特許第6796785号(P6796785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796785
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】照明機器および照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20201130BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20201130BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20201130BHJP
【FI】
   H05B47/19
   H05B47/155
   H05B47/165
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-146811(P2019-146811)
(22)【出願日】2019年8月8日
(62)【分割の表示】特願2016-6505(P2016-6505)の分割
【原出願日】2016年1月15日
(65)【公開番号】特開2019-192655(P2019-192655A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】栗原 伸一郎
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−004062(JP,A)
【文献】 特表2014−522559(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0086560(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00 − 45/58
H05B 47/00 − 47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明機器の作動に関するコマンドを無線で送信または受信する機器通信部と、
前記照明機器と通信端末機とが互いに前記コマンドを通信する第1通信モードと、メッシュネットワークを構成する複数の前記照明機器が互いに前記コマンドを送信または受信する第2通信モードとを有し、前記第1通信モードにより受信した前記コマンドおよび前記第2通信モードにより受信した前記コマンドを実行する機器制御部と
を備え、
前記機器通信部が、第1の通信端末機を発信源とし複数の前記照明機器に波及する前記コマンドを、自身とは異なる前記照明機器を介して前記第2通信モードで受信した場合に、
前記機器制御部は、前記第1の通信端末機とは異なる第2の通信端末機と前記第1通信モードで通信している状態のときは、前記第2通信モードで受信した前記コマンドを実行せずに現状の作動状態を維持する
照明機器。
【請求項2】
前記機器制御部は、前記第2通信モードで受信した前記コマンドを実行しない場合は、前記コマンドを不実行とする情報を前記第1の通信端末機に通知する
請求項に記載の照明機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の照明機器を複数備える
照明システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の照明機器と、
前記第1の通信端末機および前記第2の通信端末機の少なくとも一方の通信端末機と
を備える照明システム。
【請求項5】
複数の前記照明機器は、無線通信距離内における所定ホップ数の照明機器間で構成される前記メッシュネットワークを構成している
請求項3または4に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュネットワークを構成する照明機器および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信機能を有する複数の照明機器によりメッシュネットワークを構成する照明システムが知られている。メッシュネットワークとは、機器同士で無線通信経路を構築しているネットワークのことをいう。
【0003】
この種の照明システムの一つとして、特許文献1には、無線デバイスを有する複数の照明機器と、照明機器と通信する複数の無線端末と、照明機器を管理する管理サーバとを備える照明システムが開示されている。この照明システムでは、隣り合う照明機器が相互に通信可能になっており、複数の照明機器によりメッシュネットワークが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−60078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている照明システムでは、照明機器を作動するコマンドを管理サーバからメッシュネットワークによる通信経路を用いて各照明機器に送信している。このようにメッシュネットワークによる通信経路を用いてコマンドを送信することで、各照明機器を一括して同じように作動させることができる。
【0006】
しかしながら、各照明機器を一括して同じように作動させた場合に、現状の照明機器の作動状態の下で作業をしている他の者にとっては、照明機器が意に反する作動状態となることで、現状行っている作業に悪影響を与えることがある。例えば、照明機器が点灯している状態で作業をしている者がいるにもかかわらず、各照明機器が一括して消灯された場合には、現状行っている作業に支障をきたしたり、作業者に不快感を与えたりするという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、メッシュネットワークによる通信経路を用いて照明機器を一括して作動させる場合に、現状の作動状態の下で行われている作業に悪影響を与えることを抑制する照明機器等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明機器の一態様は、照明機器の作動に関するコマンドを無線で送信または受信する機器通信部と、前記照明機器と通信端末機とが互いに前記コマンドを通信する第1通信モードと、メッシュネットワークを構成する複数の前記照明機器が互いに前記コマンドを送信または受信する第2通信モードとを有し、前記第1通信モードにより受信した前記コマンドおよび前記第2通信モードにより受信した前記コマンドを実行する機器制御部とを備え、前記機器通信部が、第1の通信端末機を発信源とし複数の前記照明機器に波及する前記コマンドを、自身とは異なる前記照明機器を介して前記第2通信モードで受信した場合に、前記機器制御部は、前記第1の通信端末機とは異なる第2の通信端末機と前記第1通信モードで通信している状態のときは、前記第2通信モードで受信した前記コマンドを実行せずに現状の作動状態を維持する。
【0009】
また、本発明の照明システムの一態様は、上記照明機器を複数備える。また、本発明の照明システムの一態様は、上記照明機器と、前記第1の通信端末機および前記第2の通信端末機の少なくとも一方の通信端末機とを備える。
【発明の効果】
【0010】
メッシュネットワークによる通信経路を用いて照明機器を一括して作動させる場合に、現状の作動状態の下で行われている作業に悪影響を与えることを抑制する照明機器等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る照明システムおよび照明機器を示す図であって、複数の照明機器により構成されるメッシュネットワークの一例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る照明機器の外観の一例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る照明機器の制御構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態1に係る照明機器と通信する通信端末機の制御構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態1における照明機器の点灯状態を示す図であり、(a)はメッシュネットワークを構成する照明機器の全てが点灯している状態、(b)は各照明機器に消灯コマンドを与えた場合を示す図である。
図6】実施の形態1における照明機器の点灯または消灯を決めるフローチャートである。
図7】実施の形態2における照明機器の点灯状態を示す図であり、メッシュネットワークを構成する複数の照明機器に消灯コマンドを与えた場合を示す図である。
図8】実施の形態2における照明機器の点灯または消灯を決めるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態に係る照明機器および照明システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0014】
(実施の形態1)
<照明システムおよび照明機器の構成>
図1は、実施の形態1に係る照明システム100および照明機器10a、10b、10c、10d、10e、10fを示す図であって、複数の照明機器10a〜10fにより構成されるメッシュネットワーク20(図1における破線)の一例を示す図である。
【0015】
照明システム100は、通信機能を有する複数の照明機器10a〜10fにより構成されている。この照明システム100では、複数の照明機器10a〜10fのうちの、互いに隣り合う照明機器(例えば照明機器10bおよび10d)が通信することで無線通信経路を構築し、メッシュネットワークを構成している。なお、このメッシュネットワーク20は、隣り合う照明機器に限られず、無線通信距離内における所定ホップ数の照明機器の間で構成されていてもよい。
【0016】
また、照明機器10a〜10fは、複数の作業者がそれぞれ所持する通信端末機50、60(第1の通信端末機50および第2の通信端末機60)と通信可能である。通信端末機50、60は、自身の近くに位置する照明機器10a〜10fと自動的に通信接続するように設定されている。図1では、通信端末機50は照明機器10aと通信接続し、通信端末機60は照明機器10dと通信接続している。
【0017】
図2は、照明機器10a〜10fの外観の一例を示す図である。図3は、照明機器10a〜10fの制御構成を示すブロック図である。
【0018】
照明機器10a〜10fは、例えば、図2に示すようなシーリングライトであり、住宅等の建物の造営材(天井など)に設置される。照明機器10a〜10fは、機器本体15と、機器本体15を覆うグローブ16とを備えている。グローブ16は、透光性を有する樹脂材料により形成されている。機器本体15は、図3に示すように、光源11と、機器通信部12と、機器制御部13とを備えている。
【0019】
光源11は、例えば、白色光、赤色光、緑色光または青色光を発する複数の発光ダイオードを含んでいる。光源11は、機器制御部13により調光制御および/または調色制御される。
【0020】
機器通信部12は、アンテナおよび無線モジュールを有している。機器通信部12は、自身とは異なる照明機器の機器通信部12と、照明機器10a〜10fの作動に関するコマンドを無線で送信また受信する。例えば、照明機器10bは、隣に位置する照明機器10a、10d、10eと通信可能となっている。また、照明機器10a〜10fの機器通信部12は、通信端末機50または60とも通信可能となっている。通信方式としては、例えば、IEEE802.15.1で規格されているBluetooth(登録商標)のような2.4GHz帯の周波数帯で通信する方式が用いられる。
【0021】
機器制御部13は、CPU、RAMおよびプログラムを格納しているROMなどにより構成されている。機器制御部13は、機器通信部12を介して他の機器と通信するための複数の通信モード(第1通信モードM1および第2通信モードM2)を有している。第1通信モードM1は、照明機器10a〜10fのそれぞれと通信端末機50または60とが互いに通信する場合の通信モードである。第2通信モードM2は、メッシュネットワーク20を構成する複数の照明機器10a〜10fが互いにコマンドを送信または受信する場合の通信モードである。機器制御部13は、第1通信モードM1および第2通信モードM2の両方を同時に使用してコマンドを送受信することができる。機器制御部13は、第1通信モードM1により受信したコマンド、および、第2通信モードM2により受信したコマンドを、照明機器10a〜10fの使用状況に応じて実行する。
【0022】
図4は、照明機器10a〜10fと通信する通信端末機50、60の制御構成を示すブロック図である。
【0023】
通信端末機50、60は、例えば、タブレット端末やスマートフォンであり、操作部54と、表示部51と、端末通信部52と、端末制御部53とを備えている。
【0024】
操作部54は、例えば、照明機器10a〜10fを作動させるコマンドを入力するタッチパネルである。表示部51は、例えば、照明機器10a〜10fの個々の作動状態を表示したり、メッシュネットワーク20への参加有無を表示したりするための液晶モニターである。端末通信部52は、アンテナおよび無線モジュールを有している。端末制御部53は、CPU、RAMおよびROMなどにより構成されている。端末制御部53は、照明機器10a〜10fのそれぞれと通信する第1通信モードM1を有している。
【0025】
通信端末機50、60と照明機器10a〜10fとの間では第1通信モードM1を使って、また、各照明機器10a〜10fの間では第2通信モードM2を使って、点灯、消灯、調光、調色、リセットなどの照明機器10a〜10fの作動に関するコマンドが送受信される。また、通信端末機50、60と照明機器10a〜10fとの間、および、各照明機器10a〜10fの間では、これらのコマンドの他に、照明機器10a〜10fごとに個別に割り当てられているアドレス、および、ネットワークの暗号鍵などの認証情報が送受信される。
【0026】
例えば、アドレスを指定して照明機器10bの作動に関するコマンドを送信することで、照明機器10bのみを作動させることができる。また、複数の照明機器10a〜10fを1グループとしてアドレスを割り当てることで、1グループからなる照明機器10a〜10fを一括して作動させることができる。また、点灯、消灯、調光、調色、リセットのうちの所定のコマンドまたは全てのコマンドを、一括して作動するように予め設定することができる。
【0027】
これらのコマンドは、原則的には、通信端末機50または60を発信源とし、メッシュネットワーク20による通信経路を用いて、複数の照明機器10a〜10fに波及するように送信される。例えば、所定のコマンドを第1通信モードM1で通信端末機50から照明機器10aに送信すると、照明機器10aは、受信したコマンドを第2通信モードM2で照明機器10bに送信する。照明機器10bは、受信したコマンドを実行するとともに、そのコマンドを第2通信モードM2で照明機器10d、10eに送信する。
【0028】
ただし、本実施の形態では、第1通信モードM1で通信している状態にある照明機器10a〜10dは、他の機器から受信したコマンドを無視して実行しないように設定されている。例えば、通信端末機60と第1通信モードM1で通信している照明機器10dは、通信端末機50を発信源として第2通信モードM2で受信したコマンドを実行せずに現状の作動状態を維持する。また、照明機器10aは、第1通信モードM1で受信したコマンドを一旦受け付けるが、通信端末機50と第1通信モードM1で直接通信しているので、そのコマンドを実行せずに現状の作動状態を維持する。
【0029】
すなわち、本実施の形態に係る照明機器10a〜10fでは、照明機器10a〜10fを一括して作動させる場合に、第1通信モードM1で通信している照明機器(例えば照明機器10a、10d)に関しては、現状の作動状態で作業している者がいるとみなして、その作動状態を維持し、作業に悪影響を与えることを抑制している。
【0030】
<照明機器の動作>
次に、図5および図6を参照しながら、メッシュネットワーク20を構成する複数の照明機器10a〜10fに消灯コマンドを与えた場合の照明機器10a〜10fの動作について説明する。なお、ここでは、照明機器10aの近辺にいる作業者が、節電のため、他の照明機器10b〜10fを消灯する場合について説明する。
【0031】
図5は照明機器10a〜10fの点灯状態を示す図であり、図6は、照明機器10a〜10fの点灯または消灯を決めるフローチャートである。
【0032】
はじめは、図5の(a)に示すように、メッシュネットワーク20を構成する複数の照明機器10a〜10fが、全て点灯した状態にある(図6のS11)。
【0033】
この状態から、照明機器10aの近辺にいる作業者が他の照明機器10b〜10fを消灯するため、図5の(b)に示すように、通信端末機50を使って消灯コマンドを照明機器10aに送信する。
【0034】
まず、通信端末機50から消灯コマンドを直接受信した照明機器10aの動作について、図6を参照しながら説明する。
【0035】
照明機器10aは、通信端末機50から第1通信モードM1で消灯コマンドを受信する(図6のS12)。その後、照明機器10aは、自身が第1通信モードM1で他の機器と通信しているかどうかを判断する(図6のS13)。このとき、照明機器10aは、第1通信モードM1で受信した消灯コマンドを一旦受け付けるが、通信端末機50と第1通信モードM1で通信している状態なので(S13のYes)、第1通信モードM1で受信した消灯コマンドを実行せず現状の作動状態を維持する。それとともに、消灯コマンドを隣に位置する照明機器10b、10cに、第2通信モードM2で転送する。なお、照明機器10aは、再び消灯コマンドを受信するまでは点灯状態を維持する。
【0036】
次に、自身とは異なる照明機器を介して消灯コマンドを受信した照明機器10b〜10fの動作について、再び図6を参照しながら説明する。
【0037】
照明機器10b、10cは、照明機器10aから第2通信モードM2で消灯コマンドを受信する(図6のS12)。その後、照明機器10b、10cは、自身が第1通信モードM1で他の機器と通信しているかどうかを判断する(図6のS13)。このとき、照明機器10b、10cは、第1通信モードM1で他の機器と通信していない状態なので(S13のNo)、第2通信モードM2で受信した消灯コマンドをそれぞれ実行する(図6のS14)。それとともに、消灯コマンドを隣に位置する照明機器10d、10e、10fに、第2通信モードM2で転送する。
【0038】
照明機器10d、10e、10fは、照明機器10b、10cから第2通信モードM2で消灯コマンドを受信する(図6のS12)。その後、照明機器10d、10e、10fは、自身が第1通信モードM1で他の機器と通信しているかどうかを判断する(図6のS13)。このとき、照明機器10e、10fは、第1通信モードM1で他の機器と通信していない状態なので(S13のNo)、第2通信モードM2で受信した消灯コマンドをそれぞれ実行する(図6のS14)。
【0039】
それに対し、照明機器10dは、通信端末機60と第1通信モードM1で通信している状態なので(S13のYes)、第2通信モードM2で受信した消灯コマンドを無視して実行せず、現状の作動状態を維持する。また、照明機器10dは、受信した消灯コマンドを不実行とする応答情報を、通信端末機50にポップアップで通知する。この応答情報は、メッシュネットワーク20の通信経路で用いられる第2通信モードM2、および、照明機器10aと通信端末機50との通信経路で用いられる第1通信モードM1を使って、通信端末機50に通知される。
【0040】
すなわち、本実施の形態に係る照明機器10a〜10fでは、図5の(b)に示すように、照明機器10aの近辺にいる作業者が、通信端末機50を用いて照明機器10a〜10fに対して一括して消灯コマンドを与えた場合であっても、通信端末機50、60の近くに位置する照明機器10a、10dは、消灯しないようになっている。
【0041】
<まとめ>
以上説明したように、本実施の形態に係る照明機器10a〜10fは、機器通信部12が、第1の通信端末機50を発信源とし複数の照明機器10a〜10fに波及するコマンドを、自身とは異なる照明機器を介して第2通信モードM2で受信した場合に、機器制御部13は、第1の通信端末機50とは異なる第2の通信端末機60と第1通信モードM1で通信していない状態のときは、第2通信モードM2で受信したコマンドを実行し、第2の通信端末機60と第1通信モードM1で通信している状態のときは、第2通信モードM2で受信したコマンドを実行せずに現状の作動状態を維持する。
【0042】
これによれば、第1の通信端末機50を発信源として、メッシュネットワーク20による通信経路を用いて照明機器10a〜10fを一括して作動させる場合に、第2の通信端末機60の近くに位置する照明機器(図5の(b)では照明機器10d)の下で行われている作業に悪影響を与えることを抑制することができる。
【0043】
なお、本実施の形態において「第1通信モードM1で通信している状態」とは、第1通信モードM1でコマンドの送受信を行っているときだけでなく、通信端末機50、60と照明機器10a〜10fとの間の第1通信モードM1によるコネクションが確立してから解放するまでのセッション中も含まれる。
【0044】
また、例えば、照明機器10aの機器通信部12が、第1の通信端末機50を発信源とし複数の照明機器10a〜10fに波及するコマンドを、第1の通信端末機50から第1通信モードM1で受信した場合に、機器制御部13は、第1通信モードM1で受信したコマンドを実行せずに現状の作動状態を維持するとともに、自身とは異なる照明機器10b〜10fに第2通信モードM2でコマンドを転送してもよい。
【0045】
これによれば、第1の通信端末機50の近くに位置する照明機器10aの作動状態を維持しながら、他の照明機器10b、10c、10e、10fに一括してコマンドを実行させることができる。また、照明機器10aに対して誤ってコマンドを与えてしまった場合でも、照明機器10aは現状の作動状態を維持するので、照明機器10aの下で現状行われている作業に悪影響を与えることを抑制することができる。
【0046】
また、機器制御部13は、第2通信モードM2で受信したコマンドを実行しない場合は、コマンドを不実行とする情報を第1の通信端末機50に通知してもよい。
【0047】
これによれば、第1の通信端末機50に通知された情報により、コマンドが実行されると現状の作業に支障をきたす照明機器が他にあり、その照明機器でコマンドが実行されなかったことを認識することができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る照明システム100は、複数の照明機器10a〜10fを備えている。
【0049】
この照明システム100によれば、通信端末機50を発信源として、メッシュネットワーク20による通信経路を用いて照明機器10a〜10fを一括して作動させる場合に、通信端末機60の近くに位置する照明機器10dの下で行われている作業に悪影響を与えることを抑制することができる。
【0050】
(実施の形態2)
<照明システムおよび照明機器の構成>
実施の形態2に係る照明システム100では、通信端末機50から直接的にコマンドを受信した照明機器10a〜10fが、そのコマンドに従うように設定されている。
【0051】
例えば、照明機器10aの機器通信部12が、第1の通信端末機50を発信源とし複数の照明機器10a〜10fに波及するコマンドを、第1の通信端末機50から第1通信モードM1で受信した場合に、機器制御部13は、第1通信モードM1で受信したコマンドを実行するとともに、そのコマンドを自身とは異なる照明機器10b〜10fに第2通信モードM2で転送するように構成されている。
【0052】
<照明機器の動作>
図7および図8を参照しながら、複数の照明機器10a〜10fに消灯コマンドを与えた場合の照明機器10a〜10fの動作について説明する。なお、ここでは、照明機器10a〜10fが設置されたフロアーにいる作業者が、フロアーでの作業を終了したため、全ての照明機器10a〜10fを消灯する場合について説明する。
【0053】
図7は照明機器10a〜10fの点灯状態を示す図であり、図8は、照明機器10a〜10fの点灯または消灯を決めるフローチャートである。
【0054】
はじめは、メッシュネットワーク20を構成する複数の照明機器10a〜10fが、全て点灯した状態にある(図8のS21)。
【0055】
この状態から、照明機器10aの近辺にいる作業者が全ての照明機器10a〜10fを消灯するため、図7に示すように、通信端末機50を使って消灯コマンドを照明機器10aに送信する。
【0056】
まず、通信端末機50から消灯コマンドを直接受信した照明機器10aの動作について、図8を参照しながら説明する。
【0057】
照明機器10aは、通信端末機50から第1通信モードM1で消灯コマンドを受信する(図8のS22)。その後、照明機器10aは、自身が第1通信モードM1で他の機器と通信しているかどうかを判断する(図8のS23)。このとき、照明機器10aは、通信端末機50と第1通信モードM1で通信している状態なので(S23のYes)、第1通信モードM1で受信した消灯コマンドを実行する(図8のS25)。それとともに、消灯コマンドを隣に位置する照明機器10b、10cに、第2通信モードM2で転送する。
【0058】
次に、自身とは異なる照明機器を介して消灯コマンドを受信した照明機器10b〜10fの動作について、再び図8を参照しながら説明する。
【0059】
照明機器10b、10cは、照明機器10aから第2通信モードM2で消灯コマンドを受信する(図8のS22)。その後、照明機器10b、10cは、消灯コマンドを第1通信モードM1で受信したかどうかを判断する(図8のS23)。照明機器10b、10cは、消灯コマンドを第1通信モードM1で受信しておらず、第2通信モードM2で受信しているので、次のステップに移り、自身が第1通信モードM1で他の機器と通信しているかどうかを判断する(図8のS24)。ここで、照明機器10b、10cは、第1通信モードM1で他の機器と通信していないので(S24のNo)、第2通信モードM2で受信した消灯コマンドをそれぞれ実行する(図8のS25)。それとともに、消灯コマンドを隣に位置する照明機器10d、10e、10fに、第2通信モードM2で転送する。
【0060】
照明機器10d、10e、10fは、照明機器10b、10cから第2通信モードM2で消灯コマンドを受信する(図8のS22)。その後、照明機器10d、10e、10fは、消灯コマンドを第1通信モードM1で受信したかどうかを判断する(図8のS23)。照明機器10d、10e、10fは、消灯コマンドを第1通信モードM1で受信しておらず(S23のNo)、第2通信モードM2で受信しているので、次のステップに移り、自身が第1通信モードM1で他の機器と通信しているかどうかを判断する(図8のS24)。
【0061】
ここで、照明機器10e、10fは、第1通信モードM1で他の機器と通信していないので(S24のNo)、第2通信モードM2で受信した消灯コマンドをそれぞれ実行する(図8のS25)。
【0062】
それに対し、照明機器10dは、通信端末機60と第1通信モードM1で通信しているので(S24のYes)、第2通信モードM2で受信した消灯コマンドを無視して実行せず、現状の作動状態を維持する。また、照明機器10dは、受信した消灯コマンドを不実行とする応答情報を、通信端末機50にポップアップで通知する。
【0063】
すなわち、本実施の形態に係る照明機器10a〜10fでは、図7に示すように、照明機器10aの近辺にいる作業者が、通信端末機50を用いて照明機器10a〜10fに対して一括して消灯コマンドを与えた場合であっても、通信端末機60の近くに位置する照明機器10dは消灯しないようになっている。
【0064】
<まとめ>
以上、本実施の形態に係る照明機器10a〜10fにおいても、機器通信部12が、第1の通信端末機50を発信源とするコマンドを、自身とは異なる照明機器を介して第2通信モードM2で受信した場合に、機器制御部13は、第2の通信端末機60と第1通信モードM1で通信していない状態のときは、第2通信モードM2で受信したコマンドを実行し、第2の通信端末機60と第1通信モードM1で通信している状態のときは、第2通信モードM2で受信したコマンドを実行せずに現状の作動状態を維持する。
【0065】
これによれば、第1の通信端末機50を発信源として、メッシュネットワーク20による通信経路を用いて照明機器10a〜10fを一括して作動させる場合に、第2の通信端末機60の近くに位置する照明機器(図7では照明機器10d)の下で行われている作業に悪影響を与えることを抑制することができる。
【0066】
また、例えば、照明機器10aの機器通信部12が第1の通信端末機50を発信源とし複数の照明機器10a〜10fに波及するコマンドを、第1の通信端末機50から第1通信モードM1で受信した場合に、照明機器10aの機器制御部13は、第1通信モードM1で受信したコマンドを実行するとともに、自身とは異なる照明機器10b〜10fに第2通信モードM2でコマンドを転送してもよい。
【0067】
これによれば、第1の通信端末機50の近くに位置する照明機器10aも含め、他の照明機器10b、10c、10e、10f(ただし図7に示す照明機器10dを除く)に一括してコマンドを実行させることができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る照明システム100は、複数の照明機器10a〜10fを備えている。
【0069】
この照明システム100によれば、通信端末機50を発信源として、メッシュネットワーク20による通信経路を用いて照明機器10a〜10fを一括して作動させる場合に、通信端末機60の近くに位置する照明機器10dの下で行われている作業に悪影響を与えることを抑制することができる。
【0070】
以上、照明機器10a〜10fおよび照明システム100について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0071】
例えば、実施の形態1では、通信端末機50のコマンドにより照明機器10a〜10fを作動させているが、それに限られず、通信端末機60の第1通信モードM1によるコマンドにより照明機器10a〜10fを作動させてもよい。また、照明システム100の中に照明機器10a〜10fを管理する管理サーバを設け、管理サーバの第1通信モードを用いたコマンドにより照明機器10a〜10fを作動させてもよい。
【0072】
また、実施の形態1、2では、照明機器10dと通信端末機60とを通信接続させているが、それに限られず、通信端末機60にローミング機能を持たせ、移動させた通信端末機60と他の照明機器10b、10c、10e、10fとを第1通信モードM1で通信接続させてもよい。また、通信接続は自動で接続するのではなく、通信端末機50、60を手動で操作し接続させてもよい。
【0073】
また、実施の形態1では、Bluetooth(登録商標)を用いた近距離無線通信方式を例に挙げて説明したが、それに限られず、WiFi(登録商標)や赤外線通信などの通信方式を用いることもできる。
【0074】
また、実施の形態1では、照明機器10a〜10fとしてシーリングライトを例に挙げて説明したが、それに限られず、LEDベースライトやLEDダウンライドであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10a、10b、10c、10d、10e、10f 照明機器
12 機器通信部
13 機器制御部
20 メッシュネットワーク
50 第1の通信端末機
60 第2の通信端末機
100 照明システム
M1 第1通信モード
M2 第2通信モード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8