特許第6796767号(P6796767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6796767-照明器具 図000002
  • 特許6796767-照明器具 図000003
  • 特許6796767-照明器具 図000004
  • 特許6796767-照明器具 図000005
  • 特許6796767-照明器具 図000006
  • 特許6796767-照明器具 図000007
  • 特許6796767-照明器具 図000008
  • 特許6796767-照明器具 図000009
  • 特許6796767-照明器具 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796767
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20201130BHJP
   F21V 21/04 20060101ALI20201130BHJP
   F21V 21/00 20060101ALI20201130BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201130BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20201130BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20201130BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20201130BHJP
【FI】
   F21S8/02 420
   F21V21/04 300
   F21V21/00 140
   F21Y115:10 300
   F21Y115:10 500
   F21Y115:15
   F21Y115:20
   F21Y115:30
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-218293(P2016-218293)
(22)【出願日】2016年11月8日
(65)【公開番号】特開2018-77993(P2018-77993A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】三輪 竜也
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−218007(JP,A)
【文献】 特開2014−007082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 21/00
F21V 21/04
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/20
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造営材に形成された取付穴に取り付けられる照明器具であって、
光源と、
前記光源が取り付けられる器具本体と、
前記器具本体を支持する固定枠と、
前記固定枠を前記取付穴に固定する板バネとを備え、
前記板バネは、第一板部と、第二板部と、前記第一板部及び前記第二板部を接続し、屈曲形状を有する接続部とを備え、
前記第一板部は、湾曲形状を有し、かつ、前記接続部より、前記固定枠に近い位置に配置され、
前記第一板部及び前記接続部のうち、前記接続部だけに、前記接続部を厚さ方向に貫通する開口部が形成されており、
前記接続部は、前記第一板部の前記湾曲形状の曲率半径より小さい曲率半径で曲げられている
照明器具。
【請求項2】
前記開口部は、前記板バネの長手方向に沿って延びる長辺を有する
請求項に記載の照明器具。
【請求項3】
前記開口部は、前記板バネの長手方向に沿って延びる角穴である
請求項又はに記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板バネを用いて造営材に取り付けられる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具として、例えば、ダウンライトのように天井板等の造営材に埋め込み配設されて鉛直方向下向きに光を出射する天井埋込型の照明器具等が知られている。
【0003】
この種の照明器具は、光源と、光源が取り付けられる器具本体と、造営材に形成された取付穴の周縁に配置される環状の固定枠と、一端が固定枠に取り付けられた複数の板バネとを備える(例えば特許文献1など参照)。特許文献1に記載された照明器具は、固定枠(及び造営材)に対する器具本体の取り付け角度、すなわち、光軸の方向を変えることができる、いわゆるユニバーサルダウンライトである。
【0004】
特許文献1に記載された照明器具においては、各板バネが二つの円弧部を有し、器具本体に近い側の円弧部を器具本体に近づく向きに弾性変形させて造営材に当接させる。これにより、板バネが造営材を押す力が働く。特許文献1に記載された照明器具においては、この力を用いて照明器具を造営材に固定している。板バネの二つの円弧部を接続する部分は、折り曲げられ、板バネの固定されていない側の端部(以下、「自由端」とも呼ぶ。)は鉛直方向下向きに向けられる。これにより、照明器具の光軸の方向を変えるために器具本体の造営材に対する角度を変える場合に、板バネと器具本体とが干渉することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−135743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたような照明器具を造営材に取り付ける際には、まず、造営材に形成された取付穴に、器具本体とともに板バネの自由端を挿入する。板バネの自由端を取付穴に挿入する際には、自由端が造営材と干渉することを抑制するために、板バネを変形させることによって、自由端を器具本体の側面に近づける。ここで、板バネの自由端を鉛直方向下向きに向けるように二つの円弧部を接続する部分が折り曲げられていることから、板バネの自由端を器具本体側に向けて変形させるには、二つの円弧部を接続する部分の折り曲げ角を拡げる向きに力を加える必要がある。しかしながら、この場合、当該力が大きいため、板バネを変形させる力が働いていないときの円弧部の湾曲の向きと逆向きに、円弧部が湾曲させられる。これにより、照明器具を造営材に取り付ける際に、円弧部が塑性変形する場合がある。このため、照明器具を取り付けた際に板バネの円弧部が造営材を押す力が低下し得る。
【0007】
そこで、本発明は、造営材に形成された取付穴に板バネを用いて取り付けられる照明器具であって、取り付けの際に生じる板バネの塑性変形を抑制できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る照明器具の一態様は、造営材に形成された取付穴に取り付けられる照明器具であって、光源と、前記光源が取り付けられる器具本体と、前記器具本体を支持する固定枠と、前記固定枠を前記取付穴に固定する板バネとを備え、前記板バネは、第一板部と、第二板部と、前記第一板部及び前記第二板部を接続し、屈曲形状を有する接続部とを備え、前記第一板部は、湾曲形状を有し、前記接続部は、前記第一板部の前記湾曲形状の曲率半径より小さい曲率半径で曲げられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、造営材に形成された取付穴に板バネを用いて取り付けられる照明器具であって、取り付けの際に生じる板バネの塑性変形を抑制できる照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る照明器具の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明器具の断面図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明器具の光軸の方向を傾斜させた状態における断面図である。
図4図4は、実施の形態に係る板バネの外観を示す斜視図である。
図5図5は、実施の形態に係る板バネの外観を示す側面図である。
図6図6は、実施の形態に係る照明器具を造営材に取り付ける際における板バネの形状を示す斜視図である。
図7図7は、実施の形態に係る照明器具を造営材に取り付けた状態を示す斜視図である。
図8図8は、比較例に係る板バネの外観を示す側面図である。
図9図9は、実施の形態に係る板バネ、及び、比較例に係る板バネを変形させた場合の外観を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
(実施の形態)
[1.全体構成]
実施の形態に係る照明器具10の全体構成について、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る照明器具10の外観を示す斜視図である。図2及び図3は、本実施の形態に係る照明器具10の断面図である。図2及び図3は、照明器具10の光軸Jを通る断面を示している。図3では、照明器具10の光軸Jの方向を傾斜させた状態における断面図が示されている。
【0015】
なお、各図において、図2に示される光軸Jの方向に平行な方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直で互いに直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向としている。なお、本実施の形態では、Z軸方向が鉛直方向であり、照明器具10は鉛直方向下向きに光を出射する。
【0016】
図1及び図2に示される照明器具10は、造営材に形成された取付穴に取り付けられる照明器具である。照明器具10は、例えば建物の天井板等の造営材に埋め込み配設されることにより下方(床や壁等)に光を照明するダウンライト等の埋込型照明器具である。本実施の形態では、照明器具10は、造営材に対して光軸方向を傾斜させることができる、いわゆるユニバーサルダウンライトである。図2には、照明器具10の光軸Jが造営材の取付面に対して垂直な方向となる場合の断面図が示されている。
【0017】
図2に示されるように、照明器具10は、主に、光源50と、器具本体20と、接続部材26と、回動枠28と、固定枠30と、板バネ80とを備える。照明器具10は、さらに、反射部材52と、光学部材54と、補助反射部材56とを備える。なお、図示しないが、光源50などは、ねじなどの固定用部材で器具本体20に取り付けられている。
【0018】
以下、照明器具10の各構成要素について説明する。
【0019】
[1−1.器具本体]
図1及び図2に示される器具本体20は、照明器具10の本体部分であり、光源50が取り付けられる。器具本体20は、取付台22と、筒状部材24とを備える。
【0020】
取付台22は、光源50が取り付けられる台として機能する部材である。取付台22には、複数のフィンが形成されている。取付台22においては、光源50で発生した熱が複数のフィンに伝達し、複数のフィンにおいて放散される。つまり、取付台22は、光源50の熱を放散させるヒートシンクとしても機能する。
【0021】
筒状部材24は、光源50及び光軸Jの周囲を囲む部材であり、筒状の形状を有する。本実施の形態では、筒状部材24は、円筒状の形状を有する。筒状部材24の一方の開口端部には、取付台22が配置され、当該開口端部が塞がれる。これにより、器具本体20には、筒状部材24と取付台22とで凹部23が形成される。この凹部23内に光源50などが配置される。
【0022】
取付台22及び筒状部材24を形成する材料は、特に限定されない。取付台22及び筒状部材24は、例えば、アルミニウムなどによって形成される。
【0023】
[1−2.光源]
図2に示される光源50は、照明器具10から出射される光を生成する発光モジュールである。光源50は、所定の光を放射状に出射する。本実施の形態では、光源50は、LED(Light Emitting Diode)を有する発光モジュールである。光源50は、例えば白色光を出射するように構成されている。光源50は、COB(Chip On Board)型LEDで構成され、基台と、基台上に実装されたベアチップ(LEDチップ)である複数の青色LEDと、それら青色LEDを封止し、黄色蛍光体を含む封止部材とを備える。
【0024】
光源50に用いられる基台は、複数のLEDを実装するための実装基板であって、例えばセラミックス基板、樹脂基板又は絶縁被覆されたメタルベース基板などである。また、基台は、例えば平面視において矩形状である平面を有する板材である。基台は、底面(Z軸方向正側の面)を器具本体20の取付台22に向けて固定される。なお、図示しないが、基台には、LEDを発光させるための直流電力を外部から受電するための一対の電極端子(正電極端子及び負電極端子)が形成されている。
【0025】
[1−3.固定枠]
図1及び図2に示される固定枠30は、器具本体20を支持し、造営材に形成された取付穴に固定される部材である。固定枠30は、造営材に形成された取付穴の内周に沿って配置され、板バネ80によって取付穴に固定される。固定枠30は、回動枠28を固定枠30に対して回動自在に支持する。また、回動枠28には、接続部材26が取り付けられており、接続部材26には、器具本体20が取り付けられている。このように固定枠30は、回動枠28及び接続部材26を介して器具本体20を支持する。
【0026】
本実施の形態では、図2に示されるように、固定枠30は、補助反射部材56を介して回動枠28を支持する。固定枠30は、取付穴に対応する環状の形状を有し、補助反射部材56のZ軸方向における位置を規制する環状の規制部31を有する。規制部31は、固定枠30から光軸向きに突出する円環状の部分である。
【0027】
また、図1及び図2に示されるように固定枠30は、造営材と当接する鍔状部29を有する。鍔状部29は、固定枠30から外側向きに(つまり、図2における光軸Jから遠ざかる向きに)突出する円環状の部分である。鍔状部29と、板バネ80との間で造営材を挟持することで、照明器具10を造営材に固定することができる。
【0028】
固定枠30を形成する材料は、特に限定されない。固定枠30は、例えば、アルミニウムなどによって形成される。
【0029】
[1−4.回動枠]
図1及び図2に示される回動枠28は、固定枠30に配置され、かつ、造営材に形成された取付穴を貫く軸を中心に固定枠30に対して回動自在である環状部材である。本実施の形態では、回動枠28は、図2に示される光軸Jを中心に回動する。回動枠28には、接続部材26が取り付けられており、接続部材26には、器具本体20が取り付けられている。このように、回動枠28は、接続部材26を介して器具本体20を支持する。
【0030】
回動枠28を形成する材料は、特に限定されない。回動枠28は、例えば、アルミニウムなどによって形成される。
【0031】
[1−5.接続部材]
図1及び図2に示される接続部材26は、器具本体20と回動枠28とを接続する部材である。本実施の形態では、図1に示されるように、二つの接続部材26は、それぞれボルト34及びナット35によって回動枠28と締結され、ねじ32によって器具本体20と締結される。また、ボルト34の回転軸を中心として、接続部材26の回動枠28に対する取付角度を調整できる。一方、接続部材26の器具本体20に対する取付角度は固定されている。したがって、図3に示されるように、接続部材26の回動枠28に対する取付角度を調整することにより、器具本体20の回動枠28に対する取付角度を調整できる。器具本体20の回動枠28に対する取付角度を調整することにより、光軸Jを通り、ボルト34の回転軸に垂直な平面内において光軸Jの方向を調整できる。さらに、回動枠28は、固定枠30に対して回動自在であることから、回動枠28の回動に伴って、接続部材26と回動枠28とを締結するボルト34も回動する。これに伴い、上述の光軸Jを通りボルト34の回転軸に垂直な平面も回動させることができる。
【0032】
接続部材26を形成する材料は、特に限定されない。接続部材26は、例えば、アルミニウムなどによって形成される。
【0033】
[1−6.板バネ]
図1及び図2に示される板バネ80は、固定枠30を造営材に形成された取付穴に固定する弾性部材である。本実施の形態では、固定枠30にボルト38を用いて取り付けられた三つの板バネ80によって、固定枠30が取付穴に固定される。以下、板バネ80について図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
図4及び図5は、それぞれ本実施の形態に係る板バネ80の外観を示す斜視図及び側面図である。
【0035】
図4及び図5に示されるように、板バネ80は、取付板部88と、第一板部81と、第二板部82と、接続部83と、爪状部87とを備える。
【0036】
取付板部88は、板バネ80の二つの端部のうち、固定枠30に固定される側の端部である。本実施の形態では、図4に示されるように、取付板部88は、平板状の形状を有し、図1に示されるボルト38を挿入するための貫通孔が形成されている。ボルト38を、当該貫通孔を介して固定枠30に形成されたねじ穴に捻じ込むことによって、取付板部88が固定枠30に固定される。第一板部81は、造営材の取付穴に当接される部分であり、板バネ80の取付板部88と接続部83との間に位置する。本実施の形態では、第一板部81は、湾曲形状を有する。より詳しくは、図5に示される第一板部81の長手方向の側面形状が円弧状となるように第一板部81が曲げられている。これにより、照明器具10を造営材に形成された取付穴に取り付ける際に、第一板部81を弾性変形させた状態で造営材の取付穴の角部に当接させることができる。したがって、第一板部81が造営材を押す力によって、照明器具10が取付穴から離脱することを抑制できる。なお、第一板部81は、単一の曲率半径で湾曲していなくてもよい。つまり、第一板部81の位置に応じて曲率半径が異なってもよい。第一板部81の湾曲形状の曲率半径は、照明器具10の重量、板バネ80の材質及び板厚、造営材の厚さなどに応じて適宜設定されればよい。第一板部81の湾曲形状の曲率半径は、例えば25mm程度である。第一板部81の湾曲形状の曲率半径は、例えば、10mm以上100mm以下程度であってもよい。
【0037】
第二板部82は、接続部83を介して第一板部81に接続される部分である。本実施の形態では、第二板部82は、平板状の形状を有する。つまり、図5に示されるように長手方向の側面の形状が直線状である。
【0038】
接続部83は、第一板部81及び第二板部82を接続し、屈曲形状を有する部分である。なお、ここで、「屈曲形状」は、曲げられた形状であることを意味し、所定の曲率半径で湾曲した形状、及び、曲率半径を有さない折り曲げ形状の両方を含む。本実施の形態では、接続部83には、接続部83を厚さ方向に貫通する開口部84が形成されている。これにより、接続部83における板幅(板バネ80の長手方向に垂直な方向の幅)を実質的に低減することができるため、接続部83を変形させるために要する力を低減できる。本実施の形態では、開口部84は、板バネ80の長手方向に沿って延びる長辺84aと、長手方向に対して垂直方向に延びる短辺84bを有する角穴である。これにより、接続部83の長手方向の各位置における全幅が一定である場合、接続部83における実質的な板幅(つまり、板幅から開口部84の幅を除いた長さ)を板バネ80の長手方向において略一定とすることができるため、接続部83を変形させる際に、接続部83の長手方向の各位置における変形量をほぼ一様にすることができる。つまり、接続部83が局所的に変形することを抑制できる。さらに、接続部83は、第一板部81の湾曲形状の曲率半径より小さい曲率半径で屈曲されている。言い換えると、接続部83は、第一板部81の湾曲形状の曲率(つまり、曲率半径の逆数)より大きい曲率で屈曲されている。さらに言い換えると、接続部83は、第一板部81から第二板部82まで滑らかに湾曲した形状を有する。このように、所定の曲率半径で接続部83が屈曲されていることにより、接続部83が折り曲げられている場合より、屈曲された接続部83を直線状に近づける向きに変形させるために要する力を低減できる。接続部83の曲率半径は、特に限定されないが、板バネ80の板厚より大きければよい。板バネの板厚は、特に限定されないが、例えば0.4mm程度である。本実施の形態では、接続部83の曲率半径は、10mm程度である。
【0039】
爪状部87は、板バネ80の二つの端部のうち、自由端側の端部である。爪状部87は、第二板部82に接続されており、図2に示されるように、第二板部82に対して鉛直方向下向きにほぼ直角に折り曲げられている。爪状部87を造営材に形成された取付穴の引っ掛けることにより、照明器具10を造営材から第二板部82の長さ程度引き出した位置において仮留めすることができる。
【0040】
板バネ80を形成する材料は、弾性部材であれば特に限定されない。板バネ80は、例えば鋼材、アルミニウムなどの金属材料で形成される。また、板バネ80の湾曲形状及び屈曲形状は、例えば金型に板状部材を押し当てることによって形成できる。
【0041】
[1−7.反射部材]
図2に示される反射部材52は、光源50からの光の配光を制御する部材である。本実施の形態では、反射部材52は、光源50からの光を光学部材54に向けて反射させる。
【0042】
反射部材52は、図2に示すように、光源50からの光が入射される側(図2の上側)の端部から、当該光が出射される側の端部に向かって内径が漸次大きくなるように構成された筒状の形状を有する。反射部材52の内面において、光源50からの光が反射される。
【0043】
反射部材52は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)など硬質の白色樹脂材料で形成される。なお、反射部材52は、内面にアルミニウムなどの金属膜が設けられてもよい。
【0044】
なお反射部材52は、照明器具10において必須の構成要素ではない。つまり、照明器具10は、反射部材52を備えなくてもよい。
【0045】
[1−8.光学部材]
図2に示される光学部材54は、反射部材52からの光が入射される透光性の部材である。光学部材54は、反射部材52から入射した光の配光を制御して出射する機能を有してもよい。本実施の形態では、光学部材54は円板状のフレネルレンズである。光学部材54は、反射部材52からの光を集光し、略円形の断面を有する光を出射する。
【0046】
光学部材54は、透光性材料で形成されており、例えばアクリル、ポリカーボネート(PC)などの透明樹脂材料、又は、ガラス材料などの透明材料で形成される。
【0047】
[1−9.補助反射部材]
図1及び図2に示される補助反射部材56は、光学部材54から出射された光の配光を制御する部材である。補助反射部材56は、光学部材54から出射された光のうち、補助反射部材56の内面に入射した光を、図2の略下方に向けて反射させる。
【0048】
補助反射部材56は、例えばPBTなど硬質の白色樹脂材料で形成される。なお、補助反射部材56は、内面にアルミニウムなどの金属膜が設けられてもよい。
【0049】
[2.作用及び効果]
本実施の形態に係る照明器具10の作用及び効果について図面を用いて説明する。
【0050】
図6は、本実施の形態に係る照明器具10を造営材に取り付ける際における板バネ80の形状を示す斜視図である。図7は、本実施の形態に係る照明器具10を造営材900に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0051】
図6に示されるように、本実施の形態に係る照明器具10を造営材900に取り付ける際には、造営材900に形成された取付穴910に板バネ80の自由端を挿入するために、板バネ80を器具本体20側に向けて変形させる。このように板バネ80を変形させた状態を維持して、照明器具10の器具本体20を取付穴910に挿入する。そして、板バネ80の自由端が取付穴910を通過した後、板バネ80の自由端を解放する。続いて、照明器具10の固定枠30の鍔状部29に造営材900が当接するまで照明器具10を取付穴910に押し入れる。このようにして、図7に示されるように、照明器具10を造営材900に取り付けられる。
【0052】
ここで、図6に示されるように、照明器具10を造営材900に取り付ける際に、板バネ80を変形させる必要がある。板バネ80を変形させるために要する力が大きい場合には、板バネ80の第一板部81などにも大きい力が加わり、第一板部81などが塑性変形し得る。これにより、第一板部81の湾曲形状の曲率半径が増大するため、第一板部81が設計どおりの力で造営材900を押すことができなくなる。本実施の形態に係る板バネ80では、上述のとおり、第一板部81と第二板部82とを接続する接続部83には、接続部83を厚さ方向に貫通する開口部84が形成されている。また、接続部83は、第一板部81の湾曲形状の曲率半径より小さい曲率半径で屈曲されている。このように接続部83は、変形させるために要する力を低減できる構成を有する。このため、板バネ80を図6に示されるような形状に変形させる際に要する力を低減できるため、第一板部81に加えられる力も低減できる。したがって、第一板部81の塑性変形を抑制できる。これにより、第一板部81によって造営材900を押す力が低下することを抑制できる。
【0053】
ここで、図面を用いて比較例に係る板バネと対比しながら、本実施の形態に係る板バネ80の効果を説明する。
【0054】
図8は、比較例に係る板バネ880の外観を示す側面図である。図8には、本実施の形態に係る板バネ80の外観も破線で示されている。
【0055】
図8に示されるように、比較例に係る板バネ880は、本実施の形態に係る板バネ80と同様に、取付板部888と、第一板部881と、第二板部882と、接続部883と、爪状部887とを備える。ただし、図8に示されるように、板バネ880は、接続部883において折り曲げられている点、つまり、接続部883において実質的に曲率半径ゼロで折り曲げられている点において、板バネ80と相違する。また、図示しないが、接続部883は、開口部が形成されていない点においても、板バネ80と相違する。
【0056】
ここで、本実施の形態に係る板バネ80、及び、比較例に係る板バネ880を変形させた場合の形状について図面を用いて説明する。
【0057】
図9は、本実施の形態に係る板バネ80、及び、比較例に係る板バネ880を変形させた場合の外観を示す側面図である。図9においては、板バネ80及び880の側面図が、それぞれ実線及び破線で重ねて示されている。
【0058】
図9に示されるように、比較例に係る板バネ880においては、折り曲げられた接続部883を変形させるために要する力が、第一板部881を変形させるために要する力と同等以上に大きいため、第一板部881にも比較的大きな力が加わる。このため、図9に示されるように板バネ880を変形させた場合には、第一板部881には、比較的大きい力が加わる。これに伴い第一板部881は塑性変形し得る。
【0059】
一方、本実施の形態に係る板バネ80においては、接続部83を変形させるために要する力が、第一板部81を変形させるために要する力より小さいため、第一板部81に加わる力は比較的小さい。このため、第一板部81の塑性変形を抑制できる。
【0060】
なお、本実施の形態では、板バネ80の接続部83に開口部84を形成する構成と、接続部83を第一板部81の湾曲形状の曲率半径より小さい曲率半径で屈曲する構成との両構成を採用しているが、いずれか一方の構成だけを採用してもよい。いずれか一方の構成を採用するだけでも、第一板部81の塑性変形を抑制することができる。
【0061】
[3.まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る照明器具10は、造営材900に形成された取付穴910に取り付けられる照明器具10である。照明器具10は、光源50と、光源50が取り付けられる器具本体20と、器具本体20を支持する固定枠30と、固定枠30を取付穴910に固定する板バネ80とを備える。板バネ80は、第一板部81と、第二板部82と、第一板部81及び第二板部82を接続し、屈曲形状を有する接続部83とを備え、第一板部81は、湾曲形状を有し、接続部83は、第一板部81の湾曲形状の曲率半径より小さい曲率半径で曲げられている。
【0062】
このように、接続部83が第一板部81の湾曲形状の曲率半径より小さい曲率半径で曲げられていることにより、接続部83が折り曲げられている場合より、接続部83を変形させるために要する力を低減できる。したがって、照明器具10を造営材900に取り付けるために板バネ80を変形させる際に、第一板部81に加わる力を低減できる。これにより、第一板部81の塑性変形を抑制できるため、第一板部81によって造営材900を押す力が低下することを抑制できる。
【0063】
また、照明器具10において、接続部83には、接続部83を厚さ方向に貫通する開口部84が形成されていてもよい。
【0064】
このように、板バネ80の接続部83に開口部84が形成されていることにより、接続部83を変形させるために要する力をより一層低減できる。
【0065】
また、照明器具10において、開口部84は、板バネ80の長手方向に沿って延びる長辺84aを有してもよい。
【0066】
これにより、接続部83における実質的な板幅を板バネ80の長手方向において略一定とすることができるため、接続部83を変形させる際に、接続部83の長手方向の各位置における変形量をほぼ一様にすることができる。つまり、接続部83が局所的に変形することを抑制できる。
【0067】
また、照明器具10において、開口部84は、板バネ80の長手方向に沿って延びる角穴であってもよい。
【0068】
このような形状の開口部84を形成することで、接続部83の長手方向の各位置における全幅が一定である場合、接続部83における実質的な板幅を板バネ80の長手方向において略一定とすることができるため、接続部83を変形させる際に、接続部83の長手方向の各位置における変形量をほぼ一様にすることができる。
【0069】
(変形例など)
以上、本発明に係る照明器具について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0070】
例えば、上記実施の形態において、開口部84は、接続部83全体にわたって形成されたが、接続部83の一部だけに形成されてもよい。また、開口部84の形状は、角穴でなくてもよく、例えば、長円状などでもよい。また、開口部84は、一つでなくもよく、例えば、複数の角穴、複数の丸穴などで構成されてもよい。
【0071】
また、上記の実施の形態において、光源50は基台上にLEDチップを直接実装したCOB構造を有したが、これに限定されない。例えば、COB構造のLEDモジュールに代えて、SMD(Surface Mount Device)構造のLEDモジュールを用いても構わない。SMD構造のLEDモジュールは、樹脂製のパッケージ(容器)の凹部の中にLEDチップ(発光素子)を実装して当該凹部内に封止部材(蛍光体含有樹脂)を封入したパッケージ型のLED素子(SMD型LED素子)を、1個又は複数個、基板に実装した構成である。
【0072】
また、上記の各実施の形態では、発光素子としてLEDを例示したが、発光素子としては、半導体レーザ等の半導体発光素子、又は、有機EL(Electro Luminescence)素子や無機EL等のその他の固体発光素子を用いてもよい。
【0073】
また、上記の実施の形態における照明器具10は、天井以外の造営材に取り付けられてもよい。
【0074】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
10 照明器具
20 器具本体
50 光源
80 板バネ
81 第一板部
82 第二板部
83 接続部
84 開口部
84a 長辺
900 造営材
910 取付穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9