(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796828
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】施工品質検査システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/00 20060101AFI20201130BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
E04G21/00ESW
G01N21/88 J
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-244256(P2016-244256)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2018-96171(P2018-96171A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 裕治
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−232448(JP,A)
【文献】
特開2006−092274(JP,A)
【文献】
特開2014−159981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/00−21/10
E04G 21/14−21/16
G01N 21/84−21/958
G06Q 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査対象物の施工品質を検査するためのシステムであって、
検査対象物は、ボルトで接合される鉄骨の接合部であり、
検査対象物を識別するための構造符号と関連付けられた検査対象物の詳細図を記憶する記憶手段と、
検査対象物と、その構造符号とを関連付けて入力する入力手段と、
検査対象物の位置と構造符号が記載された位置図を表示するとともに、入力手段で入力された構造符号に対応する検査対象物の詳細図を記憶手段から読み出して表示する表示手段と、
検査対象物の画像を取得する撮像手段と、
撮像手段で取得された画像を解析して、列ごとのボルト本数、ボルトピッチを検出することにより検査対象物の仕様を抽出する仕様抽出手段とを備え、
この抽出結果と、記憶手段に記憶されている比較対照用の検査対象物の仕様との一致度を比較可能であることを特徴とする施工品質検査システム。
【請求項2】
記憶手段に記憶されている構造符号に対応する検査対象物の詳細図のデータ名称は、当該構造符号と同一の名称であることを特徴とする請求項1に記載の施工品質検査システム。
【請求項3】
入力手段は、表示手段に表示された検査対象物の詳細図から所定の検査部位を選択して入力可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の施工品質検査システム。
【請求項4】
入力手段で入力した構造符号に対応する検査対象物の詳細図と、撮像手段で取得したこの検査対象物の画像とをセットで出力する出力手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の施工品質検査システム。
【請求項5】
表示手段は、検査対象物の位置と構造符号が記載された位置図において、検査を完了した検査対象物に対応する構造符号について検査を完了した旨のマークを付けた構造符号として表示し、検査の進捗状況を把握可能であるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の施工品質検査システム。
【請求項6】
複数の検査対象物の施工品質を検査するための方法であって、
検査対象物は、ボルトで接合される鉄骨の接合部であり、
検査対象物の位置と、検査対象物を識別するための構造符号が記載された位置図を表示するステップと、
検査対象物と、その構造符号とを関連付けて入力するステップと、
入力された構造符号に対応する検査対象物の詳細図を、構造符号と関連付けられた検査対象物の詳細図を記憶する記憶手段から読み出して表示するステップと、
検査対象物の画像を取得するステップと、
取得された画像を解析して、列ごとのボルト本数、ボルトピッチを検出することにより検査対象物の仕様を抽出するステップと、
この抽出結果と、記憶手段に記憶されている比較対照用の検査対象物の仕様との一致度を比較するステップとを有することを特徴とする施工品質検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄骨構造建物の躯体工事において、鉄骨の接合部などの品質を検査するのに好適な施工品質検査システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の施工段階で品質検査をする場合には、検査対象物が示された図面を参照して仕様どおりの品質であるか否かをその都度確認している。その際、検査対象物の図面を検索するのに手間と時間がかかっている。例えば、検査対象物の位置を表す平面図に示されている構造部材の識別情報(以下、「構造符号」という)とその詳細図を検索する場合、最初に平面図で構造符号を探し、次にその構造符号の詳細図を検索するという2段階の作業を行うことになる。
【0003】
建築物の品質検査を、携帯端末などのCAD図面を閲覧可能なシステムを用いて行う場合、平面図に掲載されている構造符号とそれに対応する詳細図の関連付けは手作業で行っており、手間がかかる上に間違いが起きるおそれがあるという問題があった。
【0004】
一方、従来の躯体工事の品質検査システムとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。しかし、この特許文献1では、構造符号と平面図の検査場所との位置関係が不明確である。また、構造符号に複数の図面を関連付けすることが難しいという問題がある。
【0005】
また、検査場所で検査写真を撮影する場合、該当する詳細図と検査写真が合致していることを、その都度確認しなければならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−232448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、平面図に掲載されている構造符号とそれに対応する詳細図の関連付けなどの手間を減らして、利便性を高めた施工品質検査システムが求められていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利便性を高めた施工品質検査システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る施工品質検査システムは、複数の検査対象物の施工品質を検査するためのシステムであって、検査対象物を識別するための構造符号と関連付けられた検査対象物の詳細図を記憶する記憶手段と、検査対象物と、その構造符号とを関連付けて入力する入力手段と、検査対象物の位置と構造符号が記載された位置図を表示するとともに、入力手段で入力された構造符号に対応する検査対象物の詳細図を記憶手段から読み出して表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムは、上述した発明において、記憶手段に記憶されている構造符号に対応する検査対象物の詳細図のデータ名称は、当該構造符号と同一の名称であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムは、上述した発明において、入力手段は、表示手段に表示された検査対象物の詳細図から所定の検査部位を選択して入力可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムは、上述した発明において、検査対象物の画像を取得する撮像手段と、撮像手段で取得された画像を解析して、画像上の検査対象物の仕様を抽出する仕様抽出手段とをさらに備え、この抽出結果と、記憶手段に記憶されている比較対照用の検査対象物の仕様との一致度を比較可能であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムは、上述した発明において、入力手段で入力した構造符号に対応する検査対象物の詳細図と、撮像手段で取得したこの検査対象物の画像とをセットで出力する出力手段をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムは、上述した発明において、表示手段は、検査対象物の位置と構造符号が記載された位置図において、検査を完了した検査対象物に対応する構造符号について検査を完了した旨のマークを付けた構造符号として表示し、検査の進捗状況を把握可能であるようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る施工品質検査方法は、複数の検査対象物の施工品質を検査するための方法であって、検査対象物の位置と、検査対象物を識別するための構造符号が記載された位置図を表示するステップと、検査対象物と、その構造符号とを関連付けて入力するステップと、入力された構造符号に対応する検査対象物の詳細図を、構造符号と関連付けられた検査対象物の詳細図を記憶する記憶手段から読み出して表示するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る施工品質検査システムによれば、複数の検査対象物の施工品質を検査するためのシステムであって、検査対象物を識別するための構造符号と関連付けられた検査対象物の詳細図を記憶する記憶手段と、検査対象物と、その構造符号とを関連付けて入力する入力手段と、検査対象物の位置と構造符号が記載された位置図を表示するとともに、入力手段で入力された構造符号に対応する検査対象物の詳細図を記憶手段から読み出して表示する表示手段とを備えるので、位置図に掲載されている構造符号と詳細図とを関連付けする手間が減り、利便性を高めた施工品質検査システムを提供することができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、記憶手段に記憶されている構造符号に対応する検査対象物の詳細図のデータ名称は、当該構造符号と同一の名称であるので、位置図に掲載されている構造符号をそのままデータ名称として用いることで、詳細図などと関連付けする手間をなくすことができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、入力手段は、表示手段に表示された検査対象物の詳細図から所定の検査部位を選択して入力可能であるので、検査部位の選択を容易にするとともに取り違えるミスをなくすことができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、検査対象物の画像を取得する撮像手段と、撮像手段で取得された画像を解析して、画像上の検査対象物の仕様を抽出する仕様抽出手段とをさらに備え、この抽出結果と、記憶手段に記憶されている比較対照用の検査対象物の仕様との一致度を比較可能であるので、簡便に施工品質を検査することができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、入力手段で入力した構造符号に対応する検査対象物の詳細図と、撮像手段で取得したこの検査対象物の画像とをセットで出力する出力手段をさらに備えるので、検査結果を容易に把握することができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、表示手段は、検査対象物の位置と構造符号が記載された位置図において、検査を完了した検査対象物に対応する構造符号について検査を完了した旨のマークを付けた構造符号として表示し、検査の進捗状況を把握可能であるようにしたので、検査を完了した対象物と、検査を完了していない対象物を容易に把握することができるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明に係る施工品質検査方法によれば、複数の検査対象物の施工品質を検査するための方法であって、検査対象物の位置と、検査対象物を識別するための構造符号が記載された位置図を表示するステップと、検査対象物と、その構造符号とを関連付けて入力するステップと、入力された構造符号に対応する検査対象物の詳細図を、構造符号と関連付けられた検査対象物の詳細図を記憶する記憶手段から読み出して表示するステップとを備えるので、位置図に掲載されている構造符号と詳細図とを関連付けする手間が減り、利便性を高めた施工品質検査方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明に係る施工品質検査システムおよび方法の実施の形態を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、検査対象物の位置および構造符号が示された平面図の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、検査対象物の詳細図の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、取得した画像と詳細図の一致性を確認する手順の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、画像解析により検出するボルト中心およびボルトピッチの例を示す図である。
【
図8】
図8は、検査の進捗状況を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る施工品質検査システムおよび方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
図1に示すように、本発明に係る施工品質検査システム100は、複数の検査対象物(例えば鉄骨の接合部など)の施工品質を検査するためのシステムであって、データベース10(記憶手段)と、タッチパネル12(入力手段および表示手段)と、カメラ14(撮像手段)と、演算処理部16(仕様抽出手段)と、プリンタ18(出力手段)と、これらを制御するコントローラ20(制御手段)とを備えている。この施工品質検査システム100は、例えば市販のタブレット型端末を用いて構成することができる。
【0026】
データベース10は、検査対象物の詳細な仕様・構造が記載された部材断面図などの詳細図と、検査対象物の位置と構造符号が記載された平面図(位置図)を記憶するものである。これら設計図、平面図は、設計時などにCADデータとして作成されたものである。
図2に平面図の一例を、
図3に構造符号G1の詳細図の一例を示す。構造符号は検査対象物である構造部材を識別するための識別情報であり、あらかじめ検査対象物ごとに付与されている。各構造符号は、平面図上においては対応する検査対象物の近傍に表示される。また、
図3の例に示すように、検査対象物の詳細図は、構造符号G1と関連付けられている。データベース10に記憶されている検査対象物の詳細図のデータ名称は、検査対象物の構造符号と同一の名称としている。つまり平面図に掲載されている構造符号をそのまま詳細図のデータ名称として用いている。例えば
図3の詳細図のデータ名称はG1となっている。このようにデータベースに登録する詳細図のデータ名称を構造符号と同一の名称とすることで、後の検査工程時に、平面図に記載の構造符号とそれに対応する詳細図とを関連付けする手間をなくすことができる。
【0027】
タッチパネル12は、検査対象物と、その構造符号とを関連付けて入力するためのものである。このタッチパネル12は、検査対象物の位置と構造符号が記載された平面図をデータベース10から読み出して表示可能であるとともに、入力した構造符号に対応する検査対象物の詳細図をデータベース10から読み出して表示可能である。また、このタッチパネル12は、検査対象物のうち所定の検査部位を選択的に入力可能である。例えば検査対象物が鉄骨の接合部である場合、ウェブ、上フランジ、下フランジなどの検査部位を選択して入力可能である。このようにすることで、検査部位の選択を容易にするとともに取り違えるミスをなくすことができる。
【0028】
さらに、このタッチパネル12は、検査対象物の位置と構造符号が記載された平面図において、検査を完了した検査対象物に対応する構造符号について検査を完了した旨のマークを付けた構造符号として表示する。
図8に表示例を示す。これにより、検査を完了した対象物と、検査を完了していない対象物を容易に把握することができる。したがって、検査の進捗状況を容易に把握可能である。
【0029】
カメラ14は、検査対象物の画像を取得するためのものであり、一般的なデジタルカメラを用いることができる。施工品質検査システム100をタブレット型端末を用いて構成する場合には、例えばこの端末に備わるカメラを用いてもよい。
【0030】
演算処理部16は、カメラ14で取得された画像を解析処理して、画像上の検査対象物の仕様を抽出するためのものである。画像解析には、周知のパターンマッチング・アルゴリズムなどを利用した画像解析処理方法を用いることができる。本システム100では、この抽出結果と、データベース10にあらかじめ記憶されている比較対照用の検査対象物の仕様との一致度を比較可能となっている。こうすることで、簡便に施工品質を検査することができる。
【0031】
プリンタ18は、タッチパネル12で入力した構造符号に対応する検査対象物の詳細図と、カメラ14で取得したこの検査対象物の画像とをセットで出力するものである。
図7に印刷出力例を示す。これにより、検査結果を容易に把握することができる。
【0032】
上記の構成によれば、平面図に掲載されている構造符号と詳細図とを関連付けする手間が減り、利便性を高めた施工品質検査システムを提供することができる。
【0033】
次に、上記の施工品質検査システム100の利用手順の一例について、鉄骨の接合部の施工品質の検査に適用する場合を例にとり説明する。
【0034】
(事前準備)
まず、構造符号が記載された平面図(
図2を参照)と、各構造符号に対応する接合部の詳細図(
図3を参照)をデータベース10に登録しておく。ここで、各詳細図については、構造符号と同じ名称でデータベース10に登録しておく。例えば
図3の詳細図の場合にはG1という名称で登録する。このことにより、以後、平面図に詳細図を関連付けするための編集をする手間がなくなる。
【0035】
(施工品質検査)
次に、タッチパネル12に
図2のような平面図を表示させる。この平面図には、複数の構造符号と、検査対象物の位置とが記載されている。続いて、この平面図上においてこれから実際に検査をしようとする構造符号の近傍をタップする。これにより、例えばタップした構造符号の周囲が枠で囲まれる等のマークが付けられる。
図2の例では、中央上側の構造符号G1をタップした結果、その周囲に枠のマークが付けられた場合を示している。続いて、これから実際に検査をしようとする検査対象物の位置をタップする。これにより、例えばマークが付けられた構造符号からそこに向かって矢印が表示される。これにより、平面図上で構造符号と検査対象物の位置の関係が対応付けられる。構造符号をタップしてマークを付ける処理、タップした検査対象物と構造符号との間に矢印を付ける処理はコントローラ20やタッチパネル12の処理により行うことができる。
【0036】
このように、平面図上で構造符号と検査対象物の位置を対応付けた後、所定の指示が入力されると、タッチパネル12は、マークが付けられた構造符号と同じデータ名称の詳細図をデータベース10から読み出して表示する。この例では
図3に示すような詳細図を表示することになる。
【0037】
(仕様の一致性の確認)
次に、この詳細図と検査対象物の検査部位とを比較して、詳細図に示される仕様と、実際に施工された仕様との一致性を確認する。この一致性の確認は、例えばカメラ14で検査部位の状況を検査写真として撮影し、この検査写真における仕様が詳細図に示される仕様と一致していることを照合確認することによって行ってもよい。この場合の処理の流れを
図4に示す。また、表1に構造符号と検査部位の一例を示す。検査対象物に含まれる検査部位が複数の場合には、詳細図からウェブ、上フランジ、下フランジなどの検査部位を選択する。ただし、検査部位が一つしかない場合は選択する必要はない。
【0039】
検査写真を用いて一致性を確認する場合には、
図4に示すように、まず、カメラ12の高さ(位置)、撮影方向を初期化しておく(ステップS1)。次に、
図5に示すように、検査部位の接合部1のボルトの写真を撮影する一方で(ステップS2)、撮影時のカメラ12の方向・高さ(位置)の情報を取得する(ステップS3)。カメラ12の情報取得はコントローラ20が行う。
【0040】
次に、
図6に示すような取得画像(検査写真)について画像解析処理を行い、ボルトの中心位置を検出する(ステップS4)。検出したボルトの中心位置に基づいて、列ごとのボルト本数、縦横のボルトピッチを検出する(ステップS5)。この画像解析処理は演算処理部16が行う。こうして検出されたものを実際に施工された仕様とする。次に、表2に示すような構造符号の仕様と照合して、構造符号の合致を確認する(ステップS6)。表2のようなテーブルはデータベース10にあらかじめ登録されているものとする。この確認は、画像解析処理により検出された検出仕様と、あらかじめ設定された表2の設定仕様との一致性を比較することで、演算処理部16またはコントローラ20が行うようにしてもよいし、検出仕様と設定仕様をタッチパネル12に対比表示し、ユーザ自身が比較検討することで行ってもよい。
【0042】
(印刷)
次に、得られた結果を印刷する。例えば
図7に示すように、検査対象物の位置および構造符号を示す平面図と、構造符号に関連する詳細図と、実際の施工状況を表す検査写真をセットにしてわかり易く印刷する。こうすることで、平面図上で選択した構造符号の詳細図の仕様が検査写真に合致していることを容易に確認することができる。
【0043】
また、例えば
図8の平面図に示すように、検査を完了した構造符号を枠のマークで囲んだ状態のまま維持してもよい。こうすることで、検査済の状況を可視化でき、検査の進捗状況を一目で把握することができる。
【0044】
このように、本実施の形態によれば、平面図に記載されている構造符号をそのままデータベース10上の詳細図などのデータ名称に用いることで、以後の検査工程において、構造符号と詳細図などとを関連付けする手間を減らすことができる。また、タッチパネル12などに可視化表示された平面図上で構造符号を選択することにより、検査状況を可視化し、検査対象物および検査部位の選択を容易にするとともに選択ミスをなくすことができる。
【0045】
以上説明したように、本発明に係る施工品質検査システムによれば、複数の検査対象物の施工品質を検査するためのシステムであって、検査対象物を識別するための構造符号と関連付けられた検査対象物の詳細図を記憶する記憶手段と、検査対象物と、その構造符号とを関連付けて入力する入力手段と、検査対象物の位置と構造符号が記載された位置図を表示するとともに、入力手段で入力された構造符号に対応する検査対象物の詳細図を記憶手段から読み出して表示する表示手段とを備えるので、位置図に掲載されている構造符号と詳細図とを関連付けする手間が減り、利便性を高めた施工品質検査システムを提供することができる。
【0046】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、記憶手段に記憶されている構造符号に対応する検査対象物の詳細図のデータ名称は、当該構造符号と同一の名称であるので、位置図に掲載されている構造符号をそのままデータ名称として用いることで、詳細図などと関連付けする手間をなくすことができる。
【0047】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、入力手段は、表示手段に表示された検査対象物の詳細図から所定の検査部位を選択して入力可能であるので、検査部位の選択を容易にするとともに取り違えるミスをなくすことができる。
【0048】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、検査対象物の画像を取得する撮像手段と、撮像手段で取得された画像を解析して、画像上の検査対象物の仕様を抽出する仕様抽出手段とをさらに備え、この抽出結果と、記憶手段に記憶されている比較対照用の検査対象物の仕様との一致度を比較可能であるので、簡便に施工品質を検査することができる。
【0049】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、入力手段で入力した構造符号に対応する検査対象物の詳細図と、撮像手段で取得したこの検査対象物の画像とをセットで出力する出力手段をさらに備えるので、検査結果を容易に把握することができる。
【0050】
また、本発明に係る他の施工品質検査システムによれば、表示手段は、検査対象物の位置と構造符号が記載された位置図において、検査を完了した検査対象物に対応する構造符号について検査を完了した旨のマークを付けた構造符号として表示し、検査の進捗状況を把握可能であるようにしたので、検査を完了した対象物と、検査を完了していない対象物を容易に把握することができる。
【0051】
また、本発明に係る施工品質検査方法によれば、複数の検査対象物の施工品質を検査するための方法であって、検査対象物の位置と、検査対象物を識別するための構造符号が記載された位置図を表示するステップと、検査対象物と、その構造符号とを関連付けて入力するステップと、入力された構造符号に対応する検査対象物の詳細図を、構造符号と関連付けられた検査対象物の詳細図を記憶する記憶手段から読み出して表示するステップとを備えるので、位置図に掲載されている構造符号と詳細図とを関連付けする手間が減り、利便性を高めた施工品質検査方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明に係る施工品質検査システムおよび方法は、例えば鉄骨構造建物の躯体工事に有用であり、特に、鉄骨の接合部などの品質を検査するのに適している。
【符号の説明】
【0053】
100 施工品質検査システム
10 データベース(記憶手段)
12 タッチパネル(入力手段、表示手段)
14 カメラ(撮像手段)
16 演算処理部(仕様抽出手段)
18 プリンタ(出力手段)
20 コントローラ