特許第6796761号(P6796761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796761
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】測定テープ及びこれを備えた巻尺
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/1003 20200101AFI20201130BHJP
【FI】
   G01B3/1003
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-222492(P2016-222492)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-80971(P2018-80971A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】516343147
【氏名又は名称】野垣 利治
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【弁理士】
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】野垣 利治
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3152528(JP,U)
【文献】 特開昭51−139351(JP,A)
【文献】 特開2008−268142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/02 − 3/1094
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状テープと、該平板状テープ上に並設された2本の樋状テープと、からなる測定テープであって、
上記2本の樋状テープのうちの一方の樋状テープの幅方向右側の端縁と上記平板状テープの幅方向右側の端縁とが重なり合い密着しており、
上記2本の樋状テープのうちの他方の樋状テープの幅方向左側の端縁と上記平板状テープの幅方向左側の端縁とが重なり合い密着しており、
上記2本の樋状テープは、互いに離間して配置されており、
上記2本の樋状テープのうちの少なくとも一方に測定用目盛りが表示されていることを特徴とする、測定テープ。
【請求項2】
該測定テープの先端部に上記平板状テープの幅方向に沿って設けられた回転軸を中心として回動可能に軸支されたフック部材を更に備え、
上記フック部材は、平板状の形状に形成された第1のセグメントと、平板状の形状に形成されかつ第1のセグメントの一辺縁に直角に接続された第2のセグメントとからなり、
上記フック部材の引掛測定用の第1の配向と、第1の配向から90°だけ回動させた後の突当測定用の第2の配向との間で、測定上のゼロ点調整が自動的になされるように、上記回転軸は、第2のセグメントの厚さとほぼ同じ寸法だけ第1のセグメントから離間して第2のセグメントに結合されていることを特徴とする請求項1に記載の測定テープ。
【請求項3】
上記フック部材が突当測定用の第2の配向にあるときに上記平板状テープの裏側に面一の面が形成されるように、第1のセグメントと同じ寸法の窪みが上記平板状テープに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の測定テープ。
【請求項4】
上記平板状テープと上記フック部材のうちの少なくとも一方にマグネットが埋め込まれていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の測定テープ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の測定テープを備えた巻尺。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定テープ及びこれを備えた巻尺に関し、詳しくは、高い靱性を有するとともに直線状態保持性に優れた測定テープ及びこの測定テープを備えた巻尺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の巻尺ケースに収納された目盛りの付いた樋状テープは主に、建築現場や手作業による製作現場・工場などでは対象物の測定や寸法出し、一般家庭・オフィスではレイアウト変更や家具や家電・カーテンなどの設置のために計測したり寸法出しなどで使用されている。また、平板状の巻尺測定テープは、引っ張った状態での計測に用いられる。
【0003】
巻尺ケースから引き出された測定テープは、巻尺ケースの回転ドラムの内側に設けられた巻取りばねの弾性力により回転ドラムに巻き取られる。また、従来の巻尺ケースには一般に、引き出された測定テープを停止させるための制動機構(ブレーキ)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005−539235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来品の測定テープ等には、頻繁に折り曲げられても破壊されない程の高い靱性と、直線状態保持性とを兼ね備えるものがなかった。また、従来の巻尺に用いられている測定テープで樋状の断面形状のものは、測定テープがある程度引き出された状態において幅方向に湾曲しているので測定テープが捩れることがあるため、使用者が線を引くときに測定テープを測定対象物(被測定物)に密着させる必要があり、或いは測定用目盛りを読み取りにくいことがある。また平板状の巻尺測定テープは、直線状態保持性が無いため引っ張った状態で計測する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
新規の測定テープであって、捩れが生じにくく高い靱性を有するとともに直線状態保持性にも優れている測定テープ、及びこの新規の測定テープを備えた巻尺を提示する。
【0007】
一実施例においては、平板状テープと、平板状テープ上に並設された2本の樋状テープと、からなる測定テープであって、2本の樋状テープのうちの一方の樋状テープの幅方向右側の端縁と平板状テープの幅方向右側の端縁とが重なり合い密着しており、2本の樋状テープのうちの他方の樋状テープの幅方向左側の端縁と平板状テープの幅方向左側の端縁とが重なり合い密着しており、2本の樋状テープは、互いに離間して配置されており、2本の樋状テープのうちの少なくとも一方に測定用目盛りが表示されていることを特徴とする測定テープを提供する。
【0008】
一実施例においては、測定テープの先端部に平板状テープの幅方向に沿って設けられた回転軸を中心として回動可能に軸支されたフック部材を更に備え、フック部材は、平板状の形状に形成された第1のセグメントと、平板状の形状に形成されかつ第1のセグメントの一辺縁に直角に接続された第2のセグメントとからなり、上記フック部材の引掛測定用の第1の配向と、第1の配向から90°だけ回動させた後の突当測定用の第2の配向との間で、測定上のゼロ点調整が自動的になされるように、上記回転軸は、第2のセグメントの厚さとほぼ同じ寸法だけ第1のセグメントから離間して第2のセグメントに結合されていることを特徴とする。
【0009】
他の実施例においては、フック部材が突当測定用の第2の配向にあるときに平板状テープの裏側に面一の面が形成されるように、第1のセグメントと同じ寸法の窪みが平板状テープに形成されていることを特徴とする。
【0010】
更に他の実施例においては、平板状テープと上記フック部材のうちの少なくとも一方にマグネットが埋め込まれていることを特徴とする。
【0011】
また、上述した種々の測定テープを備えた巻尺を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の測定テープの構造は、頻繁に折り曲げられても破壊されない程の高い靱性と、直線状態保持性を生じさせる。また、本発明の測定テープは、底面が平面となっているため測定対象物(被測定物)に密着し易く、ひいては正確な測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の測定テープを示す斜視図。
図2】本発明の種々の測定テープの断面形状を示す図。
図3】様々に変化する曲率を有する樋状テープの形状を示す図。
図4】メッキ又は樹脂の被覆により溶着された樋状テープと平板状テープを示す図。
図5】巻かれた状態の測定テープを示す斜視図。
図6】一実施例におけるフック部材を有する測定テープを示す斜視図。
図7】測定テープの使用状態を示す図((a)は引掛測定を示す)。
図8】本発明の測定テープを備えた巻尺による突当測定を示す図。
図9】他の実施例におけるフック部材を有する測定テープを示す斜視図。
図10図9に示される測定テープの断面図と、その応用例の断面図。
図11】本発明の測定テープに適した巻尺ケースを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の測定テープ及びこれを備えた巻尺について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1に示される本発明の測定テープ1は、平板状テープ2の上面に2本の樋状テープ3が並設されてなる。2本の樋状テープ3のうちの一方の樋状テープ3の幅方向右側の端縁3aと、平板状テープ2の幅方向右側の端縁2aとが重なり合い密着しており、他方の樋状テープ3の幅方向左側の端縁3bと、平板状テープ2の幅方向左側の端縁2bとが重ね合わされている。2本の樋状テープ3は互いに離間して配置されており、これらの樋状テープ3の間には適度な隙間1aがある。
【0016】
測定テープ1を構成する2本の樋状テープ3のうちの少なくとも一方に、測定用目盛り4が表示されている。すなわち、本発明の測定テープ1は、平板状テープの左右の端縁から立ち上がるように形成された樋状テープ3に測定用目盛りが付されていることにより、真横から測定テープ1を見ても目盛りを読み取ることができるという利点がある。
【0017】
図2は、図1中の矢印A方向に見た場合の測定テープ1の断面形状を示す。図2(a)〜図2(d)に示される種々の実施例においては、測定テープ2の断面形状が樋状テープ3の曲率がほぼ真円の曲率となるように形成されているが、この形状に限定しない。
【0018】
図2(a)に示される実施例においては、一方の樋状テープ3の幅方向右側の端縁3aと平板状テープ2の幅方向右側の端縁2aとが重なり合い密着している。これに加え、他方の樋状テープ3の幅方向左側の端縁3bと平板状テープ2の幅方向左側の端縁2bとが重なり合い密着している。上下のテープを一体成型することにより、平板状テープ2となる部分と樋状テープ3とになる部分が同時に形成されている。
【0019】
図2(b)に示される実施例においては、1枚の帯体からなる測定テープ1の両側の部分が折り曲げられており、折り曲げられた両端の部分を2本の樋状テープ3とし、両端の間に位置する平坦な部分を平板状テープ2としている。
【0020】
図2(c)に示される実施例においても、一方の樋状テープ3の幅方向右側の端縁3aと平板状テープ2の幅方向右側の端縁2aとが重なり合い密着している。これに加え、他方の樋状テープ3の幅方向左側の端縁3bと平板状テープ2の幅方向左側の端縁2bとが重なり合い密着している。
【0021】
図2(d)に示される実施例においては、平板状テープ2の幅方向両側の端縁付近に、樋状テープ3が重ね合わされている。詳しくは、平板状テープ2の幅方向右側の端縁2aの近傍に一方の樋状テープ3の幅方向右側の端縁3aが重なり合い密着しているとともに、平板状テープ2の幅方向左側の端縁2bの近傍に他方の樋状テープ3の幅方向左側の端縁3bが重なり合い密着している。本願においては、図2(d)に示されるように端縁どうしの重なりに若干のズレがある場合においても、平板状テープ2の端縁と樋状テープ3の端縁とが重なり合い密着しているものとする。
【0022】
図3(a)〜図3(c)も、図1中の矢印A方向に見たときの種々の樋状テープ3の断面形状を示しているが、各測定テープ2の樋状テープ3の曲率が互いに異なっている。
【0023】
図3(a)に示される実施例においては、樋状テープ3の曲率が、平板状テープ2との重設部5から自由端部3cへ向かって徐々に大きくなるように形成されている。
【0024】
図3(b)に示される実施例においては、樋状テープ3が平板状テープ2との重設部5からすぐに立ち上がっている。
【0025】
図3(c)に示される実施例においては、樋状テープ3が概ねV字形の断面形状を有するように形成されている。この場合には、樋状テープ3の曲率が様々に変化している。
【0026】
図4に示される更に他の実施例においては、測定テープ1の平板状テープ2と樋状テープ3とが直接的には密着していないが、メッキ又は樹脂の被覆を介して平板状テープ2と樋状テープ3とが結合されている。
【0027】
測定テープ1は、頻繁に折り曲げて使用されることを考慮すれば、折り曲げに強い(靱性に優れた)材料から形成されていることが望ましい。一実施例においては、測定テープ1の平板状テープ2及び樋状テープ3は、弾性樹脂から形成されている。他の実施例においては、平板状テープ2及び樋状テープ3は、ガラス繊維やアラミド繊維等で織られた繊維織物に樹脂を浸透させ固めて形成されている場合もあれば、ばね鋼やステンレスばね鋼等の金属から形成されている場合もある。測定テープ1の樋状テープ3の素材については、用途等を考慮して、硬質でばねの特性を持った復元弾性を有する素材を選択するとよい。
【0028】
また、測定テープ1の表面を保護するために、測定テープ1に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリスチレン、軟質塩化ビニル、軟質アクリル樹脂、ナイロン樹脂などの樹脂で被覆してもよい。
【0029】
平板状テープ2に樋状テープ3の端縁を重ね密着する方法として素材が金属では、精密な各種溶接があり、平板状テープ2に樋状テープ3をメッキ若しくは樹脂で被覆し端縁も融合する、端縁を縫合する、押出成形による一体構造にする、などの方法が挙げられる。素材が樹脂では素材の性質により接着面を溶着・接着、端縁を縫合する、押出成形による一体構造、などの方法が挙げられる。
【0030】
平板状テープ2上に設けられた並行する2本の樋状テープ3の隙間の大きさは、平板状テープ2の幅などを考慮して、最適な大きさの隙間にするとよい。
【0031】
図5は、本発明の測定テープ1を備える巻尺を示す。巻尺は、自動巻取式の場合もあれば手動巻取式の場合もある。一実施例として図5(a)に示されるように、2本の樋状テープ3によって直線状態保持性が保持されている状態の測定テープ1は、巻取りばね(図示せず)の弾性エネルギにより巻き回される。そして、巻回状態(つまり巻かれた状態)が解除されると、樋状テープ3の復元力によって、測定テープ1が直状態(いわゆる「立ちの良い状態」)となる。
【0032】
巻尺ケース15(図11を参照されたい)内へ巻き回される前の測定テープ1において2本の樋状テープ3間に適度な隙間1aがあることにより、測定テープ1が巻尺ケース15内へ巻き回されて樋状テープ3が平板状テープ2上に重ね合わされたときにも、2本の樋状テープ3の端縁どうしが接触してしまうことがない。図5(a)において二点鎖線で囲まれた部分を図5(b)において拡大して示す。
【0033】
図6に示される実施例においては、測定テープ1の先端にフック部材6が設けられている。フック部材6は、平板状テープ2上に取り付けられた取付部6aと、平板状テープ2の上方に延びている取付部6aの延長部6bと嵌合しかつ上下動できるように構成された係止片6cと、嵌合部6dとからなる。
【0034】
図6(a)は、フック部材6の延長部6bに嵌合している係止片6cの嵌合部6d(図6(c)を参照されたい)が延長部6bの下端方向へ移動して、フック部材6が下方へ突出している状態を示す。
【0035】
図6(b)は、延長部6bに嵌合している係止片6cの嵌合部6dが延長部6bの上端方向へ移動して、係止片6cが平板状テープ2の裏面2cよりも上方に位置している状態を示す。
【0036】
図6(c)は、係止片6cの嵌合部6dを詳細に示している。
【0037】
図7は、一実施例における測定テープ1の使用状態を示す。図7(a)においては、フック部材6の延長部6bに係合している係止片6cが平板状テープ2の下方へ突出している。この状態においては、被測定物7の端縁7aに係止片6cを引っ掛けて、端縁7aからの寸法を測定する際に被測定物7の被測定面7b上に測定テープ1を密着させることができるので、使用者にとって直定規を使うのと同じくらいに直線を引き易い。
【0038】
図7(b)においては、フック部材6の延長部6bに嵌合している係止片6cが平板状テープ2の裏面2cよりも上方に位置している。この状態においては、被測定物7の被測定面7b上に測定テープ1を密着させることができるので、使用者にとってやはり直定規を使うのと同じくらいに直線を引き易く、測定用目盛り4を読み取り易い。
【0039】
以上のように、本発明の測定テープ1は、係止片6cが上下動できることにより、被測定物7の端縁7aからの寸法測定及び被測定面7b上の寸法測定や線引きを正確に行うことができるという利点がある。
【0040】
図8は、本発明の測定テープ1を備える巻尺を示す。巻尺の使用者は、フック部材6を被測定物8に突き当てて、該被測定物8からの空間距離を測定する。本発明の測定テープ1の構造は、平板状テープ2の上面に2本の樋状テープ3が同方向に並設されてなるので、距離を測定する際に平板状テープ2が重力を受けた場合にも、伸長した測定テープ1が捩れることなく撓むことも少ない。
【0041】
測定におけるゼロ点調整に関して説明すると、平板状テープ2の長手方向に係止片6cの厚さ(大抵は約1mm)に等しい移動量だけフック部材6が進退移動可能となるように、フック部材6の取付部6aを装着すれば、被測定物7の端縁7aに係止片6cを引っ掛けて引掛測定を行う場合(図7(a)を参照)と、係止片6cを被測定物8に突き当てて被測定物8からの距離を測定する突当測定を行う場合(図8を参照)との間で、フック部材6が進退移動する。この進退移動により、係止片6cのゼロ点調整がなされるので、正確な測定を行うことができる。
【0042】
一実施例においては、本発明の測定テープ1を備える巻尺において、測定テープ1を巻き回す際に生じ得る樋状テープ3の幅方向に湾曲しようとするそりは巻き込むと平らになることにより密着して巻き込める。
【0043】
図9は、本発明の他の実施例におけるフック部材9(及びフック部材13)を示す。図9(a)に示されるように、フック部材9は、平板状の形状に形成された第1のセグメント9aと、平板状の形状に形成されかつ第1のセグメント9aの一辺縁に直角に接続された第2のセグメント9bとからなる。図9(b)に示されるように、フック部材9は、測定テープ1の先端部に平板状テープ2の幅方向と平行に延在する回転軸10を中心として回動可能となるように軸支されている。
【0044】
図10(a)は、図9(a)に示される中心線I−Iに沿って切り出された断面図であり、図10(b)は、図9(b)に示される中心線II−IIに沿って切り出された断面図であり、図10(c),(d)はそれぞれ、図10(a),(b)に示される実施例にマグネット14が付加された実施例を示す図である。図10(a)に示されるように、第1のセグメント9aの先端9cを下方向へ向けていることにより、フック部材9が被測定物11について引掛測定を行うことができる態様となっている。また、図10(a)において矢印Bで示される方向へ回転軸10を中心としてフック部材9を90°だけ回動させて、図10(b)に示されるように第2のセグメント9bの後端9dを上方へ向けることにより、被測定物11について突当測定を行うことができる態様となる。
【0045】
図10(a)及び図10(b)に示される実施例においては、測定テープ1の平板状テープ2にマグネット12が埋め込まれており、このマグネット12の磁力を利用して、例えば金属製のフック部材9の第1、第2のセグメント9a,9bを固定することができる。一実施例においては、フック部材9は、優れた強度を有するSUS400系(フェライト系やマルテンサイト系)ステンレスから形成されている場合もある。
【0046】
図10(c)及び図10(d)に示される実施例においても、フック部材13は、平板状の形状に形成された第1のセグメント13aと、平板状の形状に形成されかつ第1のセグメント13aの一辺縁に直角に接続された第2のセグメント13bとからなるが、フック部材13の第1のセグメント13aにもマグネット14が埋め込まれているため、回転軸10を中心としてフック部材13を回動させて配向を変えるときに、平板状テープ2に埋め込まれた磁石とのレスポンス(応答性)が高められている。また、フック部材13にのみマグネット14が埋め込まれている場合には、例えば、金属製の被測定物11とフック部材13とが接触することを支援するようにマグネット14の磁力が働く。
【0047】
図11は、本発明の測定テープ1に適した巻尺ケース15を示す。図11(a)に示されるように、巻尺ケース15の底面後側に突出部15bが形成されており、この突出部15bに測定テープ1の引出口15aが開口している。また、測定テープl1が繰り出される(又は巻かれる)方向を案内するための測定テープガイド15cが、2本の樋状テープ3の間の隙間1aへ延びており、更には、測定テープガイド15cの先端の幅広部15dが、平面状テープ2の幅方向に延びている。図11(a)に示される巻尺を正面から見たときの測定テープ1の断面が、図11(b)に示されている。また、図11(b)の二点鎖線で囲まれた部分が、図11(c)において拡大して示されている。
【0048】
一実施例においては、巻尺ケース15の測定テープガイド15cが、樋状テープ3と接触したときに測定テープ1を静止させるのに充分な高い静止摩擦力を生じさせることができる合成樹脂等の材料から形成されていれば、従来品の巻尺に必須であった制動機構(ブレーキ)を不要とすることができる。
【0049】
以上のように、本発明の測定テープの構造は、底面が平坦な形状に形成されている。従って、使用者が本発明の測定テープを被測定物上に置いたときに、本発明の測定テープと被測定物との間に隙間が生じることがなく、精度の高い測定をすることができる。また、本発明の測定テープを備えた巻尺は、言わば「収納できる物差し」の感覚で、特には短距離と中距離の測定において、巻尺ケースを持ち手として軽快に操作することができるものである。
【符号の説明】
【0050】
1…測定テープ
1a…隙間
2…平板状テープ
2a…右側端縁
2b…左側端縁
2c…裏面2
3…樋状テープ
3a…右側端縁
3b…左側端縁
3c…自由端部
4…測定用目盛り
5…重設部
6…フック部材
6a…取付部
6b…延長部
6c…係止片
6d…嵌合部
7…被測定物
7a…端縁
7b…被測定面
8…被測定物
9…フック部材
9a…(フック部材9の)第1のセグメント
9b…(フック部材9の)第2のセグメント
9c…フック部材の先端
9d…フック部材の後端
10…回転軸
11…被測定物
12…マグネット
13…フック部材
13a…(フック部材13の)第1のセグメント
13b…(フック部材13の)第2のセグメント
13c…フック部材の先端
13d…フック部材の後端
14…マグネット
15…巻尺ケース
15a…測定テープの引出口
15b…下方突出部
15c…測定テープガイド
15d…幅広部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11