【文献】
曽 振武, 外,免疫動態をモニターする簡易リンパ球分析式,日本臨床検査自動化学会会誌,2017年,Vol.42, No.4,p.470
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る多項目自動血球計数装置1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示したように、第1実施形態の多項目自動血球計数装置1は、基礎情報生成部2、免疫細胞亜群検出部3、免疫動態変化解析部4、記憶部5及び表示部6を備える。
【0016】
基礎情報生成部2は、白血球数と、白血球像(白血球分画情報)と、白血球細胞(免疫細胞)の表面抗原のCD番号の解析結果などを生成するものである。
【0017】
本実施形態では、基礎情報生成部2は、白血球数と、白血球像(白血球分画情報)と、白血球細胞(免疫細胞)の表面抗原のCD番号の解析結果とを獲得する。基礎情報生成部2は、
図1に示すように、血球計数検出部21と表面抗原のCD番号検出部22とから構成される。
【0018】
血球計数検出部21は、本実施形態では、血液に希釈・溶血・染色等の処理を行い、光学的又は電気的に血球を計数する血球計数装置、又は血球計数を他の血球計数装置から受信する血球計数受信器から構成される。即ち、血球計数検出部21は、白血球数と、白血球像(白血球分画情報)とを獲得すればよい。
【0019】
血球計数検出部21が血球計数装置である場合は、血球計数検出部21は、血液成分を分析して、白血球数、白血球中の好塩基球の割合(%)、好酸球の割合(%)、好中球の割合(%)、リンパ球の割合(%)、単球の割合(%)などを検出する。
【0020】
血球計数検出部21が血球計数受信器である場合、血球計数検出部21は、白血球数、白血球中の好塩基球の割合(%)、好酸球の割合(%)、好中球の割合(%)、リンパ球の割合(%)、単球の割合(%)に関わる情報のみを、既存の血球数検出部やサーバ等から受信(取得)する。
【0021】
血球計数検出部21が生成又は受信する情報の例として、
図2に示す一般的な被検者の血液成分の血算及び白血球像の検査結果の一覧表を用いて説明する。
図2中、「WBC」が1μl中の白血球数であり、白血球像(白血球分画情報)の項目中「Baso」が白血球中の好塩基球の割合(%)、「Eosino」が好酸球の割合(%)、「Neutro」が好中球の割合(%)、「Lympho」がリンパ球の割合(%)、「Mono」が単球の割合(%)である。即ち、血球計数受信器212は、白血球数、好酸球の割合(%)、好中球の割合(%)、リンパ球の割合(%)、単球の割合(%)のみを生成又は受信すればよい。
【0022】
表面抗原のCD番号検出部22は、例えば、CD3抗原、CD56抗原(および/またはCD16抗原)、CD4抗原ならびにCD8抗原を検出するフローサイトメータ、又はこれらの情報を受信する白血球細胞の表面抗原のCD番号の解析結果受信器から構成される。
【0023】
表面抗原のCD番号検出部22がフローサイトメータである場合は、表面抗原のCD番号検出部22は、フローセルと、光源と、検出器とシグナル増幅システム部と、変換システム部等とを備えるものであればよく、複数種の蛍光検出に対応して複数の光検出器を搭載するものでないものが好ましい。
【0024】
もっとも、フローサイトメータは、CD3抗原、CD56抗原(および/またはCD16抗原)、CD4抗原ならびにCD8抗原のみを検出するものであればよい。
【0025】
表面抗原のCD番号検出部22がCD番号の解析結果受信器である場合は、表面抗原のCD番号検出部22は、CD3抗原、CD56抗原(および/またはCD16抗原)、CD4抗原ならびにCD8抗原に関する情報のみを、既存の解析装置やサーバ等から受信(取得)するものであればよい。
【0026】
記憶部5は、ハードウェア(回路、専用論理など)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン上で動作するものなど)などから構成され、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部5には、基礎情報生成部2、免疫細胞亜群検出部3及び免疫動態変化解析部4で検出又は解析した解析情報等が記憶される。
【0027】
表示部6は、基礎情報生成部2、免疫細胞亜群検出部3及び免疫動態変化解析部4で検出又は解析した解析情報等を表示する機能を有する。表示部6としては、タッチパネル又は表示パネルなどの一般的な液晶ディスプレイ等を用いることができる。
【0028】
免疫細胞亜群検出部3は、上記基礎情報生成部2で取得した白血球数など及び白血球細胞(免疫細胞)の表面抗原のCD番号の解析結果(解析情報)に基づいて、リンパ球亜群のヘルパーT細胞の総数及びキラーT細胞の総数(リンパ球亜群のT細胞の総数)、B細胞の総数、NK細胞の総数及びNKT細胞の総数を検出する。T細胞については、ヘルパーT細胞の総数と、キラーT細胞の総数を算出する。
【0029】
好ましくは、免疫細胞亜群検出部3は、インストールされた高速検出用プログラムが、少なくとも、上記のような所定の白血球情報及びその表面抗原のCD番号の解析情報に基づいて、免疫細胞亜群の情報を検出することができるものであればよい。
【0030】
免疫動態変化解析部4は、上述した基礎情報生成部2及び免疫細胞亜群検出部3によって検出し又は得られた情報(以下、免疫細胞基礎データと称する)に基づいて、
図3Aに示したような免疫動態パターン42又は
図3Bに示したような免疫動態モデル43を生成する機能を有する。
免疫細胞基礎データは、少なくとも、白血球数と、白血球中の好塩基球と、好酸球と、好中球と、リンパ球と、単球と、CD3抗原と、CD56抗原(および/またはCD16抗原)と、CD4抗原ならびにCD8抗原などの数量及び割合を含む。
【0031】
免疫動態変化解析部4は、被検者の上述した免疫細胞基礎データに基づいて、被検者の免疫動態パターンを識別し、且つ当該免疫細胞基礎データに基づいて当該被検者と標準値との関連性をマッピングする。
【0032】
免疫動態変化解析部4は、健康状態(病状)を考慮して、被検者の免疫動態パターン42に基づいて追加データを収集するためのプロンプトを適応的に提供する。当該プロンプトは、免疫動態モデル43に基づいて生成する。
【0033】
すなわち、免疫動態変化解析部4は、白血球数、顆粒球(好酸球、好塩基球、好中球)、単球、リンパ球(ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞)のそれぞれの増減や割合などに基づいて、被検者の免疫動態をより高速かつ正確に分析し、その分析結果を表示部6に呈示する。
【0034】
CD3はすべてのT細胞の膜表面にある抗原である。CD4はヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)の膜表面にある抗原である。CD8はキラーT細胞(CD8陽性T細胞)の膜表面にある抗原である。CD16はNK細胞の膜表面にある抗原である。CD56はNK細胞やNKT細胞の膜表面にある抗原である。
【0035】
以下、陽性を「+」、陰性を「−」ということがある。ヘルパーT細胞は「CD3+CD4+」、キラーT細胞は「CD3+CD8+」、B細胞は「CD3−CD56−」、NK細胞は「CD3−CD56+」、NKT細胞は「CD3+CD56+」の特性をそれぞれ発現する細胞である。
【0036】
CD番号の解析結果受信器は、少なくとも、CD3抗原、CD56抗原(および/またはCD16抗原)、CD4抗原ならびにCD8抗原に関する情報を受信するものである。
【0037】
以下、本実施形態に係る多項目自動血球計数装置1の動作の一例を、下記実施例1に基づいて説明する。
【0038】
[実施例1]
第一の工程では、被検者から血液を採集し、基礎情報生成部2が血液を分析して、白血球数、白血球中の好塩基球の割合(%)、好酸球の割合(%)、好中球の割合(%)、リンパ球の割合(%)、単球の割合(%)に関わる情報及びCD3抗原、CD56抗原(および/またはCD16抗原)、CD4抗原ならびにCD8抗原に関わるCD分類の解析情報を取得し、記憶部5に保存する。
【0039】
第二の工程では、免疫細胞亜群検出部3が、上記基礎情報生成部2で取得した白血球数及び白血球分画情報に基づいて、被検者の体内の白血球(免疫細胞)の総数と白血球亜群(免疫細胞亜群)のそれぞれの総数(個数)を算出する。
【0040】
具体的には、白血球(免疫細胞)の総数と白血球亜群(免疫細胞亜群:顆粒球(好酸球、好塩基球、好中球)、単球、リンパ球(ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞))は、免疫細胞亜群検出部3に取り込まれている高速計算プログラムを用いて検出(算出)される。当該高速計算プログラムには、少なくとも、下記計算式(1)〜(5)が含まれる。なお、白血球の総数は、被検者が男性の場合は計算式(1)により算出し、被検者が女性の場合は計算式(2)により算出する。
(数式1)
【0041】
続いて、免疫細胞亜群検出部3は、上記検出されたリンパ球の総数と基礎情報生成部2で取得したCD分類の解析情報とに基づいて、リンパ球亜群のT細胞の総数を検出する。
【0042】
具体的には、リンパ球亜群のT細胞の総数は、下記計算式(6)が含まれる免疫細胞亜群検出部3に取り込まれている高速計算プログラムを用いて検出(算出)される。
【0043】
続いて、免疫細胞亜群検出部3は、算出されたT細胞の総数と基礎情報生成部2で取得したCD分類の解析情報とに基づいて、ヘルパーT細胞の総数及びキラーT細胞の総数を検出する。
【0044】
ヘルパーT細胞の総数及びキラーT細胞の総数は、下記計算式(7)及び(8)が含まれる免疫細胞亜群検出部3に取り込まれている高速計算プログラムを用いて検出(算出)される。
【0045】
続いて、免疫細胞亜群検出部3は、検出されたT細胞の総数及びリンパ球の総数と基礎情報生成部2で取得したCD分類の解析情報とに基づいて、T細胞以外の非T細胞の総数を検出する。
【0046】
非T細胞の総数は、下記計算式(9)が含まれる免疫細胞亜群検出部3に取り込まれている高速計算プログラムを用いて検出(算出)される。
【0047】
続いて、免疫細胞亜群検出部3は、検出された非T細胞の総数及びT細胞の総数と基礎情報生成部2で取得したCD分類の解析情報とに基づいて、B細胞の総数、NK細胞の総数及びNKT細胞の総数を検出する。
【0048】
B細胞の総数、NK細胞の総数及びNKT細胞の総数は、下記計算式(10)、(11)、(12)含まれる免疫細胞亜群検出部3に取り込まれている高速計算プログラムを用いて検出(算出)される。
(数式2)
【0049】
なお、上記計算式(1)〜(12)により、各成分の1μl中の個数が算出できる。免疫細胞亜群検出部3は、算出した結果データを記憶部5に保存する。
【0050】
第三の工程では、免疫動態変化解析部4は、上記基礎情報生成部2及び免疫細胞亜群検出部3で検出(算出)されたデータ情報(免疫細胞基礎データ)と、記憶部5に保存されているデータと、に基づいて、被検者の免疫動態情報を作成する。本願における免疫動態とは、被検者の情報をその採血から即時(採血から2時間以内に)に検出された被検者の白血球、白血球中の好塩基球、好酸球、好中球、リンパ球、単球、CD3抗原、CD56抗原(および/またはCD16抗原)、CD4抗原ならびにCD8抗原などの数量及び割合に基づいて呈示した免疫状態に関する情報である。
【0051】
すなわち、免疫動態変化解析部4は、上述した基礎情報生成部2及び免疫細胞亜群検出部3で検出された白血球、顆粒球(好酸球、好塩基球、好中球)、単球、リンパ球(ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞)の数量及び割合などに基づいて、高速かつ正確に被検者の免疫状態を分析し、免疫状態のパターンを形成し、当該被検者の免疫動態を呈示する。免疫動態変化解析部4は、ハードウェア(回路、専用論理など)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン上で動作するものなど)などから構成される。
【0052】
免疫動態変化解析部4は、具体的には、
図4に示したように、パターン形成モジュール401と、免疫動態相関部402と、自己学習システム403と、を具備する。免疫動態変化解析部4は、データ(例えば、情報、モデル、フィードバック、被検者プロファイルなど)を格納するための1又は複数のデータストア501又は(及び)記憶部5に接続されている。
【0053】
パターン形成モジュール401は、免疫状態のパターンを形成するための画像形成用ソフトウェアであり、免疫状態を区画し、免疫状態パターン(例えば、免疫動態パターン)を形成する。自己学習システム403は、血算のデータに応じて学習する自己学習する機能を有し、血算の各成分間の相関を特徴付ける。
【0054】
[パターン形成例1]
パターン形成例1では、インフルエンザ感染に関するパターン形成に基づいて、免疫動態変化解析部4の機能について説明する。
【0055】
パターン形成例1では、まず、自己学習システム403は、記憶部5(又はデータストア501)に記憶されているランダムに選択した一定数のインフルエンザ感染者(以下、感染者と称する)のそれぞれの白血球(免疫細胞)の総数と白血球亜群(免疫細胞亜群)に基づいて、インフルエンザウイルスと相関する細胞データを抽出し、これを記憶部5(又はデータストア501)に記憶する。ここで、自己学習システム403が抽出した細胞データとしては、表1に示すような全顆粒球、全リンパ、CD4抗原、CD8抗原、NK細胞、NKT細胞及びB細胞の数量である。
【表1】
自己学習システム403は、記憶部5(又はデータストア501)に記憶されている全顆粒球、全リンパ、CD4抗原、CD8抗原、NK細胞、NKT細胞及びB細胞の数量に基づいて、インフルエンザ感染の特徴を示すパターン範囲(インフルエンザ感染パターン及び擬インフルエンザ感染パターン)を特定し、記憶部5(又はデータストア501)に記憶する。表1のデータは、免疫細胞亜群検出部3によって、上記基礎情報生成部2で取得した各感染者の白血球数及び白血球分画情報に基づいて計算され、自己学習システム403によって抽出した当該感染者たちのそれぞれの感染免疫細胞基礎データに該当するものである。
【0056】
自己学習システム403は、上記表1に示す各感染者の感染免疫細胞基礎データに基づいて、各感染者のCD4抗原数、CD8抗原数、NK細胞数、NKT細胞数及びB細胞数の合計数を計算し、下記の表2に示すCD4抗原数、CD8抗原数、NK細胞数、NKT細胞数及びB細胞数の割合を算出し、記憶部5(又はデータストア501)に記憶する。
【表2】
【0057】
また、自己学習システム403は、インフルエンザ感染の特徴を示すパターン範囲を特定する際に、インフルエンザ感染の特徴と関連があると判断した参考データ、例えば、表2で示すように体温及び脈拍数などを同時に示すことができる。
【0058】
次に、パターン形成モジュール401は、記憶部5(又はデータストア501)に記憶されている上記表2に示す感染者のCD4抗原数、CD8抗原数、NK細胞数、NKT細胞数及びB細胞数の割合を画像化し、表示部6に呈示する。
図5は、表示部6に呈示する感染者のCD4抗原数、CD8抗原数、NK細胞数、NKT細胞数及びB細胞数の割合を示す図である。
【0059】
さらに、自己学習システム403は、各感染者の、CD4抗原数とB抗原数との比(CD4/B)、全リンバと全顆粒との比(全リンバ/全顆粒)を計算し、記憶部5(又はデータストア501)に記憶する。さらに、自己学習システム403は、表2に示す感染者たちのCD4抗原の割合、CD8抗原の割合、NK細胞の割合、NKT細胞の割合及びB細胞数の割合のそれぞれの平均値(対比インフルエンザ感染パターン標準データと称する)を算出し、記憶部5(又はデータストア501)に記憶する。
【0060】
パターン形成モジュール401は、記憶部5に記憶されている対比インフルエンザ感染パターン標準データを用いて、被検者がインフルエンザに感染しているか否かを判断するための情報を表示部6に呈示することができる。
【0061】
すなわち、本実施形態に係る多項目自動血球計数装置1は、自己学習システム403が被検者の免疫細胞基礎データを記憶部5に記憶されている諸データと対比し、被検者の免疫細胞基礎データと近い免疫細胞データ(以下、対比免疫細胞データと称する)を選別し、表示部6に呈示する(
図6A及び
図6Bを参照)。よって、従事者は、表示部6に呈示している被検者の免疫細胞基礎データと対比免疫細胞データを参考して、容易に被検者がインフルエンザウイルスに感染しているか否かの判断を行うことができ、早期に感染拡大を防止することができる。
【0062】
以下、実際のインフルエンザ感染パターンの臨床例を用いて、本実施形態に係る多項目自動血球計数装置1の感染症判断情報を呈示する機能について説明する。
【0063】
[判断例1]
まず、本実施形態に係る多項目自動血球計数装置1を有する医療現場で、被検者の血液を採集し、基礎情報生成部2を用いて、当該被検者の白血球数と、白血球像(白血球分画情報)と、白血球細胞(免疫細胞)の表面抗原のCD番号の解析結果とを獲得し、記憶部5に記憶する。
【0064】
次に、免疫細胞亜群検出部3が、上記基礎情報生成部2で取得した白血球数及び白血球分画情報に基づいて、被検者の体内の白血球(免疫細胞)の総数と白血球亜群(免疫細胞亜群)のそれぞれの総数(個数)を算出し、記憶部5に記憶する。
【0065】
パターン形成モジュール401は、上記被検者の白血球(免疫細胞)の総数と白血球亜群(免疫細胞亜群)から全顆粒球、全リンパ、CD4抗原、CD8抗原、NK細胞、NKT細胞及びB細胞の数量及び割合(以下、被検者の免疫細胞基礎データと称する)を画像化し、表示部6に呈示する。
【0066】
続いて、パターン形成モジュール401は、自己学習システム403に上記被検者の免疫細胞基礎データと類似する対比免疫細胞データを、記憶部5(或いはデータストア501)に記憶されている免疫細胞データ群から選別すること(選別作業)を命じる。
【0067】
自己学習システム403は、記憶部5(或いはデータストア501)に記憶されている免疫細胞データ群から自己学習システム403に上記被検者の免疫細胞基礎データと類似する対比免疫細胞データを確定し、選別したときは、パターン形成モジュール401に選別作業が完了したことを報告する。ここでは、自己学習システム403が選別した対比免疫細胞データは、対比インフルエンザ感染パターン標準データである。
【0068】
パターン形成モジュール401は、自己学習システム403から前記選別作業が完了した報告を受けた後、対比インフルエンザ感染パターン標準データを表示部6に呈示する。
【0069】
この結果、パターン形成モジュール401は、被検者の免疫細胞基礎データと対比インフルエンザ感染パターン標準データとを同時に表示部6で呈示する。また、パターン形成モジュール401は、被検者の免疫細胞基礎データが対比インフルエンザ感染パターン標準データの範囲内に属すると判断したときは、インフルエンザ感染パターン(陽性)と表示する。パターン形成モジュール401は、被検者の免疫細胞基礎データが対比インフルエンザ感染パターン標準データの範囲内にないと判断したときは、インフルエンザ感染パターン(陰性)ではないと表示する。
【0070】
図6Aは、パターン形成モジュール401が表示部6に呈示する被検者の免疫細胞基礎データを示す図である。
図6Bは、パターン形成モジュール401が表示部6に呈示する対比インフルエンザ感染パターン標準データを示す図である。
【0071】
医療現場従事者は、上記
図6A及び
図6Bに示すような被検者の免疫細胞基礎データと対比インフルエンザ感染パターン標準データを参考して、簡単かつ短時間で被検者の感染状況の判断を行うことができ、感染者の早期発見に繋がり、感染拡大の防止を効果的に実施することができる。
【0072】
本実施形態におけるパターン形成モジュール401は、上記被検者の免疫細胞基礎データと対比免疫細胞データとを呈示するものに限るものではない。本実施形態におけるパターン形成モジュール401は、被検者のNK細胞数,ヘルパーT細胞数,キラーT細胞数,B細胞数及びNKT細胞数の割合などを統計し、グラフ化すると共に、パターン分類を形成する機能も有する。
【0073】
パターン分類には、例えば、白血球亜群のそれぞれの成分の細胞数及び割合、単球とリンパ球亜群の細胞数及び割合、リンパ球亜群のみの細胞数及び割合に基づいて、免疫状態の免疫動態(正常又は異常)パターンを識別することである。
【0074】
以下、パターン形成モジュール401のパターン分類の形成動作として、疾患のない健康な人(以下、「健康者」という。)の免疫状態の出力例(正常免疫状態パターンI)、胃がん患者の免疫状態の出力例(異常状態I)、慢性関節リウマチ患者の出力例(異常状態II)、アドピ−性皮膚炎患者の免疫状態の出力例(異常状態III)を用いて、説明する。
【0075】
[出力例1]
まず、胃がん患者(被検者)の血液を採集し、基礎情報生成部2及び免疫細胞亜群検出部3が胃がん患者の免疫細胞基礎データを獲得する。
【0076】
次に、パターン形成モジュール401は、胃がん患者の免疫細胞基礎データに基づいて、
図7(A)及び
図7(B)に示すような胃がん患者の免疫状態の円グラフを生成し表示部6に出力する。本実施形態例に係る多項目自動血球計数装置1は、胃がん患者の免疫状態を即時に呈示することが可能である。
【0077】
パターン形成モジュール401は、胃がん患者の免疫状態の確認のために、健康者の免疫状態との比較情報を呈示する。具体的には、パターン形成モジュール401が、記憶部5から当該胃がん患者の比較に適した健康者の免疫状態のデータを取得し、
図7(C)及び
図7(D)に示すような健康者の免疫状態の円グラフを生成し表示部6に呈示する。本出力例では、パターン形成モジュール401は、上記
図7(C)及び
図7(D)に示すような健康者の免疫状態の円グラフと、
図7(A)及び
図7(B)に示すような胃がん患者の免疫状態の円グラフとを同時に呈示する。
【0078】
図7のAに、胃がん患者の白血球亜群のそれぞれの成分の割合を示す円グラフを示した。
図7のBに、胃がん患者のリンパ球亜群のみの割合を示す円グラフを示した。
図7のCに、健康者の白血球亜群のそれぞれの成分の割合を示す円グラフを示した。
図7のDに、健康者のリンパ球亜群のみの割合を示す円グラフを示した。
【0079】
図7のA及び
図7のBに示すように、胃がん患者のCD4は131000(13億1千)万個であり、顆粒級: 単核球: リンパ球= 74: 7: 19%、交感神経優位および顆粒球増多リンパ球減少である。免疫期中枢リンパ球亜群個数≒262個/μl(<300個)/μl)、CD4の割合値はB細胞の割合値とCD8の割合値より小さく、免疫低下を示唆する。また、Th1細胞性免疫群比例(NK群+CD8群)>Th2液性免疫群比例(NKT群+B群)なので細胞性免疫優位傾向である。この時、パターン形成モジュール401は、当該胃がん患者の免疫状態を「免疫低下パターン」と識別する。
また、パターン形成モジュール401は、以下の免疫評価基準データA)からC)に基づいて、パターンを形成する。
A)Self−immunity Healthy −degree (自己免疫力の健康度)
・CD4 Helper−T cell 亜群(=ヘルパーT細胞免疫中枢)個数/μL/ml
・CD4 > 600/μl ⇒ normal Immunity (正常)
・CD4 600〜400 /μl ⇒Immune−decline (免疫低下)
・CD4 400〜 200/μl ⇒ Immune−impaired (免疫異常)
・CD4 < 200/μl ⇒ Immune−crisis (免疫危機)
B)体内免疫方向
・Th1細胞性免疫=NK+CD8(killer−T)
・Th2液性免疫=NKT+B cell
・CD4>CD8 >B cellの正比例(≒リンパ亜群比例パータン)
C)体内免疫自律神経バランス
・顆粒級:単核球:リンパ球 =60:5:35%(正常人の平均値)
⇒交感神経(顆粒球>リンパ球%)/副交感神経優位(リンパ球>顆粒球%)
D)体内免疫細胞群の代償変化(常に変化なので最初からのモニタリングデータを基準に)
・その他変化するバターン。
本実施例においては、上記免疫評価基準データA)からC)は、予めデータストア501(又は記憶部5)に蓄積されている。
【0080】
一方、
図7(C)及び
図7(D)に示すように、健康者のCD4は335000(33億5千)万個であり、顆粒級:単核球:リンパ球 = 59 : 7 : 34%である。正常人の平均値は、顆粒級:単核球:リンパ球 = 60 : 5 : 35%である。
【0081】
この時、本実施形態の多項目自動血球計数装置1は、当該胃がん患者の免疫状態が「免疫低下パターン」であることを示し、上述した健康者の免疫状態と比較して、免疫の低下を示す特徴的な値(例えば
図7の左の数値)を呈示するとともに、記憶部5に記憶する。
【0082】
よって、医療現場の従事者は、本実施形態の多項目自動血球計数装置1を利用することによって、上記受検者の免疫状態を、適時に確認することができるとともに、当該受検者の免疫の動態状態を獲得し、免疫状態を正確に把握することが可能である。また、実施例1の多項目自動血球計数装置1は、白血球数と、白血球像(白血球分画情報)と、一定の白血球細胞(免疫細胞)の表面抗原のCD番号との解析に必要なハードウェア(回路、専用論理など)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン上で動作するものなど)から構成されることが可能である。その結果、本実施形態の多項目自動血球計数装置1は、コンパクトに構成される。さらに、従来は少なくとも血球計数検出装置、フローサイトメータ及びPCRなどの数多くの装置を合わせて獲得する免疫状態に関するデータを、即時に本実施形態の多項目自動血球計数装置1のみで獲得できる。
【0083】
さらに、医療現場の従事者は、本実施形態の多項目自動血球計数装置1を利用することで、免疫動態を獲得するために引用文献1に示したような各別な計算をすることがなく、受検者の免疫動態に関するデータ及び免疫状態のパターンを視認することができ、迅速かつ正確な同定が可能となると共に、診察の時間短縮につながる。
【0084】
[出力例2]
出力例2では、Th2液性免疫優位傾向パターンに属する免疫状態を出力する一例を示す。Th2液性免疫優位傾向パターンの特徴を考慮して、被検者としては、慢性関節リウマチ患者とアトピー性皮膚炎患者を例に説明する。
【0085】
出力例1と同様に、まず、被検者の血液を採集し、基礎情報生成部2及び免疫細胞亜群検出部3が被検者の免疫細胞基礎データ41を獲得する。
【0086】
次に、パターン形成モジュール401は、各被検者の免疫細胞基礎データ41に基づいて、
図8に示すような慢性関節リウマチ患者の免疫状態とアトピー性皮膚炎患者の免疫状態の円グラフを生成する。
図8(A)に、慢性関節リウマチ患者の白血球亜群のそれぞれの成分の割合を示す円グラフを示した。
図8(B)に、慢性関節リウマチ患者のリンパ球亜群と単細胞との割合を示す円グラフを示した。
図8(C)に、慢性関節リウマチ患者のリンパ球亜群のみの割合を示す円グラフを示した。
図8(D)に、アトピー性皮膚炎患者の白血球亜群のそれぞれの成分の割合を示す円グラフを示した。
図8(E)に、アトピー性皮膚炎患者のリンパ球亜群と単細胞との割合を示す円グラフを示した。
図8(F)に、アトピー性皮膚炎患者のリンパ球亜群のみの割合を示す円グラフを示した。
【0087】
図8(A)及び
図8(C)に示すように、慢性関節リウマチ82才女性患者のCD4は87000(8億7千)万個であり、CD8は33000(3億3千)万個であり、顆粒級:単核球:リンパ球 = 79 : 5 : 16%である。慢性関節リウマチ患者のCD4の割合値はB細胞の割合値より小さい(リンパ球亜群の逆比例現象)が、CD8の割合値より大きい、Th2液性免疫群比例(NKT群+B群) >Th1細胞性免疫(NK群+CD8群)なので、Th2液性免疫優位傾向を示す。この時、本実施形態の多項目自動血球計数装置1は、当該慢性関節リウマチ患者の免疫状態が「Th2液性免疫優位傾向パターン」であることを判定し、健康者の免疫状態と比較して、免疫の状態の特徴を呈示している。
【0088】
図8(D)及び
図8(F)に示すように、アトピー性皮膚炎患者のCD4は193000(19億3千)万個であり、CD8は199000(19億9千)万個であり、顆粒級: 単核球: リンパ球= 65: 5: 30%である。また、アトピー性皮膚炎患者のCD4の割合値はB細胞の割合値より小さく(リンパ球亜群逆比例現象)、CD8の割合値とほぼ等しい。上述した慢性関節患者と同様に、Th2液性免疫群比例(NKT群+B群) >Th1細胞性免疫(NK群+CD8群)なので、Th2液性免疫優位傾向を示す。この時、本実施形態の多項目自動血球計数装置1は、当該アトピー性皮膚炎患者の免疫状態が「Th2液性免疫優位傾向パターン」であることを示し、健康者の免疫状態と比較して、免疫の状態の特徴を呈示している。
【0089】
[出力例3]
出力例3において、免疫状態及び病状を正確に判断するために、他の病状パターンと比較するために、被検者の免疫状態パターンと異なる病状パターン(比較状態パターン)を同時に呈示して、比較する例について説明する。被検者の免疫細胞基礎データ41は、出力例1と同様な方法で獲得するため、その説明は省略する。
【0090】
パターン形成モジュール401は、各被検者の免疫細胞基礎データ41に基づいて、
図9に示すような食道カンジダ患者の免疫状態と乾癬患者の免疫状態の円グラフを生成する。
図9(A)に、食道カンジダ患者の白血球亜群のそれぞれの成分の割合を示す円グラフを示した。
図9(B)に、食道カンジダ患者のリンパ球亜群のみの割合を示す円グラフである。
図9(C)に、乾癬患者の白血球亜群のそれぞれの成分の割合を示す円グラフを示した。
図9(D)に、乾癬患者のリンパ球亜群のみの割合を示す円グラフである。
【0091】
図9(A)及び
図9(B)に示すように、食道カンジダ患者のCD4は132000(13億2千)万個であり、CD8は173000(17億3千)万個であり、顆粒級:単核球:リンパ球 = 67 : 6 : 27%である。また、食道カンジダ患者のCD4の個数は264個/μl(<400個/μl)の免疫低下状態を示し、また、割合値はB細胞の割合値とCD8の割合値より小さく、リンパ球亜群逆比例現象を示唆する。Th1細胞性免疫群比例(NK群+CD8群) >Th2液性免疫(NKT群+B群)なので、細胞性免疫優位傾向を示す。この時、本実施形態の多項目自動血球計数装置1は、当該食道カンジダ患者の免疫状態が細胞性免疫優位傾向パターンであることを示し、健康者の免疫状態と比較して、免疫の状態の特徴を呈示している。
【0092】
一方、
図9(C)及び
図9(D)に示す乾癬患者の免疫状態は、食道カンジダ患者の免疫状態と比較するとその値は大きく異なる。乾癬患者の顆粒級: 単核球: リンパ球= 67: 8: 25%であり、上述した食道カンジダ患者のものとほぼ近い値を示すが、乾癬患者のCD4は416000(41億6千)万個の832個/μl(>600個/μl)の免疫亢進状態を示し、CD8の76000(7億6千)万個より大きい。また、乾癬患者のCD4の割合値はB細胞の割合値とCD8の割合値よりはるか大きく、しかもNKT細胞の割合はほぼゼロに近く、Th2液性免疫優位傾向ではなく、Th17細胞性免疫優位傾向の可能性を示唆する。この時、本実施形態の多項目自動血球計数装置1は、当該乾癬患者の免疫状態が「Th17細胞性免疫優位傾向パターン」であることを示唆し、健康者の免疫状態と比較して、免疫の状態の特徴を呈示している。
【0093】
出力例3における比較状態パターンは、本願の自己学習システム403によって提供される。
【0094】
自己学習システム403は、データストア501に蓄積されているデータに基づいて、統計計算(数理最適化計算など)又は臨床現場従事者の選択によって、被検者の免疫状態と相関性が最も良い一又は複数の比較状態パターンを選別することができる。例えば、数理最適化計算としては、数値解析ソフトウェアを使用することができる。例えば、一般的な数値解析ソフトウェアSciPyなどがあげられる。
【0095】
自己学習システム403は、少なくとも、例えば、免疫動態の解析参考データを蓄積されているデータストア501と連結されている。当該免疫動態の解析参考データは、免疫動態変化を解析及び定義するための参考情報としての一例に過ぎず、免疫動態変化の相関統計データを解析及び定義するにあたり、臨床現場の従事者にとって役に立つ情報である。
【0096】
当該免疫動態変化を解析及び定義するための参考情報データは、医療臨床現場の情報及び専門雑誌などの情報に基づいて、適時情報補充するものであってもよい。
【0097】
また、臨床現場の従事者は、当該免疫動態変化を解析及び定義するための参考情報データを、自己の経験などに基づいて、得意な専門治療分野に特化したものに追加補填することもできる。
【0098】
自己学習システム403の統計計算として、被検者の免疫状態と相関性が最も良い比較状態パターンの選択可能なものであれば、以下のような簡単な計算方式よって選別しもよい。
【0099】
計算例1としては、NK細胞数を従属変数とし、ヘルパーT細胞、キラーT細胞数、B細胞、NKT細胞を独立変数として重回帰分析を行う。
【0100】
ヘルパーT細胞、キラーT細胞数、B細胞、NKT細胞の各偏回帰係数を求め、有意差検定を行い、呈示する。
【0101】
次に、重相関係数を求め、有意差検定を行い、呈示する。
【0102】
ヘルパーT細胞、キラーT細胞数、B細胞、NKT細胞の寄与率を求め、呈示する。
【0103】
NK細胞数とヘルパーT細胞、キラーT細胞数、B細胞、NKT細胞との相関関係を求め、呈示する。
【0104】
細胞性免疫の活性化に関与する相関の一例として、NK細胞数とキラーT細胞数の総和やその増減等を分析することでTh1細胞が関与するTh1細胞性免疫の状態を、被検者の免疫状態と比較し、統計データ群から最も適したものを選別する。Th1細胞は、IFN−γを主に産生し、細胞性免疫の活性化等に関与する。
【0105】
計算例2としては、NKT細胞とNK細胞数、ヘルパーT細胞、キラーT細胞数、B細胞との相関関係に基づいて、液性免疫の状態等について正確な相関情報を求め、被検者の免疫状態と比較し、統計データ群から最も適したものを選別する。
【0106】
計算例2の重回帰分析は、上述した計算例1と同様な方法で行う。そして、NKT細胞とNK細胞数、ヘルパーT細胞、キラーT細胞数、B細胞との相関関係を求め、被検者の免疫状態と比較し、統計データ群から最も適したものを選別する。
【0107】
液性免疫の状態に関与する相関の一例として、NKT細胞数とB細胞数の総和やその増減等を分析することでTh2細胞が関与するTh2液性免疫の状態を知ることができる。Th2細胞は、インターロイキン−4(IL−4)を主に産生し、液性免疫に関与する。
【0108】
上述計算例1及び計算例2は、免疫動態変化を分析するための相関を導き出す事例に過ぎない。本実施形態の多項目自動血球計数装置には、上述した計算例1及び計算例2における免疫動態を示す相関関係方法以外にも、最適化計算などに基づいて免疫動態を示す有意な数値を示すものも含まれる。即ち、被検者の免疫細胞基礎データ41を用いて得られた情報に基づいて獲得した免疫細胞亜群の相関及び免疫動態変化に関する統計解析のための比較状態パターンを提供するものであり、且つ即時に被検者の免疫状態に応用可能なものであれば、本実施形態の多項目自動血球計数装置に利用することができる。また、本実施形態の多項目自動血球計数装置の解析データと他分野測定データとの聯結分析によって、新しい情報分析の画像化にも応用できる。例えば、本実施形態の多項目自動血球計数装置の解析データと腸内便中の細菌フローア分析データとの聯結分析によって、Th17粘膜免疫分野の解明に役立つことが可能である。
【0109】
次に、免疫動態相関部402の動作について、出力例4に基づいて説明する。
【0110】
免疫動態相関部402は、被検者のパターン形成モジュール401によって形成された免疫状態パターンに対して、当該被検者の免疫動態相関に関する情報を呈示する。すなわち、関連細胞の投与によって、被検者の免疫状態の変化(免疫動態変化)を時系列に画像化して呈示すると共に、傾向変化量及び参考必要投与量を呈示する。
【0111】
[出力例4]
出力例4では、NK細胞低下パターンの被検者(被検者1)にNK細胞(自己培養細胞)を投与し、その免疫状態の変化(免疫動態変化)を時系列に画像化して呈示し、免疫動態モデル43を形成する。
図10は、本実施形態に係る免疫動態相関部402が形成する免疫動態モデル43を示す図である。
【0112】
図10に示すように、免疫動態相関部402は、点滴または注射などの物理的手段を用いてNK細胞の投与効果を画像化して呈示する。医療現場の従事者及び被検者1は、被検者の免疫動態を直接目で即時に確認することができる。また、出力例4において、免疫動態相関部402は、NK細胞低下パターンの被検者にNK細胞を投与し、一定期間における当該被検者の免疫状態の変化を示す免疫動態モデル43を形成する。具体的には、以下の操作の結果を画像化して呈示する。
【0113】
まず、NK細胞を投入する前の被検者の血液を採集し、分析結果(投与前の免疫細胞基礎データ41)を記憶部5に保存する。
【0114】
次に、当該被検者に、純度92%の自己培養NK細胞(5.5×10
8 NK cell)を投入した後、二日後に再度血液を採集し、基礎情報生成部2及び免疫細胞亜群検出部3を用いて分析を行い、投与後の免疫細胞基礎データ41を生成する。
【0115】
パターン形成モジュール401は、投与前の免疫細胞基礎データ41及び投与後の免疫細胞基礎データ41に基づいて、即時に被検者の免疫動態パターン42であるNK細胞低下パターン及び第一NK細胞補填パターン1のそれぞれを識別する。
【0116】
免疫動態相関部402は、上記被検者1のNK細胞低下パターン及び第一NK細胞補填パターン1に基づいて、被検者1の体内のNK細胞の増減を示すグラフを呈示する。
【0117】
図10に示すように、一回自己NK細胞を点滴によって投入することによって、Th1細胞性免疫の増幅が観測された。また、NK細胞を点滴によって投入することによって、体内のNK細胞の増幅も直接的に観測された。
【0118】
すなわち、医療現場の従事者は、本実施形態の多項目自動血球計数装置1に基づいて、NK細胞に寄与する薬剤を投入する際に、その作用効果及び変化などに関する情報を短時間で、且つ容易に知ることができ、患者の負担軽減や早期発見,早期治療につながる。
【0119】
さらに、免疫動態相関部402は、NK細胞の投与量と被検者1の体内のNK細胞の増加量とを比例するグラフを形成し、NK細胞の投与量1の消化率1を計算して呈示する。
【0120】
さらに、免疫動態相関部402は、自己学習システム403を利用して、上記被検者1のNK細胞低下パターン1及び第一NK細胞補填パターン1を標本に、データストア501から最適データ1を選出する。最適データ1は、NK細胞低下パターン1及び第一NK細胞補填パターン1と同一又は近似する免疫状態バターン(NK細胞低下パターン及び第一NK細胞補填パターン,第二NK細胞補填パターン,第三NK細胞補填パターン,第四NK細胞補填パターン…)の情報が含まれるデータである。
【0121】
その後、免疫動態相関部402は、最適データ1から被検者1のNK細胞低下パターン1及び第一NK細胞補填パターン1、第二NK細胞補填パターン1、第三NK細胞補填パターン1、第四NK細胞補填パターン1を呈示する。さらに、免疫動態相関部402は、最適データ1の第二NK細胞補填パターン1についての投与量及び消化率を呈示し、推定投与量2を呈示する。推定投与量2は、理想的な被検者1の第二NK細胞補填パターンを形成するためにNK細胞の必要な投与量である。推定投与量2は、上記被検者の投与量1及び消化率1と最適データ1の投与量及び消化率に基づいて、自己学習システム403の計算方式によって得られる。
【0122】
さらに、免疫動態相関部402は、被検者1のNK細胞低下パターン1及び第一NK細胞補填パターン1と最適データ1に基づいて、被検者1の免疫動態モデル1を生成し、呈示する。被検者1の免疫動態モデル1は、
図10に示すように、NK細胞低下パターン1〜第四NK細胞補填パターン4までの免疫動態の変化を予測的に立てたものである。
【0123】
当該被検者1の免疫動態モデル1は、医療現場の従事者にとって、被検者1の免疫状態を即時且つ動態的に把握することができ、即時に措置対応の判断を行うことができる。被検者1にとっては、当該免疫動態モデル1は、自分免疫動態を直接かつ即時に目で確かめることができ、自己の免疫情報を正確に把握することが可能である。
【0124】
図11は、健康者にNK細胞の免疫動態変化を画像化して呈示する例を示す。
【0125】
図11の(A)に、NK細胞の投与前の被検者の白血球亜群のそれぞれの成分の割合を示す円グラフを示し、この割合に基づいて算出された白血球亜群の数の算出例を円グラフの左側に示した。
図11の(B)はNK細胞の投与前の被検者の単球とリンパ球亜群の割合を示す円グラフであり、
図11の(C)はNK細胞の投与前の被検者のリンパ球亜群のみの割合を示す円グラフである。
【0126】
図11の(D)に、NK細胞の投与後の被検者の白血球亜群のそれぞれの成分の割合を示す円グラフを示し、この割合に基づいて算出された白血球亜群の数の算出例を円グラフの右側に示した。
図11の(E)はNK細胞の投与後の被検者の単球とリンパ球亜群の割合を示す円グラフであり、
図11の(F)はNK細胞の投与後の被検者のリンパ球亜群のみの割合を示す円グラフである。
【0127】
図11に示すように、健康人に3回自己NK細胞点滴した後でも、Th1免疫の増幅現象(CD8↑)はなく、代わりに免疫中枢リンパ球CD4(helperT細胞)個数の増加の状況が確認できる。
【0128】
すなわち、本実施形態の多項目自動血球計数装置1は、健康者の免疫状態の検査及び免疫状態の補填を即時に動態状態で確認でき、健康を守るのに役立つ。
【0129】
また、本実施形態の多項目自動血球計数装置に基づいて、インフルエンザ患者の免疫状態の判断を即時に行うことができる。
【0130】
免疫動態相関部402が呈示する情報は、出力例4に限られるものではなく、
図12に示すように、インフルエンザパターン1から回復パターン1までの免疫相関を呈示することにも利用できる。回復パターン1は、当該インフルエンザ患者が治療によって健康状態が回復した時の免疫状態を示したものである。
【0131】
図12に示すように、インフルエンザ感染症のような急性ウイルス感染は、初期に、NK細胞の維持傾向(増加〜減少の緩慢傾向)とCD4細胞の著明減少が観察された。逆に、回復期にはNK細胞の減少とCD4細胞の増加も観察された。感染初期のNK細胞増加によるTh1細胞性免疫の増幅現象(Booster role)は感染細胞を除去する自然免疫の早期始動であることを示唆している。回復期にCD4細胞個数の増加は、獲得免疫始動によるものと推定される。従って、急性ウイルス性感染症の際に、NK細胞個数の維持による素早い自然免疫の働きは感染の早期回復および重症化回避のカギとなることを示唆する。
【0132】
感染に対応する体内免疫は、自然免疫(先天免疫)から始動から後天免疫(獲得免疫)の記憶完成までに、約1〜2週間かかると言われる。その間、免疫細胞亜群の代償変化によって、病気の回復につながる。SARS〜MASなどの急性ウイルス感染の際に、免疫細胞亜群の変化が予後に大きく左右すると推定される。つまり、免疫細胞群の代償するスピードが生死の分け目と推定される。
図12において、臨床急性ウイルス性感染症であるインフルエンザ感染症の感染初期に、NK細胞の増加傾向とCD4細胞の著明減少が観察され、回復期にはNK細胞の減少とCD4細胞の増加が観察された。感染初期のNK細胞増加によるTh1細胞性免疫の増幅現象(Booster role)は感染細胞を除去する自然免疫の早期始動であり、回復期にCD4 Helper−T細胞個数の増加は、獲得免疫始動によるものである。従って、急性ウイルス性感染症の際に、NK細胞個数の増加は、ウイルス増殖工場である感染細胞を排除する目的で感染の早期回復および重症化回避の免疫代償変化を推定することができる。即ち、免疫代償状態(非発症)及び免疫非代償状態(発症)について正確に解析することができる。
【0133】
上述したように、一定数の急性ウイルス性感染症症例に、本実施形態の多項目血球計数装置による免疫細胞亜群の動的な関連データを解析すれば、患者に身体的な負担および経済的な負担せずに良い予後につなぐ適切な治療法が作り出せる(良い治療指南を生み出す)ことが可能である。すなわち、(1)免疫の健康度(正常・低下・亢進)および免疫自律神経のバランス評価、(2)免疫方向の把握(Th1.Th2.Th17)、(3)免疫代償変化(免疫代償状態)の把握という三つの免疫動態の情報を即時に把握することで、病気に対し、迅速に適切な治療を施すことが可能となる。
【0134】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は出力例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【解決手段】基礎情報生成部と、免疫細胞亜群検出部と、免疫動態変化解析部と、記憶部と、表示部とを備え、基礎情報生成部は、血液成分の血算及び白血球像の検査情報と、リンパ球の表面抗原と結合するモノクローナル抗体のCD分類の解析情報とを獲得し、免疫細胞亜群検出部は、血液成分の血算及び白血球像の検査情報と、リンパ球の表面抗原と結合するモノクローナル抗体のCD分類の解析情報とに基づいて、被検者の免疫状態の分析に必要な免疫細胞亜群の情報を検出し、免疫動態変化解析部は、基礎情報生成部及び免疫細胞亜群検出部で検査された情報と記憶部に保存されているデータとに基づいて、被検者の免疫動態変化に関する情報を識別し、表示部に画像化して呈示する。