特許第6796856号(P6796856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796856
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】蒸気トラップ
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/38 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   F16T1/38 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-14218(P2017-14218)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-123843(P2018-123843A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直也
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−129997(JP,U)
【文献】 特開2007−333094(JP,A)
【文献】 実開昭56−124398(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/00−1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレンをケーシング内の弁室から流出させる弁孔を開閉する弁体と、
前記弁室内が所定温度以下のとき、前記弁室から空気および/またはドレンを含む排出流体を流出させる感熱弁と、
前記感熱弁を通った排出流体が流入する流入室と、
前記流入室から排出流体を流出させる流出路と、
前記流入室内に配置されて流入室の少なくとも周面と底面を覆う保護部材とを備え、
前記流入室は、前記ケーシングに設けた凹所により形成され、前記凹所の開口が着脱自在なプラグにより閉止されており、前記保護部材は周壁と底壁を有するカップ状である蒸気トラップ。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気トラップにおいて、前記ケーシングは鋳鉄製であり、前記保護部材はステンレス製である蒸気トラップ。
【請求項3】
ドレンをケーシング内の弁室から流出させる弁孔を開閉する弁体と、
前記弁室内が所定温度以下のとき、前記弁室から空気および/またはドレンを含む排出流体を流出させる感熱弁と、
前記感熱弁を通った排出流体が流入する流入室と、
前記流入室から排出流体を流出させる流出路と、
前記流入室内に配置されて流入室の少なくとも周面と底面を覆う保護部材とを備え、
前記感熱弁は、流出孔を有する弁座部材と前記弁室内に位置して前記流出孔の入口を開閉する弁体とを有し、前記弁座部材が前記ケーシングを貫通して前記流入室に突出しており、その突出部がナット止めによりケーシングに固定されている蒸気トラップ。
【請求項4】
請求項3に記載の蒸気トラップにおいて、前記保護部材はカップ形状であり、周壁に前記流出路に連通する連通孔を有し、底壁に前記弁座部材を貫通させる貫通孔と、流入室の底面に設けた位置決め凹部に係合する係合爪とを有する蒸気トラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気配管から、蒸気を漏れないようにトラップして、復水(ドレン)のみを排出する蒸気トラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蒸気トラップとして、フロート式蒸気トラップがある(特許文献1)。このフロート式蒸気トラップは、ケーシングで形成されたトラップ室内にボール型のフロートからなる弁体を有し、ケーシング内の復水の液面が上昇したとき、弁体が浮上して弁孔を開放し、ドレンを排出する。
【0003】
他方、ケーシング内の上方側には感熱弁が設けられており、ケーシング内の温度が水蒸気の飽和温度よりも若干低い場合に開弁して、主に配管に蒸気を通し始める初期段階にトラップ室内が水蒸気飽和温度よりも低温のときに、トラップ室内に存在する空気および/またはドレンをトラップ室から排出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−3024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記フロート式蒸気トラップでは、感熱弁が開弁したとき、一次側と二次側の圧力差によって高温高圧の排出流体が感熱弁を通って高速で流れ出るため、ケーシングにおける出口直後の前記排出流体との衝突部で、機械的な摩耗と電気化学的な腐食の相互作用(エロージョン・コロージョン)によって減肉が進行しやすい。このような減肉現象は、ケーシングが、合金成分の含有量が少なく表面に酸化被膜を形成しにくい材料(例えば鋳鉄製)で形成されているためと考えられる。
【0006】
本発明の目的は、エロージョン・コロージョンによる蒸気トラップの筐体を構成する部材の減肉を防止する蒸気トラップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る蒸気トラップは、ドレンをケーシング内の弁室から流出させる弁孔を開閉する弁体と、前記弁室内が所定温度以下のとき、前記弁室から空気および/またはドレンを含む排出流体を流出させる感熱弁と、前記感熱弁を通った排出流体が流入する流入室と、前記流入室から排出流体を流出させる流出路と、前記流入室内に配置されて流入室の少なくとも周面と底面を覆う保護部材とを備えている。
【0008】
この構成によれば、蒸気トラップの稼働時、蒸気を配管に通し始める初期段階に弁室内が所定温度以下(蒸気飽和温度よりも低温)のとき、感熱弁の開弁により、弁室内の空気および/またはドレン(復水)を含んだ排出流体(一次側流体)が流出して流入室に流入し、流出路から排出される。このとき、流入室内の少なくとも周面と底面は保護部材で覆われているから、流入室内に流入した排出流体がケーシングの周面と底面に直接に接触することがなく、エロージョン・コロージョンによるケーシングの減肉を防止できる。
【0009】
本発明において、前記流入室は、前記ケーシングに設けた凹所により形成され、前記凹所の開口が着脱自在なプラグにより閉止されており、前記保護部材は周壁と底壁を有するカップ状であってもよい。この構成によれば、保護部材が周壁と底壁を有するカップ状という簡単な構造であるから、凹所の上方から嵌め込むだけで凹所に容易に組込みでき、かつ凹所の開口も着脱自在なプラグにより閉止しているので、保護部材が凹所内から離脱することなく確実に取り付けることができる。
【0010】
本発明において、前記ケーシングは鋳鉄製であり、前記保護部材はステンレス製であってもよい。この場合、保護部材がステンレス製であるので、プレス加工により容易に得られ、しかもその材質の特性上、エロージョン・コロージョン作用に対する耐久性があるので、鋳鉄製のケーシングを減肉させることなく保護できる。
【0011】
本発明において、前記感熱弁は、流出孔を有する弁座部材と前記弁室内に位置して前記流出孔の入口を開閉する弁体とを有し、前記弁座部材が前記ケーシングを貫通して前記流入室に突出しており、その突出部がナット止めによりケーシングに固定された構造とすることができる。この構造によれば、ナットを緩めるだけで弁座部材が取り外せるから、感熱弁の点検や交換が容易となる。
【0012】
弁体と弁座部材とナットとを有する構造において、前記保護部材がカップ形状であり、周壁に前記流出路に連通する連通孔を有し、底壁に、前記弁座部材を貫通させる貫通孔と、流入室の底面に設けた位置決め凹部に係合する係合爪とを有するのが好ましい。このような構成にすると、保護部材の取り付けにあたって、保護部材の底面の貫通孔を弁座部材に貫通させ、係合爪を流入室の底面に設けた位置決め凹部に係合させるという簡単な作業で保護部材をその周方向に位置決めし、かつ回り止めできて、周壁に設けた連通孔と流出路とが連通するよう、保護部材を流入室内に誤差なく配置できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感熱弁の開弁により、弁室内の排出流体が流入室に流入し、流出路から排出される。このとき、流入室内の少なくとも周面と底面は保護部材で覆われているから、流入室内に流入した排出流体がケーシングの周面と底面に直接、接触することがなく、エロージョン・コロージョンによるケーシングの減肉を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかる蒸気トラップの縦断面図である。
図2】同蒸気トラップの斜視図である。
図3図2のIII―III線に沿った要部の断面図である。
図4】同蒸気トラップのプラグを外した要部の平面図である。
図5】(a)〜(f)は保護部材の六面図である。
図6】同保護部材を上方から見た斜視図である。
図7】同保護部材を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述する。図1に示すように、本発明の一実施形態にかかる蒸気トラップ1は、上ケース2aと下ケース2bとをガスケット2cを介して組み合わせたケーシング2を有する。図2に示すように、上ケース2aと下ケース2bはボルトBTによって分解可能に結合されている。図1に示すケーシング2の内部に弁室(トラップ室)3が形成され、この弁室3内に上部に設けた流入口5から弁室3内に流入される蒸気および/またはドレンを含む排出流体が溜められるようになっている。前記ケーシング2は鋳鉄製である。
【0016】
この蒸気トラップにおいて、一次側配管(図示せず)からの蒸気および/またはドレンを含む一次側排出流体が流入路8から、矢印Aで示すように流入し、周壁が細かい網目24aとなった筒状のストレーナ24を経て流入口5から弁室3内に流入される。このストレーナ24でごみのような不純物が除去される。ケーシング2の下部位置には、弁室3内に流入して溜まったドレンFを排出する排水弁6が、またケーシング2の上部位置には、主に初期段階で弁室3内が飽和温度よりも低温のとき、空気、水蒸気および/またはドレンを含む排出流体を弁室3外へ排出するための排出弁である感熱弁7がそれぞれ配設されている。排水弁6および感熱弁7の開弁により排出された排出流体は、二次側の流出路9から矢印Bで示すように、図示しない二次側通路に導出される。
【0017】
排水弁6は、ケーシング2の下部位置に設けられた排水孔10付きの弁座部材11と、この弁座部材11に対して、離間および着座することにより、排水孔10の先端の弁孔12を開閉するボール型のフロート(弁体)13とを有している。弁座部材11はその外周の雄ねじ部11aが下ケース2bにねじ込まれることでケーシング2に取り付けられている。このフロート13は前記弁座部材11から延びたフロート支持部15で支持されている。フロート1は浮力のみで上下動するフリー状態にある。
【0018】
一方、感熱弁7は、ケーシング2の上部位置に設けられ、流出孔16を有する弁座部材17と、この弁座部材17に支持されて弁室3内に位置する感熱素子18とを有する。この感熱素子18は、そのケース18aの内部にダイヤフラム18bによって熱膨張体18cを封入し、ダイヤフラム18bに、図3に明示された弁体18dを取り付けた公知の構造である。図1に示す弁室3内の一次側流体からの受熱によって熱膨張体18cを膨張させてダイヤフラム18bを変形させ、弁室3内に開口する流出孔16の入口の弁孔16aを閉止(閉弁)する。前記一次側流体が水蒸気の飽和温度よりも若干低温である場合、弁体18dが弁孔16aから離間することで開弁する。前記弁座部材17は上ケース2aに設けた挿通孔27に挿通されて、その基端がケーシング2の貫通孔32を貫通して流入室14に突出しており、その突出部17aにナット19が螺合されて上ケース2aに固定されている。
【0019】
前記流入室14は上ケース2aの上部に設けられた凹所20の開口をプラグ23で閉止することで形成されている。プラグ23はその下部の外周に設けた雄ねじ23aを上ケース2aのねじ孔にねじ込むことで、ケーシング2に対して着脱自在となっている。プラグ23の頂部は六角ナットと同様な六角形となっている。流入室14内には、流入室14の少なくとも周面と底面を覆う保護部材21が配置されている。この保護部材21は周壁21aと底壁21bを有するカップ形状であり、ステンレス製である。その周壁21aに流出路9に連通する連通孔31が形成されている。底壁21bには、弁座部材17の基端である突出部17aを貫通させる貫通孔32と係合爪33とが形成されている。前記凹所20の開口は着脱自在なプラグ23により閉止されている。
【0020】
この保護部材21は前述したようにステンレス製であるので、容易に機械加工できる。図示しないが、この保護部材21は周壁21aと底壁21bに加え、上壁が設けられたものであってもよく、その場合、連通孔31と貫通孔32のみが開口した閉鎖容器状となる。なお、前記プラグ23は通常、ステンレス製であるから、保護部材21に上壁がなくても、プラグ23がエロージョン・コロージョンに対して耐久性がある。
【0021】
図5(a)〜(f)は保護部材21の六面図を示し、図6は同保護部材21を上方から見た斜視図、図7は同保護部材21を下方から見た斜視図である。
【0022】
図5(a)〜(f)に示すように、保護部材21はその周壁21aに流出路9に連通する連通孔31が形成され、底壁21bに弁座部材17(図1)の突出部17aを貫通させる貫通孔32が形成されている。この場合、貫通孔32は弁座部材17の外径寸法よりも僅かに大きい内径寸法に設定されている。さらに、図6および図7に示すように、この保護部材21の底壁21bにおける貫通孔32の周縁部に、貫通孔32の直径方向に沿って対向する一対の係合爪33が設けられている。これらの係合爪33は、図4に示すケーシング2の流入室14の底面の位置決め凹部22に係合して、保護部材21が流入室14内で周方向の所定位置に配置されるようになっている。図4は、図3の弁座部材17およびプラグ23を除去した状態で上ケース2a単体の要部を示す平面図である。
【0023】
上記構成において、図1に示すように、蒸気を含む一次側排出流体が弁室3内に流入し始める初期段階に弁室3内が所定温度以下(蒸気飽和温度よりも低温)のとき、感熱弁7の開弁により、弁室3内の空気および/またはドレン(復水)を含んだ排出流体(一次側流体)が流出して流入室14に流入し、流出路9から排出される。その後、弁室3にドレンFが溜まっていくと、弁座部材11に対して着座状態にあって弁孔12を閉弁していた弁体13は、ドレンFによる浮力で上方に浮き上がり、弁孔12から離間して開弁し、この弁孔12から排出流体のドレンFが流出路9に排出される。このとき、流入室14内の少なくとも周面と底面は保護部材21で覆われているから、流入室14内に流入した排出流体が流入室14の周面と底面に直接に接触することがなく、エロージョン・コロージョンによるケーシング2の減肉を防止できる。
【0024】
また、図5(a)〜(f)に示すように、保護部材21は周壁21aと底壁21bを有するカップ状という簡単な構造であるから、図1のケーシング2に設けた凹所20へのセットが上方からの嵌め込みだけで簡単に行える。また、凹所20の開口も着脱自在なプラグ23により閉止されているので、保護部材21が凹所20から離脱するのを防止できる。
【0025】
また、保護部材21をステンレス製としたので、保護部材21の加工が容易であり、しかも材質の特性上、エロージョン・コロージョン作用に対する耐久性があるので、鋳鉄製のケーシング2を減肉させることなく保護できる。
【0026】
図1に示すように、感熱弁7の弁座部材17が前記ケーシング2を貫通して流入室14に突出しており、その突出部17aがナット19によりケーシング2に固定されているから、ナット19を緩めるだけで弁座部材17を取り外せるので、感熱弁7の点検や交換が容易となる。
【0027】
さらに、保護部材21の取り付けにあたって、保護部材21の底面の貫通孔32を弁座部材17に貫通させ、係合爪33を流入室14の底面に設けた位置決め凹部22に係合させるという簡単な作業で保護部材21を回り止めできて、周壁21aに設けた連通孔31と流出路9が連通するよう、周方向に誤差なく位置決めできる。
【0028】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲から定まるこの発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0029】
1…蒸気トラップ
2…ケーシング
3…弁室
5…流入口
6…排水弁
7…感熱弁
11…弁座部材
12…弁孔
13…フロート(弁体)
14…流入室
16…流出孔
16a…弁孔
17…弁座部材
18…感熱素子
19…ナット
20…凹所
21…保護部材
21a…周壁
21b…底壁
23…プラグ
31…連通孔
32…貫通孔
33…係合爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7