(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜
図4は、本実施形態に係る化粧パネルの一例及びその変形例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る化粧パネル1は、桟材11を有するパネル芯材10の少なくともパネル厚さ方向一方側に、化粧層21を有した表面層20を設けた構成とされている。本実施形態では、パネル芯材10のパネル厚さ方向両側に、表面層20を設けた構成としている。
【0010】
この化粧パネル1は、
図2(a)に示すように、一方向に長尺な略矩形平板状とされている。この化粧パネル1は、本実施形態のように、厚さ方向両側を化粧面とした場合には、出入口や収納開口を開閉する建具パネルやパーティション等の間仕切パネル、家具構成部材等として用いられるものとしてもよい。また、このように厚さ方向両側を化粧面とした態様に代えて、パネル芯材10のパネル厚さ方向一方側のみに表面層20を設けた構成としてもよい。この場合にも上記同様の用途に用いることが可能である。また、化粧パネル1は、パネルの一部、例えば、框状パネルの框部や鏡板部を構成するように用いられるものでもよい。また、化粧パネル1は、反化粧面側が取付下地側に向けて配される天井パネルや壁パネル(間仕切壁パネル)、腰壁パネル、床パネル、巾木パネル、廻縁パネル、開口枠パネル等として用いられるものでもよい。
【0011】
また、この化粧パネル1の長さ寸法(上下寸法、高さ寸法)や、幅寸法、厚さ寸法等は、当該化粧パネル1の用途等に応じて、適宜の寸法としてもよい。
例えば、化粧パネル1を、建具パネルとして用いられるものとした場合には、当該化粧パネル1の上下寸法(戸高寸法)を1800mm〜3000mm程度とし、戸幅寸法を600mm〜1200mm程度とし、戸厚寸法を20mm〜40mm程度としてもよい。また、この場合には、化粧パネル1の適所に、開閉する際のハンドルや引手等を設けたり、錠装置や、蝶番等の回転連結部材、ランナーや戸車等の走行部材、ガイド溝等を設けたりしてもよい。
【0012】
パネル芯材10は、
図2(b)に示すように、桟材を構成する四周枠12,13,13,14を含む枠体11を備えている。つまり、化粧パネル1は、中実板状ではなく、中空状のパネル芯材10のパネル厚さ方向両側に表面層20を設けたいわゆるフラッシュパネル状とされている。
また、パネル芯材10は、枠体11で囲まれた空間にコア材16が収容された構成とされている。
枠体11は、四周枠12,13,13,14を構成する上横枠12、左右一対の縦枠13,13及び下横枠14を備えている。また、枠体11は、左右の縦枠13,13に架け渡されるように上下に間隔を空けて設けられた複数本の横桟15,15を備えている。また、図例では、下横枠14の上側に、桟材を積層した構成とされたものとした例を示している。また、下横枠14の左右(長手方向)両端部の上側に、戸車等の走行部材の取付孔の加工下地となる下地部材を積層した例を示している。なお、当該化粧パネル1の用途等に応じて、上横枠12の左右両端部の下側や一方の縦枠13の内方側に、上述のようなランナー等の走行部材やハンドル、錠装置等の取付孔の加工下地や取付下地を設けた構成としてもよい。また、上横枠12の下側にも同様な桟材を設けた構成とされたものとしてもよい。また、枠体11に、横桟15を設けた態様に代えて、または加えて、上下方向に長尺な縦桟を設けた構成としてもよい。
【0013】
また、これら四周枠12,13,13,14及び横桟15は、略四角柱状とされ、パネル厚さ方向両面が略同一平面状となるように、パネル厚さ方向に沿う寸法が互いに略同寸法とされている。また、図例では、これら四周枠12,13,13,14及び横桟15のパネル厚さ方向に沿う寸法及び長さ寸法に直交する幅寸法を、互いに略同寸法とした例を示している。
これら四周枠12,13,13,14及び横桟15は、合板やLVL(単板積層材)等の木質積層板や、PB(パーティクルボード)等の木質ボード、MDF(中密度繊維板)やハードボード等の木質繊維板などの木質系材料から形成されたものとしてもよい。また、木質系材料としては、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)としてもよい。また、枠体11は、このような木質系材料から形成されたものに限られず、合成樹脂系材料や金属系材料から形成されたものでもよく、複数種の材料を複合して形成されたものでもよい。
【0014】
また、本実施形態では、
図1(b)及び
図2(b)に示すように、両縦枠13,13のパネル幅方向外側に向く外側面に、表面層としての表面化粧パネル20の差込片部20c,20cが差し込まれる差込溝13a,13aを全長に亘って設けた構成としている。これらパネル幅方向両側の差込溝13a,13aは、パネル幅方向外側に向けて開口するように設けられている。また、これら差込溝13a,13aを、各縦枠13,13のパネル厚さ方向略中心に位置するように設けた構成としている。これら差込溝13a,13aのパネル幅方向に沿う溝深さ寸法及びパネル厚さ方向に沿う溝幅寸法は、表面化粧パネル20の差込片部20c,20cの差込性や保持性等の観点から適宜の寸法としてもよい。
【0015】
パネル芯材10のコア材16は、
図2(b)に示すように、枠体11で囲まれた空間に充填されるように収容されている。本実施形態では、上記のように上下(パネル長手方向)に間隔を空けて設けられた複数本の横桟15,15によって上下に区画された四周枠12,13,13,14内の各空間のそれぞれにコア材16を収容させた構成としている。このコア材16のパネル厚さ方向に沿う寸法は、枠体11のパネル厚さ方向に沿う寸法と略同寸法とされている。このようなコア材16としては、発泡ウレタン等の発泡樹脂系材料から成形された発泡成形体からなるものでもよいが、本実施形態では、パネル厚さ方向両側に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるハニカム状のコア材16としている。つまり、コア材16を、いわゆるペーパーコアとしている。また、このようなコア材16としては、段ボール原紙やクラフト紙等の紙材を接着剤で重積接着して形成されたものでもよい。また、コア材16としては、このような紙材に、エポキシ樹脂等の補強用の樹脂を更に含浸させたものでもよく、その他、アルミ材等の金属系材料や硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂系材料から形成されたものでもよい。
【0016】
また、図例では、コア材16の中空筒状セルを模式的に示しており、パネル幅方向に厚さ方向を沿わせた薄シート間に波形部(コルゲート部)を設けたものを例示しているが、このような態様に限られない。このコア材16としては、中空筒状セルが蜂の巣状(六角状)とされたものや、方形状とされたもの、円筒形状とされたもの等、中空筒状セルのセル形状が種々の形状とされたものでもよい。また、このコア材16は、ステイプル等の止具や接着剤等によって枠体11に固定されたものでもよい。なお、このコア材16の中空筒状セルのセルサイズ(セル径、セル幅)は、軽量化を図る観点や強度上の観点等から適宜のサイズとしてもよく、1mm以上100mm以下としてもよく、好ましくは、5mm以上15mm以下としてもよい。
【0017】
表面層20は、薄平板状とされた表面化粧パネル20とされ、化粧層21のパネル芯材10側に設けられた樹脂層(表層側樹脂層)23と、この表層側樹脂層23のパネル芯材10側に設けられ繊維シート25を含む繊維強化樹脂層26と、を備えている。また、表面化粧パネル20は、表層側樹脂層23及び繊維強化樹脂層26のうちの少なくとも一方に、遮光性顔料27を含有させた構成とされている。また、この表面化粧パネル20は、厚さが0.5mm〜3mmとされている。この表面化粧パネル20の厚さは、化粧パネル1の用途等に応じて適宜の厚さとしてもよく、後記するような折曲溝28,29を設ける場合には、好ましくは1.0mm以上としてもよく、軽量化を図る観点からは、好ましくは2.0mm以下としてもよい。
【0018】
この表面化粧パネル20を構成する化粧層21は、本実施形態では、薄シート状とされた化粧シート21とされている。この化粧シート21としては、天然木材(銘木)から形成された突板等の単板(化粧単板)や、木目柄等の種々の柄(模様)が印刷された化粧印刷紙や合成樹脂系の樹脂シート(フィルム)等としてもよい。樹脂フィルムとしては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム等が例示される。また、樹脂フィルムの厚さとしては、例えば、0.02mm〜1.0mm、好ましくは0.05mm〜0.2mm、更に好ましくは0.06mm〜0.12mmの範囲が例示される。
【0019】
また、化粧シート21を構成する化粧単板の厚さとしては、例えば、0.2mm〜1.0mmの範囲が例示される。また、化粧シート21を化粧単板とする場合には、化粧単板の裏面側に接着剤を介して不織布等の裏打ち材が貼着されたものでもよい。この場合の接着剤としては、化粧単板に水分が移行しにくい非水溶性接着剤が好ましく例示される。非水溶性接着剤としては、例えば、溶液型のアクリル共重合体、合成ゴム系の接着剤、熱可塑性合成樹脂であるホットメルト系の接着剤を単独または2種類以上を併用したもの等を例示することができる。ホットメルト系接着剤としては、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)やウレタン系ホットメルト(PUR)等が例示される。また、エポキシ樹脂系、ウレタン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系の接着剤等を単独または2種類以上を併用したものを例示することができる。
【0020】
表面化粧パネル20を構成する表層側樹脂層23は、化粧シート21の裏面側の略全面に亘って設けられている。本実施形態では、この表層側樹脂層23に、遮光性顔料27を含有させた構成としている。
この表層側樹脂層23は、表面化粧パネル20の折り曲げられた角部外観を含む表面外観(表面平滑性)を向上させる観点や寸法安定性、生産性等の観点から適宜の厚さとしてもよい。また、本実施形態のように、表層側樹脂層23及び繊維強化樹脂層26のうちの表層側樹脂層23のみに遮光性顔料27を含有させた場合には、遮光性の観点等から表層側樹脂層23を適宜の厚さとしてもよい。例えば、この表層側樹脂層23の厚さとしては、0.01mm〜1.5mm、好ましくは0.03〜1.0mm、更に好ましくは0.05mm〜0.5mmの範囲が例示される。この表層側樹脂層23の厚さが小さ過ぎれば、表面外観や遮光性が低下する傾向があり、表層側樹脂層23の厚さが大き過ぎれば、当該表層側樹脂層23による熱膨張の影響が大となったり、生産性が低下したりする傾向がある。
【0021】
また、この表層側樹脂層23は、繊維強化樹脂層26に含まれるような繊維を略含んでいない構成(実質的に繊維を含まない構成)とされている。なお、実質的に繊維を含まない構成とは、表層側樹脂層23に、製造過程等において僅かに繊維が混入されるような場合を含む。
また、この表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22(
図3(a)参照)は、樹脂主成分が後記する繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24(
図3(c)参照)の樹脂主成分と同一とされている。これら樹脂組成物22,24としては、無発泡性または低発泡性の樹脂が例示される。例えば、これら樹脂組成物22,24の樹脂主成分としては、ウレタン(ポリウレタン)樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フェノール樹脂等を単独または2種類以上を併用したものが例示される。
【0022】
また、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22の発泡倍率は、繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24の発泡倍率以下としてもよい。つまり、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22の発泡倍率を、繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24の発泡倍率と同一か、それよりも小としてもよい。このような構成とすれば、表層側樹脂層23の強度を比較的に向上させることができる。これら樹脂組成物22,24が発泡樹脂の場合には、その種類にもよるが、発泡倍率が7倍以下、より好ましくは5倍以下の低発泡性のものでもよい。また、樹脂組成物22,24としては、発泡倍率が1倍〜5倍、より好ましくは1倍〜3倍、さらに好ましくは1倍〜2倍のものでもよい。
また、これら樹脂組成物22,24としては、比較的に低温(例えば、40℃以上90℃以下、好ましくは80℃以下)で硬化する低温硬化性の熱硬化性樹脂としてもよい。これによれば、低温で硬化させることができ、また、化粧シート(化粧層)21への熱負荷を軽減することができ、表面外観の劣化を抑制することができる。
また、これら樹脂組成物22,24の樹脂主成分としては、ウレタン樹脂が好ましく採用される。これによれば、後記する化粧シート21への接着性に優れ、繊維シート25への含浸性にも優れたものとなる。このようなウレタン樹脂としては、耐水性を有したエーテル系やひまし油系のウレタン樹脂が好ましく例示される。なお、樹脂組成物22,24には、硬化剤や難燃材等の各種添加剤を添加することができる。
【0023】
また、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22に含有される遮光性顔料27は、表層側樹脂層23に遮光性を付与し得る構成とされている。このような遮光性顔料27としては、黒色顔料や、黒色以外の赤色や青色等の他の色の比較的に濃色な顔料、複数色の顔料を混合した顔料などでもよく、比較的に隠蔽性の高い淡色な顔料が挙げられる。また、遮光性顔料27としては、隠蔽性や分散性の良好な顔料が好ましく採用され、隠蔽性の観点からは、無機顔料としてもよい。このような隠蔽性や分散性等の観点から遮光性顔料27としてカーボンブラックを採用するようにしてもよい。
また、カーボンブラック以外の黒色顔料としては、グラファイトなどの炭素系黒色顔料や、鉄や銅、クロムなどの酸化物からなる酸化物系黒色顔料、チタンブラックなどが挙げられるが、その他、種々の黒色顔料でもよい。比較的に濃色な顔料としては、弁柄等の酸化鉄が挙げられ、また、隠蔽性の高い淡色な顔料としては、酸化チタンや亜鉛華(酸化亜鉛)が挙げられるが、その他、種々の顔料でもよい。
【0024】
また、遮光性顔料27の粒径は、分散性等の観点から適宜の粒径とされたものでもよく、例えば、カーボンブラックの場合には、3〜500nm程度でもよく、20〜100nm程度でもよい。
また、樹脂組成物22中に含まれる遮光性顔料27の含有率は、樹脂組成物22の組成や遮光性顔料27の種類、表層側樹脂層23の厚さ等に応じて、表層側樹脂層23に遮光性が付与されるように適宜の含有率としてもよい。この樹脂組成物22中に含まれる遮光性顔料27の含有率を低くし過ぎれば、遮光性が低下する傾向がある。一方、樹脂組成物22中に含まれる遮光性顔料27の含有率を高くし過ぎれば、樹脂の凝集力が低下する傾向があり、表面化粧パネル20の剥離強度や曲げ強度が低下する傾向がある。このような観点等から、樹脂組成物22中に含まれる遮光性顔料27の含有率を、好ましくは、1〜5質量%としてもよく、より好ましくは2〜3質量%としてもよい。このような含有率とすれば、表面化粧パネル20に適度な遮光性の付与が可能でありながらも、表面化粧パネル20の剥離強度や曲げ強度の低下を抑制することができる。
【0025】
また、樹脂組成物22への遮光性顔料27の添加は、樹脂組成物22の組成等に応じて適宜の添加態様としてもよい。例えば、樹脂組成物22の樹脂主成分を、2液型のウレタン樹脂とした場合には、ポリオールとイソシアネートとを混合する際に添加するようにしてもよいが、分散性を向上させるべく、以下のようにしてもよい。まず、遮光性顔料27が比較的に高含有率となるようにポリオールと混合して顔料含有ペーストを作成する。この顔料含有ペーストにおける遮光性顔料27とポリオールとの混合比は、例えば、0.5〜1.5:1程度でもよく、好ましくは、1:1程度でもよい。そして、この顔料含有ペーストを、ポリオールとイソシアネートとを混合する際に添加して混合するようにしてもよい。
【0026】
また、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22の量は、表層側樹脂層23が上記のような厚さとなるように、適宜の量としてもよい。本実施形態のように、表層側樹脂層23のみに遮光性顔料27を含有させた構成とする場合には、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22の量を、例えば、100g/m
2以上としてもよく、また、400g/m
2以下としてもよい。
また、表層側樹脂層23は、化粧シート21の裏面(反化粧面)に、スプレーやローラー等によって塗布された樹脂組成物22が硬化したものでもよい。また、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22が半硬化(未硬化)の状態で、後記する繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24や繊維シート25が配されるものとしてもよい。
【0027】
繊維強化樹脂層26は、薄平板状(シート状)とされ、
図3(d)、(e)に示すように、繊維シート25に、未硬化の樹脂組成物24が含浸されこの樹脂組成物24が硬化した構成とされ、樹脂含浸繊維シート層とも言い得る。この繊維強化樹脂層26の厚さは、化粧パネル1の用途等に応じて選択される繊維シート25の種類や目付、厚さ等に応じて、適宜の厚さとしてもよい。
また、この繊維強化樹脂層26の厚さとしては、例えば、0.1mm〜2.0mm程度でもよく、好ましくは0.5mm〜1.5mm程度でもよい。本実施形態では、この繊維強化樹脂層26の厚さを、表層側樹脂層23の厚さよりも大としている。例えば、この繊維強化樹脂層26の厚さを、表層側樹脂層23の厚さの2倍〜10倍程度としてもよい。
繊維シート25としては、ガラス繊維や炭素繊維、鉱物繊維等の強化繊維の織布や不織布、マット等が例示される。ガラス繊維の織布としては、例えば、縦糸及び横糸にガラスロービングを用いて製織した平織、絡み織等の織物であるガラスクロス等が例示される。ガラス繊維の不織布としては、例えば、長さ約10mmのガラス繊維を水中分散させた後に、湿式抄紙法によってすくい取り、脱水、シート化させて、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の接着剤を塗布したものであるガラスペーパー等が例示される。ガラス繊維のマットとしては、長繊維状(例えば、長さ30mm前後、好ましくは長さ50mm前後)に切断したガラスストランドを、無方向に均等に分散させ、ポリエステルバインダー等の結合剤を用いてマット状に成形したものであるガラスマット等が例示される。
【0028】
また、繊維シート25の厚さとしては、例えば、0.1mm〜0.5mmの範囲が例示される。また、繊維シート25をガラスマットとした場合には、厚さを、0.3mm〜0.5mm程度としてもよく、ガラスクロスとした場合には、厚さを、0.1mm〜0.3mm程度としてもよい。また、ガラスクロスの密度としては、例えば、30〜120本/25mmのものが例示される。また、ガラスクロスを構成するガラス糸の番手(太さ)としては、例えば、67〜135tex(g/1000m)の範囲が例示される。
繊維シート25の目付としては、例えば、100g/m
2以上2000g/m
2以下の範囲が例示され、好ましくは150g/m
2以上としてもよい。これによれば、繊維強化樹脂層26に適度な強度を付与することが可能でありながらも、軽量化を図ることができる。
この繊維シート25の目付が小さ過ぎれば、強度が低下する傾向がある一方、大き過ぎれば、重くなる傾向がある。繊維シート25としてガラスクロスを用いる場合は、目付を200g/m
2以上としてもよい。また、繊維シート25としてガラスペーパーを用いる場合は、目付を50g/m
2以上としてもよい。また、繊維シート25としてガラスマットを用いる場合は、目付を100g/m
2以上としてもよい。また、繊維シート25としては、このようなガラス繊維シートのうちガラスマットまたはガラスクロスが好ましい。
【0029】
また、繊維シート25としては、上記のような目付範囲となるように複数枚のガラス繊維の織布、不織布またはマット(ガラス繊維シート)を積層したものや、ガラス繊維シートと、植物繊維の織布、不織布、フィルム、紙またはマットと、が積層されたものでもよい。植物繊維としては、植物繊維マットや製紙に用いられる植物繊維であれば特に限定されないが、繊維シート25の強度や耐久性、寸法安定性等を考慮すると、麻系天然繊維、ヤシ繊維または農産廃棄物繊維のいずれか1種以上であることが好ましい。
【0030】
この繊維シート25に含浸させる樹脂組成物24の量は、繊維シート25の厚さや、繊維強化樹脂層26の所望する厚さ、表面化粧パネル20の強度や寸法安定性、コスト等の観点から適宜の量としてもよい。例えば、繊維シート25に含浸させる樹脂組成物24の量を、100g/m
2以上としてもよく、好ましくは150g/m
2以上としてもよい。また、コスト等の観点からは、繊維シート25に含浸させる樹脂組成物24の量を、400g/m
2以下としてもよく、好ましくは250g/m
2以下としてもよい。
また、樹脂組成物24の繊維シート25への含浸は、樹脂組成物24を貯留する容器内に繊維シート25を浸漬させた後に、余剰分を適宜、絞り取る態様や、繊維シート25にスプレーやローラー等によって塗布する態様としてもよい。または、後記する好ましい製法のように、上記した表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22が硬化または半硬化の状態で、その反化粧シート側にスプレーやローラー等によって塗布された樹脂組成物24に繊維シート25を積層することで、繊維シート25に結果的に樹脂組成物24が含浸される態様等としてもよい。
【0031】
本実施形態では、上記のような構成とされた表面化粧パネル20を、
図1に示すように、パネル幅方向両端面に継目が位置するようにパネル芯材10のパネル厚さ方向両側のそれぞれに対状に設けた構成としている。つまり、二枚の表面化粧パネル20,20を設けた構成としている。また、これら二枚の表面化粧パネル20,20を、化粧パネル1の四周表面(厚さ方向両面及び幅方向両端面)が化粧面となるように、パネル芯材10の四周表面(パネル厚さ方向両面及びパネル幅方向両端面)に設けた構成としている。
これら表面化粧パネル20,20は、互いに同様の構成とされ、パネル芯材10の角部に応じた位置となるように、裏面側に折曲溝(角部折曲溝)28,28,28,28を設けた構成とされている。また、本実施形態では、これら表面化粧パネル20,20の裏面側に、角部折曲溝28,28,28,28に加えて、パネル芯材10の差込溝13a,13aの両開口縁に応じた位置となるように、端部折曲溝29,29,29,29を設けた構成としている。
【0032】
これら角部折曲溝28及び端部折曲溝29は、少なくとも化粧シート21を残すように各表面化粧パネル20,20の裏面側に設けられている。
各表面化粧パネル20,20は、これら角部折曲溝28及び端部折曲溝29の部位において残存する少なくとも化粧シート21の部位がヒンジ部(折曲部)のように機能し、これらの部位において折り曲げ可能とされている。
また、本実施形態では、これら角部折曲溝28及び端部折曲溝29を、溝底が表層側樹脂層23に位置するように設けた構成としている(
図1(b)参照)。つまり、これら角部折曲溝28及び端部折曲溝29を、溝底が表層側樹脂層23に留まり、化粧シート21に達しないように、かつ繊維強化樹脂層26の厚さ方向の全体に亘って設けた構成としている。
【0033】
これら角部折曲溝28及び端部折曲溝29が設けられた部位の表層側樹脂層23の厚さ、つまり、溝底側の残り厚さは、上記のようにヒンジ部として機能するように、化粧シート21の厚さや表層側樹脂層23の厚さに応じて、適宜の厚さとしてもよい。図例では、表層側樹脂層23の溝底側の残り厚さを、表層側樹脂層23の全体厚さの1/2程度とした例を示しているが、このような厚さに限られない。
また、角部折曲溝28,28は、パネル芯材10の厚さ方向一方面に沿わせられる表面化粧パネル20の表面側片部20aと、パネル芯材10の幅方向各端面に沿わせられる側端面片部20b,20bと、の境界部に位置するように設けられている。
また、端部折曲溝29,29は、側端面片部20b,20bと、パネル芯材10の差込溝13a,13aに差し込まれる差込片部20c,20cと、の境界部に位置するように設けられている。パネル厚さ方向両側の表面化粧パネル20,20の差込片部20c,20c,20c,20cは、パネル芯材10の差込溝13a,13aに嵌め込まれるように納められる。
【0034】
また、本実施形態では、角部折曲溝28,28を、これら角部折曲溝28,28において折り曲げられて形成された角部が略直角状となるように表面化粧パネル20の裏面側に設けた構成としている。図例では、これら角部折曲溝28,28を、溝長手方向に見て略V字溝状とされた単一の溝からなるものとした例を示している。なお、このような態様に代えて、これら角部折曲溝28,28において折り曲げられて形成された角部がR面取り形状やC面取り形状となるように、これら角部折曲溝28,28のそれぞれを、複数条の溝からなるものとしてもよい。また、端部折曲溝29,29は、これら端部折曲溝29,29において折り曲げられて形成された角部が略直角状となるように表面化粧パネル20の裏面側に設けられている。
上記構成とされたパネル厚さ方向両側の表面化粧パネル20,20がパネル芯材10の四周表面に貼着されて当該化粧パネル1の四周表面が化粧面とされる。これら表面化粧パネル20,20のパネル芯材10への貼着は、上記同様な適宜の接着剤等を用いてなされたものでもよい。
【0035】
上記構成とされた表面化粧パネル20を製造するパネル製造方法としては、例えば、
図3に示すように、以下のようにしてもよい。
図3に示すパネル製造方法では、化粧シート21の裏面に表層側樹脂層23を構成する未硬化の樹脂組成物22を供給した後に、表層側樹脂層23の裏面側(パネル芯材10側)に位置するように繊維強化樹脂層26を形成する構成としている。このような構成とすれば、繊維強化樹脂層26及び表層側樹脂層23を形成した後に、表層側樹脂層23の表面に化粧シート21を貼着するようなものと比べて、製造効率を向上させることができ、また、接着成分による表面の化粧シート21の外観劣化等を生じ難くすることができる。
また、同製造方法では、互いに向き合う面が平坦面とされた上下の成形型2,3を用いて表面化粧パネル20を製造する構成としている。このような成形型2,3としては、樹脂組成物22,24の種類にもよるが、硬化に加熱を要する場合には、ヒーターや熱媒体が流通される媒体流通路が設けられたものでもよい。つまり、成形型2,3を、ホットプレスとしてもよい。
【0036】
まず、
図3(a)に示すように、上下の成形型2,3のうちの下成形型2の上面に、化粧面を対面させるようにして化粧シート21を載置する。つまり、化粧シート21を、その裏面(反化粧面)を上向きとした状態で、下成形型2上に載置する。そして、この化粧シート21の裏面に、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22を塗布する。この樹脂組成物22の化粧シート21への塗布は、表層側樹脂層23が上記のような所望する厚さとなるように一様な塗布量でスプレーやローラー等を用いて塗布するようにしてもよい。この表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22は、下成形型2を適度の温度(例えば、40℃〜80℃程度の比較的低温)に加熱した状態で供給して硬化または半硬化させるようにしてもよい。この際、下成形型2による加熱に加えて、上方側から適宜の遠赤外線ヒーター等の輻射式ヒーターによって加熱するようにしてもよい。また、この際の硬化(半硬化)時間は、樹脂組成物22の種類や量にもよるが、1分〜30分程度、好ましくは15分以下としてもよい。
【0037】
また、この表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22が硬化または半硬化した後に、繊維強化樹脂層26を構成する未硬化の樹脂組成物24を供給し、この繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24を、繊維シート25に含浸させる態様としてもよい。このような構成とすれば、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22上に載置された繊維シート25に対して繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24を供給して含浸させる態様と比べて、表層側樹脂層23と繊維強化樹脂層26との境界剥離等を効果的に防止することができる。
【0038】
つまり、
図3(b)、(c)に示すように、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22が硬化または半硬化すれば、繊維強化樹脂層26を構成する未硬化の樹脂組成物24を塗り重ねるように塗布する。そして、
図3(d)に示すように、この樹脂組成物24が含浸するように、繊維シート25を積層する。この際、繊維シート25が表層側樹脂層23内に略移動しないように表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22が半硬化または完全硬化した後に、繊維強化樹脂層26を構成する未硬化の樹脂組成物24及び繊維シート25を配するようにしてもよい。
そして、
図3(e)に示すように、上下の成形型2,3によって圧締する。この際、上成形型3の下面に、適宜の離型剤を塗布しておくようにしてもよい。また、適宜のプレス圧で圧締するようにしてもよい。また、必要に応じて加熱し、樹脂組成物22,24を硬化させるようにしてもよい。そして、裏面側に上記のような角部折曲溝28及び端部折曲溝29を設けた表面化粧パネル20を、パネル芯材10に貼着し、化粧パネル1を製造するようにしてもよい。
【0039】
なお、上記のような態様に代えて、樹脂組成物24が含浸された繊維シート25を表層側樹脂層23に積層する態様や、表層側樹脂層23に繊維シート25を積層した状態で、樹脂組成物24を繊維シート25に塗布する態様等としてもよい。さらには、樹脂組成物24を含むプリプレグ状の繊維シート25(または繊維強化樹脂層26)と、裏面に表層側樹脂層23が形成された化粧シート21と、を積層一体化(接着も含む)して表面化粧パネル20を製造するようにしてもよい。また、上記のように表面化粧パネル20を作成した後にパネル芯材10に適宜の接着剤によって貼着する態様に限られない。例えば、化粧パネル1の厚さ方向両側の表面層20,20の繊維強化樹脂層26,26を構成する樹脂組成物24,24によってこれら表面層20,20がパネル芯材10に接合一体化されたものとしてもよい。つまりは、パネル芯材10と表面層20,20とを表面層20,20を構成する樹脂組成物24,24によって接合一体化する構成としてもよい。
また、上記したパネル製造方法の各工程の順序等は一例に過ぎず、別順序でなされるものでもよく、種々の変形が可能である。
【0040】
本実施形態に係る化粧パネル1は、上述のような構成としたことで、軽量化を図りながらも見栄えを向上させることができる。
つまり、桟材としての枠体11を有するパネル芯材10の少なくともパネル厚さ方向一方側に表面層としての表面化粧パネル20を設けた構成としている。従って、中実板状とされた化粧パネルと比べて、軽量化を図ることができる。
また、表面化粧パネル20を、化粧層としての化粧シート21のパネル芯材10側に、表層側樹脂層23と繊維強化樹脂層26とを設けた構成とし、かつ厚さを0.5mm〜3mmとしている。従って、表面化粧パネル20を比較的に薄くして軽量化を図ることが可能でありながらも、従来のMDF等の木質板を表面層としたものと比べて、吸放湿等による寸法変化が生じ難くなり、寸法安定性を向上させることができる。また、繊維強化樹脂層26の表面側に表層側樹脂層23を設けているので、化粧シート21を薄くした場合にも、繊維強化樹脂層26に含まれる繊維による凹凸が表面に生じ難くなり、表面平滑性を向上させることができ、表面の外観を向上させることができる。
【0041】
また、表層側樹脂層23及び繊維強化樹脂層26のうちの少なくとも一方に、遮光性顔料27を含有させた構成としている。従って、化粧シート21を上述のような比較的に薄く光が透過し易い突板や化粧印刷紙、樹脂フィルム等とした場合にも、表面化粧パネル20全体の遮光性を向上させることができ、パネル芯材10のコア材16や枠体11を構成する枠材12,13,14や横桟15等を目立ち難くすることができる。つまり、パネル厚さ方向一方側から光が照射された際にも、パネル芯材10のコア材16や枠体11を構成する枠材12,13,14や横桟15等が透けて見えるようなことを抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態では、表面化粧パネル20のパネル芯材10側に、パネル芯材10のパネル厚さ方向一方側と一端側との角部に応じた位置となるように、かつ溝底が表層側樹脂層23に位置するように折曲溝(角部折曲溝)28を設けた構成としている。従って、表面化粧パネル20を、角部折曲溝28が設けられた部位において折り曲げてパネル芯材10のパネル厚さ方向一方側及び一端側に貼着することができる。これにより、例えば、複数枚の表面化粧パネル20をパネル芯材10の角部において突き合わせたりするようなものと比べて、角部における見栄えを向上させることができる。また、角部折曲溝28を、溝底が表層側樹脂層23に位置するように設けているので、折り曲げられた角部において繊維強化樹脂層26に含まれる繊維による凹凸等が生じ難くなり、角部表面の外観を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、パネル芯材10のパネル厚さ方向両側のそれぞれに表面化粧パネル20,20を設けた構成としている。従って、パネル厚さ方向両面側を、上記のような外観を向上させた化粧面とすることができる。
また、本実施形態では、パネル芯材10を、四周枠12,13,13,14を含む枠体11で囲まれた空間にコア材16が収容された構成としている。従って、パネル芯材10をコア材16のみや三辺以下に桟材を設けたようなものとした場合と比べて、化粧パネル1の強度を向上させることができ、建具等として好適に用いることができる。また、中実状のパネル芯材10としたものと比べて、軽量化を図ることができる。
【0044】
また、本実施形態では、パネル芯材10の両側端部に、パネル厚さ方向両側の表面化粧パネル20,20の差込片部20c,20c,20c,20cが差し込まれる差込溝13a,13aを設けた構成としている。従って、表面化粧パネル20,20の端部を突き合わせて納めるようなものと比べて、表面化粧パネル20,20同士の継目を見栄え良く納めることができる。なお、このような態様に代えて、パネル厚さ方向一方側の表面化粧パネル20とパネル厚さ方向他方側の表面化粧パネル20とを、パネル幅方向の各端面において突き合わせたり、重ね合わせたりして納めるような態様等としてもよい。また、パネル厚さ方向一方側の表面化粧パネル20のみによってパネル幅方向の端面を覆うような態様等としてもよい。この場合は、パネル厚さ方向他方側の表面化粧パネル20には、折曲溝を設けないようにしてもよい。
【0045】
また、パネル厚さ方向両側に別体状に表面化粧パネル20,20をそれぞれに設けた態様に代えて、一連状の表面化粧パネル20によってパネル芯材10の四周表面を覆うような態様としてもよい。この場合は、パネル芯材10の一方側端部のみに差込溝13aを設けた態様としてもよい。また、表面化粧パネル20,20に折曲溝28,29を設けた態様に代えて、パネル芯材10の幅方向両端面を覆うように延出された化粧シート21,21が折り曲げ貼着されてパネル芯材10の幅方向両端面が覆われるものとしてもよい。また、パネル芯材10の四周表面を表面化粧パネル20によって覆った態様に代えて、パネル厚さ方向両面のみを表面化粧パネル20によって覆った態様としてもよい。この場合は、パネル芯材10のパネル幅方向の各端面を、別途のエッジシート等によって覆うような態様としてもよく、また、パネル幅方向の各端面を化粧面とせずに、パネル芯材10を露出させた態様等としてもよい。
【0046】
また、上記のようにパネル芯材10のパネル厚さ方向両側に同様の表面化粧パネル20,20を設けた構成に代えて、パネル厚さ方向一方側の表面化粧パネル20のみに、遮光性顔料27を含有させた構成としてもよい。つまり、パネル厚さ方向他方側の表面化粧パネル20の表層側樹脂層23及び繊維強化樹脂層26には、遮光性顔料27を含有させていない構成としてもよい。また、このようにパネル厚さ方向両側に表面化粧パネル20,20を設けた構成に代えて、パネル厚さ方向一方側のみに表面化粧パネル20を設けた構成としてもよい。この場合は、パネル厚さ方向他方側に、繊維強化樹脂層26を設けたり、他の表面材を設けたりしてもよく、さらには、パネル芯材10を露出させた構成としてもよい。
また、本実施形態では、パネル芯材10の枠体11内にコア材16を収容させた構成とした例を示しているが、このようなコア材16を設けていない構成としてもよい。また、本実施形態では、パネル芯材10の桟材を、四周枠を構成する枠体11とした例を示しているが、三方枠状としたり、左右の縦枠13,13のみを桟材としたり、上下の横枠12,14のみを桟材としたりしてもよく、その他、種々の変形が可能である。
【0047】
次に、本実施形態に係る化粧パネル1が備える表面化粧パネル(表面層)の変形例について
図4を参照して説明する。
なお、上記した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明し、また、上記した例と同様の作用効果についても説明を省略する。
【0048】
図4(a)は、第1変形例に係る表面化粧パネル20Aを模式的に示している。
本変形例では、表層側樹脂層23Aに代えて、繊維強化樹脂層26Aに遮光性顔料27を含有させた構成としている。つまり、表層側樹脂層23Aを構成する樹脂組成物22(
図3参照)には遮光性顔料27を添加せずに、繊維強化樹脂層26Aを構成する樹脂組成物24(
図3参照)に、遮光性顔料27を添加した構成としている。このような構成とすれば、樹脂組成物24中における遮光性顔料27の含有率を上記と同程度とした場合には繊維強化樹脂層26A全体における遮光性顔料27の含有率は低下するが、繊維シート25によって厚さを確保することができ、遮光効果が得られる。
【0049】
図4(b)は、第2変形例に係る表面化粧パネル20Bを模式的に示している。
本変形例では、表層側樹脂層23及び繊維強化樹脂層26Aの両方に遮光性顔料27を含有させた構成としている。つまり、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22(
図3参照)及び繊維強化樹脂層26Aを構成する樹脂組成物24(
図3参照)の両方に、遮光性顔料27を添加した構成としている。このような構成とすれば、いずれか一方のみに遮光性顔料27を含有させたものと比べて、遮光性を向上させることができる。
【0050】
なお、上記した例では、化粧層を、化粧シート21とした例を示しているが、このような態様に限られず、塗膜層等としてもよい。
また、上記した例では、表層側樹脂層23,23Aを構成する樹脂組成物22の樹脂主成分を繊維強化樹脂層26,26Aを構成する樹脂組成物24の樹脂主成分と同一とした例を示しているが、異なるものとしてもよい。また、表層側樹脂層23,23Aを構成する樹脂組成物22の樹脂主成分を、例えば、上記以外のABS樹脂やポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等の種々の熱可塑性樹脂としてもよい。
また、上記した例では、薄平板状(シート状)の繊維強化樹脂層26,26Aとした例を示しているが、このような繊維強化樹脂層26,26Aに代えて、または加えて、多数の凹凸が設けられたエンボス板状の繊維強化樹脂層を設けた構成としてもよい。本実施形態に係る化粧パネル1を構成するパネル芯材10や表面化粧パネル20,20A,20Bとしては、その他、種々の変形が可能である。
【0051】
次に、本発明に係る化粧パネルの実施例の一例及び比較例について説明する。
各実施例1〜3及び比較例では、いずれも、四周枠内にハニカム状のコア材を収納させたパネル芯材のパネル厚さ方向一方側に、1.0mm厚の表面層を設けた構成とした。また、各実施例1〜3及び比較例では、いずれも、表面層の化粧層としての化粧シートを、0.06mm厚のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムとした。また、各実施例1〜3及び比較例では、いずれも、0.1mm厚の表層側樹脂層(ポリウレタン樹脂)を表面層に設けた構成とした。また、各実施例1〜3及び比較例では、いずれも、表面層の繊維強化樹脂層を構成する繊維シートを目付が600g/m
2のガラスマットとした。また、各実施例1〜3及び比較例では、いずれも、表面層の繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物を無発泡性(発泡倍率1倍)のポリウレタン樹脂とし、塗布量を200g/m
2とした。また、実施例1〜3では、繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物に、遮光性顔料としてのカーボンブラックを含有させた構成とし、実施例1では、含有率を1%、実施例2では、含有率を3%、実施例3では、含有率を5%とした。一方、比較例では、いずれの層にも遮光性顔料を含有させていない構成とした。
【0052】
各実施例の化粧パネル及び比較例の化粧パネルに対して、以下のような評価試験を行った。
<標準環境遮光性評価>
壁から300mm離れた位置となる天井に照明器具を設けた第1室と暗室とを区画する壁の開口に各実施例の化粧パネル及び比較例の化粧パネルを、暗室側が表面層となるように設置した。また、第1室側の照明器具を点灯させた状態で、暗室側の照度を照度計(コニカミノルタ社製 T−10A)によって測定し、標準的な環境下における遮光性を評価した。測定点は、各化粧パネルの暗室側面の床からの高さが1600mmの位置(四周枠内のコア材に相当する位置)とした。また、照度計の測定部を各化粧パネルの暗室側面に当接させ、測定点近傍で3箇所の照度を測定し、これらの平均照度を測定点における照度とした。また、当該測定点の第1室側の照度(パネル厚さ方向に沿う方向(鉛直面)の照度)を測定したところ、361(lx)であった。結果は、表1に示すように、実施例1では、暗室側の測定点の照度が0.02(lx)であり、注視すれば僅かな透光(光漏れ)が確認できる程度であった。実施例2及び実施例3では、いずれも、暗室側の測定点の照度が0.00(lx)であり、目視での光漏れの確認は不可能であった。一方、比較例では、暗室側の測定点の照度が0.17(lx)であり、目視で光漏れが確認できた。
【0053】
<直射日光疑似環境遮光性評価>
測定点の第1室側の照度(パネル厚さ方向に沿う方向の照度)が日光照射状態に近似する照度(100000(lx))となるように、各化粧パネルの測定点の第1室側面から法線方向(パネル厚さ方向)に300mm離間した位置に照明器具を設置した。この照明器具を点灯させた状態で、実施例2及び比較例の各化粧パネルの暗室側の測定点の照度を上記同様にして照度計によって測定し、日光照射状態に近似させた環境下における遮光性を評価した。結果は、表1に示すように、実施例2では、暗室側の測定点の照度が0.04(lx)であり、注視すれば僅かな光漏れが確認できる程度であった。一方、比較例では、暗室側の測定点の照度が47.1(lx)であり、目視で光漏れが確認でき、コア材のセルを比較的に明瞭に視認できた。
【表1】
以上の結果から、表面層に遮光性顔料を含有させた実施例1〜3の各化粧パネルは、表面層の薄型化が可能で軽量化を図れながらも、遮光性にも優れることが示された。