【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月23日において、株式会社桂精機製作所が、株式会社タカギセイコー及びパーカーエンジニアリング株式会社に、荒井一之及び藤田淳一が発明した乾燥用ガスの熱量を有効に利用できる乾燥装置の図面を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年7月31日において、株式会社桂精機製作所が、株式会社タカギセイコーに、荒井一之及び藤田淳一が発明した乾燥用ガスの熱量を有効に利用できる乾燥装置を納入した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乾燥ゾーンの前記側壁の、搬送される被乾燥物よりも下方側に設けられ、前記熱源部で生成された乾燥用ガスを前記乾燥ゾーン内に噴出する下部噴出部をさらに具備することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の乾燥装置。
前記乾燥ゾーンの前記側壁の、搬送される被乾燥物よりも上方側に設けられ、前記熱源部で生成された乾燥用ガスを前記乾燥ゾーン内に噴出する上部噴出部をさらに具備することを特徴とする請求項2、3、8のいずれか1項記載の乾燥装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の乾燥装置10の概要を模式的に示した図である。
【0020】
図1に示すように、乾燥装置10は、熱源部20と、熱源部20から排出された乾燥用ガスによって被乾燥物Wを乾燥させる乾燥室60とを備える。この乾燥装置10は、熱源部20で生成した乾燥用ガスを乾燥室60に導入し、乾燥室60に導入した乾燥用ガスの一部を熱源部20に戻す循環式の乾燥装置である。
【0021】
まず、熱源部20の構成について説明する。
【0022】
ここでは、熱源部20として燃焼器20Aを例示して説明する。この場合、乾燥用ガスは、燃焼器20Aで生成された燃焼ガスとなる。なお、熱源部20において、外部から取り入れた空気を加熱する電気ヒータを加熱源として用いてもよい。この場合、乾燥用ガスは、加熱された空気となる。
【0023】
燃焼器20Aは、内部空間を有する燃焼ケーシング21と、燃焼ケーシング21の一端21aに設けられたバーナ22とを備える。バーナ22は、燃料供給源25から燃料を供給する燃料供給系統23と、空気を供給する空気供給系統24とを備える。
【0024】
なお、ここでは、空気供給系統24として、吸気ファン24aが備えられた一例を示している。空気供給系統24は、例えば、エアーコンプレッサなどから排出された空気をバーナ22に供給する系統であってもよい。
【0025】
バーナ22において、燃料供給系統23から供給された燃料と空気供給系統24から供給された空気を燃焼させることで生成した燃焼ガスが、燃焼ケーシング21の内部に広がる。この燃焼ガスは、被乾燥物Wを乾燥させる乾燥用ガスとして機能する。
【0026】
燃焼ケーシング21の他端21bには、内部の燃焼ガスを排出するための出口開口(図示しない)を有する。この出口開口は、例えば、配管30を介して、フィルタ部40に連結されている。
【0027】
フィルタ部40は、ケーシング41と、このケーシング41内に設けられたフィルタ42とを備える。フィルタ42は、例えば、
図1に示すように、燃焼ガスの流れ方向に垂直な断面に亘って設けられている。このフィルタ42は、ケーシング41の出口開口(図示しない)に向かって流れる燃焼ガス中の異物を除去する。
【0028】
また、フィルタ部40は、ケーシング41内における、フィルタ42よりも下流側とフィルタ42よりも上流側との差圧を検知する差圧計43が備えられている。差圧計43において所定値以上の差圧が検知された場合、例えば、フィルタ42の目詰まりと判断する。
【0029】
なお、フィルタ部40は、燃焼ケーシング21と一体的に構成されてもよい。この場合、フィルタ部40と燃焼ケーシング21とを連結する配管30は不要となる。
【0030】
フィルタ42よりも下流側のケーシング41内の空間は、導入配管31を介して乾燥室60に連通されている。導入配管31には、導入配管31を介してフィルタ部40から乾燥室60に乾燥用ガスを導入し、かつ後述する戻り配管35を介して乾燥室60から燃焼器20A(燃焼ケーシング21内)に乾燥用ガスを戻すために、循環ファン32が介在している。
【0031】
循環ファン32においては、例えば、ファンモータ32aを制御してファン回転数を調整することで、乾燥室60に供給される乾燥用ガスの流量が調整される。循環ファン32は、例えば、シロッコファンやターボファンなどで構成される。
【0032】
なお、
図1においては、一つの導入配管31によって乾燥用ガスが乾燥室60に供給される一例を示しているが、これに限られない。例えば、乾燥室60側の導入配管31を複数に分岐して、これらの分岐管を乾燥室60に連結してもよい。これによって、乾燥用ガスを乾燥室60内に均一に導入できる。
【0033】
次に、乾燥室60の構成について説明する。
【0034】
乾燥室60は、燃焼器20Aにおいて生成された乾燥用ガスによって被乾燥物Wを乾燥させる。乾燥室60は、例えば、
図1に示すように、被乾燥物Wの搬送方向(以下、搬送方向という)に延設されている。
【0035】
なお、
図1には、乾燥室60の幅方向の中央における乾燥室60の縦断面が示されている。乾燥室60の幅方向とは、
図1において紙面に垂直な方向である。また、
図1では、各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおいて乾燥させる被乾燥物Wの位置を破線で示している。
図1では、被乾燥物Wを搬送する搬送装置は、省略されている。
【0036】
ここで、
図2は、
図1のA−A断面を示す図である。
図3は、
図1のB−B断面を示す図である。
図4は、
図1のC−C断面を示す図である。
【0037】
図1に示すように、乾燥室60は、搬送方向に複数の乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dを備える。また、乾燥室60は、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61D間に吸込みゾーン62A、62B、62Cを備える。
【0038】
乾燥ゾーン61A、61B、61C、61D、吸込みゾーン62A、62B、62Cの、搬送方向に垂直な断面形状は、例えば、
図2および
図3に示すように、矩形となっている。
【0039】
なお、この断面形状は、これに限られるものではない。
図2および
図3の断面において、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dおよび吸込みゾーン62A、62B、62Cの上壁を、例えば、アーチ状に構成してもよい。この場合、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dおよび吸込みゾーン62A、62B、62Cの、搬送方向に垂直な断面形状は、逆U字形となる。
【0040】
乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dでは、被乾燥物Wを所定時間留めて乾燥させる。すなわち、搬送装置150における前述したタクト運転によって、被乾燥物Wは、各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dに所定時間留まる。そして、所定時間経過後、吸込みゾーンを通過して次の乾燥ゾーンへ移動する。最終の乾燥ゾーン61Dの乾燥処理が完了後、被乾燥物Wは、乾燥室60から外部へ排出される。
【0041】
ここで、乾燥室60の具体的な構成について説明する。
【0042】
乾燥室60は、例えば、
図2に示すように、外部ケーシング70と、この外部ケーシング70内に内部ケーシング80を備えている。外部ケーシング70は、搬送方向に延設された筒体である。内部ケーシング80は、例えば、搬送方向に延設された断面がコ字状の柱状部材である。
【0043】
そして、内部ケーシング80のコ字状の開口側を外部ケーシング70の底壁70b上に配置している。すなわち、
図2に示すように、内部ケーシング80と、外部ケーシング70の底壁70bとで囲まれる空間が形成される。
図2においては、この空間が乾燥ゾーン61Aとなる。
【0044】
また、外部ケーシング70と内部ケーシング80との間には、空間90が形成され、この空間90に導入配管31を介して乾燥用ガスが導入される。すなわち、外部ケーシング70に導入配管31が連結されている。
【0045】
空間90は、
図2に示すように、乾燥室60の上部から両側部に亘って連通する空間である。
図2に示す断面において、空間90は、逆U字状の空間である。すなわち、空間90は、この逆U字状の空間が搬送方向に亘って延設されることで形成される。
【0046】
図1に示すように、外部ケーシング70の一端には、入口ゲート71が設けられ、外部ケーシング70の他端には、出口ゲート72が設けられている。
【0047】
入口ゲート71は、
図1および
図4に示すように、例えば、入口扉71aと、入口扉71aを下方からスライド可能に支持する下方スライド部材71bと、入口扉71aを上方からスライド可能に支持する上方スライド部材71cとを備える。
図4に示すように、入口扉71aは、例えば、乾燥室60の幅方向(
図4では左右方向)にスライド可能な2枚の扉で構成されている。
【0048】
出口ゲート72は、入口ゲート71と同様の構成を備える。すなわち、
図1に示すように、例えば、出口扉72aと、出口扉72aを下方からスライド可能に支持する下方スライド部材72bと、出口扉72aを上方からスライド可能に支持する上方スライド部材72cとを備える。出口扉72aは、例えば、乾燥室60の幅方向にスライド可能な2枚の扉で構成されている。
【0049】
なお、ここでは、乾燥室60の幅方向にスライド可能な入口扉71aおよび出口扉72aを例示して説明したが、この構成に限られるものではない。入口扉71aおよび出口扉72aは、例えば、上下方向(鉛直方向)にスライド可能な2枚の扉で構成されてもよい。
【0050】
ここで、被乾燥物Wは、例えば、
図3に示すように、搬送装置150によって搬送される。搬送装置150は、例えば、レール151と、駆動部152と、支持部153とを備える。
【0051】
レール151は、乾燥室60の床上に搬送方向に亘って配置されている。支持部153は、例えば、駆動部152上に配置され、被乾燥物Wを支持する。支持部153は、被乾燥物Wを下方から安定して支持する棒状部材などで構成される。
【0052】
駆動部152は、支持部153および支持部153に支持された被乾燥物Wをレール151に沿って移動可能な駆動機構を備える。
【0053】
なお、搬送装置150の構成は、これに限られない。搬送装置150は、タクト運転によって、被乾燥物Wを各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dに移動可能な構成であればよい。
【0054】
次に、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dの構成について説明する。なお、各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dの構成は同じであるため、ここでは、乾燥ゾーン61Aの構成について説明する。
【0055】
図2に示すように、乾燥ゾーン61Aは、内部ケーシング80内に形成される。具体的には、前述したように、乾燥ゾーン61Aは、内部ケーシング80と、外部ケーシング70の底壁70bで囲まれた空間に形成される。
【0056】
乾燥ゾーン61Aを構成する内部ケーシング80の側壁81、82の内面81a、82aには、乾燥用ガス噴出ノズル100が設けられている。
図1に示すように、側壁81、82の内面81a、82aには、複数の乾燥用ガス噴出ノズル100が、例えば、千鳥格子状に配置されている。
【0057】
換言すれば、高さ方向に等間隔に複数段の乾燥用ガス噴出ノズル100が配置されている。また、乾燥用ガス噴出ノズル100は、搬送方向に等間隔に配置されている。そして、隣接する段において、乾燥用ガス噴出ノズル100を搬送方向にずらして配置している。このように乾燥用ガス噴出ノズル100を配置することで、千鳥格子状の配置となる。
【0058】
なお、乾燥用ガス噴出ノズル100の配置構成は、これに限られない。乾燥ゾーン61Aにおいて、乾燥用ガス噴出ノズル100は、被乾燥物Wに乾燥用ガスを吹き付けられるように配置されていればよい。
【0059】
乾燥用ガス噴出ノズル100は、内面81a、82aから乾燥ゾーン61A内に突出するように設けられている。乾燥用ガス噴出ノズル100は、例えば、内面81a、82aに対して垂直に設けられている。なお、乾燥用ガス噴出ノズル100の先端は、後述する吸込みゾーン62Aの吸込み口63よりも乾燥ゾーン61Aの中央側に突出している。
【0060】
さらに、内部ケーシング80の上壁83の内面83aには、乾燥用ガス噴出ノズル100が設けられている。上壁83の乾燥用ガス噴出ノズル100も側壁81、82の乾燥用ガス噴出ノズル100と同様に、
図1に示すように千鳥格子状に配置されている。
【0061】
換言すれば、搬送方向に等間隔に複数段の乾燥用ガス噴出ノズル100が配置されている。また、乾燥用ガス噴出ノズル100は、乾燥室60の幅方向に等間隔に配置されている。そして、隣接する段において、乾燥用ガス噴出ノズル100を乾燥室60の幅方向にずらして配置している。このように乾燥用ガス噴出ノズル100を配置することで、千鳥格子状の配置となる。
【0062】
乾燥用ガス噴出ノズル100は、内面83aから乾燥ゾーン61A内に突出するように設けられている。乾燥用ガス噴出ノズル100は、例えば、内面83aに対して垂直に設けられている。
【0063】
ここで、内面81a、82a、83aにおける乾燥用ガス噴出ノズル100の配置構成は、上記した構成に限られない。乾燥用ガス噴出ノズル100は、乾燥ゾーン61Aにおいて、被乾燥物Wに乾燥用ガスを吹き付けられるように配置されていればよい。
【0064】
なお、乾燥用ガス噴出ノズル100は、噴出部として機能する。また、内部ケーシング80の、側壁81、82や上壁83における乾燥用ガス噴出ノズル100に配置構成は、特に限定されるものではなく、上記した構成に限られない。
【0065】
ここで、乾燥用ガス噴出ノズル100から噴出される乾燥用ガスの流れは、熱伝達率を向上させるために、噴出後外側に広がりにくく高速で被乾燥物Wに衝突する噴流であることが好ましい。そこで、乾燥用ガス噴出ノズル100は、このような噴流を形成しやすい、例えば、筒状管などで構成される。筒状管としては、例えば、円管などが使用される。
【0066】
また、
図1および
図2に示すように、乾燥ゾーン61Aの両側壁81、82の、搬送される被乾燥物Wよりも下方側には、下部噴出部110が設けられている。すなわち、下部噴出部110は、乾燥ゾーン61Aの両側壁81、82に設けられた乾燥用ガス噴出ノズル100よりも下方側に設けられている。
【0067】
下部噴出部110は、側壁81、82に形成された開口部111と、開口部111に設けられた吹出し導出板112とを備える。
【0068】
開口部111は、例えは、側壁81、82に形成された矩形の開口である。開口部111は、一つの乾燥ゾーン61Aに少なくとも一つ設けられている。開口部111は、例えば、
図1に示すように、搬送方向に並べて2つ設けられてもよい。
【0069】
吹出し導出板112は、乾燥用ガスの噴出方向を調整する機能を備える。吹出し導出板112は、
図1および
図2に示すように、開口部111の幅(搬送方向の長さ)に相当する長さを有する板状部材である。そして、開口部111には、複数枚の吹出し導出板112が、高さ方向(鉛直方向)に所定の間隔をあけて配置されている。
【0070】
各吹出し導出板112は、
図2に示した断面おいて、水平方向に対して角度を変更可能に支持されている。このように、各吹出し導出板112の角度を変更可能に支持されているため、それぞれの水平方向に対する角度を任意に設定することができる。また、各吹出し導出板112をこのように支持することで、噴出する乾燥用ガスの噴出方向を任意に調整することができる。
【0071】
そして、空間90内に導入された乾燥用ガスの一部は、開口部111および吹出し導出板112間を通過して乾燥ゾーン61A内に噴出される。下部噴出部110から噴出された乾燥用ガスは、下方側から被乾燥物Wに衝突する。
【0072】
下部噴出部110を備えることで、乾燥ゾーン61A内の乾燥用ガスの温度分布の均一化を図ることができる。また、下方側から被乾燥物Wに乾燥用ガスを衝突させることで、例えば、被乾燥物Wが下方に開口する構造の場合、被乾燥物Wの内部に乾燥用ガスを導入することができる。これによって、被乾燥物Wを均一に乾燥させることができる。
【0073】
また、各吹出し導出板112の角度を変更可能に支持されているため、乾燥ゾーン61A内の乾燥用ガスの温度分布の均一化や被乾燥物Wの均一な乾燥をより確実に実現することができる。
【0074】
次に、吸込みゾーン62A、62B、62Cの構成について説明する。なお、各吸込みゾーン62A、62B、62Cの構成は同じであるため、ここでは、吸込みゾーン62Aの構成について説明する。
【0075】
吸込みゾーン62Aは、乾燥ゾーン61Aと乾燥ゾーン61Bとの間に構成される。
【0076】
図3に示すように、吸込みゾーン62Aは、内部ケーシング80、吸込み口63を有する側壁64、65および外部ケーシング70の底壁70bで囲まれる空間に形成される。吸込みゾーン62Aにおいて、内部ケーシング80の側壁81、82は、例えば、外部ケーシング70の側壁70a側に窪んでいる。
【0077】
図3に示すように、側壁81、82の窪みは、例えば、乾燥ゾーン61A側(被乾燥物W側)が開口した、直方体状の凹部66、67で構成される。すなわち、直方体状の凹部66、67は、一面が乾燥ゾーン61A側に開口し、他の5面は壁部で構成されている。
【0078】
なお、
図3に示すように、凹部66、67の外部ケーシング70の側壁70a側の壁部66a、67aと、外部ケーシング70の側壁70aとの間には、隙間を有する。すなわち、空間90内に導かれた乾燥用ガスは、乾燥室60の両側部において、上下方向(鉛直方向)に広がることができる。
【0079】
また、凹部66、67の下部の壁部66b、67bと、外部ケーシング70の底壁70bとの間には、隙間(空間)を有する。すなわち、空間90内に導かれた乾燥用ガスは、乾燥室60の底部において、乾燥室60の幅方向(
図3の左右方向)に広がることができる。これによって、隣接する乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dの下部噴出部110から噴出される乾燥用ガスの流量分布を均一にすることができる。
【0080】
凹部66、67の開口部には、板状の側壁64、65が設けられ、開口部を閉鎖している。凹部66、67を側壁64、65で閉鎖することで、空間68、69が形成される。空間68、69は、外部ケーシング70と内部ケーシング80との間の空間90とは区画されている。
【0081】
側壁64、65には、
図1および
図3に示すように、吸込み口63が形成されている。この吸込み口63は、例えば、側壁64、65に形成された開口で構成される。吸込み口63は、少なくとも1つ設けられる。例えば、
図1および
図3に示すように、側壁64、65に鉛直方向に複数の吸込み口63を備えてもよい。ここでは、鉛直方向に3つの吸込み口63が形成された一例を示している。
【0082】
吸込み口63は、吸込みゾーン62A内から乾燥用ガスを吸い込む開口である。吸込み口63から吸い込まれた乾燥用ガスは、空間68、69に導かれる。
【0083】
吸込み口63には、吸込み口63の開度を調整するための開度調整部120が設けられている。開度調整部120は、
図1および
図3に示すように、例えば、調整扉121と、調整扉121を下方からスライド可能に支持する下方スライド部材122と、調整扉121を上方からスライド可能に支持する上方スライド部材123とを備える。
【0084】
図1に示すように、調整扉121は、例えば、搬送方向(
図1では左右方向)にスライド可能な2枚の扉で構成されている。例えば、2枚の調整扉121間の隙間を調整することで、吸込み口63の開度を調整することができる。
【0085】
ここでは、鉛直方向に設けられた3つの吸込み口63のそれぞれの開度を調整することができる。これによって、鉛直方向の位置によって吸い込み量が異なる場合でも、各吸込み口63の開度を調整することで、各吸込み口63から吸い込まれる乾燥用ガスの流量を均一にすることができる。
【0086】
なお、開度調整部120の構成は、これに限られるものではない。開度調整部120は、吸込み口63の開度を調整することができる構成であればよい。
【0087】
空間68、69を構成する内部ケーシング80の、例えば、上部には、空間68、69に導かれた乾燥用ガスを燃焼器20Aの燃焼ケーシング21内に戻すための戻り配管35の一端が連結されている。戻り配管35の他端は、
図1に示すように、燃焼ケーシング21に連結されている。
【0088】
なお、各吸込みゾーン62A、62B、62Cの空間68、69を構成する内部ケーシング80に連結された戻り配管35は、例えば、一つの集合管となり、燃焼ケーシング21に連結されている。
【0089】
集合管となった戻り配管35には、配管36、37が戻り配管35から分岐するように連結されている。配管36は、配管37よりも乾燥室60側で分岐している。
【0090】
配管36の一方の端部は、例えば、大気開放されている。配管36は、戻り配管35を流れる乾燥用ガスの一部を外部に排気する。配管36には、排気ファン36aが介在している。この排気ファン36aの回転数を調整することで、外部に排気する乾燥用ガスの流量を調整している。
【0091】
なお、ここでは、配管36を介して戻り配管35を流れる乾燥用ガスの一部を外部に排気する一例を示したが、これに限られない。例えば、吸込み口63から吸い込まれた乾燥用ガスが導かれる空間68、69から直接外部に排気する構成でもよい。この場合、例えば、空間68、69に連通する排気管を設け、この排気管を介して空間68、69から外部に排気する。なお、排気管には、排気ファンが備えられる。この場合、配管36の構成は不要となる。
【0092】
配管37の一方の端部は、例えば、大気開放されている。配管37は、戻り配管35を介して乾燥室60から燃焼ケーシング21に戻る乾燥用ガスに、大気(空気)を導入するための配管である。すなわち、配管37の大気開放側の端部から大気を吸い込み、戻り配管35に導入する。
【0093】
配管37には、戻り配管35に導入する空気の流量を調整するための流量調整部37aが備えられている。この流量調整部37aは、例えば、ダンパなどで構成される。なお、ダンパの開度は、例えば、一定の流量の空気が戻り配管35に導入されるように調整されている。
【0094】
次に、乾燥装置10の作用について説明する。
【0095】
乾燥装置10の運転開始時において、吸気ファン24a、循環ファン32、排気ファン36aが駆動される。
【0096】
バーナ22における燃焼が開始すると、循環ファン32の吸引によって、バーナ22内の乾燥用ガス(燃焼ガス)は、配管30を通りフィルタ部40内に導かれる。フィルタ部40内に導かれた乾燥用ガスは、フィルタ42を通過することで異物が除去される。
【0097】
フィルタ42を通過した乾燥用ガスは、導入配管31内に吸引される。導入配管31内に吸引された乾燥用ガスは、乾燥室60の空間90に導入される。
【0098】
空間90に導入された乾燥用ガスは、空間90内の全体に広がる。空間90内の全体に広がった乾燥用ガスは、各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dの乾燥用ガス噴出ノズル100から被乾燥物Wに向けて噴出される。
【0099】
なお、各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおいて、例えば、各乾燥用ガス噴出ノズル100から噴出される乾燥用ガスの流速は、ほぼ等しくなるように調整されている。
【0100】
乾燥用ガス噴出ノズル100から噴出された乾燥用ガスは、搬送装置150によって移動される被乾燥物Wに衝突する。各乾燥用ガス噴出ノズル100から噴出された乾燥用ガスの流速は、ほぼ均一であるため、被乾燥物Wを均等に加熱することができる。
【0101】
また、各乾燥用ガス噴出ノズル100から噴出された乾燥用ガスの流れは、噴出方向に対して垂直な方向への広がりが抑制されるとともに高速である。そのため、乾燥用ガスと被乾燥物Wとの間の熱伝達が向上する。これによって、乾燥用ガスの熱量を効率的に被乾燥物Wに伝達することができる。
【0102】
また、両側壁81、82の下部に設けられた下部噴出部110において、乾燥用ガスは、吹出し導出板112間を通り各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dに噴出される。下部噴出部110から噴出された乾燥用ガスは、下方側から被乾燥物Wに衝突する。例えば、被乾燥物Wが下方に開口する構造の場合、被乾燥物Wの内部に乾燥用ガスが導入される。これによって、被乾燥物Wを均一に乾燥させることができる。
【0103】
各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61D間に設けられた吸込みゾーン62A、62B、62Cでは、乾燥用ガスが吸込み口63から吸い込まれる。吸込み口63から吸い込まれた乾燥用ガスは、
図3に示す空間68、69に導かれる。
【0104】
空間68、69に導かれた乾燥用ガスは、戻り配管35を通り、燃焼ケーシング21内に戻される。この際、戻り配管35を流れる乾燥用ガスの一部が、排気ファン36aの駆動によって、配管36内に導かれて大気中に排出される。
【0105】
ここで、燃焼ケーシング21内の乾燥用ガスが循環ファン32によって吸引されるため、燃焼ケーシング21内の圧力は、乾燥室60の吸込みゾーン62A、62B、62C内の圧力よりも低くなる。そのため、吸込みゾーン62A、62B、62C内の乾燥用ガスは、戻り配管35を通り燃焼ケーシング21内に導かれる。
【0106】
また、配管37の大気開放側の端部から空気が吸引される。そして、配管37を介して、所定量の空気が戻り配管35に導入され、燃焼ケーシング21内に導かれる。
【0107】
戻り配管35を介して燃焼ケーシング21内に導入された乾燥用ガスおよび空気は、バーナ22における燃焼によって生成された燃焼ガスと混合する。そして、再び配管30、フィルタ部40を通り、導入配管31内に吸引され、乾燥室60の空間90に導入される。
【0108】
このように、燃焼器20Aにおいて生成された乾燥用ガスの一部は、乾燥室60を経て燃焼器20Aに循環される。
【0109】
ここで、配管37を介して導入される空気の流量は、配管36を介して大気中に排出される乾燥用ガスの流量から燃焼排ガス量を差し引いた流量と同じまたはそれ以上である。なお、燃焼排ガス量は、燃焼器20Aにおいて燃料と空気によって生成された燃焼ガス量である。
【0110】
このように配管37から大気を導入し、配管36から乾燥用ガスの一部を排出するのは、乾燥用ガスの循環系統内における揮発性有機化合物(VOC)の濃度の増加を抑制するためである。これによって、爆発などの事故を防止できる。なお、揮発性有機化合物は、例えば、塗料などに含まれる。
【0111】
また、燃焼器20Aにおいて空気過剰率が1よりも小さい条件で燃料と空気が供給される場合、配管37から大気を導入し、配管36から乾燥用ガスの一部を排出することは、燃焼に必要な二次空気を確保することにもなる。
【0112】
そして、各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおいて、所定時間乾燥された被乾燥物Wは、搬送装置150によって、次の乾燥ゾーンへ移動される。この際、最終の乾燥を行う乾燥ゾーン61Dで乾燥処理された被乾燥物Wは、出口ゲート72から乾燥室60の外部に搬送される。また、未乾燥処理の被乾燥物Wは、入口ゲート71から最初の乾燥を行う乾燥ゾーン61Aに搬送される。
【0113】
上記したように、第1の実施の形態の乾燥装置10では、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61D間に吸込みゾーン62A、62B、62Cを設けることで、被乾燥物Wの加熱領域と乾燥用ガスの回収領域とを区分することができる。すなわち、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dは、被乾燥物Wを乾燥するための乾燥用ガスを噴出する機能のみを備えている。
【0114】
これによって、乾燥用ガス噴出ノズル100および下部噴出部110から噴出された乾燥用ガスが、被乾燥物Wの加熱に寄与せずに吸込み口63から吸い込まれることを抑制できる。そのため、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおける乾燥用ガスの温度分布の均一化が図れるとともに、乾燥用ガスの熱量を有効に利用することができる。
【0115】
また、被乾燥物Wの加熱領域と乾燥用ガスの回収領域とを区分することによって、加熱領域である乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dでは、被乾燥物Wの、上方、側方および下方から乾燥用ガスを導入することができる。
【0116】
そして、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおいて、乾燥用ガス噴出ノズル100によって、上方および側方から乾燥用ガスを被乾燥物Wに衝突させて加熱するとともに、下部噴出部110から噴出された乾燥用ガスを下方から被乾燥物Wに衝突させて加熱することができる。
【0117】
これによって、被乾燥物Wの全面を均一に加熱することができる。そのため、乾燥時間の短縮を図ることができる。また、被乾燥物Wの、上方、側方および下方から乾燥用ガスを導入することで、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61D内の温度分布のさらなる均一化を図ることができる。
【0118】
また、入口ゲート71および出口ゲート72の近傍に、乾燥用ガス噴出ノズル100を備えることで、これらのゲートが開いた際に、外部から乾燥室60内へ空気(外気)が流入することを抑制できる。
【0119】
ここで、上記した第1の実施の形態では、筒状管で構成された乾燥用ガス噴出ノズル100を例示して説明したが、乾燥用ガス噴出ノズル100の構成はこれに限られない。乾燥用ガス噴出ノズル100は、例えば、スリット状に構成されてもよい。
【0120】
図5は、スリット状の乾燥用ガス噴出ノズル100の構造を示す斜視図である。ここで、
図5では、乾燥ゾーン61Aの内面81aに設けられたスリット状の乾燥用ガス噴出ノズル100の一部を示している。なお、スリット状の乾燥用ガス噴出ノズル100の構成は、他の乾燥ゾーン61B、61C、61Dにおいても同じである。
【0121】
乾燥用ガス噴出ノズル100は、内面81aから乾燥ゾーン61A内に突出して設けられている。乾燥用ガス噴出ノズル100は、内面81aに搬送方向に亘って設けられている。乾燥用ガス噴出ノズル100は、空間90に連通し、空間90内の乾燥用ガスを乾燥ゾーン61Aに噴出する。
【0122】
なお、
図5では、一段の乾燥用ガス噴出ノズル100を示しているが、乾燥用ガス噴出ノズル100は、例えば、高さ方向(上下方向)に複数段配置されている。なお、乾燥用ガス噴出ノズル100の配置構成は、特に限定されない。乾燥ゾーン61Aにおいて、乾燥用ガス噴出ノズル100は、被乾燥物Wに乾燥用ガスを吹き付けられるように配置されていればよい。
【0123】
乾燥用ガス噴出ノズル100は、搬送方向に垂直な断面がL字状のL字状棒状部材160を2つ組み合わせることで構成される。すなわち、乾燥用ガス噴出ノズル100は、一対のL字状棒状部材160によって構成される。
【0124】
L字状棒状部材160は、長辺部161および短辺部162を有する。長辺部161には、内面81aに固定されている。
【0125】
搬送方向に垂直な断面において、短辺部162は、例えば、長辺部161に対して直角に交わる。これによって、乾燥用ガス噴出ノズル100から噴出される乾燥用ガスは、搬送される被乾燥物Wに対して垂直に衝突する。
【0126】
そして、一対のL字状棒状部材160の短辺部162どうしが対向することで、乾燥ゾーン61A側に突出する突出部が形成される。この短辺部162間に形成されるスリット163を通り、乾燥用ガスが乾燥ゾーン61Aに噴出される。
【0127】
ここで、スリット163の幅(短辺部162間の距離)を適宜調整することによって、乾燥用ガス噴出ノズル100から噴出される乾燥用ガスの流速を調整することができる。
【0128】
なお、L字状棒状部材160の短辺部162間における搬送方向の両端部には、乾燥用ガスの搬送方向への噴出を防ぐために、止め板164が挟持されている。
【0129】
また、上記した第1の実施の形態では、搬送装置150がタクト運転を実施する一例を示したが、これに限られない。被乾燥物Wは、搬送装置150によって、例えば、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61D内および吸込みゾーン62A、62B、62C内を所定速度で連続して搬送されてもよい。
【0130】
ここで、上記した第1の実施の形態では、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおいて、乾燥用ガス噴出ノズル100を内面81a、82a、83aに備えた一例を示したが、この構成に限られない。
【0131】
乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおいて、乾燥用ガス噴出ノズル100は、側壁81の内面81aおよび側壁82の内面82aにのみ設けられてもよい。また、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおいて、乾燥用ガス噴出ノズル100は、上壁83の内面83aにのみ設けられてもよい。
【0132】
いずれの場合であっても、被乾燥物Wの加熱領域と乾燥用ガスの回収領域とを区分することによって、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおける乾燥用ガスの温度分布の均一化が図れるとともに、乾燥用ガスの熱量を有効に利用することができる。
【0133】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態の乾燥装置10Aにおける、
図2に示された乾燥装置10の断面に相当する断面を示す図である。
図7は、第2の実施の形態の乾燥装置10Aにおける、
図3に示された乾燥装置10の断面に相当する断面を示す図である。なお、第2の実施の形態において、実施の形態と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0134】
ここで、
図6は、基本的に
図2に示された断面構造を、断面中央を中心に180度回転した断面構造となっている。また、
図7は、基本的に
図3に示された断面構造を、断面中央を中心に180度回転した断面構造となっている。
【0135】
ここで、乾燥室60の具体的な構成について説明する。
【0136】
乾燥室60は、例えば、
図6に示すように、外部ケーシング70と、この外部ケーシング70内に内部ケーシング80を備えている。そして、内部ケーシング80のコ字状の開口側を外部ケーシング70の上壁70cに接続している。すなわち、
図6に示すように、内部ケーシング80と、外部ケーシング70の上壁70cとで囲まれる空間が形成される。
図6においては、この空間が乾燥ゾーン61Aとなる。
【0137】
また、外部ケーシング70と内部ケーシング80との間には、空間90が形成され、この空間90に導入配管31を介して乾燥用ガスが導入される。
【0138】
空間90は、
図6に示すように、乾燥室60の下部から両側部に亘って連通する空間である。
図6に示す断面において、空間90は、U字状の空間である。すなわち、空間90は、このU字状の空間が搬送方向に亘って延設されることで形成される。
【0139】
ここで、被乾燥物Wは、例えば、
図6に示すように、搬送装置180によって搬送される。搬送装置180は、例えば、被乾燥物Wを吊り下げて搬送する吊り下げ式搬送装置で構成される。搬送装置180は、チェーン181と、ガイドケーシング182、吊り下げ部183とを備える。
【0140】
チェーン181は、所定の張力がかかり搬送方向に亘って設けられている。チェーン181は、図示しないスプロケットに巻回され、スプロケットの回転によって搬送方向に進む。なお、スプロケットは、駆動装置によって回転駆動される。
【0141】
チェーン181の周囲は、筒状のガイドケーシング182に囲まれている。ガイドケーシング182は、チェーン181の延設方向に沿って設けられている。ガイドケーシング182の底部は、搬送方向に沿ってスリット状の開口部182aを有する。
【0142】
チェーン181には、吊り下げ部183の一端が固定されている。吊り下げ部183の他端側は、開口部182aを介してガイドケーシング182から下方に吊り下がっている。吊り下げ部183の他端は、被乾燥物Wを支持できるように、例えば、U字状の引掛け部材183aで構成されている。
【0143】
そして、引掛け部材183aを被乾燥物Wの引掛け部184に係合させて、吊り下げ部183は、被乾燥物Wを支持する。スプロケットを回転させることでチェーン181が搬送方向に移動し、吊り下げ部183に支持された被乾燥物Wは、搬送される。
【0144】
なお、搬送装置180の構成は、これに限られない。搬送装置180は、被乾燥物Wを吊り下げた状態で移動可能な構成であればよい。
【0145】
次に、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dの構成について説明する。なお、各乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dの構成は同じであるため、ここでは、乾燥ゾーン61Aの構成について説明する。
【0146】
図6に示すように、乾燥ゾーン61Aを構成する内部ケーシング80の側壁81、82の内面81a、82aには、乾燥用ガス噴出ノズル100が設けられている。
【0147】
さらに、内部ケーシング80の底壁84の内面84aには、乾燥用ガス噴出ノズル100が設けられている。乾燥用ガス噴出ノズル100は、内面84aから乾燥ゾーン61A内に突出するように設けられている。乾燥用ガス噴出ノズル100は、例えば、内面84aに対して垂直に設けられている。なお、底壁84の乾燥用ガス噴出ノズル100も側壁81、82の乾燥用ガス噴出ノズル100と同様に、千鳥格子状に配置されている。
【0148】
なお、内部ケーシング80の、側壁81、82や底壁84における乾燥用ガス噴出ノズル100の配置構成は、特に限定されるものではなく、上記した構成に限られない。
【0149】
また、
図6に示すように、乾燥ゾーン61Aの両側壁81、82の、搬送される被乾燥物Wよりも上方側には、上部噴出部170が設けられている。すなわち、上部噴出部170は、乾燥ゾーン61Aの両側壁81、82に設けられた乾燥用ガス噴出ノズル100よりも上方側に設けられている。
【0150】
上部噴出部170は、第1の実施の形態の下部噴出部110と同様の構成を備えている。上部噴出部170は、側壁81、82に形成された開口部171と、開口部171に設けられた吹出し導出板172とを備える。
【0151】
また、開口部171は、第1の実施の形態の開口部111と同様の構成を備えている。吹出し導出板172は、第1の実施の形態の吹出し導出板112と同様の構成を備えている。そのため、ここでは、開口部171および吹出し導出板172の説明は省略する。
【0152】
空間90内に導入された乾燥用ガスの一部は、開口部171および吹出し導出板172間を通過して乾燥ゾーン61A内に噴出される。上部噴出部170から噴出された乾燥用ガスは、上方側から被乾燥物Wに衝突する。
【0153】
上部噴出部170を備えることで、乾燥ゾーン61A内の乾燥用ガスの温度分布の均一化を図ることができる。また、上方側から被乾燥物Wに乾燥用ガスを衝突させることで、例えば、被乾燥物Wが上方に開口する構造の場合、被乾燥物Wの内部に乾燥用ガスを導入することができる。これによって、被乾燥物Wを均一に乾燥させることができる。
【0154】
次に、吸込みゾーン62A、62B、62Cの構成について説明する。なお、各吸込みゾーン62A、62B、62Cの構成は同じであるため、ここでは、吸込みゾーン62Aの構成について説明する。
【0155】
吸込みゾーン62Aは、乾燥ゾーン61Aと乾燥ゾーン61Bとの間に構成される。
【0156】
図7に示すように、吸込みゾーン62Aは、内部ケーシング80、吸込み口63を有する側壁64、65および外部ケーシング70の上壁70cで囲まれる空間に形成される。
【0157】
ここで、空間68、69、側壁64、65、吸込み口63、開度調整部120の構成は、第1の実施の形態におけるこれらの構成と同じである。
【0158】
凹部66、67の上部の壁部66c、67cと、外部ケーシング70の上壁70cとの間には、隙間(空間)を有する。すなわち、空間90内に導かれた乾燥用ガスは、乾燥室60の上部において、乾燥室60の幅方向(
図7の左右方向)に広がることができる。これによって、隣接する乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dの上部噴出部170から噴出される乾燥用ガスの流量分布を均一にすることができる。
【0159】
空間68、69を構成する内部ケーシング80の、例えば、上部には、空間68、69に導かれた乾燥用ガスを燃焼器20Aの燃焼ケーシング21内に戻すための戻り配管35の一端が連結されている。
【0160】
なお、乾燥装置10Aの作用は、第1の実施の形態の乾燥装置10の作用と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0161】
上記したように、第2の実施の形態の乾燥装置10Aでは、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61D間に吸込みゾーン62A、62B、62Cを設けることで、被乾燥物Wの加熱領域と乾燥用ガスの回収領域とを区分することができる。すなわち、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dは、被乾燥物Wを乾燥するための乾燥用ガスを噴出する機能のみを備えている。
【0162】
これによって、乾燥用ガス噴出ノズル100および上部噴出部170から噴出された乾燥用ガスが、被乾燥物Wの加熱に寄与せずに吸込み口63から吸い込まれることを抑制できる。そのため、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおける乾燥用ガスの温度分布の均一化が図れるとともに、乾燥用ガスの熱量を有効に利用することができる。
【0163】
また、被乾燥物Wの加熱領域と乾燥用ガスの回収領域とを区分することによって、加熱領域である乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dでは、被乾燥物Wの、上方、側方および下方から乾燥用ガスを導入することができる。
【0164】
そして、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61Dにおいて、乾燥用ガス噴出ノズル100によって、下方および側方から乾燥用ガスを被乾燥物Wに衝突させて加熱するとともに、上部噴出部170から噴出された乾燥用ガスを上方から被乾燥物Wに衝突させて加熱することができる。
【0165】
これによって、被乾燥物Wの全面を均一に加熱することができる。そのため、乾燥時間の短縮を図ることができる。また、被乾燥物Wの、上方、側方および下方から乾燥用ガスを導入することで、乾燥ゾーン61A、61B、61C、61D内の温度分布のさらなる均一化を図ることができる。
【0166】
なお、第2の実施の形態においても、
図5に示すスリット状の乾燥用ガス噴出ノズル100を適用することができる。
【0167】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。