【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、請求項によって規定される。
【0013】
本発明の概念は、バッテリの変換器の発熱を能動的に調整するよう前記変換器の効率又は電力損失を変更することによって、前記バッテリの温度を前記バッテリの充電/放電に適した範囲内に維持することである。この変更は、更に、前記バッテリの必要な電気入力又は出力電力は維持されるという前提の下にあり得る。前記変換器の効率又は電力損失の変更は、例えば、前記変換器の設定を変更することによって、実施され得る。これらの設定は、例えば、周波数、電圧変換比、又はバッテリ構成を更に含み得る。
【0014】
本発明の或る態様による例によれば、バッテリと共に使用されるバッテリ制御システムであり、
前記バッテリを充電及び/又は放電する変換器であって、前記バッテリに熱的に結合するよう適合される変換器と、
前記バッテリの温度を検知するセンサとを有するバッテリ制御システムであって、
前記システムが、前記センサによって検知される前記バッテリの温度に応じて前記変換器の効率又は電力損失を制御し、それによって、発熱レベルを変更し、ひいては前記変換器から前記バッテリへの熱伝達を変更する制御回路を更に有するバッテリ制御システムが提供される。
【0015】
このシステムは、発熱を能動的に制御し、ひいては変換器からの熱伝達を能動的に制御することによって、バッテリの温度を制御する。従って、前記変換器を、選択的に、より効率的なモード又はより効率的ではないモードで動作させることによって、発熱、ひいては前記バッテリーへの熱伝達が調整され得る。とりわけ充電中に前記バッテリを適切な温度に維持することによって、(充電サイクルの数の観点での)寿命が改善され得る。
【0016】
前記バッテリの寿命は、例えば、摂氏10度乃至摂氏35度、又は摂氏15度乃至摂氏35度などの所望の帯域内に温度を維持することによって、延ばされる。或る特定のリチウムイオンバッテリのためのバッテリ充電に最適な温度は、例えば、摂氏23乃至25度である。
【0017】
好ましくは、前記制御回路は、前記バッテリを充電するときには前記変換器の入力電力を維持する、又は前記バッテリを放電するときには前記変換器の出力電力を維持するという前提で、前記変換器の効率又は電力損失を制御するために使用される。例えば、太陽電池パネルから前記バッテリを充電するときには、前記変換器の入力電力は前記太陽電池パネルの最大電力点に維持され、従って、太陽エネルギは最大限利用される。負荷へ前記バッテリを放電するときには、前記負荷への前記変換器の出力電力は、前記負荷が安定したやり方で駆動されるように維持される。
【0018】
前記変換器は、電源スイッチを有してもよく、前記制御回路は、前記センサによって検知される前記バッテリの温度に応じて、前記スイッチの導電率を調節するか、又は前記変換器への入力電圧の振幅と前記変換器の出力電圧の振幅との間の差を調節するよう適合される。
【0019】
これらの手段は、前記電源スイッチからの熱放散を制御し、それによって、前記発熱を制御し、ひいては前記変換器から前記バッテリへの熱伝達を制御するために使用され得る。前記変換器の入力電圧と出力電圧との間の大きな差は、低い効率をもたらし、従って、大きな電力損失をもたらすことが知られている。従来、この大きな差は、効率を改善するために回避されるべきものである。しかしながら、本発明の実施例は、より多くの発熱をもたらすように、前記変換器の最適効率よりも意図的に低くし得る効率を得るよう、この差を能動的に調節する。
【0020】
前記バッテリは、複数のセルを有してもよく、前記変換器は、前記バッテリを充電するよう適合されてもよく、前記制御回路は、前記変換器の入力電圧又は出力電圧を調整するように前記セルの直列接続又は並列接続を選択するよう適合される。
【0021】
前記セルの直列接続又は並列接続は、前記変換器の(前記バッテリを放電するときの)入力電圧又は(前記バッテリを充電するときの)出力電圧において大きな変化をもたらし、従って、前記変換器の効率を変更する簡単なやり方を提供する。
【0022】
前記変換器は、例えば、電源スイッチを備えるスイッチモード電源を有し、前記制御回路は、前記センサによって検知される前記バッテリの温度に応じて前記変換器のスイッチング動作を制御するよう適合される。
【0023】
スイッチモード変換器は、バッテリ充電システムの一般的に使用される構成要素であり、スイッチング動作は、前記変換器の効率に影響を及ぼす。前記スイッチモード変換器のスイッチング動作を調整することによって、変換器の発熱は調整され得る。
【0024】
前記制御回路は、例えば、前記変換器のスイッチング周波数を調整するよう適合される。
【0025】
前記スイッチング周波数は、電源スイッチの熱損失に影響を及ぼし、これは、入力又は出力電圧を変更する必要なしに変更され得る。例えば、通常、前記電源スイッチは、或る周波数範囲内では最適な効率で動作することが可能であるが、前記電源スイッチが前記範囲外のより高い周波数で操作される場合には、その効率は低下する。この実施例は、前記バッテリを加熱するための発熱を増加させるために、前記スイッチを、その最適な周波数範囲を超えて動作するよう意図的に設定する。
【0026】
前記制御回路は、例えば、
前記センサによって検知される前記バッテリの温度が第1しきい値未満である場合には、前記変換器のスイッチング周波数を上げ、
前記センサによって検知される前記バッテリの温度が第2しきい値より高い場合には、前記変換器のスイッチング周波数を下げるよう適合される。
【0027】
このやり方においては、前記検知される温度が上限又は下限しきい値に到達するときに、前記発熱を能動的に制御するよう、前記スイッチング周波数が変更される。
【0028】
前記下限及び上限は、例えば、摂氏10度及び摂氏35度、又は任意のより小さい範囲である。前記下限しきい値は、例えば、10度と23度との間であり、前記上限しきい値は、例えば、25度と35度との間である。
【0029】
前記制御回路は、前記バッテリの温度を維持するように前記入力電圧の振幅の変化に応じて前記変換器のスイッチング周波数を調整するよう適合され得る。このやり方においては、太陽光パネルにおける雲の影などで前記変換器の入力電圧が変動する場合には、前記変換器の変換率及び前記変換器の効率が変化する。その場合、前記スイッチのスイッチング動作は、前記バッテリの温度が安定したままであるように、変換率の変化による効率の変化を補償し、一定の熱エネルギの生成を供給し、ひいては前記バッテリに伝達するよう制御される。
【0030】
前記制御回路は、前記センサによって検知される前記バッテリの温度に応じてソフトスイッチングモード又はハードスイッチングモードで動作するよう前記スイッチモード電源を制御するよう適合され得る。
【0031】
スイッチモード電源の異なるソフトスイッチングモード及びハードスイッチングモードの動作は、異なる効率を有する。共振モードとしても知られている、前記スイッチにかかる電流/電圧がない又は小さいときに前記スイッチがオン及びオフにされるソフトスイッチングモードは、高い効率を有するのに対して、前記スイッチを通る電流又は前記スイッチにかかる電圧がかなりあるときに前記スイッチがオン及びオフにされるハードスイッチングモードは、より低い効率及びより大きな熱損失をもたらす。
【0032】
例えば、前記制御回路は、
前記センサによって検知される前記バッテリの温度が第1しきい値未満である場合には、ハードスイッチングモードで動作し、
前記センサによって検知される前記バッテリの温度が第2しきい値より高い場合には、ソフトスイッチングモードで動作するよう前記スイッチモード電源を制御するよう適合され得る。
【0033】
このやり方においては、検知される前記バッテリの温度が上限又は下限しきい値に到達するときに、前記変換器の異なる発熱を前記バッテリに供給するよう、前記スイッチングモードが変更される。
【0034】
前記制御回路は、更に、前記センサによって検知される前記バッテリの温度に応じて前記変換器の前記電源スイッチへのスイッチ電流の振幅を制御し、それによって、発熱レベルを変更し、ひいては前記変換器から前記バッテリへの熱伝達を変更するよう適合され得る。
【0035】
前記電力損失は、前記電源スイッチにおける電流と電圧との積に基づいて決定される。従って、前記スイッチ電流を増加させることは、前記電力損失も増加させ得る。
【0036】
例えば、前記制御回路は、前記変換器のスイッチング周波数を制御する前に、前記変換器に供給する供給源の最大電力点追跡のピーク電力に到達するよう前記変換器を制御するよう適合され、前記制御回路は、前記変換器が前記ピーク電力に到達した後に、発熱レベルを上げ、ひいては前記変換器から前記バッテリへの熱伝達を増大させるよう、前記変換器のスイッチング周波数を制御するよう適合される。
【0037】
最大電力点追跡は、例えば、太陽電池パネルの電力出力を処理するために使用される。電流が最大電力点電流のところにない場合には、この電力出力は低下する。それ故、まず、最大電力点に到達し、加熱がまだ所望のレベルにない場合には、次に、前記スイッチング周波数を上げるのが好ましい。
【0038】
前記変換器及び前記バッテリは、前記変換器から前記バッテリへの伝達が保証されるように、熱的に絶縁されたチャンバー内に配置され得る。前記変換器と前記バッテリとの間で空気を再循環させるために前記熱的に絶縁されたチャンバ内には空気再循環デバイスもあってもよい。これは、同じチャンバ内の前記変換器から前記バッテリへのより良い熱分配を提供することができる。
【0039】
本発明は、バッテリと、上で規定されているようなバッテリ制御システムとを有するバッテリシステムも提供する。
【0040】
本発明は、
太陽電池にセットと、
前記太陽電池のセットによって供給されるエネルギを前記バッテリ内へ蓄積するための、上で規定されているようなバッテリシステムとを有する太陽光発電システムも提供する。
【0041】
本発明は、
変換器を使用してバッテリを充電又は放電するステップであって、前記変換器及び前記バッテリが熱的に結合されているステップと、
前記バッテリの温度を検知するステップと、
検知される前記バッテリの温度に応じて前記変換器の効率又は電力損失を制御し、それによって、発熱レベルを変更し、ひいては前記変換器から前記バッテリへの熱伝達を変更するステップとを有するバッテリ充電制御方法も提供する。
【0042】
前記充電又は放電するステップは、例えば、電源スイッチを含む変換器を利用し、前記方法は、
前記スイッチの導電率、
前記変換器への入力電圧の振幅、
前記変換器の出力電圧の振幅、
前記変換器のスイッチング周波数、又は
出力電圧と入力電圧との間の比率を調節するステップを有する。
【0043】
前記充電又は放電するステップは、例えば、スイッチモード電源を利用し、前記方法は、前記変換器を(低発熱のための)ソフトスイッチングモード又は(高発熱のための)ハードスイッチングモードで動作させるステップを有する。
【0044】
前記バッテリは、複数のセルを有してもよく、前記方法は、前記変換器の出力電圧を調整するように、前記バッテリの充電中、前記セルの直列接続又は並列接続を選択するステップを有する。
【0045】
下記の実施例を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。