特許第6796742号(P6796742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796742周囲温度推定値を使用して照明器具からのアナログ信号データを補償するためのシステム、方法、及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796742
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】周囲温度推定値を使用して照明器具からのアナログ信号データを補償するためのシステム、方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/13 20200101AFI20201130BHJP
   H05B 45/18 20200101ALI20201130BHJP
【FI】
   H05B47/13
   H05B45/18
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-503795(P2020-503795)
(86)(22)【出願日】2018年7月17日
(65)【公表番号】特表2020-526905(P2020-526905A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】EP2018069362
(87)【国際公開番号】WO2019020431
(87)【国際公開日】20190131
【審査請求日】2020年3月23日
(31)【優先権主張番号】62/537,521
(32)【優先日】2017年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】17188310.1
(32)【優先日】2017年8月29日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ムルシィ アビシェク
【審査官】 大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−034190(JP,A)
【文献】 特開2004−213955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/13
H05B 45/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のプロセッサによって実施される方法であって、
1つ以上の照明器具を動作設定に従って動作させるステップであって、前記1つ以上の照明器具の所与の照明器具は、発光ダイオード(LED)アレイ及びパッシブ赤外線センサを含む、ステップと、
少なくとも前記所与の照明器具の前記動作設定に基づいて前記LEDアレイの少なくとも1つの動作特性を決定するステップと、
前記LEDアレイの前記少なくとも1つの動作特性から温度推定値を決定するステップであって、前記温度推定値は、前記1つ以上の照明器具の環境に関連する、ステップと
前記温度推定値を使用して、前記所与の照明器具の前記パッシブ赤外線センサからのアナログ信号であって、前記1つ以上の照明器具の前記環境からの熱放射に対応するアナログ信号から補償された応答信号を生成するステップと、
前記補償された応答信号に基づいて前記1つ以上の照明器具を動作させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記温度推定値は、前記環境の周囲温度に対応し、当該方法は、前記補償された応答信号から前記環境内の占有者の数の推定値を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの動作特性は、前記LEDアレイの消費電力のリアルタイム測定である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの動作特性を決定するステップは、前記LEDアレイについてのLED接合温度を決定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記温度推定値を決定するステップは、前記所与の照明器具のヒートシンクにおける熱抵抗を使用することを伴う、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、異なる照明器具の別個のパッシブ赤外線センサを前記温度推定値に基づいて較正するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1つ以上の照明器具、
1つ以上のプロセッサ、及び
前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、前記1つ以上のプロセッサに、
少なくとも前記1つ以上の照明器具の所与の照明器具からの動作特性データから周囲温度の推定値を生成することであって、前記動作特性データは、温度と異なる変数を含む、ことと、
前記1つ以上の照明器具に接続された1つ以上のパッシブ赤外線センサからのアナログ信号データ及び前記周囲温度の推定値から生成される補償されたアナログ信号データに基づいて前記1つ以上の照明器具を動作させることと、
を含むステップを実行させる命令を格納するように構成されるメモリ、
を含む、システム。
【請求項8】
前記ステップは、前記補償されたアナログ信号データを使用して、前記周囲温度に関連するエリアの占有の推定値を決定することを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記動作特性データは、前記1つ以上の照明器具の発光ダイオード(LED)アレイの順方向バイアス電圧である、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ステップは、前記補償されたアナログ信号データに基づいて、前記1つ以上の照明器具によって照らされるエリアについての占有率、占有合計、又は占有分布の推定値を生成することを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ以上の照明器具は、照明器具のネットワークを含み、前記照明器具のネットワークは、該照明器具のネットワークによって照らされるエリアの占有率、占有合計、又は占有分布に基づいて動作する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
発光ダイオード(LED)アレイ、
アナログ応答信号を提供するように構成されるセンサ、
1つ以上のプロセッサ、及び
前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、前記1つ以上のプロセッサに、
前記LEDアレイの環境からの外部刺激に従って前記アナログ応答信号を生成することと、
前記LEDアレイの1つ以上の動作特性を決定することであって、前記1つ以上の動作特性は、前記LEDアレイの輝度に関連する、ことと、
少なくとも動作特性に基づいて環境メトリックの推定値を生成することと、
前記環境メトリックの前記推定値に基づいて補償されたアナログ応答信号を生成することと、
少なくとも前記補償されたアナログ応答信号に基づいて前記1つ以上の動作特性を修正することと、
を含むステップを実行させる命令を格納するように構成されるメモリ、
を含む、コンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記1つ以上の動作特性は、少なくとも前記LEDアレイの調光レベルを含む、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記環境メトリックは、周囲温度であり、前記1つ以上の動作特性は、前記LEDアレイの順方向バイアス電圧又は順方向バイアス電流を含む、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記外部刺激は、前記LEDアレイによって照らされる環境の1人以上の占有者からの赤外線放射を含む、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、1つ以上の照明器具からのセンサデータを処理することに関する。とりわけ、様々な実施形態は、周囲温度の推定値(estimate)に従ってアナログ信号データを補償するためのシステム、方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル照明技術、すなわち、発光ダイオード(light-emitting diode;LED)などの半導体光源に基づく照明は、伝統的な蛍光灯、HID、及び白熱灯に対する実行可能な代替案を提供する。LEDの機能的利点及び利益としては、高いエネルギ変換及び光学効率、耐久性、低い動作コスト、並びに多くの他の点が挙げられる。LED技術の近年の進歩は、多くの用途において様々な照明効果を可能にする、効率的かつ堅牢なフルスペクトル照明源をもたらしている。一部の照明デバイスは、照明デバイスの環境に関するデータを収集するためのセンサを組み込むことができる。しかしながら、そのようなセンサを組み込むことにより、照明デバイスは誤作動しやすくなり得る。さらに、デバイスにコンポーネントを追加することは、照明デバイスの製造にかかる労力を増加し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
結果として、潜在的により多くの問題を引き起こし得る追加の部品を組み込むことなく、照明デバイスの機能を改善する方法は少ないかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、照明器具の特定の動作特性から生成される周囲温度の推定値を使用して補償されたセンサデータ(compensated sensor data)を提供するためのシステム、方法、及び装置に関する。一部の実装形態では、1つ以上のプロセッサによって実施される方法が述べられる。方法は、照明器具のネットワークを動作設定に従って動作させる等のステップを含むことができる。照明器具のネットワーク内の照明器具は、発光ダイオード(LED)アレイ及びパッシブ赤外線センサを含むことができる。方法はさらに、少なくとも照明器具の動作設定に基づいてLEDアレイの少なくとも1つの動作特性を決定すること、及びLEDアレイの少なくとも1つの動作特性から温度推定値(temperature estimate)を決定することを含むことができる。温度推定値は、照明器具のネットワークの環境に関連することができる。方法はさらに、照明器具のパッシブ赤外線センサから、照明器具のネットワークの環境からの熱放射に対応するアナログ信号を受信すること、及び温度推定値を使用してアナログ信号から補償された応答信号(compensated response signal)を生成することを含むことができる。温度推定値は、照明器具の周囲温度に対応することができ、方法はさらに、補償された応答信号から環境内の占有者(ocupant)の数の推定値を決定することを含むことができる。少なくとも1つの動作特性は、LEDアレイの消費電力のリアルタイム測定であることができる。さらに、少なくとも1つの動作特性を決定することは、LEDアレイについてのLED接合温度を決定することを含む。少なくとも1つの動作特性は、照明器具のヒートシンクにおける熱抵抗のリアルタイム測定であることができる。一部の実装形態では、方法は、異なる照明器具の別個のパッシブ赤外線センサを温度推定値に基づいて較正することを含むことができる。
【0005】
さらに他の実施形態では、照明器具のネットワーク、1つ以上のプロセッサ、及び1つ以上のプロセッサによって実行された場合、1つ以上のプロセッサに、照明器具のネットワーク内の1つ以上の照明器具からの動作特性データを受信することを含むステップを実行させる命令を格納するように構成されるメモリを含む、システムが述べられる。動作特性データは、温度と異なる変数を含むことができる。ステップはさらに、照明器具のネットワークに接続された1つ以上のパッシブ赤外線センサからアナログ信号データを受信すること、及び少なくとも動作特性データから周囲温度の推定値を生成することを含むことができる。追加的に、ステップは、アナログ信号データ及び周囲温度の推定値から生成され得る補償されたアナログ信号データに基づいて照明器具のネットワークを動作させることを含むことができる。ステップはまた、補償されたアナログ信号データを使用して、周囲温度に関連するエリアの占有(occupancy)の推定値を決定することを含むことができる。動作特性データは、1つ以上の照明器具の発光ダイオード(LED)アレイの順方向バイアス電圧であることができる。一部の実装形態では、ステップは、補償されたアナログ信号データに基づいて、照明器具のネットワークによって照らされるエリアについての占有率(occupancy rate)、占有合計(occupancy total)、又は占有分布(occupancy distribution)の推定値を生成することを含むことができる。照明器具のネットワークはさらに、照明器具のネットワークによって照らされるエリアの占有率、占有合計、又は占有分布に基づいて動作することができる。
【0006】
さらに他の実装形態では、発光ダイオード(LED)アレイ、アナログ応答信号を提供するように構成されるセンサ、1つ以上のプロセッサ、及びメモリを含む、コンピューティングデバイスが述べられる。メモリは、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、1つ以上のプロセッサに、LEDアレイの環境からの外部刺激(external stimulus)に従ってアナログ応答信号を生成することを含むステップを実行させる命令を格納するように構成されることができる。ステップはさらに、LEDアレイの1つ以上の動作特性を決定することを含むことができる。1つ以上の動作特性は、LEDアレイの輝度(luminance)に関連することができる。ステップはまた、少なくとも動作特性に基づいて環境メトリック(environmental metric)の推定値を生成すること、環境メトリックの推定値に基づいて補償されたアナログ応答信号を生成すること、及び少なくとも補償されたアナログ応答信号に基づいて1つ以上の動作特性を修正することを含むことができる。1つ以上の動作特性は、少なくともLEDアレイの調光レベルを含むことができる。環境メトリックは、周囲温度であることができ、1つ以上の動作特性は、LEDアレイの順方向バイアス電圧又は順方向バイアス電流を含むことができる。外部刺激は、LEDアレイによって照らされる環境の1人以上の占有者からの赤外線放射を含むことができる。
【0007】
本開示の目的に関して本明細書で使用されるとき、用語「LED」は、任意の電界発光ダイオード、あるいは、電気信号に応答して放射線を生成することが可能な、他のタイプのキャリア注入/接合ベースのシステムを含むように理解されるべきである。それゆえ、LEDという用語は、限定するものではないが、電流に応答して光を放出する様々な半導体ベースの構造体、発光ポリマー、有機発光ダイオード(organic light emitting diode;OLED)、電界発光ストリップなどを含む。特に、LEDという用語は、赤外スペクトル、紫外スペクトル、及び(一般に、約400ナノメートル〜約700ナノメートルの放射波長を含む)可視スペクトルの様々な部分のうちの1つ以上で放射線を生成するように構成されてもよい、(半導体ダイオード及び有機発光ダイオードを含めた)全てのタイプの発光ダイオードを指す。LEDの一部の例としては、限定するものではないが、(以下で更に論じられる)様々なタイプの赤外LED、紫外LED、赤色LED、青色LED、緑色LED、黄色LED、アンバーLED、橙色LED、及び白色LEDが挙げられる。また、LEDは、所与のスペクトルに関する様々な帯域幅(例えば、半値全幅、すなわちFWHM)(例えば、狭帯域幅、広帯域幅)と、所与の一般的色分類内の様々な主波長とを有する放射線を生成するように、構成及び/又は制御されてもよい点も理解されたい。
【0008】
例えば、本質的に白色光を生成するように構成されているLED(例えば、白色LED)の一実装形態は、それぞれが異なる電界発光スペクトルを放出する、いくつものダイを含んでもよく、それらのスペクトルは組み合わされて、実質的な白色光を形成するように混ざり合う。別の実装形態では、白色光LEDは、第1のスペクトルを有する電界発光を、異なる第2のスペクトルに変換する、蛍光体材料に関連付けられてもよい。この実装形態の一実施例では、比較的短い波長及び狭帯域スペクトルを有する電界発光が、蛍光体材料を「ポンピング」すると、その蛍光体材料が、やや広いスペクトルを有する、より長い波長の放射線を放射する。
【0009】
また、LEDという用語は、LEDの物理的及び/又は電気的パッケージのタイプを制限しない点も理解されたい。例えば、上述のように、LEDは、それぞれが異なる放射線スペクトルを放出するように構成された(例えば、個別に制御可能であってもよく、又は制御可能でなくてもよい)複数のダイを有する、単一の発光デバイスを指してもよい。また、LEDは、そのLED(例えば、何らかのタイプの白色LED)の一体部分として見なされる、蛍光体に関連付けられてもよい。一般に、LEDという用語は、パッケージ化LED、非パッケージ化LED、表面実装LED、チップオンボードLED、T型パッケージ実装LED、放射状パッケージLED、電力パッケージLED、何らかのタイプの収容部及び/又は光学要素(例えば、拡散レンズ)を含むLEDなどを指してもよい。一般に、LEDという用語は、パッケージ化LED、非パッケージ化LED、表面実装LED、チップオンボードLED、T型パッケージ実装LED、放射状パッケージLED、電力パッケージLED、何らかのタイプの収容部及び/又は光学要素(例えば、拡散レンズ)を含むLEDなどを指してもよい。
【0010】
用語「照明器具(lighting fixture)」は、本明細書では、特定のフォームファクタ、アセンブリ、又はパッケージでの、1つ以上の照明ユニットの実装又は構成を指すために、使用される。用語「照明ユニット」は、本明細書では、同じタイプ又は異なるタイプの1つ以上の光源を含む装置を指すために使用される。所与の照明ユニットは、光源に関する様々な取り付け構成、エンクロージャ/ハウジングの様々な構成及び形状、並びに/又は電気的接続及び機械的接続の様々な構成のうちの、任意の1つを有してもよい。更には、所与の照明ユニットは、オプションとして、光源の動作に関連する様々な他の構成要素(例えば、制御回路)に関連付けられてもよい(例えば、含んでもよく、結合されてもよく、及び/又は一体にパッケージ化されてもよい)。「LEDベースの照明ユニット」とは、上述のような1つ以上のLEDベースの光源を、単独で、又は他の非LEDベースの光源と組み合わせて含む、照明ユニットを指す。「マルチチャネル」照明ユニットとは、それぞれが異なる放射線スペクトルを生成するように構成された、少なくとも2つの光源を含む、LEDベース又は非LEDベースの照明ユニットを指し、異なる光源スペクトルのそれぞれが、そのマルチチャネル照明ユニットの「チャネル」と称されてもよい。
【0011】
用語「コントローラ」は、本明細書では全般的に、1つ以上の光源の操作に関連する、様々な装置を説明するために使用される。コントローラは、本明細書で論じられる様々な機能を実行するように、数多くの方式で(例えば、専用ハードウェアなどを使用して)実装されることができる。「プロセッサ」は、本明細書で論じられる様々な機能を実行するように、ソフトウェア(例えば、マシンコード)を使用してプログラムされてもよい、1つ以上のマイクロプロセッサを採用する、コントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを用いて、又はプロセッサを用いずに実装されてもよく、また、一部の機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ、及び関連回路)との組み合わせとして実装されてもよい。本開示の様々な実施形態で採用されてもよいコントローラ構成要素の例としては、限定するものではないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit;ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array;FPGA)が挙げられる。
【0012】
様々な実装形態では、プロセッサ又はコントローラは、1つ以上の記憶媒体(本明細書では「メモリ」と総称される、例えば、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROMなどの、揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープなど)に関連付けられてもよい。一部の実装形態では、これらの記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行されると、本明細書で論じられる機能の少なくとも一部を実行する、1つ以上のプログラムでエンコードされてもよい。様々な記憶媒体は、プロセッサ又はコントローラ内に固定されてもよく、あるいは、それらの記憶媒体上に記憶されている1つ以上のプログラムが、本明細書で論じられる本発明の様々な態様を実施するために、プロセッサ又はコントローラ内にロードされることができるように、可搬性であってもよい。用語「プログラム」又は用語「コンピュータプログラム」は、本明細書では、1つ以上のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために採用されることが可能な、任意のタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマシンコード)を指すように、一般的な意味で使用される。
【0013】
用語「アドレス可能」は、デバイス(例えば、一般的な光源、照明ユニット又は照明設備、1つ以上の光源若しくは照明ユニットに関連付けられているコントローラ又はプロセッサ、他の非照明関連デバイスなど)であって、それ自体を含めた複数のデバイスを対象とする情報(例えば、データ)を受信するように、及び、そのデバイスを対象とする特定の情報に対して、選択的に応答するよう構成されるデバイスを指すために、本明細書で使用される。用語「アドレス可能」は、何らかの通信媒体を介して複数のデバイスが共に結合されている、ネットワーク化された環境(又は、以下で更に論じられる「ネットワーク」)に関連して、使用される場合が多い。
【0014】
1つのネットワーク実装では、ネットワークに結合された1つ以上のデバイスは、そのネットワークに結合された1つ以上の他のデバイスに対するコントローラとして(例えば、マスタ/スレーブの関係で)機能してもよい。別の実装形態では、ネットワーク化された環境は、そのネットワークに結合されたデバイスのうちの1つ以上を制御するよう構成される、1つ以上の専用コントローラを含み得る。一般に、ネットワークに結合された複数のデバイスは、それぞれが、通信媒体上に存在しているデータへのアクセスを有し得るが、しかしながら、所与のデバイスは、例えば、そのデバイスに割り当てられている1つ以上の特定の識別子(例えば、「アドレス」)に基づいて、ネットワークと選択的にデータを交換する(すなわち、ネットワークからデータを受信する、及び/又はネットワークにデータを送信する)よう構成されるという点で、「アドレス可能」であってもよい。
【0015】
用語「ネットワーク」とは、本明細書で使用されるとき、任意の2つ以上のデバイス間での、及び/又はネットワークに結合された複数のデバイスの間での、(例えば、デバイス制御、データ記憶、データ交換などに関する)情報の転送を容易にする、(コントローラ又はプロセッサを含む)2つ以上のデバイスの任意の相互接続を指す。容易に理解されるように、複数のデバイスを相互接続するために好適なネットワークの様々な実装は、様々なネットワークトポロジのうちのいずれかを含み、様々な通信プロトコルのうちのいずれかを採用してもよい。更には、本開示による様々なネットワークでは、2つのデバイス間の任意の1つの接続は、それら2つのシステム間の専用接続、又は代替的に、非専用接続を表してもよい。2つのデバイスを対象とする情報の搬送に加えて、そのような非専用接続は、それら2つのデバイスのいずれかを必ずしも対象としない情報を搬送してもよい(例えば、オープンネットワーク接続)。更には、本明細書で論じられるデバイスの様々なネットワークは、そのネットワーク全体にわたる情報転送を容易にするために、1つ以上の無線リンク、有線/ケーブルリンク、及び/又は光ファイバリンクを採用してもよい点が、容易に理解されよう。
【0016】
上述の概念と、以下でより詳細に論じられる追加的概念との全ての組み合わせは(そのような概念が互いに矛盾しないという条件下で)、本明細書で開示される発明の主題の一部であると想到される点を理解されたい。特に、本開示の最後に記載されている特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書で開示される発明の主題の一部であると想到される。また、参照により組み込まれるいずれかの開示にもまた現れ得る、本明細書で明示的に採用されている用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も一致する意味が与えられるべきである点も理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面中、同様の参照文字は、一般に、異なる図の全体にわたって同じ部分を指す。また、これらの図面は、必ずしも正しい縮尺ではなく、その代わりに、全般的に、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
図1図1は、照明器具の環境に関連する正確なメトリックを生成するために補償されたセンサデータを提供するためのシステムを示す。
図2図2は、センサ信号のピークツーピーク電圧がセンサの環境の温度によってどのように影響を受け得るかを示すプロットを提供する。
図3図3Aは、照明器具のパッシブ赤外線センサからの補償されていないアナログ信号に基づく第1のデータを示し、図3Bは、照明器具のパッシブ赤外線センサからの補償されたアナログ信号に基づく第2のデータを示す。
図4図4は、周囲温度の推定値を使用してセンサからの応答信号を補償するための方法を示す。
図5図5は、照明器具のネットワーク内の少なくとも1つの照明器具の動作特性から生成される周囲温度推定値に従って照明器具のネットワークを動作させるための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
述べられる実施形態は、照明器具の動作に関連するより正確なデータを生成するために回路の動作特性を使用してアナログ信号を補償するためのシステム、方法、及び装置に関する。具体的には、本明細書で提供される実施形態は、周囲温度の推定値を使用してパッシブ赤外線センサからのアナログ信号を補償することに関する。周囲温度の推定値は、照明器具内の回路の動作特性から生成されることができる。
【0019】
パッシブ赤外線センサは、さまざまな照明デバイス及び照明システムに組み込まれることができる。例えば、一部のパッシブ赤外線センサは、照明システムによって照らされるエリアに何人の人がいるかの推定値等の占有関連データを生成するために照明システムによって用いられることができる。さらに、人物の位置が、複数のパッシブ赤外線センサを使用して人物の位置を三角測量することで推定されることができる。典型的には、このような推定値を提供するために、パッシブ赤外線センサからのアナログ信号は、バイナリ形式に変換される。しかしながら、アナログ信号をバイナリ形式に変換することは、パッシブ赤外線センサのアナログ応答を除去し、アナログ信号のバイナリ形式は不正確になる可能性がある。
【0020】
パッシブ赤外線センサのアナログ応答は、占有者の位置特定(occupant localization)、占有推定(occupancy estimate)及び空間最適化等の、ロケーションに関するいくつかのメトリックを生成するために使用されることができる。パッシブ赤外線センサのアナログ応答は、周囲温度等のさまざまな要因に依存し得る。例えば、アナログ応答の振幅は、オブジェクトの温度とオブジェクトの周りの周囲温度との差に比例し得る。したがって、周囲温度の推定値を使用してアナログ応答信号を補償することは、特に信号のバイナリバージョンと比較して、アナログ応答信号から生成されるデータの精度を向上させることができる。しかしながら、周囲温度を追跡する(track)ために温度センサを照明器具に組み込むことは、照明器具の動作を改善するのに効果的ではない場合がある。例えば、照明器具に別のセンサを追加することは、照明器具の製造により多くのステップを追加し、照明器具が誤動作を起こし得る他のメカニズムを生み出し得る。
【0021】
指定された温度センサを組み込むことなく、パッシブ赤外線センサのアナログ応答を補償するために、照明器具の既存の回路が、周囲温度の推定値を生成するために使用されることができる。具体的には、回路の動作特性が、照明器具における又はその近くの周囲温度を推定するための基礎として使用されることができる。場合によっては、周囲温度測定が、動作電力及び/又は順方向バイアス電圧を周囲温度に変換する熱的逆モデル(thermal inverse model)から生成されることができる。順方向バイアス電圧は、発光ダイオード(LED)アレイの電力を調光レベルと公称順方向バイアス電流との積で除算することにより計算されることができる。この場合、順方向バイアス電圧は、LEDアレイの接合温度を計算するために使用されることができ、これが、周囲温度を推定するために使用されることができる。接合温度から周囲温度を推定することは、ヒートシンクの熱抵抗、LEDパッケージ抵抗、LEDの総数等の変数を使用することを伴い得る。このようにして、追加のセンサを必要とせずに周囲温度が推定されることができ、したがって、パッシブ赤外線センサのアナログ応答が、既存の照明器具に対して補償されることができる。例えば、パッシブ赤外線センサのピークツーピーク電圧及び/又はゲインが、周囲温度から生成されるメトリックがより正確になり得るように、周囲温度に基づいて較正されることができる。
【0022】
図1は、照明器具の環境に関連する正確なメトリックを生成するために補償されたセンサデータを提供するためのシステム100を示す。センサが、特定の環境メトリックがセンサデータから生成されることができるように照明器具に接続されることができる。しかしながら、センサデータがアナログ形式からバイナリ形式に変換される場合、典型的には、センサのアナログ応答に関連するデータが失われ、その結果、バイナリデータから生成されるその後のメトリックは不正確になる。さらに、アナログ応答は、例えば、温度等の特定の環境条件によって不正確になり得る。システム100は、追加の環境センサを使用せずにセンサデータを補償するために特定の環境条件の推定値を使用することによりセンサデータ収集に関するこれらの課題を克服する。
【0023】
一部の実装形態では、照明器具のネットワーク116は、建物118のローカルエリアネットワークの一部としてゲートウェイデバイス114に接続される。各照明器具116は、照明器具116の動作及び/又は照明器具116の環境に関するデータを収集するための1つ以上のセンサ(例えば、パッシブ赤外線センサ)に接続されるコントローラ(すなわち、コンピューティングデバイス)を含むことができる。例えば、照明器具116は、建物118の占有を決定するためのデータを収集することができるパッシブ赤外線センサ122を含むことができる。パッシブ赤外線センサ122は、人々が移動できる経路に対応することができる、エリア126を監視することができる。一部の実装形態では、パッシブ赤外線センサ122は、パッシブ赤外線センサ122の焦点距離を修正するためにレンズ124(例えば、フレネルレンズ)に接続されることができる。
【0024】
照明器具116において収集されたデータは、ゲートウェイデバイス114又はネットワーク112(例えば、インターネット)を介してリモートデバイス120に送信されることができる。リモートデバイス120は、建物118内の照明器具116のセンサによって収集されたセンサデータ106を収集、格納及び/又は処理するためのコンピューティングデバイス102であることができる。
【0025】
コンピューティングデバイス102はまた、照明器具仕様(luminaire specification)104を格納することができ、これは、コンピューティングデバイス102によって、1つ以上の温度モデル108を作成するために使用されることができる。温度モデル108は、コンピューティングデバイス102によって、特定の照明器具116がどのように温度又はその他の環境条件によって影響を受けるかを決定するために用いられることができる。例えば、建物118の周囲温度は、各照明器具116のパッシブ赤外線センサからのセンサデータ106に影響を及ぼし得る。具体的には、パッシブ赤外線センサのアナログ応答の振幅は、オブジェクトの温度とオブジェクトの周りの周囲温度との差に比例し得る。したがって、周囲温度を使用してセンサデータを補償する温度モデル108を用いることは、パッシブ赤外線センサの精度を向上させることができる。
【0026】
温度モデル108は、照明器具仕様104及び/又は他のセンサデータ106に基づく周囲温度の推定値を使用してセンサデータ106を補償することができる。例えば、照明器具116によって消費される電力量が、照明器具116において測定されるか、さもなければ照明器具116の外部にあるソース(例えば、ユーティリティデータ)から推定されることができる。電力PLEDの値は、照明器具116内のLEDの順方向バイアス電圧の値を推定するために使用されることができる。一部の実装形態では、順方向バイアス電圧Vestを推定するための式は、以下の式(1)を含むことができる。ここで、PLEDは、照明器具116のLEDアレイの動作電力であり、lは、照明器具116の調光レベルであり、Inomは、LEDアレイの公称順方向バイアス電流である。
【0027】
一部の実装形態では、公称順方向バイアス電流は、測定値又は推定値であることができる。さらに、公称順方向バイアス電流は照明器具116の温度によって影響を受け得るため、公称順方向バイアス電流は、周囲温度についての推定値を計算するための適切な基礎を提供することができる。式(1)で推定される順方向バイアス電圧は、公称接合温度Tnomから接合温度Testを推定するために使用されることができる。例えば、以下の式(2)が、接合温度推定値(junction temperature estimate)Testを提供するために解かれることができる。
【0028】
パラメータdV/dTは、接合温度推定値と公称温度推定値との差を補償するために照明器具仕様104において提供されることができる。さらに、公称接合温度Tnomは、照明器具仕様104において提供されるか、さもなければ照明器具116における公称温度を決定することができる外部ソースから提供されることができる。温度モデル108は、少なくとも接合温度推定値Testに基づいて、周囲温度を推定するために式(3)を使用することができる。
【0029】
式(3)において、Rth b−a及びRth j−spは、照明器具116のヒートシンクの熱抵抗及びLEDパッケージの熱抵抗であることができる。例えば、Rth b−aは、LEDパッケージから周囲環境まで測定された熱抵抗であることができ、Rth j−spは、はんだパッド又はサーマルパッドからLED接合部まで測定された熱抵抗であることができる。熱抵抗値は、照明器具仕様104及び/又は照明器具の動作仕様の他のソースから提供されることができる。値mは、照明器具116内のLEDの総数を表すことができる。変数Tは、周囲温度であることができ、これが、コンピューティングデバイス102のメトリック生成エンジン110が照明器具116の動作に関連するメトリックを生成するためセンサデータ106を補償するために周囲温度を使用できるように解かれることができる。
【0030】
式(1)〜(3)を評価するための例示的なシナリオは、直列に48個のLEDを含む(これにより、式(3)の値「m」を48に等しくする)照明器具を含み得る。式(2)のパラメータdV/dTは、−2.4(LEDデータシートにおいて提供され得る値)に等しくあり得る。ヒートシンクの熱抵抗値Rth b−aは、0.5であり得、半田パッドへの接合の熱抵抗Rth j−spは、6に等しくあり得る。さらに、この例によれば、公称接合温度Tnomは、85℃であり得る。Vの測定値が2.9Vである場合、式(2)に従って、Testの値は85.1667℃である。さらに、少なくともこれらの値に基づいて、周囲温度Tは、42℃であり得る。照明器具が年を経るにつれ、Vの値は変化する可能性があり、したがって、経時的にVを予測するモデルは、周囲温度の推定値を改善することができる。
【0031】
一部の実装形態では、周囲温度は、例えば、メトリック生成エンジン110によって、照明器具116のパッシブ赤外線センサからのアナログ信号を補償するために使用されることができる。周囲温度は、アナログ信号のピークツーピーク電圧に影響を及ぼし得、したがって、周囲温度を補償する結果、パッシブ赤外線センサからのより正確な信号が得られる。ピークツーピーク電圧は、パッシブ赤外線センサ122の所与の動作ゲインに従ってエリア126を移動するオブジェクトの距離を特徴付けるために使用されることができる。一部の実装形態では、パッシブ赤外線センサ122の動作ゲインは、パッシブ赤外線センサがより正確な値を報告するように、周囲温度推定値に基づいて調整されることができる。例えば、ゲインは、照明器具116において実行される定期的な較正の一部としてコンピューティングデバイス102によって調整されることができる。一部の実装形態では、複数のセンサが、建物118の1人以上の占有者の正確な位置を決定するために三角測量に使用されることができる。
【0032】
その後、補償されたアナログ信号は、メトリック生成エンジン110によって、部屋又は建物の総占有(total occupancy)(すなわち、総人数)、占有パターン、占有率、エネルギ移動、熱効率、及び/又はパッシブ赤外線センサデータを使用して計算され得るその他のメトリックに関連する推定値を提供するために使用されることができる。さらに、補償されたアナログ信号は、パッシブ赤外線センサ122を較正するために使用されることができる。例えば、補償されたアナログ信号は、パッシブ赤外線センサ122のピークツーピーク電圧及び/又はパッシブ赤外線センサ122のゲインを較正するための基礎を提供することができる。
【0033】
一部の実装形態では、照明器具116は、複数の占有者(例えば、建物118を通過する人)を含む建物118に接続されることができ、照明器具116は、占有者からの体熱に応答するパッシブ赤外線センサを含むことができる。パッシブ赤外線センサは、照明器具116が信号に基づいて照明器具116の出力を制御するために、照明器具のコントローラ又はコンピューティングデバイスに信号を提供することができる。例えば、占有者の数が閾値に達した場合、照明器具116は、照明器具116のLEDアレイのルーメン出力を増加又は減少させることができる。そのような制御された動作は、リモートデバイス120において実行される処理によって可能になる。例えば、照明器具116は、パッシブ赤外線センサからゲートウェイデバイス114にデータを送信することができ、ゲートウェイデバイス114は、ネットワーク112を介してリモートデバイス120に該データを送信することができる。メトリック生成エンジン110は、建物118内の周囲温度の推定値を使用して前記データを補償することができ、補償されたデータを照明器具116に送り返すか、又は補償されたデータから1つ以上のメトリックを生成することができる。一部の実装形態では、照明器具116のコントローラは、補償されたデータを受信し、補償されたデータに基づいてどのように建物を照明するか決定することができる。他の実装形態では、メトリック生成エンジン110は、総占有等のメトリックを計算し、該メトリックを照明器具116に送信することにより、照明器具116のコントローラがそのようなメトリックを計算する必要をなくし計算リソースを節約できるようにすることができる。
【0034】
一部の実装形態では、建物118内の複数の照明器具116は、処理のために個々のセンサデータをリモートデバイス120に送信することができ、リモートデバイス120は、特定のメトリックを計算するために複数の照明器具116からのセンサデータ106を使用することができる。例えば、リモートデバイス120は、照明器具116からのセンサデータ106を個別に補償することができ、メトリック生成エンジン110は、補償されたセンサデータから占有分布を計算することができる。占有分布は、建物118のどこに占有者が位置するかを示すことができる。占有分布データは、各照明器具116が、占有者が建物のどこにいるかを知ることができるように照明器具116に送り返されることができる。このようにして、照明器具116は、占有者が照明器具116に近接している、又は照明器具116に向かっている若しくは照明器具116から遠ざかっているかどうかに従って、自身のルーメン出力を調整することができる。補償されたデータ及びメトリックは、照明器具が、建物118のエリアをどのように照らすかについてリアルタイムで判断できるようにリアルタイムで生成されることができることに留意されたい。
【0035】
図2は、センサ信号のピークツーピーク電圧(peak-to-peak voltage)がセンサの環境における温度によってどのように影響を受け得るかを示すプロット200を提供する。具体的には、プロット200は、凡例208に示される温度「T1」(例えば、1℃)を有する環境で動作しているセンサからのセンサ信号に対応する第1のピークツーピーク電圧202を示す。プロット200はさらに、凡例208に示される温度「T2」(例えば、20℃)を有する環境で動作しているセンサからの異なるセンサ信号に対応する第2のピークツーピーク電圧204を示す。センサは、例えば、エリア内の人の存在を検出することができるパッシブ赤外線センサであることができる。第1のピークツーピーク電圧202及び第2のピークツーピーク電圧204の各々は、人の距離がパッシブ赤外線センサに対して変化するにつれてピークツーピーク電圧がどのように変化するかを示している。
【0036】
パッシブ赤外線センサからの信号の振幅の違いは、パッシブ赤外線センサによって検出される熱の違いを示すため、ピークツーピーク電圧は、パッシブ赤外線センサに対する温度とともに変化する。言い換えれば、パッシブ赤外線センサからの信号の振幅は、オブジェクトの温度とオブジェクトの環境の周囲温度との差に比例し得る。パッシブ赤外線センサのこの温度依存性は、パッシブ赤外線センサからの信号の信頼性を妨げる場合があり得る。例えば、パッシブ赤外線センサが受ける周囲温度は、センサのピークツーピーク電圧に影響を及ぼし得、したがって、パッシブ赤外線センサによって報告されるデータの精度を抑制し得る。結果として、データから計算される占有及び位置特定等の特定のメトリックは、不正確になる可能性がある。あるパッシブ赤外線センサの不正確さを軽減又は排除するために、本願明細書で論じられるように、パッシブ赤外線センサの周囲温度が、利用可能な動作データから推定され、パッシブ赤外線センサからのデータを補償するために使用されることができる。このようにして、より正確なメトリックが、パッシブ赤外線センサに関連する照明器具又は他のデバイスの動作に関する決定を行うために使用されることができる。さらに、この方法は、周囲温度の推定値が照明器具内の既存のハードウェアから生成され得るため、周囲温度を測定するための他のハードウェアを追加する必要をなくすことができる。
【0037】
例えば、一部の実装形態では、パッシブ赤外線センサは、建物内の照明器具のネットワークに接続されることができる。1つ以上の照明器具は各々、建物中の人々の動きを監視するためのパッシブ赤外線センサを含むことができる。照明器具内のLEDの動作に関するデータは、照明器具の各々に影響を与える周囲温度を推定するために使用されることができる。照明器具のパッシブ赤外線センサはアナログ信号をリアルタイムで提供しているため、アナログ信号は、周囲温度に基づいて補償されることができる。例えば、建物の室内の照明器具からのアナログ信号は、室内の推定された周囲温度に応じて補償されることができる。アナログ信号は、照明器具、リモートデバイス、及び/又は照明器具から信号を受信することができる他の処理デバイスにおいて補償されることができる。その後、補償されたアナログ信号は、照明器具又は別個のデバイスによって、どのように実行するかに関する決定を行うために使用されることができる。例えば、照明器具の製造者とは別のパーティによって製造された空調ユニット等のサードパーティのデバイスは、空調ユニットの動作を調整するために補償されたアナログ信号を使用することができる。これにより、空調ユニットは、建物内の熱分布に影響を及ぼし得る、占有率のより正確な推定値に従って動作することができる。例えば、補償されたアナログ信号が建物の占有率の低下を示している場合、空調ユニットは、建物内の人が少ない場合に建物の冷房にエネルギが浪費されないように、動作スケジュールを修正することができる。
【0038】
図3Aは、照明器具のパッシブ赤外線センサからの補償されていないアナログ信号に対応する第1のデータ300を示し、図3Bは、照明器具のパッシブ赤外線センサからの補償されたアナログ信号に対応する第2のデータ302を示す。具体的には、第1のデータ300は、人々が集まっている建物のエリアのヒートマップに対応する。第1のデータ300は、パッシブ赤外線センサによって収集されたピークツーピーク電圧値からコンパイルされることができる。ピークツーピーク電圧値は、室内の人々の温度と部屋の周囲温度/熱の差を表すため、第1のデータ300は、室内の人々の数のインディケーションを提供することができる。しかしながら、第1のデータ300は補償されていないアナログ信号に基づいているため、第1のデータ300には曖昧性304が存在し得る。結果として、曖昧性304は、第1のデータ300に基づくメトリックを不正確にし得る。
【0039】
第1のデータ300をより正確なデータに変換するために、第1のデータ300は、第1のデータ300を収集した(1つ以上の)照明器具の特定の動作メトリックに基づく周囲温度推定値で補償されることができる。例えば、照明器具のLEDの順方向バイアス電流及び/又は順方向バイアス電圧が、周囲温度の推定値を生成するために使用されることができる。第2のデータ302は、周囲温度に基づいて補償された後の第1のデータ300を表すことができる。補償の結果として、第1のデータ300からの曖昧性304は、占有、占有率、占有者の位置、及び/又はパッシブ赤外線センサに関連し得るその他のメトリックを決定する目的に役立ち得るグループ306に変換されることができる。グループ306は、照明器具のパッシブ的赤外線センサによってヒートシグネチャ(heat signature)が捕捉された人々のグループに対応することができる。グループ306内の各人の差異は、差異が第2のデータ302に呈されることを可能にした補償のために、第2のデータ302からより容易に識別されることができる。
【0040】
一部の実装形態では、第1のデータ300と第2のデータ302との差は、異なる方向から人々のヒートシグネチャを捕捉している複数の照明器具から生成される補償されたアナログ信号に基づき得る。例えば、照明器具は建物の複数のフロアに配置され得、一部の照明器具のパッシブ赤外線センサは、同じロケーションにおけるヒートシグネチャを観察し得る。当該ロケーションに最も近い照明器具は、該ロケーションにおける周囲温度を推定するためのデータを収集するために使用されることができる。その後、当該ロケーションに最も近い照明器具が受ける周囲温度が推定され、周囲の照明器具と共有されることができる。その後、当該ロケーションを観察している他の照明器具は、自身のパッシブ赤外線センサからの信号を補償する、又はリモートデバイスに周囲温度推定値を使用してそれらのパッシブ赤外線センサからの信号を補償させることができる。その後、複数のパッシブ赤外線センサからの補償されたアナログ信号は、当該ロケーションにおける占有に関連する推定値を生成するために分析されることができる。このプロセスは、建物又は他のエリアにおいて捕捉されたヒートシグネチャがより正確になり得るように、周囲温度ヒートマップが建物又は他のエリア全体についてコンパイルされ得るように、複数の照明器具で実行されることができる。
【0041】
図4は、周囲温度の推定値を使用してセンサからの応答信号を補償するための方法400を示す。方法400は、コンピューティングデバイス、コントローラ、及び/又はセンサ信号を分析することができる他の任意の装置によって実行されることができる。方法400は、照明器具のネットワークを動作設定に従って動作させるブロック402を含むことができる。照明器具のネットワークは、建物、送電網、及び/又は照明器具のネットワークをサポートすることができる他の任意のロケーション等のロケーション内で接続された1つ以上の照明器具であり得る。動作設定は、例えば調光レベル等、照明器具が動作することができる任意の設定であり得る。調光レベルは、照明器具の明るさ又は輝度を制御及び/又は示すことができ、照明器具によって使用される電力量に影響を及ぼし得る。一部の実装形態では、動作設定は、照明器具のネットワークの1つ以上の照明器具についての電流、電力、及び/又は電圧設定であり得る。動作設定は、あるロケーションを移動し得る人々に対処する(accomodate)ため、さもなくば特定の目的のために光を提供するために調整されることができる。
【0042】
方法400は、動作設定に基づいて照明器具のネットワーク内の照明器具のLEDアレイの少なくとも1つの動作特性を決定するブロック404を含むことができる。照明器具の動作特性には、順方向バイアス電流、順方向バイアス電圧、消費電力、公称電流、公称電圧、及び/又はデバイスに関連し得る他の任意の動作仕様が含まれ得る。動作特性及び/又は動作設定は、センサ信号が補償され得る環境メトリックを生成するために使用されることができる。例えば、動作特性及び/又は動作設定は、周囲温度推定値を生成するために使用されることができ、これは、パッシブ赤外線センサ信号等の温度関連センサ信号を補償するために使用されることができる。
【0043】
方法400は、照明器具のLEDアレイの動作特性から周囲温度推定値を決定するブロック406を含むことができる。一部の実装形態では、動作特性は、LEDアレイの1つ以上のLEDの順方向バイアス電流又は順方向バイアス電圧である。動作特性は、照明器具のコンポーネントによって測定される、又は照明器具内で動作する複数のコンポーネントから収集されることができる。動作特性は、信号補償もリアルタイムで、又は最小限のレイテンシで実行され得るように、リアルタイムで測定されることができる。
【0044】
方法400は、照明器具の赤外線センサから、照明器具のネットワークの環境からの熱放射に対応する信号(例えば、アナログ又はデジタル信号)を受信するブロック408を含むことができる。環境には、パッシブ赤外線センサによって捕捉され得るある量の体熱を発する1人以上の人が含まれ得る。したがって、照明器具の赤外線センサから受ける信号は、赤外線センサの近くに位置する人々によって発せられる体熱に応答することができる。一部の実装形態では、ブロック408は、熱放射を検出するための赤外線センサを含む照明器具のネットワーク内の照明器具から複数の異なる信号を受信することを含むことができる。
【0045】
方法400はさらに、周囲温度推定値を使用して受信信号から補償された応答信号を生成するブロック410を含むことができる。補償された応答信号は、周囲温度推定値を、電圧値、又は受信信号とバランスを取る(balance)ために推論されるか、さもなくば使用され得るその他のデータ値に変換することにより生成されることができる。一部の実装形態では、受信信号は、変換された周囲温度値に最も類似する電圧値を見つけるために分析されることができ、特定された電圧値は、周囲温度から際立つ受信信号の特徴を強調するために修正されることができる。例えば、人の体温は周囲温度と異なり得、したがって、周囲温度を特定することは、より正確な占有メトリックが生成されることを可能にする。アナログ信号データが破棄されるか、さもなくばフィルタで除去される(例えば、デジタルに変換される)場合、そのような占有メトリックは、最終的にそれほど正確ではなくなる恐れがある。したがって、方法400は、アナログ応答データを保持すること、及び周囲温度推定に基づく補償を組み込むことにより、より正確なデータを提供することができる。
【0046】
図5は、照明器具のネットワーク内の少なくとも1つの照明器具の動作特性から生成される周囲温度推定値に従って照明器具のネットワークを動作させるための方法500を示す。方法500は、コンピューティングデバイス、コントローラ、及び/又は信号を照明器具に提供することができる他の任意の装置によって実行されることができる。方法500は、エリアを照らすように配置される照明器具のネットワークからの信号に基づくアナログ信号データを受信するブロック502を含むことができる。エリアは、例えば、建物内の部屋、又は占有変化を受ける他の任意のエリアであり得る。アナログ信号データは、照明器具のネットワークの照明器具に個別に接続されるセンサから生成されることができる。センサには、温度センサ、赤外線センサ、ビデオセンサ、タッチセンサ、及び/又は温度変化によって影響を受け得る他の任意のセンサが含まれ得る。アナログ信号データは、照明器具のネットワーク内の照明器具、又は照明器具からのアナログ信号データを分析することができるサーバ等のリモートデバイスによって受信されることができる。
【0047】
方法500は、エリア内の照明器具の少なくとも1つの動作特性を使用して周囲温度推定値を生成するブロック504を含むことができる。動作特性は、照明器具の動作に影響を及ぼし得る任意の変数であり得る。例えば、一部の実装形態では、動作特性は、照明器具内の1つ以上のLEDの順方向バイアス電流及び/又は順方向バイアス電圧であり得る。一部の実装形態では、動作特性は、ヒートシンクコンポーネント等の照明器具のコンポーネントの推定された温度であり得る。本明細書で論じられるように、周囲温度推定値は、1つ以上の動作特性値から生成されることができる。
【0048】
方法500は、周囲温度推定値を使用して照明器具のネットワークからのアナログ信号データを補償するブロック506を含むことができる。補償されたアナログ信号データは、複数の照明器具からのアナログ信号データ、及び単一の照明器具に関連する周囲温度推定値に基づくことができる。例えば、単一の照明器具は、他の照明器具のパッシブ赤外線センサによっても観察されているロケーションにあることができる。したがって、他の照明器具のパッシブ赤外線センサからのセンサ信号は、観測されるロケーションに関連する周囲温度推定値に基づく補償から利益を受けることができる。
【0049】
方法500さらには、補償されたアナログ信号データを使用して、当該ロケーションに関する1つ以上の占有関連メトリック(occupancy related metrics)を生成するブロック508を含むことができる。占有関連メトリックには、総占有、占有率、ノイズレベル、平均占有(average occupancy)、予測される占有(predicted occupancy)、及び/又は占有に関連し得る他の任意のメトリックが含まれ得る。一部の実装形態では、占有は、エリア内の占有の推定値を生成するために、ヒートマップデータにおいて個人をセグメント化する、及びこれら個人をカウントすることができる1つ以上の画像処理アルゴリズムを通じて決定されることができる。
【0050】
方法500は、照明器具のネットワークの異なる照明器具を占有関連メトリックに基づいて動作設定を変更させるオプションのブロック510を含むことができる。例えば、エリアについての総占有が、補償されたアナログ信号データから計算されることができる。総占有は、照明器具又はリモートデバイスから、照明器具のネットワーク内の他の照明器具及び/又はエリア内の他のデバイスに送信されることができる。このようにして、照明器具及び/又は他のデバイスは、動作又は設定を調整するために総占有値(totally occupancy value)を使用することができる。例えば、照明器具によって照らされるエリアはグラフィックディスプレイを含み得、グラフィックディスプレイは、エリアに何人いるかに従って変わることができる。代替的に、照明器具は、エリアの総占有に従って自身の調光レベル設定を変えることができる。
【0051】
いくつかの発明実施形態が、本明細書で説明及び図示されてきたが、当業者は、本明細書で説明される機能を実行するための、並びに/あるいは、その結果及び/又は利点のうちの1つ以上を得るための、様々な他の手段及び/又は構造体を、容易に構想することとなり、そのような変形態様及び/又は修正態様は、本明細書で説明される発明実施形態の範囲内にあるものと見なされる。より一般的には、本明細書で説明される全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は、例示であることが意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が使用される特定の用途に応じて変化することを、当業者は容易に理解するであろう。当業者は、通常の実験のみを使用して、本明細書で説明される特定の発明実施形態に対する、多くの等価物を認識し、又は確認することが可能であろう。それゆえ、上述の実施形態は、例としてのみ提示されており、添付の請求項及びその等価物の範囲内で、具体的に説明及び特許請求されるもの以外の発明実施形態が実践されてもよい点を理解されたい。本開示の発明実施形態は、本明細書で説明される、それぞれの個別の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。更には、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合であれば、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0052】
本明細書で定義及び使用されるような、全ての定義は、辞書定義、参照により組み込まれる文書中での定義、及び/又は定義される用語の通常の意味を支配するように理解されるべきである。
【0053】
不定冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び請求項において使用されるとき、そうではないことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するように理解されるべきである。
【0054】
語句「及び/又は」は、本明細書及び請求項において使用されるとき、そのように結合されている要素の「いずれか又は双方」、すなわち、一部の場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味するように理解されるべきである。「及び/又は」で列挙されている複数の要素は、同じ方式で、すなわち、そのように結合されている要素のうちの「1つ以上」として解釈されるべきである。「及び/又は」の節によって具体的に特定されている要素以外の他の要素は、具体的に特定されているそれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、オプションとして存在してもよい。それゆえ、非限定例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンドの言語とともに使用される場合、一実施形態では、Aのみ(オプションとして、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(オプションとして、A以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、A及びBの双方(オプションとして、他の要素を含む)などに言及することができる。
【0055】
本明細書及び請求項において使用されるとき、「又は」は、上記で定義されたような「及び/又は」と同じ意味を有するように理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離する際、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であるとして、すなわち、少なくとも1つを含むが、また、いくつかの要素又は要素のリストのうちの2つ以上を、オプションとして、列挙されていない追加項目も含むとして解釈されるものとする。その反対が明確に示される、「〜のうちの1つのみ」若しくは「〜のうちの厳密に1つ」、又は請求項で使用される場合の「〜から成る」などの用語のみが、いくつかの要素又は要素のリストのうちの厳密に1つを含むことに言及する。一般に、用語「又は」は、本明細書で使用されるとき、「〜のいずれか」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つのみ」、又は「〜のうちの厳密に1つ」などの、排他性の用語に先行する場合にのみ、排他的選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、双方ではない」)を示すとして解釈されるものとする。「〜から本質的に成る」は、請求項で使用される場合、特許法の分野で使用される際の、その通常の意味を有するものとする。
【0056】
本明細書及び請求項において使用されるとき、1つ以上の要素のリストを参照する語句「少なくとも1つ」は、その要素のリスト内の要素の任意の1つ以上から選択された、少なくとも1つを意味するが、必ずしも、その要素のリスト内で具体的に列挙されているそれぞれの要素のうちの、少なくとも1つを含むものではなく、その要素のリスト内の要素の、任意の組み合わせを排除するものではないことが理解されるべきである。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が言及する、その要素のリスト内で具体的に特定されている要素以外の要素が、具体的に特定されているそれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、オプションとして存在してもよいことも可能にする。それゆえ、非限定例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は、等価的に「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は、等価的に「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、オプションとして2つ以上を含めた、少なくとも1つのAであり、Bは存在しないこと(及び、オプションとしてB以外の要素を含む)、別の実施形態では、オプションとして2つ以上を含めた、少なくとも1つのBであり、Aは存在しないこと(及び、オプションとしてA以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、オプションとして2つ以上を含めた、少なくとも1つのA、及び、オプションとして2つ以上を含めた、少なくとも1つのB(及び、オプションとして他の要素も含む)などに言及することができる。
【0057】
また、そうではないことが明確に示されない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む、本明細書で特許請求されるいずれの方法においても、その方法のステップ又は行為の順序は、必ずしも、その方法のステップ又は行為が列挙されている順序に限定されるものではないことも理解されるべきである。
【0058】
請求項並びに上記の明細書では、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「〜で構成される(composed of)」などの全ての移行句は、オープンエンドであり、すなわち、含むが限定されないことを意味する点を理解されたい。米国特許庁の特許審査基準のセクション2111.03に記載されているように、移行句「〜から成る」及び「〜から本質的に成る」のみが、それぞれ、クローズド又は半クローズドの移行句であるものとする。特許協力条約(Patent Cooperation Treaty;「PCT」)の規則6.2(b)に準拠して請求項で使用されている特定の表現及び参照符号は、その範囲を限定するものではない点を理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5