0303】
プライマー75:5’−AGGCGTTCCGCTTCAACGAG*CCAGGTTGTCAGATTCTGTAGCTTGCTCAGTC−3’(配列番号161)
【0304】
プライマー76:5’−GGTGGTGATCCCAACTTGTTATATCGAAG−3’(配列番号162)
【0305】
プライマー77:5’−TCCGTCTGCGAAGATCTGAGC*CCAGGTTCAATCTATCRTCTGACAGATCTTGAAGT−3’(配列番号163)
【0306】
プライマー78:5’−GTGTCACGACGCGCGAATCT*CCAGGAGATCGTGACCAGTATAATAGCTCAACAC−3’(配列番号164)
【0307】
プライマー79:5’−TTTCAGACAATGCAGGGATAACACCAGC−3’(配列番号165)
【0308】
プライマー80:5’−CCCAGAACGATTTGCGGCGT*CCAGGCTTGGTCCTCTCTTAGGAGGCAAGC−3’(配列番号166)
【0309】
プライマー81:5’−AGGATGCTTCGGAGTACCTGAG−3’(配列番号167)
【0310】
プライマー82:5’−TGCATTGCCGTCGCAGAGAC*CCAGGCAACGGGCACGAAGCGCATC−3’(配列番号168)
【0311】
プライマー83:GCCCTAATGATAAGACAGGCAGTTGTGG(配列番号169)
【0312】
プライマー84:5’−ATGCGCTTGGATTGCCGATG*CCAGGAGCCCTGTTAGTTCTGGATGCTGAACA−3’(配列番号170)
【0313】
SCO33:CTTATAGATTATA[T(FAM)]TGCCCCGTTGAGAGCACGAAT[BHQ1](配列番号171)
【0314】
SCO34:CTAAGTAAGCCTATATCGAAT[T(FAM)]CCGTGGCGCGAACTTATCGA[BHQ1](配列番号172)
【0315】
SCO35:CGTACTGCACTCGCCTACGAC[T(Cal Fluor Red 610)]AAGTGACCTGCCATTGCGCG[BHQ2](配列番号173)
【0316】
SCO36:CTTATAAGTTACA[T(Cal Fluor Red 610)]GGCTTAGAGCACCGCGTCATT[BHQ2](配列番号174)
【0317】
SCO37:CTAATTGTAATAC[T(Quasar 670)]CGTCTTACATGCGCAAGCGG[BHQ2](配列番号175)
【0318】
SCO38:CTAATCGTATGAGATCTATGA[T(Quasar 670)]AGGCGTTCCGCTTCAACGAG[BHQ2](配列番号176)
【0319】
SCO39:TCATAGACATTTA[T(Cal Fluor Gold 540)]TCCGTCTGCGAAGATCTGAGC[BHQ1](配列番号177)
【0320】
SCO40:TACGAATCTGACCTAGTAAGA[T(Cal Fluor Gold 540)]GTGTCACGACGCGCGAATCT[BHQ1](配列番号178)
【0321】
SCO41:TGCCACTAACAGGCCGCTAGA[T(Cal Fluor Gold 540)]CCCAGAACGATTTGCGGCGT[BHQ1](配列番号179)
【0322】
SCO42:TCGAGCGTGCGCCAGATCCA[T(Quasar 670)] TGCATTGCCGTCGCAGAGAC[BHQ2](配列番号180)
【0323】
SCO43:TCGACTGTGCCTGCGTCCGTA[T(FAM)]ATGCGCTTGGATTGCCGATG[BHQ1](配列番号181)
【0324】
増幅物32:GenBank:KU558787.1/Position(start−end):428−621
【0325】
TTGCTATGGCTGACGGGGAAGAATGGTTTGTACCCAAACCTGAGCATGTCCTATGTAAACAACAAAGAGAAAGAAGTCCTTGTGCTATGGGGTGTTCATCACCCACCTAACATAGGGAACCAAAGGGCCCTCTACCATACAGAAAATGCTTATGTCTCTGTAGTGTCTTCACATTATAGCAGAAGATTCACCCC*CCTGGATTCGTGCTCTCAACGGGGC(配列番号182)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、ATTCGTGCTCTCAACGGGGCは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0326】
増幅物33:GenBank:CY221934.1/Position(start−end):111−296
【0327】
GGGCACCATGCAGTACCAAACGGAACGATAGTGAAAACAATCACAAATGACCAAATTGAAGTTACTAATGCTACTGAGTTGGTTCAGAATTCCTCAATAGGTGAAATATGCGACAGTCCTCATCAGATCCTTGATGGAGAGAACTGCACACTAATAGATGCTCTATTGGGAGACCCTCAGTGTGAT*CCTGGTCGATAAGTTCGCGCCACGG(配列番号183)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、TCGATAAGTTCGCGCCACGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0328】
増幅物34:GenBank:CY221750.1/Position(start−end):1291−1501
【0329】
TCAAAGACTAAGTGGTGCCATGGATGAACTCCACAACGAAATACTCGAGCTGGATGAAAAAGTGGATGACCTCAGAGCTGACACTATAAGCTCACAAATAGAACTTGCAGTCTTGCTTTCCAACGAAGGAATAATAAACAGTGAAGATGAGCATCTATTGGCACTTGAGAGAAAACTAAAGAAAATGCTGGGTCCCTCTGCTGTAGACATA*CCTGGCGCGCAATGGCAGGTCACTT(配列番号184)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、CGCGCAATGGCAGGTCACTTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0330】
増幅物35:GenBank:JF719743.1/Position(start−end):1816−1950
【0331】
GGCTTAGAGCACCGCGTCATT*CCAGGTGTCGCTACTGGAAGCGGTGATCCGCACAGTGACGACTTTACAGCAATTGCTTACTTAAGGGACGAATTGCTCGCAAAGCATCCGACCTTAGGTTCTGGTAATGACGAGGCGACCCGTCGTACCTTAGCTATCGC(配列番号185)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、GGCTTAGAGCACCGCGTCATTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0332】
増幅物36:GenBank:KX639498.1z/Position(start−end):4035−4253
【0333】
GTAGATTCGATCCATGCTCCTCTACTACCATGGTCCAGCCGACTGAGACAAGGGATGATATATAATGCCAATAAAGTAGCTCTGGCACCCCAATGTCTCCCAGTCGACAAAGATATCAGATTCAGAGTTGTATTTGTCAACGGAACATCACTGGGTACAATCACAATTGCCAAGGTCCCAAAAACTCTTGCAGATCTTGCATTACCGAACTCAATATCA*CCTGGCCGCTTGCGCATGTAAGACG(配列番号186)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、CCGCTTGCGCATGTAAGACGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0334】
増幅物37:GenBank:KY369876.1/Position(start−end):1310−1463
【0335】
CCATAGAGATGGCAATAGATGAAGAGCCAGAACAATTCGAACATAGAGCAGACCAAGAACAAGATGGGGAACCTCAATCATCTATAATCCAATATGCTTGGGCAGAAGGAAACAGAAGCGATGACCGGACTGAGCAAGCTACAGAATCTGACAA*CCTGGCTCGTTGAAGCGGAACGCCT(配列番号187)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTCGTTGAAGCGGAACGCCTは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0336】
増幅物38:GenBank:KX894800.1/Position(start−end):11378−11529
【0337】
GGTGGTGATCCCAACTTGTTATATCGAAGTTTCTATAGAAGAACTCCTGATTTCCTCACAGAGGCTATAGTTCACTCTGTGTTCATACTTAGTTATTATACAAACCATGATTTAAAGGATAAACTTCAAGATCTGTCAGAYGATAGATTGAA*CCTGGGCTCAGATCTTCGCAGACGGA(配列番号188)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、GCTCAGATCTTCGCAGACGGAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0338】
増幅物39:GenBank:KY249683.1/Position(start−end):11465−11577
【0339】
GGTGGTGATCCTAATTTGTTATATCGAAGCTTTTATAGGAGAACTCCAGACTTCCTTACAGAAGCTATAGTACATTCAGTGTTCGTGTTGAGCTATTATACTGGTCACGATCT*CCTGGAGATTCGCGCGTCGTGACAC(配列番号189)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、AGATTCGCGCGTCGTGACACは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0340】
増幅物40:GenBank:KJ627391.1/Position(start−end):3631−3933
【0341】
TTTCAGACAATGCAGGGATAACACCAGCAATATCATTGGACCTAATGACTGATGCTGAACTGGCCAGAGCTGTATCATACATGCCAACATCTGCAGGGCAGATAAAGCTGATGTTGGAGAACCGCGCAATGGTAAGGAGAAAAGGATTTGGAATCCTAATAGGGGTCTACGGAAGCTCTGTGATTTACATGGTTCAATTGCCGATCTTTGGTGTCATAGATACACCTTGTTGGATAATCAAGGCAGCTCCCTCTTGCTCAGAAAAAAACGGGAATTATGCTTGCCTCCTAAGAGAGGACCAAG*CCTGGACGCCGCAAATCGTTCTGGG(配列番号190)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、ACGCCGCAAATCGTTCTGGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0342】
増幅物41:GenBank:KT963081.1/Position(start−end):18437−18598
【0343】
AGGATGCTTCGGAGTACCTGAGTCCGGGTCTGGTGCAGTTCGCCCGTGCAACAGACACCTACTTCAGTATGGGGAACAAGTTTAGAAACCCCACAGTGGCGCCCACCCACGATGTGACCACCGACCGTAGCCAGCGACTGATGCTGCGCTTCGTGCCCGTTG*CCTGGGTCTCTGCGACGGCAATGCA(配列番号191)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、GTCTCTGCGACGGCAATGCAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0344】
増幅物42:GenBank:CY221624.1/Position(start−end):988−1252
【0345】
GCCCTAATGATAAGACAGGCAGTTGTGGTCCAGTATCGTCTAATGGAGCAAATGGAGTAAAAGGATTTTCATTCAAATACGGCAATGGTGTTTGGATAGGGAGAACTAAAAGCATTAGTTCAAGAAAAGGTTTTGAGATGATTTGGGATCCGAATGGATGGACTGGGACTGACAATAAATTCTCAATAAAGCAAGATATCGTAGGAATAAATGAGTGGTCAGGGTATAGCGGGAGTTTTGTTCAGCATCCAGAACTAACAGGGCT*CCTGGCATCGGCAATCCAAGCGCAT(配列番号192)
なお、前記プライマー配列中のCCTGGは、制限酵素認識配列を意味し、CATCGGCAATCCAAGCGCATは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0346】
で表示された部分は、PspGI制限酵素が切断する部位をブロッキングするために認識配列中のCにmodified dCTPが挿入されたという標識である。SCOにおける括弧は、蛍光相殺分子と蛍光レポーターが位置した塩基配列の位置を意味する。増幅物から生成されるCCTFの配列は、次の通りである。
【0347】
CCTF33:5’−ATTCGTGCTCTCAACGGGGC−3’(配列番号193)
【0348】
CCTF34:5’−TCGATAAGTTCGCGCCACGG−3’(配列番号194)
【0349】
CCTF35:5’−CGCGCAATGGCAGGTCACTT−3’(配列番号195)
【0350】
CCTF36:5’−AATGACGCGGTGCTCTAAGCC−3’(配列番号196)
【0351】
CCTF37:5’−CCGCTTGCGCATGTAAGACG−3’(配列番号197)
【0352】
CCTF38:5’−CTCGTTGAAGCGGAACGCCT−3’(配列番号198)
【0353】
CCTF39:5’−GCTCAGATCTTCGCAGACGGA−3’(配列番号199)
【0354】
CCTF40:5’−AGATTCGCGCGTCGTGACAC−3’(配列番号200)
【0355】
CCTF41:5’−ACGCCGCAAATCGTTCTGGG−3’(配列番号201)
【0356】
CCTF42:5’−GTCTCTGCGACGGCAATGCA−3’(配列番号202)
【0357】
CCTF43:5’−CATCGGCAATCCAAGCGCAT−3’(配列番号203)
【0358】
2)PCR増幅及びSCOの固有の解離温度の測定
それぞれプライマー64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84とSCO33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43にそれぞれ0.15μM、PspGI(NEB、USA)1U、PCRバッファ(PCR buffer、1x)、MgCl2 2.5mM、dNTP 200μM、DTT 0.1mM、RNase Inhibitor 1U、SuperiorScript III(Enzynomics、Korea)1U、及びFlu A/H1N1、Flu A/H3N2、Flu A/H1N1/2009pdm、Flu B、PIV1、PIV3、RSV A、RSV B、hMPV、ADV及びMS2 phageのgenomic RNA 1×10^4copies/rxnのtemplate核酸を添加して総反応液20μlでCFX96リアルタイム重合酵素連鎖反応(Bio−Rad、USA)を用いて、次のPCR反応を行った。
【0359】
55℃ 20分、95℃ 10分
95℃ 30秒、63℃ 1分(50サイクル)、
逆転写反応温度55℃で20分間1回、及び変性温度95℃で10分間1回行い、変性温度95℃で30秒、アニーリング温度63℃で1分のサイクルを50回繰り返して行った。反応後、同一機器内で反応混合物を50℃に冷却し、50℃で30秒間維持した後、50℃から95℃にゆっくり加熱することによって、固有解離温度分析曲線を得た。データの分析はBio−Rad CFX Manager 1.6を用いた。
【0360】
図6は、Flu A/H1N1、Flu A/H3N2、Flu A/H1N1/2009pdm、Flu B、PIV1、PIV3、RSV A、RSV B、hMPV、ADV、EC(Ms2 phage)の原因菌別の多重固有解離温度測定結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(Flu A/H1N1:67.5℃、Flu A/H3N2:76.5℃、Flu A/H1N1/2009pdm:86.5℃、Flu B:83.5℃、PIV1:66℃、PIV3:74℃、RSV A:63.5℃、RSV B:72℃、hMPV:86℃、ADV:85℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)(e)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されないことを確認した(f)。
【0361】
したがって、CCTFの標識化技法を用いてPCRを行うと同時に、SCOの蛍光をリアルタイム重合酵素連鎖反応機器を活用して分析することによって、既存のPCR方式よりも迅速かつ簡単に標的核酸配列の検出が可能であることを証明した。
【0362】
5.BDNF遺伝子の単一塩基変異の遺伝子型の分析のための多重ターゲットPCRでのCCTFの形成及びCCTFの固有の解離温度のピーク分析
【0363】
BDNF遺伝子の単一塩基変異であるrs6265の遺伝子型を分析するために、リアルタイム重合酵素連鎖反応機器を用いたCCTF分析を行った。
【0364】
1)標的配列鋳型DNAの配列特異的に作製されたプライマー
本実施例で使用した順方向プライマーはCTPOであって、上述した実施例1と同じ原理で作製された。CTPOの5’末端は、19〜20merのヌクレオチド配列で構成されており、CCTFを形成できるように標的配列のDNAと非相補的な配列で構成される。その後に制限酵素認識配列が位置し、その後から3’末端までは、それぞれの標的部位と相補的な配列で構成されているので、プライマーとしての役割を果たす。逆方向プライマーは、それぞれの増幅しようとする標的部位と相補的な配列で構成されている。
【0365】
また、CCTFと相補的結合を形成して二本鎖の鋳型となるSCOは、3’末端の蛍光相殺分子(BHQ−1又はBHQ−2)を位置させ、蛍光レポーター分子を一定の距離を有するように位置させた。
【0366】
プライマー情報、及び増幅されて生成される標的配列情報は、次の通りである。
【0367】
プライマー85:5’−ACGAGGCCTGTCCGCTTACTAG*CCAGGCTGGTCCTCATCCAACAGCTCTTCTATCGC−3’(配列番号204)
【0368】
プライマー86:5’−CCGGGTACGCTAAGTCCGCTAT*CCAGGTTCTGGTCCTCATCCAACAGCTCTTCTATCGT−3’(配列番号205)
【0369】
プライマー87:5’−GACCCATGGGACTCTGGAGAGCGTGAA−3’(配列番号206)
【0370】
プライマー88:5’−GCTCATATGCGGCGCCATTTA*CCAGGGCAGGTTGCTATCAAGGTTACAAGACAG−3’(配列番号207)
【0371】
プライマー89:5’−CCGAGCACTTTCTTGCCATGAGCC−3’(配列番号208)
【0372】
SCO44:GTAGCACGCTTCGAATGGC[T(HEX)]ATACGAGGCCTGTCCGCTTACTAG[BHQ1](配列番号209)
【0373】
SCO45:GATACGGAGGTCCGAAGGCAG[T(FAM)]GTTGGTTACCCTAACGCGCCGGA[BHQ1](配列番号210)
【0374】
SCO46:ATTAGTTTAACTATTATATT[T(FAM)]TATGCTCATATGCGGCGCCATTTA[BHQ1](配列番号211)
【0375】
増幅物43:GenBank:NT_009237.19/Position(start−end):27598340−27598451
【0376】
ACGAGGCCTGTCCGCTTACTAG*CCAGGCTGGTCCTCATCCAACAGCTCTTCTATCACGTGTTCGAAAGTGTCAGCCAATGATGTCAAGCCTCTTGAACCTGCCTTGGGCCCATTCACGCTCTCCAGAGTCCCATGGGTC(配列番号212)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、ACGAGGCCTGTCCGCTTACTAGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0377】
増幅物44:GenBank:NT_009237.19/Position(start−end):27598338−27598451
【0378】
CCGGGTACGCTAAGTCCGCTAT*CCAGGTTCTGGTCCTCATCCAACAGCTCTTCTATCACGTGTTCGAAAGTGTCAGCCAATGATGTCAAGCCTCTTGAACCTGCCTTGGGCCCATTCACGCTCTCCAGAGTCCCATGGGTC(配列番号213)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CCGGGTACGCTAAGTCCGCTATは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0379】
増幅物45:GenBank:EF450778.1/Position(start−end):431−681
【0380】
GCTCATATGCGGCGCCATTTA*CCAGGGCAGGTTGCTATCAAGGTTACAAGACAGGTTTAAGGAGACCAATAGAAACTGGGCATGTGGAGACAGAGAAGACTCTTGGGTTTCTGATAGGCACTGACTCTCTCTGCCTATTGGTCTATTTTCCCACCCTTAGGCTGCTGGTGGTCTACCCTTGGACCCAGAGGTTCTTTGAGTCCTTTGGGGATCTGTCCACTCCTGATGCTGTTATGGGCAACCCTAAGGTGAAGGCTCATGGCAAGAAAGTGCTCGG(配列番号214)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、GCTCATATGCGGCGCCATTTAは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0381】
で表示された部分は、PspGI制限酵素が切断する部位をブロッキングするために認識配列中のCにmodified dCTPが挿入されたという標識である。SCOにおける括弧は、蛍光相殺分子と蛍光レポーターが位置した塩基配列の位置を意味する。増幅物から生成されるCCTFの配列は、次の通りである。
【0382】
CCTF44:5’−CTAGTAAGCGGACAGGCCTCGT−3’(配列番号215)
【0383】
CCTF45:5’−ATAGCGGACTTAGCGTACCCGG−3’(配列番号216)
【0384】
CCTF46:5’−TAAATGGCGCCGCATATGAG−3’(配列番号217)
【0385】
2)PCR増幅及びSCOの固有の解離温度の測定
それぞれプライマー85、86、87、88、89とSCO44、45、46にそれぞれ0.15μM、PspGI(NEB、USA)5U、PCRバッファ(PCR buffer、1x)、MgCl2 2.5mM、dNTP 200μM、h−Taq DNA polymerase(Solgent、Korea)1.6U、及びFlu A/H1N1、Flu A/H3N2、Flu A/H1N1/2009pdm、Flu B、PIV1、PIV3、RSV A、RSV B、hMPV、ADV及びMS2 phageのgenomic RNA 1×10^4copies/rxnのtemplate核酸を添加して総反応液20μlでCFX96リアルタイム重合酵素連鎖反応(Bio−Rad、USA)を用いて、次のPCR反応を行った。
【0386】
95℃ 15分、
95℃ 30秒、65℃ 1分(50サイクル)、
変性温度95℃で15分間1回行い、変性温度95℃で30秒、アニーリング温度65℃で1分のサイクルを50回繰り返して行った。反応後、同一機器内で反応混合物を50℃に冷却し、50℃で30秒間維持した後、50℃から95℃にゆっくり加熱することによって、固有解離温度分析曲線を得た。データの分析はBio−Rad CFX Manager 1.6を用いた。
【0387】
図7の(a)は、rs6265の突然変異型A/A、野生型G/G、及び異型接合体A/Gの遺伝子型と内部対照物質(IC)の多重固有解離温度測定結果であって、それぞれのSCOが有する固有の解離温度(A/A:76.5℃、A/G:76.5℃と75℃、G/G:75℃、IC:66℃)でピークが観察され(a)(b)(c)(d)、同じ組成において標的配列が投入されなかった場合には、CCTFを可視化するSCOのピークが観察されないことを確認した(e)。
【0388】
したがって、CCTFの標識化技法を用いてPCRを行うと同時に、SCOの蛍光をリアルタイム重合酵素連鎖反応機器を活用して分析することによって、既存のPCR方式よりも迅速かつ簡単に標的核酸配列の検出が可能であることを証明した。
【0389】
実施例3.多重ターゲットPCRでのCCTFの形成及びCCTFのCtグラフの分析
SCOを活用してリアルタイム重合酵素連鎖反応機器によりCCTFの生成有無を確認できることを実施例2で証明している。前記の方法において使用されるSCOは、PCR増幅過程中の標的配列が生成される反応中に同時に形成されて、リアルタイム蛍光分析が可能であるので、生成されるCCTFの同定が可能である。これに基づいて、本実施例では、多重標的配列を有するPCRの場合、CCTFの形成をSCOで分析するとき、標準曲線の形成が可能であることを証明しようとした。
【0390】
本実施例を行うために、性媒介感染症(STI)の原因菌である淋菌(Neisseria.gonorrhea、NG)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma.hominis、MH)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma.parvum、UP)を選別した。
【0391】
1.標的鋳型DNAの特異的プライマーの作製
本実施例で使用した順方向プライマーはCPTOであって、前記の発明の詳細な説明に記述された方法に基づいて作製された。順方向プライマーの5’末端は、19mer又は21merのヌクレオチド配列で構成され、CCTFを形成できるように各原因菌別のDNAと非相補的な配列で構成される。その後に制限酵素認識配列が位置するようになる。制限酵素認識配列の後から3’末端までは、各原因菌別のDNAのターゲット部位と相補的な配列で構成されているので、プライマーとしての役割を果たす。逆方向プライマーは、各原因菌別のDNAのターゲット部位と相補的な配列で構成されている。
【0392】
また、CCTFと二量体を形成するSCOは、二重標識を有するようにデザインし、各原因菌別にそれぞれデザインした。SCOは、3’末端のクエンチャー(BHQ1又はBHQ2)分子及びレポーター(各FAM、HEX、CAL Fluor Red 610)分子を一定の距離を有するようにしてデザインし、配列は、分析しようとするCCTFの配列と相補的である。
【0393】
プライマー情報、及び増幅されて生成される標的配列情報は、次の通りである。
【0394】
プライマー90:5’−CTCATCGCCACGAGCCGGTTAA*CCAGGTTGAAACACCGCCCGGAACCC−3’(配列番号218)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTCATCGCCACGAGCCGGTTAA*CCAGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0395】
プライマー91:5’−GCTCCTTATTCGGTTTGACCGGT−3’(配列番号219)
【0396】
プライマー92:5’−GCTCGCAGGTACGGCACCATTCA*CCAGGCAGAAGGTATGATAACAACGGTAGAGC−3’(配列番号220)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、GCTCGCAGGTACGGCACCATTCA*CCAGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0397】
プライマー93:5’−CCCCTTTGCACCGTTGAGGGG−3’(配列番号221)
【0398】
プライマー94:5’−AGTCGATTATGTCTGAGGCCGCG*CCAGGTTAAAGTAGCATATGATCAAGCTCATTCA−3’(配列番号222)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、AGTCGATTATGTCTGAGGCCGCG*CCAGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0399】
プライマー95:5’−GATCCTGACATATAATCATTATCTCCTTTTATAAA−3’(配列番号223)
【0400】
SCO47:TC[T(HEX)[CATCGCCACGAGCCGGTTAA[BHQ](配列番号224)
【0401】
SCO48:TG[T(CAL Fluor Red 610)]CGCAGGTACGGCACCATTCA[BHQ2](配列番号225)
【0402】
SCO49:TAG[T(FAM)]CGATTATGTCTGAGGCCGCG[BHQ](配列番号226)
【0403】
増幅物46:GenBank:X52364.1/Position(start−end):375−459
【0404】
CTCATCGCCACGAGCCGGTTAA*CCAGGTTGAAACACCGCCCGGAACCCGATATAATCCGCCCTTCAACATCAGTGAAAATCTTTTTTTAACCGGTCAAACCGAATAAGGAGC(配列番号227)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、CTCATCGCCACGAGCCGGTTAA*CCAGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0405】
増幅物47:GenBank:M31431.1/Position(start−end):1455−1535
【0406】
GCTCGCAGGTACGGCACCATTCA*CCAGGCAGAAGGTATGATAACAACGGTAGAGCTTTATATGATATTAACTTAGCAAAAATGGAAAACCCCTCAACGGTGCAAAGGGG(配列番号228)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、GCTCGCAGGTACGGCACCATTCA*CCAGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0407】
増幅物48:GenBank:AF085733.2/Position(start−end):416−502
【0408】
AGTCGATTATGTCTGAGGCCGCG*CCAGGGTTTCTGTACACGATCCAATT[T/c]ACAAATAACATTTACAATTCGTAAAATTTTTTTATAAAAGGAGATAATGATTATATGTCAGGATC(配列番号229)
なお、前記プライマー配列中のCCAGGは、制限酵素認識配列を意味し、AGTCGATTATGTCTGAGGCCGCG*CCAGGは、これにより生成されるCCTFの相補的な配列である。
【0409】
で表示された部分は、PspGI制限酵素が切断する部位をブロッキングするために認識配列中のCにmodified dCTPが挿入されたという標識である。SCOにおける括弧は、蛍光相殺分子と蛍光レポーターが位置した塩基配列の位置を意味する。プライマー及びSCO中のNGに該当するプライマーは、実施例2で使用したものと同一である。増幅物から生成されるCCTFの配列は、次の通りである。
【0410】
CCTF47:5’−CCTGGTTAACCGGCTCGTGGCGATGAG−3’(配列番号230)
【0411】
CCTF48:5’−CCTGGTGAATGGTGCCGTACCTGCGAGC−3’(配列番号231)
【0412】
CCTF49:5’−CCTGGCGCGGCCTCAGACATAATCGACT−3’(配列番号232)
【0413】
2.PCR増幅及びSCOの固有の解離温度の測定
前記のプライマーの設計で言及したそれぞれの標的配列の特異的な順方向プライマー3種及び逆方向プライマー3種、SCO3種を、それぞれ0.15uMになるように投入し、PspGI(NEB、USA)2U、PCRバッファ(PCR buffer、1x)、MgCl2 2.5mM、dNTP 200μM、h−Taq DNA polymerase(Solgent、Korea)1.6U、及び各原因菌別の既存の定量方法で証明された100pg/μlのgenomic DNAを10倍ずつ希釈した鋳型DNAが含まれた総反応液20μlを、次の条件でCFX96リアルタイム重合酵素連鎖反応(Bio−Rad Inc.,USA)機器を用いて行った。
【0414】
95℃ 15分、
95℃ 30秒、63℃ 1分(50サイクル)、
変性温度95℃で15分間1回行い、変性温度95℃で30秒、アニーリング温度63℃で1分のサイクルを50回繰り返して行った。また、アニーリング段階で蛍光シグナルを収集し、データの分析は、Bio−Rad CFX Manager 1.6を用いた。Ct(Cycle threshold)は、知られた数字のDNA濃度の対数増幅器で始め、菌株に対する標準曲線を作成した。
【0415】
図8の(a)に示されたように、予想していたSCOの蛍光増幅曲線を、鋳型の濃度に応じてそれぞれ異なるグラフとして観察することができた。また、鋳型DNAを投入しない場合、いかなるピークも観察されなかった(b)。各原因菌別のgenomic DNAを100pgの濃度から10倍ずつ希釈したNG(実線)、MG(点線)、UP(円形)の多重リアルタイム重合連鎖反応の実験条件で現れたSCOの蛍光増幅曲線(fluorescent amplification curves)及び標準曲線(standard curve)を示した結果であって、グラフ(a)は、3つの標的配列が濃度別に同時に存在する場合に描かれる蛍光増幅曲線を示し、グラフ(b)は、3つの標的配列が全て含まれない場合に描かれる陰性結果である。グラフ(a)中のNGに該当するグラフを単一の蛍光増幅曲線で示して標準曲線を示すと、(c)及び(d)で示すことができ、MGに該当するグラフは(e)及び(f)で示すことができ、UPに該当する曲線は(g)及び(h)で示すことができる。
【0416】
標準曲線の線形回帰分析において回帰係数(Regression coefficient)(r2)は、それぞれ、NG0.9982、MG0.999、UP0.9992と示された。Regression plotの傾きは、NG−3.85、MG−3.89、UP−3.66であった。それぞれの増幅効率(E=10[−1/slope]−1)は、それぞれNG81.8%、MG80.7%、UP87.6%と示され、80〜120%の間の適正範囲内に羅列されることが確認できた。
【0417】
本実施例により、各原因菌別の互いに異なるCCTFをリアルタイム重合酵素連鎖反応機器で読み取るに当たって、SCOのリアルタイム蛍光の程度を測定することによって、生成されるCCTFの相対量を把握し、これを用いて標識形成方法でCt値を確認することによって、標的配列の同定が可能であることを証明した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]