(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。主表示装置20の表示領域21は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、一部の図には、表示領域21を大まかに記載するが、その形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、主表示装置20自体の形状や大きさを変更することで表示領域21の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
大当たりの抽選(当否判定)は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口が複数設けられていてもよい。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。大当たりに当選した場合には大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、基本的には、大入賞口906が頻繁に開放状態となり、遊技者が多くの遊技球(いわゆる出玉)を獲得することができるものである。
【0015】
また、本実施形態では、大当たりに当選すると、その大当たり遊技終了後に確率変動状態に移行する。確率変動状態は、通常遊技状態よりも大当たり抽選(始動入賞口904に遊技球が入賞したときの抽選)の当選確率が高いものである。したがって、確率変動状態の方が通常遊技状態(確率変動状態に比して大当たり抽選に当選する確率が低い状態)よりも遊技者にとって有利な状態であるといえる。なお、本実施形態における確率変動状態は、通常遊技状態よりも始動入賞口904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態、いわゆる時間短縮(時短)遊技状態でもある。
【0016】
本実施形態における遊技機1は、いわゆるST機であって、確率変動状態は所定回数連続して当否判定の抽選がはずれとなるまで継続する。つまり、所定回数の当否判定の抽選が実行されるまでの間に大当たりに当選する限りにおいて、(大当たり遊技を挟んで)確率変動状態が継続(いわゆる連チャン)する。
【0017】
なお、上述したように、本実施形態では、全ての大当たり遊技終了後、確率変動状態に移行するが、一部の大当たり遊技終了後に限り、確率変動状態に移行するような構成であってもよい。
【0018】
当否判定結果は、公知の遊技機と同様に、主表示装置20の表示領域21に表示される図示されない装飾図柄80の組み合わせによって遊技者に報知される。装飾図柄80は、当否判定結果の報知(報知演出)の開始とともに変動を開始する。装飾図柄80が所定の組み合わせ(例えば、同じ図柄の三つ揃い)で停止した場合は大当たりとなり、それ以外の場合ははずれとなる。
【0019】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(装飾図柄80の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知(装飾図柄80の変動)が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0020】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている上記数値(当否判定情報)であって、当否判定結果を報知する演出が開始(装飾図柄80の変動が開始)されていないものに対応するマークである保留図柄70が、主表示装置20の表示領域21に表示される(
図2参照)。具体的には、当否判定を実行するための数値が取得された順に並ぶよう、保留図柄70が主表示装置20の表示領域21に表示される。本実施形態では、数値が取得されたタイミングが早いものから(いわゆる保留消化が早いものから)順に左から並ぶよう表示される。なお、具体的に図示はしないが、当否判定情報が取得される契機となった始動入賞口904の種類(いわゆる特
図1、特
図2)に応じて保留図柄70の表示態様を異ならせてもよい。
【0021】
また、本実施形態では、既に当否判定結果を報知する演出が開始(装飾図柄80の変動が開始)されているものの、当否判定結果の報知が完了(全ての装飾図柄80の変動が停止)していないもの、いわゆる「当該変動保留」が存在していることを示す画像(以下、特定図柄71と称する)が表示領域21に表示される(
図2参照)。当該特定図柄71は、上記保留図柄70と区別することができるようにするとよい。例えば、特定図柄71と保留図柄70の基本的態様(後述する具体的態様とは異なる概念である)が異なるものとすることが考えられる。本実施形態では、特定図柄71に付随する付随画像711が表示されることで、当該付随画像711が付随しているものが「当該変動保留」であることを遊技者が容易に把握できるよう構成されている。
【0022】
以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行する、確率変動状態中における情報の表示について説明する。上述したように、確率変動状態(本発明における特別遊技状態の一種に相当する)は、当否抽選が連続して所定回数(以下、総ST回数と称することもある)はずれとなるまで継続する。本実施形態では、当該確率変動状態が終了する可能性がある(「可能性がある」としたのは、途中で大当たりに当選した場合には終了しないからである)終了時点に至るまでの残りの当否抽選の回数(いわゆるSTの残り回数。以下残りST回数と称することもある)を表示する。例えば、総ST回数が70回に設定されているのであれば、確率変動状態に移行したときに回数表示装置10に表示される初期値が「70」に設定されて、当否抽選(はずれ)が実行される度に1ずつ残りST回数が減算されていく。
【0023】
本実施形態では、回数情報30として残りST回数を表示する回数表示装置10を備える(
図1、
図3等参照)。当該回数表示装置10は、上述した主表示装置20とは異なるものである。具体的には、主表示装置20は遊技の趣向性を高めるための種々の演出用画像(静止画、動画の両方を含む。以下画像というときには、静止画、動画の両方を含むものとする)や、当否判定結果を報知する上述した装飾図柄80が表示される「メイン」の表示装置である一方、回数表示装置10はこれらが表示されない「サブ」の表示装置であるということができる。
【0024】
回数表示装置10は、残りST回数を示す数字を表示することができるものであればよい。液晶表示装置のような種々の画像を表示することができる表示装置であってもよいが、セグメント表示装置(本実施形態では7セグメント表示装置である)であるとよい。後述するように、回数表示装置10は残りST回数を目立たせるために設けられるものであるから、「数字」を表示するのに特化した表示装置を回数表示装置10とした方が、当該回数の表示が目立つことになる。
【0025】
回数表示装置10は、主表示装置20よりも上方に設けられる(
図1、
図3等参照)。種々の演出用画像等が表示される主表示装置20は、遊技者が注目するものであって、遊技領域のほぼ中央に設けられているところ、当該主表示装置20よりも上方に回数表示装置10が設けられる。なお、ここでいう「上方」とは、回数表示装置10の少なくとも一部が主表示装置20(表示領域21)よりも上方に位置することをいうものとする。つまり、回数表示装置10の全体が主表示装置20(表示領域21)の上端縁よりも上方に位置することをいうものではない。すなわち、主表示装置20よりも目立つ位置に回数表示装置10が設けられていればよい。なお、
図3以降の図面においては、主表示装置20と回数表示装置10の関係を大まかに記載する。
【0026】
確率変動状態中には、回数表示装置10に残りST回数(回数情報30)が表示される(
図3参照)。本実施形態では、確率変動状態中においては、回数表示装置10に残りST回数が途切れることなく表示され続ける。なお、ここでいう「途切れることなく表示され続ける」とは、残りST回数を示す「数字」の値が変化する際に一時非表示となるような構成は許容する意味である。つまり、回数表示装置10を見る者に対し、常に残りST回数が表示され続けている印象を与えるような表示態様であればよい。
【0027】
一方、確率変動状態中には、主表示装置20にも残りST回数(回数情報30)が表示される(
図3参照)。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、回数情報30を表示する複数の回数表示手段(回数表示装置10および主表示装置20)を備えるものであるということができる。なお、後述する特殊演出が発生するような特殊なケースを除き、基本的には回数表示装置10に表示される回数情報30と主表示装置20に表示される回数情報30は全く同じ内容の情報であるから、両者に付す符号は「30」で同じものとした。
【0028】
主表示装置20における残りST回数の表示は、種々の要因により非表示となりうる。主表示装置20には、演出用画像や装飾図柄80等、当否判定結果を報知する報知演出を構成する要素が表示されるから、当該報知演出の内容によっては残りST回数が非表示となる状態が生じうる。例えば、いわゆるリーチ状態が成立し、その結末により当否判定結果を示すリーチ演出(スーパーリーチ演出)が発生したときには、当該リーチ演出の邪魔にならないよう残りST回数が非表示となるよう設定すること(
図4参照)が考えられる。
【0029】
本実施形態では、当否抽選がはずれとなる度に回数情報30として表示される数字を1減算させる(
図3参照)が、これとは異なり、当否抽選の結果が確定するよりも前に、数字を1減算させる表示手法を採用してもよい。つまり、総ST回数が70回に設定されている場合において、回数表示装置10や主表示装置20に表示される数字の初期値が「69」となるようにしてもよい。また、一の確率変動状態における最後の当否抽選の表示(「1」や「0」の表示)はなされなくてもよい。
【0030】
このように構成することによる作用は以下の通りである。高確率遊技状態中において、回数表示装置10には残りST回数が表示され続けるから、遊技者は高確率遊技状態の進行の程度(終了する可能性がある終了時点に至るまでの残りの当否抽選の回数)を容易に把握することが可能となる。従来の遊技機では、メインの表示装置(本実施形態における主表示装置20に相当)に残りST回数が表示されるものの、その表示が小さい等の理由から残りST回数が分かりにくいといった問題があったものの、本実施形態にかかる遊技機1では回数表示装置10にて残りST回数を把握することができるため、このような問題は生じない。また、主表示装置20において残りST回数が非表示とされているときであっても、回数表示装置10には残りST回数が表示されているため、当該回数表示装置10により残りST回数を把握することが可能であるという利点もある。また、基本的には回数表示装置10と主表示装置20の両方に残りST回数が表示されるから、遊技者が残りST回数を容易に把握することが可能である。
【0031】
また、遊技を行っておらず、空台を探している者は、主表示装置20よりも上方に目立つように設けられた回数表示装置10の表示により、いずれの台(遊技機1)が確率変動状態にあるかを容易に把握することが可能である。また、当該回数表示装置10の表示により、確率変動状態が終了する時期が早く訪れる蓋然性が高い台を容易に判別することが可能となる。すなわち、遊技者に有利な状態である確率変動状態が終了した後すぐに遊技を終了する遊技者は、それ以外のケースよりも多いことが想定されるから、空台を待っている者は残りST回数が少ない台に目を付けると良いということが言える。
【0032】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を、改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下で説明する具体例を単独で適用した構成としてもよいし、複数を組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0033】
○第一具体例
通常遊技状態(当否抽選に当選する確率が確率変動状態よりも低い遊技状態)中には、回数表示装置10には何も表示されないようにする(
図5参照)。当否判定結果を報知する報知演出を構成する種々の画像は主表示装置20に表示されるから、回数表示装置10には何も表示されなくてもよい。このようにすることで、空台を探している者は、通常遊技状態中にある遊技機1を容易に判別することが可能となる。
【0034】
○第二具体例
上記実施形態では、確率変動状態中に回数表示装置10に残りST回数が表示されること、すなわち総ST回数から当否抽選(はずれ)が実行される度に1ずつ残りST回数が減算されて表示されていくことを説明したが、「加算」による表示方式を採用してもよい(
図6参照)。つまり、当否抽選(はずれ)が実行される度に1ずつ数字が加算されていき、総ST回数として設定された回数に到達すること(総ST回数が70回であるのであれば、70回に到達して当該70回目の抽選がはずれとなること)が確率変動状態の終了時点であることを示すようにしてもよい。この場合、確率変動状態に移行したときにおける回数表示装置10に表示される数字の初期値は「0」となる。なお、当否抽選の結果が確定するよりも前に、数字を1加算する表示手法を採用してもよい。つまり、確率変動状態に移行したときにおける回数表示装置10に表示される数字の初期値が「1」である設定としてもよい。また、一の確率変動状態における最後の当否抽選の表示(「69」や「70」の表示)はなされなくてもよい。
【0035】
多くの遊技者は、遊技店に設置される遊技機1のスペックを示す情報物(遊技説明の冊子)等により、総ST回数を知っているであろうから、本例のように数字を「加算」していくことにより確率変動状態が終了する可能性がある終了時点を示してもよい。
【0036】
○第三具体例
上記実施形態では、回数表示装置10により、確率変動状態が終了する可能性がある終了時点を示すが、通常遊技状態よりも遊技者に有利な遊技状態であって、当否抽選回数が連続して所定回数はずれとなることを契機として終了するものであれば、その対象は確率変動状態でなくてもよい。例えば、通常遊技状態よりも始動入賞口904に遊技球が入賞しやすい時間短縮(以下、時短ということもある)遊技状態(高ベース状態)が終了する可能性がある時点が回数表示装置10により示されるようにしてもよい。
【0037】
○第四具体例
本実施形態にかかる遊技機1は、回数情報30を表示する表示手段として、回数表示装置10および主表示装置20という複数の回数表示手段を備えるものであることを説明したが、これを利用して以下のような特殊演出を実行することが可能である。なお、本例(および後述する第五具体例)の説明においては、主表示装置20を第一回数表示手段として、回数表示装置10を第二回数表示手段とする。
【0038】
特殊演出は、回数情報30を表示する状態(上記実施形態のような確率変動状態や第三具体例にて説明した時短遊技状態)にて発生しうる演出であって、第一回数表示手段には正確な回数情報30が表示される一方、第二回数表示手段には正確な回数情報30とは異なる情報が表示されるというものである。例えば、回数情報30として残りST回数が示される構成である場合、残りST回数が55回であるときに、第一回数表示手段には「55」という表示がなされ、第二回数表示手段には「56」という表示がなされることがあるようにする。具体的には、残りST回数が56回である状態(
図7(a)参照)においてはずれが報知され(
図7(b)参照)、残りST回数が55回となった後、第一回数表示手段においては数字が1減算されて「55」が表示されるものの、第二回数表示手段においては数字が減算されずそのまま「56」が表示されるような演出(
図7(c)参照)が発生しうる。つまり、残りST回数の表示が、第一回数表示手段と第二回数表示手段とで矛盾しうる。
【0039】
かかる特殊演出の発生は、遊技者に有利な状況であることを示唆するものとして設定されている。例えば、特殊演出が発生したときには、大当たりとなることが確定するような設定とすることが考えられる。特殊演出が発生したときに実行されている報知演出(変動している装飾図柄80によって当否が報知されるもの)に対応する当否判定結果(いわゆる当該変動)が大当たりとなることが確定するようにしてもよいし、いわゆる保留内に対応する当否判定結果が大当たりとなるものが存在することが確定するように(いわゆる先読み演出として発生するように)してもよい。また、大当たり確定とするのではなく、特殊演出が発生した場合の方が、特殊演出が発生しなかった場合よりも、大当たりとなる蓋然性が高くなるような構成、すなわち特殊演出がいわゆるチャンスアップとして設定された構成としてもよい。この場合においても、いわゆる当該変動に対応する当否判定結果についてのチャンスアップとして設定された構成としてもよいし、いずれかの保留に対応する当否判定結果についてのチャンスアップ(先読み演出)として設定された構成としてもよい。
【0040】
先読み演出として特殊演出を実行する場合には、当該特殊演出の対象となった保留に対応する当否判定結果を報知する報知演出が開始される(装飾図柄80の変動が開始される)まで、すなわち対象の保留図柄70が当該変動保留を示す特定図柄71となるまで、第一回数表示手段に表示される回数情報30と第二回数表示手段に表示される回数情報30が矛盾するようにするとよい。例えば、特殊演出の開始時点にて、第一回数表示手段に「55」という表示がなされ、第二回数表示手段に「56」という表示がなされた後、一つの当否判定結果が報知(一つの保留が消化)される度に、各表示手段に表示される数字を1ずつ減算させていくことが考えられる。また、正確な回数情報30が表示されない第二回数表示手段の表示が、対象の保留図柄70が当該変動保留を示す特定図柄71となるまで維持されるような構成としてもよい。つまり、特殊演出の開始時点にて、第一回数表示手段に「55」という表示がなされ、第二回数表示手段に「56」という表示がなされた後、一つの当否判定結果が報知(一つの保留が消化)される度に、第一回数表示手段に表示される数字は1ずつ減算していくものの、第二回数表示手段に表示される数字は「56」が維持されるような構成としてもよい。
【0041】
本例では、主表示装置20が第一回数表示手段であり、回数表示装置10が第二回数表示手段であることを説明したが、逆の設定としてもよい。ただし、主表示装置20は当否判定結果を示す装飾図柄80等が表示される「メイン」の表示手段であって、遊技者が注目する(回数表示装置10よりも注目する)であろうから、本例のように特殊演出が発生する場合であっても主表示装置20においては正確な回数情報30が表示されるようにするとよい。
【0042】
○第五具体例(第四具体例の変形例)
上記第四具体例において、特殊演出によって大当たりが確定することや、大当たりとなる蓋然性が高まったことが示唆されることを説明したが、特殊演出によって示唆される対象はこのようなものに限られない。
【0043】
図8(a)に示すように、当否抽選に当選する確率に基づく遊技状態として、低確率状態および確率変動状態(高確率状態)が設定されているとする。また、始動入賞口904への遊技球の入賞しやすさに基づく遊技状態として、低ベース状態(入賞しにくい状態)および高ベース状態(入賞しやすい状態;時短遊技状態)が設定されているとする。これを踏まえ、第一大当たりに当選した後、当該第一大当たり遊技終了後に移行しうる遊技状態として「低確率状態かつ高ベース状態」が、当否抽選が連続して所定回数(例えば50回)はずれとなるまで継続する第一特別遊技状態、第二大当たりに当選した後、当該第二大当たり遊技終了後に移行しうる遊技状態として「確率変動状態かつ高ベース状態」が、次回の大当たりに当選するまで継続する第二特別遊技状態とが設定されているとする。つまり、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態はともに高ベース状態(時短遊技状態)であることは共通するものの、当否抽選の確率が異なる。また、遊技状態が次回の大当たりまで継続するか否かという点において相違する。これらのことを踏まえれば、第二特別遊技状態は、第一特別遊技状態よりも遊技者にとって好ましい遊技状態であるということができる。
【0044】
このような設定がなされている遊技機において、大当たり遊技終了後に移行した特別遊技状態が第一特別遊技状態であるか第二特別遊技状態であるかが遊技者には明確に分からないような態様(モード)に移行する場合があるとする。より具体的には、第一特別遊技状態が終了するまでの回数(時短回数)が50回に設定される場合には、当否判定結果がはずれとなる度に1ずつ減算されていく(特殊演出が発生した場合を除く)回数情報30が、第一回数表示手段および第二回数表示手段に表示されるようにする。つまり、移行した特別遊技状態の種類によらず、第一特別遊技状態に移行したかのような表示がなされるものとする(
図8(b)参照)。当否抽選の確率の高低は遊技者には分からないし、いずれの特別遊技状態に移行した場合であっても高ベース状態(時短)は少なくとも当否抽選が連続して50回はずれとなるまで継続するのであるから、このような表示がなされるようにする。これにより、遊技者(移行した特別遊技状態が、第一特別遊技状態および第二特別遊技状態のいずれの可能性もあることを知っている遊技者)は、移行した特別遊技状態の種類が第二特別遊技状態であることを願いつつ遊技することになり、遊技の趣向性を向上させることが可能となる。
【0045】
このような設定とする場合において、特殊演出が発生することが、現在実行されている特別遊技状態が第二特別遊技状態であることを示唆するものとする。特殊演出の発生によって現在実行されている特別遊技状態が第二特別遊技状態であることが確定するようにしてもよいし、特殊演出の発生によって現在実行されている特別遊技状態が第二特別遊技状態である蓋然性が高まるような設定としてもよい。遊技者は特別遊技状態が継続しているとき(当否抽選が50回連続してはずれとなるまで)に大当たりに当選することを願っており、回数情報30に注目しているであろうから、特殊演出を本例のように利用することで、遊技の趣向性を向上させることが可能となる。
【0046】
○第六具体例
回数表示装置10は動作可能なものであってもよい。ただし、当該回数表示装置10に回数情報30が表示されているときには、回数表示装置10は主表示装置20よりも上方に位置するようにされる。主表示装置20よりも上方に位置するような範囲において、回数情報30が表示されている際に回数表示装置10が動作する(例えば、揺れ動く)ことがあるように構成されていてもよい。回数情報30が表示されていないときには、回数表示装置10は静止するようにするとよい。このようにすることで、回数表示装置10に表示される回数情報30を目立たせることが可能となる。
【0047】
○第七具体例
第六具体例と同様に、回数表示装置10を動作可能なものとする。そして、回数表示装置10に表示される回数情報30が変化するにつれて、回数表示装置10が変位するようにする。このようにすれば、回数表示装置10の位置によって、確率変動状態や時短遊技状態が終了する可能性がある時点までのおおよその遠近を把握することが可能となる。回数情報30として残りST回数を表示する構成の場合、残りST回数が1減算される度に回数表示装置10が変位するようにしてもよいし、所定の値が減算される度に(例えば、残りST回数が10減算される度に)回数表示装置10が変位するようにしてもよい。
【0048】
さらに好ましくは、確率変動状態や時短遊技状態が終了する可能性がある時点が近くなるにつれて、回数表示装置10が上方に変位するようにするとよい(
図9参照)。空台を探している者は、確率変動状態や時短遊技状態が終了する可能性がある時点が近い台に注目するであろうから、当該時点が近いほど回数表示装置10を上方に位置させて当該回数表示装置10(回数表示装置10に表示される回数情報30)が目立つようにするとよい。
【0049】
○第八具体例
上記実施形態では、回数表示装置10は遊技領域902に設けられていることを説明したが、遊技領域902外に設けられていてもよい。つまり、主表示装置20よりも上方の目立つ位置に設けられていればよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0051】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0052】
・手段1
通常遊技状態よりも有利な特別遊技状態が、当否抽選が連続して少なくとも所定回数はずれとなるまで継続するよう設定された遊技機であって、
前記特別遊技状態が終了する可能性がある終了時点に至るまでの残りの当否抽選の回数、または前記特別遊技状態が開始されてから行われた当否抽選の回数を示す回数情報を表示する表示手段として、複数の回数表示手段を備えることを特徴とする遊技機。
このように、回数情報が複数の表示手段に表示されるようにすることで、有利な遊技状態がどの程度進行しているのかを分かりやすくすることが可能となる。
【0053】
・手段2
前記回数表示手段として、少なくとも第一回数表示手段および第二回数表示手段が設けられ、
前記特別遊技状態中に、前記第一回数表示手段には正確な前記回数情報が表示される一方、前記第二回数表示手段には正確な前記回数情報とは異なる情報が表示される特殊演出を実行することが可能であることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
・手段3
前記特殊演出の発生は、遊技者に有利な状況であることを示唆するものであることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
このように、第一回数表示手段と第二回数表示手段に表示される回数情報が異なるものとなる(矛盾する)状況が発生するようにすることで、遊技の趣向性を向上させることが可能となる。
【0054】
・手段4
前記特別遊技状態として、
当否抽選が連続して所定回数はずれとなるまで継続する第一特別遊技状態と、
当否抽選が当たりとなるまで継続する第二特別遊技状態と、
が設定されており、
前記特殊演出の発生は、現在実行されている特別遊技状態が前記第二特別遊技状態であることを示唆するものであることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
このように、特殊演出の発生を、現在実行されている特別遊技状態が第二特別遊技状態であることの示唆に利用することも可能である。
【0055】
・手段5
前記第一回数表示手段には、当否判定結果を報知する装飾図柄が表示されることを特徴とする手段2から手段4のいずれかに記載の遊技機。
当否判定結果を報知する装飾図柄が表示される第一回数表示手段は、遊技者が注目する表示手段であるから、特殊演出が発生する場合であっても、当該第一回数表示手段には正確な回数情報が表示されるようにするとよい。
【0056】
・手段6
前記回数表示手段は、セグメント表示装置であることを特徴とする手段2から手段5のいずれかに記載の遊技機。
このように、回数表示手段をセグメント表示装置とすれば、回数の表示が目立つため、特別遊技状態の進行の程度が分かりやすい。また、特殊演出の発生が分かりやすい。