特許第6796876号(P6796876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796876カップ形砥石を用いたレンズ球面加工方法およびレンズ球面加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796876
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】カップ形砥石を用いたレンズ球面加工方法およびレンズ球面加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 13/04 20060101AFI20201130BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20201130BHJP
【FI】
   B24B13/04 G
   B24B13/04 J
   B24B13/04 K
   B24B41/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-525921(P2018-525921)
(86)(22)【出願日】2016年7月8日
(86)【国際出願番号】JP2016070347
(87)【国際公開番号】WO2018008158
(87)【国際公開日】20180111
【審査請求日】2019年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299833
【氏名又は名称】株式会社コジマエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】福澤 浩
(72)【発明者】
【氏名】城和 哲也
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−188557(JP,A)
【文献】 特開2001−310252(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第02659489(DE,A1)
【文献】 特開2009−066724(JP,A)
【文献】 特開平07−001311(JP,A)
【文献】 特開2012−240176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 13/02、13/04
B24B 41/06
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しているカップ形砥石を、加工対象のガラス製のレンズのレンズ表面に所定の圧力で当接させた当接状態を形成し、
前記当接状態を維持しながら、前記カップ形砥石が前記レンズ表面に沿って球芯揺動する球芯揺動状態を形成して、前記レンズ表面を、所定の面精度および中心肉厚を備えた球面となるまで研削し、
前記球芯揺動状態においては、球芯揺動の揺動中心から、前記カップ形砥石における前記レンズ表面との接触点までの距離を、前記球面の半径と同一に設定し、
レンズの中心軸線およびカップ形砥石の中心軸線を含む鉛直面で、前記レンズおよび前記カップ形砥石を切断した場合の切断面上において見た場合に、
前記カップ形砥石におけるレンズ表面に接触する一方の砥石縁端が、前記レンズ表面のレンズ中心から前記レンズ表面の一方の外周縁の側に設定距離だけ離れた位置から、前記レンズ表面に沿って前記レンズ中心を超えて前記レンズ表面の他方の外周縁の側の位置に移動し、かつ、前記の一方の砥石縁端が前記レンズ表面の一方の外周縁の側から前記レンズ中心を超えて他方の外周縁の側の位置に移動すると、前記カップ形砥石の他方の砥石縁端が、前記レンズ表面の他方の外周縁から、前記設定距離だけ外れた位置に移動するように前記カップ形砥石の揺動幅を設定し、
前記設定距離を、前記レンズ表面の弦長の10%に相当する距離に設定し
前記球心揺動状態での研削初期においては、
前記レンズを、ワンウエイクラッチを経由する動力伝達経路を介して伝達される回転力により、前記カップ形砥石よりも遅い速度で強制回転させ、
研削が進み、球芯揺動する前記カップ形砥石と前記レンズ表面との間の摩擦力による前記レンズを回転させるトルクが増加して、前記レンズが強制回転の速度よりも速い速度で前記カップ形砥石に追従して従属回転が可能な状態になると、前記ワンウエイクラッチの作用により前記動力伝達経路が切断されて、前記レンズは、前記強制回転の状態から、前記カップ形砥石による従属回転状態に切り替わるレンズ球面加工方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記カップ形砥石に当接させた前記レンズを弾性伸縮部材によって支持し、
前記弾性伸縮部材の伸縮によって生じる弾性力によって、前記カップ形砥石と前記レンズの間を当接させるレンズ球面加工方法。
【請求項3】
請求項1において、
レンズを真空吸着によってレンズホルダに保持し、この状態で前記当接状態を形成するレンズ球面加工方法。
【請求項4】
カップ形砥石と、
前記カップ形砥石をその中心軸線回りに回転させる砥石回転機構と、
加工対象のレンズを真空吸着力により保持するレンズホルダと、
前記カップ形砥石に対して、前記レンズホルダに保持された前記レンズのレンズ表面を、接近および離れる方向に移動させるレンズ移動機構と、
前記レンズホルダをその中心軸線回りに強制回転させる強制回転機構と、
前記強制回転機構による強制回転を解除可能なワンウエイクラッチと、
前記レンズホルダを前記レンズホルダの中心軸線の方向から支持し、前記レンズホルダに保持された前記レンズのレンズ表面を所定の力で前記カップ形砥石に当接させる弾性伸縮部材と、
前記レンズホルダに保持された前記レンズのレンズ表面に沿って前記カップ形砥石を球芯揺動させる球芯揺動機構と、
前記砥石回転機構、前記レンズ移動機構、前記強制回転機構、および、前記球芯揺動機構を制御するコントローラと
を有しており、
前記コントローラは、
回転しているカップ形砥石を、前記レンズ表面に所定の圧力で当接させた当接状態を形成し、
前記当接状態を維持しながら、前記レンズを、前記カップ形砥石よりも遅い速度で強制回転させると共に、前記カップ形砥石が前記レンズ表面に沿って球芯揺動する球芯揺動状態を形成して、前記レンズ表面を、所定の面精度および中心肉厚を備えた球面となるまで研削し、
前記球芯揺動状態での研削動作においては、
球芯揺動の揺動中心から、前記カップ形砥石における前記レンズ表面との接触点までの距離を、前記球面の半径と同一に設定し、
レンズの中心軸線およびカップ形砥石の中心軸線を含む鉛直面で、レンズおよびカップ形砥石を切断した場合の切断面上において見た場合に、
前記カップ形砥石におけるレンズ表面に接触する一方の砥石縁端が、前記レンズ表面のレンズ中心から前記レンズ表面の一方の外周縁の側に設定距離だけ離れた位置から、前記レンズ表面に沿って前記レンズ中心を超えて前記レンズ表面の他方の外周縁の側の位置に移動し、かつ、前記の一方の砥石縁端が前記レンズ表面の一方の外周縁の側から前記レンズ中心を超えて他方の外周縁の側の位置に移動すると、前記カップ形砥石の他方の砥石縁端が、前記レンズ表面の他方の外周縁から前記設定距離だけ外れた位置に移動するように前記カップ形砥石の揺動幅を設定し、
前記設定距離を、前記レンズ表面の弦長の10%に相当する距離に設定し、
球芯揺動する前記カップ形砥石と前記レンズ表面との間の摩擦力により前記レンズに発生するトルクによって、前記レンズが前記強制回転の速度よりも速い速度で前記カップ形砥石に追従して従属回転可能な従属回転可能状態になると、前記ワンウエイクラッチによって、前記強制回転状態が解除されるようになっているレンズ球面加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ形砥石を用いてレンズ球面を研削するレンズ球面加工方法およびレンズ球面加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスレンズは、一般に、粗研削(荒摺)、精密研削、研磨および芯取りの各工程を経て製造され、粗研削および精密研削には、異なる加工装置および異なる砥石が使用される。例えば、レンズ球面の加工においては、粗研削には、カーブジェネレータ(CG機)によりダイヤモンドホィールなどのカップ形砥石を用いて、レンズ素材のレンズ表面に曲面加工が行われる。次の精密研削においては、球芯式加工装置によりダイヤモンドペレット皿などの皿形砥石を用いて加工が行われて、レンズ素材が、必要な面精度および中心肉厚を備えたレンズに仕上げられる。
【0003】
昨今のレンズ加工精度向上、加工時間の短縮化などの要求により、精密研削における皿形砥石の変化を極小にし、皿形砥石での加工量を少なくするために、CG機による粗研削後の形状を、より真球に近づけること、表面粗さを細かくすること、肉厚(レンズ両面を加工した後の中心部の厚さ)を一定に保つこと、レンズ両面の光軸を一致させること等が要求されている。
【0004】
しかしながら、CG機において加工曲面を真球にすることは極めて困難である。この点について、従来のCG機による加工原理を示す図5A図5Bを参照して説明する。
【0005】
レンズ105A(105B)は回転するチャック104に固定、保持され、レンズ回転軸113に対して、傾斜角度θa(θb)だけ傾いた状態で、回転するカップ形砥石109A(109B)の方向Aに移動し、切削加工が行われる。傾斜角度θa(θb)は、加工するレンズ105A(105B)の球面半径R、および、カップ形砥石109A(109B)とレンズ105A(105B)の接触径φTにより、次式で決まる。
sinθa=φT1/2R
sinθb=φT1/2R
【0006】
このとき、レンズ加工面105a(105b)が真球となり得る点は、カップ形砥石109A(109B)とレンズ105A(105B)の接点がレンズ中心P2と完全に一致する一点である。僅かでも中心がずれた場合には、加工されたレンズ105A(105B)の中心に落ちくぼみや突出が発生し、真球とならない。よって、この点に合うように、カップ形砥石109A(109B)を前後に移動させるための機構が設けられており、この機構を用いて調整が行われる。
【0007】
しかしながら、カップ形砥石109A(109B)の摩耗による位置ずれを補正するには、高度な技術と経験が必要となる。カップ形砥石109A(109B)の摩耗による影響は、創成されるレンズ表面の半径と形状の双方に現れるためである。また、カップ形砥石109A(109B)の摩耗した先端形状は特定できず、新たに、傾斜角度θa(θb)を算出するためのレンズ105A(105B)とカップ形砥石109A(109B)の接触径φTを計算するためにも、レンズ表面に創成された曲面形状が球面で無いために、計算が成り立たない。よって、熟練した作業者の経験に基づき、カップ形砥石109A(109B)の摩耗に従い、傾斜角度θa(θb)とカップ形砥石109A(109B)の前後位置を巧みに調整し続ける必要がある。
【0008】
表面粗さについては、レンズ材質、砥石材質による影響もあるが、根本は装置機構によるものである。レンズはチャックにより保持され、強制回転されながら、回転するカップ砥石に一定速度で押し当てられる。カップ形砥石の切削能力を超える回転速度や押し当て速度となった場合、装置やチャックのたわみにより、僅かに位置ずれが生じる。これにより、レンズにカップ形砥石が食い込む量が変化するので、結果としてツールマークと呼ばれる菊模様がレンズ表面に発生する。また、強制回転時に発生するレンズの変位もあり、加工面にうねりが生じてしまう。ツールマークやうねりを軽減するために、レンズの移動端でスパークアウトと呼ばれるカラ切りを行うが、カップ形砥石が食い込み、深く削れた部分を取り去ることはできない。
【0009】
また、肉厚を一定に保つこと、あるいは、光軸を一致させることはさらに困難である。レンズの保持がチャックであるために、レンズ外周部がチャッキングの基準となる。レンズ外周部に歪みがあるとチャッキング位置が変化するので、既に加工されている面と、これから加工する面との間で、チャッキングされた状態での回転中心が一致せず、また、レンズをチャック回転軸に直角に保持できない。
【0010】
使用するカップ形砥石とレンズの接触径にも制約がある。図5A図5Bを参照して説明すると、装置の機構にもよるが、一般的に、カップ形砥石109A(109B)の傾斜角度θa(θb)の最大角度は45°程度である。したがって、使用できるカップ形砥石109A(109B)は、レンズ105A、105Bとの間の接触径φTが次式の範囲内に、制限される。ここでL1は、加工対象のレンズ加工面105a(105b)におけるレンズ中心P2から外周端縁までの円弧の弦長を示す。
1.4×加工半径 > 接触径φT >L1
と制限される。
【0011】
ここで、上記の弊害を回避するために、レンズ素材(カット材、プレス材)を、最初から、球芯式加工装置により皿形砥石を用いて加工することが考えられる。しかし、この場合には、加工初期に皿形砥石にレンズ素材が部分的に当たる。この結果、レンズ素材周辺のカケや皿形砥石の部分摩耗が発生し、皿形砥石の形状が安定せず、レンズ球面の加工精度が安定しない。
【0012】
また、従来の皿形砥石による加工の目的は、レンズ表面の曲面精度の向上、レンズ中心部の厚さの確定、表面粗さの向上である。したがって、使用する皿形砥石は細かい目のものとなり、単位時間当たりの切削量は少なくなる。このような細かな目の皿形砥石をレンズ素材からの加工に用いると、切削量が多いので加工時間が掛かり、実用的でない。
【0013】
なお、球芯式加工装置は各種の構造のものが知られている。特許文献1には、カム機構を用いることなく、球芯揺動を含む各種の形態で砥石を移動させることの可能なレンズ加工装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−178834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように、従来におけるレンズ球面の加工は、異なる加工機および異なる砥石を用いて行われている。また、必要な面精度および中心肉厚を得るために、職人の経験と勘に頼って加工機調整が行われている。
【0016】
本発明の課題は、一台のレンズ加工機および一種類の砥石を用いて、レンズ球面を精度良く加工可能なレンズ球面加工方法およびレンズ球面加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明のレンズ球面加工方法は、
回転しているカップ形砥石を、加工対象のガラス製のレンズのレンズ表面に所定の圧力で当接させた当接状態を形成し、
前記当接状態を維持しながら、前記カップ形砥石が前記レンズ表面に沿って球芯揺動する球芯揺動状態を形成して、前記レンズ表面を、所定の面精度および中心肉厚を備えた球面となるまで研削し、
前記球芯揺動状態においては、球芯揺動の揺動中心から、前記カップ形砥石における前記レンズ表面との接触点までの距離を、前記球面の半径と同一に設定し、
前記球芯揺動の揺動幅を、前記カップ形砥石における前記レンズ表面との接触点が、前記レンズ表面上のレンズ中心を超えて、前記レンズ表面の一方の外周縁側から他方の外周縁側に移動するように設定している。
【0018】
本発明によれば、カップ形砥石を球芯揺動させて、カップ形砥石のレンズ表面に対する接触点を、レンズ表面に沿ってレンズ中心を超えて往復移動させながら、レンズ表面を球面に加工している。これにより、CG機によりカップ形砥石を用いて球面加工を行う場合に生じるレンズ中心部の落ちくぼみ、突出などの発生を無くし、真球状態にレンズ表面を加工することができる。また、皿型砥石を用いる場合のように、事前に、CG機による粗研削を行う必要がなくなる。
【0019】
また、本発明によれば、皿形砥石を用いて最初からレンズに球面を加工する場合に比べて、研削時間を大幅に短縮することができる。さらに、皿型砥石を用いる場合には、加工初期に皿形砥石にレンズ素材が部分的に当たり、レンズ素材周辺のカケや皿形砥石の部分摩耗が発生し、皿形砥石の形状が安定せず、レンズ球面の加工精度が安定しないという問題がある。このような問題を解消できる。
【0020】
このように、本発明の方法では、従来において着目されていなかったカップ形砥石と球芯揺動の組み合わせを新たに採用してレンズ球面を加工している。従来におけるレンズ球面の加工は、粗研削および精密研削の2工程を経て行われている。また、粗研削を、カーブジェネレータ(CG機)によりカップ形砥石を用いて行い、次の精密研削を、球芯式加工装置により皿形砥石を用いて行い、必要な面精度、中心肉厚を備えたレンズ球面を得ている。本発明者等の実験によれば、一台の球芯揺動式加工装置により一種類の砥石(カップ形砥石)を用いて、従来におけるレンズ球面加工と同等以上の精度で、レンズ球面を加工できることが確認された。
【0021】
さらに、本発明の方法によれば、球芯揺動の揺動幅を、カップ形砥石におけるレンズ表面との接触点が、レンズ表面上のレンズ中心を超えて、レンズ表面の一方の外周縁側から他方の外周縁側に移動するように設定している。換言すると、カップ形砥石の大きさに応じて、カップ形砥石の揺動幅を変えて、カップ形砥石のレンズ表面に対する接触点を、レンズ表面の外周部からレンズ表面に沿ってそのレンズ中心を超える位置まで移動可能としている。これにより、各種サイズのカップ形砥石を使用することが可能になる。
【0022】
本発明のレンズ球面加工方法において、
前記レンズを、前記カップ形砥石よりも遅い速度で強制回転させ、
球芯揺動する前記カップ形砥石と前記レンズ表面との間の摩擦力により前記レンズに発生するトルクによって、前記レンズが前記強制回転の速度よりも速い速度で前記カップ形砥石に追従して従属回転可能な従属回転可能状態になると、前記強制回転状態を解除している。
【0023】
例えば、レンズ表面を平面から凹状の球面に加工する場合等において、切削初期のカップ形砥石におけるレンズに対する接触状態によっては、従属回転に必要なトルクが得られない場合がある。本発明では、補助的に、レンズを強制回転させ、従属回転に必要なトルクが得られた時点で従属回転に切り替えている。これにより、カップ形砥石のレンズへの食い込みを確実に防止できるので、レンズ表面の加工粗さを向上でき、また、レンズ表面にうねりが発生することを防止できる。
【0024】
本発明のレンズ球面加工方法において、
前記カップ形砥石に当接させた前記レンズを弾性伸縮部材によって支持し、
前記弾性伸縮部材の伸縮によって生じる弾性力によって、前記カップ形砥石と前記レンズの間を当接させることが望ましい。
【0025】
レンズにカップ形砥石が食い込むことにより発生するツールマークを無くすためには、レンズ表面とカップ形砥石の間に過剰な押し付け力が発生しないように、レンズを保持することが望ましい。本発明では、弾性伸縮部材を用いてレンズを支持しており、弾性伸縮部材の弾性変形によって、レンズとカップ形砥石の間に生じる過剰な力を逃がすことができる。これにより、ツールマークの発生を防止できる。
【0026】
次に、本発明のレンズ球面加工方法において、
レンズ肉厚を安定させ、レンズの両面に加工される球面の光軸を一致させるために、レンズをレンズホルダによって真空吸着して保持することが望ましい。
【0027】
これにより、一方のレンズ表面が球面加工された後の他方のレンズ表面の加工においては、その加工基準が既に加工されているレンズ球面となる。よって、双方のレンズ表面の中心、および、一方のレンズ表面の中心から他方のレンズ表面の中心までの距離を正確に検出することができるので、光軸の一致と肉厚の安定を実現できる。
【0028】
次に、本発明は、上記の方法により、レンズ球面の加工を行うレンズ球面加工装置は、
カップ形砥石と、
前記カップ形砥石をその中心軸線回りに回転させる砥石回転機構と、
加工対象のレンズを保持するレンズホルダと、
前記カップ形砥石に対して、前記レンズホルダに保持された前記レンズのレンズ表面を、接近および離れる方向に移動させるレンズ移動機構と、
前記レンズホルダに保持された前記レンズのレンズ表面に沿って前記カップ形砥石を球芯揺動させる球芯揺動機構と、
前記砥石回転機構、前記レンズ移動機構、および、前記球芯揺動機構を制御するコントローラとを有している。
【0029】
また、前記コントローラは、
回転しているカップ形砥石を、前記レンズ表面に所定の圧力で当接させた当接状態を形成し、
前記当接状態を維持しながら、前記カップ形砥石が前記レンズ表面に沿って球芯揺動する球芯揺動状態を形成して、前記レンズ表面を、所定の面精度および中心肉厚を備えた球面となるまで研削し、
前記球芯揺動状態においては、球芯揺動の揺動中心から、前記カップ形砥石における前記レンズ表面との接触点までの距離を、前記球面の半径と同一に設定し、
前記球芯揺動の揺動幅を、前記カップ形砥石における前記レンズ表面との接触点が、前記レンズ表面上のレンズ中心を超えて、前記レンズ表面の一方の外周縁側から他方の外周縁側に移動するように設定することを特徴としている。
【0030】
本発明のレンズ球面加工装置は、上記構成に加えて、前記レンズホルダをその中心軸線回りに強制回転させる強制回転機構と、前記強制回転機構による強制回転を解除可能なワンウエイクラッチとを有していることが望ましい。この場合には、前記コントローラは、前記レンズを、前記カップ形砥石よりも遅い速度で強制回転させ、前記ワンウエイクラッチは、球芯揺動する前記カップ形砥石と前記レンズ表面との間の摩擦力により前記レンズに発生するトルクによって、前記レンズが前記強制回転の速度よりも速い速度で前記カップ形砥石に追従して従属回転可能な従属回転可能状態になると、前記強制回転状態を解除するように設定されている。
【0031】
本発明のレンズ球面加工装置は、上記構成に加えて、前記レンズホルダを前記ホルダ中心軸線の方向から支持し、前記レンズホルダに保持された前記レンズのレンズ表面を所定の力で前記カップ形砥石に当接させる弾性伸縮部材を有していることが望ましい。弾性伸縮部材の伸縮によって生じる弾性力が、カップ形砥石をレンズ表面に当接させる当接力になる。
【0032】
本発明のレンズ球面加工装置は、上記構成に加えて、真空吸着機構を有し、前記レンズホルダは、前記レンズを前記真空吸着機構による真空吸着力により保持するようになっていることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明を適用したレンズ球面加工装置を示す説明図である。
図2図1の上軸ユニットを示す構成図である。
図3】カップ形砥石を球芯揺動させて凸のレンズ球面を研削する場合の説明図である。
図4】カップ形砥石を球芯揺動させて凹のレンズ球面を研削する場合の説明図である。
図5A】従来のCG機による凸のレンズ球面の研削動作を示す説明図である。
図5B】従来のCG機による凹のレンズ球面の研削動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したレンズ球面加工装置の実施の形態を説明する。
【0035】
図1はレンズ球面加工装置を示す概略構成図である。レンズ球面加工装置1は、上軸ユニット2と、この下側に配置されている下軸ユニット3とを備えている。下軸ユニット3は初期状態では上軸ユニット2に対して同軸に配置される。上軸ユニット2は上下方向に延びる状態に配置されており、その下端にはレンズホルダ4が下向きに取り付けられている。レンズホルダ4の下向きのレンズ保持面4aには、加工対象のレンズ5が真空吸着されて保持可能である。レンズホルダ4は、昇降機構6によって、上軸ユニット中心軸線2aの方向に移動可能である。また、レンズホルダ4は、レンズ回転機構7によって、上軸ユニット中心軸線2aを中心として回転可能である。
【0036】
下軸ユニット3は、その上端に砥石スピンドル8が延びており、その先端にカップ形砥石9が取り付けられている。カップ形砥石9は、円筒状胴部と、その後端を封鎖している円盤状底板部とを備えている。円筒状胴部の先端の円環状端面と、円環状端面の内周縁に繋がる所定幅の円形内周面部分と、円環状端面の外周縁に繋がる所定幅の円形外周面部分とが、砥石面となっている。カップ形砥石9は、砥石回転機構10によって下軸ユニット中心軸線3aを中心として回転可能である。また、カップ形砥石9は、球芯揺動機構11によって、上軸ユニット中心軸線2a上あるいはその延長上に位置する球芯を中心として球芯揺動可能である。球芯揺動機構11としては公知の各種の構造のものを使用可能であるので、その具体的構成の説明は省略する。例えば、先に引用した特許文献1において提案されている機構を用いることができる。
【0037】
図2は上軸ユニット2の構成を示す説明図である。まず、上軸ユニット2のレンズ回転機構7を説明する。レンズホルダ4の背面部には、上方に延びるホルダスピンドル13が同軸に取り付けられている。ホルダスピンドル13は、ホルダシャフト14によって、ベアリングを介して、回転自在に保持されている。ホルダシャフト14内には、同軸に、ドライブシャフト15が回転自在の状態で延びている。ドライブシャフト15の下端部は、ホルダスピンドル13に同軸にかみ合っており、ホルダスピンドル13を一体回転させる。ドライブシャフト15の上端には同軸に従動側プーリ16が固定されており、従動側プーリ16は、ベルト17を介して、駆動側のモータプーリ18に連結されている。モータプーリ18はワンウエイクラッチ19を介してレンズ回転用モータ20のモータ軸に繋がっている。
【0038】
レンズ回転用モータ20の一方向回転のみがワンウエイクラッチ19を介してホルダスピンドル13に伝達され、レンズホルダ4が、上軸ユニット中心軸線2aを中心として、回転する。レンズホルダ4の側から見た場合には、レンズホルダ4はレンズ回転用モータ20による強制回転速度よりも高速で、強制回転と同一方向に回転する場合には、ワンウエイクラッチ19によってレンズ回転用モータ20から切り離される。
【0039】
昇降機構6を説明する。ホルダシャフト14は、メタル軸受を介して、ホルダスリーブ21内に同軸に配置され、上下方向に移動自在である。ホルダスリーブ21は水平アーム22によって支持されている。水平アーム22はアームベース23に取り付けられている。アームベース23は、ガイド24を介して、上下方向に延びる装置フレーム25によって、上下方向に移動自在に支持されている。水平アーム22は、アーム送りネジ26にカップリング27を介して繋がれているアーム送りモータ28により、上下に移動可能である。
【0040】
ホルダシャフト14は、上下方向に延びる圧縮スプリング31を介して、圧力調整ボルト32によって、上軸ユニット中心軸線2aの方向の上側から支持されている。圧力調整ボルト32は、ホルダスリーブ21の上端側の部分に取り付けられている。加工状態において、圧縮スプリング31によって、ホルダシャフト14の下端側のレンズホルダ4に保持されているレンズ5と、その下側に位置する下軸ユニット3のカップ形砥石9との間の当接力が設定される。圧力調整ボルト32を下方にねじ込むと当接力を高めることができ、上方に緩めると当接力を下げることができる。また、圧縮スプリング31は、レンズ5と、カップ形砥石9との間に過剰な押し付け力が発生することを防止するための圧力逃がし機構として機能する。
【0041】
ホルダシャフト14の上端のシャフトヘッド33の側方には、ホルダスリーブ21に取り付けたセンサ34が配置されている。センサ34によって、ホルダシャフト14の上限位置が検出される。
【0042】
また、シャフトヘッド33にはマイクロヘッド35が取り付けられている。マイクロヘッド35の下側にはダイヤルゲージ36が配置されている。ダイヤルゲージ36は装置フレーム25に取り付けられており、位置が固定されている。ダイヤルゲージ36はマイクロヘッド35による押し込み量の変化を検出する。押し込み量を規定するために、マイクロヘッド35の上昇端と下降端を検出するリミットスイッチが配置されている。それぞれのリミットスリッチの入切信号がNCコントローラ37に伝えられる。
【0043】
なお、レンズホルダ4にレンズ5を真空吸着により保持するために用いる真空は、不図示の真空源から、ロータリジョイント38、ドライブシャフト15内の連通穴、ホルダスピンドル13内の連通穴、およびレンズホルダ4に設けた中心穴を通して、レンズ保持面4aに供給される。
【0044】
(カップ形砥石の揺動範囲)
図3はカップ形砥石を球芯揺動させて凸のレンズ球面を研削する場合の加工原理を示す説明図であり、図4はカップ形砥石を球芯揺動させて凹のレンズ球面を研削する場合の加工原理を示す説明図である。これらの図を参照して、レンズ5に対するカップ形砥石9の揺動範囲を説明する。レンズ5のうち、図3に示す凸のレンズをレンズ5A、図4に示す凹のレンズをレンズ5Bと呼び、カップ形砥石9のうち、図3に示す凸のレンズ5Aに用いるものをカップ形砥石9A、図4の凹のレンズ5Bに用いるものをカップ形砥石9Bと呼ぶ。
【0045】
カップ形砥石9A(9B)は、加工対象のレンズ5A(5B)のレンズ表面5aの曲率に合わせて球芯揺動する。球芯揺動の揺動中心P1は、レンズ回転中心線である上軸ユニット中心軸線2a上に位置するように設定される。軸線3a(1)、3a(2)はカップ形砥石9の揺動範囲を規定し、これらの間の角度θがカップ形砥石9の揺動幅を示す角度である、この角度θの範囲内を、カップ形砥石9がレンズ表面5aに沿って往復運動する。
【0046】
角度θ1は、揺動範囲を規定する揺動中心P1を通る一方の軸線3a(1)と、上軸ユニット中心軸線2aとの間の角度である。角度θ2は、揺動範囲を規定する揺動中心P1を通る他方の軸線3a(2)と、上軸ユニット中心軸線2aとの間の角度である。
【0047】
カップ形砥石9の揺動範囲(角度θ1、θ2)は次のように設定される。レンズ中心軸線(上軸ユニット中心軸線2a)および砥石中心軸線(下軸ユニット中心軸線3a)を含む鉛直面で、レンズ5およびカップ形砥石9を切断した場合の切断面を考える。この切断面上において、カップ形砥石9におけるレンズ表面5aに接する砥石縁端が、レンズ表面5aに沿ってレンズ中心を超えて移動できるように、揺動範囲が設定される。また、砥石縁端がレンズ表面5aの外周縁から外れる位置まで移動できるように、揺動範囲が設定される。
【0048】
本例では、図3図4に示すように、次のように角度θ1、θ2が設定されている。加工対象のレンズ5A(5B)のレンズ表面5aの円弧の弦長をφDとし、レンズ表面5a上のレンズ中心をP2、レンズ中心P2から、弦長φDの10%に相当する距離だけ移動した位置をP3とする。カップ形砥石9とレンズ表面5aの接触点であるカップ形砥石9のレンズ表面5aに接する砥石縁端9a(9b)が、位置P3となるように、角度θ1が設定されている。
【0049】
加工対象のレンズ5A(5B)のレンズ表面5aの円弧の弦長φDの10%に相当する距離だけ、カップ形砥石9におけるレンズ表面5aの外周端から外れた位置をP4とする。カップ形砥石9におけるレンズ表面5aに接する砥石縁端9a(9b)が、位置P4となるように、角度θ2が設定されている。
【0050】
(レンズの研削動作)
球芯揺動式のレンズ球面加工装置1によるカップ形砥石9を用いた研削は以下のように行われる。まず、上軸ユニット2において、レンズ5をレンズホルダ4に吸着保持させる。レンズ回転用モータ20を駆動し、その回転を、ワンウエイクラッチ19を介して、レンズホルダ4に伝達する。これにより、レンズ5が回転を開始する。下軸ユニット3においてもカップ形砥石9の回転を開始し、回転状態のカップ形砥石9を角度θ1だけ傾けた状態とする。
【0051】
この状態で、昇降機構6によってホルダスリーブ21を降下させる。レンズホルダ4も降下して、レンズホルダ4に保持されているレンズ5のレンズ表面5aがカップ形砥石9の砥石縁部に当接する。この状態が形成された後に、さらにホルダスリーブ21を降下させる。レンズホルダ4を保持しているホルダシャフト14はホルダスリーブ21に対して上下方向にスライド可能である。よって、ホルダシャフト14は上方に相対的に押し上げられ、そのシャフトヘッド33が圧縮スプリング31を上方に押し込み、押し込まれた圧縮スプリングのスプリング力によって、レンズ表面5aがカップ形砥石9に対して所定の力で押し付けられる。ホルダスリーブ21を更に降下させると、センサ34がシャフトヘッド33を検出する。NCコントローラ37は、昇降機構6を停止する。
【0052】
この後は、下軸ユニット3の球芯揺動機構11を駆動して、角度θ1、θ2の間で、カップ形砥石9の球芯揺動を開始する。このとき、圧縮スプリング31によって設定された圧力で、レンズ5を加圧しながら研削が行われる。
【0053】
研削初期において、レンズ5は、レンズ回転用モータ20により、カップ形砥石9と同一方向に500〜1000rpmで強制回転される。研削が進むと、レンズ5とカップ形砥石9の間の摩擦力によるレンズ5を回転させるトルクが増加して、レンズ5はカップ形砥石9に従属回転するようになる。すなわち、従属回転の回転数がレンズ回転用モータ20による強制回転数を超えると、ワンウエイクラッチ19の作用により、レンズ回転用モータ20からの動力伝達経路が切断されて、レンズ5は、強制回転状態から、カップ形砥石9による従属回転状態に切り替わる。
【0054】
研削が進行してレンズ5の厚さが減少すると、それに伴って、圧縮スプリング31によって押されているホルダシャフト14のシャフトヘッド33が降下する。シャフトヘッド33が降下してセンサ34がオフする。センサ34がオフすると、昇降機構6を駆動してホルダスリーブ21を降下させ、レンズ5を再び所定の圧力で、カップ形砥石9に押圧させた状態を形成する。この動作を繰り返しながらレンズ5の研削を進行させる。
【0055】
さらに研削が進行すると、シャフトヘッド33に取り付けられているマイクロヘッド35がダイヤルゲージ36に接触し、当該ダイヤルゲージ36を押し込む。ダイヤルゲージ36が押し込まれ、下降端のリミットスイッチがオンすると、加工完了となる。NCコントローラ37は、下軸ユニット3のカップ形砥石9の球芯揺動と回転を停止させ、上軸ユニット2の昇降機構6を駆動してレンズ5を上昇させる。レンズ5を所定の位置まで上昇させた後は、レンズ5の吸着保持を解除して、レンズホルダ4からレンズ5を取り出し可能にする。
【0056】
(作用効果)
カップ形砥石9を上記のように設定した揺動範囲内で球芯揺動させることにより、レンズ表面5aの加工形状を真球にできることが確認された。特に、レンズ表面5aのレンズ中心部のくぼみや突出が全く発生しないことが確認された。
【0057】
カップ形砥石9の摩耗によるレンズ表面5aの曲率変化の調整においては、実際に加工されたレンズ曲面を測定し、目標の曲面との誤差をカップ形砥石9の球芯揺動軌跡の補正値として球芯揺動半径を変更するのみでよい。しかも、補正値は実測値でよいので、複雑な計算を必要としない。これにより、従来、皿形砥石でしか実現できなかった球面精度を、カップ形砥石9を用いて実現できる。
【0058】
レンズ5をカップ形砥石9に対して従属回転させることにより、横方向(レンズ回転方向)に掛かる過剰な圧力を逃がすことができる。また、圧縮スプリング31の加圧力を一定にすることで、カップ形砥石9がレンズ5に食い込むことを防止できる。これにより、レンズ表面5aのツールマークの発生が皆無となる。また、レンズ5がカップ形砥石9に従属回転することで、これらの間に、常に最適な相対速度が得られるので、レンズ表面5aのうねりの発生も皆無となる。
【0059】
表面粗さについては、圧縮スプリング31による加圧力を調整することで、カップ形砥石9のダイヤモンド粒子がレンズ5に食い込む量を調整できる。これにより、皿形砥石と同等の表面粗さを実現できることが確認された。
【0060】
一方のレンズ面が加工された後のレンズ5は、加工済みのレンズ面がレンズホルダ4に真空吸着して保持される。したがって、レンズの両面に形成されるレンズ球面は、自ずとそれらの光軸が一致する。また、先に加工したレンズ球面をレンズホルダ4に吸着保持するので、レンズ5の他面の加工完了位置を正確に測定することが可能になる。これにより、レンズ中心部の肉厚を正確に加工し、かつ、一定に保つことができる。
【0061】
さらに、カップ形砥石を球芯揺動させることにより、小さなサイズのカップ形砥石の使用が可能になる。具体的には、図5A図5Bに示すように、従来必要とされていた半径Rのレンズ表面におけるレンズ中心から外周縁を結ぶ弦長L1よりも短い接触径φTのカップ形砥石が使用可能となり、カップ形砥石の汎用性を高めることができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B