(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アバランシェフォトダイオードと、前記フローティングディフュージョン部と、前記転送トランジスタと、前記第1リセットトランジスタと、前記第2リセットトランジスタと、前記増幅トランジスタとは、半導体基板に形成され、
前記キャパシタは、絶縁層を挟んで互いに対向する第1電極及び第2電極とからなり、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記半導体基板の主平面の垂直方向上方に位置する配線層領域に形成され、
各画素セルの前記第1電極は、互いに、ビアを介さずに接続される
請求項5に記載の固体撮像素子。
ゲートに第1電圧が印加された状態における、前記第1リセットトランジスタのソース−ドレイン間のポテンシャル障壁は、ゲートに第2電圧が印加された状態における、前記転送トランジスタのソース−ドレイン間のポテンシャル障壁よりも低く、
前記第1電圧は、前記第1リセットトランジスタをオフにする電圧であり、
前記第2電圧は、前記転送トランジスタをオフにする電圧である
請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
前記アバランシェフォトダイオードのカソードに集電された電荷のうち、前記第1リセットトランジスタのソース−ドレイン間のポテンシャル障壁よりも高いポテンシャルの電荷の少なくとも一部を、前記第1リセットトランジスタのドレインに転送する
請求項8又は9に記載の固体撮像素子。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る画素セルの回路図である。
【
図2】
図2は、動作モードの切り替え事例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る画素セルの第1レイアウト例における断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る画素セルの第2レイアウト例における断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る画素セルの第3レイアウト例における断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る画素セルの第4レイアウト例における断面図である。
【
図7】
図7は、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その1である。
【
図8A】
図8Aは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その2である。
【
図8B】
図8Bは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その2である。
【
図8C】
図8Cは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その3である。
【
図8D】
図8Dは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その4である。
【
図8E】
図8Eは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その5である。
【
図8F】
図8Fは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その6である。
【
図8G】
図8Gは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その7である。
【
図8H】
図8Hは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その8である。
【
図8I】
図8Iは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その9である。
【
図8J】
図8Jは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その10である。
【
図8K】
図8Kは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その11である。
【
図8L】
図8Lは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その12である。
【
図9H】
図9Hは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その13である。
【
図9I】
図9Iは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その14である。
【
図9J】
図9Jは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その15である。
【
図9K】
図9Kは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その16である。
【
図9L】
図9Lは、ガイガー増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その17である。
【
図10A】
図10Aは、ガイガー増倍モード時における、フォトンカウント駆動シーケンスのタイミング図その1である。
【
図10B】
図10Bは、ガイガー増幅モード時における、フォトンカウント駆動シーケンスのタイミング図その2である。
【
図11A】
図11Aは、ガイガー増幅モード時における、フォトカウント特性を示す特性図その1である。
【
図11B】
図11Bは、ガイガー増幅モード時における、フォトカウント特性を示す特性図その2である。
【
図11C】
図11Cは、比較例のガイガー増幅モード時における、フォトカウント特性を示す特性図その1である。
【
図11D】
図11Dは、比較例のガイガー増幅モード時における、フォトカウント特性を示す特性図その2である。
【
図12A】
図12Aは、リニア増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その1である。
【
図12B】
図12Bは、リニア増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その2である。
【
図12C】
図12Cは、リニア増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その3である。
【
図12D】
図12Dは、リニア増倍モード時における、実施の形態に係る画素回路のポテンシャル図その4である。
【
図13】
図13は、リニア増幅モード時における、駆動シーケンスのタイミング図である。
【
図14】
図14は、実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図15C】
図15Cは、従来の固体撮像素子のカウンタ回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(本発明の一態様を得るに至った経緯)
近年、医療、バイオ、放射線計測などのさまざまな分野で、1フォトンに至る微弱光を正確に計測する微弱光センサが必要とされている。現在、微弱光センサとして光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)が広く利用されている。しかし、真空管デバイスであるPMTは、小さくても10mm×10mmほどの大きさであるため多画素化が難しい。また、PMTを用いてイメージングを行うには、被写体をXY面内で走査するなどの方法により、被写体の各点の情報を集めてから画像化する処理が必要であるため、リアルタイムの撮影は難しい。そのような中、微弱光センサの多画素化と高速化とを同時に実現するために、微弱光センサの固体撮像素子化が要望されている。
【0026】
微弱光を検出する固体撮像素子のひとつとして、フォトダイオードで光電変換を引き起こしたフォトンをカウントし、デジタル値の信号としてカウント結果を画素の外に伝送するフォトンカウント型の固体撮像素子が提案されている。
【0027】
例えば、特許文献1および特許文献2に記載のフォトンカウント型の固体撮像素子は、
図15Aに示される回路のフォトダイオードが、
図15Bに示されるタイミングのリセット間に1個以上のフォトンが光電変換を引き起こすとフォトン有りと判定してパルス信号を発生する。そして、当該パルス信号によって
図15Cに示されるデジタルカウンタ回路のカウント値を1つ増加させる。
【0028】
しかしながら、特許文献1および特許文献2のようにデジタルカウント型の回路を計数手段として画素に搭載した場合、カウント回路は、1ビットでも
図16に示されるように回路規模が大きくなる。所望の階調を得るためにビット数を増やすと、回路素子数とビット数分の信号線が比例して増加するので、画素セルサイズが大きくなり多画素化が困難になることがわかる。
【0029】
さらに近年は、非特許文献1にあるように、負荷抵抗が接続され降伏電圧以上の高電圧が印加されたアバランシェフォトダイオード(いわゆるガイガーモードAPD)をアレイ配列した構造を持つ固体撮像素子も実在する。この固体撮像素子は、上記従来のデジタルカウント型の回路の課題を解決するために、アナログ回路を計数手段として画素回路に搭載する。
図17Aに、その画素回路を示す。
【0030】
この画素回路は、
図17Bに示されるタイミングで、受光素子にフォトンが入射する度に、検出手段は初期電圧を保持した保持手段MCから電荷を放電する。しかしながら、実際には、フォトンエネルギーの強弱による振幅VINのばらつきと制御トランジスタM7の寄生容量CPのばらつきにより、保持手段から放電される電荷量もばらつくため、保持手段MCの電圧VCのΔVは一定ではない。フォトン数の計測は
図17Cに示されるようにリセット電圧とΔV積算を差し引いた際の保持手段MCの電圧VCを比較して行うが、ΔVのばらつきにより、正確にフォトン数を計測することが困難である。
【0031】
発明者は、上記課題に鑑み、搭載する計数回路は、トランジスタ1個とメモリ素子1個で、フォトンが光電変換を引き起こした時の受光素子の振幅ばらつきを緩和し、1フォトンあたりのアナログ積算信号量の誤差をなくしてフォトン検出数と計数値の誤差を抑止するとともに、通常のデジタル計数回路より素子数を大幅に削減して、さらに計数値をアナログ信号線1本でも読出し可能にする構成の固体撮像素子を想到するに至った。これにより、高性能なフォトンカウント機能を有しつつ、画素サイズを小さくした多画素固体撮像素子を実現できる。
【0032】
(実施の形態)
以下、実施の形態に係る固体撮像素子について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
[1.構成]
実施の形態に係る固体撮像素子は、複数の画素セルが行列状に配置された画素アレイを備える。
【0034】
図1は、本実施の形態に係る画素セル10の回路図である。
【0035】
同図に示されるように、画素セル10は、アバランシェフォトダイオード1と、電荷を蓄電するフローティングディフュージョン部2と、アバランシェフォトダイオード1のカソードとフローティングディフュージョン部2とを接続する転送トランジスタ3と、アバランシェフォトダイオード1のカソードに集電される電荷をリセットするための第1リセットトランジスタ4と、フローティングディフュージョン部2に蓄電される電荷をリセットするための第2リセットトランジスタ5と、フローティングディフュージョン部2に蓄電される電荷の電荷量を電圧に変換するための増幅トランジスタ6と、電荷を蓄電するメモリ部7と、フローティングディフュージョン部2とメモリ部7とを接続するカウントトランジスタ8とを備える。画素セル10は、さらに、増幅トランジスタ6と垂直信号線Vsigとを接続する選択トランジスタ9を備えてもよい。
【0036】
ここで、アバランシェフォトダイオード1は、第1のバイアス(例えば−25V)が印加された状態においてフォトンが入射する場合に、光電変換を引き起こすフォトンの数に略比例する電荷量の電荷をカソードに集電する第1のモードと、第1のバイアスよりも電位差の大きい第2のバイアス(例えば−27V)が印加された状態においてフォトンが入射する場合に、1つのフォトンが光電変換を引き起こすと、飽和電荷量の電荷をカソードに集電する第2のモードとを有する。
【0037】
ここでは、光電効果を引き起こすフォトンの数に略比例する電荷をカソードで集電する、アバランシェフォトダイオード1の第1の動作モードのことを、リニア増倍モードとも呼び、1つのフォトンが光電効果を引き起こすと、飽和電荷量の電荷をカソードで集電する、アバランシェフォトダイオード1の第2の動作モードのことを、ガイガー増倍モードとも呼ぶ。
【0038】
以下では、アバランシェフォトダイオード1をAPDと称し、フローティングディフュージョン部2をFDと称し、転送トランジスタ3をTRN−TRと称し、第1リセットトランジスタ4を、ADPRST−TRと称し、第2リセットトランジスタ5をFDRST−TRと称し、増幅トランジスタ6をSF−TRと称し、カウントトランジスタ8をMCT−TRと称すこともある。
【0039】
なお、ここでは、第1のバイアスが例えば−25Vで、第2のバイアスが例えば−27Vであるとして説明するが、これらの具体例は一例に過ぎない。すなわち、第1のバイアスは、光電変換を引き起こすフォトンの数に略比例する電荷量の電荷をカソードに集電することができる値であれば、どのような値であっても構わないし、第2のバイアスは、第1のバイアスよりも電位差が大きく、1つのフォトンが光電変換を引き起こすと、飽和電荷量の電荷をカソードに集電することができる値であれば、どのような値であっても構わない。
【0040】
次に、画素セル10に接続される信号について説明する。
【0041】
APDRSTは、第1リセットトランジスタ4を制御する信号であって、アバランシェフォトダイオード1のカソードの電荷をリセットするAPDリセット信号である。
【0042】
TRNは、転送トランジスタ3を制御する信号であって、アバランシェフォトダイオード1のカソードの電荷をフローティングディフュージョン部2へ転送する転送信号である。
【0043】
FDRSTは、第2リセットトランジスタ5を制御する信号であって、フローティングディフュージョン部2の電荷をリセットするFDリセット信号である。
【0044】
MCTは、カウントトランジスタ8を制御する信号であって、フローティングディフュージョン部2とメモリ部7との接続状態を制御するフォトンカウント信号である。
【0045】
SELは選択トランジスタ9を制御する信号であって、行選択信号である。
【0046】
APDBIASは、アバランシェフォトダイオード1のアノード側に印加する電源である。
【0047】
APDRSDは、アバランシェフォトダイオード1のリセットドレイン電源である。
【0048】
FDRSDは、フローティングディフュージョン部2のリセットドレイン電源である。
【0049】
PIXVDDは、増幅トランジスタ6の電源である。
【0050】
画素セル10は、APDBIASを変化させることで、アバランシェフォトダイオード1の増倍率を変更させることが可能である。
【0051】
例えば、
図2に示されるように、被写体の照度が0.1lxよりも明るい場合に、APDBIASを−25Vとして、アバランシェフォトダイオード1の動作モードをリニア増倍モードとしてもよい。このリニア増倍モードの時には、アバランシェフォトダイオード1は、通常のイメージセンサと同様に、照度に略比例してカソードで集電する電荷の量が増加する。
【0052】
また、被写体の照度が0.1lxよりも明るくない場合に、APDBIASを−27Vとして、アバランシェフォトダイオード1の動作モードをガイガー増倍モードとしてもよい。このガイガー増倍モードの時には、アバランシェフォトダイオード1は、1つのフォトンが光電変換を引き起こすと、アバランシェ降伏が起こり、カソードで集電する電荷の量が、飽和レベルに達する。フォトンが光電効果を引き起こした画素セル10は、飽和出力して真っ白な画像になり、フォトンが光電効果を引き起こさなかった画素は真っ黒の画像になるので、被写体の画像は白黒2値のドット密度で表現されることになる。これを階調性のある画像で表現するために、この画素セル10にはメモリ部7を搭載している。
【0053】
メモリ部7は、その容量が大きい程、蓄電する電荷量が増え、より多くのフォトンを積算できるので、出力電圧のダイナミックレンジを広げることができる特性を持っている。
【0054】
図3に、画素セル10の第1レイアウト例についての断面図を示す。
【0055】
同図に示されるように、この第1レイアウト例では、メモリ部7は、電極と、半導体層と、電極と半導体層の間に絶縁層とを備える積層構造のキャパシタによって実現されている。
【0056】
図4に、画素セル10の第2レイアウト例についての断面図を示す。
【0057】
同図に示されるように、この第2レイアウト例では、メモリ部7は、積層構造のキャパシタが、半導体基板の主平面の垂直方向上方に位置する配線層領域に形成されることで実現されている。このキャパシタは、例えば、TiN部材からなる第1電極72と、TiN部材からなる第2電極73と、第1電極72と第2電極73との間に、SiN部材からなる絶縁層71とを備える構成であってもよい。ここで、第1電極72と第2電極73とは、絶縁層71を挟んで互いに対向している。
【0058】
このように、第2レイアウト例の画素セル10は、メモリ部7が配線層に配置されているため、第1レイアウト例の画素セル10よりも、画素サイズを縮小し得る。
【0059】
ここで、この第2レイアウト例では、半導体基板の主平面の垂直方向上方(すなわち、表面側)からフォトンが入射されることを前提としている。このため、配線層領域の一部に、アバランシェフォトダイオード1にフォトンを入射させるための開口部を設ける必要がある。
【0060】
図5に、画素セル10の第3レイアウト例についての断面図を示す。
【0061】
この第3レイアウト例では、半導体基板の裏面側からフォトンが入射されることを前提とするレイアウト例である。
【0062】
第3レイアウト例の画素セル10は、半導体基板の裏面側からフォトンが入射されるため、配線領域に開口部を設ける必要がない。これにより、第3レイアウト例の画素セル10は、第2レイアウト例の画素セル10よりも、メモリ部7の容量を大きくし得る。また、第3レイアウト例の画素セル10は、アバランシェフォトダイオード1の開口面積を、画素セル10のセルサイズ程度にまで大きくすることができる。このため、第3レイアウト例の画素セル10は、第2レイアウト例の画素セル10よりも光電変換効率を高め得る。
【0063】
図6に、画素セル10の第4レイアウト例についての断面図を示す。
【0064】
図3〜
図6に示されるように、メモリ部7を構成する一方の平板電極である第1電極(以下、「VSSA電極」と呼ぶ。)は、固定電圧VSSAに接続されている。
図3〜
図5に示されるように、第1〜第3レイアウト例では、VSSA電極は、画素セル10内において、ビアを介して固定電圧VSSAに接続されている。これに対して、
図6に示されるように、第4レイアウト例では、画素セル10のVSSA電極は、ビアを介さずに周囲の画素セル10のVSSA電極と接続されており、画素セル10の外部、すなわち画素アレイの外部において、ビアを介して固定電圧VSSAに接続されている。このため、第4レイアウト例の画素セル10は、画素セル10の内部に、固定電圧VSSA用の配線、及びVSSA電極と固定電圧VSSAとを接続するビアを配置する必要がない。これにより、第4レイアウト例の画素セル10は、メモリ部7のサイズを、画素セル10のセルサイズ程度にまで大きくすることができる。このため、第4レイアウト例の画素セル10は、第3レイアウト例の画素セル10よりも、メモリ部7の容量を大きくし得る。
【0065】
図7は、アバランシェフォトダイオード1がガイガー増倍モードである場合における、画素セル10のポテンシャル図である。
【0066】
前述したように、アバランシェフォトダイオード1は、ガイガー増倍モードである場合において、1つのフォトンが光電変換を引き起こすと、アバランシェ降伏が起こり、カソードで集電する電荷の量が最大蓄積量を超える。そして、もし、最大蓄積量を超えた電荷がフローティングディフュージョン部2、メモリ部7、さらには、隣接する画素セル10へと溢れてしまうと、いわゆるブルーミングという現象が発生してしまう。
【0067】
ブルーミングが発生すると画素間で混色して解像しなくなり、画像認識が不可能になる。これを抑止するために、
図7に示されるように、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)はオフの時のポテンシャルを、転送トランジスタ3(TRN−TR)のオフの時のポテンシャルよりも低くなるように設定している。すなわち、ゲートに第1電圧(第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)をオフにする電圧)が印加された状態における、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のソース−ドレイン間のポテンシャル障壁は、ゲートに第2電圧(転送トランジスタ3(TRN−TR)をオフにする電圧)が印加された状態における、転送トランジスタ3(TRN−TR)のソース−ドレイン間のポテンシャル障壁よりも低くなっている。設定の方法は、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)の閾値Vtを、転送トランジスタ3(TRN−TR)の閾値Vtよりも低くする。あるいは、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のオフ時におけるAPDRSTの信号レベル(LOWレベル)を、転送トランジスタ3(TRN−TR)のオフ時におけるTRNの信号レベル(LOWレベル)よりも高く設定するなどが考えられる。このように第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)は、オフの時のポテンシャルを、転送トランジスタ3(TRN−TR)のオフの時のポテンシャルよりも低くなるように設定することで、アバランシェフォトダイオード1で必要以上に発生した電荷をAPDRSD電源へ排出する。すなわち、アバランシェフォトダイオード1のカソードに集電された電荷のうち、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のソース−ドレイン間のポテンシャル障壁よりも高いポテンシャルの電荷の少なくとも一部を、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のドレインに転送する。APDRSD電源をいわゆるオーバーフロードレインとして使うことで、ブルーミングを抑止することができる。
【0068】
[2.動作]
以下、上記構成の画素セル10を備える本実施の形態に係る固体撮像素子が行う動作について、図面を参照しながら説明する。
【0069】
図8A〜
図8L、及び
図9H〜
図9Lは、アバランシェフォトダイオード1の動作モードがガイガー増倍モードである場合おける、フォトンカウント駆動シーケンスをポテンシャルで示すポテンシャル図である。
図10A、
図10Bは、アバランシェフォトダイオード1の動作モードがガイガー増倍モードである場合おける、フォトンカウント駆動シーケンスをタイミングで示すタイミング図である。
図11A、
図11Bは、アバランシェフォトダイオード1の動作モードがガイガー増倍モードである場合おける、フォトンカウント特性を示す特性図である。
【0070】
フォトンカウント駆動シーケンスが開始されると、はじめに、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)と、第2リセットトランジスタ5(FDRST−TR)と、カウントトランジスタ8(MCT−TR)とをオンにして、アバランシェフォトダイオード1のカソードと、フローティングディフュージョン部2と、メモリ部7とを初期化(リセット)する。
【0071】
図8Aに示されるように、上記初期化によって、アバランシェフォトダイオード1のカソードと、フローティングディフュージョン部2と、メモリ部7とが、3.3Vのポテンシャルに設定される。
【0072】
次に、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)と、第2リセットトランジスタ5(FDRST−TR)と、カウントトランジスタ8(MCT−TR)とをオフにする。このとき、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のオフレベルを、転送トランジスタ3(TRN−TR)のオフレベルよりもポテンシャルを低く保っておく。
【0073】
図8Bに示されるように、この第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のポテンシャルレベルは、1.8Vに設定される。この設定方法は、既に説明した通りである。
【0074】
この状態(第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のポテンシャルレベルが、1.8Vに設定された状態)では、画素セル10は、いわゆる露光状態となっている。
【0075】
図10A、
図10Bに示されるように、フォトンを1カウントするために要する露光時間は754μsecとなっており、画素セル10は、60fpsの16msecで、20フォトンまでカウント可能となっている。この露光時間754μsec内に、アバランシェフォトダイオード1でフォトンが光電効果を引き起こすと、アバランシェフォトダイオード1のカソードで集電する電荷の量が飽和レベルに達するが、先に述べたブルーミング抑止機能が働いて、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のオフポテンシャル障壁を介してAPDRSD電源に電荷がオーバーフローする。アバランシェフォトダイオード1のカソードの初期化時の3.3Vを基準として1.8Vに至るまでの1.5V分の、アバランシェフォトダイオード1のカソードの容量が1.5fFとなっている。このため、
図8Bに示されるように、アバランシェフォトダイオード1のカソードには14000電子が保持されることとなる。なお、この動作(ブルーミング抑止機能が働いて、APDRSD電源に電荷がオーバーフローする動作)によって、1フォトンが光電効果を起こした場合における、アバランシェフォトダイオード1のカソードに蓄電される電荷量を均一にすることが実現される。
【0076】
次に、
図8Cに示すように、転送トランジスタ3(TRN−TR)をオンにしてアバランシェフォトダイオード1のカソードとフローティングディフュージョン部2(FD)とを接続する。このオン時のポテンシャルレベルは、アバランシェフォトダイオード1のカソードとフローティングディフュージョン部2(FD)とを完全に接続するのではなく、2.8Vのポテンシャル障壁を設けるレベルとなっている。すなわち、転送トランジスタ3(TRN−TR)のゲートに第3電圧(転送トランジスタ3(TRN−TR)をオンにする電圧)が印加された状態におけるソース−ドレイン間のポテンシャル障壁は、第2リセットトランジスタ5(FDRST−TR)によって、初期化された状態におけるフローティングディフュージョン部2のポテンシャルよりも高くなっている。理由は、駆動上の誤動作を防止するためで、詳しくは後述する。このとき、転送トランジスタ3(TRN−TR)は線形状態においてオン状態となっている。
【0077】
転送トランジスタ3(TRN−TR)をオンにすることで、アバランシェフォトダイオード1のカソードに蓄電された電荷が、アバランシェフォトダイオード1のカソードとフローティングディフュージョン部2(FD)とに再分配される。再分配される電荷量は、アバランシェフォトダイオード1のカソードとフローティングディフュージョン部2(FD)との容量に比例する。ここでは、アバランシェフォトダイオード1のカソードの容量が1.5fFで、フローティングディフュージョン部2の容量が2.0fFとなっている。このため、
図8Dに示されるように、その後転送トランジスタ3(TRN−TR)をオフにした後においても、フローティングディフュージョン部2(FD)には、8000電子が蓄電される。
【0078】
フローティングディフュージョン部2(FD)はリーク電荷が発生しやすいので、
図8Eに示されるように、即座に、カウントトランジスタ8(MCT−TR)をオンにして、メモリ部7へ電荷を転送する。このときに、フローティングディフュージョン部2(FD)に蓄電された電荷が、フローティングディフュージョン部2(FD)とメモリ部7とに再分配される。再分配される電荷量は、フローティングディフュージョン部2(FD)とメモリ部7との容量に比例する。メモリ部7の容量は、20fFとなっている。このため、
図8Fに示されるように、メモリ部7には、7270電子が蓄電される。
【0079】
これら
図8A〜
図8Fで示される一連の動作が、フォトカウント動作の1サイクルになる。
【0080】
なお、露光時間754μsecの間に複数のフォトンが光電効果を引き起こしても、1フォトンとして認識されることとなる。
【0081】
2フォトン目を検出するには、
図8Gに示されるように、一旦アバランシェフォトダイオード1のカソードを初期化する必要がある。このため、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)をオンにする。なお、このとき、フローティングディフュージョン部2(FD)を初期化するかしないかは、フローティングディフュージョン部2(FD)の容量とメモリ部7の容量との比率による。フローティングディフュージョン部2(FD)の容量に比べて、メモリ部7の容量が十分に大きい場合には、フローティングディフュージョン部2(FD)を初期化した方が良い。こうすることで、フローティングディフュージョン部2(FD)におけるリーク電荷発生による影響を低減することができる。ここでは、フローティングディフュージョン部2(FD)の容量に比べて、メモリ部7の容量が十分に大きいとは言えないため、フローティングディフュージョン部2(FD)を初期化していない。理由は、メモリ部7に蓄積された1フォトン分の電荷(
図8Gに示されるように、7270電子)が初期化されたフローティングディフュージョン部2(FD)との間で電荷再分配されると、メモリ部7に蓄電された電荷が減少するためである。特に、1フォトンが光電効果を引き起こした後、次のサイクルでフォトンが光電効果を引き起こさない場合に影響が大きい。1フォトン目が光電効果を引き起こした後、1フォトン目に続き、次のサイクルで2フォトン目が光電効果を引き起こせば、アバランシェフォトダイオード1のカソードには、14000電子が再び蓄電されるので、影響はない。
【0082】
図8H〜
図8Lに示されるシーケンスは、
図8B〜
図8Fに示されるシーケンスと同様のシーケンスである。これらのシーケンスと同様のシーケンスを20回繰り返すことで、最大20回の、フォトンが光電効果を起こしたことにより発生した電荷を、メモリ部7に積算することができる。
【0083】
光電効果を起こしたフォトンの数に応じてメモリ部7に積算された電荷は、カウントトランジスタ8(MCT−TR)を介してフローティングディフュージョン部2(FD)と接続された状態で、増幅トランジスタ6(SF−TR)にて電圧変換されて出力される。
図10A、
図10Bに、その出力タイミングを示す。
図10Aは、メモリ部7に積算された電荷を先に増幅トランジスタ6(SF−TR)で電圧に変換して出力した後に、フローティングディフュージョン部2(FD)の初期化電荷を後に増幅トランジスタ6(SF−TR)で電圧に変換して出力する場合のタイミング図である。そして、
図10Bは、フローティングディフュージョン部2(FD)の初期化電荷を先に増幅トランジスタ6(SF−TR)で電圧に変換して出力した後に、メモリ部7に積算された電荷を後に増幅トランジスタ6(SF−TR)で電圧に変換して出力する場合のタイミング図である。
【0084】
なお、連続してフォトンが光電効果を引き起こすなどして、メモリ部7に積算して蓄電された電荷量が多くなると、メモリ部7に新たに積算される電荷量が少なくなる(
図11A参照)。このため、
図11Bに示されるように、フォトンのカウント数が多くなる程、出力電圧の傾きが小さくなる傾向にある。なお、メモリ部7の容量がより大きい程、この傾向をより抑止することができる。比較のため、
図11C、
図11Dに、メモリ部7の容量が6fFである場合における、アバランシェフォトダイオード1の動作モードがガイガー増倍モードである場合おける、フォトンカウント特性を示す特性図を示す。
図11Dに示されるように、メモリ部7の容量が、6fF、すなわち、フローティングディフュージョン部2(FD)の容量とメモリ部7の容量との比率が1:3の場合には、フォトカウント数が10を超えるあたりから、出力電圧の傾きが、フォトカウント数の検出が困難になる程度に小さくなる。発明者は、実験、検討等を繰り返すことで、検出可能なフォトンカウント数を20とするためには、メモリ部7の容量が、フローティングディフュージョン部2(FD)の容量の5倍以上であることが好ましいことを見出した。
【0085】
図9H〜
図9Lは、1フォトン目が光電効果を引き起こした後、1フォトン目に続き、次のサイクルで2フォトン目が光電効果を引き起こさなかった場合における、フォトカウント駆動シーケンスをポテンシャルで示したポテンシャル図である。
【0086】
図9Hに示されるように、画素セル10が、いわゆる露光状態となっても、フォトンが光電効果を引き起こさないため、アバランシェフォトダイオード1のカソードには、例えばノイズによる10電子しか蓄電されない。このため、
図9Iに示されるように、転送トランジスタ3(TRN−TR)をオンにしてアバランシェフォトダイオード1のカソードとフローティングディフュージョン部2(FD)とを不完全に接続したとしても、アバランシェフォトダイオード1のカソードに蓄電された電荷と、フローティングディフュージョン部2(FD)との間で電荷の再分配が行われない。
【0087】
転送トランジスタ3(TRN−TR)をオンにした場合のポテンシャルレベルが、アバランシェフォトダイオード1のカソードとフローティングディフュージョン部2(FD)とを完全に接続するレベルでなく、2.8Vのポテンシャル障壁を設けるレベルとなっている理由は、フォトンが光電効果を引き起こさなかった場合に、アバランシェフォトダイオード1のカソードに蓄電された電荷と、フローティングディフュージョン部2(FD)との間で電荷の再分配が行われなくするためである。このため、
図9Iに示されるように、転送トランジスタ3(TRN−TR)を介した電荷の再分配は行われず、フローティングディフュージョン部2(FD)は、蓄積する電荷量(ここでは730電子)を保持し続ける。
【0088】
このため、
図9Kに示されるように、カウントトランジスタ8(MCT−TR)をオンにしても、メモリ部7に蓄電された電荷量は変動しない。
【0089】
図12A〜
図12Dは、アバランシェフォトダイオード1の動作モードがリニア増倍モードである場合おける、駆動シーケンスをポテンシャルで示したポテンシャル図である。
図13は、アバランシェフォトダイオード1の動作モードがリニア増倍モードである場合おける、駆動シーケンスをタイミングで表したタイミング図である。
【0090】
アバランシェフォトダイオード1の動作モードがリニア増倍モードである場合には、画素セル10を備える本実施の形態に係る固体撮像素子は、通常のイメージセンサとほぼ同様の動作を行う。
【0091】
駆動シーケンスが開始されると、はじめに、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)と、第2リセットトランジスタ5(FDRST−TR)と、カウントトランジスタ8(MCT−TR)とをオンにして、アバランシェフォトダイオード1のカソードと、フローティングディフュージョン部2と、メモリ部7とを初期化(リセット)する。
【0092】
図12Aに示されるように、上記初期化によって、アバランシェフォトダイオード1のカソードと、フローティングディフュージョン部2と、メモリ部7とが、3.3Vのポテンシャルに設定される。
【0093】
次に、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)と、第2リセットトランジスタ5(FDRST−TR)と、カウントトランジスタ8(MCT−TR)とをオフにする。このとき、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のオフレベルを、転送トランジスタ3(TRN−TR)のオフレベルよりもポテンシャルを低く(ここでは、1.8V)保っておく。これにより、アバランシェフォトダイオード1のカソードで集電する電荷の量が飽和レベルに達する場合には、先に述べたブルーミング抑止機能が働いて、第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のオフポテンシャル障壁を介してAPDRSD電源に電荷がオーバーフローする。
【0094】
この状態(第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)のポテンシャルレベルが、1.8Vに設定された状態)では、画素セル10は、いわゆる露光状態となっている。
図13に示されるように、露光時間は、60fpsで最大16msecとなる。
【0095】
なお、この露光時間は、電子シャッターによって調整可能である。電子シャッターは、露光期間中に第1リセットトランジスタ4(APDRST−TR)と第2リセットトランジスタ5(FDRST−TR)とをオンすることで実現できる。
【0096】
次に、第2リセットトランジスタ5(FDRST−TR)をオンすることで、
図12Cに示されるように、フローティングディフュージョン部2(FD)を初期化する。初期化後、
図12Dに示されるように、転送トランジスタ3(TRN−TR)のポテンシャルレベルを3.3Vとして、アバランシェフォトダイオード1のカソードとフローティングディフュージョン部2(FD)とを完全に接続する。このとき、転送トランジスタ3(TRN−TR)のゲートに第4電圧(転送トランジスタ3(TRN−TR)をオンにする電圧)が印加された状態におけるソース−ドレイン間のポテンシャル障壁は、第2リセットトランジスタ5(FDRST−TR)によって初期化された状態におけるフローティングディフュージョン部2のポテンシャル以下となっている。そして、フローティングディフュージョン部2(FD)に蓄電された電荷は、増幅トランジスタ6(SF−TR)にて電圧変換されて出力される。
図13は、フローティングディフュージョン部2(FD)の初期化電荷を先に増幅トランジスタ6(SF−TR)で電圧に変換して出力した後に、フローティングディフュージョン部2(FD)に蓄電された電荷を後に増幅トランジスタ6(SF−TR)で電圧に変換して出力する場合のタイミング図となっている。
【0097】
[3.適用例]
以下、上記構成の固体撮像素子を備える撮像装置200について説明する。
【0098】
図14は、撮像装置200の構成を示すブロック図である。
【0099】
同図に示されるように、撮像装置200は、本実施の形態に係る、上記構成の固体撮像素子100と、固体撮像素子100から出力される信号に基づいて、アバランシェフォトダイオード1に印加するバイアスを、第1のバイアス(例えば−25V)と第2のバイアス(例えば−27V)とのいずれかに設定する信号処理回路110とを備える。
【0100】
信号処理回路110は、信号処理LSI120と、アナログフロントエンド回路130とを備える。
【0101】
固体撮像素子100は、アナログフロントエンド回路130に対して、画素信号SENS−OUTを出力する。そして、アナログフロントエンド回路130は、SENS−OUTから信号成分を検出し、ゲインをかけて、AFE−OUT信号を出力する。すると、信号処理LSI120は、そのAFE−OUT信号を予め設定された閾値レベルと比較して、被写体が低照度であるか否かを判定する。被写体が低照度であると判定する場合には、信号処理LSI120は、制御信号VOL−CNTLを用いて電圧スイッチ140を制御して、アバランシェフォトダイオード1に印加するバイアスを、第2のバイアス(例えば−27V)に設定する。これにより、アバランシェフォトダイオード1はガイガー増倍モードとなる。一方、被写体が低照度でないと判定する場合には、信号処理LSI120は、制御信号VOL−CNTLを用いて電圧スイッチ140を制御して、アバランシェフォトダイオード1に印加するバイアスを、第1のバイアス(例えば−25V)に設定する。これにより、アバランシェフォトダイオード1はリニア増倍モードとなる。
【0102】
このように、撮像装置200は、被写体の照度に応じて、アバランシェフォトダイオード1の動作モードを、ガイガー増幅モードとリニア増倍モードとの間で切り替えて、画像の撮像を行うことができる。
【0103】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態について説明した。しかしながら、本開示による技術は、これらに限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。