(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロセッサは、決定された前記データメトリックを前記リモートデバイスの動作電圧−データメトリック特性を表す記憶された関数又はルックアップテーブルに適用することにより、動作電圧を決定するように適合されている、請求項1、2又は3に記載のデバイス。
前記タイマは、前記通信信号のビット周波数よりも高いクロック周波数、例えば、2乃至10倍の範囲のクロック周波数を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデバイス。
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行された場合、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の方法を実施するように適合されているコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
斯くして、コンポーネント電圧を測定するためのシンプルで、低コストで、柔軟なソリューションの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0006】
本発明の第1の態様による例は、
リモートデバイスの動作電圧を検知するための電圧検知デバイスであって、
通信バスを介してリモートデバイスから由来する通信信号を受信するための通信インターフェースと、
タイマと、
タイマによって定義されるタイミングインスタント(timing instant)のセットにおいて通信信号のデータ読み取り値を取得するためのデータサンプラと、
データ読み取り値からデータメトリックを決定する、並びにデータメトリックから、動作電圧及びデータメトリックの関係に基づいてリモートデバイスの動作電圧を決定するように適合されているプロセッサと、
を含む、電圧検知デバイスを提供する。
【0007】
この電圧検知デバイスは、デバイスからの通信信号を分析することにより、デバイスの電圧が決定されることを可能にする。この通信信号は、電圧検知デバイスへの通信のために特別に生成する必要はなく、その代わりに、ネットワーク化されたシステム内の通常動作のために生成される信号によってもよい。斯くして、電圧検知デバイスは、既存の通信を単にリッスンしてもよい。本発明は、電圧変化から生じるタイミング変化を検出することに基づいている。とりわけ、通信信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの勾配は電圧レベルにより影響を受け、ひいてはこれが、1及び0のタイミングに影響する。データメトリックは、このタイミングに依存する指標である。
【0008】
通信インターフェースは、例えば、通信信号を受信するのみの一方向性インターフェースである。リッスンするだけの電圧検知デバイスを使用することにより、通信バスを介して通信する既存のデバイスが変更される必要はない。
【0009】
デバイスは、リモートデバイスの既知の動作電圧においてキャリブレーション処理を実行するように適合されてもよい。これは、電圧検知デバイスが処理するための所望の電圧にある場合に適切な通信信号を提供することを伴ってもよい。
【0010】
プロセッサは、決定されたデータメトリックをリモートデバイスの動作電圧−データメトリック特性を表す記憶された関数又はルックアップテーブルに適用することにより、動作電圧を決定するように適合されてもよい。このようにして、データメトリックは電圧値に変換される。関数又はルックアップテーブルは、例えば、キャリブレーションプロセスによって、またはリモートデバイスに関する製造者情報を考慮することにより構成される。
【0011】
プロセッサは、データメトリックが、通信信号の01遷移又は10遷移にすべて関連するデータ読み取り値(又はデータ読み取り値は01遷移若しくは10遷移のいずれかでもあってもよい)から導出されるように、データ読み取り値をフィルタリングするように適合されてもよい。このようにして、データメトリックを生成するために使用されるデータ読み取り値が、等しい数の1及び0を有するデータシーケンスから派生することを確実にすることができる。これは、正規化の形式を提供する。
【0012】
例えば、データメトリックは、通信信号の1及び0の値のデューティサイクルを含む。遅い立ち上がり時間及び遅い立ち下がり時間は、例えば(反転ゲートの場合)通信信号の1の周期を長くし、0の周期を短くすることがある。斯くして、特定の時間において有効なデューティサイクルを決定することにより、動作電圧へのマッピングがなされてもよい。
【0013】
タイマは、例えば、通信信号のビット周波数よりも高いクロック周波数、例えば、2乃至10倍の範囲のクロック周波数を有する。クロック周波数は、通信信号よりも何倍も高速である必要はなく、ゆえに、デバイスは低コストで実装されることができる。
【0014】
本発明はまた、
照明システムコントローラと、
上述した電圧検知デバイスと、
を含む、照明システムのための制御システムを提供する。
【0015】
電圧検知情報は、例えば、照明システムコントローラによって使用されてもよい。電圧は、リモートデバイスに関するエラー又はヘルスステータスを検出するために使用され、これにより、安全監視機能を可能にしてもよい。コンデンサ等の電圧に敏感なコンポーネントがある場合、監視目的のために使用されてもよい。
【0016】
電圧検知デバイスは、照明システムコントローラに統合されてもよい。
【0017】
本発明はまた、
上述した制御システムと、
通信バスにより制御システムに接続される照明器具のセットと、
を含む、照明システムを提供する。
【0018】
本発明の別の態様による例は、
電圧検知デバイスを使用してリモートデバイスの動作電圧を検知するための電圧検知方法であって、
通信バスを介してリモートデバイスから由来する通信信号を受信するステップと、
電圧検知デバイスのタイマによって定義されるタイミングインスタントのセットにおいて通信信号のデータ読み取り値を取得するステップと、
データ読み取り値からデータメトリックを決定する、並びに動作電圧及びデータメトリックの関係に基づいてリモートデバイスの動作電圧を決定するステップと、
を含む、方法を提供する。
【0019】
当該方法は、既知のタイマを使用して通信信号を単に分析することによる電圧測定が可能である。当該方法は、例えば、一方向性インターフェースを介して通信信号を受信するステップを含む。これは、電圧検知をシンプルで低コストにする。キャリブレーションプロセスが、リモートデバイスの既知の動作電圧において実行されてもよい。
【0020】
当該方法は、決定されたデータメトリックをリモートデバイスの動作電圧−データメトリック特性を表す記憶された関数又はルックアップテーブルに適用することにより、動作電圧を決定するステップを含んでもよい。
【0021】
例えば、データメトリックは、通信信号の1及び0の値のデューティサイクルを含む。
【0022】
当該方法は、少なくとも部分的にソフトウェアで実施されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、リモートデバイスの動作電圧を検知するための検知デバイスを提供する。通信インターフェースは、通信バスを介してリモートデバイスから由来する通信信号を受信する。データサンプラは、検知デバイスによって定義されるタイミングインスタントの所定のセットにおいて通信信号のデータ読み取り値を取得する。データメトリック(ハイ及びロー状態のデューティサイクル等)が、データ読み取り値から取得され、これから、リモートデバイスの動作電圧が、電圧及びデータメトリックの関係に基づいて、取得される。本発明は、電圧変化に起因するタイミング変化の検出に基づく。とりわけ、通信信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの勾配は、電圧レベルにより影響を受け、これが、ハイ状態(1)とロー状態(0)のタイミングに影響を与える。
【0025】
図1は、セグメントコントローラ等の中央制御デバイス1及びリモート負荷デバイス2のセットの従来のネットワークを示す。中央制御デバイス1は、通信インターフェース、とりわけ、バス7を介してリモート負荷デバイス2を制御及びリモート負荷デバイス2と通信する。
【0026】
一例では、システム全体が照明システムであり、中央制御デバイスはメイン(アップストリーム)照明コントローラであり、リモート負荷デバイスは照明器具である。
【0027】
照明器具は、典型的には、中央コントローラからのケーブルを介してではなく、ローカル電源から電力を受ける。これは、材料費を減らし、長い電源ケーブルによりもたらされる電力損失を防ぐ。アップストリームユニット及びダウンストリームユニットで使用される電源が異なる結果、ダウンストリーム電圧は、アップストリーム側に未知である。
【0028】
ダウンストリームコンポーネントは、典型的には、数百万のMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistors)を使用して形成されるマイクロコントローラを含む。近似的に、マイクロコントローラ通信インターフェースは、
図2に示される等価回路を持つMOSFET回路と見なされることができる。入力信号Vinは、ゲート電圧Vgを生成するようにゲート抵抗Rを介してゲートに印加される。出力電圧Voutが、出力(ドレイン)に現れる。入力コンデンサCin及び出力コンデンサCoutによって近似されるゲート、ソース及びドレイン間のいくつかの寄生容量がある。入力電圧Vinが高いと、ゲートコンデンサCinの充電が速くなる。したがって、信号Voutの持続時間が変わる。ゲート電圧は、RC時定数によって決定されるタイミングで充電する。
【0029】
(MOSFETがオンする)ゲート閾値電圧がVtrigであると仮定すると、電荷量は次のようになる。
Q = Cj * Vtrig = I * t
ここで、Cjは、デバイスにおける接合容量を表す容量である。
I = V(t)/ Rなので、t = Q * R / V(t)である。
【0030】
斯くして、t及びVの間には反比例の関係がある。電圧が高くなると、ゲート電圧Vgの立ち上がり時間が短くなり(立ち上がり勾配が急になり)、ハイ出力信号Voutの持続時間tを変える。
【0031】
ライン通信信号は、固定周波数における一連の信号パルスを含む。
図3に示されるように、シングルパルスの波形は長方形ではなく台形である。パルスの立ち上がりエッジはシャープではない。
図3は、異なる立ち上がり勾配を持つゲート電圧に対する出力電圧Vout及びゲート電圧Vgを示している。これらの異なる立ち上がり勾配は、マイクロコントローラ通信インターフェースの容量モデルに基づいている。波形は、ハイゲート信号がドレインをローにする点で、反転ゲートについてである。
【0032】
斯くして、本発明は、ダウンストリームコントローラにおける可変電圧が通信信号に影響を及ぼすという認識に基づいている。これが、
図4に示されている。
図4は、上記の分析に基づく通信信号に対する電圧の影響を示している。
【0033】
パルス信号の持続時間は、(
図3から理解され得るように)t1からt2に変化するが、周波数は、このシナリオにおいては変えられない。時間t又は信号デューティサイクルD = t / Tの変動(variance)が既知である場合、電圧変化が取得され得る。
【0034】
本出願人は、電圧検知デバイスが、繰り返される通信のチェーンに関連付けられる時間間隔の測定に基づくアプローチを提案している(が未公開である)。前述のように、リモートデバイスの動作電圧は、リモートデバイスによって送信される信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間に影響し、信号のエッジ勾配のこれらの違いは、信号が受信端において検出される時点に影響する。中央コントローラ1とリモート負荷デバイス2との間の多数の繰り返される順次通信に関連付けられる時間間隔を測定することにより、例えば電圧の小さな変化に起因する、非常に小さな時間間隔値を測定することが可能になる。このアプローチは、リモートデバイスとの通信、例えば中央コントローラからリモート負荷デバイスに送信されるpingメッセージへの応答に単に頼るだけなので、リモートデバイスのハードウェアを修正する必要はない。斯くして、リモートデバイスの動作電圧は、既存の製品を変更することなく、とりわけ、追加の電圧センサ及び関連する回路を有さずに決定される。その代わりに、電圧検知機能は、信号通信と統計分析に基づいて実施される。
【0035】
図5は、本発明によるシステムのコンポーネントを示している。システムは、上記で簡単に概説された提案のように統計分析に再び基づいているが、正確な持続時間測定の必要性をさらに回避し、低周波数タイマも可能にするため、シンプルで低コストのソリューションが提供される。
【0036】
通信バス7は従来の通り機能するため、中央制御デバイス1とリモート負荷デバイス2との間に特別な通信プロトコルは必要とされない。
【0037】
その代わりに、電圧検知デバイス50は、通信バス7に接続される通信インターフェース52と信号測定及び処理ユニット54とを備えた小型マイクロコントローラユニット(MCU)システムの形態で設けられる。電圧検知デバイス50は、パッシブモードで動作する、すなわち、リモート負荷デバイス(例えば、照明器具)からのデジタル(電圧)通信信号を「リッスン」し分析するだけで、信号は送信しない。間接的ではあるが、リモート負荷デバイスの電圧を検知するという点で、「電圧検知デバイス」と呼ばれる。信号測定及び処理ユニット54によって実行される処理は、データメトリックを決定することを伴う。これは、リモート負荷デバイスにおけるタイミングにより影響を受ける通信バス上のデータ信号(すなわち、ビットストリーム電圧レベル)から得られる情報である。適切なアルゴリズムを使用して、リモート負荷デバイスの望ましい電圧情報が導出されることができる。
【0038】
以下の記載から明らかなように、電圧検知デバイス50は、正確なタイミング測定を実行する必要はない。むしろ、電圧検知デバイス50は、特定のタイミングインスタントにおいてデータ(すなわち、電圧)測定を実行する。さらに、これらの電圧測定は、バイナリビットシーケンスのものであるため、高精度のアナログ回路は必要ない。
【0039】
電圧検知デバイスの機能は、
図6に示されるように中央制御デバイス1と統合されることができる。この場合、特別なソースコードが、ハードウェアを変更することなく、ソフト電圧検知デバイスとして中央制御デバイスに埋め込まれる。図示のように、通信インターフェース52は、標準照明制御ユニット56、並びに信号測定及び処理ユニット54とインターフェースする。
【0040】
図7は、信号測定及び処理ユニット54をより詳細に示している。ユニット54は、タイマ70、アドレスデコーダ72、信号測定ユニット74、及びプロセッサ76を含む。信号測定ユニットは、バス7上の通信信号のデータをサンプリングするためのデータサンプラとして機能する。これらの4つのユニットは、マイクロコントローラユニット(MCU)の一部を形成する。全体のユニットは、プロセッサ76によって生成されるデータメトリックによって表される、上述したような信号持続時間の変動を測定するために使用される。
【0041】
次いで、プロセッサは、データメトリックをさらに処理して、リモート負荷デバイスの動作電圧を表す電圧値を取得してもよい。この目的のために、決定されたデータメトリックは、リモートデバイスの動作電圧−データメトリック特性を表す記憶された関数又はルックアップテーブルへの入力として使用されてもよい。
【0042】
信号の変動はナノ秒の時間レベルであるが、(ギガヘルツクロック等の)非常に高い周波数のクロックの必要性は避けられる。一般に、タイマクロックは、リモート負荷デバイス2のクロックよりもわずかに速いだけでよい。例えば、115.200 kHzの通信信号の例では、300 kHzのクロックであってもよい。パフォーマンスを改善するために、より高いタイマ周波数が使用されてもよい。斯くして、性能及びコスト間のトレードオフがあるが、本発明は、通信バス7によって搬送される信号のクロック周波数よりもわずかに速いだけのタイマクロックを用いて実施されることができる。
【0043】
単純な通信インターフェース52が、通信バス7上の信号を監視するために使用される。これは、2つの機能しかない(すなわち、一方は、電圧検知デバイス50が通信バス7に接続される場合信号干渉を回避するためのインピーダンス整合であり、他方は、アドレスデコーディングを実施することである)「リッスン」オンリモードで動作する。
【0044】
通信信号はさまざまなリモート負荷デバイスから到来する可能性があるため、信号は、分析されているリモート負荷デバイスからの信号のみが検出されるようにスクリーニングされる。斯くして、アドレスデコーダは、一致しないデバイスからの信号が無視されることを可能にし、電圧検知デバイス50は、所望のリモート負荷デバイスからの信号を受信した場合にのみ機能する。
【0045】
通信信号の時間変動を測定するために、確率及び統計理論に基づく特別なアルゴリズムが使用される。
【0046】
信号測定及び処理ユニット54のタイマクロック信号は、リモート負荷デバイスからの通信信号と同期されない。このようにして、信号測定及び処理ユニット54が動作を開始するとき通信信号に対して確率的である。
【0048】
上のプロット80は、信号測定及び処理ユニット54のタイマ70のためのクロック信号を示す。通信信号は、タイマクロック信号のタイミングインスタント0、T、2T及び3Tにおいて検出される。この例では、周期Tは、タイマクロック周期の5倍であり、通信信号の1ビット周期にほぼ相当する。下のプロットは、通信信号82を示す。レベルが、タイミングインスタント84において検出される。これらの時間における通信信号の位相は、Θ
0、Θ
1、Θ
2...等である。信号は非同期であるため、位相Θは、確率論にしたがって[0, 360
o]の範囲内の任意の値であり得る。
【0049】
瞬時0、T、2T、3T...において、信号測定及び処理ユニット54は、通信信号によって決定されるそのI/Oピン状態を読み取る。すなわち、信号測定及び処理ユニット54は、瞬時84、すなわち、0、T、2T、3T...等における通信信号82の信号(電圧)レベルを検出する。
【0050】
数千回のオペレーションの後、これらの瞬時においてデータ「1」が検出された回数とデータ「0」が検出された回数を示す表が得られる。
【0051】
図8の短い例では、3つのハイレベルと1つのローレベルを含む、4つのデータサンプルがある。
【0052】
例えば、2つの異なる時間に10,000回測定を繰り返した後、次の表が得られる。
第1回目のリモート負荷デバイステスト
【表1】
第2回目のリモート負荷デバイステスト
【表2】
【0053】
これらの2つの例は、0.460及び0.482の「1」周期のデューティサイクルを有する。
【0054】
このデューティサイクルは、通信バス7上のデータ値(1及び0)から導出される値であるという点で「データメトリック」である。
【0055】
この場合、このデューティサイクルの違いが、リモート負荷デバイスにおける電圧変化を導出するために使用されることができ、ひいては温度測定値が取得され得る。
【0056】
ここで、この統計分析がさらに論じられる。
【0057】
図3を参照すると、検出される時間差は、tr2 - tr1である。この時間差を測定することにより、電圧変化が推定されることができる。単一の遷移の時間差は、正確に測定するには小さすぎる。例えば、数ナノ秒のオーダーである。その代わりに、当該方法は、通信ビットのチェーンに基づいて提供される。
【0058】
電圧検知デバイスの動作電圧は固定され、安定していると仮定される。電圧測定の前にキャリブレーションも実行される。キャリブレーションは、基準デューティサイクルが電圧検知デバイス50において測定され得るように既知の値にダウンストリーム電圧を設定するために使用される。その後、不安定なダウンストリーム電圧によってもたらされる時間変動が、上記のように測定されることができる。
【0059】
通信信号の測定(時間0、T、2T等)のシーケンスは、測定周期を形成する。この周期は、ダウンストリーム負荷デバイスからバスに送信される任意の受信メッセージに基づくことができる。
【0060】
図8の例は、ダウンストリーム負荷デバイスのクロックの周波数の約5倍のタイマクロックを示している。より一般的には、タイマクロックは、負荷デバイスクロックの周波数の2〜100倍、好ましくは2〜10倍の周波数を有してもよい。タイマクロックは、レベル測定が通信信号のビット周期内で行われるように通信信号よりも高速である。
【0061】
測定周期Tは、通信信号ビット周期よりわずかに長いものとして
図8に示されている。しかしながら、測定周期Tは、通信信号ビット周期よりも短くてもよい(例えば、所与の1又は0レベルを1回だけサンプリングするのではなく、通信信号の個々の1及び0周期の長さをカウントする)。これは、より速いタイマクロックが必要である。あるいは、測定周期は通信信号ビット周期よりもはるかに長くてもよいが、これは、より長い測定時間を必要とする。好ましくは、測定周期は、通信信号のビット周期の1〜2倍である。
【0062】
図8は、電圧測定デバイスでの通信信号の測定がタイムクロック信号の立ち上がりエッジによってトリガされることを前提としている。むろん、トリガは、クロック信号の立ち下がりエッジでも等しく可能である。
【0063】
多数のタイミングインスタントのタイミングを分析することにより、統計的に有意なセットが取得される。順次の瞬時における、少なくとも10個のタイミングインスタント、より好ましくは少なくとも100個、さらに好ましくは1000個以上の読み取り値が記録される。
【0064】
図8は、10101...パターンの形式の通信信号を示している。むろん、データ信号は任意の形式を取ってもよい。しかしながら、デューティサイクル(又は他のデータメトリック)の比較が異なる時点で有効であるためには、通信信号が、同数の1及び0を有することが必要とされる。
【0065】
これは、一部のエンコーディングスキームの場合に自動的に当てはまる場合がある。すなわち、通信信号のデータ形式には、すでに等しい数の1及び0が含まれている場合がある。しかしながら、任意の通信信号が許容されることを可能にするために、データクリーニングプロセスが適用されてもよい。
【0066】
信号測定部74は、0の読み取り値及び1の読み取り値のセットを出力する。このセットから、01遷移に関連する読み取り値のみが、後続の統計分析のためにプロセッサ76に渡されてもよい。斯くして、信号測定ユニットで収集されたデータは、通信信号パターンが「01」である場合にのみ検証される。このようにして、データフィルタリング機能が実施される。測定された信号レベルが「0」である場合、通信信号の次のステータスはレベル「1」でならなければならない。同様に、測定された信号レベルが「1」である場合、通信信号の以前のステータスは「0」でなければならない。このようにして、検証される収集データは、等しい数の1及び0を有するデータセットからのものである。斯くして、通信信号のオン期間とオフ期間が等しい場合、デューティサイクルは50%になる。オン期間とオフ期間の相対的な持続時間の変化は、このデューティサイクルを50%から変える。
【0067】
むろん、同じアプローチが10遷移に基づいてもよく、又は実際には、データは、01遷移若しくは10遷移に関連する場合に検証されてもよい。
【0068】
このようにして、プロセッサは、データメトリックが、通信信号の01遷移又は10遷移(又はそれらのいずれか)にすべて関連するデータ読み取り値から導出されるように、データ読み取り値をフィルタリングするように適合される。
【0069】
通信信号ビット周期よりも長い測定周期Tを持つことにより、各01(又は10)遷移が1回だけサンプリングされることがわかる。斯くして、各測定は、単一の01(又は10)遷移に対する一意の測定であり、検証された完全なデータセットが等しい数の1及び0に基づくことを確実にする。
【0070】
上述したように、キャリブレーション段階が最初に実行される。少なくとも、リモート負荷デバイスにおける既知の電圧でキャリブレーションが行われる。しかしながら、2つ以上の既知の電圧で測定を行うことを伴ってもよい。
【0071】
(各)キャリブレーション電圧において、いくつかのステップが実行される。
ステップ1:電圧がリモート負荷デバイスにおいて制御される。
ステップ2:リモート負荷デバイスがメッセージを送信する。
ステップ3:電圧検知デバイス50がその測定を実行する。
ステップ4:電圧検知デバイス50は、さらなる計算のためにレジスタにキャリブレーションデータを保存する。
【0072】
このキャリブレーションには、中央制御ユニットの関与は必要ない。リモートデバイスが制御された電圧を持ち、メッセージを送信するために(インスタレーション/コミッションプロセスの一部として)トリガされることしか必要ない。
【0073】
キャリブレーション後、システムは、使用準備が整う。
【0074】
これは、電圧測定を実行すること、すなわち、ダウンストリーム(リモート負荷)側に未知の電圧がある場合に電圧測定を実行することを伴う。
【0075】
これは、電圧検知デバイスが特定のリモート負荷ユニットからの通信をリッスンすることを伴い、電圧検知デバイスは、信号測定を実行する。
【0076】
その後、測定されたデューティサイクルが時間遅延に変換される。2つの間の関係が、
図3を参照して説明されている。
【0077】
動作電圧対時間遅延の関数は、特定のデバイス、すなわち、使用されるプロセス技術と組み合わせた特定のデバイスに関する工場情報(例えば、部品番号)に基づく。
【0078】
キャリブレーションステップは、(製造者から知られる)電圧対時間ペナルティ関数が、該関数に沿った1つ(又は複数)の既知のポイントに基づいて、実際のデバイスに正しくマッピングされることを可能にする。当該既知のポイントからの偏差が測定され、ゆえにシステム内のすべての固定遅延が補償される。
【0079】
斯くして、電圧検知デバイスにおけるタイミング決定は、リモートユニットにおける電圧を決定することができる。
【0080】
上記のアプローチにより、電圧検知デバイスにおいて低周波数のクロックでも、ナノ秒の精度で時間変化が区別され得ることが示されている。長期間にわたって測定することにより、低いクロック周波数が使用されることができる。斯くして、クロック周波数と測定時間の間に妥協点がある。
【0081】
上記の方法は、基本的にリモートデバイスで生じるタイミング変化を検出する。電源電圧の変化により、立ち上がり時間(及び/又は立ち下がり時間)が変化し、ひいてはデータメトリックの変化として検出される。他の変化も、タイミング変化を提供する場合がある。例えば、リモートデバイスにおいて周波数の変動がある場合、タイミング変化が生じる。これらは温度変動によってもたらされる可能性がある。このような温度変動は一般に、電圧によって引き起こされる変動よりも小さく、遅い。
【0082】
斯くして、データメトリックは、例えば高域通過フィルタリングを適用することにより、電圧変化が信頼できることを確実にするために、さらに処理されてもよい。
【0083】
電圧変動は、他の変動と区別されてもよい。上記で説明したように、周波数(周期)は以前と同じであっても、電圧の変化により、出力電圧信号におけるデューティサイクルの変化が生じる。その代わりに、(例えば、温度によって引き起こされる)周波数の変化が、同じデューティサイクルを維持することがある。斯くして、温度によって引き起こされる変化が、電圧によって引き起こされる変化と区別されてもよい。
【0085】
ステップ90において、通信バスを介してリモートデバイスから由来する通信信号が受信される。
【0086】
ステップ92において、通信信号のデータ読み取り値が、電圧検知デバイスのタイマによって定義されるタイミングインスタントのセットにおいて取得される。
【0087】
ステップ94において、データメトリックが、データ読み取り値から取得される。
【0088】
ステップ96において、リモートデバイスの動作電圧が、動作電圧及びデータメトリックの関係に基づいて決定される。
【0089】
本方法は、リモートデバイスが特定の電圧にあることが知られるキャリブレーションステップ98を含んでもよい。これは、後続の電圧測定値を較正するための基準情報を提供する。
【0090】
上述のシステムは、データを処理して電圧を決定するためのプロセッサ76を使用する。
【0091】
図10は、上述のプロセッサを実装するためのコンピュータ100の一例を示している。
【0092】
コンピュータ100としては、限定するものではないが、PC、ワークステーション、ラップトップ、PDA、パームデバイス、サーバ、記憶装置などが挙げられる。一般に、ハードウェアアーキテクチャの観点から、コンピュータ100は、ローカルインターフェース(図示せず)を介して通信可能に結合されている、1つ以上のプロセッサ101、メモリ102、及び1つ以上のI/Oデバイス103を含んでもよい。ローカルインターフェースは、例えば、限定するものではないが、当該技術分野において既知であるような、1つ以上のバス、又は他の有線若しくは無線接続とすることができる。ローカルインターフェースは、通信を可能にするために、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、及び受信機などの、追加的要素を有してもよい。更には、ローカルインターフェースは、前述の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御、及び/又はデータ接続を含んでもよい。
【0093】
プロセッサ101は、メモリ102内に記憶されることが可能なソフトウェアを実行するための、ハードウェアデバイスである。プロセッサ101は、実質的に任意の特注又は市販のプロセッサ、中央処理ユニット(central processing unit;CPU)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor;DSP)、又は、コンピュータ100に関連付けられているいくつかのプロセッサ間の補助プロセッサとすることができ、プロセッサ101は、半導体ベースの(マイクロチップの形態の)マイクロプロセッサ、又はマイクロプロセッサであってもよい。
【0094】
メモリ102としては、揮発性メモリ要素(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory;DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory;SRAM)などの、ランダムアクセスメモリ(random access memory;RAM)など)、及び不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable read only memory;EPROM)、電子的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(electronically erasable programmable read only memory;EEPROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(programmable read only memory;PROM)、テープ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(compact disc read only memory;CD−ROM)、ディスク、ディスケット、カートリッジ、カセットなど)のうちの、任意の1つ又は組み合わせを挙げることができる。更には、メモリ102は、電子、磁気、光学、及び/又は他のタイプの記憶媒体を組み込んでもよい。メモリ102は、様々な構成要素が、互いから離れて位置しているが、プロセッサ101によってアクセスされることが可能な、分散アーキテクチャを有し得る点に留意されたい。
【0095】
メモリ102内のソフトウェアは、1つ以上の別個のプログラムを含んでもよく、それらのプログラムのそれぞれは、論理関数を実施するための実行可能命令の、順序付きリストを含む。メモリ102内のソフトウェアは、例示的実施形態による、好適なオペレーティングシステム(O/S)104、コンパイラ105、ソースコード106、及び1つ以上のアプリケーション107を含む。
【0096】
アプリケーション107は、計算ユニット、論理、機能ユニット、プロセス、動作、仮想エンティティ、及び/又はモジュールなどの、多数の機能構成要素を含む。
【0097】
オペレーティングシステム104は、コンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。
【0098】
アプリケーション107は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、又は、実行される命令のセットを含む任意の他のエンティティであってもよい。ソースプログラムの場合、通常、そのプログラムは、オペレーティングシステム104に関連して適切に動作するように、メモリ102内に含まれる場合も、又は含まれない場合もある、コンパイラ(コンパイラ105など)、アセンブラ、インタプリタなどを介して翻訳される。更には、アプリケーション107は、データ及び方法のクラスを有する、オブジェクト指向プログラミング言語、あるいは、ルーチン、サブルーチン、及び/又は関数を有する、手続きプログラミング言語、例えば、限定するものではないが、C、C++、C#、Pascal、BASIC、APIコール、HTML、XHTML、XML、ASPスクリプト、JavaScript、FORTRAN、COBOL、Perl、Java、ADA、NETなどとして書き込まれることができる。
【0099】
I/Oデバイス103は、例えば、限定するものではないが、マウス、キーボード、スキャナ、マイクロフォン、カメラなどの、入力デバイスを含んでもよい。更には、I/Oデバイス103はまた、出力デバイス、例えば、限定するものではないが、プリンタ、ディスプレイなどを含んでもよい。最終的に、I/Oデバイス103は、入力及び出力の双方を通信するデバイス、例えば、限定するものではないが、ネットワークインタフェースコントローラ(network interface controller;NIC)又は変調器/復調器(第2のデバイス、他のファイル、デバイス、システム、又はネットワークにアクセスするためのもの)、無線周波数(radio frequency;RF)送受信機又は他の送受信機、電話インターフェース、ブリッジ、ルータなどを更に含んでもよい。I/Oデバイス103はまた、インターネット又はイントラネットなどの様々なネットワークを介して通信するための構成要素も含む。
【0100】
コンピュータ100が動作中である場合、プロセッサ101は、メモリ102内に記憶されているソフトウェアを実行して、メモリ102との間でデータを通信し、ソフトウェアに従ってコンピュータ100の動作を全般的に制御するようにコンフィギュレーションされている。アプリケーション107及びオペレーティングシステム104は、プロセッサ101によって、全体的又は部分的に読み取られ、あるいはプロセッサ101内にバッファリングされてから、実行される。
【0101】
アプリケーション107が、ソフトウェアとして実装される場合、アプリケーション107は、任意のコンピュータ関連システム若しくは方法によって、又は、それらのシステム若しくは方法に関連して使用されるために、実質的に任意のコンピュータ可読媒体上に記憶されることができる点に留意されたい。本文書の文脈では、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連システム若しくは方法によって、又は、それらのシステム若しくは方法に関連して使用されるための、コンピュータプログラムを含むか又は記憶することが可能な、電子、磁気、光学、又は他の物理的デバイス若しくは手段であってもよい。
【0102】
本発明は、図面及び上述の説明において、詳細に例示及び説明されてきたが、そのような例示及び説明は、例示的又は説明的なものであり、制限するものではないと解釈されるべきであって、本発明は、開示される実施形態に限定されるものではない。
【0103】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利には使用されることができないことを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。