特許第6796727号(P6796727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796727導通路を有するリードレス送達カテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796727
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】導通路を有するリードレス送達カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/375 20060101AFI20201130BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   A61N1/375
   A61M25/00 532
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-555733(P2019-555733)
(86)(22)【出願日】2017年12月22日
(65)【公表番号】特表2020-503162(P2020-503162A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】US2017068143
(87)【国際公開番号】WO2018125791
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年6月26日
(31)【優先権主張番号】62/439,259
(32)【優先日】2016年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ソルティス、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】クープ、ブレンダン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ハースル、ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】コウバル、カート ジー.
(72)【発明者】
【氏名】グッドマン、ジェームズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ハッケンミューラー、ビンセント ピー.
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−527990(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0015983(US,A1)
【文献】 特表2016−524960(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0114157(US,A1)
【文献】 特表2008−516740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00− 1/375
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型リードレスペーシング装置を担持するためのカテーテルシステムであって、
近位端から遠位端に延びるルーメンを含む管状部材と、
前記管状部材の前記遠位端から遠位方向に延び、キャビティを画定する管状遠位保持構造体と、
前記キャビティ内に少なくとも部分的に配置され、近位電極及び遠位電極を有するリードレスペーシング装置と、
前記リードレスペーシング装置の前記近位電極に近接した位置で前記管状遠位保持構造体を通って延びる電気ポートと、
を備え、
前記電気ポートは、導電性挿入体の露出した部分を含み、該露出した部分は、当該導電性挿入体の非露出部分によって周方向に離間させられるとともに分離されており、
前記電気ポートは、前記管状遠位保持構造体を通って前記リードレスペーシング装置に伝達する電気信号と、前記リードレスペーシング装置から前記管状遠位保持構造体を通って伝達される電気信号との少なくともいずれか一方のための導通路を提供するものであり、
前記導電性挿入体は、前記管状遠位保持構造体によって担持されており、
前記導電性挿入体は、前記電気ポート及び前記導通路の少なくとも一部を形成する、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記導電性挿入体は、前記管状遠位保持構造体によって担持されるリング挿入体であり、
前記リング挿入体は、中心軸周りに開口を有し、かつ、
前記リング挿入体は、第1の円周位置における第1の外径と、第2の円周位置における第2の外径とを有し、前記第1の外径は、前記第2の外径とは異なる、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記導電性挿入体の露出した部分のそれぞれは、前記管状遠位保持構造体の長手軸に沿って同じ軸方向位置に配置される、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記管状遠位保持構造体は、
前記管状部材に固定されたハブと、
前記ハブに固定され、かつ、前記ハブから遠位方向に延びる本体部と、
を備え、さらに、
前記本体部は、前記キャビティを少なくとも部分的に画定する、請求項1又は2に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記導電性挿入体は、前記管状遠位保持構造体の内側と前記管状遠位保持構造体の外側との間に前記導通路を提供するように前記ハブを通って延びる、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記導電性挿入体は、リング挿入体である、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記リング挿入体は、内リングから半径方向外側に延びる複数の突起を備える、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記ハブは、1つ以上のポケットを備え、かつ、前記1つ以上のポケットのそれぞれは、前記露出した部分を画定するために前記複数の突起の少なくとも1つを露出させるように構成される、請求項に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
植込み型リードレスペーシング装置を担持するためのカテーテルを形成する方法であって、
キャビティを画定する管状遠位保持構造体を形成するように、ハブ構造体に本体部を取り付けるステップであって、前記本体部は、前記ハブ構造体から遠位方向に延び
前記管状遠位保持構造体は、近位端から遠位端に延びるルーメンを含む管状部材から遠位方向に延びるステップと、
電気ポートを前記ハブ構造体に形成するステップであって、形成された電気ポート、前記管状遠位保持構造体の内側と前記管状遠位保持構造体の外側との間に延びる導通路を有し、前記電気ポートは、導電性挿入体の露出した部分を含み、該露出した部分は、当該導電性挿入体の非露出部分によって周方向に離間するとともに分離されているステップとを備える、方法。
【請求項10】
前記電気ポートを前記ハブ構造体に形成するステップは、前記導電性挿入体を前記ハブ構造体の中に型成形するステップを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電気ポートを前記ハブ構造体に形成するステップは、
1つ以上のポケットを前記ハブ構造体に形成するステップと、
前記1つ以上のポケットのそれぞれにおいて、前記導電性挿入体の複数の露出した部分の1つを露出させるステップと
を備える、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記電気ポートは、前記リードレスペーシング装置が前記管状遠位保持構造体のキャビティ内に全体的に配置された場合に当該リードレスペーシング装置の前記近位電極の近傍に配置される、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記導電性挿入体の露出した部分は、当該導電性挿入体の露出した近位の表面を含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記導電性挿入体の露出した部分は、当該導電性挿入体の露出した半径方向外側の表面を含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置、並びに医療装置を製造及び/又は使用する方法に関する。より詳細には、本発明は、リードレスペーシング装置及び方法などのリードレス心臓装置及び方法、並びにそのようなリードレス装置のための送達装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多様な医療装置が医療、例えば心臓病のために開発されてきた。これらの装置の一部は、カテーテル、リード、ペースメーカなどを含み、送達装置及び/又はシステムは、そのような装置を送達するために使用される。これらの装置は、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、様々な方法のいずれか1つに従って使用され得る。公知の医療装置、送達システム及び方法に関して、それぞれが何らかの利点及び欠点を有する。代替の医療装置及び送達装置並びに医療装置及び送達装置の代替の製造及び使用方法を提供することが引き続き必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、カテーテル及び植込み型装置を含む医療装置のための設計、材料、製造方法及び使用の代替案を提供する。
第1の例では、植込み型リードレスペーシング装置を担持するためのカテーテルシステムは、近位端から遠位端に延びるルーメンを含む管状部材と、管状部材の遠位端から遠位方向に延び、キャビティを画定する管状遠位保持構造体と、キャビティ内に少なくとも部分的に配置され、近位電極及び遠位電極を有するリードレスペーシング装置と、リードレスペーシング装置の近位電極に近接した位置で管状遠位保持構造体を通って延びる電気ポートと、を備え得る。電気ポートは、管状遠位保持構造体を通ってリードレスペーシング装置に伝達する電気信号と、リードレスペーシング装置から前記管状遠位保持構造体を通って伝達される電気信号との少なくともいずれか一方のための導通路を提供し得る。
【0004】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、管状遠位保持構造体によって担持される導電性挿入体を備え得る。導電性挿入体は、電気ポート及び導通路の少なくとも一部を形成し得る。
【0005】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、管状遠位保持構造体によって担持されるリング挿入体である、導電性挿入体を備え得る。
【0006】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、中心軸周りに開口を有するリング挿入体を備え得る。この開口は、全ての円周位置において一定の直径を有する。さらに、リング挿入体は、第1の円周位置における第1の外径と、第2の円周位置における第2の外径とを有し得る。第1の外径は、第2の外径とは異り得る。
【0007】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、管状遠位保持構造体によって担持される複数の導電性セグメントを備え得る。複数の導電性セグメントは、管状遠位保持構造体の中心軸周りにおいて周方向に離間され得、かつ、電気ポート及び導通路の少なくとも一部を形成し得る。
【0008】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、管状遠位保持構造体の中心軸から同じ半径方向距離で離間される複数の導電性セグメントのそれぞれを備え得、かつ、管状遠位保持構造体の長手軸に沿って同じ軸方向位置に配置される複数の導電性セグメントのそれぞれを備え得る。
【0009】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、管状遠位保持構造体の導電材料から形成される電気ポートを備え得る。
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、管状部材に固定されたハブと、ハブに固定され、かつ、ハブから遠位方向に延びる本体部とを備える管状遠位保持構造体を備え得る。本体部は、キャビティを少なくとも部分的に画定し得る。
【0010】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、ハブに配置される電気ポートを備え得る。
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、電気ポートを形成する導電性挿入体を含むハブを備え得る。導電性挿入体は、管状遠位保持構造体の内側と管状遠位保持構造体の外側との間に導通路を提供するようにハブを通って延び得る。
【0011】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、リング挿入体である導電性挿入体を備え得る。
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、1つ以上の導電性セグメントを含む導電性挿入体を備え得る。
【0012】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、1つ以上のポケットを備えるハブを備えることができ、かつ、1つ以上のポケットのそれぞれは、導電性セグメントの少なくとも1つを露出させるように構成される。
【0013】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルシステムは、本体部の中に配置される電気ポートを備え得る。
別の例では、植込み型リードレスペーシング装置を担持するためのカテーテルは、近位端から遠位端に延びるルーメンを含む管状部材と、管状部材の遠位端から遠位方向に延び、キャビティを画定する管状遠位保持構造体と、管状遠位保持構造体の近位を通って延びる電気ポートとを備え得る。電気ポートは、遠位保持構造体の内側と遠位保持構造体の外側との間に導通路を提供し得る。
【0014】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルは、管状遠位保持構造体によって担持される導電性挿入体を備え得る。導電性挿入体は、電気ポート及び導通路の少なくとも一部を形成し得る。
【0015】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、カテーテルは、管状部材に取り付けられ、かつ、管状部材から遠位方向に延びるハブと、ハブに取り付けられ、かつ、ハブから遠位方向に延びる本体部とを含む管状遠位保持構造体を備え得る。電気ポートは、導通路を形成するためにハブを通って延びる1つ以上の導電性挿入体を備え得る。
【0016】
別の例では、植込み型リードレスペーシング装置を担持するためのカテーテルを形成する方法は、本体部がハブ構造体から遠位方向に延びて、キャビティを画定する遠位保持構造体を形成するように、本体部をハブ構造体に取り付けるステップを含み得る。方法は、電気ポートをハブ構造体に形成するステップをさらに含み得る。形成された電気ポートは、電気ポートをハブに形成するために、管状遠位保持構造体の内側と管状遠位保持構造体の外側との間に延びる導通路を有し得る。
【0017】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、方法は、導電性挿入体をハブ構造体内に型成形するステップにより、電気ポートをハブ構造体に形成するステップを備え得る。
【0018】
上記の例のいずれかの代わりに又はそれに加えて、別の例では、方法は、1つ以上のポケットをハブ構造体に形成し、かつ、1つ以上のポケットのそれぞれにおいて導電性セグメントを露出させるステップにより、電気ポートをハブ構造体に形成するステップを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態に関する上記の概要は、本発明のそれぞれの開示される実施形態又は全ての実装形態について説明することを意図されていない。図及び以下に続く詳細な説明は、これらの実施形態の一部をより詳細に例示する。
【0020】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて検討した場合により詳細に理解し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】心臓内に植え込まれた例示的なリードレスペーシング装置の平面図。
図2】例示的な植込み型リードレス心臓ペーシング装置の側面図。
図3】植込み型リードレス心臓ペーシング装置のための例示的な送達装置の平面図。
図4図3の送達装置の遠位の部分側断面図。
図5】電気信号を展開させる概略的な植込み型リードレス心臓ペースメーカ例の斜視図。
図6】電気信号を展開させている、送達装置の保持チャンバ内の概略的な植込み型リードレス心臓ペースメーカ例の一部破断斜視図。
図7】送達装置の挿入体及び遠位ハブ部分の例示的な構成を示す、図4のA−A線に沿って切り取られた図3の送達装置の遠位の断面図。
図7A図7の実施形態の挿入体の斜視図。
図8】送達装置の挿入体及び遠位ハブ部分の例示的な構成を示す、図4のA−A線に沿って切り取られた図3の送達装置の遠位の断面図。
図9】送達装置の挿入体及び遠位ハブ部分の例示的な構成を示す、図4のA−A線に沿って切り取られた図3の送達装置の遠位の断面図。
図10】送達装置の挿入体及び遠位ハブ部分の例示的な構成を示す、図4のA−A線に沿って切り取られた図3の送達装置の遠位の断面図。
図11】送達装置の概略的な遠位ハブ部分例の近位端から見た斜視図。
図12】植込み型装置を担持するためのカテーテルを形成する例示的方法の概略的な流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態を適用できるが、本発明の特定のものが図面に例として示され、詳細に説明される。しかし、当然のことながら、説明する特定の実施形態に本発明を限定することを意図するものではない。むしろ、本発明の趣旨及び範囲内に入る全ての修正形態、均等物及び代替形態を包含することが意図される。
【0023】
以下に定義する用語に対して、これらの定義は、特許請求の範囲又は本明細書の他の部分に異なる定義が提示されない限り適用される。
本明細書において、全ての数値は、明示的に示されていようとなかろうと、「約」という用語によって修飾されると想定される。「約」という用語は、通常、記載した値と均等である(すなわち同じ機能又は結果を有する)と当業者が考える数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数値を備え得る。
【0024】
両端点による数値範囲の記載は、その範囲内の全ての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」とは、内容により別途明瞭に規定されない限り、複数形の指示目標を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「又は」という用語は、通常、内容により別途明瞭に規定されない限り、その意味に「及び/又は」を包含して使用される。
【0025】
本明細書において、「実施形態」、「一部の実施形態」、「他の実施形態」などの表現は、説明される実施形態が1つ以上の特定の特徴、構造及び/又は特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかし、そのような記載は、全ての実施形態が特定の特徴、構造及び/又は特性を含むことを必ずしも意味するとは限らない。さらに、特定の特徴、構造及び/又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、当然のことながら、そのような特徴、構造及び/又は特性は、そうではないと明瞭に記載されない限り、明示的に記載されていようとなかろうと、他の実施形態に関連して使用することもできる。
【0026】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読むべきであり、図面において様々な図面の同様の構造に同じ番号が付いている。必ずしも一定の縮尺でない図面は、例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図されていない。
【0027】
心臓ペースメーカは、心臓を収縮させ、そうして血管系を通って血液を圧送するために心臓組織に電気刺激を作用させる。従来のペースメーカは、通常、皮下又は筋肉下に植え込まれたパルス発生器から、心室の内壁又は外壁に隣接して配置された電極まで延びる電気リード線を含む。従来のペースメーカの代替として、内蔵型又はリードレス心臓ペースメーカが提案された。リードレス心臓ペースメーカは、通常、心室の心臓内植込み部位に固定された小カプセルである。小カプセルは、通常、二極ペーシング/検出電極と、電源(例えば、バッテリ)と、ペーシング/検出電極を制御する付属電気回路とを含み、そうして心臓組織に電気刺激を作用させ、及び/又は生理状態を検出する。カプセルは、大腿静脈を通って下大静脈、右心房に進み、三尖弁を通って右心室に進行し得る送達装置を使用して心臓に送達され得る。上記を受けて、血管系を通る進行を容易にする送達装置を提供することが好ましい。
【0028】
図1は、右心室RVなどの心臓Hの室に植え込まれた例示的な植込み型リードレス心臓ペーシング装置10(例えば、リードレスペースメーカ)を示す。例示的な植込み型装置10の側面図が図2に示されている。植込み型装置10は、近位端14及び遠位端16を有するシェル、すなわちハウジング12を含み得る。植込み型装置10は、ハウジング12の遠位端16に隣接して配置された第1の電極20と、ハウジング12の近位端14に隣接して配置された第2の電極22とを含み得る。例えば、ハウジング12は、導電材料を含むことができ、その全長の一部分に沿って絶縁され得る。近位端14に沿った部分は、第2の電極22を画定するように絶縁をなくすことができる。電極20、22は、電気療法及び/又は検出機能を提供する、検出電極及び/又はペーシング電極であり得る。第1の電極20は、心臓Hの心臓組織に対して位置決めされ得るか、又は他に心臓Hの心臓組織に接触し得る一方、第2の電極22は、第1の電極20から離間されることができ、そのように心臓組織から離間され得る。場合により、電気信号は、電極20、22の1つ以上と遠隔装置との間で伝達し得る。
【0029】
植込み型装置10は、電気信号を電極20、22に供給し、そうしてペーシング/検出電極20、22を制御するために、ハウジング12の内部にパルス発生器(例えば、電気回路)及び電源(例えば、バッテリ)を含み得る。パルス発生器と電極20、22との間の電気通信により、電気刺激を心臓組織に作用させ、及び/又は生理状態を検出し得る。
【0030】
植込み型装置10は、ハウジング12の遠位端16に近接した固定機構24を含み得、該固定機構24は、植込み型装置10を心臓Hの組織壁に取り付けるように構成され、また別の局面では、植込み型装置10を患者の解剖学的構造に固定するように構成される。図1に示すように、いくつかの例において、固定機構24は、植込み型装置10を組織壁に取り付けるために、心臓Hの心臓組織に固定された1つ以上のフック又は爪26を含み得る。他の例では、固定機構24は、植込み型装置10を心臓Hに固定するために、1つ以上の受動爪及び/又は螺旋固定アンカを含み得る。該1つ以上の受動爪は、心臓Hの室内で線維柱帯に絡まるように構成され、該螺旋固定アンカは、組織壁にねじ込まれるように構成される。
【0031】
植込み型装置10は、ハウジング12の近位端14に近接し、植込み型装置10の送達及び/又は回収を容易にするように構成されたドッキング部材30を含み得る。ドッキング部材30は、様々な形態を取ることができるが、ドッキング部材30は、例えば、ハウジング12の近位端14からハウジング12の長手軸に沿って延び得る。ドッキング部材30は、ヘッド部32と、ハウジング12とヘッド部32との間に延びるネック部34とを含み得る。ヘッド部32は、ネック部34と比較して拡張した部分であり得る。例えば、ヘッド部32は、植込み型装置10の長手軸からの半径方向寸法を有することができ、この半径方向寸法は、植込み型装置10の長手軸からのネック部34の半径方向寸法よりも長い。
【0032】
ドッキング部材30は、ヘッド部32から延びるテザー保持構造体36をさらに含み得る。テザー保持構造体36は、テザー又は他の固定機構を受け入れるように構成された開口38を画定し得る。保持構造体36は、略「U字状」の構成を有するものとして示されてはいるが、保持構造体36は、テザーが固定可能及び解放可能に開口38を通る(例えば、ループを形成する)ことができるように開口38を囲む閉じた周縁部を形成する、なんらかの形状を取り得る。保持構造体36は、ヘッド部32を貫いて、ネック部34に沿い、ハウジング12の近位端14に、又は近位端14の中に延び得るが、これは必須ではない。
【0033】
ドッキング部材30は、植込み型装置10の心臓内部位への送達及び/又は植込み型装置10の心臓内部位からの回収を容易にするように構成され得る。上記のもの以外のドッキング部材30も考えられる。
【0034】
本発明の一態様は、例えば、装置10を解剖学的構造(例えば、心臓)内の適切な位置に送達するために使用される送達装置及び/又はシステムに関する。明らかなように、送達装置は、装置10を適切な位置に送達するために、比較的蛇行した解剖学的構造の中を進行する必要があり得る。例えば、一部の実施形態では、送達装置は、血管系を通って目標部位に進行し得る。一部の例示的な場合、装置は、大腿静脈を通って下大静脈、右心房に進み、三尖弁を通って右心室に進行し得る。装置10を送達する目標部位は、右心室の一部分、例えば右心室のうちの心臓の頂部に近い部分であり得る。目標部位は、心臓の他の部位(例えば、右心房、左心房又は左心室)、血管又は他の適切な目標も含み得る。誘導又は送達するためのより容易な又はより良好な制御を可能にする特定の特徴を有する送達システムを提供することが望ましい。
【0035】
図3は、植込み型装置10を送達するために使用できる、カテーテルなどの例示的な送達装置100の平面図である。送達装置100は、近位104及び遠位106を有する外管状部材102を含み得る。中間管状部材110は、外管状部材102のルーメン150内で長手方向にスライド可能に配置し得る(例えば、図4を参照されたい)。内管状部材116は、中間管状部材110のルーメン152内で長手方向にスライド可能に配置し得る(例えば、図4を参照されたい)。遠位保持部分108は、中間管状部材110の遠位に取り付け得る。一部の事例では、遠位保持部分108は、管状であり得る。送達装置100は、外管状部材102の近位104に隣接して配置されたハンドルアセンブリ120をも含み得る。一部の実施形態では、外管状部材102は、少なくとも、外径D2を有する部分を含み得るものであり、外径D2は、保持部分108の少なくとも一部分の外径D1よりも小さい(図4を参照されたい)。
【0036】
ハンドルアセンブリ120は、外管状部材102の近位104に固定して取り付けられるなど、近位104に取り付けられた第1の、すなわち遠位のハブ部分126と、中間管状部材110の近位に固定して取り付けられるなど、近位に取り付けられた第2の、すなわち中間のハブ部分128と、内管状部材116の近位に固定して取り付けられるなど、近位に取り付けられた第3の、すなわち近位のハブ部分130とを含み得る(例えば、図4を参照されたい)。第1のハブ部分126、第2のハブ部分128及び第3のハブ部分130は、通常、入れ子式の構成において互いに長手方向にスライド可能に配置し得る。さらに詳しく後述するように、第1のハブ部分126、第2のハブ部分128、及び第3のハブ部分130のそれぞれは、外管状部材102、中間管状部材110、及び内管状部材116が個別に動作できるように互いに対して長手方向にスライド可能かつ回転可能であり得る。いくつかの例において、外管状部材102、中間管状部材110及び内管状部材116を同時に移動させることが好ましい。ハンドルアセンブリ120は、さらに詳しく後述するように、多段展開機構、すなわち第1のロック機構134を含み得るものであり、該第1のロック機構134は、第2のハブ部分128を第3のハブ部分130に解放可能に連結し、第2のハブ部分128と第3のハブ部分130との間の長手方向の相対移動を防止し、そうして中間管状部材110と内管状部材116との間の長手方向の相対移動を防止する。ハンドルアセンブリ120は、さらに詳しく後述するように、第2のロック機構132をも含み得るものであり、該第2のロック機構132は、第1のハブ部分126を第2のハブ部分128に解放可能に連結して、第1のハブ部分126と第2のハブ部分128との間の長手方向の相対移動を規制し、そうして外管状部材102と中間管状部材110との間の長手方向の相対移動を規制する。
【0037】
遠位保持部分108(例えば、管状遠位保持構造体)は、長手軸L(例えば、中心軸)に沿って延び得るものであり、植込み型装置10を受け入れるように構成され得る。例えば、送達装置100の遠位の一部破断図を示す図4を参照すると、保持部分108は、植込み型装置10をスライド可能に受け入れるキャビティ142を画定し得るものであり、植込み型装置10をキャビティ142にスライド式に挿入し、及び/又はキャビティ142からスライド式に抜き取るための遠位開口144を含み得る。
【0038】
遠位保持部分108は、本体部138(例えば、スリーブ)と遠位先端部140とを含み得るものであり、該遠位先端部140は、例えば解剖学的構造に対して非外傷性であるように構成され得る緩衝先端部などである。例えば、カテーテルが解剖学的構造内を誘導されるとき、先端部は、解剖学的構造と接触し得る。さらに、カテーテルが装置を送達するために使用される場合、送達装置100の遠位先端部140は、目標部位(例えば、心臓の心臓組織)に隣接する組織と接触し得る。外管状部材102及び/又は中間管状部材110の材料で形成された硬質先端部は、血管壁又は心臓組織を傷つけることがある。そうして、解剖学的構造に導入されて、不必要な外傷を引き起こすことなく目標部位に隣接する解剖学的構造と接触し得る、より軟質の遠位先端部140を送達装置100に設けることが望ましい。
【0039】
例えば、遠位先端部140は、遠位保持部分108の本体部138よりも軟質の材料で作製し得る。一部の事例では、遠位先端部140は、本体部138の材料のデュロメータ硬さよりも小さいデュロメータ硬さを有する材料を含み得る。一部の特定の実施形態では、遠位先端部140に使用される材料のデュロメータ硬さは、約5D〜約70Dの範囲又は例えば約25D〜約65Dの範囲であり得る。さらに、遠位先端部140は、先端部の組織に対する外傷性を低めることができる形状又は構造を含み得る。例えば、遠位先端部140は、丸くなった、又は組織に対してより非外傷性であるように構成された曲率を含む、組織接触面などの遠位面を有し得る。
【0040】
一部の実施形態では、遠位保持部分108の少なくとも一部分は、内表面109を含み得るものであり、該内表面109は、装置10の1つ以上のフック又は爪26などの固定機構24及び装置10の外面11(例えば、外表面)に引っかかることを阻止するように構成され得る。例えば、遠位保持部分108は、固定機構24により、遠位保持部分108の内表面に作用する力に耐えるより硬質の又はより滑性の材料からなる内層又は被覆を含み得る。例えば、遠位保持部分108は、多層構造を含むことができ、内層は、外層よりも硬質の材料で作製し得る。
【0041】
内管状部材116は、中間管状部材110のルーメン152内に配置(例えば、スライド可能に配置する)し得る。内管状部材116は、使用者によって、第3のハブ部分130の近くに、又は第3のハブ部分130に係合されて、中間管状部材110のルーメン152を通って遠位保持部分108まで延び得る。内管状部材116の遠位118は、装置10と係合することができ、植込み型装置10を展開させて目標部位(例えば、右心室などの心臓の部位)内に固定するように、内管状部材116を使用して装置10を遠位保持部分108から外に「押し出す」ことができる。内管状部材116は、近位端から遠位118まで延びるルーメン154を有し得る。テザー112又は他の保持機構を使用して、装置10を送達装置100に解放可能に固定し得る。いくつかの例において、テザー112は、ルーメン154の近位端から遠位118から延出し、装置10の開口38を通り、テザー112の両端部が第3のハブ部分130に隣接して配置されるように、ルーメン154を通って内管状部材116の近位端に戻る一本の、すなわち一体の材料であり得る。いくつかの例において、さらに詳しく後述するように、テザー112の両端部は、第3のハブ部分130のロック機構に固定し得る。
【0042】
送達装置100を所望の目標に隣接した位置に、より絞り込んで配置し、又は操舵するために、送達装置100は、可撓性を有するように、関節動作が可能であるように、又は操舵可能であるように構成され得る。図3を参照すると、例えば、外管状部材102及び/又は中間管状部材110は、1つ以上の関節又は撓み機構を含み得るものであり、該関節又は撓み機構は、送達装置100又はその一部分が所望の態様で撓み、関節動作し、操舵され、及び/又は制御されることを可能にする。例えば、外管状部材102は、少なくとも、所望の又は所定の方向に選択的に曲がり及び/又は撓むことができる部分を含み得る。これは、例えば、装置10を目標位置に誘導又は送達するために、保持部分108が所望の位置又は向きを取るように使用者が送達装置100の向きを合わせることを可能にする。外管状部材102は、例えば、偏向部位に沿って撓むことができる。
【0043】
多様な撓み機構を使用し得る。一部の例示的な実施形態では、撓みは、外管状部材102の遠位と外管状部材102の近位端の近くの駆動機構122との間に延びる、引張りワイヤなどの1つ以上の駆動部材によって引き起こすことができる。そうして、1つ以上の引張りワイヤは、所望の偏向又は曲がり部位又は地点で近位方向及び遠位方向の両方に延び得る。これは、外管状部材102の少なくとも一部分に圧縮力及び/又は撓み力を作用させ、それにより外管状部材102を所望の態様で撓ませるか又は曲げるように、使用者が引張りワイヤの1つ以上を駆動する(例えば、「引っ張る」)ことを可能にする。加えて、一部の事例では、1つ以上のワイヤは、十分に剛性であり得るものであり、それによって、1つ以上のワイヤは、例えば、シャフトを「付勢して」又は「真直ぐにして」所望の位置又は向きにするように、付勢力及び/又は引張り力を外管状部材102に提供するようにも使用され得る。
【0044】
一部の実施形態では、駆動部材は、ワイヤ部分の対を画定するように外管状部材102の遠位領域を通ってループを形成するか、又は他に遠位領域に結合される連続ワイヤの形態を取る。しかし、駆動部材が、例えば、外管状部材102の遠位領域に隣接する金属又は金属合金リングに取り付けられた1つ以上の個別のワイヤを含む実施形態を含めた他の実施形態も考えられる。
【0045】
駆動機構122は、張力(すなわち引張り力)若しくは圧縮力(すなわち押し力)又は両方を駆動部材に作用させることを可能にする所望の機構を含み得る。一部の実施形態では、駆動機構122は、ハンドルアセンブリ120に連結され、ハンドルアセンブリ120の長手軸L周りにおいて回転可能な外部回転式部材124を含み得る。回転式部材124は、駆動部材又は引張りワイヤの近位端に取り付けられた内部部材とねじで係合し得る。外部回転式部材124が第1の回転方向に回転すると、内部部材は、第1の長手方向に並進し、それにより引張りワイヤに張力を作用させる。該張力は、外管状部材102を曲げて、初期状態から撓んだ状態にするように圧縮力をシャフトに作用させる。外部回転式部材124が第2の回転方向に回転すると、内部部材は、第2の長手方向に並進し、それにより引張りワイヤに作用する張力を小さくしかつ/又は張力を解放して、外管状部材102が緊張を解かれ、初期状態に戻ることを可能にする。さらに、一部の事例では、上述のように、1つ以上のワイヤは、十分に剛性であり得、内部部材が第2の長手方向に並進するような回転式部材124の第2の回転方向の回転により、ワイヤに圧縮力を作用させることができ、それにより、ワイヤは、外管状部材102に張力を作用させ、外管状部材102を「押圧して」初期状態に戻し、場合により初期状態を越えてさらなる状態にし得る。
【0046】
1つ以上の関節及び/又は撓み機構は、圧縮力又は張力が作用した場合、所望の撓み度及び/又は撓み位置をもたらすことができる構造及び/又は材料を含む外管状部材102も必要とすることがある。例えば、外管状部材102は、特定の圧縮力及び/又は張力が作用した場合、シャフトが特定の態様で曲がりかつ/又は撓むことを可能にするように構成された構造及び/又は材料を含む1つ以上の部分を含み得る。例えば、シャフトは、他の部分よりも可能性であり、それにより曲がり又は関節動作領域又は位置を画定する1つ以上の部分を含み得る。いくつかのそのような領域は、所定の力が作用した場合、特定の曲げ形状を画定し得る複数の異なる又は変化する可撓性特性を含み得る。そのような特性は、外管状部材102の様々な部分に対する材料又は構造の選択によって達成し得る。
【0047】
他の実施形態では、他の関節及び/又は撓み機構が考えられる。例えば、外管状部材102などの送達装置100の少なくとも一部分は、形状記憶ポリマー及び/又は形状記憶金属などの形状記憶材料で作製し得る。そのような材料は、駆動機構によって温度変化又は電流の印加などの刺激を受けた場合、第1の形状から第2の形状に変化又は移行し得る。そうして、これらの材料及び機構を使用して、外管状部材102を所望の態様で撓ませるか又は曲げ得る。送達装置100を撓ませることができる他の適切な撓み機構を使用することもできる。そのような代替の機構は、必要に応じて、本明細書で図示しかつ/又は説明した他の全ての実施形態などに適用し得る。
【0048】
さらに、外管状部材102は、その全長に沿った1つ以上の所定の又は既定の湾曲部分を含み得る。一部の事例では、そのような湾曲部分は、特定の解剖学的構造と合致するように構成することができ、又は装置10をより良好に誘導又は送達するように構成することもできる。加えて又は代わりに、いくつかのそのような湾曲部分は、圧縮力及び/又は張力が外管状部材102に作用したとき、外管状部材102が特定の方向又は形状に曲がりかつ/又は撓みやすくなることを可能にするように構成され得る。外管状部材102は、必要に応じて、レーザカットされた金属管、編組強化ポリマー管又は他の可撓性管状構造であり得ると考えられる。
【0049】
再度、図4に戻ると、遠位保持部分108は、中間管状部材110の遠位に固定し得る。遠位保持部分108は、ハブ部分136及び管状本体部138を含み得る。いくつかの例において、本体部138の近位領域143は、ハブ部分136の遠位137に熱接合することができ、又は他に固定し得る。ハブ部分136は、近位139と遠位137との間に配置された先細り中間領域145を含み得る。
【0050】
いくつかの例において、ハブ部分136は、金属又は金属合金から形成し得る一方、本体部138は、ポリマー材料から形成し得るが、これは必須ではない。代わりに又は加えて、ハブ部分136は、金属又は金属合金挿入体141を含むポリマー材料から形成される。
【0051】
遠位保持部分108のハブ部分136は、(例えば、遠位保持部分108の内側又は内部から遠位保持部分108の外側まで)遠位保持部分108を通って延びる、導電材料(例えば、導電性ポリマー、導電性金属又は導電性金属合金)でできた1つ以上の電気ポート147を含み得る。一例では、挿入体141は、1つ以上の電気ポート147を形成し得る。挿入体141の半径方向厚さは、挿入体141に直接隣接したハブ部分136の半径方向厚さ以上であり得るため、挿入体141の半径方向内表面及び挿入体141の半径方向外表面は、ハブ136の材料から露出し、この材料によって覆われない。別の例では、導電性金属又は導電性金属合金から形成されたハブは、1つ以上の電気ポート147を形成し得る。
【0052】
図5は、概略的な植込み型装置10を示す。植込み型装置10は、遠位端16の第1の電極と、近位端14の第2の電極22とを含み得る。図5に示すフィールド線41は、第2の電極22から第1の電極20に伝達する電気信号(例えば、電流)を示す。植込み型装置10が患者に植え込まれると、植込み型装置10から展開された、フィールド線41による電流は、治療を行うために患者(例えば、患者の心臓)に供給し得る。加えて又は代わりに、フィールド線41は、植込み型装置10の周囲の心臓又は組織の1つ以上の特性を検出するために利用し得る。
【0053】
さらに、一部の事例では、図示していないが、電気信号は、第1の電極20及び第2の電極22の1つ以上と、植込み型装置10から遠隔にある装置(例えば、プログラマ又は他の装置)との間を伝達し得る。植込み型装置10を遠位保持部分108から展開させる前又は他にリードレスペースメーカがスリーブ内にある間に、患者の外部にあるか又は他に植込み型装置10から離れた装置を介して植込み型装置10と通信することが望ましい。そのような通信は、固定機構を解放して患者内に入れる(例えば、患者の心筋に入れる)前に装置の状態を評価する(例えば、植込み型装置10が機能するかどうかを判断する、送達及び/又は植込み中に必要に応じて植込み型装置10の作動能力を判断するなど)ことを可能にし、これは、植込み型装置を植え込む植込み手順の時間短縮に寄与し得る。
【0054】
図6は、送達装置100の遠位保持部分108内に配置された植込み型装置10の概略図を示し、遠位保持部分108は、断面で示されている。図6のフィールド線41は、電気ポート147を通過するように、そうして第1の電極20と第2の電極22との間及び/又は植込み型装置10と遠隔装置との間の通信を容易にするように、植込み型装置10から展開した電気信号を示すことができる。
【0055】
図6に示すように、電気ポート147は、植込み型装置10が遠位保持部分108内(例えば、遠位保持部分108のキャビティ142内)に配置される場合、植込み型装置10の近位端に隣接又は近接した位置で遠位保持部分108に配置し得る。一部の事例では、遠位ハブ部分136及び/又は挿入体141の金属又は金属合金は、電気ポート147を形成することができ、電気信号(例えば、電流)が遠位保持部分108の内側から遠位保持部分108の外側に進むことを可能にする。加えて又は代わりに、電気ポート147は、植込み型装置10が遠位保持部分108内に配置される場合、第2の電極22に隣接及び/又は近接した位置で遠位保持部分108の本体部138に沿って配置し得る。
【0056】
遠位保持部分108は、リードレスペースメーカが遠位保持部分108内にある間、リードレスペースメーカとの通信を容易にするために、遠位保持部分108の近位139に隣接した1つ以上の電気ポート147を含み得るが、信号損失及び通信障害が観測され得る。そのような信号損失及び/又は通信障害は、少なくとも部分的には、遠位保持部分108内の電流集中に起因することがある。そうして、遠位保持部分108は、電気信号が遠位保持部分108内において、第1の電極20と第2の電極22との間で伝達することを防止又は制限するために、(例えば、図5に示す)第1の電極20と第2の電極22との間に1つ以上のバリア(図示せず)を含み得る。
【0057】
図7図12は、挿入体141及び/又はハブ部分136の様々な例示的構成を示す。挿入体141及び/又はハブ部分136のこれらの例示的な構成は、遠位保持部分108の挿入体141及び/又はハブ部分136を形成するために、他のものと共に、個別に、及び/又は一緒に使用し得る。
【0058】
挿入体141は、管状遠位保持部分108を通って伝達する電気信号(例えば、電流)のための導通路を提供する電気ポート147の形成を容易にするか、又は電気ポートを形成する任意の形態を取り得る。挿入体141は、遠位保持部分108の一部であり得、遠位保持部分108に固定することができ、及び/又は遠位保持部分108から突出し得る。挿入体141の例は、それらに限定されるものではないが、遠位保持部分108の内側と外側との間での電気信号の伝達を容易にするように構成された導電リング、導電セグメント及び/又は他の導電材料を含み得る。
【0059】
図7図10は、図4のA−A線に沿って切り取られた断面図であり、挿入体141の様々な例示的構成を示す。一部の事例では、挿入体141は、リング形状、三角形形状、正方形形状、2つ以上の異なる形状、単一材料片、別々の材料片及び/又は1つ以上の他の構成であり得る。他の形状及び/又は構成も考えられ、利用し得る。
【0060】
図7に示す概略断面図は、遠位保持部分108のポリマー材料又は他の材料(例えば、ハブ部分136の材料又は遠位保持部分108の他の部分の材料)内に少なくとも部分的に配置された(例えば、埋め込まれた)、(例えば、導電材料で少なくとも部分的に形成された)金属又は金属合金挿入体141の一例を示す。図7に示す挿入体141は、リング形状を有し、内リング160は、長手軸Lからの半径を有する内周164を有し、1つ以上又は複数の突起162(例えば、3つの突起162)が内リング160から半径方向外側に延びている。図7Aは、挿入体141の斜視図であり、半径方向外側に延びる突起162を示す。
【0061】
挿入体141が遠位保持部分108の材料内(例えば、ハブ部分136又は他の部分内)に入れられると、挿入体141の1つ以上の部分は、遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の内側と遠位保持部分108の外側とに露出して、電気ポート147を形成し得る。例えば、内周164に沿った面と、突起162の外周166の面とは、それを通って電流が通過するために露出され得る。換言すると、挿入体141は、遠位保持部分108の外側の露出した導電面と、遠位保持部分108の内側の(例えば、キャビティ内の)露出した導電面とを含み得る。しかし、これは必須ではなく、突起162の全てよりも少数のものが遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の内側及び/又は遠位保持部分108の外側に露出され得る。
【0062】
図7の挿入体141は、第1の長さを有する第1の外径D1と、第1の長さと異なる第2の長さを有する第2の外径D2とを有し得る。一部の事例では、直径の長さが異なるのは、突起162が内リング160から延びていることによるものであり得る。しかし、これは、常に該当するとは限らず、外径の長さが異なるのは、挿入体141の1つ以上の他の構成によるものであり得る。
【0063】
ハブ部分136のポリマー材料は、挿入体141を囲んで配置され、それにより挿入体141をハブ部分に埋め込むことができる。例えば、図7に示すように、ハブ部分136のポリマー材料の第1の部分は、挿入体141の一部分の半径方向内側(突起162の半径方向内側)などに配置し得る一方、ポリマー材料の第2の部分は、挿入体141の一部分の半径方向外側(突起162間で周方向など)に配置することができ、第1及び第2の部分は、挿入体141を囲むハブ部分136の連続部分である。
【0064】
図8に示す概略断面図は、遠位保持部分108のポリマー材料又は他の材料(例えば、ハブ部分136の材料又は遠位保持部分108の他の部分の材料)内に少なくとも部分的に配置された(例えば、埋め込まれた)、(例えば、導電材料で少なくとも部分的に形成された)金属又は金属合金挿入体141のさらなる例を示す。図8に示す挿入体141は、長手軸Lの周りのリング形状を有し、複数の突起162(例えば、3つの突起162)が内リング160から半径方向外側に延び、複数の突起163(例えば、3つの突起163)が内リング160から半径方向内側に延びている。挿入体141が遠位保持部分108内(例えば、ハブ部分136又は他の部分内)に入れられると、各突起162の1つ以上の部分は、遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の外側に露出することができ、各突起163の1つ以上の部分は、遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の内側に露出し、キャビティ142に面して電気ポート147を形成し得る。例えば、突起163の内周164に沿った面と、突起162の外周166の面とは、それを通って電流が通過するために露出され得る。換言すると、挿入体141は、遠位保持部分108の外側の露出した導電面と、遠位保持部分108の内側の(例えば、キャビティ内の)露出した導電面とを含み得る。しかし、これは必須ではなく、突起162の3つ全てよりも少数のものが遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の外側に露出することができ、突起163の3つ全てよりも少数のものが遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の内側に露出し得る。
【0065】
図8の挿入体141の内周164は、第1の長さを有する第1の内半径R1と、第1の長さと異なる第2の長さを有する第2の内半径R2とを有し得る。一部の事例では、半径の長さが異なるのは、突起163が内リング160から半径方向内側に延びていることによるものであり得る。しかし、これは、常に該当するとは限らず、内半径の長さが異なるのは、挿入体141の1つ以上の他の構成によるものであり得る。
【0066】
図8に示すように、挿入体141は、第1の長さを有する第1の外径D1と、第1の長さと異なる第2の長さを有する第2の外径D2とを有し得る。一部の事例では、直径の長さが異なるのは、突起162が内リング160から半径方向外側に延びていることによるものであり得る。しかし、これは、常に該当するとは限らず、外径の長さが異なるのは、挿入体141の1つ以上の他の構成によるものであり得る。
【0067】
図9に示す概略断面図は、遠位保持部分108のポリマー材料又は他の材料(例えば、ハブ部分136の材料又は遠位保持部分108の他の部分の材料)内に少なくとも部分的に配置された(例えば、埋め込まれた)、(例えば、導電材料で少なくとも部分的に形成された)金属又は金属合金挿入体141の一例を示す。図9に示す挿入体141は、リング形状を有し、外リング160は、長手軸Lからの一定の半径を有する外周166を有する(例えば、図示した挿入体141は、外リング160から半径方向外側に延びる突起を有することができない。さらに、図9の挿入体141は、内周164を有することができ、1つ以上又は複数の突起163(例えば、4つの突起163)は、外リング160から半径方向内側に延びている。
【0068】
挿入体141が遠位保持部分108内(例えば、ハブ部分136又は他の部分内)に入れられると、各突起163の1つ以上の部分は、遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の内側と遠位保持部分108の外側とに露出して、電気ポート147を形成し得る。一例では、外リング160の少なくとも一部分は、遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の外側に露出することができ、突起163の少なくとも一部分は、遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の内側に露出し得る。換言すると、挿入体141は、遠位保持部分108の外側の露出した導電面と、遠位保持部分108の内側の(例えば、キャビティ内の)露出した導電面とを含み得る。いくつかの例において、外リング160の2つ以上の部分は、遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の内側及び外側に露出することができ、外リング160の各2つ以上の露出した部分は、周方向に離間され、かつ、内リング160の露出していない部分によって分離された円周位置を取り得る。ハブ部分136のポリマー材料は、ハブ部分136に挿入体141を埋め込むために、突起163間において周方向に外リング160の半径方向内側に配置し得る。
【0069】
図10に示す概略断面図は、遠位保持部分108のポリマー材料又は他の材料(例えば、ハブ部分136の材料又は遠位保持部分108の他の部分の材料)内に少なくとも部分的に配置された(例えば、埋め込まれた)、(例えば、導電材料で少なくとも部分的に形成された)金属又は金属合金挿入体141の一例を示す。図10に示す挿入体141は、複数の離散セグメント168(例えば、導電性セグメント)を含み得る。各離散セグメント168は、隣接するセグメント168から離間し得る。各セグメント168は、長手軸Lからの半径を有する弧状の内周164と、長手軸Lからの半径を有する弧状の外周166とを有し得る。しかし、これは必須ではなく、1つ以上のセグメント168の内周164及び外周166の1つ以上は、内周164及び外周166の同様の1つと異なる長手軸Lからの半径を有し得る。一例では、1つ以上のセグメント168の内周164及び/又は外周166は、直線状であり得、それにより、単一セグメント168の内周164及び/又は外周166は、それらの長さ方向に沿って異なる半径を有し得る。
【0070】
挿入体141のセグメント168が遠位保持部分108の材料内(例えば、ハブ部分136又は他の部分内)に入れられると、各セグメント168の1つ以上の部分は、遠位保持部分108の材料から遠位保持部分108の内側と遠位保持部分108の外側とに露出し得る。換言すると、挿入体141の各セグメント168は、遠位保持部分108の外側の露出した導電面と、遠位保持部分108の内側の(例えば、キャビティ内の)露出した導電面とを含み得る。
【0071】
電気ポート147は、遠位保持部分108内(例えば、遠位保持部分108に接して、又は他に遠位保持部分108内)に任意の態様で形成し得る。一例では、挿入体141は、電気ポート147を形成するために、遠位保持部分108の形成時、遠位保持部分108(例えば、ハブ部分136又は他の部分)内に挿入又は配置し得る。別の例では、挿入体141は、電気ポート147を形成するために、遠位保持部分108が形成された後又は遠位保持部分の一部分(例えば、ハブ部分136又は他の部分)が形成された後、形成された遠位保持部分108(例えば、ハブ部分136又は他の部分)に追加し得る。
【0072】
遠位保持部分108又は遠位保持部分108の一部分が形成された後、挿入体141が、形成された遠位保持部分108又は遠位保持部分108の一部分に追加される場合、挿入体141は、遠位保持部分108又は遠位保持部分108の一部分に形成された1つ以上のポケットに配置し得る。図11は、本体部138及びハブ部分136を含む例示的な遠位保持部分108の、ハブ部分136の近位端から見た概略図である。図11から分かるように、ハブ部分136は、(図11に示していない)挿入体141を受け入れかつ/又は露出させて電気ポート147を形成するために、複数のポケット170(例えば、図11に示すように3つのポケット170、しかし、1つ以上のポケットを利用することもできる)を含み得る。ポケット170は、長手軸Lの周りにおいて周方向に離間し得るが、これは必須ではない。例えば、図11に示すように、ポケット170が周方向に離間する場合、ポケット170は、リングセグメント168を受け入れかつ/又は露出させるように構成され得る。図示していないが、ハブ部分136に単一のポケットを形成することができ、内リング160を有する挿入体141を使用することができ、挿入体141をポケットに配置し、及び/又は露出させ得る。さらに、ポケット170は、挿入体141を遠位保持部分108内に固定し、及び/又は露出させて、遠位保持部分108のキャビティ142と、ハブ部分136の位置の又はハブ部分136の近くの遠位保持部分の外側との間で伝達する電気信号のための導通路を提供する1つ以上の電気ポートを形成するように構成された任意の形状及び大きさを有し得る。図11に示すように、ポケット170は、挿入体141の突起162の近位方向を向いた面などの挿入体141の近位方向を向いた面が、挿入体141の突起162の半径方向を向いた面と共に遠位保持部分108の外側に露出され得るように構成され得る。そのような構成は、導通路を画定する挿入体141のさらなる露出面領域を提供し得る。
【0073】
図12は、植込み型リードレスペーシング装置10を担持するためのカテーテルを形成する方法200を示す。方法200は、遠位保持部分108の構造又は一部分を形成するために、本体部138をハブ部分136に取り付けること202を含み得る。本体部138は、それらに限定されるものではないが、溶着技術、型成形技術、溶融技術、接着技術及び/又は1つ以上の他の技術を用いることを含む任意の態様でハブ部分136に取り付け得る。
【0074】
さらに、方法200は、ハブ部分136に1つ以上の電気ポート147を形成すること204を含み得る。形成された1つ以上の電気ポートは、遠位保持部分108の構造の内側と遠位保持部分108の構造の外側との間に延びる導通路を有し得る。
【0075】
図12に示す方法200は、本体部138をハブ部分136に取り付けた後、電気ポート147を形成することを含むが、電気ポート147は、本体部138をハブ部分136に取り付ける前に形成することもできる。一例では、電気ポート147は、本体部138及びハブ部分136の1つ以上の中又はその上に形成され得、次いで本体部138をハブ部分136に取り付け得る。
【0076】
上述のように、遠位保持部分108(例えば、ハブ部分136又は他の部分)に電気ポート147を形成することは、1つ以上の態様で行うことができる。一例では、挿入体141を成形型内に配置することができ、遠位保持部分又は遠位保持部分の一部分(例えば、ハブ部分136又は他の部分)を挿入体141の周りに型成形する(例えば、射出成形するか、又は1つ以上の他の態様で型成形する)ことができる。そのような例では、成形型は、挿入体141の一部分を遠位保持部分108の材料の内側及び外側に露出させるか、又は露出させるのに寄与するように構成され得る。
【0077】
さらに、電気ポート147を形成する別の例では、電気ポート147は、遠位保持部分108又は遠位保持部分108の一部分(例えば、ハブ部分136又は他の部分)の形成後に形成し得る。図10及び図11に関連して上記に説明したように、ハブ部分136に電気ポート147を形成することは、ハブ構造体136に1つ以上のポケット170を形成することを含み得る。一部の事例では、ポケット170は、型成形作業(例えば、射出成形又は他の型成形作業)時にハブ部分136に形成し得る。あるいは、ポケット170は、ハブ部分136の一部分が形成された後、材料をハブ構造体136から除去し得る摘出プロセスによって形成し得る。1つ以上のポケット170がハブ部分136に形成されると、1つ以上の挿入体141(例えば、内リング160を有する挿入体141及び/又はリングセグメント168を有する挿入体141)を1つ以上のポケット170に挿入して、管状遠位保持部分108の内側と遠位保持部分108の外側との間に延びる導通路を有する電気ポート147を形成し得る。
【0078】
送達装置100などの送達装置(及び/又は本明細書で開示される他の送達構造)の様々な構成要素と、本明細書で開示される様々な部材とに使用できる材料は、一般に医療装置で使用されるものを含み得る。分かりやすくするために、以下の説明は、送達装置100及びその構成要素について言及する。しかし、これは、本明細書で説明した装置及び方法を限定することを意図するものではなく、なぜなら、説明は、他の同様の送達システム及び/又は本明細書で開示される送達システム若しくは装置の構成要素に適用できるからである。
【0079】
送達装置100及び/又は送達システムの他の構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(ポリマーのいくつかの例が下記に開示される)、金属−ポリマー複合材、セラミック、それらの組み合わせなど、又は他の適切な材料で作製し得る。適切なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン(DuPont)から入手可能なデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル−エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテル又はエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はデュポン(DuPont)から入手可能なハイトレル(HYTREL)(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)から入手可能なデュレタン(DURETHAN)(登録商標)又はエルフアトケムから入手可能なクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、レクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン−12(EMSアメリカングリロン(EMS American Grilon)から入手可能なグリルアミド(GRILAMID)(登録商標)など)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料又はそれらの混合物、組み合わせ若しくはコポリマー、ポリマー/金属複合材などを含み得る。一部の実施形態では、ポリマーは、液晶ポリマー(LCP:liquid crystal polymer)と混合し得る。例えば、混合物は、最大で約6%のLCPを含有し得る。
【0080】
適切な金属及び金属合金のいくつかの例は、304V、304L及び316LVステンレス鋼などのステンレス鋼、軟鋼、線形弾性及び/又は超弾性ニチノールなどのニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム−モリブデン合金(例えば、インコネル(INCONEL)(登録商標)625などのUNS:N06625、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C−22(登録商標)などのUNS:N06022、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金など)、ニッケル−銅合金(例えば、モネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、MP35−N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニッケル−モリブデン合金(例えば、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金B2(ALLOY B2)(登録商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル−クロム合金、他のニッケル−モリブデン合金、他のニッケル−コバルト合金、他のニッケル−鉄合金、他のニッケル−銅合金、他のニッケル−タングステン又はタングステン合金など、コバルト−クロム合金、コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)などのUNS:R30003)、プラチナ強化ステンレス鋼、チタン、それらの組み合わせなど、又は他の任意の適切な材料を含む。
【0081】
少なくとも一部の実施形態では、送達装置100及び/又は送達システムの他の構成要素の一部分又は全ては、放射線不透過性材料を添加するか、放射線不透過性材料で作製するか、又は他に放射線不透過性材料を含み得る。放射線不透過性材料は、医療処置中、X線透視スクリーン又は他の画像形成手段に比較的明るい画像を形成できる材料と解釈される。この比較的明るい画像は、送達装置100の位置を特定する際、送達装置100の使用者の補助となる。放射線不透過性材料のいくつかの例は、それらに限定されるものではないが、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性フィラを充填されたポリマー材料などを含み得る。さらに、他の放射線不透過性マーカバンド及び/又はコイルも、同じ結果を得るために送達装置100の設計に組み入れ得る。
【0082】
当然のことながら、本発明は、多くの点で単なる例示である。詳細において、特に形状、大きさ及びステップの配置に関して、本発明の範囲を越えることなく変更形態がなされ得る。これは、適切である限り、1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかが他の実施形態で使用されるという使用法を含み得る。本発明の範囲は、当然のことながら、添付の特許請求の範囲が示される言語で規定される。
図1
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図7A
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図12