特許第6796765号(P6796765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6796765-照明システム 図000002
  • 特許6796765-照明システム 図000003
  • 特許6796765-照明システム 図000004
  • 特許6796765-照明システム 図000005
  • 特許6796765-照明システム 図000006
  • 特許6796765-照明システム 図000007
  • 特許6796765-照明システム 図000008
  • 特許6796765-照明システム 図000009
  • 特許6796765-照明システム 図000010
  • 特許6796765-照明システム 図000011
  • 特許6796765-照明システム 図000012
  • 特許6796765-照明システム 図000013
  • 特許6796765-照明システム 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796765
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20201130BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20201130BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20201130BHJP
   H05B 45/30 20200101ALI20201130BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20201130BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20201130BHJP
   A01F 25/00 20060101ALI20201130BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201130BHJP
【FI】
   H05B47/125
   H05B47/155
   H05B47/19
   H05B45/30
   F21V33/00 400
   F21V23/00 113
   A01F25/00 A
   F21Y115:10
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-191882(P2016-191882)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-55997(P2018-55997A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】青木 慎一
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 祐樹
【審査官】 野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/031925(WO,A1)
【文献】 特開2007−067764(JP,A)
【文献】 特表2010−512780(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0261355(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0256534(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鮮品に光を照射する照明システムであって、
白色光を発する白色光源と、
前記生鮮品が配置される配置面において、前記白色光の光照射範囲の少なくとも一部を覆うように、700nm以上1100nm以下の波長領域に少なくとも一つの発光ピークを有する近赤外光を発する近赤外光源と
前記白色光及び前記近赤外光の少なくとも一方の光出射方向を変える可動部と、
前記光出射方向を特定する情報を取得する通信部と、
を備え、
前記可動部は、前記通信部が取得した前記情報に応じた方向へ前記白色光及び前記近赤外光の少なくとも一方の光出射方向を変える
照明システム。
【請求項2】
前記白色光源は第一筐体に配置され、前記近赤外光源は前記第一筐体とは異なる第二筐体に配置される
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記白色光源と前記近赤外光源とは、第三筐体に配置される
請求項1に記載の照明システム。
【請求項4】
さらに、前記白色光及び前記近赤外光を集光する光学部を備える
請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
さらに、少なくとも700nm以上1100nm以下の光を検知する光センサを備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
さらに、前記白色光源と前記光センサとを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記白色光源の発光を停止して、前記光センサに光を検知させる
請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記光センサで前記近赤外光が検知された場合には、前記白色光源を点灯させ、前記光センサで前記近赤外光が検知されない場合には、前記白色光を点滅させる
請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
さらに、700nm未満の光を遮断する光フィルタを備え、
前記光フィルタは、前記光センサにおける前記白色光が前記光センサに入射される側に位置する
請求項5〜7のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項9】
前記光センサは、携帯通信端末が有するイメージセンサである
請求項5〜8のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項10】
前記情報は、GPS(Global Positioning System)で取得された位置情報である
請求項に記載の照明システム。
【請求項11】
さらに、前記位置情報を受信する携帯通信端末を備え、
前記通信部は、前記携帯通信端末で受信した前記位置情報を取得する
請求項10に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮品に光を照射する照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、収穫後の農作物(生鮮品)の鮮度を保持する技術が提案されている。農作物の鮮度を保持する技術の一例として、農作物に光を照射する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の農作物の鮮度保持技術は、農作物に近赤外光を照射することで農作物の鮮度を保持する技術である。ここで農作物とは、生鮮野菜類(根菜類及びニンニクを除く)、生鮮果実類及び生鮮花卉類からなる群から選択された少なくとも1つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/031925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、人の目は、凡そ400〜700nmの範囲の波長の光を感じることができるが、当該範囲以上又は当該範囲以下の波長の光は当該範囲から離れるにしたがって人の目には感じられなくなる。近赤外光は、凡そ700nm以上の波長の光であることから、人の目にはほとんど感じられない。
【0006】
また、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の農作物が販売される店舗においては、農作物等の商品の配置(レイアウト)が変更されることが想定される。商品のレイアウトを変更した場合に、農作物が配置される場所にあわせて近赤外光を照射させる位置も変更する必要があるが、近赤外光の照射位置は目視では確認しにくいといった問題がある。
【0007】
そこで本発明は、近赤外光の照射位置が確認しやすい照明システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る照明システムは、生鮮品に光を照射する照明システムであって、白色光を発する白色光源と、前記生鮮品が配置される配置面において、前記白色光の光照射範囲の少なくとも一部を覆うように、700nm以上1100nm以下の波長領域に少なくとも一つの発光ピークを有する近赤外光を発する近赤外光源と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照明システムによれば、近赤外光の照射位置が確認しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る照明システムを説明するための概略斜視図である。
図2図2は、実施の形態1に係る照明システムの特徴的な機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る照明システムの一具体例である照明装置の概略側面図である。
図4図4は、実施の形態1に係る照明システムの変形例1を示す概略斜視図である。
図5図5は、実施の形態1に係る照明システムの変形例2を示す概略側面図である。
図6図6は、実施の形態1に係る照明システムの変形例3を示す概略側面図である。
図7図7は、実施の形態2に係る照明システムの特徴的な機能構成を示すブロック図である。
図8図8は、実施の形態2に係る照明システムを示す概略側面図である。
図9図9は、実施の形態2に係る照明システムの近赤外光を検知する動作手順を示すフローチャートである。
図10図10は、実施の形態3に係る照明システムの特徴的な機能構成を示すブロック図である。
図11図11は、実施の形態3に係る照明システムを示す概略斜視図である。
図12図12は、実施の形態3に係る照明システムの光出射方向を変更する動作手順を示すフローチャートである。
図13図13は、他の実施の形態に係る照明システムを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態に係る照明システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0013】
また、本明細書において、Z軸方向を鉛直方向とし、Z軸の正方向を上方と定義する。また、各図におけるX軸及びY軸は、Z軸に直交する方向であるとする。また、X軸は、Y軸と直交する方向であるとする。
【0014】
なお、本明細書において、「略」又は「約」とは、製造又は配置の際に生じる誤差を含むことを意味する。
【0015】
(実施の形態1)
[照明システムの構成]
まず、実施の形態1に係る照明システムに関して説明する。図1は、実施の形態1に係る照明システムを説明するための概略図である。図2は、実施の形態1に係る照明システム100の特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【0016】
実施の形態1に係る照明システム100は、生鮮品Fが陳列される店舗のショーケース300や生鮮品Fを加工する加工場において採用される照明システムである。例えば、図1に示すように、ショーケース300の配置面Aに陳列(設置)される生鮮品Fは、近赤外光IR及び白色光Wが照射される。つまり、図2に示すように、照明システム100は、生鮮品Fを白色光源210が発する白色光W及び近赤外光源220が発する近赤外光IRで照らすために用いられる。ここで、生鮮品Fは、例えば、キャベツやレタス等の生鮮野菜類、イチゴやリンゴ等の生鮮果実類、カーネーション等の生鮮花卉類等である。白色光Wは、生鮮品Fを購入する購入者等が生鮮品Fを視認するために照射される光である。また、近赤外光IRは、生鮮品Fの劣化(鮮度が悪くなること)を抑制するために照射される光である。
【0017】
図1においては、白色光源210と近赤外光源220とは、それぞれ別の筐体に設置されており、白色光Wを発する照明装置201と近赤外光IRを発する照明装置202とが天井Cに設置される。
【0018】
照明装置201及び照明装置202と生鮮品Fとの距離により、照明装置201及び照明装置202が出射する光に要求される光量は異なる。白色光源210と近赤外光源220とをそれぞれ別の筐体に設置することで、白色光源210及び近赤外光源220を筐体に配置する個数を変える、天井Cに配置する照明装置201及び202の設置数を変える等の調整がされやすくなる。つまり、生鮮品Fに要求される白色光W及び近赤外光IRの光量が、それぞれ個別に調整されやすくなる。なお、白色光源210と近赤外光源220とは、それぞれ別の筐体に設置される必要はない。照明システム100は、図2に示すように、白色光源210と、近赤外光源220と、制御部110とを備える。
【0019】
照明装置201は、生鮮品Fに向けて白色光Wを発する照明装置である。照明装置201は、第一筐体240内に1つ又は複数の白色光源210を備える。
【0020】
白色光源210は、生鮮品Fの視認性又は見栄え等を確保するために可視光である白色光Wを発する光源である。具体的には、白色光源210は、生鮮品Fが配置される配置面A上の白色光照射範囲WA内を照らすように白色光Wを発する。つまり、図1の白色光照射範囲WAが示す配置面A上の二点鎖線で囲まれた範囲内を白色光Wは照らす。白色光源210は、白色光Wを出射できればよく、特に限定されないが、例えば、蛍光灯やLED(Light Emitting Diode)である。白色光Wを発するLEDとしては、例えば、青色光を発するInGaN(インジウム・ガリウム・ナイトライド)系の青色ダイオードと、当該青色光を吸収し、黄色光に変換して発光するYAG(イットリウム・ガリウム・ガーネット)系の蛍光体等から構成される。当該蛍光体から発せられる黄色光と、当該蛍光体に吸収されなかった青色光とが混ざり合うことで、白色光Wが実現される。
【0021】
なお、照明装置201に白色光源210が複数配置される場合、白色光照射範囲WAは、複数の白色光源210それぞれから発せられる白色光Wが形成する白色光Wの照射範囲であるとする。また、白色光照射範囲WAは、例えば、白色光照射範囲WA内における最大の光強度の1/eの光強度となる範囲である。
【0022】
照明装置202は、生鮮品Fの鮮度を保持するための近赤外光IRを生鮮品Fに向けて発する照明装置である。照明装置202は、例えば、生鮮品Fの鮮度を保持するために30mW/m程度の光出力の近赤外光IRを発する。照明装置202は、第二筐体241内に1つ又は複数の近赤外光源220を備える。
【0023】
近赤外光源220は、近赤外光IRを発する光源である。具体的には、近赤外光源220は、生鮮品Fが配置される配置面A上の近赤外光照射範囲IRA内を照らすように近赤外光IRを発する。つまり、図1の近赤外光照射範囲IRAが示す配置面A上の二点鎖線で囲まれた範囲内を近赤外光IRは照らす。近赤外光IRは、700nm以上1100nm以下の波長領域に少なくとも一つの発光ピークを有する光である。例えば、近赤外光IRは、700nm以上1100nm以下の波長領域に最大発光ピークを有する光であるとよい。さらには、近赤外光IRは、735nm±20nm程度に最大発光ピークを有する光であるとよい。近赤外光源220は、近赤外光IRを出射できればよく、特に限定されないが、例えば、蛍光灯やLEDである。近赤外光IRを発するLEDとしては、例えば、AlGaAs(アルミニウム・ガリウム・ヒ素)系のダイオード等が採用される。
【0024】
近赤外光源220は、生鮮品Fが販売される店舗等の天井Cに設置される。生鮮品Fは、近赤外光源220が発する近赤外光IRが照射されることにより、近赤外光IRが照射されない場合と比較して長時間鮮度が保持される。
【0025】
なお、照明装置202に近赤外光源220が複数配置される場合、近赤外光照射範囲IRAは複数の近赤外光源220それぞれから発せられる近赤外光IRが形成する近赤外光IRの照射範囲であるとする。また、近赤外光照射範囲IRAは、例えば、近赤外光照射範囲IRA内における最大の光強度の1/eの光強度となる範囲とする。
【0026】
ここで、実施の形態1に係る照明システム100は、配置面Aにおいて、白色光照射範囲WAの少なくとも一部を覆うように近赤外光IRが出射される点に特徴を有する。言い換えると、配置面Aにおいて、近赤外光照射範囲IRAが白色光照射範囲WAの少なくとも一部と重なるように、近赤外光IRは発せられる。具体的には、近赤外光照射範囲IRAは、白色光照射範囲WAの90%以上と重なるとよい。さらには、配置面Aにおいて、近赤外光照射範囲IRAは、白色光照射範囲WAを内包するとよい。生鮮品Fは、視認可能な白色光Wが照射されている配置面A上に陳列されることで、近赤外光IRが照射されることとなる。つまり、白色光照射範囲WA内に生鮮品Fを設置することで、生鮮品Fには近赤外光IRが照射されるようになる。こうすることで、視認することが困難である近赤外光IRの照射位置を確認することなく、近赤外光IRの照射範囲がわかるようになる。なお、白色光照射範囲WA及び近赤外光照射範囲IRAは、配置面Aに生鮮品Fが陳列されていない状態において考えるものとする。
【0027】
制御部110は、基板上に制御回路が形成されたプリント配線基板である。制御部110は、白色光源210及び近赤外光源220の発光を制御する。具体的には、制御部110は、白色光源210及び近赤外光源220へ投入する電力量を制御する。なお、制御部110は、メモリと、メモリに格納された制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とで構成されてもよい。当該メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等である。
【0028】
なお、図1に示すように、白色光源210と近赤外光源220とがそれぞれ別の筐体に設置される場合、制御部110はそれぞれの筐体に設置されてもよい。
【0029】
図3は、実施の形態1に係る照明システムの一具体例である照明装置を示す斜視図である。なお、白色光源210を含む照明装置201の構成と近赤外光源220を含む照明装置202と構成とは実質的に同様でもよいため、図3においては、白色光源210を含む照明装置201について説明する。
【0030】
照明装置201は、第一筐体240と、白色光源210と、制御部110と、光学部230とで構成される。
【0031】
第一筐体240は、白色光源210と、制御部110と、光学部230とを収容するための箱体である。第一筐体240は、例えば、金属材料を用いて形成されるが、樹脂材料等の他の材料を用いて形成されてもよい。
【0032】
光学部230は、白色光源210が発する白色光Wを透過するカバー部材である。なお、照明装置に近赤外光源が設置される場合は、光学部は近赤外光を透過する光透過性を有したカバー部材である。光学部230は、例えばガラス材料又はアクリル若しくはポリカーボネート等の透明樹脂材料によって形成することができる。また、光学部230は、白色光Wを集光する機能を備える。具体的には、光学部230は、白色光源210は発した白色光Wを集光させて出射することで、配置面Aにスポット光を照射する。その場合、光学部230は、例えば、レンズである。なお、照明装置に近赤外光源が設置される場合は、光学部は、近赤外光を集光する機能を備える。
【0033】
また、照明装置201は、白色光源210を点灯させるための電力を供給する電源ユニット(不図示)を備えてもよい。電源ユニットは、例えば、商用電源からの交流電力を直流電力に変換して白色光源210及び近赤外光源220に出力する。白色光源210が発する白色光Wの光量(光出力)を調整する場合には、例えば、制御部110は、電源ユニットによって変換された直流電力の電力量を調整することで、上述した白色光Wの光量を調整する。
【0034】
図4は、実施の形態1の変形例1に係る照明システムを示す図である。
【0035】
上述したように、実施の形態1に係る照明システム100においては、白色光源210と近赤外光源220とはそれぞれ別の筐体に配置された別体の照明装置として構成された。しかしながら、照明システム100はこれに限定されない。図4に示すように、白色光源210と近赤外光源220とは第三筐体242に配置された一体の照明装置200として構成されてもよい。つまり、照明システム100は、白色光W及び近赤外光IRを出射する1つの照明装置でもよい。
【0036】
こうすることで、照明装置200内の白色光源210及び近赤外光源220の配置等を、上述したように近赤外光照射範囲IRAが白色光照射範囲WAを覆うように一度設定しておけば、簡便に白色光W及び近赤外光IRの照射位置を設定できる。つまり、照明装置200の設置場所が変更された場合においても、近赤外光照射範囲IRAが白色光照射範囲WAを覆うように白色光W及び近赤外光IRは照明装置200から出射される。
【0037】
図5は、実施の形態1の変形例2に係る照明システムを示す図である。
【0038】
例えば図1に示す照明装置201及び202においては、照明装置201及び202は、それぞれ店舗等の天井Cに配置された。しかしながら、図5に示すように、白色光W及び近赤外光IRを出射する照明装置200aはショーケース300に配置されてもよい。具体的には、照明装置200aは柱状部材310によってショーケース300の上方に設置されてもよい。こうすることで、照明装置200aと生鮮品Fとの距離は、照明装置200aが天井Cに設置される場合と比較して近くなる。そのため、照明装置200aは、少ない光量でも生鮮品Fに必要な白色光W及び近赤外光IRを照射できる。つまり、照明装置200aの消費エネルギーは抑制される。
【0039】
図6は、実施の形態1の変形例3に係る照明システムを示す図である。
【0040】
例えば図5に示す実施の形態1の変形例2に係る照明システムにおいては、白色光W及び近赤外光IRを出射する照明装置200aはショーケース300に配置された。しかしながら、図6に示すように、近赤外光源220は、ショーケース300に設置され、白色光源210は、ショーケース300の上方(例えば、店舗の天井)に設置されてもよい。具体的には、近赤外光IRは生鮮品Fの側方から照射され、白色光Wは生鮮品Fの上方から照射される。また、近赤外光IRが配置面Aに照射される光の照射範囲は、白色光Wが配置面Aに照射される光の照射範囲を内包する。ここで、図6に示すように、近赤外光照射範囲IRAは、複数の近赤外光源220のそれぞれから出射された近赤外光IRが形成する、配置面A上での照射範囲である。こうすることで、ショーケース300に設置された近赤外光源220が発する光の照射範囲が固定される。つまり、天井Cに配置される白色光源210が発する光の照射範囲の調整だけで、白色光照射範囲WAを内包するように近赤外光照射範囲IRAが形成されるように調整し得る。
【0041】
なお、照明システム100は、白色光源210及び近赤外光源220のいずれか一方がショーケース300上に配置される構成でもよい。具体的には、照明システム100においては、白色光源210はショーケース300上に配置され、近赤外光源220はショーケース300の上方(例えば、店舗の天井)に設置される構成でもよい。
【0042】
こうすることで、ショーケース300に設置された白色光源210又は近赤外光源220が発する光の照射範囲が固定される。つまり、天井Cに配置される白色光源210又は近赤外光源220が発する光の照射範囲の調整だけで、近赤外光照射範囲IRAが白色光照射範囲WAを覆うように調整し得る。
【0043】
なお、図6においては、近赤外光IRは生鮮品Fの側方から照射されるとしたが、近赤外光源220は生鮮品Fの下方に設置され、近赤外光IRは生鮮品Fの下方から生鮮品Fに出射されてもよく、限定されない。
【0044】
[効果等]
以上、実施の形態1に係る照明システム100は、生鮮品Fに光を照射する照明システムであって、白色光Wを発する白色光源210と、700nm以上1100nm以下の波長領域に少なくとも一つの発光ピークを有する近赤外光IRを発する近赤外光源220と、を備える。また、近赤外光源220は、生鮮品Fが配置される配置面Aにおいて、白色光Wの光照射範囲の少なくとも一部を覆うように近赤外光IRを発する。
【0045】
こうすることで、視認することが困難である近赤外光IRの照射位置を確認することなく、近赤外光IRの照射範囲がわかるようになる。具体的には、生鮮品Fは、視認可能な白色光Wが照射されている配置面A上に陳列された場合に、近赤外光IRが照射されることとなる。そのため、照明システム100は、近赤外光IRの照射位置が確認しやすい。
【0046】
また、白色光源210は第一筐体240に配置され、近赤外光源220は第一筐体240とは異なる第二筐体241に配置されてもよい。つまり、白色光源210と近赤外光源220とは、別の筐体に配置されてもよい。
【0047】
こうすることで、生鮮品Fに要求される白色光W及び近赤外光IRの光量が、それぞれ個別に調整されやすくなる。
【0048】
また、白色光源210と近赤外光源220とは、第三筐体242に配置されてもよい。つまり、白色光源210と近赤外光源220とは、同じ筐体に配置されてもよい。
【0049】
こうすることで、照明装置200内の白色光源210及び近赤外光源220の配置等の設定のみで、上述したように近赤外光照射範囲IRAが白色光照射範囲WAを覆うように近赤外光IR及び白色光Wは出射される。そのため、照明装置200の設置場所を変更した場合にも、近赤外光照射範囲IRAが白色光照射範囲WAを覆うように近赤外光IR及び白色光Wを出射する照明装置200が実現できる。
【0050】
また、照明システム100は、白色光W及び近赤外光IRを集光する光学部230を備えてもよい。言い換えると、光学部230は、白色光W及び近赤外光IRを集光させて出射することで、配置面Aにスポット光を照射してもよい。
【0051】
これにより、生鮮品Fには白色光W及び近赤外光IRが効率よく照射される。つまり、白色光W及び近赤外光IRは、白色光W及び近赤外光IRを照射させる必要のない生鮮品F以外の場所に白色光W及び近赤外光IRが照射されることが抑制される。そのため、白色光W及び近赤外光IRを無駄なく生鮮品Fに照射することができる。
【0052】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1のような照明システムとすることで、近赤外光IRの照射範囲を簡便に確認することは可能である。しかしながら、近赤外光源220の故障等により近赤外光IRが照射されない場合には、人は近赤外光IRを視認できないためにそのことを確認できない。実施の形態2においては、照明システムは、さらに、光センサを備えることにより、近赤外光源220の発光を検知する。なお、実施の形態1と実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0053】
[照明システムの構成]
図7は、実施の形態2に係る照明システム101の特徴的な機能構成を示すブロック図である。図8は、実施の形態2に係る照明システム101を示す概略側面図である。
【0054】
図7に示すように、照明システム101は、白色光源210と、近赤外光源220と、記憶部170と、制御部111と、光センサ130とを備える。
【0055】
記憶部170は、制御部111が実行する制御プログラム等が記憶されたメモリである。記憶部170は、例えば、ROMやRAM等から構成される。
【0056】
制御部111は、基板上に制御回路が形成されたプリント配線基板である。制御部110は、白色光源210及び近赤外光源220の発光を制御する。具体的には、制御部111は、白色光源210及び近赤外光源220へ投入する電力量を制御する。制御部111は、実施の形態1に示す制御部110の機能に加えて、さらに、光センサ130を制御する機能を備える。具体的には、制御部111は、光センサ130で近赤外光IRを検知する場合には白色光源210を発光させないように制御する。なお、制御部111は、記憶部170に記憶された制御プログラムを実行するCPUでもよい。
【0057】
また、制御部111は、光センサ130で近赤外光IRが検知された場合には、白色光源210を発光させる。また、制御部111は、光センサ130で近赤外光IRが検知されない場合には、白色光Wが点滅するように白色光源210を制御する。
【0058】
光センサ130は、近赤外光IRを検知する撮像素子である。つまり、光センサ130は、近赤外光源220が発する近赤外光IRを検知するための撮像素子である。具体的には、光センサ130は、少なくとも700nm以上1100nm以下の波長領域の光を検知する。光センサ130は、例えば、PD(Photo Diode)である。また、光センサ130は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサで構成されてもよい。
【0059】
図8に示すように、実施の形態2に係る照明システム101の一具体例である照明装置200bは、白色光源210と、近赤外光源220と、制御部111と、記憶部170と、光センサ130と、光フィルタ140とを備える。
【0060】
光フィルタ140は、一部の波長の光を透過させないように光を遮断する光学素子である。具体的には、光フィルタ140は、光の波長700nm未満の光を遮断し、波長700nm以上の光を透過する分光フィルタである。光フィルタ140は、例えば、表面に多層膜が形成されたガラス材料等が採用される。また、光フィルタ140は、白色光Wが光センサ130に入射される側に配置される。図8においては、白色光源210及び近赤外光源220から出射される光が直接光センサ130に入射されないように、照明装置200の内部は、白色光源210及び近赤外光源220と光センサ130との間には仕切りが設けられている。つまり、光センサ130は、生鮮品Fで反射された近赤外光IRを検知するように照明装置200bに設置されている。また、光フィルタ140は、白色光W及び近赤外光IRが光センサ130に入射される側である光センサ130から見てショーケース300側に配置される。こうすることで、光センサ130にはノイズとなる白色光Wが入射されることが抑制されるので、光センサ130は、近赤外光IRを精度よく検知しやすくなる。
【0061】
次に、制御部111が、近赤外光IRが出射されているかどうかを検知するまでの動作について説明する。
【0062】
図9は、実施の形態2に係る照明システムの近赤外光IRを検知する動作手順を示すフローチャートである。
【0063】
制御部111は、記憶部170に予め記憶された近赤外光IRは出射されているかどうかを検知する日時等の日時情報を含む制御プログラムに基づいて近赤外光IRは出射されているかどうかを検知する。制御部111は、当該制御プログラムの日時情報に基づいて、光センサ130を駆動する(ステップS101)。次に、制御部111は、白色光源210の発光を停止させる(ステップS102)。光センサ130は、近赤外光IRが発光しているかどうかを検知する(ステップS103)。例えば、光センサ130で近赤外光IRが検知された場合(ステップS103でYes)には、制御部111は、白色光源210を点灯させる制御をする(ステップS104)。ここで、点灯させるとは、白色光源210を連続的に発光させることを示す。また、光センサ130で近赤外光IRが検知されない場合(ステップS103でNo)には、制御部111は、白色光Wが点滅するように白色光源210を制御する(ステップS105)。こうすることで、ユーザは、近赤外光IRが目視できなくても、近赤外光IRが出射されているかどうかを確認しやすい。なお、ユーザは、本実施の形態に係る照明システムの使用者である。
【0064】
なお、制御部111は、光センサ130で近赤外光IRが検知されない場合には、白色光Wが点滅するように白色光源210を制御するとしたが、ユーザが、近赤外光IRが出射されていないことを確認できればよく、限定されない。例えば、制御部111は、光センサ130で近赤外光IRが検知されない場合には、光センサ130で近赤外光IRが検知された場合よりも白色光Wの光量を下げて白色光源210を発光させる制御をしてもよい。
【0065】
具体的には、光センサ130で近赤外光IRが検知された場合(ステップS103でYes)、制御部111は、白色光源210の発光を停止する前と同じ白色光の光強度となるように白色光源210の発光を再開させる(ステップS104に対応)。また、光センサ130で近赤外光IRが検知されない場合(ステップS103でNo)、制御部111は、白色光源210の発光を停止する前より白色光Wの光強度を下げるように白色光源210を制御する(ステップS105に対応)。
【0066】
ところで、白色光Wは、生鮮品Fの劣化を促進させることが知られている。上述したように、光センサ130で近赤外光IRが検知されない場合に制御部111が白色光源210の発光を停止する前より白色光Wの光強度を下げるように白色光源210を制御することで、生鮮品Fの劣化が抑制される。つまり、近赤外光IRが照射されないことによる生鮮品Fの劣化が緩和させることができる。また、白色光Wの光強度を下げることで、白色光Wの光強度を下げる前と比較して、ユーザには白色光照射範囲WAが少し暗く感じられる。つまり、ユーザは、近赤外光IRが出射されていないことを白色光Wの光強度から確認できる。
【0067】
また、光センサ130で近赤外光IRが確認されない場合、制御部111は、照明システム101が通知部(不図示)を備え、ユーザへ近赤外光IRが出射されていない旨を通知してもよい。通知部は、例えば光を発する光源、又は、音を発するスピーカ等で構成され、通知部が発する当該光又は当該音によってユーザへ近赤外光IRが出射されていない旨を通知してもよい。
【0068】
また、光センサ130が配置される位置は、光センサ130が生鮮品Fで反射された近赤外光IRを検知するように照明装置200bに設置されなくてもよく、限定されない。例えば、光センサ130は、ショーケース300に設置されてもよい。具体的には、光センサ130は、近赤外光源220から発せられた近赤外光IRを反射された光ではなく光センサ130に直接入射される光を検知できる。こうすることで、近赤外光IRが反射される際に生じる光損失がなくなるため、光センサ130は、近赤外光IRの光出力(光量)が小さい場合においても、近赤外光IRを検知しやすい。また、光センサ130は、近赤外光IRが直接光センサ130へ入射され、且つ白色光Wが入射されないように近赤外光源220の近傍に配置されてもよい。
【0069】
[効果等]
以上、実施の形態2に係る照明システム101は、少なくとも700nm以上1100nm以下の光を検知する光センサ130を備える。
【0070】
これにより、光センサ130は、近赤外光源220が発する近赤外光IRが発光されているかどうかを検知することができる。そのため、ユーザは、ほとんど視認できない近赤外光IRが出射されているかどうかを確認できる。
【0071】
また、制御部111は、白色光源210の発光を停止して、光センサ130に光を検知させてもよい。
【0072】
これにより、光センサ130で近赤外光IRを検知する際に、光センサ130にノイズとなり得る白色光Wが入射されることを抑制できる。そのため、光センサ130は、近赤外光IRを精度よく測定することができる。
【0073】
また、制御部111は、光センサ130で近赤外光IRが検知された場合には、白色光源210を点灯させ、光センサ130で近赤外光IRが検知されない場合には、白色光Wを点滅させてもよい。
【0074】
これにより、近赤外光IRが出射されていない場合に、簡便な構成でユーザに近赤外光IRが出射されていないことに気づかせることができる。
【0075】
また、照明システム101は、さらに、700nm未満の光を遮断する光フィルタ140を備えてもよい。また、光フィルタ140は、光センサ130における、白色光Wが光センサ130に入射される側に位置してもよい。
【0076】
これにより、光フィルタ140は、近赤外光IR以外のノイズとなり得る光が光センサ130に入射されることを抑制できる。そのため、光センサ130は、近赤外光IRをより精度よく測定することができる。
【0077】
(実施の形態3)
上述した実施の形態1及び2に係る照明システムにおいて、近赤外光照射範囲IRAが白色光照射範囲WAを覆うように白色光W及び近赤外光IRは出射される。ここで、例えば店舗内のレイアウトが変更になった場合には、照明システムを構成する照明装置が出射する白色光W及び近赤外光IRの出射方向を変える、又は、照明装置の位置を移動する必要がある。実施の形態3の照明システムは、実施の形態1の照明システムに、さらに、通信部と可動部とを備える。通信部は店舗内のどこに生鮮品があるかの位置情報を取得し、可動部は当該位置情報に応じて白色光W及び近赤外光IRの出射方向を変化させる。なお、実施の形態1及び2と実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0078】
[照明システムの構成]
図10は、実施の形態3に係る照明システム102の特徴的な機能構成を示すブロック図である。図11は、実施の形態3に係る照明システム102を示す概略斜視図である。
【0079】
図10に示すように、照明システム102は、実施の形態1の照明システム100に、さらに、通信部160と可動部150とを備える。
【0080】
通信部160は、白色光W及び近赤外光IRを出射する方向を示す情報を取得する装置である。通信部160は、例えば、CPUと通信I/F(インターフェース)とから構成される。通信部160は、ユーザUから上述した情報を取得する。ユーザUが、当該情報を発信する手段は、限定されない。例えば、ユーザUは、ユーザUが操作するリモートコントローラRから無線通信により発信してもよいし、パーソナルコンピュータ等の端末装置から、有線通信により発信してもよい。
【0081】
ここで、情報とは、照明装置200cが白色光W及び近赤外光IRを出射する方向を指示するためのデータである。情報とは、例えば、可動部150の位置や生鮮品Fが陳列されるショーケースの位置等を含む情報であり、生鮮品Fに近赤外光IR及び白色光Wを照射するために、可動部150の可動量及び可動方向を特定するための情報である。情報は、例えば、店舗内の位置を示す座標データを含む。照明システム102は、例えばROMやRAM等のメモリを備え、予め店舗内の位置を示す座標を定めたテーブルを備えておく。ユーザUは、リモートコントローラRを操作して白色光W及び近赤外光IRを照射したい位置を示す座標を通信部160に送信する。制御部112は、通信部160が取得した座標に応じて照明装置200cを動かす指示を可動部150へ送信する。可動部150は、照明装置200c自体を動かすことにより、白色光W及び近赤外光IRの出射方向を生鮮品F(受信した情報が示す座標方向)へ変える。
【0082】
制御部112は、実施の形態1に示す制御部110の機能に加えて、さらに、通信部160で取得した情報に応じて可動部150を動作させるための信号を可動部150に送信する。可動部150は、当該信号に応じて動作する。
【0083】
可動部150は、白色光W及び近赤外光IRが出射される向きを変更するための装置である。図11に示すように、例えば、照明装置200cが白色光W及び近赤外光IRを出射する場合には、可動部150は、制御部112からの情報を取得する制御回路と、当該制御回路が取得した情報に応じて照明装置200cを動かすためのモータとで構成される。
【0084】
なお、可動部150は、白色光W及び近赤外光IRが出射される向きを変更できればよく、照明装置200cの光の出射する向きを変更させる方法に限定されない。例えば、照明装置200cは、近赤外光IR及び白色光Wを反射させる反射板と当該反射板の傾きを変更させる可動装置とを備え、当該可動装置が当該反射板の傾きを変更することにより、近赤外光IR及び白色光Wの光の出射方向が変更されてもよい。
【0085】
図11の(a)は、第一時刻t1における生鮮品Fの位置と白色光W及び近赤外光IRの照射位置を図である。図11の(b)は、第一時刻t1より後の第二時刻t2における生鮮品Fの位置と白色光W及び近赤外光IRの照射位置を図である。図11の(c)は、第二時刻t2の後に、白色光W及び近赤外光IRの照射位置を変更させた場合を示す図である。なお、非生鮮品Nは、近赤外光IRの照射を必要としない商品である。また、図11の(a)、(b)及び(c)に示す照明装置200cは内部に白色光源210、近赤外光源220及び制御部112を備え、白色光W及び近赤外光IRを出射するが、白色光源210、近赤外光源220及び制御部112等の図示を省略する。
【0086】
図11の(a)に示すように、例えば、第一時刻において生鮮品Fがショーケース300aに陳列されていたとする。その後に、図11の(b)に示すように、店舗内のレイアウトの変更により、生鮮品Fがショーケース300bに移されたとする。その場合に、図11の(c)に示すように、ユーザUは、リモートコントローラRを操作して白色光W及び近赤外光IRの出射方向を変更させる。
【0087】
図12は、実施の形態3に係る照明システムの光出射方向を変更する動作手順を示すフローチャートである。
【0088】
例えば、図11に示すように生鮮品Fの位置が変更された場合に、ユーザUは、リモートコントローラRを用いて、白色光W及び近赤外光IRを出射させたい方向を示す情報を、通信部160へ送信する。ここで、例えば、ショーケースごとに配置された位置を示す座標を予め定めておく。照明システム102は、メモリ(不図示)を備えておき、当該メモリに上述した座標を保持しておく。ユーザUは、リモートコントローラRを操作して当該座標を示す情報を通信部160へ送信する。通信部160は、当該情報を取得する(ステップS201)。制御部112は、当該情報が示す方向へ光を出射するように可動部150へ情報を送信する。可動部150は、当該情報に応じて照明装置200cを駆動する(ステップS202)。こうすることで、ユーザUの所望の位置へ光の照射範囲を変更することができる。
【0089】
なお、情報は、GPS(Global Positioning System)で取得された位置情報でもよい。GPSとは、衛星を利用した地球上の現在位置を測定するための全地球測位システムのことを指す。リモートコントローラRは、GPSを利用して、リモートコントローラRの位置情報を取得する。ユーザUは、例えば図11の(c)に示す生鮮品Fが陳列されたショーケース300bの近傍へリモートコントローラRをもって移動する。ユーザUは、リモートコントローラRを操作して、GPSを利用して取得した位置情報を通信部160へ送信する。制御部112は、通信部160が取得した位置情報に応じて照明装置200cを動かすように可動部150へ当該情報を送信する。可動部150は、照明装置200c自体を動かすことにより、白色光W及び近赤外光IRの出射方向をリモートコントローラRの方向、つまり生鮮品Fが陳列されたショーケース300bへ変える。
【0090】
また、白色光Wを出射する照明装置と近赤外光IRを出射する照明装置とが別々に設置されている場合、ユーザUはそれぞれの照明装置へ位置情報を送信してもよい。ここで、生鮮品Fが陳列される配置面Aの位置によって、配置面Aにおける白色光W及び近赤外光IRの光の照射範囲が変わる場合がある。その場合には、例えば、光学部230の位置を変更することにより、白色光W及び近赤外光IRのスポット径が変更されるようにしてもよい。具体的には、光学部230はレンズであり、光学部230と白色光源210及び/又は近赤外光源220との距離を変更できるように照明装置に光学部230を保持させる。光学部230と白色光源210及び/又は近赤外光源220との距離を変更する(光学部230が照明装置に保持される位置を変更する)ことで、白色光W及び近赤外光IRのスポット径を変更させる。こうすることで、配置面Aにおける白色光照射範囲WA及び/又は近赤外光照射範囲IRAが変更できるようにしてもよい。
【0091】
また、白色光Wを出射する照明装置と近赤外光IRを出射する照明装置とをそれぞれ複数設置し、近赤外光照射範囲IRAが白色光照射範囲WAを覆うようにそれぞれの照明装置が選択されてもよい。
【0092】
また、照明システム102は、実施の形態2の照明システムが備える光センサ130をさらに備えることによって、白色光W及び近赤外光IRの照射位置が調整されてもよい。具体的には、光センサ130はイメージセンサであり、白色光W及び近赤外光IRの照射位置の画像を取得し、白色光W及び近赤外光IRの照射範囲の調整を行ってもよい。例えば、白色光源210と近赤外光源220とが別の筐体に配置される場合を考える。生鮮品Fが陳列される場所の変更がなされた際、上述したように位置情報に応じて、白色光W及び近赤外光IRの出射方向は変更される。その後に、光センサ130は、白色光W及び近赤外光IRの光の照射範囲の画像を取得する。例えば、近赤外光源220が配置される照明装置が光センサ130を備え、光センサ130が当該画像を取得する。制御部112は、当該画像において、近赤外光IRの照射範囲が白色光Wの照射範囲を内包していない場合、可動部150を動作させ、近赤外光IRの光出射方向を変更する。例えば、ショーケース300の配置面Aに基準点を設け、光センサ130で撮影した画像の中心が当該基準点と重なるように、可動部150は、近赤外光IRの出射方向を変更させてもよい。こうすることで、近赤外光IRの照射位置及び白色光Wの照射位置の位置は精度よく調整され得る。
【0093】
[効果等]
以上、実施の形態3に係る照明システム102は、白色光W及び近赤外光IRの少なくとも一方の光出射方向を変える可動部150と、光出射方向を特定する情報を取得する通信部160と、を備える。可動部150は、通信部160が取得した当該情報に応じた方向へ、白色光W及び近赤外光IRの少なくとも一方の光出射方向を変える。
【0094】
これにより、ユーザは、近赤外光IR及び白色光Wを出射する照明装置200が光を出射する方向を簡便に変更することができる。
【0095】
また、近赤外光IR及び白色光Wの光出射方向を特定する情報は、GPSで取得された位置情報でもよい。
【0096】
これにより、例えば照明システム102がメモリを備え、当該メモリに記憶された店舗内の座標位置を特定するための情報を利用して近赤外光IR及び白色光Wを出射する方向を変更する必要がなくなる。そのため、近赤外光IR及び白色光Wを出射する照明装置200が光を出射する方向は、簡便な情報のみで変更される。つまり、照明システム102をより簡便な構成とすることができ得る。
【0097】
(他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る照明システムについて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0098】
例えば、近年の携帯電話やスマートフォン等の携帯通信端末には、写真等を撮影するためにCMOS等のイメージセンサを備えている場合がある。また、当該イメージセンサは、700nm以上の波長領域の光を検知できる分光感度を有する場合がある。その場合、携帯通信端末のイメージセンサを照明システムが備える光センサ130として利用することも可能である。図13に、他の実施の形態に係る照明システムの概略側面図を示す。
【0099】
図13に示すように、照明装置200cは、近赤外光IR及び白色光Wを生鮮品Fに向けて出射する。ユーザUは、携帯通信端末400が有する光センサ130を操作して近赤外光IRが照明装置200cから出射されているかどうかを確認する。つまり、他の実施形態に係る照明システムは、照明装置200cと携帯通信端末400とで構成される。
【0100】
例えば、ユーザUは、照明装置200cから近赤外光IRが出射されているかどうかを確認したい場合に、携帯通信端末400を操作して、白色光源210の発光を停止(消灯)させる指示を携帯通信端末400が備える通信部160aを介して、通信部160へ送信する。通信部160を介して当該指示を取得した制御部112は、白色光源210の発光を停止させる。その後に、ユーザUは、照明装置200cと生鮮品Fとの間に携帯通信端末400(具体的には、携帯通信端末400が備える光センサ130)をかざして、近赤外光IRが出射されているかどうかを確認する。さらにその後に、携帯通信端末400は、光センサ130が近赤外光IRを検知したかどうかを示す信号を、通信部160aを介して通信部160へ送信して、当該信号に基づいて制御部112が白色光源210の発光を制御する。このように、スマートフォン等の既存の携帯通信端末400を用いる簡便な構成で、近赤外光IRの発光の有無を確認できる。
【0101】
なお、携帯通信端末400が有するディスプレイ等の表示画面で近赤外光IRの発光の有無が確認できてもよい。例えば、光センサ130が検知した白色光W及び近赤外光IRの発光の様子を示す画像等が、携帯通信端末400が有するディスプレイ等に表示されてもよい。
【0102】
また、携帯通信端末400には、700nm未満の光(具体的には、可視光)を遮断する光フィルタ140が設置されてもよい。こうすることで、光センサ130は近赤外光IRを精度よく検知することができる。
【0103】
また、光センサ130で近赤外光IRを検知する際に、制御部112は、白色光源210の発光を停止させるとしたが、必ずしも白色光源210の発光を停止させる必要はない。例えば、照明システムは、メモリ等の記憶部を備え、近赤外光IRが照射されている場合と、近赤外光IRが照射されていない場合の画像を比較することで、近赤外光IRの発光の有無を判別してもよい。
【0104】
具体的には、光センサ130で近赤外光IRを検知する前に、予め上述した記憶部に白色光Wのみを出射させた場合の第一画像を記憶させておく。光センサ130で近赤外光IRを検知する際には、白色光Wを出射させたまま、当該第一画像を撮影したときと同じ位置から撮影した第二画像を取得する。制御部112は、第一画像と第二画像とのピクセルごとの色成分(色度)の差分を算出する。制御部112は、当該色成分に差がある場合には、近赤外光IRが出射されていると判別し、当該色成分に差がない場合には、近赤外光IRが出射されていないと判別する。
【0105】
こうすることで、制御部112は、白色光Wが出射された状態で光センサ130による近赤外光IRの検知を行っても、精度よく近赤外光IRの発光の有無を判別できる。
【0106】
また、携帯通信端末400は、GPSの機能を備えていてもよい。具体的には、携帯通信端末400は、GPSで携帯通信端末400の位置を特定する情報を受信するGPS受信機(不図示)を備えてもよい。携帯通信端末400は、GPS受信機により位置情報を取得する。携帯通信端末400が備える通信部160aと、近赤外光IR及び白色光Wを照射する照明装置200cが備える通信部160とで無線通信を行うことにより携帯通信端末400から照明装置200cへ位置情報を送信する。当該位置情報に応じて、照明装置200cが出射する光の出射方向は変更されてもよい。このように、スマートフォン等の既存の携帯通信端末400を用いる簡便な構成で、近赤外光IR及び白色光Wの出射方向は変更され得る。
【0107】
また、白色光源210及び近赤外光源220の点灯及び消灯の指示、白色光源210及び近赤外光源220の調光の指示等を、ユーザUが携帯通信端末400を操作することにより当該指示を通信部160aへ送信できるようにしてもよい。また、照明装置200c及び携帯通信端末400によって、上述した実施の形態2及び3に係る照明システムが実現されてもよい。
【0108】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
100、101、102 照明システム
110、111、112 制御部
130 光センサ
140 光フィルタ
150 可動部
160、160a 通信部
210 白色光源
220 近赤外光源
230 光学部
240 第一筐体
241 第二筐体
242 第三筐体
400 携帯通信端末
A 配置面
IR 近赤外光
IRA 近赤外光照射範囲
W 白色光
WA 白色光照射範囲
F 生鮮品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13