(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示に関わる発明者ら、つまり、本発明者らは、「背景技術」で挙げた特許文献1及び非特許文献1に記載される技術を検討し、これらの技術から得られる被験者の運動機能に関する結果は、運動テスト中における被験者の努力の程度の影響を大きく受けることを見出した。これにより、本発明者らは、特許文献1及び非特許文献1に記載される技術において、被験者の運動機能の推定精度が低いという知見に至った。そこで、本発明者らは、運動テストでの計測結果から被験者の運動機能を推定する技術を検討し、推定精度を向上するために、以下に記載されるような技術を見出した。
【0015】
具体的には、本開示の一態様に係る運動テスト評価システムは、運動テストを行うユーザに装着され、前記ユーザの足の加速度値を取得する加速度センサと、前記運動テストを行う前記ユーザに装着され、前記ユーザの心拍数を計測する心拍センサと、処理回路と、出力部とを備え、前記処理回路は、前記加速度値に基づいて、第1の時間範囲における第1の最大加速度値と、前記第1の時間範囲よりも後の第2の時間範囲における第2の最大加速度値とを取得し、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値を用いて、前記運動テストの信頼スコアを算出し、前記信頼スコアが所定の閾値以上の場合、前記運動テスト中の前記ユーザの歩行速度と、前記心拍数とを取得し、前記歩行速度と前記心拍数とを用いて、前記ユーザの最大酸素摂取量を推定し、前記信頼スコアが所定の閾値未満の場合、前記歩行速度を取得し、前記歩行速度を用いて、前記最大酸素摂取量を推定し、前記出力部は、前記最大酸素摂取量を出力する。
【0016】
上記態様によれば、信頼スコアは、2つの時間範囲における第1の最大加速度値及び第2の最大加速度値の関係に関連し得る。ユーザが努力して運動テストを行うような信頼性のある運動テストと、ユーザが努力を怠って運動テストを行うような信頼性に欠ける運動テストとの間では、第1の最大加速度値及び第2の最大加速度値の関係が変化し、それにより、信頼スコアも変化する。このような信頼スコアは、運動テストの信頼度を数値的に示すことができる。また、運動テスト中のユーザの努力の度合いと心拍数とは、互いに影響を与える。このため、信頼スコアの値に応じて、最大酸素摂取量の推定方法が変わり得る。具体的には、第1の所定の閾値未満のような信頼性スコアが低い場合、心拍数を用いずに推定される最大酸素摂取量の推定精度が高くなる。第1の所定の閾値以上のような信頼スコアが高い場合、歩行速度及び心拍数による2つの要素を用いて推定される最大酸素摂取量の推定精度は高くなる。従って、運動テストからの被験者の運動機能の推定精度を向上することが、可能になる。
【0017】
本開示の一態様に係る運動テスト評価システムにおいて、前記加速度センサは、所定の時間範囲において、前記加速度値を取得し、前記所定の時間範囲は、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲を含み且つ時間的に順序付けられた複数の時間範囲を、含み、前記複数の時間範囲それぞれの最大加速度値のうちで、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値の一方は、最小であり、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値の他方は、最大であり、前記処理回路は、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲のうちで、前記一方の最大加速度値を有する時間範囲の時間的な順序の番号から、前記他方の最大加速度値を有する時間範囲の時間的な順序の番号を減じた差を、前記信頼スコアとして算出してもよい。
【0018】
上記態様によれば、ユーザが運動テストを努力して行っている場合、時間が経過するに従って、時間範囲の最大加速度が略一定である又は低下する。このため、信頼スコアが、正又は0の場合、ユーザが運動テストに努力して取り組んでおり、運動テストの結果に信頼性があると見なすことができる。一方、信頼スコアが負の値の場合、ユーザによる運動テストへの努力が欠如している可能性があり、運動テストの結果に信頼性が欠如している可能性がある。よって、信頼スコアは、運動テストの信頼度を簡易な方法で示すことができる。
【0019】
本開示の一態様に係る運動テスト評価システムにおいて、前記加速度センサは、所定の時間範囲における前記加速度値を取得し、前記所定の時間範囲は、前記第1の時間範囲、第3の時間範囲及び前記第2の時間範囲を、この順の時間的な順序で含み、前記処理回路は、前記加速度値に基づいて、前記第3の時間範囲における第3の最大加速度値を取得し、前記第1の最大加速度値、前記第2の最大加速度値及び前記第3の最大加速度値を加速度値の降順で並べた場合の順序の番号それぞれと、前記第1の最大加速度値、前記第2の最大加速度値及び前記第3の最大加速度値のそれぞれに対応する時間範囲の時間的な順序の番号それぞれとの差を取得し、前記差の絶対値の和を、前記信頼スコアとして算出してもよい。
【0020】
上記態様によれば、各時間範囲で取得される絶対値は、全ての時間範囲内での最大加速度の順序に関する番号と、全ての時間範囲内での時間的な順序に関する番号との差の絶対値である。そして、ユーザが運動テストを努力して行っている場合、時間が経過するに従って、時間範囲の最大加速度が略一定である又は低下するため、当該絶対値は、小さい値をとる。一方、ユーザによる運動テストへの努力が欠如している場合、当該絶対値は、大きい値をとる。このため、当該絶対値の和が大きくなる程、運動テストの信頼度が低下すると見なすことができる。よって、信頼スコアは、運動テストの信頼度を簡易な方法で示すことができる。
【0021】
本開示の一態様に係る運動テスト評価システムにおいて、前記処理回路は、前記加速度値に基づいて、前記ユーザの歩行周期を取得し、前記歩行周期に基づいて、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲を取得してもよい。上記態様によれば、歩行周期に基づいて取得される各時間範囲の最大加速度は、ユーザの歩行状態及びその変化を、詳細に且つ精度よく示すことができる。よって、信頼スコアの精度が向上する。
【0022】
本開示の一態様に係る運動テスト評価装置は、処理回路を備え、前記処理回路は、運動テスト中のユーザの足の加速度値を取得し、前記ユーザの心拍数を取得し、前記加速度値に基づいて、第1の時間範囲における第1の最大加速度値と、前記第1の時間範囲よりも後の第2の時間範囲における第2の最大加速度値とを取得し、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値を用いて、前記運動テストの信頼スコアを算出し、前記信頼スコアが所定の閾値以上の場合、前記運動テスト中の前記ユーザの歩行速度と、前記心拍数とを取得し、前記歩行速度と前記心拍数とを用いて、前記ユーザの最大酸素摂取量を推定し、前記信頼スコアが所定の閾値未満の場合、前記歩行速度を取得し、前記歩行速度を用いて、前記最大酸素摂取量を推定し、前記最大酸素摂取量を出力する。上記態様によれば、本開示の一態様に係る運動テスト評価システムと同様の効果が得られる。
【0023】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、運動テスト中のユーザの足の加速度値を取得させ、前記ユーザの心拍数を取得させ、前記加速度値に基づいて、第1の時間範囲における第1の最大加速度値と、前記第1の時間範囲よりも後の第2の時間範囲における第2の最大加速度値とを取得させ、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値を用いて、前記運動テストの信頼スコアを算出させ、前記信頼スコアが所定の閾値以上の場合、前記運動テスト中の前記ユーザの歩行速度と、前記心拍数とを取得し、前記歩行速度と前記心拍数とを用いて、前記ユーザの最大酸素摂取量を推定させ、前記信頼スコアが所定の閾値未満の場合、前記歩行速度を取得し、前記歩行速度を用いて、前記最大酸素摂取量を推定させ、前記最大酸素摂取量を出力させる。上記態様によれば、本開示の一態様に係る運動テスト評価システムと同様の効果が得られる。
【0024】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムにおいて、所定の時間範囲における前記加速度値を取得させ、ここで、前記所定の時間範囲は、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲を含み且つ時間的に順序付けられた複数の時間範囲を、含んでおり、前記複数の時間範囲それぞれの最大加速度値のうちで、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値の一方は、最小であり、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値の他方は、最大であり、さらに、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲のうちで、前記一方の最大加速度値を有する時間範囲の時間的な順序の番号から、前記他方の最大加速度値を有する時間範囲の時間的な順序の番号を減じた差を、前記信頼スコアとして算出させてもよい。
【0025】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムにおいて、所定の時間範囲における前記加速度値を取得させ、ここで、前記所定の時間範囲は、前記第1の時間範囲、第3の時間範囲及び前記第2の時間範囲を、この順の時間的な順序で含んでおり、さらに、前記加速度値に基づいて、前記第3の時間範囲における第3の最大加速度値を取得させ、前記第1の最大加速度値、前記第2の最大加速度値及び前記第3の最大加速度値を加速度値の降順で並べた場合の順序の番号それぞれと、前記第1の最大加速度値、前記第2の最大加速度値及び前記第3の最大加速度値のそれぞれに対応する時間範囲の時間的な順序の番号それぞれとの差を取得させ、前記差の絶対値の和を、前記信頼スコアとして算出させてもよい。
【0026】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムにおいて、前記加速度値に基づいて、前記ユーザの歩行周期を取得させ、前記歩行周期に基づいて、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲を取得させてもよい。
【0027】
本開示の一態様に係る運動テスト評価方法は、運動テスト中のユーザの足の加速度値を取得し、前記ユーザの心拍数を取得し、前記加速度値に基づいて、第1の時間範囲における第1の最大加速度値と、前記第1の時間範囲よりも後の第2の時間範囲における第2の最大加速度値とを取得し、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値を用いて、前記運動テストの信頼スコアを算出し、前記信頼スコアが所定の閾値以上の場合、前記運動テスト中の前記ユーザの歩行速度と、前記心拍数とを取得し、前記歩行速度と前記心拍数とを用いて、前記ユーザの最大酸素摂取量を推定し、前記信頼スコアが所定の閾値未満の場合、前記歩行速度を取得し、前記歩行速度を用いて、前記最大酸素摂取量を推定し、前記最大酸素摂取量を出力する。上記態様によれば、本開示の一態様に係る運動テスト評価システムと同様の効果が得られる。
【0028】
また、本開示の別の一態様に係る運動テスト評価システムは、運動テスト中のユーザに装着され、前記ユーザの足の加速度値を取得する加速度センサと、処理回路と、出力部とを備え、前記処理回路は、前記加速度値に基づいて、第1の時間範囲における第1の最大加速度値と、前記第1の時間範囲よりも後の第2の時間範囲における第2の最大加速度値とを取得し、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値を用いて、前記運動テストの信頼スコアを算出し、前記出力部は、前記信頼スコアを出力する。
【0029】
上記態様によれば、信頼スコアは、2つの時間範囲における第1の最大加速度値及び第2の最大加速度値の関係に関連し得る。ユーザが努力して運動テストを行うような信頼性のある運動テストと、ユーザが努力を怠って運動テストを行うような信頼性に欠ける運動テストとの間では、第1の最大加速度値及び第2の最大加速度値の関係が変化し、それにより、信頼スコアも変化する。このような信頼スコアは、運動テストの信頼度を数値的に示すことができる。これにより、例えば、運動テスト評価システムのユーザは、信頼スコアに基づき、運動テストの結果の信頼度を判断できる。また、この信頼度の判断を、運動テスト評価システムが、信頼スコアに基づき行ってもよい。この場合、運動テスト評価システムは、判断結果に基づき、運動テストの結果のエラー表示、運動テストの再テストの推奨等を行ってもよい。このように、運動テスト評価システムは、運動テスト中の足の加速度のようなユーザの情報を用いて、ユーザの運動機能の推定精度を向上することができる。
【0030】
本開示の別の一態様に係る運動テスト評価システムにおいて、前記加速度センサは、所定の時間範囲において、前記加速度値を取得し、前記所定の時間範囲は、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲を含み且つ時間的に順序付けられた複数の時間範囲を、含み、前記複数の時間範囲それぞれの最大加速度値のうちで、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値の一方は、最小であり、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値の他方は、最大であり、前記処理回路は、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲のうちで、前記一方の最大加速度値を有する時間範囲の時間的な順序の番号から、前記他方の最大加速度値を有する時間範囲の時間的な順序の番号を減じた差を、前記信頼スコアとして算出してもよい。
【0031】
上記態様によれば、ユーザが運動テストを努力して行っている場合、時間が経過するに従って、時間範囲の最大加速度が略一定である又は低下する。このため、信頼スコアが、正又は0の場合、ユーザが運動テストに努力して取り組んでおり、運動テストの結果に信頼性があると見なすことができる。一方、信頼スコアが負の値の場合、ユーザによる運動テストへの努力が欠如している可能性があり、運動テストの結果に信頼性が欠如している可能性がある。よって、信頼スコアは、運動テストの信頼度を簡易な方法で示すことができる。
【0032】
本開示の別の一態様に係る運動テスト評価システムにおいて、前記センサは、所定の時間範囲における前記加速度値を取得し、前記所定の時間範囲は、前記第1の時間範囲、第3の時間範囲及び前記第2の時間範囲を、この順の時間的な順序で含み、前記処理回路は、前記加速度値に基づいて、前記第3の時間範囲における第3の最大加速度値を取得し、前記第1の最大加速度値、前記第2の最大加速度値及び前記第3の最大加速度値を加速度値の降順で並べた場合の順序の番号それぞれと、前記第1の最大加速度値、前記第2の最大加速度値及び前記第3の最大加速度値のそれぞれに対応する時間範囲の時間的な順序の番号それぞれとの差を取得し、前記差の絶対値の和を、前記信頼スコアとして算出してもよい。
【0033】
上記態様によれば、各時間範囲で取得される絶対値は、全ての時間範囲内での最大加速度の順序に関する番号と、全ての時間範囲内での時間的な順序に関する番号との差の絶対値である。そして、ユーザが運動テストを努力して行っている場合、時間が経過するに従って、時間範囲の最大加速度が略一定である又は低下するため、当該絶対値は、小さい値をとる。一方、ユーザによる運動テストへの努力が欠如している場合、当該絶対値は、大きい値をとる。このため、当該絶対値の和が大きくなる程、運動テストの信頼度が低下すると見なすことができる。よって、信頼スコアは、運動テストの信頼度を簡易な方法で示すことができる。
【0034】
本開示の別の一態様に係る運動テスト評価システムにおいて、前記処理回路は、前記加速度値に基づいて、前記ユーザの歩行周期を取得し、前記歩行周期に基づいて、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲を取得してもよい。上記態様によれば、歩行周期に基づいて取得される各時間範囲の最大加速度は、ユーザの歩行状態及びその変化を、詳細に且つ精度よく示すことができる。よって、信頼スコアの精度が向上する。
【0035】
本開示の別の一態様に係る運動テスト評価装置は、処理回路を備え、前記処理回路は、運動テスト中のユーザの足の加速度値を取得し、前記加速度値に基づいて、前記第1の時間範囲における第1の最大加速度値と、前記第1の時間範囲よりも後の第2の時間範囲における第2の最大加速度値とを取得し、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値を用いて、前記運動テストの信頼スコアを算出し、前記信頼スコアを出力する。上記態様によれば、本開示の別の一態様に係る運動テスト評価システムと同様の効果が得られる。
【0036】
本開示の別の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、運動テスト中のユーザの足の加速度値を取得させ、前記加速度値に基づいて、第1の時間範囲における第1の最大加速度値と、前記第1の時間範囲よりも後の第2の時間範囲における第2の最大加速度値とを取得させ、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値を用いて、前記運動テストの信頼スコアを算出させ、前記信頼スコアを出力させる。上記態様によれば、本開示の別の一態様に係る運動テスト評価システムと同様の効果が得られる。
【0037】
本開示の別の一態様に係るコンピュータプログラムにおいて、所定の時間範囲における前記加速度値を取得させ、ここで、前記所定の時間範囲は、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲を含み且つ時間的に順序付けられた複数の時間範囲を、含んでおり、前記複数の時間範囲それぞれの最大加速度値のうちで、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値の一方は、最小であり、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値の他方は、最大であり、さらに、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲のうちで、前記一方の最大加速度値を有する時間範囲の時間的な順序の番号から、前記他方の最大加速度値を有する時間範囲の時間的な順序の番号を減じた差を、前記信頼スコアとして算出させてもよい。
【0038】
本開示の別の一態様に係るコンピュータプログラムにおいて、所定の時間範囲における前記加速度値を取得させ、ここで、前記所定の時間範囲は、前記第1の時間範囲、第3の時間範囲及び前記第2の時間範囲を、この順の時間的な順序で含んでおり、さらに、前記加速度に基づいて、前記第3の時間範囲における第3の最大加速度値を取得させ、前記第1の最大加速度値、前記第2の最大加速度値及び前記第3の最大加速度値を加速度の降順で並べた場合の順序の番号それぞれと、前記第1の最大加速度値、前記第2の最大加速度値及び前記第3の最大加速度値のそれぞれに対応する時間範囲の時間的な順序の番号それぞれとの差を取得させ、前記差の絶対値の和を、前記信頼スコアとして算出させてもよい。
【0039】
本開示の別の一態様に係るコンピュータプログラムにおいて、前記加速度値に基づいて、前記ユーザの歩行周期を取得させ、前記歩行周期に基づいて、前記第1の時間範囲及び前記第2の時間範囲を取得させてもよい。
【0040】
本開示の別の一態様に係る運動テスト評価方法は、運動テスト中のユーザの足の加速度値を取得し、前記加速度値に基づいて、第1の時間範囲における第1の最大加速度値と、前記第1の時間範囲よりも後の第2の時間範囲における第2の最大加速度値とを取得し、前記第1の最大加速度値及び前記第2の最大加速度値を用いて、前記運動テストの信頼スコアを算出し、前記信頼スコアを出力する。上記態様によれば、本開示の別の一態様に係る運動テスト評価システムと同様の効果が得られる。
【0041】
なお、上記の包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能な記録ディスク等の記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD−ROM等の不揮発性の記録媒体を含む。
【0042】
以下、実施の形態に係る運動テスト評価システム等を、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明される実施の形態は、包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ(工程)、並びにステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、以下の実施の形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0043】
[実施の形態1]
[1−1.実施の形態1に係る運動テスト評価システムの構成]
まず、
図1を参照して、実施の形態1に係る運動テスト評価システム100の構成を説明する。なお、
図1は、実施の形態1における運動テスト評価システム100の構成を示すブロック図である。運動テスト評価システム100は、運動テストを行う被験者に対する計測結果から、被験者の運動機能の状態を推定する。具体的には、本実施の形態に係る運動テスト評価システム100は、被験者の最大酸素摂取量を推定する。このため、本実施の形態に係る運動テスト評価システム100は、最大酸素摂取量推定システムとも呼ばれる。また、以下の説明において、被験者を、ユーザとも呼ぶ。
【0044】
本実施の形態での運動テストは、運動機能等のユーザの状態を検知するために行われる計測を意味する。ユーザの状態の例は、ユーザの歩行による移動能力である。歩行に関する運動テストの一例は、6分間歩行テスト(6−minute walk test:6MWT)である。6分間歩行テストは、一定の速度で歩く定量負荷試験である。具体的には、被験者が6分間できるだけ速く歩き、その結果得られる歩行距離に基づき、被験者の運動耐容能が評価される。
【0045】
例えば、6分間歩行テストは、ATS statement(アメリカ胸部学会ステートメント):guidelines for the six−minute walk
test、Am J Respir Crit Care Med(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine)社、2002年、166:111−117が参照される。
【0046】
歩行に関する運動テストのその他の例は、シャトルウォーキングテストである。シャトルウォーキングテストは、10mのコースを信号音に合わせて歩行するテストであり、最大運動能力を評価することができる。なお、運動テストは、歩行に限定されるものではなく、例えば、一定の距離を走行する走行テスト等の走行に関する運動テストであってもよい。
【0047】
図1に示すように、運動テスト評価システム100は、センサ110と、運動テスト評価装置300と、出力部170とを備える。運動テスト評価装置300は、最大酸素摂取量推定装置とも呼ばれる。さらに、運動テスト評価装置300は、処理回路200と、格納部130とを備える。運動テスト評価システム100は、1つの装置で構成されてもよく、複数の装置で構成されてもよい。運動テスト評価システム100は、その全て又は一部が何らかの装置に組み込まれ、当該装置の一部を構成してもよい。
【0048】
(センサ110)
センサ110は、心拍センサ111と、加速度センサ112とを含む。心拍センサ111は、ユーザの心拍を計測する。
図2に示されるように、心拍センサ111は、例えば、ユーザの手首、足首、又は胸に配置される。なお、
図2は、ユーザに装着される
図1のセンサ110の配置例を示す。心拍センサ111は、計測結果を処理回路200に出力する。
【0049】
加速度センサ112は、ユーザの身体の計測対象とする部分に取り付けられ、計測対象部分の加速度を計測する。加速度センサ112は、計測結果を処理回路200に出力する。本実施の形態では、加速度センサ112は、一方向の加速度を計測する一軸加速度センサであるが、直交する二方向の加速度を計測する二軸加速度センサであってもよく、直交する三方向の加速度を計測する三軸加速度センサであってもよい。二軸以上の加速度センサは、加速センサの配置方向に関係なく、所望の方向の加速度を検出することができる。
【0050】
限定するものではないが、本実施の形態では、加速度センサ112は、ユーザの足に取り付けられ、ユーザの進行方向における、足の加速度を計測する。このような加速度センサ112は、例えば、運動テスト中のユーザの足の加速度を計測する。運動テストの対象運動は、歩行又は走行を含む。ユーザの進行方向は、ユーザの歩行方向又は走行方向と同様の方向である。加速度センサ112は、運動中のユーザの足(foot)に装着され、具体的には、ユーザの足首付近の位置に配置される。ユーザの足首付近の位置は、足首、足の甲及び足の裏を含み得る。このような加速度センサ112は、例えば、
図2に示されるように、ユーザの少なくとも一方の足首に装着される。例えば、加速度センサ112は、ユーザの足首に巻き付けて装着されるバンド110aに配置される。又は、加速度センサ112は、ユーザの靴の内部に配置されてもよい。
【0051】
例えば、
図3を参照すると、加速度センサ112を用いて、運動中のユーザの足の加速度を計測した結果の例が、グラフで示されている。なお、
図3は、運動テストでの歩行時における加速度センサ112の進行方向の計測結果の一例を示し、具体的には、運動テストの1つである6分間歩行テストにおける一部の時間区間の加速度センサ112の計測結果の一例を示す。具体的には、
図3は、6秒間の期間にわたる加速度の計測データである。
図3の縦軸は、加速度(単位:mG)であり、横軸は、時間(単位:sec[秒])である。なお、1G=9.80665m/s
2である。
図3に示すグラフにおいて、ユーザの進行方向前方への加速度が正の値となる。
【0052】
(運動テスト評価装置300)
運動テスト評価装置300は、処理回路200及び格納部130を構成要素として備える。運動テスト評価装置300は、これらの構成要素を含むハードウェアで構成されてもよい。このような運動テスト評価装置300は、例えば、コンピュータ装置、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、プロセッサ、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)などの回路、ICカード(Integrated Circuit Card)又は単体のモジュール等であってもよい。運動テスト評価装置300は、センサ110と共に、
図2に示すバンド110aに配置され、出力部170又は出力部170を備える装置等と、有線通信又は無線通信してもよい。又は、運動テスト評価装置300は、センサ110から離れた位置に配置され、センサ110と有線通信又は無線通信してもよい。この場合、運動テスト評価装置300は、単独で1つのモジュールを構成してもよく、コンピュータ装置等の他の装置に組み込まれてもよい。上記有線通信には、既存のいかなる有線通信が適用されてもよい。上記無線通信には、既存のいかなる無線通信が適用されてもよい。例えば、上記無線通信には、Wi−Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)などの無線LAN(Local Area Network)が適用されてもよく、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信が適用されてもよい。
【0053】
(処理回路200)
処理回路200は、運動テスト評価装置300全体の動作を制御する。処理回路200は、センサ110から検出結果を取得する。また、処理回路200は、センサ110から取得した検出結果等の種々の情報を格納部130に格納し、格納部130に格納されている種々の情報を取り出す。処理回路200はまた、出力部170へ情報を出力する。さらに、処理回路200は、センサ110の加速度値に基づいて、運動テストの信頼スコアを算出する機能も有する。
【0054】
処理回路200は、最大加速度取得部120と、信頼スコア算出部140と、判定部150と、最大酸素摂取量推定部160とを構成要素として有する。処理回路200及びその構成要素は、専用のハードウェアで構成されてもよく、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。処理回路200及びその上記構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ソフトウェアプログラムは、製品としての運動テスト評価装置300のメモリ等の記録媒体に予め格納されていてもよく、CD−ROM等の記録媒体に記録されて製品として市場に流通され、若しくは、インターネット等の電気通信回線を通じて伝送され、記録媒体又は電気通信回線を通じて取得されたコンピュータプログラムがメモリに格納されてもよい。
【0055】
最大加速度取得部120は、センサ110の加速度センサ112から加速度の計測結果である加速度値を受け取り、格納部130に格納する。最大加速度取得部120は、加速度センサ112から受け取る加速度値について、所定の時間範囲内の加速度値のうちから最大の加速度値を算出し取得する。例えば、
図3に示す例では、所定の時間範囲は、6.0秒である。最大加速度取得部120は、所定の時間範囲6.0秒間の検出加速度値のうちから、3.2秒の時点の加速度25800mGを最大加速度値として取得する。また、最大加速度取得部120は、複数の所定の時間範囲それぞれから最大加速度値を取得することにより、複数の最大加速度値を取得する。最大加速度取得部120は、取得した最大加速度値を信頼スコア算出部140に出力してもよい。
【0056】
信頼スコア算出部140は、格納部130に格納された複数の最大加速度値を取得し、取得した複数の最大加速度値に基づいて、運動テストの信頼性を表す信頼スコアを算出する。信頼スコアは、運動テストでの計測結果がユーザの運動機能の状態を正確に示すものであるか否かに関する指標であり、具体的には、心拍センサ111及び加速度センサ112の計測結果に基づき、算出される。信頼スコアの詳細は、後述する。信頼スコア算出部140は、算出した信頼スコアを判定部150に出力する。
【0057】
判定部150は、信頼スコア算出部140から取得する信頼スコアに基づき、運動テストでの計測結果の信頼性を判定する。判定部150は、所定の閾値を用いて、信頼スコアを判定し、具体的には、信頼スコアが所定の閾値以上か否かを判定する。判定部150の判定動作の詳細は、後述する。判定部150は、判定結果を最大酸素摂取量推定部160に出力する。
【0058】
最大酸素摂取量推定部160は、判定部150から取得する判定結果と、心拍センサ111及び加速度センサ112から取得する計測結果とを用いて、運動中におけるユーザの最大酸素摂取量を推定する。最大酸素摂取量推定部160の推定動作の詳細は、後述する。最大酸素摂取量推定部160は、推定結果を出力部170に出力する。
【0059】
(格納部130)
格納部130は、種々の情報を格納すること、及び、格納した情報を取り出すことが可能であるように構成されている。格納部130は、例えば、ハードディスク又は半導体メモリで構成される。格納部130には、最大加速度取得部120が取得した最大加速度値等が格納される。
【0060】
(出力部170)
出力部170は、運動テスト評価装置300から入力される種々の情報を、視覚的及び/又は聴覚的に出力する。例えば、出力部170は、液晶パネル、有機若しくは無機EL(Electro Luminescence)等の表示パネルを備えるディスプレイ、スピーカ又はこれらの組み合わせであってもよい。出力部170は、運動テスト評価装置300を搭載するコンピュータ装置の一部であってもよく、運動テスト評価装置300を搭載しないコンピュータ装置等の装置の一部であってもよく、単独の装置であってもよい。出力部170は、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット等のユーザの携帯端末の一部であってもよい。又は、出力部170は、センサ110と共に、
図2に示すバンド110aに配置されてもよい。出力部170は、例えば、処理回路200で算出された信頼スコア、最大酸素摂取量推定部160で推定された最大酸素摂取量等の情報を出力する。
【0061】
[1−2.実施の形態1に係る運動テスト評価システムの動作]
次に、
図4を参照して、実施の形態1に係る運動テスト評価システム100の動作を説明する。なお、
図4は、実施の形態1に係る運動テスト評価システム100の動作の流れの一例を示すフローチャートである。本実施の形態では、ユーザが、運動テストとして、6分間歩行テスト(6−minute walk test:6MWT)を行うケースを例に説明する。
【0062】
(ステップS10)
運動テスト評価システム100は、ユーザが歩行を開始する前に、心拍センサ111を動作させて、ユーザの安静時の心拍を計測する。例えば、運動テスト評価システム100は、心拍センサ111により、運動テスト開始前に、ユーザの安静時の心拍を計測する。例えば、運動テスト評価システム100は、出力部170により、ユーザへ安静することを指示した後に、心拍センサ111により、ユーザの心拍を計測してもよい。心拍センサ111は、心拍の計測結果を最大酸素摂取量推定部160に出力するが、格納部130に出力して格納してもよく、最大酸素摂取量推定部160及び格納部130に出力してもよい。また、心拍センサ111は、心拍の計測結果を、計測時刻と共に出力してもよい。又は、運動テスト評価装置300が、心拍センサ111から取得する心拍の計測結果と、その計測時刻とを対応付けてもよい。本実施の形態では、運動テスト評価システム100は、運動テスト開始前の心拍を計測後、心拍センサ111を停止する。しかしながら、運動テスト評価システム100は、例えば運動テストが終了するまで、心拍センサ111を継続して動作させ、心拍の計測を連続的に行ってもよい。
【0063】
(ステップS20)
次いで、運動テスト評価システム100は、ユーザが歩行を開始する際に、加速度センサ112を動作させ、ユーザの足の加速度を計測する。6分間テストの場合、加速度センサ112は、6分間、ユーザの足の加速度を連続的に計測する。加速度センサ112は、加速度の計測結果である加速度値を最大加速度取得部120に出力するが、格納部130に出力して格納してもよく、最大加速度取得部120及び格納部130に出力してもよい。加速度センサ112は、加速度の計測結果である加速度値を、計測時刻と共に出力してもよい。又は、運動テスト評価装置300が、加速度センサ112から取得する加速度の計測結果である加速度値と、その計測時刻とを対応付けてもよい。
【0064】
(ステップS30)
最大加速度取得部120は、ユーザの運動テスト中、つまり、歩行中、ユーザの足の加速度の計測結果である加速度値を加速度センサ112から、経時的に取得する。最大加速度取得部120は、ユーザの足の加速度の計測結果である加速度値を、一定の時間である所定時間範囲毎に区分けする。さらに、最大加速度取得部120は、各所定時間範囲におけるユーザの足の加速度値の中から、最大加速度値を取得する。ここでの所定時間範囲を第1の時間範囲とも表記する。例えば、
図3に示す例において、第1の時間範囲は、6.0秒である。さらに、
図3における第1の時間範囲内の最大の加速度値は、3.2秒の時点の加速度25800mGである。
【0065】
なお、最大加速度取得部120は、各所定時間範囲において、ユーザの足の加速度値の中から、上位の複数の加速度値を抽出し、抽出した加速度値の平均値を、最大加速度値として取得してもよい。例えば、上位の複数の加速度値は、最も大きい加速度値、2番目に大きい加速度値、及び3番目に大きい加速度値で例示される。
【0066】
また、最大加速度取得部120は、取得する加速度からユーザの歩行周期を検出し、各歩行周期内の加速度の中から加速度の最大値を算出し、1つ以上の歩行周期の間で最大値の平均値を算出し、算出した平均値を最大加速度値として用いてもよい。例えば、最大加速度取得部120は、取得する加速度が形成する波形において、所定値以上の加速度が形成する群の中で、隣り合う群からそれぞれ加速度の最大値を抽出し、隣り合う群の2つの加速度の最大値に対応する時間を1周期として取得する。例えば、歩行周期は、
図3に示される加速度の波形における隣り合う山の頂上の間又は隣り合う谷の底の間の時間である。このようにして、最大加速度取得部120は、1周期毎に、加速度の最大値を取得してもよい。
【0067】
(ステップS40)
最大加速度取得部120は、取得した最大加速度値と、最大加速度値を計測した計測時刻とを対応付けて、格納部130に格納する。ここでの計測時刻は、第1の時間範囲を1単位とし、各第1の時間範囲の中で設定された時刻に基づいてもよい。当該計測時刻は、第1の時間範囲と関係なく設定された時刻に基づいてもよく、例えば、運動テストの開始時点を基準として設定された時刻に基づいてもよい。第1の時間範囲と関係なく設定された時刻に基づく計測時刻は、最大加速度値を計測した時刻(Time point)で表されてもよい。例えば、上位の複数の加速度値の平均値を最大加速度値とする場合には、当該加速度値それぞれが計測された時刻を平均した時刻が、最大加速度値と対応付けられる。
【0068】
例えば、最大加速度取得部120は、センサ110から、加速度の計測値と、計測時刻とを対応付けたデータを取得してもよい。又は、最大加速度取得部120は、加速度センサ112が計測した順に、加速度値を取得し、加速度センサ112の計測周期の情報を参照して、加速度値が計測された時刻を取得してもよい。
【0069】
図5を参照すると、格納部130に格納されるデータの一例が示されている。例えば、データは、格納された時刻の順番に、時刻番号が付与される。各データは、時刻番号と、時刻番号に対応する時区間と、時区間内の加速度の中から抽出された最大加速度値とを含む。時区間の時間範囲は、時刻で定義されている。
図5のデータは、所定の時間範囲である第1の時間範囲を1分間とした、1分間毎の最大加速度値を示す。このように、最大加速度取得部120は、所定の時間範囲毎に、最大加速度値を取得して、格納部130に格納する。
【0070】
(ステップS50)
最大加速度取得部120は、運動テスト、つまり歩行が終了したかを経時的に判断する。例えば、所定の時間範囲において、加速度センサ112が所定値以上の加速度値を検出しない場合、最大加速度取得部120は、運動テストが終了したと判断する。上記所定値は、例えば、ユーザが運動テストを行っていないときの加速度値としてもよい。又は、最大加速度取得部120は、外部装置等からの入力情報によって運動テスト終了の情報を取得した場合、運動テストが終了したと判断してもよい。最大加速度取得部120は、運動テストが継続している場合(ステップS50でNo)、ステップS20の処理に戻り、運動テストが終了した場合(ステップS50でYes)、ステップS60の処理に進む。
【0071】
(ステップS60)
運動テスト評価システム100は、運動テストの終了後、心拍センサ111を動作させ、運動テスト終了後のユーザの心拍を計測する。例えば、処理回路200が、心拍センサ111に、運動テストが終了した時刻を含む終了情報を送信する。心拍センサ111は、終了情報に基づいて、心拍の計測を開始する。例えば、心拍センサ111は、運動テストが終了した時刻の直後から30秒以内に、心拍の計測を開始する。なお、心拍センサ111が、運動テスト開始後も継続して心拍計測を行う場合、運動テスト評価システム100は、運動テスト終了後も心拍センサ111に計測を継続させてもよい。
【0072】
(ステップS70)
信頼スコア算出部140は、最大加速度値の時間変化に相当する信頼スコアを算出する。信頼スコア算出部140は、格納部130から、例えば、
図5に示すような計測時刻と関連付けられた最大加速度値を取得する。取得される最大加速度値は、運動テストの期間全体にわたる計測結果である加速度値から算出された最大加速度値である。信頼スコア算出部140は、取得した最大加速度値を用いて、最大加速度値の時間変化に相当する信頼スコアを算出する。例えば、信頼スコア算出部140は、最大加速度値に対応する時刻番号と最大加速度値とから信頼スコアを算出する。具体的には、信頼スコアは以下の式によって計算される。
【0073】
信頼スコア=(最大加速度値が最小の時刻番号)−(最大加速度値が最大の時刻番号)
【0074】
図5の例では、最大加速度値が最小となる時刻番号は5(時区間:4〜5分)であり、最大加速度値が最大となる時刻番号は2(時区間:1〜2分)であるため、信頼スコアは3と算出される。
【0075】
進行方向の最大加速度は足を踏み出す強さを意味するため、疲労が進むと最大加速度は小さな値となる。そのため、前述の式によって算出される信頼スコアは、運動テストにおけるユーザの努力の程度を表す指標となる。例えば、ユーザが歩行開始からなるべく速く歩くように努力して歩行する場合、ユーザは徐々に疲れてくるため、信頼スコアは正の大きな値となる。この場合、運動テスト全体の信頼性は高いと考えられる。逆に、ユーザが最後だけ努力して歩行する場合、信頼スコアは負の値となる。後者の場合、ユーザは余力を残していることになるため、運動テスト全体の信頼性は低いと考えられる。このように、本実施の形態では、信頼スコアの値が大きい程、運動テスト全体の信頼性が高くなると見なすことができる。
【0076】
(ステップS80)
判定部150は、信頼スコア算出部140から信頼スコアを取得し、取得した信頼スコアが、第1の所定の閾値以上であるか否かを判定する。第1の所定の閾値の一例は、0である。信頼スコアが0である場合、ユーザは、運動テストの期間の終始にわたって、自分のペースを保つように一定の努力をしつつ歩行していたと見なすことができ、運動テスト全体の信頼性が高いと見なすことができる。信頼スコアが0超である場合、ユーザは、運動テストの期間の前半において、歩行速度を上げるために過剰な努力をしたと見なすことができ、運動テスト全体の信頼性が高いと見なすことができる。信頼スコアが0未満である場合、上述のように、運動テスト全体の信頼性は低いと見なすことができる。そして、判定部150は、信頼スコアが第1の所定の閾値以上の場合(ステップS80でYes)、ステップS90の処理に進む。判定部150は、信頼スコアが第1の所定の閾値よりも小さい場合(ステップS80でNo)、ステップS100の処理に進む。信頼スコアに関する第1の所定の閾値は、運動テスト全体の信頼性が高いと見なすことができる値であってもよい。このため、信頼スコアに関する所定の閾値は、0超の値であってもよい。
【0077】
(ステップS90)
信頼スコアが第1の所定の閾値以上である場合、最大酸素摂取量推定部160は、心拍センサ111から心拍数の計測結果を取得し、加速度センサ112から加速度の計測結果を取得する。最大酸素摂取量推定部160は、取得した加速度の計測結果である加速度値から、ユーザの平均歩行速度を算出する。さらに、最大酸素摂取量推定部160は、第1基準、平均歩行速度、及び心拍数に基づいて、最大酸素摂取量を推定する。平均歩行速度は、運動テストの期間中のユーザの平均歩行速度である。第1基準は、平均歩行速度及び心拍数と最大酸素摂取量とが対応付けられた式又はテーブルで例示され得る。このような第1基準は、平均歩行速度及び心拍数と、最大酸素摂取量とを対応付ける規準であってもよい。
【0078】
最大酸素摂取量推定部160は、加速度センサ112から取得した加速度値を、運動テスト中の時間で積分し、この積分値を用いて、平均歩行速度を算出してもよい。また、最大酸素摂取量推定部160は、運動テスト中のユーザの歩行距離と運動テストの実施期間である運動テストの時間とを用いて、平均歩行速度を算出してもよい。最大酸素摂取量推定部160は、心拍数の情報として、ステップS60で計測したような運動テスト終了後の心拍数を取得してもよく、ステップS10で計測したような運動テスト前の心拍数と運動テスト後の心拍数との変化量を取得してもよい。また、最大酸素摂取量推定部160は、平均歩行速度及び心拍数に基づいて、線形回帰又はロジスティック回帰を用いて、最大酸素摂取量を推定してもよい。例えば線形回帰の場合、最大酸素摂取量をY、平均歩行速度、心拍数をそれぞれX1、X2としたとき、Y=X0+X1・W1+X2・W2といった式で最大酸素摂取量を予測する。このとき予測に使用するパラメータX0、W1、W2は学習データから予め算出しておく。学習データとしては、複数の被験者に対し、最大酸素摂取量、平均歩行速度、心拍数をセットで計測したデータを用いることができる。
【0079】
(ステップS100)
信頼スコアが第1の所定の閾値未満である場合、最大酸素摂取量推定部160は、ステップS90の処理と同様にして、平均歩行速度を取得する。最大酸素摂取量推定部160は、第2基準及び平均歩行速度に基づいて、最大酸素摂取量を推定する。第2基準は、平均歩行速度と最大酸素摂取量とが対応付けられた式又はテーブルで例示され得る。このような第2基準は、平均歩行速度と、最大酸素摂取量とを対応付ける規準であってもよい。また、最大酸素摂取量推定部160は、平均歩行速度に基づいて、線形回帰又はロジスティック回帰を用いて、最大酸素摂取量を推定してもよい。
【0080】
なお、ステップS90とステップ100とで、別々に平均歩行速度を算出するように説明した。これにかえて、ステップS70とステップS80の間で、平均歩行速度を算出し、この算出した平均歩行速度をステップS90、ステップS100で参照してもよい。この平均歩行速度の算出方法は、ステップS90で述べた方法と同じであってもよい。
【0081】
(ステップS110)
出力部170は、推定された最大酸素摂取量を最大酸素摂取量推定部160から取得し出力する。処理回路200は、外部のデバイスに、最大酸素摂取量推定部160が推定した最大酸素摂取量の情報を出力してもよい。なお、ステップS80での判定の結果、信頼スコアが第1の所定の閾値未満である場合、処理回路200は、出力部170に、運動テストの再テストの推奨を提示してもよく、運動テストの結果が得られないことを示すエラー表示をしてもよい。例えば、信頼スコアが低い場合の運動テストの結果は、誤ったユーザの運動機能の状態を示している可能性がある。再テストの推奨及びエラーの表示をするか否かは、例えば、第1の所定の閾値よりも小さい別の信頼スコアの閾値を用いて、処理回路200によって判定されてもよい。
【0082】
ここで、ステップS90及びステップS100の処理を行う理由を説明する。実施例として、複数の被験者に対して運動テストを実施し、その計測結果から最大酸素摂取量を推定する実験を行った。実験では、信頼スコアと最大酸素摂取量の推定方法との組み合わせを変更しつつ、最大酸素摂取量が推定された。なお、実験の被験者は、24名の高齢者であった。各被験者に、運動テストとしての6分間歩行テストと、心肺負荷試験とを行った。心肺負荷試験は、持久力の正確な指標である最大酸素摂取量を計測する試験である。そして、
図6A、
図6B、
図7A及び
図7Bは、信頼スコアと最大酸素摂取量の推定方法との各組み合わせにおける最大酸素摂取量の推定結果を示す。後述するように、
図6A、
図6B、
図7A及び
図7Bには、最大酸素摂取量の推定精度の違いが結果として示されている。
【0083】
図6A及び
図6Bに示す実験結果は、6分間歩行テストにおいて算出された「平均歩行速度(単位:m/min)」の指標を用いて、最大酸素摂取量(単位:VO
2max/kg)を推定した結果を示す。
図7A及び
図7Bに示す実験結果は、6分間歩行テストおいて算出された「平均歩行速度/心拍変動」の指標を用いて、最大酸素摂取量を推定した結果を示す。なお、
図6A及び
図6Bの縦軸は、最大酸素摂取量であり、横軸は、平均歩行速度である。
図7A及び
図7Bの縦軸は、最大酸素摂取量であり、横軸は、平均歩行速度/心拍変動である。
【0084】
さらに、
図6A及び
図7Aは、信頼スコアが正の値を有する被験者の実験結果を示し、
図6B及び
図7Bは、信頼スコアが負の値を有する被験者の実験結果を示す。各図の実験結果から、6分間歩行テストで算出された指標と、最大酸素摂取量との相関を算出した。
【0085】
具体的には、
図6A及び
図7Aの実験結果から、信頼スコアが正の値を有する被験者の実験結果では、「平均歩行速度/心拍変動」の指標を用いることによって、最大酸素摂取量を高い精度で推定できていることが分かる。例えば、変数「平均歩行速度」又は「平均歩行速度/心拍変動」と変数「最大酸素摂取量」との間の線形的な関係に関して、
図6Aでは、相関係数R=0.61が得られ、
図7Aでは、相関係数R=0.91が得られる。なお、各相関係数は、
図6A及び
図7Aに示される直線の傾きに相当する。よって、
図7Aの「平均歩行速度/心拍変動」と「最大酸素摂取量」との相関関係の方が、
図6Aの「平均歩行速度」と「最大酸素摂取量」との相関関係よりも高い。
【0086】
一方、
図6B及び
図7Bに示す信頼スコアが負の値を有する被験者の実験結果から、
図6Bでは、相関係数R=0.65が得られ、
図7Bでは、相関係数R=−0.16が得られる。なお、各相関係数は、
図6B及び
図7Bに示される直線の傾きに相当する。よって、
図6Bの「平均歩行速度」と「最大酸素摂取量」との相関関係の方が、
図7Bの「平均歩行速度/心拍変動」と「最大酸素摂取量」との相関関係よりも高い。
【0087】
信頼スコアは、被験者の歩行に対する努力の度合いを表すため、特に心拍変動の信頼性から影響を受ける。以上の実験結果から、最大酸素摂取量の推定方法として、信頼スコアが正の値を有する場合には心拍変動を利用し、信頼スコアが負の値を有する場合には心拍変動を利用しない方法が有効であるといえる。
【0088】
また、例えば、相関係数の最大値及び最小値に対応する
図7A及び
図7Bを比較することによって、信頼スコアと最大酸素摂取量の推定精度との関係を検証することができる。実験結果から、各被験者の信頼スコアが正である
図7Aでは、相関係数が0.91であり、各被験者の信頼スコアが負である
図7Bでは、相関係数は−0.16であり、低い数値となった。特に、
図7Aでは、6分間歩行テストで計測された歩行速度と心拍変動とから最大酸素摂取量を高い精度で推定できていると見なすことができる。実験結果は、信頼スコアが、運動テストの信頼性を定量的に評価する指標として有用であることを示しているといえる。
【0089】
上述したように、実施の形態1に係る運動テスト評価システム100は、運動テストでの計測結果の信頼度を、信頼スコアを用いて数値的に評価し、評価結果に基づき、運動テストでの被験者の最大酸素摂取量を高精度に推定することを可能にする。なお、信頼スコアは、複数の時間範囲それぞれにおける足の最大加速度に基づき取得され、例えば、運動テスト中の足の最大加速度の変化パターンを示してもよい。第1の所定の閾値以上のような信頼スコアが高い場合、運動テスト中のユーザの歩行速度と、ユーザの心拍数とを用いて、最大酸素摂取量が推定されてよい。第1の所定の閾値未満のような信頼性スコアが低い場合、信頼スコアに対して影響を与える心拍数を用いずに、運動テスト中のユーザの歩行速度を用いて、最大酸素摂取量が推定されてよい。よって、被験者の最大酸素摂取量の高精度な推定が可能になる。
【0090】
[実施の形態2]
実施の形態1に係る運動テスト評価システム100が、信頼スコアを用いて運動テストの計測結果を評価した結果に基づき、被験者の最大酸素摂取量を推定していたことに対して、実施の形態2に係る運動テスト評価システム100Aは、信頼スコアに基づき、被験者の持久力等の運動機能の推定結果の信頼性を出力する。以下において、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態2では、実施の形態1と同一又は同様の構成要素に、同一又は同様の参照符号を付している。
【0091】
図8を参照すると、本実施の形態に係る運動テスト評価システム100Aの構成が、ブロック図で示されている。
図8に示すように、本実施の形態に係る運動テスト評価システム100Aは、実施の形態1に係る運動テスト評価システム100から判定部150及び最大酸素摂取量推定部160を除去した構成を有している。運動テスト評価システム100Aは、センサ110A、出力部170及び運動テスト評価装置300Aを備える。また、センサ110Aは、加速度センサ112を備えるが、心拍センサ111を備えない。運動テスト評価システム100Aにおいて、処理回路200Aは、最大加速度取得部120及び信頼スコア算出部140を備える。処理回路200Aは、センサ110Aが検出する加速度値に基づいて、運動テストの信頼スコアを算出する。さらに、運動テスト評価装置300Aは、処理回路200Aと、格納部130とを備える。運動テスト評価システム100Aにおけるその他の構成は、実施の形態1に係る運動テスト評価システム100と同様であるため、その説明を省略する。
【0092】
図9を参照して、実施の形態2に係る運動テスト評価システム100Aの動作を説明する。なお、
図9は、実施の形態2に係る運動テスト評価システム100Aの動作の流れの一例を示すフローチャートである。本実施の形態でも、運動テストとして、6分間歩行テストが用いられるケースを例に説明する。
【0093】
(ステップS210〜S230)
運動テスト評価システム100Aが行うステップS210〜S230の処理はそれぞれ、実施の形態1に係る運動テスト評価システム100が行うステップS20〜S40の処理と同様である。
【0094】
(ステップS240)
最大加速度取得部120は、運動テスト、つまり歩行が終了したかを判断する。最大加速度取得部120は、運動テストが継続している場合(ステップS240でNo)、ステップS210の処理に戻り、運動テストが終了した場合(ステップS240でYes)ステップS250の処理に進む。
【0095】
(ステップS250)
信頼スコア算出部140は、例えば、
図5に示すような計測時刻と関連付けられた最大加速度値を格納部130から取得し、信頼スコアを算出する。取得される最大加速度値は、運動テストの期間全体にわたる計測結果から算出された最大加速度値である。例えば、格納部130に格納された時刻番号と最大加速度とから信頼スコアが算出される。信頼スコアの算出方法は、実施の形態1での算出方法と同様である。
【0096】
(ステップS260)
処理回路200Aは、出力部170に、ステップS250で算出された信頼スコアを出力させる。例えば、処理回路200Aは、信頼スコアが第2の所定の閾値以上の場合、運動テストによる持久力評価を、出力部170、外部のデバイス等に出力してもよい。運動テストによる持久力評価は、6分間歩行テストで採用される既知の方法で行われてもよい。処理回路200Aは、信頼スコアが第2の所定の閾値未満の場合、運動テストを再実験すること、又は、運動テストによる持久力評価を出力できないことを、出力部170に出力させてもよい。処理回路200Aは、外部のデバイスに、信頼スコアを出力してもよく、さらに、被験者の最大酸素摂取量の情報を出力してもよい。信頼スコアの第2の所定の閾値は、実施の形態1における信頼スコアの第1の閾値と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0097】
ステップS210からステップS260の処理によって、運動テストの信頼性の評価が可能になる。運動テストの信頼性は、信頼スコアを用いて、定量的に評価できる。このため、例えば、信頼スコアが低い場合には再テストを行うことなどによって、被験者の正確な持久力の推定を実現することができる。
【0098】
上述したように、実施の形態2に係る運動テスト評価システム100Aは、運動テストでの計測結果の信頼度を、信頼スコアによって数値的に出力することができる。なお、信頼スコアは、複数の時間範囲それぞれにおける足の最大加速度に基づき取得され、例えば、運動テスト中の足の最大加速度の変化パターンを示してもよい。これにより、運動テスト評価システム100Aのユーザは、信頼スコアに基づき、ユーザの持久力等の運動テストの結果の信頼度を数値的に判断できる。また、この信頼度の判断を、運動テスト評価システム100Aも行うことができる。運動テスト評価システム100Aは、判断結果に基づき、運動テストの結果のエラー表示、運動テストの再テストの推奨等を行ってもよい。このように運動テスト評価システム100Aは、運動テスト中の足の加速度等のユーザの情報を用いて、ユーザの持久力等の運動機能の推定精度を向上することができる。
【0099】
[実施形態1及び2の信頼スコアの変形例]
実施の形態1及び2では、複数の最大加速度値及びそれらの時刻番号を用いて、式「信頼スコア=(最大加速度値が最小の時刻番号)−(最大加速度値が最大の時刻番号)」に基づき、信頼スコアを算出していた。本変形例では、信頼スコア算出部140は、複数の最大加速度値をその値の降順に並べ替える。さらに、信頼スコア算出部140は、各最大加速度値について、降順に並べられた複数の最大加速度値の順序を示す順序番号と時刻番号との差の絶対値を求める。そして、信頼スコア算出部140は、全ての最大加速度値における差の絶対値を合計して得られる和を、信頼スコアとする。
【0100】
例えば、
図5に示す各時区間の最大加速度値を降順に並べた時、時刻番号1、2、3、4、5及び6の最大加速度値それぞれの順序を示す順序番号は、2、1、3、4、6及び5となる。この場合、信頼スコアは4となる。運動テストにおけるユーザの努力の程度が高い場合、各最大加速度値における時刻番号及び順序番号が近似する。このため、本変形例では、信頼スコアが高いほど、信頼度が低いことを意味する。
【0101】
実施の形態1及び2での信頼スコアの算出方法は、最大加速度値が最大及び最小となる時刻の2つの最大加速度値に着目している。本変形例での信頼スコアの算出方法は、運動テストにおける全ての最大加速度値を用いて信頼スコアを算出する。これにより、信頼スコアは、運動テスト全体にわたるユーザの歩行パターンに着目し且つ反映して算出される。従って、本変形例で算出される信頼スコアは、よりユーザの歩行状態に精度よく対応することができる。
【0102】
[その他]
以上、1つ又は複数の態様に係る運動テスト評価システム等について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態及び変形例に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0103】
例えば、本開示に係る運動テスト評価システムは、ユーザの足に取り付けられた加速度センサ112の検出値に基づき、歩行に関する運動テストの計測結果を評価し、さらにユーザの歩行に関する運動機能を推定していたが、これに限定されない。加速度センサ112は、腕等のユーザのいかなる可動部分に取り付けられてもよく、それにより、運動テスト評価システムは、当該可動部分に関する運動テストの計測結果を評価してもよく、さらに当該可動部分に関する運動機能を推定してもよい。
【0104】
本開示において、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部、又は
図1及び
図8に示されるようなブロック図の機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC、Integration Circuit)、又はLSI(大規模集積回路)を含む一つ又は複数の電子回路によって実行されてもよい。LSI又はICは、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、格納部のような記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSI又はICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。
【0105】
LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができるReconfigurable Logic Device(RLD)も同じ目的で使うことができる。
【0106】
さらに、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部の機能又は操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置(processor)及び周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていてもよい。