【実施例】
【0024】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、フロントガラス31やリアガラス上を往復動するワイパー20の払拭ラバー22を加熱するワイパー用加熱装置である。
【0026】
具体的には、本実施例では、
図1〜3に図示したようにワイパー20として、フロントガラス31上の反転位置で反転して往復動する擺動アーム24に設けられる支持体21と、この支持体21に設けられ下端部にフロントガラス31に接触する接触部22aが設けられた払拭ラバー22とを有し、自動車(乗用車、バス、トラックなど)のフロントガラス31を払拭するワイパーを採用しており、この自動車には後述する本実施例に係るワイパー用加熱装置に電気を供給する電気供給源が設けられている。尚、ワイパー20を備えたものであれば自動車に限らず、鉄道(電車)や船舶や航空機など適宜採用し得るものであり、フロントガラス31やリアガラスは樹脂製のものも含む。
【0027】
また、擺動アーム24及び支持体21は、いずれも周知構造の金属製品であり、擺動アーム24の先端部に支持体21が着脱自在に設けられている。
【0028】
支持体21(ワイパーブレード)は、後述する払拭ラバー22を連結支持する支持構造体であり、具体的には、
図2,3に図示したように擺動アーム24の先端部に連結する第一支持アーム21aと、この第一支持アーム21aの両端部に枢着される第二支持アーム21bと、この各第二支持アーム21bの両端部に枢着される第三支持アーム21cとで構成され、第三支持アーム21cの両端部には、払拭ラバー22の上端部に被嵌連結する断面角形C字状の連結部21c’が設けられている。尚、支持体21の構造(支持アームの数や形状など)は上記に限定されないのは勿論である。
【0029】
払拭ラバー22は、
図2〜5に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で一体成形された長尺体であり、下端部には所定長を有する接触部22aが設けられ、また、この接触部22aよりも上方位置にして、長辺端面としての正面部及び背面部夫々には、長さ方向に凹条部22cが設けられており、この各凹条部22cに前述した支持体21の各連結部21c’をスライドさせて被嵌連結することになる。
【0030】
また、払拭ラバー22は、凹条部22cの上方位置にして、長辺端面としての正面部及び背面部夫々には、長さ方向にスリット部22bが設けられ、この各スリット部22b夫々に長尺の補強金属板部材23が嵌合配設されており、この補強金属板部材23により払拭ラバー22は形状保持されている。
【0031】
本実施例は前述した構造のワイパーに装着されるワイパー用加熱装置を設けている。
【0032】
このワイパー用加熱装置は、発熱線1と、この発熱線1に連設され該発熱線1を払拭ラバー22に固定するための帯状固定部材2とを有する。
【0033】
発熱線1は、
図2に図示したように電気が流れることで発熱するものであり、基端部にはカールコード4が設けられ車両に設けられる電気供給源5に差し込み接続される接続部4aが設けられている。尚、発熱線1の熱源は電気に限らず加熱流体(温水や温風)でも良いなど適宜採用される。
【0034】
また、本実施例では、発熱線1にはサーモスタット3(温度コントローラー)が設けられており、一定電圧の連続加熱も可能であるが、外気温や降雪量等の変化により加熱不足やオーバーヒートの危険が生じるため、サーモスタット3を付加している。
【0035】
帯状固定部材2は、
図2,4,5に図示したように伝熱性の高い適宜な金属製の部材(アルミ)で形成した板状体であり、後述するように発熱線1を支持体21及び払拭ラバー22の各所に熱伝導状態で固定するため多数設けられている。
【0036】
また、帯状固定部材2は、工具などを用いて断面角形C字状に折り曲げ形成される。
【0037】
この帯状固定部材2を用いて発熱線1を払拭ラバー22に固定する場合、
図4,5に図示したように発熱線1を払拭ラバー22の上端面に添設して重合状態(当接状態)とし、この状態で発熱線1を覆った状態で払拭ラバー22の上端部に帯状固定部材2を囲繞被嵌し、この帯状固定部材2の左右端部2a,2b夫々がスリット部22b夫々に差し込み嵌合され補強金属板部材23に重合状態にて払拭ラバー22の上端部に着脱自在に連結される。
【0038】
従って、この帯状固定部材2の左右端部2a,2bは補強金属板部材23に面接触することになり、しかも、補強金属板部材23の側面を押えた状態となり、補強金属板部材23がスリット部22bから外れるのを確実に防止することができる。
【0039】
また、本実施例では、帯状固定部材2を用いて発熱線1を支持体21にも固定しており、
図2,6に図示したように発熱線1を支持体21(第一支持アーム21a,第二支持アーム21b及び第三支持アーム21c)に添設して重合状態(当接状態)とし、この状態で発熱線1を包持した状態で支持体21に帯状固定部材2を被嵌し、この帯状固定部材2の左右端部2a,2b夫々を内側に折り曲げることで該支持体21に被嵌連結される。
【0040】
従って、この帯状固定部材2の左右端部2a,2bは支持体21に面接触することになる。
【0041】
本実施例は上述のように構成したから、本実施例に係るワイパー用加熱装置をワイパー20に取り付ける場合、発熱線1を払拭ラバー22の上端面に重合状態とし、この状態で帯状固定部材2で発熱線1の上部を覆い、両端部を払拭ラバー22の長辺端面としての正面部及び背面部夫々の長さ方向に配設された補強金属板部材23夫々と当接するようにして払拭ラバー22を帯状固定部材2で囲繞被嵌する。
【0042】
従って、発熱線1からの熱は、払拭ラバー22の上端面から伝わるとともに、帯状固定部材2及び補強金属板部材23を介して払拭ラバー22の内側(スリット部22b内)からも伝わり、よって、熱が払拭ラバー22全体に良好に伝わることになり、しかも、発熱線1は払拭稼働時に変形しない(或いは変形の少ない)払拭ラバー22の上端面に設けられる為、発熱線1が払拭ラバー22から外れることはない。
【0043】
ところで、払拭ラバー22を加熱することで、例えば払拭ラバー22が柔らかくなり、この払拭ラバー22のスリット部22bに嵌合配設された補強金属板部材23が外れてしまうことが懸念されるが、この点、本実施例は、帯状固定部材2で補強金属板部材23を押えた状態となる為、この補強金属板部材23が外れてしまうことを確実に防止することができる。
【0044】
よって、本実施例によれば、低温環境下においてもワイパー20の機能を確実に発揮させることができる。
【0045】
また、本実施例は、払拭ラバー22に設けられる既存の補強金属板部材23を利用して払拭ラバー22全体に良好に熱を伝える構造であるから、前述した作用効果を簡易な構造で確実に実現することができる。
【0046】
また、本実施例の帯状固定部材2は、払拭ラバー22の長さ方向に間隔を置いて複数設けられるものであるから、簡易且つ確実に発熱線1を固定することができる。
【0047】
また、本実施例は、帯状固定部材2は、払拭ラバー22に着脱自在に設けられるものであるから、払拭ラバー22の取り換えが支障なく行えることになる。
【0048】
また、本実施例は、帯状固定部材2は伝熱性の高い金属製であるから、確実に発熱線1の熱を伝えることができる。
【0049】
また、本実施例は、発熱線1は、払拭ラバー22を支持する支持体21にも帯状固定部材2により設けられているから、ワイパー20全体を加熱して低温環境下においてもワイパー20の機能を十分に発揮さることができる。
【0050】
また、本実施例は、発熱線1にはサーモスタット3が設けられているから、加熱不足やオーバーヒートに対応することができる。
【0051】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。