(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術のように、連結部材を壁面材に対して傾いた方向に配置すると、自在ロッドアイとコネクタとの固定部が連結部材の軸線の延長線からずれた位置に配置されることになるため、連結部材に作用する軸方向の引張力により該固定部に曲げモーメントが作用し、自在ロッドアイやコネクタが損傷するおそれがある。また、自在ロッドアイと連結部材とが一直線状に配置されていないことになるため、壁面材に作用する盛土の土圧により自在ロッドアイと連結部材とが一直線状になろうとして、壁面材が前面側に押し出されるおそれがある。
【0006】
本明細書では、上述した課題の少なくとも一部を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本明細書に開示される擁壁構造体は、擁壁構造体であって、擁壁を構成する複数の壁面材と、略直線状の棒状の連結部材と、前記壁面材の背面における固定部に固定され、前記連結部材の一端を水平方向に回転可能に支持するコネクタと、前記連結部材の他端に接続されるアンカー部材と、前記壁面材の前記背面側における前記アンカー部材上に堆積されて前記アンカー部材を固定する堆積物と、を備え、鉛直方向視で、前記連結部材の軸線の略延長線上に前記固定部が位置している。本擁壁構造体によれば、連結部材がコネクタに支持され、かつ、鉛直方向視で、連結部材の軸線の略延長線上に、コネクタと壁面材との固定部が位置している。そのため、連結部材に軸方向の引張力が作用した場合でも、該固定部や連結部材をコネクタに支持する支持部に曲げモーメントが作用することがなく、コネクタが損傷するのを抑制することができる。また、連結部材と固定部とが略一直線状に配置されることになるため、壁面材に盛土の土圧が作用しても壁面材が前面側に押し出されるのを抑制することができる。
【0008】
(2)本明細書に開示されるコネクタは、擁壁構造体の壁面材と連結部材とを接続するコネクタであって、挿通孔が形成された基礎部材と、前記挿通孔に挿通されて前記基礎部材を前記壁面材に固定する固定具と、前記基礎部材から前記壁面材とは反対側に突出し、鉛直方向に互いに対向する一対の平板部材と、前記一対の平板部材の間を鉛直方向に延び、前記一対の平板部材の間に挿入される前記連結部材の一端を回転可能に支持する鉛直部材と、を備える。本コネクタによれば、連結部材を壁面材に対して傾いた方向に配置した場合でも、基礎部材に形成される挿通孔の位置や、一対の平板部材の間に設けられる鉛直部材の位置を調整することで、鉛直方向視で、連結部材の軸線の略延長線上に挿通孔を配置することができる。そのため、連結部材に軸方向の引張力が作用した場合でも、壁面材にコネクタを固定する固定部や鉛直部材に曲げモーメントが作用することがなく、コネクタが損傷するのを抑制することができる。また、連結部材と挿通孔とが略一直線状に配置されることになるため、壁面材に盛土の土圧が作用しても壁面材が前面側に押し出されるのを抑制することができる。
【0009】
(3)上記コネクタにおいて、前記基礎部材は、2つの板状部分を含み、断面L字型の鋼材であり、各前記平板部材は、前記基礎部材の前記2つの板状部分に固定されている構成としてもよい。本コネクタによれば、各平板部材は、基礎部材の2つの板状部分に固定されている。そのため、各平板部材が、基礎部材の1つの板状部分のみに固定されている場合に比べて、各平板部材を基礎部材に強固に固定することができる。
【0010】
(4)本明細書に開示される擁壁構造体は、擁壁構造体であって、擁壁を構成する複数の前記壁面材と、略直線状の棒状の前記連結部材と、前記壁面材の背面に固定される上記コネクタと、前記連結部材の他端に接続されるアンカー部材と、前記壁面材の前記背面側における前記アンカー部材上に堆積されて前記アンカー部材を固定する堆積物と、を備える。本擁壁構造体によれば、連結部材を壁面材に対して傾いた方向に配置した場合でも、基礎部材に形成される挿通孔の位置や、一対の平板部材の間に設けられる鉛直部材の位置を調整することで、鉛直方向視で、連結部材の軸線の略延長線上に挿通孔を配置することができる。そのため、連結部材に軸方向の引張力が作用した場合でも、壁面材にコネクタを固定する固定部や鉛直部材に曲げモーメントが作用することがなく、コネクタが損傷するのを抑制することができる。また、連結部材と挿通孔とが略一直線状に配置されることになるため、壁面材に盛土の土圧が作用しても壁面材が前面側に押し出されるのを抑制することができる。
【0011】
(5)上記擁壁構造体において、前記連結部材の前記一端は、前記コネクタに対して鉛直方向に回転不能に支持され、前記連結部材は、前記一端を含む第1棒状部分と、前記他端を含む第2棒状部分と、前記第1棒状部分と前記第2棒状部分とを鉛直方向に回転可能に連結する第1ヒンジ部と、を有する構成としてもよい。本擁壁構造体によれば、連結部材に、連結部材の第1棒状部分と連結部材の第2棒状部分とを鉛直方向に回転可能に連結する第1ヒンジ部が設けられている。そのため、堆積物が沈下した場合でも、第1ヒンジ部により堆積物の沈下に連結部材を追随させることができる。
【0012】
(6)上記擁壁構造体において、前記連結部材は、前記一端を含む第1棒状部分と、前記他端を含む第2棒状部分と、前記第1棒状部分と前記第2棒状部分とを水平方向に回転可能に連結する第2ヒンジ部と、を有する構成としてもよい。本擁壁構造体によれば、連結部材に、連結部材の第1棒状部分と連結部材の第3棒状部分とを水平方向に回転可能に連結する第2ヒンジ部が設けられている。そのため、堆積物の弾性力により連結部材に若干の水平方向の曲げモーメントが作用した場合でも、第2ヒンジ部により曲げモーメントを緩和することができる。
【0013】
(7)上記擁壁構造体において、前記連結部材と、前記コネクタと、前記アンカー部材との組み合わせを、複数組備える構成としてもよい。本擁壁構造体によれば、上記組み合わせを単数組備える構成に比べて、擁壁の広い範囲において、コネクタの損傷と、壁面材の前面側への押し出しを抑制することができる。
【0014】
(8)本明細書に開示される製造方法は、擁壁構造体の製造方法であって、擁壁を構成する複数の壁面材を設置する工程と、前記壁面材の背面における固定部にコネクタを固定する工程と、連結部材の一端が水平方向に回転可能に支持されるように前記連結部材の前記一端を前記コネクタに接続する工程と、鉛直方向視で、前記連結部材の軸線の略延長線上に前記固定部が位置するように水平方向における前記連結部材の設置位置を調整する工程と、前記壁面材の前記背面側であって、前記連結部材の他端に接続されるアンカー部材上に堆積物を堆積させて前記アンカー部材を固定する工程と、を備える。本製造方法によれば、連結部材がコネクタに支持され、かつ、鉛直方向視で、連結部材の軸線の略延長線上に、コネクタと壁面材との固定部が位置するように、水平方向における連結部材の設置位置が調整される。そのため、連結部材に軸方向の引張力が作用した場合でも、該固定部や連結部材をコネクタに支持する支持部に曲げモーメントが作用することがなく、コネクタが損傷するのを抑制することができる。また、連結部材と固定部とが略一直線状に配置されることになるため、壁面材に盛土の土圧が作用しても壁面材が前面側に押し出されるのを抑制することができる。
【0015】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、連結部材の設置位置の調整方法等の形態で実現することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.第1実施形態:
A−1.補強土壁構造の構造体100の構成:
図1は、本実施形態における補強土壁構造の構造体100の構成を概略的に示す説明図であり、
図2は、補強土壁構造の構造体100の斜視図である。
図1には、補強土壁構造の構造体100の鉛直断面が示されている。
図2には、補強土壁構造の構造体100の一部の構成が示されている。
図2では、盛土86の図示を省略している。
図1、2には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、X軸正方向を前側と呼び、X軸負方向を後側と呼び、Y軸正方向を右側と呼び、Y軸負方向を左側と呼び、Z軸正方向を上側と呼び、Z軸負方向を下側と呼ぶものとする。
図3以降についても同様である。構造体100は、擁壁構造体の一例である。
【0018】
補強土壁構造の構造体100は、高速道路やダムなどを構築する際に使用する盛土86の崩落を防ぐものであり、複数の壁面材12と、コネクタ20と、タイバー50と、アンカープレート60と、盛土86とを備える。複数の壁面材12は、盛土86を支える擁壁10を構成するものであり、地盤70上に設置されている。具体的には、地盤70に埋設された基礎材74上に基礎76が形成され、基礎76上に複数の壁面材12が設置されている。複数の壁面材12は、左右方向に複数並べて配置されるとともに、上下方向に複数積層して配置されている。これにより、左右方向および上下方向に広がる擁壁10が形成される。補強土壁構造の構造体100では、複数の壁面材12に対応させて、コネクタ20と、タイバー50と、アンカープレート60との組み合わせであるアンカー構造体90(
図2参照)が、複数組設けられている。
【0019】
コネクタ20は、壁面材12とタイバー50とを連結するものであり、ボルト42により壁面材12に固定されている。具体的には、コネクタ20は、壁面材12の背面14に設けられたネジ孔16に固定されている。例えば、第1コネクタ20Aは、上下方向に積層して配置される第1壁面材12Aと第2壁面材12Bとの境界部分の背面14側に配置され、第1壁面材12Aと第2壁面材12Bとに固定されている。これにより、第1壁面材12Aと第2壁面材12Bとが第1コネクタ20Aにより連結される。コネクタ20の詳細な構成について後述する。壁面材12の背面14上に位置するネジ孔16の開口部分上の任意の点は、固定部の一例である。
【0020】
タイバー50は、棒状の部材であり、略前後方向に延びるように配置されている。タイバー50の前端52は、ボルト44及びナット46によりコネクタ20に接続されている。タイバー50の後端54は、壁面材12から離間する位置に配置されている。タイバー50は、連結部材の一例であり、タイバー50の前端52は、連結部材の一端の一例であり、タイバー50の後端54は、連結部材の他端の一例である。
【0021】
タイバー50は、前側棒状部分55と、後側棒状部分57と、中間棒状部分59と、第1ヒンジ部56と、第2ヒンジ部58とを含む。前側棒状部分55は、タイバー50の前側の部分であり、前端52を含む。後側棒状部分57は、タイバー50の後側の部分であり、後端54を含む。中間棒状部分59は、タイバー50の中間部分であり、前側棒状部分55と後側棒状部分57との間に配置されている。
【0022】
第1ヒンジ部56は、タイバー50の中間棒状部分59と後側棒状部分57との間に設けられている。第1ヒンジ部56は、タイバー50の前側棒状部分55および中間棒状部分59とタイバー50の後側棒状部分57とを鉛直方向に回転可能に連結する連結部分である。タイバー50の前側棒状部分55および中間棒状部分59は、第1ヒンジ部に対する第1棒状部分の一例であり、タイバー50の後側棒状部分57は、第1ヒンジ部に対する第2棒状部分の一例である。
【0023】
第2ヒンジ部58は、タイバー50の前側棒状部分55と中間棒状部分59との間に設けられている。第2ヒンジ部58は、タイバー50の前側棒状部分55とタイバー50の中間棒状部分59および後側棒状部分57とを水平方向に回転可能に連結する連結部分である。本実施形態では、前側棒状部分55と、後側棒状部分57と、中間棒状部分59とが略直線状となるように、第1ヒンジ部56と第2ヒンジ部58との連結角度が調整されている。タイバー50の前側棒状部分55は、第2ヒンジ部に対する第1棒状部分の一例であり、タイバー50の中間棒状部分59および後側棒状部分57は、第2ヒンジ部に対する第2棒状部分の一例である。
【0024】
アンカープレート60は、板状部材であり、タイバー50の後端54に接続されている。つまり、アンカープレート60は、タイバー50の壁面材12から離間する側の端部に接続されている。アンカープレート60は、アンカー部材の一例である。
【0025】
盛土86は、地盤70上に盛土78,80,82,84がこの順に積層されたものであり、壁面材12の背面14側に堆積される。盛土86の一部は、壁面材12の背面14側に配置されたタイバー50およびアンカープレート60上に堆積される。これにより、アンカープレート60は、移動不能に固定される。盛土86は、堆積物の一例である。
【0026】
A−2.コネクタ20の構成:
図3は、コネクタ20の斜視図である。
図1〜3に示すように、コネクタ20は、基礎部材22と、ボルト42と、平板部40と、ボルト44と、ナット46と、上側カバー部28と、下側カバー部30とを備える。基礎部材22は、上下方向に直交する断面形状が断面L字型の鋼材であり、互いに直交して配置される2つの板状部分(前側板状部分21および左側板状部分23)を備える。以下の説明では、前側板状部分21と左側板状部分23とをまとめて板状部分21,23という。前側板状部分21は、コネクタ20を壁面材12に固定する際に壁面材12の背面14に当接する部分であり、コネクタ20を壁面材12に固定するボルト42(
図1参照)が挿通する挿通孔32,34が形成されている。挿通孔32,34を挿通するボルト42により、コネクタ20が壁面材12のネジ孔16に固定される。左側板状部分23は前側板状部分21の左側端部から前側に突出している。ボルト42は、固定具の一例である。
【0027】
平板部40は、一対の平板部材24,26を有する。一対の平板部材24,26は、タイバー50の前端52を支持する部分であり、基礎部材22の前側板状部分21から前側、つまり、壁面材12とは反対側に突出している。平板部材24,26は、略矩形状の平鋼材であり、鉛直方向に互いに対向して配置される。平板部材24,26は、上下方向に離間して互いに平行に配置されており、平板部材24,26の間には、タイバー50の前端52が挿入可能な空間25が確保されている。平板部材24,26は、水平方向に平行となるように、基礎部材22の前側板状部分21と左側板状部分23とに溶接により固定されている。
【0028】
平板部材24,26は、上側平板部材24と下側平板部材26とを含む。上側平板部材24には、上下方向に貫通する挿通孔36が形成されており、下側平板部材26には、上下方向に貫通する挿通孔38が形成されている。上側平板部材24に形成された挿通孔36と、下側平板部材26に形成された挿通孔38とは、鉛直方向に並んで配置されている。タイバー50の前端52は、リング状となっており、その中央を上下方向に貫通する挿通孔53が形成されている(
図5参照)。タイバー50の前端52をコネクタ20に接続する際には、上側平板部材24の挿通孔36と、タイバー50の挿通孔53と、下側平板部材26の挿通孔38とに対して、ボルト44をこの順に鉛直方向に挿通させてナット46締めする(
図1参照)。これにより、タイバー50の前端52は、ボルト44周りに、つまり、コネクタ20に対して水平方向に回転可能に支持されるとともに、鉛直方向に回転不能に支持される。ボルト44は、鉛直部材の一例である。
【0029】
上側カバー部28は、略矩形状の平鋼材であり、上側平板部材24の上側に配置されている。上側カバー部28は、基礎部材22の前側板状部分21から前側に向かって水平方向に突出するように、基礎部材22の前側板状部分21と左側板状部分23とに溶接により固定されている。上側カバー部28は、基礎部材22の前側板状部分21と左側板状部分23の上端部近傍に固定され、基礎部材22の形状を保持している。
【0030】
下側カバー部30は、略矩形状の平鋼材であり、下側平板部材26の下側に配置されている。下側カバー部30は、基礎部材22の前側板状部分21から前側に向かって水平方向に突出するように、基礎部材22の前側板状部分21と左側板状部分23とに溶接により固定されている。下側カバー部30は、基礎部材22の前側板状部分21と左側板状部分23の下端部近傍に固定され、基礎部材22の形状を保持している。
【0031】
なお、コネクタ20に引張試験を行った結果、コネクタ20の引張荷重がコネクタ20の設計引張力を超えていること、試験中にコネクタ20に目視で認められる変形は生じておらず、試験後の残留変形も認められなかったことから、コネクタ20には十分な強度と剛性を有していることが確認された。また上記試験において、コネクタ20の板状部分21,23と平板部材24,26との間の溶接部分において、破損は認められなかった。
【0032】
A−3.補強土壁構造の構造体100の製造方法:
次に、本実施形態における補強土壁構造の構造体100の製造方法を説明する。
図4は、本実施形態における補強土壁構造の構造体100の製造方法を示すフローチャートである。
【0033】
はじめに、基礎76上に最下層の第1壁面材12Aを設置し(S110)、第1壁面材12Aの後側の地盤70上に盛土78を堆積する(S120)。次に、第1壁面材12A上に第2壁面材12Bを設置する(S130)。
【0034】
次に、第1壁面材12Aと第2壁面材12Bとに第1コネクタ20Aを固定し、第1コネクタ20Aに対してアンカープレート60が取り付けられたタイバー50を接続する(S140)。第1コネクタ20Aに接続されたタイバー50は、盛土78上に配置される。本実施形態では、盛土78の高さが第1コネクタ20Aの一対の平板部材24,26の高さと略等しくなるように調整されている。そのため、第1コネクタ20Aに接続されたタイバー50が、盛土78上に配置されても、第1コネクタ20Aの平板部材24,26やタイバー50の前端52に、上下方向の曲げモーメントが作用することが抑制されている。
【0035】
次に、タイバー50の設置位置を調整する(S150)。タイバー50の設置位置は、地盤70上に存在するボックスカルバートなどの支障物を考慮して予め設定されている。タイバー50は、予め設定された設置位置となるように、壁面材12A,12Bに対するタイバー50の水平方向の角度が調整される。
【0036】
図5に、調整後のタイバー50の設置位置を示す。
図5には、壁面材12A,12Bに形成されたネジ孔16と、タイバー50との鉛直方向視における位置関係が概略的に示されている。
図5には、タイバー50の軸線をタイバー50の軸方向に延長させた軸延長線LAが示されている。軸延長線LAは、タイバー50の前側棒状部分55の軸線をタイバー50の軸方向に延長させた軸延長線である。
図5に示す例では、鉛直方向視で、タイバー50が、壁面材12A,12Bに直交する方向から右側に傾けて配置されている。
【0037】
図5に示すように、本実施形態では、ネジ孔16の開口部分の位置に基づいて、タイバー50の設置位置が調整される。タイバー50は、鉛直方向視で、タイバー50の軸延長線LA上に、ネジ孔16の開口部分が位置するように調整されるのが望ましい。具体的には、鉛直方向視で、ネジ孔16の開口部分の中心と、タイバー50の前端52が支持されるボルト44の中心とを結ぶ連結直線LBが、タイバー50の軸延長線LAと等しくなるように、タイバー50の設置位置が調整されるのが望ましい。これに対応させて、第1コネクタ20Aでは、タイバー50の上記設置位置に対応させて、基礎部材22に形成される挿通孔32,34と、一対の平板部材24,26に形成される挿通孔36,38との形成位置が調整されているのが望ましい。なお、本実施形態では、タイバー50は、鉛直方向視で、タイバー50の軸延長線LA上に、ネジ孔16の開口部分が位置するように調整され、タイバー50の軸延長線LA上に、ネジ孔16の開口部分が位置するように、コネクタ20の基礎部材22に形成される挿通孔32,34と、一対の平板部材24,26に形成される挿通孔36,38との形成位置が調整されている。
【0038】
次に、盛土78上に盛土80を積層する(S160)。盛土80は、タイバー50やアンカープレート60上にも堆積される。盛土80は、調整されたタイバー50の設置位置が変動しないように慎重に積層され、締め固められる。これにより、タイバー50とアンカープレート60とは、盛土78と盛土80との間に埋設され、アンカープレート60は、盛土80によって固定される。
【0039】
S130〜S160までの処理を、壁面材12C,12Dについて繰り返す(S170)。以上により、補強土壁構造の構造体100の製造方法が終了する。
【0040】
A−4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の補強土壁構造の構造体100によれば、タイバー50がコネクタ20に支持され、かつ、鉛直方向視で、タイバー50の軸延長線LA上に、コネクタ20と壁面材12との固定部であるネジ孔16の開口部分が位置している。そのため、盛土86の土圧により壁面材12が前側に押され、これによりタイバー50に軸方向の引張力が作用した場合でも、コネクタ20の挿通孔32,34や挿通孔36,38に水平方向の曲げモーメントが作用することがない。これにより、コネクタ20が曲げモーメントにより損傷するのを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態の補強土壁構造の構造体100によれば、タイバー50とネジ孔16の開口部分とが一直線状に配置されることになるため、壁面材12に盛土86の土圧が作用しても壁面材12が前側に押し出されるのを抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態の補強土壁構造の構造体100によれば、タイバー50の軸延長線LA上に、ネジ孔16の開口部分が位置するように、コネクタ20の基礎部材22に形成される挿通孔32,34と、一対の平板部材24,26に形成される挿通孔36,38との形成位置が調整されている。そのため、タイバー50の軸延長線LA上に、ネジ孔16の開口部分を配置することができ、コネクタ20が曲げモーメントにより損傷するのを抑制することができるとともに、壁面材12に盛土86の土圧が作用しても壁面材12が前側に押し出されるのを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態の補強土壁構造の構造体100によれば、タイバー50の前端52がボルト44まわりに回転可能に支持されることで、コネクタ20に対して水平方向に回転可能に支持されている。そのため、コネクタ20に対してタイバー50を水平方向に回転させて設定位置を調整することで、タイバー50とネジ孔16の開口部分とを一直線状に配置することができる。
【0044】
また、本実施形態の補強土壁構造の構造体100によれば、各平板部材24,26は、基礎部材22が備える2つの板状部分21,23に固定されている。そのため、各平板部材24,26が、基礎部材22のいずれか一方の板状部分のみに固定されている場合に比べて、各平板部材24,26を強固に支持することができる。
【0045】
また、本実施形態の補強土壁構造の構造体100によれば、タイバー50に第1ヒンジ部56が設けられている。そのため、盛土86が沈下した場合でも、第1ヒンジ部56により盛土86の沈下にタイバー50を追随させることができる。
【0046】
また、本実施形態の補強土壁構造の構造体100によれば、タイバー50に第2ヒンジ部58が設けられている。そのため、盛土86の地盤バネによりタイバー50に若干の水平方向の曲げモーメントが作用した場合でも、第2ヒンジ部58により曲げモーメントを緩和することができる。
【0047】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0048】
上記実施形態では、タイバー50の軸延長線LA上に、ネジ孔16の開口部分が位置するように、コネクタ20の基礎部材22に形成される挿通孔32,34と、一対の平板部材24,26に形成される挿通孔36,38との形成位置が調整される例を示したが、これに限られない。ネジ孔16の開口部分は、タイバー50の軸延長線LA近傍に位置していれば、すなわち、タイバー50の略軸延長線上に位置してれば、必ずしもタイバー50の軸延長線LA上に位置していなくてもよい。ここで、「タイバー50の略軸延長線上に位置する」とは、例えば、ネジ孔16の開口部分と一対の平板部材24,26に形成される挿通孔36,38(あるいは、挿通孔36,38を挿通するボルト44)とを結ぶ連結直線LBと、タイバー50の軸延長線LAとのなす角が、10°以下であることを意味する。
【0049】
上記実施形態では、コネクタ20に上側カバー部28や下側カバー部30が設けられている例を示したが、上側カバー部28と下側カバー部30との少なくとも一方は設けられなくてもよい。
【0050】
上記実施形態では、1つのコネクタ20が、上下方向に積層して配置される2つの壁面材12の境界部分の背面14側に配置され、2つの壁面材12の両方に固定される例を示したが、これに限られない。例えば、コネクタ20は、1つの壁面材12の中央部の背面14側に配置され、この1つの壁面材12にのみ固定されてもよい。
【0051】
上記実施形態では、コネクタ20の基礎部材22が、上下方向に直交する断面形状がL字型の鋼材であり、一対の平板部材24,26が、基礎部材22の2つの板状部分21,23に固定されている例を示したが、これに限られない。例えば、基礎部材22は、上下方向に直交する断面形状がU字型の鋼材であり、一対の平板部材24,26が、基礎部材22の3つの板状部分に固定されていてもよい。
【0052】
上記実施形態では、コネクタ20が壁面材12に固定される固定部として、壁面材12の背面14上に位置するネジ孔16の開口部分を示したが、これに限られない。例えば、壁面材12の背面14上に、水平方向に複数のネジ孔16が設けられている場合には、これらのネジ孔16を結ぶ線分上の任意の点を固定部としてもよい。また、例えば、コネクタ20が壁面材12に対して、所定の面積を有する領域により固定されている場合には、その領域内の任意の点を固定部としてもよい。
【0053】
上記実施形態では、タイバー50の前端52を水平方向に回転可能に支持する支持部として、一対の平板部材24,26に形成された挿通孔36,38に挿通されるボルト44を示したがこれに限られない。例えば、一対の平板部材24,26の間に鉛直方向に延びる棒状部材が溶接されており、タイバー50の前端52がこの棒状部材に支持されている場合には、この棒状部材を支持部としてもよい。
【0054】
上記実施形態では、コネクタ20を壁面材12に固定した後に、コネクタ20にタイバー50を接続する例を示したが、これに限られず、壁面材12に対してタイバー50が取り付けられたコネクタ20を固定してもよい。
【0055】
上記実施形態では、コネクタ20に対してアンカープレート60が取り付けられたタイバー50を接続する例を示したが、これに限られず、コネクタ20にタイバー50を接続した後に、タイバー50にアンカープレート60が取り付けられてもよい。
【0056】
上記実施形態では、コネクタ20にタイバー50を接続した後に、タイバー50の設定位置を調整する例を示したが、これに限られず、タイバー50の設定位置を調整した後に、設定位置が調整されたタイバー50をコネクタ20に接続してもよい。