(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による免震機構について、
図1乃至
図8に基づいて説明する。
図1および
図2に示すように、第1実施形態による免震機構1Aは、上部構造体11と下部構造体12との間の免震層13に設けられている。下部構造体12は地盤に支持されている。上部構造体11と下部構造体12とは水平方向に相対変位可能に構成されている。なお、免震層13には複数の免震機構1Aが設けられているものとする。
【0014】
免震機構1Aは、上部構造体11の底部に固定される上部案内部材2と、上部案内部材2の下側に配置され下部構造体12の上部に固定される下部案内部材3と、上部案内部材2および下部案内部材3との間に介装される可動子4と、上部案内部材2に支持された一対の上部ストッパ5,5(
図2参照)と、一対の上部ストッパ5,5と可動子4との間それぞれに介在される一対の上部緩衝材6,6と、下部案内部材3に支持された一対の下部ストッパ7,7(
図1参照)と、一対の下部ストッパ7,7と可動子4との間それぞれに介在される一対の下部緩衝材8,8と、を有している。
免震機構1Aでは、上部案内部材2と下部案内部材3とは、水平方向に相対変位可能で、鉛直方向の相対変位が水平方向の相対変位により決定されるように構成されている。
【0015】
図1乃至3に示すように、上部案内部材2は、長尺のブロック状の部材で構成され、長手方向が一の水平方向(X方向とする)となる向きに配置されている。上部案内部材2は、上部に固定された平板状の上部固定板22を介して上部構造体11(
図1および
図2参照)に固定されている。上部固定板22は、平面視形状が上部案内部材2よりもX方向およびX方向に直交する他の平方向(Y方向とする)に突出するように大きく形成されている。
【0016】
図2に示すように、上部案内部材2の下面は、X方向に沿ってX方向の略中央部が上側に凸となる略逆V字状の傾斜面に形成されている。この上部案内部材2の下面を上部傾斜面21とし、上部傾斜面21の略中央部の屈曲している部分を上部屈曲部21aとする。また、上部傾斜面21のうち、上部屈曲部21aのX方向の一方側を第1上部傾斜面211とし、X方向の他方側を第2上部傾斜面212とする。
【0017】
第1上部傾斜面211は、X方向の一方側から他方側に向かって漸次上側に向かう平面状に形成されている。第2上部傾斜面212は、X方向の一方側から他方側に向かって漸次下側に向かう平面状に形成されている。第1上部傾斜面211および第2上部傾斜面212は、水平面に対して同じ値の傾斜角θに形成されている。
上部案内部材2と可動子4とが相対移動すると、可動子4が第1上部傾斜面211または第2上部傾斜面212に沿って移動するように構成されている。第1上部傾斜面211および第2上部傾斜面212には、可動子4との摩擦を低減させるように、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材が設けられている。
【0018】
図1乃至3に示すように、下部案内部材3は、上部案内部材2と略同じ長尺のブロック状の部材で構成され、長手方向がY方向となる向きに配置されている。下部案内部材3は、下部に固定された平板状の下部固定板32を介して下部構造体12(
図1および
図2参照)に固定されている。下部固定板32は、平面視形状が下部案内部材3よりもX方向およびY方向に突出するように大きく形成されている。
【0019】
図1に示すように、下部案内部材3の上面は、Y方向に沿ってY方向の略中央部が下側に凸となる略V字状の傾斜面に形成されている。この下部案内部材3の上面を下部傾斜面31とし、下部傾斜面31の略中央部の屈曲している部分を下部屈曲部31aとする。また、下部傾斜面31のうち、下部屈曲部31aのY方向の一方側を第1下部傾斜面311とし、Y方向の他方側を第2下部傾斜面312とする。
【0020】
第1下部傾斜面311は、Y方向の一方側から他方側に向かって漸次下側に向かう平面状に形成されている。第2下部傾斜面312は、Y方向の一方側から他方側に向かって漸次上側に向かう平面状に形成されている。第1下部傾斜面311および第2下部傾斜面312は、水平面に対して同じ値の傾斜角θに形成されている。
下部案内部材3と可動子4とが相対移動すると、可動子4が第1下部傾斜面311または第2下部傾斜面312に沿って移動するように構成されている。第1下部傾斜面311および第2下部傾斜面313には、可動子4との摩擦を低減させるように、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材が設けられている。
【0021】
可動子4は、本体部41と、本体部41から上側に突出する一対の上部突出板部42,42と、本体部41から下側に突出する一対の下部突出板部43,43と、を有している。
本体部41には、上部に上部当接面44が形成され、下部に下部当接面45が形成されている。
上部当接面44は、X方向に沿ってX方向の略中央部が上側に凸となる略逆V字状の傾斜面に形成されている。この上部当接面44のX方向の略中央部の屈曲している部分を上部屈曲部44aとする。
また、上部当接面44のうち、上部屈曲部44aのX方向の一方側を第1上部当接面441とし、X方向の他方側を第2上部当接面442とする。
【0022】
第1上部当接面441は、X方向一方側から他方側に向かって漸次上側に向かう平面状に形成されている。第2上部当接面442は、X方向一方側から他方側に向かって漸次下側に向かう平面状に形成されている。第1上部当接面441および第2上部当接面442は、水平面に対して同じ値の傾斜角θに形成されている。この傾斜角θは、上部案内部材2の第1上部傾斜面211、第2上部傾斜面212の水平面に対する傾斜角θと同じ値となるように設定されている。
【0023】
第1上部当接面441は、上部案内部材2の第1上部傾斜面211に沿って摺動可能に構成され、第2上部当接面442は、上部案内部材2の第2上部傾斜面212に沿って摺動可能に構成されている。
なお、本体部41には、第1上部当接面441に代わって上部案内部材2の第1上部傾斜面211に沿って転動可能な転動部材が設けられていて、第2上部当接面442に代わって上部案内部材2の第2上部傾斜面212に沿って転動可能な転動部材が設けられていてもよい。
【0024】
下部当接面45は、Y方向に沿ってX方向の略中央部が上側に凸となる略逆V字状の傾斜面に形成されている。この下部当接面45のX方向の略中央部の屈曲している部分を下部屈曲部45aとする。
また、下部当接面45のうち、下部屈曲部45aのY方向の一方側を第1下部当接面451とし、X方向の他方側を第2下部当接面452とする。
【0025】
第1下部当接面451は、Y方向一方側から他方側に向かって漸次上側に向かう平面状に形成されている。第2下部当接面452は、X方向一方側から他方側に向かって漸次下側に向かう平面状に形成されている。第1下部当接面451および第2下部当接面452は、水平面に対して同じ値の傾斜角θに形成されている。この傾斜角θは、下部案内部材3の第1下部傾斜面311、第2下部傾斜面312の水平面に対する傾斜角θと同じ値となるように設定されている。
【0026】
第1下部当接面451は、下部案内部材3の第1下部傾斜面311に沿って摺動可能に構成され、第2下部当接面452は、下部案内部材3の第2下部傾斜面312に沿って摺動可能に構成されている。
なお、本体部41には、第1下部当接面451に代わって下部案内部材3の第1下部傾斜面311に沿って転動可能な転動部材が設けられていて、第2下部当接面452に代わって下部案内部材3の第2下部傾斜面312に沿って転動可能な転動部材が設けられていてもよい。
【0027】
本体部41には、X方向に貫通する第1孔部411および第2孔部412と、Y方向に貫通する第3孔部413および第4孔部414と、が形成されている。
第1孔部411と第2孔部412とはY方向に間隔をあけて平行に配置されている。第3孔部413と第4孔部414とはX方向に間隔をあけて平行に配置されている。第1孔部411および第2孔部412は、第3孔部413および第4孔部414よりも上側に第3孔部413および第4孔部414と交差しない位置に配置されている。
【0028】
一対の上部突出板部42,42は、本体部41のY方向の両端部それぞれから上側に突出し、それぞれ板面がY方向を向く平板状に形成されている。一対の上部突出板部42,42の間には、第1上部当接面441および第2上部当接面442が形成されている。
一対の上部突出板部42,42の互いに対向する面における上端部近傍には、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材421,421(
図1および
図5参照)が設けられている。
一対の上部突出板部42,42は、第1上部当接面441および第2上部当接面442よりも上側に突出している。一対の上部突出板部42,42は、可動子4が上部案内部材2の下側に配置されると、上部案内部材2をY方向の両側から挟み込むように上部案内部材2の側方に配置され、それぞれに設けられた滑り材421,421が上部案内部材2の側面と当接するように構成されている。このとき、一対の上部突出板部42,42の上端面は、上部案内部材2を上部構造体11に固定する上部固定板22の下面と所定間隔をあけて離間するように設定されている。
【0029】
一対の下部突出板部43,43は、本体部41のX方向の両端部それぞれから下側に突出し、それぞれ板面がX方向を向く平板状に形成されている。一対の下部突出板部43,43の間には、第1下部当接面451および第2下部当接面452が形成されている。
一対の下部突出板部43,43の互いに対向する面における下端部近傍には、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材431,431(
図2および
図6参照)が設けられている。
一対の下部突出板部43,43は、第1下部当接面451および第2下部当接面452よりも下側に突出している。一対の下部突出板部43,43は、可動子4が下部案内部材3の上側に配置されると、下部案内部材3をX方向の両側から挟み込むように下部案内部材3の側方に配置され、それぞれに設けられた滑り材431,431が下部案内部材3の側面と当接するように構成されている。このとき、一対の下部突出板部43,43の上端面は、下部案内部材3を下部構造体12に固定する下部固定板32の下面と所定間隔をあけて離間するように設定されている。
【0030】
このような上部案内部材2と下部案内部材3とは、上下方向に間をあけて重なるように配置されている。
図4に示すように、上部案内部材2と下部案内部材3との間のうちの上部案内部材2と下部案内部材3とが上下方向に重なる交差部10に可動子4が配置されている。
【0031】
一対の上部ストッパ5,5は、それぞれ板面がX方向を向くように配置される板状の部材で、一方の第1上部ストッパ51が上部案内部材2の第1上部傾斜面211のX方向の一方の端部から下側に突出した状態で上部案内部材2に固定され、他方の第2上部ストッパ52が上部案内部材2の第2上部傾斜面212のX方向の他方の端部から下側に突出した状態で上部案内部材2に固定されている。
第1上部ストッパ51および第2上部ストッパ52は、可動子4が上部案内部材2とX方向に相対移動した際の軌道上に配置されていて、可動子4が上部案内部材2のX方向の両端部から外側に外れることを阻止するように構成されている。
【0032】
一対の上部緩衝材6,6は、それぞれ自己復元性を有するゴムシートなどの弾性体および粘弾性体の少なくともいずれか一方で同様に形成された薄膜状のシート部材で、平面視で一方の辺が他方の辺よりも長い長尺の略長方形状で、長手方向がX方向、短手方向がY方向となるように配置されている。
一対の上部緩衝材6,6は、一方の第1上部緩衝材61が可動子4と第1上部ストッパ51との間に配置され、他方の第2上部緩衝材62が可動子4と第2上部ストッパ52との間に配置されている。
第1上部緩衝材61および第2上部緩衝材62は、第1上部ストッパ51との間に架設された第1上部線材63および第2上部線材64にそれぞれ支持されている。
なお、
図2および
図3では、説明のために第1上部緩衝材61および第2上部緩衝材62を、厚みのあるシート状に示している。
【0033】
第1上部線材63および第2上部線材64は、ワイヤや鋼棒などで、それぞれX方向に延在し、Y方向に間隔をあけて平行に配置されている。
第1上部線材63は、一方の端部が第1上部ストッパ51のY方向一方側の端部近傍に固定され、他方の端部が第2上部ストッパ52のY方向一方側の部近傍に固定されている。第1上部線材63は可動子4の第1孔部411に挿通されている。
第2上部線材64は、一方の端部が第1上部ストッパ51のY方向他方側の端部近傍に固定され、他方の端部が第2上部ストッパ52のY方向他方側の部近傍に固定されている。第2上部線材64は可動子4の第2孔部412に挿通されている。
【0034】
第1上部緩衝材61は、Y方向の一方側の端部が第1上部線材63に連結され、Y方向の他方側の端部が第2上部線材64に連結されている。第1上部緩衝材61と第1上部線材63とは、第1上部線材63が挿通するとともに、第1上部緩衝材61を貫通するリング(不図示)などで連結されている。同様に、第1上部緩衝材61と第2上部線材64とは、第2上部線材64が挿通するとともに、第1上部緩衝材61を貫通するリング(不図示)などで連結されている。これにより、第1上部緩衝材61は、第1上部線材63および第2上部線材64に沿ってX方向に変形および変位可能で、第1上部線材63および第2上部線材64に対するY方向および上下方向の移動が拘束されている。
【0035】
第1上部緩衝材61は、可動子4よりもX方向の一方側に配置されていて、X方向の一方側の端部が第1上部傾斜面211のX方向一方側の端部近傍の下側に配置され、X方向の他方側の端部が第1上部傾斜面211の上部屈曲部21a近傍の下側に配置されている。第1上部緩衝材61のX方向一方側の端部は、第1上部ストッパ51と当接していてもよい。本実施形態では、第1上部緩衝材61は、可動子4および第1上部ストッパ51とは連結されていない。
このような第1上部緩衝材61は、第1上部傾斜面211との間に隙間が設けられた状態で第1上部傾斜面211を覆っている。
【0036】
第2上部緩衝材62は、X方向の一方側の端部が第2上部傾斜面212の上部屈曲部21a近傍の下側に配置され、X方向の他方側の端部が第2上部傾斜面212のX方向他方側の端部近傍の下側に配置されている。
このような第2上部緩衝材62は、第2上部傾斜面212との間に隙間が設けられた状態で第2上部傾斜面212を覆っている。
【0037】
一対の下部ストッパ7,7は、それぞれ板面がY方向を向くように配置される板状の部材で、一方の第1下部ストッパ71が下部案内部材3の第1下部傾斜面311のX方向の一方の端部から上側に突出した状態で下部案内部材3に固定され、他方の第2下部ストッパ72が下部案内部材3の第2下部傾斜面312のY方向の他方の端部から上側に突出した状態で下部案内部材3に固定されている。
第1下部ストッパ71および第2下部ストッパ72は、可動子4が下部案内部材3とY方向に相対移動した際の軌道上に配置されていて、可動子4が下部案内部材3のY方向の両端部から外側に外れることを阻止するように構成されている。
【0038】
一対の下部緩衝材8,8は、それぞれ自己復元性を有するゴムシートなどの弾性体および粘弾性体の少なくともいずれか一方で同様に形成された薄膜状のシート部材で、平面視で一方の辺が他方の辺よりも長い長尺の略長方形状で、長手方向がY方向、短手方向がX方向となるように配置されている。
一対の下部緩衝材8,8は、一方の第1下部緩衝材81が可動子4と第1下部ストッパ71との間に配置され、第2下部緩衝材82が可動子4と第2下部ストッパ72との間に配置されている。第1下部緩衝材81および第2下部緩衝材82は、第1下部ストッパ71との間に架設された第1下部線材83および第2下部線材84にそれぞれ支持されている。
なお、
図1および
図3では、説明のために第1下部緩衝材81および第2下部緩衝材82を、厚みのあるシート状に示している。
【0039】
第1下部線材83および第2下部線材84は、ワイヤや鋼棒などで、それぞれY方向に延在し、X方向に間隔をあけて平行に配置されている。
第1下部線材83は、一方の端部が第1下部ストッパ71のX方向一方側の端部近傍に固定され、他方の端部が第2下部ストッパ72のX方向一方側の部近傍に固定されている。第1下部線材83は可動子4の第3孔部413に挿通されている。
第2下部線材84は、一方の端部が第1下部ストッパ71のX方向他方側の端部近傍に固定され、他方の端部が第2下部ストッパ72のX方向他方側の部近傍に固定されている。第2下部線材84は可動子4の第4孔部414に挿通されている。
【0040】
第1下部緩衝材81は、自己復元性を有するゴムシートなどの弾性体および粘弾性体の少なくともいずれか一方で形成された薄膜状の部材で、平面視で一方の辺が他方の辺よりも長い長尺の略長方形状に形成されている。第1下部緩衝材81は、長手方向がY方向、短手方向がX方向となるように配置される。
【0041】
第1下部緩衝材81は、X方向の一方側の端部が第1下部線材83に連結され、X方向の他方側の端部が第2下部線材84に連結されている。第1下部緩衝材81と第1下部線材83とは、第1下部線材83が挿通するとともに、第1下部緩衝材81を貫通するリング(不図示)などで連結されている。同様に、第1下部緩衝材81と第2下部線材84とは、第2下部線材84が挿通するとともに、第1下部緩衝材81を貫通するリング(不図示)などで連結されている。これにより、第1下部緩衝材81は、第1下部線材83および第2下部線材84に沿ってY方向に変形および変位可能で、第1下部線材83および第2下部線材84に対するX方向および上下方向の移動が拘束されている。
【0042】
第1下部緩衝材81は、可動子4よりもY方向の一方側に配置されていて、Y方向の一方側の端部が第1下部傾斜面311のY方向一方側の端部近傍の上側に配置され、Y方向の他方側の端部が第1下部傾斜面311の下部屈曲部31a近傍の上側に配置されている。第1下部緩衝材81のY方向一方側の端部は、第1下部ストッパ71と当接していてもよい。本実施形態では、第1下部緩衝材81は、可動子4および第1下部ストッパ71とは連結されていない。
このような第1下部緩衝材81は、第1下部傾斜面311との間に隙間をあけた状態で第1下部傾斜面311を覆っている。
【0043】
第2下部緩衝材82は、Y方向の一方側の端部が第2下部傾斜面312の下部屈曲部31a近傍の下側に配置され、Y方向の他方側の端部が第2下部傾斜面312のY方向他方側の端部近傍の下側に配置されている。
このような第2下部緩衝材82は、第2下部傾斜面312との間に隙間をあけた状態で第2下部傾斜面312を覆っている。
【0044】
続いて、免震機構1Aの挙動について説明する。
図5乃至
図8示すように、地震が生じて上部構造体11と下部構造体12とが水平方向に相対変位すると、上部案内部材2と下部案内部材3とが水平方向に相対変位して、上部案内部材2と下部案内部材3に対して交差部10が移動する。
可動子4は、常に上部案内部材2と下部案内部材3との交差部10に配置されている。このため、
図1および
図2に示す初期状態から、
図5および
図6に示すように、可動子4と下部案内部材3とがY方向に相対変位した状態となると、下部案内部材3に対する可動子4の位置が初期状態よりも高い位置となり、ポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)が蓄積される。また、初期状態から
図7および
図8に示すように、可動子4と上部案内部材2とがX方向に相対変位した状態となると、可動子4に対する上部案内部材2の位置が初期状態よりも高い位置となり、ポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)が蓄積される。
【0045】
図1に示すように、初期状態では、可動子4の第1上部当接面441が上部案内部材2の第1上部傾斜面211と当接し、第2上部当接面442が上部案内部材2の第2上部傾斜面212と当接している。また、初期状態では、可動子4の第1下部当接面451が下部案内部材3の第1下部傾斜面311と当接し、第2下部当接面452が下部案内部材3の第2下部傾斜面312と当接している。
【0046】
図5に示すように、可動子4が初期状態から下部案内部材3に対してY方向他方側に移動するように下部案内部材3と相対変位すると、可動子4は第1下部当接面451が第1下部傾斜面311と離間し、第2下部当接面452が第2下部傾斜面312と当接した状態で下部案内部材3に対してY方向他方側に移動する。
このとき、下部緩衝材8の第2下部緩衝材82は、可動子4にY方向他方側に押されて可動子4と第2下部ストッパ72とに挟まれて弾性変形し圧縮された状態となる。そして、第2下部緩衝材82の復元力、および圧縮された第2下部緩衝材82を介して可動子4が第2下部ストッパ72と衝突することにより、可動子4は、下部案内部材3に対するY方向他方側への移動が停止され、第2下部傾斜面312沿ってY方向一方側に向かい初期状態の位置まで移動する。
【0047】
同様に、
図6に示すように、可動子4が初期状態から下部案内部材3に対してY方向一方側に移動するように下部案内部材3と相対変位すると、可動子4は第2下部当接面452が第2下部傾斜面312と離間し、第1下部当接面451が第1下部傾斜面311と当接した状態で下部案内部材3に対してY方向一方側に移動する。
このとき、下部緩衝材8の第1下部緩衝材81は、可動子4にY方向一方側に押されて可動子4と第1下部ストッパ71とに挟まれて弾性変形し圧縮された状態となる。そして、第1下部緩衝材81の復元力、および圧縮された第1下部緩衝材81を介して可動子4が第1下部ストッパ71と衝突することにより、可動子4は、下部案内部材3に対するY方向一方側への移動が停止され、第1下部傾斜面311沿ってY方向他方側に向かい初期状態の位置まで移動する。
【0048】
図7に示すように、可動子4が初期状態から上部案内部材2に対してX方向他方側に移動するように上部案内部材2と相対変位すると、可動子4は第1上部当接面441が第1上部傾斜面211と離間し、第2上部当接面442が第2上部傾斜面212と当接した状態で上部案内部材2に対してX方向他方側に移動する。
このとき、上部緩衝材6の第2上部緩衝材62は、可動子4にX方向他方側に押されて可動子4と第2上部ストッパ52とに挟まれて弾性変形し圧縮された状態となる。そして、第2上部緩衝材62の復元力、および圧縮された第2上部緩衝材62を介して可動子4が第2上部ストッパ52と衝突することにより、可動子4は、上部案内部材2に対するX方向他方側への移動が停止され、第2上部傾斜面212沿ってX方向一方側に向かい初期状態の位置まで移動する。
【0049】
同様に、
図8に示すように、可動子4が初期状態から上部案内部材2に対してX方向一方側に移動するように上部案内部材2と相対変位すると、可動子4は第2上部当接面442が第2上部傾斜面212と離間し、第1上部当接面441が第1上部傾斜面211と当接した状態で上部案内部材2に対してX方向一方側に移動する。
このとき、上部緩衝材6の第1上部緩衝材61は、可動子4にX方向一方側に押されて可動子4と第1上部ストッパ51とに挟まれて弾性変形し圧縮された状態となる。そして、第1上部緩衝材61の復元力、および圧縮された第1上部緩衝材61を介して可動子4が第1上部ストッパ51と衝突することにより、可動子は、上部案内部材2に対するX方向一方側への移動が停止され、第1上部傾斜面211沿ってX方向他方側に向かい初期状態の位置まで移動する。
【0050】
次に、上述した第1実施形態による免震機構1Aの作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した第1実施形態による免震機構1Aでは、一対の上部ストッパ5,5を有するとともに、一対の下部ストッパ7,7を有することにより、免震機構1Aに巨大地震等の過大外力や、風圧力等の免震機構1Aの滑動限界を超過する片流れ荷重が作用した際に可動子4が上部案内部材2および下部案内部材3から外れることを防止できる。
可動子4が上部案内部材2および下部案内部材3から外れることが防止されることにより、過大外力が作用した際の免震機構1Aならびにその周囲の復旧に必要な期間を大幅に短縮することが可能となる。
また、風圧力の作用する屋外設置設備機器類等に対して、免震機構1Aを設けることによって、風圧力による免震機構の脱落を防止することができる。
【0051】
また、可動子4が上部ストッパ5,5に近接するように上部案内部材2と相対移動すると、上部緩衝材6として設けられた第1上部緩衝材61または第2上部緩衝材62が圧縮されることによって可動子4の上部ストッパ5,5に向かう速度が低減するため、可動子4が上部ストッパ5,5衝突した際の衝撃を低減させることができる。これにより、可動子4が上部ストッパ5,5に衝突した際に上部構造体11に伝達される加速度を低減させることができる。
【0052】
また、可動子4が下部ストッパ7,7に近接するように下部案内部材3と相対移動すると、下部緩衝材8として設けられた第1下部緩衝材81または第2下部緩衝材82が圧縮されることによって可動子4の下部ストッパ7,7に向かう速度が低減するため、可動子4が下部ストッパ7,7衝突した際の衝撃を低減させることができる。これにより、可動子4が下部ストッパ7,7に衝突した際の衝撃を低減させることができる。これにより可動子4が下部ストッパ7,7に衝突した際に上部構造体11に伝達される加速度を低減させることができる。
【0053】
また、可動子4が上部案内部材2および下部案内部材3から外れることを防止するために上部案内部材2および下部案内部材3を可動子4と相対変位する方向に長くする必要がないため、免震機構1Aの設置スペースを小さくすることができる。
また、上部緩衝材6,6は上部傾斜面21を覆うように配置されていることにより、上部緩衝材6,6を上部傾斜面21の防塵カバーとすることができる。また、下部緩衝材8,8は、下部傾斜面31を覆うように配置されていることにより、下部緩衝材8,8を下部傾斜面31の防塵カバーとすることができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図9乃至11に示すように、第2実施形態による免震機構1Bは、
図1に示すような第1実施形態による免震機構1Aのような自己復元性を有するゴムシートなどの弾性体および粘弾性体の少なくともいずれか一方で同様に形成された薄膜状のシート部材を利用した上部緩衝材6,6、下部緩衝材8,8(
図1乃至
図3参照)に代わって、皿ばね93を利用した上部緩衝材6B,6B、下部緩衝材8B,8Bが設けられている。
【0055】
図9に示すように、下部緩衝材8Bは、第1下部ストッパ71に支持される第1下部緩衝材85と、第2下部ストッパ72に支持される第2下部緩衝材86と、を有している。
図10に示すように、上部緩衝材6Bは、第1上部ストッパ51に支持される第1上部緩衝材65と、第2上部ストッパ52に支持される第2上部緩衝材66と、を有している。
第1上部緩衝材65、第2上部緩衝材66、第1下部緩衝材85および第2下部緩衝材86は、同一の構造に形成されていて、支持される上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7および上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7に支持された際の向きが異なっている。このため、第2下部緩衝材86の構造について説明し、第1上部緩衝材65、第2上部緩衝材66、および第1下部緩衝材85の構造については説明を省略する。
【0056】
図12に示すように、第2下部緩衝材86は、第2下部ストッパ72に挿通されたボルト91と、ボルト91が連結されて第2下部ストッパ72のY方向一方側に配置された可動子当接部92とボルト91が挿通され可動子当接部92と第2下部ストッパ72との間に配置された皿ばね93と、を有している。
ボルト91は、第2下部ストッパ72に形成されたY方向に貫通する貫通孔721に挿通され、頭部91aが第2下部ストッパ72よりもY方向他方側となり、脚部91bの先端部が第2下部ストッパ72よりもY方向一方側となるように配置されている。
ボルト91は、第2下部ストッパ72の貫通孔721にY方向の他方側から挿通され、頭部91aが貫通孔721を挿通できないように構成されている。
【0057】
可動子当接部92は、X方向から見た断面形状が略逆L字状の板材で、板面が上下方向を向く第1板部921と、第1板部921のY方向他方側の端部から下側に延びて板面がY方向を向く第2板部922と、を有している。
第2板部922には、ボルト91の脚部91bの先端部分が固定されている。本実施形態では、第2板部922には、4本のボルト91が固定されている。
第2板部922は、下端部が下部案内部材3の第2下部傾斜面312の上側に第2下部傾斜面312と離間するように配置されている。第2板部922は、ボルト91とともに第2下部ストッパ72とY方向に相対移動可能に構成されている。
【0058】
第1板部921のY方向一方側の端面には、第1緩衝シート923が貼りつけられている。第2板部922のY方向一方側の面には、第2緩衝シート924が貼りつけられている。第1緩衝シート923および第2緩衝シート924は、弾性体や粘弾性体などで形成され、具体的には防振ゴム、シリコーン系粘性材、鋼減衰ゴムなどで形成されている。
【0059】
図13に示すように、皿ばね93は、中心に孔部93aが形成された円板状の板材を略円錐台状に形成した公知の部材で構成されている。皿ばね93は、中心の孔部93aにボルト91の脚部91bが挿通され、軸線方向がY方向となりY方向の一方側が他方側よりも小径となる向きで第2下部ストッパ72と第2板部922との間に配置されている。皿ばね93は、Y方向の一方側の端部が第2板部922と当接し、Y方向他方側の端部が第2下部ストッパ72と当接している。
皿ばね93は、ボルト91、可動子当接部92および第2下部ストッパ72とY方向に相対移動可能に構成されている。
【0060】
図14乃至
図16に示すように、第2実施形態による免震機構1Bでは、可動子4が上部案内部材2とともに下部案内部材3に対してY方向他方側に移動するように下部案内部材3と相対変位すると、可動子当接部92の第1板部921が可動子4の上部突出板部42の上端部と、上部案内部材2を上部構造体11に固定するための上部固定板22の下面との間に入り込み、第1板部921のY方向一方側の端面が上部案内部材2のY方向他方側の側面と当接するとともに、可動子当接部92の第2板部922が可動子4のY方向他方側の面と当接する。
このとき、上部案内部材2は第1緩衝シート923と当接するため、第1緩衝シート923によって上部案内部材2が第1板部921に当接した際の衝撃が吸収される。また、可動子4は、第2緩衝シート924と当接するため第2緩衝シート924によって可動子4が第2板部922に当接した際の衝撃が吸収される。
【0061】
そして、更に可動子4が上部案内部材2とともに下部案内部材3に対してY方向他方側に移動するように下部案内部材3と相対移動すると、可動子当接部92もY方向他方側に押されて第2下部ストッパ72に近接し、
図17(a)に示すような皿ばね93がY方向に圧縮されていない状態から、
図17(b)に示すような皿ばね93が可動子当接部92の第2板部922と第2下部ストッパ72とに挟まれて弾性変形し、軸方向に潰れるように圧縮された状態となる。
そして、皿ばね93が圧縮されることにより、可動子4から第2下部緩衝材86を介して第2下部ストッパ72に伝達される衝撃を低減することができる。
このとき、ボルト91は第2下部ストッパ72およびに固定されていないため、可動子当接部92とともに変位することになる。
なお、可動子4が初期状態となるように復元すると、皿ばねにY方向の力が作用しないため、皿ばね93の形状が復元する。
【0062】
なお、第1下部緩衝材85は、第2下部緩衝材86とY方向に対称となるように形成され、第2下部緩衝材86と同様に、可動子当接部92および皿ばね93がボルト91を介して第1下部ストッパ71に取り付けられている。可動子4が下部案内部材3に対してY方向一方側に移動すると、可動子4が第1下部緩衝材85の可動子当接部92と当接し、皿ばね93が弾性変形することで可動子4から第1下部ストッパ71に伝達する衝撃を低減させるように構成されている。
【0063】
第1上部緩衝材65は、第1下部緩衝材85と上下対称となるように形成され、第2下部緩衝材86と同様に可動子当接部92および皿ばね93がボルト91を介して第1上部ストッパ51に取り付けられている。可動子4が上部案内部材2に対してX方向一方側に移動すると、可動子4が第1下部緩衝材85の可動子当接部92と当接し、皿ばね93が弾性変形することで可動子4から第1上部ストッパ51に伝達する衝撃を低減させるように構成されている。
【0064】
第2上部緩衝材66は、第1上部緩衝材65とX方向に対称となるように形成され、第2下部緩衝材86と同様に可動子当接部92および皿ばね93がボルト91を介して第2上部ストッパ52に取り付けられている。可動子4が上部案内部材2に対してX方向一方側に移動すると、可動子4が第2上部緩衝材66の可動子当接部92と当接し、皿ばね93が弾性変形することで、可動子4から第2上部ストッパ52に伝達する衝撃を低減させるように構成されている。
【0065】
第2実施形態による免震機構1Bでは、第1実施形態と同様に第1上部ストッパ51、第2上部ストッパ52、第1下部ストッパ71、第2下部ストッパ72を有していることにより、免震機構1Bに過大外力が作用した際に可動子4が上部案内部材2および下部案内部材3から外れることを防止できる。
【0066】
第2実施形態による免震機構1Bでは、可動子4が第1下部ストッパ71および第2下部ストッパ72に第1下部緩衝材85および第2下部緩衝材86を介して衝突すると、第1下部緩衝材85の皿ばね93および第2下部緩衝材86の皿ばね93が圧縮されて弾性変形することによって可動子4が第1上部ストッパ51および第2下部ストッパ72に衝突した際の衝撃を低減させることができる。これにより、可動子4が第1下部ストッパ71および第2下部ストッパ72に衝突した際に反力によって上部構造体11に伝達される加速度を低減させることができる。
【0067】
また、可動子4が第1上部ストッパ51および第2上部ストッパ52に第1上部緩衝材65および第2上部緩衝材66を介して衝突すると、第1上部緩衝材65の皿ばね93および第2上部緩衝材66の皿ばね93が圧縮されて弾性変形することによって可動子4が第1上部ストッパ51および第2上部ストッパ52に衝突した際の衝撃を低減させることができる。これにより、可動子4が第1上部ストッパ51および第2上部ストッパ52に衝突した際に上部構造体11に伝達される加速度を低減させることができる。
【0068】
また、第2実施形態による免震機構1Bでは、第1下部緩衝材85、第2下部緩衝材86、第1上部緩衝材65および第2上部緩衝材66は、皿ばね93を利用している。皿ばね93は、小さなたわみ量で大きな衝撃を吸収することができるため、可動子4が第1下部ストッパ71、第2下部ストッパ72、第1上部ストッパ51および第2上部ストッパ52に衝突した際の衝撃を効率よく吸収することができるとともに、第1下部緩衝材85、第2下部緩衝材86、第1上部緩衝材65および第2上部緩衝材66を小型化することができる。
【0069】
以上、本発明による免震機構の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態による免震機構1A,1Bでは、下部案内部材3と下部構造体12に固定されているが、下部案内部材3と下部構造体12とが水平方向に相対移動に可能に構成されていてもよい。この場合、可動子4と上部案内部材2および下部案内部材3との摩擦係数よりも下部案内部材3と下部構造体12との摩擦係数が大きくなるように設定する。このようにすることにより、可動子4が上部ストッパ5,5および下部ストッパ7,7に想定外の力で衝突した際に、免震機構1A,1Bが下部構造体と水平方向に相対移動することにより、下部構造体から上部構造体に伝達する加速度を低減させることができる。
【0070】
また、上記の第1実施形態による免震機構1Aでは、上部緩衝材6,6および下部緩衝材8,8は、自己復元性を有するゴムシートなどの弾性体および粘弾性体の少なくともいずれか一方で形成された薄膜状のシート部材であるが、自己復元性がない布などを用いたシート部材としてもよい。
上部緩衝材6,6および下部緩衝材8,8に自己復元性がない布などを用いたシート部材の場合、シート部材の一方の端部を上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7近傍の上部傾斜面21、下部傾斜面31に固定し、他方の端部を磁石などで可動子4に固定する。これにより、可動子4が上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7と衝突する際には、シート部材が圧縮されてその衝撃を低減させることができる。そして、可動子4が初期状態に復元されると、シート部材も初期状態に復元されることになる。なお、磁石に代わってゼンマイ式のばねなどを用いてもよい。
また、上記の第1実施形態による免震機構1Aでは、上部緩衝材6,6および下部緩衝材8,8は可動子4に固定されていないが、弾性変形可能な形態であれば固定されていてもよい。
【0071】
また、上記の第2実施形態による免震機構1Bでは、上部緩衝材6B,6Bおよび下部緩衝材8B,8Bは、皿ばね93を利用しているが、皿ばね93に代わって圧縮ばねなどのばね部材を利用してもよい。
また、上記の第2実施形態による免震機構1Bの変形例として、
図18に示すように、上部緩衝材6B,6Bおよび下部緩衝材8B,8Bのボルト91に引張ばね94が挿通されていて、引張ばね94がボルト91の頭部91aと上部ストッパ5,5および下部ストッパ7,7との間に配置されていてもよい。このように構成されていることにより、皿ばね93および引張ばね94によって可動子4が上部ストッパ5,5および下部ストッパ7,7に衝突した際の衝撃を低減することができる。また、衝突した方向と反対方向の反発力を発生させることができ、可動子4を初期状態に確実に復元することができる。
【0072】
また、上記の第2実施形態による免震機構1Bでは、皿ばね93は、小径側の端部が可動子当接部92側となり、大径側の端部が上部ストッパ5,5および下部ストッパ7,7側となるように配置されている。これに対し、皿ばね93は、大径側の端部が可動子当接部92側となり、小径側の端部が上部ストッパ5,5および下部ストッパ7,7側となるように配置されてもよいし、
図19に示すように、複数の皿ばね93,93…がその軸線方向の向きが交互になるように配置されていてもよい。
また、上記の第2実施形態による免震機構1Bでは、上部緩衝材6B,6Bおよび下部緩衝材8B,8Bの可動子当接部92に第1緩衝シート923および第2緩衝シート924が設けられているが、設けられていなくてもよい。
【0073】
このように、本発明による免震機構には、可動子4が上部ストッパ5,5および下部ストッパ7,7に衝突した際の衝撃を吸収できる上部緩衝材および下部緩衝材が設けられていればよく、上部緩衝材および下部緩衝材の形態は上記以外でもよい。
ここで、
図20に示すような上部緩衝材および下部緩衝材が設けられていない免震機構100が設置された構造物101と、
図21に示すように上部緩衝材(不図示)および下部緩衝材8C,8Cが設けられた免震機構1Cを有する構造物102と、のそれぞれにおける時刻歴地震応答解析を行った。
【0074】
解析モデルは、いずれの構造物101,102においても、上部構造体11の質量W=11.56tf、第1上部傾斜面(不図示)、第2上部傾斜面、第1下部傾斜面311および第2下部傾斜面312の摩擦係数μ=0.1、傾斜角度θ=0.5°、Δμ=tan1.5°=0.026とする。
また、解析モデルは、いずれの構造物101,102においても、上部ストッパ(不図示)、下部ストッパ7,7を有し、初期状態の可動子4から上部ストッパ、下部ストッパ7,7までの寸法aが300mmの不感帯付剛ばねとしている。
部緩衝材および下部緩衝材が設けられていない免震機構100が設置された構造物101の解析モデルでは、上部緩衝材、下部緩衝材8C,8Cは、上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7から可動子4側への寸法bが50mmの不感帯不粘性要素(1.0kNs/cm)とした。
【0075】
入力外乱は、過大外乱を想定して、El Centro NS波を約3.5倍に増幅させた地震動とした。
図22に解析モデルの概要を示す。
上部緩衝材および下部緩衝材8C,8Cが設けられていない構造物101では、
図23(a)に示すように、初期状態からの最大変位は300mm、
図23(b)に示すように最大加速度は5994galであった。また、上部ストッパ、下部ストッパ7,7の反力は678kNであった。
【0076】
上部構造体11(質量W=11.56tf)を4つの免震機構で支持する場合、1つの免震機構100が2.89tfの荷重を支持していることになる。可動子4の上部当接面44および下部当接面45の基準面圧を20MPaとすると、上部当接面44および下部当接面45の大きさは50mm×30mm程度(50×30×20×10
−3=30kN=3.1tf>2.89…OK)となる。
【0077】
上部当接面44および下部当接面45の幅寸法が50mmであると、上部傾斜面21および下部傾斜面31の幅寸法は80mmとなる。そして、上部突出板部42,42および下部突出板部43,43の幅寸法と併せて上部案内部材2および下部案内部材3の幅寸法(延在方向に直交する方向の寸法)は120mmとする。反力が作用する衝撃の中心高さを10mmとすると以下のように示すことができる。
M=678×0.01=6078kNm
上部ストッパ、下部ストッパ7,7の幅寸法は、下部案内部材3の幅寸法と同じ120mm、上部ストッパ5,5、下部ストッパ7,7厚さ寸法を30mmとすると以下のように示すことができる。
Z=120×302/6=18000mm
3
よって、σ=6.78×10
6/18000=377N/mm
2となる。これは、SS400程度の鋼材で、最大耐力以下の値となる。なお、不感帯付剛バネの剛性は1.0×10
10N/mとした。この値によって応答値が変化するため、上記の諸検討結果は参考値である。
【0078】
これに対し、上部緩衝材、下部緩衝材8C,8C設けられた構造物102では、可動子4は、上部緩衝材、下部緩衝材8C,8Cに衝突して減速されたため上部ストッパおよび下部ストッパ7,7には衝突しなかった。
図24(a)に示すように最大変位は、284mm、
図24(b)に示すように、最大加速度は、397galであった。
以上のことから、免震機構1Cに上部緩衝材および下部緩衝材8C,8Cが設けられていることにより、上部構造体11に伝達する衝撃を低減させることができる。
なお、上部緩衝材6,6、下部緩衝材8、8の弾性および粘弾性の値を調節することによって、最大変位および最大加速度を調整することができる。このため、免震機構に終破壊モードの自由度(変位重視か加速度重視か)を付与することができる。
また、免震機構の終局時まで含めた性能の評価が可能となる。