(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜
図3は、本実施形態に係る表面化粧パネルの一例、これを備えた化粧パネルの一例及び表面化粧パネル製造方法の一例を模式的に示す図である。
【0012】
本実施形態に係る表面化粧パネル20は、
図1に示すように、化粧層22と、この化粧層22の厚さ方向一方側に設けられた表層側樹脂層23と、この表層側樹脂層23の厚さ方向一方側に設けられガラス繊維を含む繊維強化樹脂層26と、を備えている。
また、本実施形態に係る化粧パネル1は、この表面化粧パネル20を、パネル芯材10に貼着した構成とされている。また、化粧パネル1は、パネル芯材10のパネル厚さ方向両側に表面化粧パネル20,20を設けた構成とされている。
【0013】
この化粧パネル1は、
図2(a)に示すように、一方向に長尺な略矩形平板状とされている。この化粧パネル1は、本実施形態のように、厚さ方向両側を化粧面とした場合には、出入口や収納開口を開閉する建具パネルやパーティション等の間仕切パネル、家具構成部材等として用いられるものとしてもよい。また、このように厚さ方向両側を化粧面とした態様に代えて、パネル芯材10のパネル厚さ方向一方側のみに表面化粧パネル20を設けた構成としてもよい。この場合にも上記同様の用途に用いることが可能である。また、化粧パネル1は、パネルの一部、例えば、框状パネルの框部や鏡板部を構成するように用いられるものでもよい。また、化粧パネル1は、反化粧面側が取付下地側に向けて配される天井パネルや壁パネル(間仕切壁パネル)、腰壁パネル、床パネル、巾木パネル、廻縁パネル、開口枠パネル等として用いられるものでもよい。
【0014】
また、この化粧パネル1の長さ寸法(上下寸法、高さ寸法)や、幅寸法、厚さ寸法等は、当該化粧パネル1の用途等に応じて、適宜の寸法としてもよい。
例えば、化粧パネル1を、建具パネルとして用いられるものとした場合には、当該化粧パネル1の上下寸法(戸高寸法)を1800mm〜3000mm程度とし、戸幅寸法を600mm〜1200mm程度とし、戸厚寸法を20mm〜40mm程度としてもよい。また、この場合には、化粧パネル1の適所に、開閉する際のハンドルや引手等を設けたり、錠装置や、蝶番等の回転連結部材、ランナーや戸車等の走行部材、ガイド溝等を設けたりしてもよい。
【0015】
パネル芯材10は、
図2(b)に示すように、四周枠12,13,13,14を含む枠体11で囲まれた空間にコア材16が収容された構成とされている。つまり、化粧パネル1は、中実板状ではなく、中空状のパネル芯材10のパネル厚さ方向両側に表面化粧パネル20,20を設けたいわゆるフラッシュパネル状とされている。
枠体11は、四周枠12,13,13,14を構成する上横枠12、左右一対の縦枠13,13及び下横枠14を備えている。また、枠体11は、左右の縦枠13,13に架け渡されるように上下に間隔を空けて設けられた複数本の横桟15,15を備えている。また、図例では、下横枠14の上側に、桟材を積層した構成とされたものとした例を示している。また、下横枠14の左右(長手方向)両端部の上側に、戸車等の走行部材の取付孔の加工下地となる下地部材を積層した例を示している。なお、当該化粧パネル1の用途等に応じて、上横枠12の左右両端部の下側や一方の縦枠13の内方側に、上述のようなランナー等の走行部材やハンドル、錠装置等の取付孔の加工下地や取付下地を設けた構成としてもよい。また、上横枠12の下側にも同様な桟材を設けた構成とされたものとしてもよい。また、枠体11に、横桟15を設けた態様に代えて、または加えて、上下方向に長尺な縦桟を設けた構成としてもよい。
【0016】
また、これら四周枠12,13,13,14及び横桟15は、略四角柱状とされ、パネル厚さ方向両面が略同一平面状となるように、パネル厚さ方向に沿う寸法が互いに略同寸法とされている。また、図例では、これら四周枠12,13,13,14及び横桟15の長さ方向及びパネル厚さ方向に沿う方向に直交する方向の幅寸法を、互いに略同寸法とした例を示している。
枠体11を構成するこれら四周枠12,13,13,14及び横桟15は、木質系材料及び合成樹脂系材料の両方または一方から形成されている。つまり、四周枠12,13,13,14及び横桟15は、金属製のフレーム状の桟や補強材等を用いた構成とされておらず、木質系材料及び合成樹脂系材料の両方または一方を、主たる材料として形成されている。木質系材料としては、合板やLVL(単板積層材)等の木質積層板や、PB(パーティクルボード)等の木質ボード、MDF(中密度繊維板)やハードボード等の木質繊維板などが挙げられる。また、木質系材料としては、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)としてもよい。また、合成樹脂系材料としては、種々の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0017】
また、本実施形態では、
図1(b)及び
図2(b)に示すように、両縦枠13,13のパネル幅方向外側に向く外側面に、後記する表面化粧パネル20,20の差込片部20c,20cが差し込まれる差込溝13a,13aを全長に亘って設けた構成としている。これらパネル幅方向両側の差込溝13a,13aは、パネル幅方向外側に向けて開口するように設けられている。また、これら差込溝13a,13aを、各縦枠13,13のパネル厚さ方向略中心に位置するように設けた構成としている。これら差込溝13a,13aのパネル幅方向に沿う溝深さ寸法及びパネル厚さ方向に沿う溝幅寸法は、表面化粧パネル20,20の差込片部20c,20cの差込性や保持性等の観点から適宜の寸法としてもよい。
【0018】
パネル芯材10のコア材16は、
図2(b)に示すように、枠体11で囲まれた空間に充填されるように収容されている。本実施形態では、上記のように上下(パネル長手方向)に間隔を空けて設けられた複数本の横桟15,15によって上下に区画された四周枠12,13,13,14内の各空間のそれぞれにコア材16を収容させた構成としている。このコア材16のパネル厚さ方向に沿う寸法は、枠体11のパネル厚さ方向に沿う寸法と略同寸法とされている。このようなコア材16としては、発泡ウレタン等の発泡樹脂系材料から成形された発泡成形体からなるものでもよいが、本実施形態では、パネル厚さ方向両側に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるハニカム状のコア材16としている。つまり、コア材16を、いわゆるペーパーコアとしている。また、このようなコア材16としては、段ボール原紙やクラフト紙等の紙材を接着剤で重積接着して形成されたものでもよい。また、コア材16としては、このような紙材に、エポキシ樹脂等の補強用の樹脂を更に含浸させたものでもよく、その他、アルミ材等の金属系材料や硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂系材料から形成されたものでもよい。
【0019】
また、図例では、コア材16の中空筒状セルを模式的に示しており、パネル幅方向に厚さ方向を沿わせた薄シート間に波形部(コルゲート部)を設けたものを例示しているが、このような態様に限られない。このコア材16としては、中空筒状セルが蜂の巣状(六角状)とされたものや、方形状とされたもの、円筒形状とされたもの等、中空筒状セルのセル形状が種々の形状とされたものでもよい。また、このコア材16は、ステイプル等の止具や接着剤等によって枠体11に固定されたものでもよい。なお、このコア材16の中空筒状セルのセルサイズ(セル径、セル幅)は、軽量化を図る観点や強度上の観点等から適宜のサイズとしてもよく、1mm以上100mm以下としてもよく、好ましくは、5mm以上15mm以下としてもよい。
【0020】
表面化粧パネル20は、薄板状とされている。この表面化粧パネル20は、種々の化粧パネル1の化粧面を構成する表面材として従来から用いられているMDF等の木質系材料を基材とする表面材と同様な厚さ(例えば、3mm程度)とされたものでもよいが、用途等に応じて適宜の厚さとされたものでもよい。例えば、この表面化粧パネル20の厚さを、0.5mm〜5.0mm程度としてもよく、好ましくは1.0mm以上3.0mm以下としてもよく、より好ましくは1.5mm以上2.0mm以下としてもよい。
本実施形態では、表面化粧パネル20の表層側樹脂層23を、熱可塑性樹脂シート23としている。また、表面化粧パネル20の化粧層22を、この熱可塑性樹脂シート23とによって表面シート21を構成する薄シート状とされた化粧シート22としている。
【0021】
表面シート21を構成する化粧シート22としては、天然木材(銘木)から形成された突板等の単板(化粧単板)や、木目柄等の種々の柄(模様)が印刷された化粧印刷紙や合成樹脂系の樹脂シート(フィルム)等としてもよい。樹脂フィルムとしては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム等が例示される。また、樹脂フィルムの厚さとしては、例えば、0.02mm〜1.0mm、好ましくは0.05mm〜0.2mmの範囲が例示される。
【0022】
また、化粧シート22を構成する化粧単板の厚さとしては、例えば、0.2mm〜1.0mmの範囲が例示される。また、化粧シート22を化粧単板とする場合には、化粧単板の裏面側に接着剤を介して不織布等の裏打ち材が貼着されたものでもよい。この場合の接着剤としては、化粧単板に水分が移行しにくい非水溶性接着剤が好ましく例示される。非水溶性接着剤としては、例えば、溶液型のアクリル共重合体、合成ゴム系の接着剤、熱可塑性合成樹脂であるホットメルト系の接着剤を単独または2種類以上を併用したもの等を例示することができる。ホットメルト系接着剤としては、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)やウレタン系ホットメルト(PUR)等が例示される。また、エポキシ樹脂系、ウレタン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系の接着剤等を単独または2種類以上を併用したものを例示することができる。
【0023】
また、表面シート21を構成する熱可塑性樹脂シート23は、化粧シート22の厚さ方向一方側となる裏面側の略全面に亘って裏打ち材(バッカー材)状に設けられている。この熱可塑性樹脂シート23と化粧シート22とは、上記同様な種々の接着剤を介して積層一体化されたものでもよい。また、この熱可塑性樹脂シート23は、後記する繊維強化樹脂層26に含まれる強化繊維を含んでいない構成とされている。
また、この熱可塑性樹脂シート23を構成する樹脂は、ポリプロピレン樹脂やABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々の熱可塑性樹脂でもよく、好ましくは、ポリプロピレン樹脂またはABS樹脂でもよい。
【0024】
また、この熱可塑性樹脂シート23の厚さは、表面化粧パネル20の折り曲げられた角部外観を含む表面外観(表面平滑性)を向上させる観点や寸法安定性、生産性等の観点から適宜の厚さとしてもよい。例えば、この熱可塑性樹脂シート23の厚さを、0.03mm〜1.0mm程度としてもよく、好ましくは0.05mm〜0.6mm程度、更に好ましくは、0.15mm〜0.5mm程度としてもよい。この熱可塑性樹脂シート23の厚さが小さ過ぎれば、表面外観が低下する傾向があり、熱可塑性樹脂シート23の厚さが大き過ぎれば、当該熱可塑性樹脂シート23による熱膨張の影響が大となる傾向がある。
【0025】
表面シート21の厚さ方向一方側となる裏面側に設けられる繊維強化樹脂層26は、厚さが0.5mm〜3mmとされている。この繊維強化樹脂層26の厚さは、表面化粧パネル20(化粧パネル1)の用途等に応じて適宜の厚さとしてもよい。また、この繊維強化樹脂層26の厚さは、1mm〜2mm程度でもよく、1.5mm以下でもよい。
また、繊維強化樹脂層26は、熱硬化性樹脂を樹脂主成分としている。この繊維強化樹脂層26を構成する未硬化の樹脂組成物24(
図3(b)、(c)参照)としては、無発泡性または低発泡性の樹脂組成物24が例示される。この樹脂組成物24の発泡倍率は、その種類にもよるが、発泡倍率が7倍以下、より好ましくは5倍以下の低発泡性のものでもよい。また、樹脂組成物24としては、発泡倍率が1倍〜5倍、より好ましくは1倍〜3倍、さらに好ましくは1倍〜2倍のものでもよい。
【0026】
また、樹脂組成物24としては、比較的に低温(例えば、40℃以上90℃以下、好ましくは80℃以下)で硬化する低温硬化性の熱硬化性樹脂としてもよい。これによれば、低温で硬化させることができ、また、表面シート21への熱負荷を軽減することができ、表面外観の劣化を抑制することができる。
例えば、この樹脂組成物24の樹脂主成分としては、ウレタン(ポリウレタン)樹脂やフェノール樹脂等の種々の熱硬化性樹脂を単独または2種類以上を併用したものが例示されるが、本実施形態では、ポリウレタン樹脂としている。これによれば、表面シート21への接着性に優れ、ガラス繊維への含浸性にも優れたものとなる。また、このようなポリウレタン樹脂としては、耐水性を有したエーテル系やひまし油系のポリウレタン樹脂が好ましく例示される。なお、樹脂組成物24には、硬化剤や難燃材等の各種添加剤を添加することができる。
【0027】
また、繊維強化樹脂層26に含まれる樹脂の質量、つまり、繊維強化樹脂層26に含まれる樹脂を構成する未硬化の樹脂組成物24の質量と繊維強化樹脂層26に含まれるガラス繊維の質量との質量比は、1:2.5〜1:6とされている。つまりは、繊維強化樹脂層26に含まれる樹脂の質量1g/m
2に対するガラス繊維の質量が2.5〜6g/m
2とされている。この樹脂とガラス繊維との質量比は、好ましくは、1:3.5〜1:5としてもよい。繊維強化樹脂層26に含まれる樹脂量に対してガラス繊維量を少なくし過ぎれば、換言すれば、ガラス繊維量に対して樹脂量を多くし過ぎれば、重くなる傾向がある。一方、繊維強化樹脂層26に含まれる樹脂量に対してガラス繊維量を多くし過ぎれば、剛性が低下したり、成形し難くなったりする傾向がある。
この繊維強化樹脂層26に含まれる樹脂(未硬化の樹脂組成物24)の質量は、上記のような質量比となるように、繊維強化樹脂層26に含まれるガラス繊維の質量や、繊維強化樹脂層26の目標とする質量や厚さ等に応じて適宜の質量としてもよい。この樹脂組成物24の質量(単位面積(1m
2)当たりの質量)を、例えば、80g/m
2以上としてもよく、好ましくは100g/m
2以上としてもよい。また、軽量化を図る観点やコスト等の観点からは、樹脂組成物24の質量を、500g/m
2以下としてもよく、好ましくは400g/m
2以下としてもよい。
【0028】
また、繊維強化樹脂層26に含まれるガラス繊維の質量(単位面積(1m
2)当たりの質量)は、上記のような質量比となるように、樹脂組成物24の質量に応じて適宜の質量としてもよく、例えば、600g/m
2以上としてもよく、1500g/m
2以下としてもよい。また、これらガラス繊維及び樹脂の質量を、繊維強化樹脂層26全体の質量が1600g/m
2以下となるような質量としてもよい。
また、本実施形態では、この繊維強化樹脂層26に含まれるガラス繊維をシート状とされたガラス繊維シート25としている(
図3(b)、(c)参照)。つまり、この繊維強化樹脂層26は、
図3(b)〜(d)に示すように、ガラス繊維シート25に、未硬化の樹脂組成物24が含浸されこの樹脂組成物24が硬化した構成とされている。また、本実施形態では、この繊維強化樹脂層26に含まれるガラス繊維を、複数枚のガラス繊維シート25を厚さ方向に積層した構成としている。
【0029】
ガラス繊維シート25としては、織布や不織布、マット等が例示される。織布としては、例えば、縦糸及び横糸にガラスロービングを用いて製織した平織、絡み織等の織物であるガラスクロス等が例示される。不織布としては、例えば、長さ約10mmのガラス繊維を水中分散させた後に、湿式抄紙法によってすくい取り、脱水、シート化させて、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の接着剤を塗布したものであるガラスペーパー等が例示される。マットとしては、長繊維状(例えば、長さ30mm前後、好ましくは長さ50mm前後)に切断したガラスストランドを、不均一な配向となるように、無方向に均等に分散させ、ポリエステルバインダー等の結合剤を用いてマット状に成形したものであるガラスマット等が例示される。
【0030】
また、各ガラス繊維シート25の厚さとしては、例えば、0.1mm〜0.5mmの範囲が例示される。また、ガラス繊維シート25をガラスマットとした場合には、厚さを、0.3mm〜0.5mm程度としてもよく、ガラスクロスとした場合には、厚さを、0.1mm〜0.3mm程度としてもよい。また、ガラスクロスの密度としては、例えば、30〜120本/25mmのものが例示される。また、ガラスクロスを構成するガラス糸の番手(太さ)としては、例えば、67〜135tex(g/1000m)の範囲が例示される。
各ガラス繊維シート25の目付としては、例えば、100g/m
2以上700g/m
2以下の範囲が例示され、好ましくは150g/m
2以上としてもよく、より好ましくは250g/m
2以上としてもよい。
【0031】
また、厚さ方向に積層される各ガラス繊維シート25は、互いに異なる目付とされたものでもよいが、好ましくは、互いに略同目付または厚さ方向両側が略均等目付となるような目付としてもよい。例えば、奇数枚のガラス繊維シート25が積層されたものでは、厚さ方向中央のガラス繊維シート25を挟んで厚さ方向両側に設けられるガラス繊維シート25の各層同士(厚さ方向中央層の両側に設けられる1層目同士や2層目同士)を、略同目付としてもよい。
また、ガラス繊維シート25としては、ガラスマットまたはガラスクロスが好ましい。
また、繊維強化樹脂層26に、ガラス繊維シート25に加えて、植物繊維の織布、不織布、フィルム、紙またはマットが積層されたものでもよい。植物繊維としては、植物繊維マットや製紙に用いられる植物繊維であれば特に限定されないが、ガラス繊維シート25の強度や耐久性、寸法安定性等を考慮すると、麻系天然繊維、ヤシ繊維または農産廃棄物繊維のいずれか1種以上であることが好ましい。
【0032】
また、ガラス繊維シート25への未硬化の樹脂組成物24の含浸は、樹脂組成物24を貯留する容器内にガラス繊維シート25を浸漬させた後に、余剰分を適宜、絞り取る態様や、ガラス繊維シート25にスプレーやローラー等によって塗布する態様としてもよい。または、後記する製法例のように、上記した表面シート21を構成する熱可塑性樹脂シート23の裏面側となる厚さ方向一方側に、スプレーやローラー等によって塗布された樹脂組成物24にガラス繊維シート25を積層することで、ガラス繊維シート25に結果的に樹脂組成物24が含浸される態様等としてもよい。
【0033】
なお、繊維強化樹脂層26及び表層側樹脂層(熱可塑性樹脂シート)23のうちの両方または一方に、遮光性顔料を含有させた構成としてもよい。このような遮光性顔料としては、黒色顔料や、黒色以外の赤色や青色等の他の色の比較的に濃色な顔料、複数色の顔料を混合した顔料などでもよく、比較的に隠蔽性の高い淡色な顔料が挙げられる。また、遮光性顔料としては、隠蔽性や分散性の良好な顔料が好ましく採用され、隠蔽性の観点からは、無機顔料としてもよい。このような隠蔽性や分散性等の観点から遮光性顔料としてカーボンブラックを採用するようにしてもよい。また、カーボンブラック以外の黒色顔料としては、グラファイトなどの炭素系黒色顔料や、鉄や銅、クロムなどの酸化物からなる酸化物系黒色顔料、チタンブラックなどが挙げられるが、その他、種々の黒色顔料でもよい。比較的に濃色な顔料としては、弁柄等の酸化鉄が挙げられ、また、隠蔽性の高い淡色な顔料としては、酸化チタンや亜鉛華(酸化亜鉛)が挙げられるが、その他、種々の顔料でもよい。また、遮光性顔料の含有率は、遮光性が付与されるように適宜の含有率としてもよい。
【0034】
本実施形態では、上記のような構成とされた表面化粧パネル20を、
図1に示すように、パネル幅方向両端面に継目が位置するようにパネル芯材10のパネル厚さ方向両側のそれぞれに対状に設けた構成としている。つまり、2枚の表面化粧パネル20,20を設けた構成としている。また、これら2枚の表面化粧パネル20,20を、化粧パネル1の四周表面(厚さ方向両面及び幅方向両端面)が化粧面となるように、パネル芯材10の四周表面(パネル厚さ方向両面及びパネル幅方向両端面)に設けた構成としている。
これら表面化粧パネル20,20は、互いに同様の構成とされ、パネル芯材10の角部に応じた位置となるように、厚さ方向一方側となる裏面側に折曲溝(角部折曲溝)27,27,27,27を設けた構成とされている。また、本実施形態では、これら表面化粧パネル20,20の裏面側に、角部折曲溝27,27,27,27に加えて、パネル芯材10の差込溝13a,13aの両開口縁に応じた位置となるように、端部折曲溝28,28,28,28を設けた構成としている。
【0035】
これら角部折曲溝27及び端部折曲溝28は、少なくとも化粧シート22を残すように各表面化粧パネル20,20の裏面側に設けられている。
各表面化粧パネル20,20は、これら角部折曲溝27及び端部折曲溝28の部位において残存する少なくとも化粧シート22の部位がヒンジ部(折曲部)のように機能し、これらの部位において折り曲げ可能とされている。
また、本実施形態では、これら角部折曲溝27及び端部折曲溝28を、溝底が表層側樹脂層を構成する熱可塑性樹脂シート23に位置するように設けた構成としている(
図1(b)参照)。つまり、これら角部折曲溝27及び端部折曲溝28を、溝底が熱可塑性樹脂シート23に留まり、化粧シート22に達しないように、かつ繊維強化樹脂層26の厚さ方向の全体に亘って設けた構成としている。
【0036】
これら角部折曲溝27及び端部折曲溝28が設けられた部位の熱可塑性樹脂シート23の厚さ、つまり、溝底側の残り厚さは、上記のようにヒンジ部として機能するように、化粧シート22の厚さや熱可塑性樹脂シート23の厚さに応じて、適宜の厚さとしてもよい。図例では、熱可塑性樹脂シート23の溝底側の残り厚さを、熱可塑性樹脂シート23の全体厚さの1/2程度とした例を示しているが、このような厚さに限られない。
また、角部折曲溝27,27は、パネル芯材10の厚さ方向一方面に沿わせられる表面化粧パネル20の表面側片部20aと、パネル芯材10の幅方向各端面に沿わせられる側端面片部20b,20bと、の境界部に位置するように設けられている。
また、端部折曲溝28,28は、側端面片部20b,20bと、パネル芯材10の差込溝13a,13aに差し込まれる差込片部20c,20cと、の境界部に位置するように設けられている。パネル厚さ方向両側の表面化粧パネル20,20の差込片部20c,20c,20c,20cは、パネル芯材10の差込溝13a,13aに嵌め込まれるように納められる。
【0037】
また、本実施形態では、角部折曲溝27,27を、これら角部折曲溝27,27において折り曲げられて形成された角部が略直角状となるように表面化粧パネル20の裏面側に設けた構成としている。図例では、これら角部折曲溝27,27を、溝長手方向に見て略V字溝状とされた単一の溝からなるものとした例を示している。なお、このような態様に代えて、これら角部折曲溝27,27において折り曲げられて形成された角部がR面取り形状やC面取り形状となるように、これら角部折曲溝27,27のそれぞれを、複数条の溝からなるものとしてもよい。また、端部折曲溝28,28は、これら端部折曲溝28,28において折り曲げられて形成された角部が略直角状となるように表面化粧パネル20の裏面側に設けられている。
上記構成とされたパネル厚さ方向両側の表面化粧パネル20,20がパネル芯材10の四周表面に貼着されて当該化粧パネル1の四周表面が化粧面とされる。これら表面化粧パネル20,20のパネル芯材10への貼着は、上記同様な適宜の接着剤等を用いてなされたものでもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係る表面化粧パネル20を製造する表面化粧パネル製造方法の一例について、
図3を参照して説明する。
同表面化粧パネル製造方法は、表面シート21の厚さ方向一方側となる裏面側に、熱硬化性樹脂を樹脂主成分とする樹脂とガラス繊維とを質量比が1:2.5〜1:6となるように供給し、厚さが0.5mm〜3mmの繊維強化樹脂層26を形成する構成とされている。
また、同製造方法では、互いに向き合う面が平坦面とされた上下の成形型2,3を用いて表面化粧パネル20を製造する構成としている。このような成形型2,3としては、樹脂組成物24の種類にもよるが、硬化に加熱を要する場合には、ヒーターや熱媒体が流通される媒体流通路が設けられたものでもよい。つまり、成形型2,3を、ホットプレスとしてもよい。
【0039】
まず、
図3(a)に示すように、上下の成形型2,3のうちの下成形型2の上面に、化粧面を対面させるようにして表面シート21を載置する。つまり、表面シート21を、その裏面側となる熱可塑性樹脂シート23側を上側に配した状態で、下成形型2上に載置する。本実施形態では、
図3(b)、(c)に示すように、この表面シート21の裏面側に、複数枚(図例では、2枚)のガラス繊維シート25,25を配して繊維強化樹脂層26を形成する構成としている。また、表面シート21の裏面側に、未硬化の樹脂組成物24の供給とガラス繊維シート25の載置とを交互に行うようにしている。つまり、表面シート21の裏面側に、未硬化の樹脂組成物24を供給した後に1枚目のガラス繊維シート25を配し、この1枚目のガラス繊維シート25の裏面側に未硬化の樹脂組成物24を供給した後に2枚目のガラス繊維シート25を配するようにしている。なお、3枚以上のガラス繊維シート25を設ける場合にも同様である。
【0040】
樹脂組成物24の供給毎の塗布量は、樹脂組成物24全体の質量が上記のような質量となるように、適宜の塗布量としてもよく、積層される各ガラス繊維シート25,25の目付に応じた塗布量としてもよい。また、樹脂組成物24の供給は、一様な塗布量でスプレーやローラー等を用いて塗布するようにしてもよい。
上記のように供給された樹脂組成物24上にガラス繊維シート25を積層することで、樹脂組成物24が含浸される。そして、
図3(c)、(d)に示すように、上下の成形型2,3によって圧締する。この際、上成形型3の下面に、適宜の離型剤を塗布しておくようにしてもよい。また、適宜のプレス圧で圧締するようにしてもよい。また、必要に応じて加熱し、樹脂組成物24を硬化させるようにしてもよい。
【0041】
なお、上記した本実施形態に係る表面化粧パネル製造方法の各工程や順序等は一例に過ぎず、別順序でなされるものでもよく、種々の変形が可能である。
例えば、上記のような態様に代えて、樹脂組成物24が含浸されたガラス繊維シート25を表面シート21に積層する態様や、表面シート21にガラス繊維シート25を積層した状態で、樹脂組成物24をガラス繊維シート25に塗布する態様等としてもよい。さらには、樹脂組成物24を含むプリプレグ状のガラス繊維シート25(または硬化された繊維強化樹脂層26)と、表面シート21と、を積層一体化(接着も含む)するようにしてもよい。また、上記のようにバッチ成形的に製造する態様に限られず、連続成形的に製造するような態様としてもよい。例えば、長尺状とされた表面シート21を搬送しながら樹脂組成物24やガラス繊維シート25を供給し、圧締し、適宜、裁断等として表面化粧パネル20を製造するような態様等としてもよく、その他、種々の変形が可能である。
【0042】
また、必要に応じて、上記のような折曲溝27,28を切削等によって表面化粧パネル20の裏面側に設けるようにしてもよい。また、表面化粧パネル20をパネル芯材10に貼着し、化粧パネル1を製造するようにしてもよい。
上記のような製造方法によれば、表面化粧パネル20を効果的に製造することができる。
つまり、化粧層を構成する化粧シート22の裏面に未硬化の樹脂組成物等を供給して表層側樹脂層23を形成するようなものと比べて、化粧層を構成する比較的に薄い化粧シート22の外観劣化等を生じ難くすることができる。また、表面シート21が表層側樹脂層を構成する熱可塑性樹脂シート23によって言わば裏打ちされているので、取扱性が良く、容易に成形することができる。また、表面シート21の基材を熱可塑性樹脂シート23としているので、熱硬化性樹脂シートとした場合と比べて、柔軟であり、ロール状に巻いた状態とされた表面シート21を繰り出しながら供給して連続成形的に製造するようなことも容易に可能となる。
【0043】
本実施形態に係る表面化粧パネル20及びこれを備えた化粧パネル1は、上述のような構成としたことで、変形の抑制が可能で、かつ表面外観を向上させることができる。
つまり、化粧層(化粧シート)22と繊維強化樹脂層26との間に表層側樹脂層(熱可塑性樹脂シート)23を設けた構成としている。従って、繊維強化樹脂層26に含まれるガラス繊維による凹凸が表面に生じ難くなり、表面平滑性を向上させることができ、表面の外観を向上させることができる。また、樹脂とガラス繊維との質量比が1:2.5〜1:6とされ、かつ厚さが0.5mm〜3mmとされた熱硬化性樹脂を樹脂主成分とする繊維強化樹脂層26を設けた構成としている。従って、比較的に薄くして軽量化を図ることが可能でありながらも、従来のMDF等の木質板を基材としたものと比べて、反り等の変形を生じ難くすることができる。つまり、上記構成によれば、樹脂に対して比較的に多量で所定割合のガラス繊維を含有させた構成としているので、軽量化を図ることが可能でありながらも、適度な剛性を確保することができる。
【0044】
また、本実施形態では、繊維強化樹脂層26に含有されたガラス繊維を、複数枚のガラス繊維シート25,25を厚さ方向に積層した構成としている。従って、比較的に目付が大となる単層(1枚)のガラス繊維シート25を設けたようなものと比べて、ガラス繊維に対して少量となる樹脂が均一に設けられ易くなり、樹脂偏在による剛性の低下を抑制することができる。なお、このような態様に代えて、繊維強化樹脂層26を構成するガラス繊維を、単層のガラス繊維シート25からなるものとしたり、繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24に混練等によって添加されたものでもよい。
また、本実施形態では、繊維強化樹脂層26を構成する熱硬化性樹脂を、ポリウレタン樹脂としている。従って、ガラス繊維(ガラス繊維シート25)への含浸性が良好であるため、ガラス繊維に対して少量となる樹脂が均一に設けられ易くなり、樹脂偏在による剛性の低下を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、表層側樹脂層を熱可塑性樹脂シート23としている。従って、化粧層(化粧シート)22が設けられた熱可塑性樹脂シート23に対して繊維強化樹脂層26を設けることができ、例えば、化粧層を構成する化粧シート22に塗布等によって表層側樹脂層が設けられたものと比べて、当該表面化粧パネル20の表面平滑性を向上させることができる。つまり、樹脂塗布による化粧シート22の皺等の発生を抑制することができる。また、上記のように、表面シート21が柔軟となるので、成形性が向上される。なお、このような態様に代えて、表層側樹脂層を、熱硬化性樹脂シートとしたり、また、シート状とされたものに限られず、化粧層を構成する化粧シート22に塗布等によって表層側樹脂層が設けられたものでもよい。この場合は、表層側樹脂層を構成する樹脂を、繊維強化樹脂層26を構成する熱硬化性樹脂と同一樹脂としてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、当該表面化粧パネル20の厚さ方向一方側となる裏面側に、溝底が熱可塑性樹脂シート23に位置するように折曲溝27,28を設けた構成としている。従って、当該表面化粧パネル20の取付対象に角部があるような場合にも、折曲溝27,28の箇所で折り曲げて一連状に覆うことができる。これにより、複数枚の表面化粧パネル20を取付対象の角部において突き合わせたりするようなものと比べて、角部における見栄えを向上させることができる。また、折曲溝27,28を、溝底が熱可塑性樹脂シート23に位置するように設けているので、折り曲げられた角部において繊維強化樹脂層26に含まれるガラス繊維による凹凸等が生じ難くなり、角部表面の外観を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る化粧パネル1は、パネル芯材10と、このパネル芯材10に貼着される表面化粧パネル20と、を備えた構成とされている。従って、上記のように反り等の変形が抑制され、表面外観の良好な表面化粧パネル20によって化粧面が構成されるので、内装パネルや家具材等として好適なものとなる。これにより、例えば、当該化粧パネル1を、天井高程度の戸高寸法とされたハイドアを構成するものとした場合にも、パネル芯材10にフレーム状の金属製の補強材等を設ける必要性を生じ難くすることができる。
また、本実施形態では、パネル芯材10の角部に応じた位置となるように角部折曲溝27が設けられた表面化粧パネル20をパネル芯材10に貼着した構成としている。従って、上記のように、角部表面の外観を向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、パネル芯材10のパネル厚さ方向両側のそれぞれに表面化粧パネル20,20を設けた構成としている。従って、パネル厚さ方向両面側を、上記のような外観を向上させた化粧面とすることができ、また、反り等の変形をより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、パネル芯材10を、四周枠12,13,13,14を含む枠体11で囲まれた空間にコア材16が収容された構成としている。従って、パネル芯材10をコア材16のみや三辺以下に桟材を設けたようなものとした場合と比べて、化粧パネル1の強度を向上させることができ、建具等として好適に用いることができる。また、中実状のパネル芯材10としたものと比べて、軽量化を図ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、パネル芯材10の両側端部に、パネル厚さ方向両側の表面化粧パネル20,20の差込片部20c,20c,20c,20cが差し込まれる差込溝13a,13aを設けた構成としている。従って、表面化粧パネル20,20の端部を突き合わせて納めるようなものと比べて、表面化粧パネル20,20同士の継目を見栄え良く納めることができる。なお、このような態様に代えて、パネル厚さ方向一方側の表面化粧パネル20とパネル厚さ方向他方側の表面化粧パネル20とを、パネル幅方向の各端面において突き合わせたり、重ね合わせたりして納めるような態様等としてもよい。また、パネル厚さ方向一方側の表面化粧パネル20のみによってパネル幅方向の端面を覆うような態様等としてもよい。この場合は、パネル厚さ方向他方側の表面化粧パネル20には、折曲溝を設けないようにしてもよい。
【0050】
また、パネル厚さ方向両側に別体状に表面化粧パネル20,20をそれぞれに設けた態様に代えて、一連状の表面化粧パネル20によってパネル芯材10の四周表面を覆うような態様としてもよい。この場合は、パネル芯材10の一方側端部のみに差込溝13aを設けた態様としてもよい。また、表面化粧パネル20,20に折曲溝27,28を設けた態様に代えて、パネル芯材10の幅方向両端面を覆うように延出された表面シート21,21が折り曲げ貼着されてパネル芯材10の幅方向両端面が覆われるものとしてもよい。この場合は、表面シート21,21の端部が差し込まれる適宜の差込溝を、パネル芯材10に設けた構成としてもよい。
【0051】
また、パネル芯材10の四周表面を表面化粧パネル20によって覆った態様に代えて、パネル厚さ方向両面のみを表面化粧パネル20によって覆った態様としてもよい。この場合は、パネル芯材10のパネル幅方向の各端面を、別途のエッジシート等によって覆うような態様としてもよく、また、パネル幅方向の各端面を化粧面とせずに、パネル芯材10を露出させた態様等としてもよい。
また、上記のようにパネル芯材10のパネル厚さ方向両側に同様の表面化粧パネル20,20を設けた構成に代えて、パネル厚さ方向一方側のみに上記のような表面化粧パネル20を設けた構成としてもよい。この場合は、パネル厚さ方向他方側に、表面シート21を含まない繊維強化樹脂層26を設けたり、他の表面材を設けたりしてもよく、さらには、パネル芯材10を露出させた構成としてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、パネル芯材10の枠体11内にコア材16を収容させた構成とした例を示しているが、このようなコア材16を設けていない構成としてもよい。また、本実施形態では、パネル芯材10の桟材を、四周枠を構成する枠体11とした例を示しているが、三方枠状としたり、左右の縦枠13,13のみを桟材としたり、上下の横枠12,14のみを桟材としたりしてもよく、その他、種々の変形が可能である。
また、上記のような表面化粧パネル20は、化粧パネル1の化粧面を構成するように設けられたものに限られず、例えば、既設の開口枠や窓枠、廻縁、巾木等の既設内装建材を覆うカバー等として用いられるものでもよい。
また、上記した例では、化粧層を、化粧シート22とした例を示しているが、このような態様に限られず、塗膜層等としてもよい。
【0053】
次に、本発明に係る表面化粧パネルの実施例の一例及び比較例について説明する。
各実施例1〜4及び比較例1,2では、いずれも、表面シートを、化粧層を構成する0.05mm厚のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの裏面側に表層側樹脂層としてポリプロピレン樹脂シートを設けた構成とし、厚さを0.4mmとした。また、各実施例1〜4及び比較例1,2では、いずれも、繊維強化樹脂層を構成する樹脂を、無発泡性(発泡倍率1倍)のポリウレタン樹脂とし、ガラス繊維を、ガラスマットとした。また、各実施例1〜4及び比較例2では、いずれも、繊維強化樹脂層を、厚さが1.2mmとなるようにスペーサーによって規制した状態で成形した。つまり、各実施例1〜4及び比較例2では、いずれも、表面化粧パネルの厚さ(目標厚さ)を1.6mmとした。また、比較例1では、繊維強化樹脂層を、厚さが1.5mmとなるようにスペーサーによって規制した状態で成形した。つまり、比較例1では、表面化粧パネルの厚さ(目標厚さ)を1.9mmとした。
【0054】
実施例1では、繊維強化樹脂層を構成する樹脂の質量を302g/m
2とし、それぞれに目付が450g/m
2とされた2枚のガラスマットを積層した構成とした。つまり、実施例1では、樹脂とガラス繊維との質量比を、1:2.98とした。また、実施例1の繊維強化樹脂層の質量は、1202g/m
2であった。
実施例2では、繊維強化樹脂層を構成する樹脂の質量を309g/m
2とし、それぞれに目付が300g/m
2とされた3枚のガラスマットを積層した構成とした。つまり、実施例2では、樹脂とガラス繊維との質量比を、1:2.91とした。また、実施例2の繊維強化樹脂層の質量は、1209g/m
2であった。
【0055】
実施例3では、繊維強化樹脂層を構成する樹脂の質量を237g/m
2とし、ガラスマットを実施例2と同様の構成とした。つまり、実施例3では、樹脂とガラス繊維との質量比を、1:3.79とした。また、実施例3の繊維強化樹脂層の質量は、1137g/m
2であった。
実施例4では、繊維強化樹脂層を構成する樹脂の質量を282g/m
2とし、目付300g/m
2の中央層のガラスマットの厚さ方向両側のそれぞれに目付が450g/m
2とされたガラスマットを積層した構成とした。つまり、実施例4では、樹脂とガラス繊維との質量比を、1:4.25とした。また、実施例4の繊維強化樹脂層の質量は、1482g/m
2であった。
【0056】
比較例1では、繊維強化樹脂層を構成する樹脂の質量を500g/m
2とし、ガラスマットを実施例4と同様の構成とした。つまり、比較例1では、樹脂とガラス繊維との質量比を、1:2.40とした。また、比較例1の繊維強化樹脂層の質量は、1700g/m
2であった。
比較例2では、繊維強化樹脂層を構成する樹脂の質量を139g/m
2とし、ガラスマットを実施例2,3と同様の構成とした。つまり、比較例2では、樹脂とガラス繊維との質量比を、1:6.47とした。また、比較例2の繊維強化樹脂層の質量は、1039g/m
2であった。
【0057】
上記構成とされた各実施例1〜4及び比較例1,2の表面化粧パネルの試験片に対して、以下のような評価試験を行った。
<曲げ剛性>
JIS K7171に準拠し、幅20mm、長さ200mmの各試験片に対して、試験速度を10mm/min、支点間距離(スパン)を60mmとして曲げ試験(3点曲げ試験)を行い、曲げ剛性を測定(算出)した。結果は、表1に示すように、実施例1では、0.84N・m
2、実施例2では、0.96N・m
2、実施例3では、1.7N・m
2、実施例4では、1.52N・m
2、比較例1では、1.78N・m
2、比較例2では、0.65N・m
2であった。
<引張剛性>
JIS K7161に準拠し、幅20mm、長さ200mmの試験片に対して、試験速度を10mm/min、チャック(つかみ具)間距離(スパン)を150mmとして引張試験を行い、引張剛性を測定(算出)した。結果は、表1に示すように、実施例1では、5.7kN/m、実施例2では、6.3kN/m、実施例3では、7.0kN/m、実施例4では、7.1kN/m、比較例1では、6.85kN/m、比較例2では、5.17kN/mであった。
【表1】
表1に示すように、実施例1〜4の各表面化粧パネルは、軽量化が図れながらも剛性にも優れることが示された。一方、比較例1の表面化粧パネルは、各実施例の表面化粧パネルに比べて重く、比較例2の表面化粧パネルは、各実施例の表面化粧パネルに比べて剛性が低いことが示された。