特許第6796877号(P6796877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796877複合粒子製造装置および複合粒子製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796877
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】複合粒子製造装置および複合粒子製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20201130BHJP
   C04B 35/626 20060101ALI20201130BHJP
   B22F 1/02 20060101ALN20201130BHJP
【FI】
   B01J19/00 N
   C04B35/626
   !B22F1/02 A
   !B22F1/02 B
   !B22F1/02 D
【請求項の数】14
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-530385(P2018-530385)
(86)(22)【出願日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】JP2017027224
(87)【国際公開番号】WO2018021468
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2019年7月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-149072(P2016-149072)
(32)【優先日】2016年7月28日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)/革新的設計生産技術 ナノ物質の集積複合化技術の確立と戦略的産業利用」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100149320
【弁理士】
【氏名又は名称】井川 浩文
(74)【代理人】
【識別番号】100113664
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 正往
(74)【代理人】
【識別番号】110001324
【氏名又は名称】特許業務法人SANSUI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】横井 敦史
(72)【発明者】
【氏名】木村 直人
(72)【発明者】
【氏名】河村 剛
(72)【発明者】
【氏名】松田 厚範
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−187953(JP,A)
【文献】 特開平07−132223(JP,A)
【文献】 特開2006−082073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J10/00−12/02,14/00−19/32
C04B35/05−35/84
B22F9/00−9/30
C22C1/04−1/05,33/02
B01F1/00−5/26
A47K3/02−4/00
B01J2/00−2/30
B03D1/24
C02F1/24
B01F7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面電位が正の粒子を含有する第1の流体と、表面電位が負の粒子を含有する第2の流体を混合し、前記二種類の粒子を静電吸着させてなる複合粒子を製造する装置であって、
前記第1の流体を供給する少なくとも一つの第1の導入流路と、前記第2の流体を供給する少なくとも一つの第2の導入流路と、前記第1および第2の導入流路から供給される前記第1および第2の流体を合流させ、所定長さの範囲において該二種類の流体を混合させつつ流下させる混合流路とを備え、
前記混合流路は、連続する流路であって、その流路全体の少なくとも一部において、段階的もしくは徐々に、または繰り返し流速を変化させて渦流を発生させるための流速変化領域が形成されていることを特徴とする複合粒子製造装置。
【請求項2】
表面電位が正の粒子を含有する第1の流体と、表面電位が負の粒子を含有する第2の流体を混合し、前記二種類の粒子を静電吸着させてなる複合粒子を製造する装置であって、
前記第1の流体を供給する少なくとも一つの第1の導入流路と、前記第2の流体を供給する少なくとも一つの第2の導入流路と、前記第1および第2の導入流路から供給される前記第1および第2の流体を合流させ、所定長さの範囲において該二種類の流体を混合させつつ流下させる混合流路とを備え、
前記混合流路は、連続する流路であって、その連続する方向において、段階的もしくは徐々に、または繰り返し流速を変化させるために流路断面積が不均一に形成されている
ことを特徴とする複合粒子製造装置。
【請求項3】
前記混合流路は、下流に向かって徐々にまたは段階的に流路断面積を縮小させた少なくとも一つのテーパ型流路構造部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の複合粒子製造装置。
【請求項4】
前記混合流路は、単一のテーパ型流路構造部によって構成され、該テーパ型流路構造部は、同じ深さで構成されるとともに、流路幅が1.5/100以上の勾配を有するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の複合粒子製造装置。
【請求項5】
前記混合流路は、適宜容積を有する少なくとも一つの拡張型流路構造部が形成され、該拡張型流路構造部は、本体部と、この本体部を開口してなる流入部および流出部とを備え、前記本体部の流路断面積が前記流入部および前記流出部のいずれの流路断面積よりも大きくしてなることを特徴とする請求項に記載の複合粒子製造装置。
【請求項6】
前記混合流路は同じ深さで構成され、前記拡張型流路構造部の本体部は、幅方向に拡張されることにより断面積を大きくしてなるものであることを特徴とする請求項5に記載の複合粒子製造装置。
【請求項7】
前記拡張型流路構造部の本体部は、壁面が弧状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の複合粒子製造装置。
【請求項8】
前記テーパ型流路構造部および前記拡張型流路構造部は、双方が少なくとも一つ形成されることにより一組の混合領域ユニットを構成するものであり、前記混合流路は、少なくとも一組の前記混合領域ユニットを形成していることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の複合粒子製造装置。
【請求項9】
前記混合流路は、所定の流路幅を有する標準流路構造部が形成され、前記混合領域ユニットは、前記標準流路構造部に連続して形成されていることを特徴とする請求項8に記載の複合粒子製造装置。
【請求項10】
前記標準流路構造部は、所定の流路幅から下流に向かって徐々にまたは段階的に流路幅を縮小させていることを特徴とする請求項9に記載の複合粒子製造装置。
【請求項11】
前記各流路は、1mm以上の深さを有し、0.5mm以上の流路幅で構成されるものであることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の複合粒子製造装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の複合粒子製造装置を使用する複合粒子製造方法であって、
前記第1および第2の導入流路に対し、予め定めた流量により前記第1および第2の流体を供給し、該流量の比率によって、前記二種類の粒子のうち一方の粒子に対する他方の粒子の吸着割合を制御することを特徴とする複合粒子製造方法。
【請求項13】
前記第1および第2の導入流路に対して供給される第1および第2の流体の流量は、流量調整工程により、両者の相対的な流量比率が調整されるものであることを特徴とする請求項12に記載の複合粒子製造方法。
【請求項14】
前記第1および第2の流体に含有される二種類の粒子は、予め電荷調整工程により、表面電位が調整されたものであることを特徴とする請求項12または13に記載の複合粒子製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粒子によって形成される複合粒子を製造するための装置と、その装置を使用する製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者らは、これまで静電吸着による複合粒子の製造方法について研究し、合理的な製造装置を開発した(特許文献1および2参照)。上記における複合粒子の製造方法は、二種類の粒子に対して一方の粒子の表面電位を正に、他方の粒子の表面電位を負に帯電させ、両者を静電引力によって吸着させるものである。
【0003】
ここで、特許文献1に開示の発明は、液相に分散させた粒子を高分子電解質で被覆することにより、粒子の表面電位を正または負に調整し、種々の粒子を複合化する技術であり、特許文献2に開示される発明は、当該表面電位の調整に使用する高分子電解質の添加量が最適な量となるように調整し、それぞれの粒子の表面電位の調整を容易にするものであった。
【0004】
これらの技術を利用することにより、複合化させるべき粒子の表面電位を正または負に調整し、これらの正負に帯電した粒子を混合することによって複合粒子を製造することができるものである。また、その粒子の混合割合を変化させることによって、物性の異なる様々な性質の複合粒子を製造することができるものであった。その際、各粒子が個別に含有される二種類の流体の容量を変化させつつ混合することにより、各粒子の相対的な混合量が調整され、所望割合によって複合化された複合粒子を製造していた。その例として、本願出願人による特願2016−024261号として出願した複合粒子スラリの製造方法がある。ただし、この場合の製造装置では、流路長を極めて長く形成する必要があり、さらに加えて流路を蛇行させる構成が必要であるなど、流路構成においては、更なる改良の余地が残っていた。
【0005】
ところで、二種類の粒子を含有する二種類の流体を混合するために、微小流路内で混合する方法があった(特許文献3参照)。しかしながら、この混合方法では、表面電位が正の微粒子を含有する流体と、表面電位が負の微粒子を含有する流体とを、微小流路内で混合させることのみを目的とし、いわゆるコアシェル型の複合粒子を作成するものとして開発されたものであった。すなわち、二種類の粒子が吸着される相対的な割合を変化させた複合粒子の製造を行うことができるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−64945号公報
【特許文献2】再表2012−133696号公報
【特許文献3】特開2006−82073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、特許文献3に開示される技術は、二種類の流体を微小流路において混合し、単に複合粒子を製造し得るというものであり、その微小流路は流路幅が100μm未満とするとすることが好ましいとされている。そのような流路幅の限定は、当該流路幅以上の場合には、二種類の粒子による静電吸着の状態が不良なものとなるからであり、その理由としては、流路幅を大きくする場合、二種類の流体に含有される二種類の粒子が相互に接近できない状態を招来させ、静電吸着されない粒子が残余することになることが考えられる。
【0008】
また、当該技術は、静電吸着される粒子の相互の割合を変化させるものではなかった。その理由としては、流路幅が微小であるため流量調整が容易でないことが想定される。例えば、一方の粒子を母粒子、他方の粒子を子粒子とし、母粒子の表面に吸着する子粒子の割合を変化させた複合粒子を製造することを想定すれば、母粒子の数に対して吸着させるべき子粒子の数を調整することとなるが、微小流路に対する流体の供給には、大きい吐出圧力を伴うため、その吐出圧力の調整による流体流量の調整が容易ではなかった。また、流量を変化させずに流体中に含有する粒子濃度を変更すれば、吸着される相互の粒子の割合が変化することになるが、流体中の粒子濃度を細かく調整することは容易でなく、結果的に、吸着粒子の割合を変化させる(所望の割合にする)ことは事実上できていなかった。
【0009】
さらに、微小流路によって複合粒子を作製する場合には、一部の粒子が流路内に残留することがあり、この残留粒子によって目詰まりを招来させることとなっていた。これを解消するために、粒子を含有しない流体を流下させることによって残留粒子を除去しているが、このような手法によっても完全に残留粒子を排除することができず、目詰まりにより使用できないことがあった。その結果、生産性が不良となり効率的に大量の複合粒子を生産することは困難であった。流路幅を太くすれば目詰まりを解消できるが、静電吸着の状態が不良となる問題が解消されず、結果として、製造される個々の複合粒子について吸着量の精度を維持しつつ大量の複合粒子を生産することは益々困難となっていた。
【0010】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、比較的大きい幅の流路によって構成され、粒子の吸着割合を調整可能とすると共に生産性に優れた複合粒子の製造装置を提供することであり、また、当該製造装置を用いた複合粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、上記の目的を達成するため、まず、複合粒子の製造装置に係る第1の発明は、表面電位が正の粒子を含有する第1の流体と、表面電位が負の粒子を含有する第2の流体を混合し、前記二種類の粒子を静電吸着させてなる複合粒子を製造する装置であって、前記第1の流体を供給する少なくとも一つの第1の導入流路と、前記第2の流体を供給する少なくとも一つの第2の導入流路と、前記第1および第2の導入流路から供給される前記第1および第2の流体を合流させ、所定長さの範囲において該二種類の流体を混合させつつ流下させる混合流路とを備え、前記混合流路は、連続する流路であって、その流路全体の少なくとも一部において流速を変化させて渦流を発生させるための流速変化領域が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、静電吸着させるべき二種類の粒子は、正に帯電した粒子と負に帯電した粒子とで区分されるものであって、それぞれ、個々の粒子が単一の物質である場合のほか、複数の物質の粒子が混在する場合も含まれる。また、二種類の粒子のいずれか一方または双方が、複合粒子によって形成され、当該粒子が複数の物質を混合している粒子の場合もある。更に、二種類の粒子は、それぞれ異なる物性を有する物質であって良く、同一の物性を有する同一物質であって、形状や粒径等が異なるものであっても良い。これらの粒子は、製造すべき複合粒子に応じて、物質、形状、粒径が適宜選択されるものである。また、「粒子」には、粒状の物質のみならず繊維状の物質なども含まれ、静電引力により吸着させ得る「固形物」であればよく、それらの形状としては、球形状、葉巻形状、管形状など種々の形態である場合を含むものである。
【0013】
また、第1の流体は、上記の正に帯電した粒子を含む流体という概念であって、正に帯電した粒子が流体に含まれていれば、粒子および流体は単一成分であっても複数成分であっても良いものである。第2の流体も同様に負に帯電した粒子を含む流体という概念であって、負に帯電した粒子が流体に含まれていれば、粒子および流体は単一成分であっても複数成分であっても良いものである。このため、本発明において二種類の流体とは、物質の異なる2つの流体を意味するものではなく、第1の流体と第2の流体の双方を示すことの意味である。
【0014】
本発明によれば、混合流路を流下する二種類の液体が途中(一部)で流速を変化させることによって混合を誘発させるものである。混合流路の一部において流速を変化させるための領域としては、前述のテーパ構造や拡張型流路構造部によることも含まれるが、それ以外の構造によっても流速変化を生じさせることは可能である。例えば、流路内に障害物を設けること、または、流路を湾曲させるなどの構成などが考えられる。混合流路内における流速の変化によって、合流した二種類の流体(混合流体)は全体として乱流(または乱流に至らずとも層流ではない液流状態)となり、撹拌に近似する状態を招来させ、もって二種類の流体の混合を促進させることができる。ここで、二種類の流体には、それぞれ静電吸着させるべき二種類の粒子が個別に含有されており、流体の混合または撹拌は、当該二種類の粒子が分散しつつ相互に接触する機会を増加させるためである。そして、二種類の粒子が接触することによって両者が静電吸着することとなり、複合粒子を作製することができるのである。二種類の粒子が混合流路内で良好に混合されることにより、一方の粒子に対する他方の粒子の吸着状態が偏らず、想定された割合により静電吸着される多数の複合粒子が製造できる。すなわち、一方を母粒子、他方を子粒子とする場合、母粒子の表面に想定された割合による子粒子を静電吸着してなる複合粒子をまとめて作製することができる。なお、ここでの流速の変化とは、ほぼ同時に流下する流体が流速変化領域で相対的に流速に差異を生じさせるような状態を意味するものであり、流路の壁面付近と中央付近を流下する流体の間に生じる流速の差異のほか、流路の対向する壁面付近における流路長の差によって生ずる流速の差異などがある。
【0015】
複合粒子の製造装置に係る第2の発明は、表面電位が正の粒子を含有する第1の流体と、表面電位が負の粒子を含有する第2の流体を混合し、前記二種類の粒子を静電吸着させてなる複合粒子を製造する装置であって、前記第1の流体を供給する少なくとも一つの第1の導入流路と、前記第2の流体を供給する少なくとも一つの第2の導入流路と、前記第1および第2の導入流路から供給される前記第1および第2の流体を合流させ、所定長さの範囲において該二種類の流体を混合させつつ流下させる混合流路とを備え、前記混合流路は、連続する流路であって、その連続する方向において流路断面積が不均一に形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明によれば、二種類の流体が合流する混合流路は、その流路断面積が不均一となるように形成されていることから、混合流路内において流速の変化を生じさせることとなる。混合流路内における流速の変化によって、合流した二種類の流体(混合流体)は乱流となり、撹拌に近似する状態を招来させることにより、二種類の流体の混合を促進させることができるのである。なお流体の混合または撹拌が二種類の粒子の分散および相互接触の機会を増加させること、二種類の粒子が接触することによって両者が静電吸着することは、第1の発明と同様である。その結果として想定された割合により静電吸着される多数の複合粒子を製造し得ることも第1の発明と同様である。なお、流路断面積が不均一な状態とは、流路の一部または全部がテーパ状に形成されている場合のほか、流路の途中において拡径または縮径された部分を有する場合を含むものである。
【0017】
複合粒子の製造装置に係る第3の発明は、前記第2の発明において、前記混合流路が、下流に向かって徐々にまたは段階的に流路断面積を縮小させた少なくとも一つのテーパ型流路構造部が形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明によれば、混合流路内に導入される二種類の流体は、当該混合流路において合流することにより、両粒子は、流路断面積の比較的大きい領域において、それぞれが適度に分散した状態となっており、この状態から、流路断面積の小さな領域へ移動することにより、相互の距離が短縮され、徐々に接近することによって、最終的に一方の粒子が他方の粒子に接触し静電吸着され得ることとなる。また、流路断面積が徐々に小さくなることにより、流路中央付近と壁面付近とで流速に差違が生じ、この流速の差違によって部分的に流れが乱れることとなり、二種類の流体の混合を促進させることができるのである。このように、流体が混合する状態を生じさせることによって二種類の粒子が接触し得る機会を増加させることとなるのである。
【0019】
複合粒子の製造装置に係る第4の発明は、前記第3の発明において、前記混合流路が、単一のテーパ型流路構造部によって構成されるものであり、該テーパ型流路構造部が、同じ深さで構成されるとともに、流路幅が1.5/100以上の勾配を有するテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、混合流路の深さを同じ(一定)にすることにより、流路中に沈下や浮上などを誘導しまたは強制することがなく、流路幅のみを徐々に縮小するテーパ構造とすることができる。また、非常に緩やかなテーパ構造により、二種類の流体(二種類の粒子)を徐々に接近させ、二種類の粒子が吸着に要する時間に見合った流路長を確保することができる。なお、比較的緩やかなテーパ構造の場合には、必然的に流路長を長尺とすることが好適である。流路長を長くすることにより、その長い混合流路を通過する過程において、二種類の流体は徐々に混合されることとなり、好適な割合で静電吸着された複合粒子を作製することができる。
【0021】
複合粒子の製造装置に係る第5の発明は、前記第2または第3の発明において、前記混合流路には、適宜容積を有する少なくとも一つの拡張型流路構造部が形成され、該拡張型流路構造部には、本体部と、この本体部を開口してなる流入部および流出部とが備えられ、前記本体部の流路断面積が前記流入部および前記流出部のいずれの流路断面積よりも大きくしてなることを特徴とするものである。
【0022】
本発明によれば、混合流路において拡張型流路構造部が存在することにより、当該拡張型流路構造部に混合流体(二種類の流体)が流入すると、その混合流体の流速が緩和されることとなる。これは、拡張型流路構造部が適宜容積を有しており、本体部が流入部および流出部よりも流路断面積が大きく形成されているからである。本体部においては、流体は流入部から流出部に向かって流動するが、流速緩和が生じるために、流入部から流入した混合流体は、その全量がそのまま(流入した速度のまま)拡張型流路構造部を通過することができなくなって対流(渦流)を生じさせることとなる。このため、撹拌に近似した状態を招来させ、二種類の流体の混合を促進することができる。これにより、一方の粒子に対する他方の粒子の吸着量にばらつきが発生することを抑制する効果を奏することとなる。なお、適宜容積とは、流速緩和を生じさせ得るとともに、流体が内部で対流できる程度を意味し、極端に大きくまたは小さくない状態である。
【0023】
複合粒子の製造装置に係る第6の発明は、前記第5の発明において、前記混合流路が同じ深さで構成され、前記拡張型流路構造部の本体部は、幅方向に拡張されることにより断面積を大きくしてなるものであることを特徴とするものである。
【0024】
本発明によれば、流路深さが均一であるため、流路の幅方向において混合状態を調整することができる。特に、拡張型流路構造部では、幅方向に本体部が拡張されるため流路面積を上下方向に拡張する場合に比べて深さ方向への粒子の沈降速度差による分離を抑制できる。このため、例えば、比重差の大きな二種類の粒子を複合化する場合でも良好に複合化せしめることができる。また、拡張型流路構造部の本体部内において流入した流体は、幅方向両側に分かれて対流し、その対流後に接近して流下することによって流体の混合を促進させることとなる。流体の混合により二種類の粒子が良好に分散混合して吸着されることとなることは上述のとおりである。
【0025】
複合粒子の製造装置に係る第7の発明は、前記第6の発明において、前記拡張型流路構造部の本体部の壁面が弧状に形成されていることを特徴とするものである。
【0026】
拡散型流路構造部の本体部壁面が弧状であるとは、混合流路の中央を境に混合流路の両側に弧状に張り出した流路構造を有するものであり、混合流路の中央を中心として左右対称な形状とすることが好ましい。また、その左右対称の形状は、拡張型流路構造部全体の形状として、略円形または略楕円形となるものとすることが好適である。
【0027】
本発明によれば、拡張型流路構造部内における流体の対流は、その側面(壁面)の形状に誘導されることから、この壁面が弧状であることにより、流体が弧を描くように上流方向へ向かって対流することとなる。また、流体の停滞(淀む)領域低減することができる。更に、混合すべき二種類の流体が混合流路の中央付近を境界として層状に流下する場合、その二種類の流体を同じような状態で対流させることとなり、その後の混合状態を均等な状態に導くことができる。なお、本発明においても流体の混合により粒子が良好に分散して吸着されることとなる。
【0028】
複合粒子の製造装置に係る第8の発明は、前記第5〜第7の発明において、前記テーパ型流路構造部および前記拡張型流路構造部の双方が、少なくとも各一つ形成されることにより一組の混合領域ユニットを構成するものであり、前記混合流路は、少なくとも一組の前記混合領域ユニットを形成していることを特徴とするものである。
【0029】
本発明によれば、テーパ型流路構造部による二種類の粒子の物理的な接近状態の実現と、拡張型流路構造部による流体の撹拌による混合の促進とが、それぞれ作用することとなり、両粒子が良好に分散混合した状態で静電吸着し得る状態となるため、一方の粒子に対して他方の粒子が吸着する比率(吸着割合)が偏ることを抑えることができる。特に、上記混合領域ユニットを複数配置することにより、粒子の混合が繰り返して行われることとなり、吸着割合の均等化に資することができる。
【0030】
複合粒子の製造装置に係る第9の発明は、前記第8の発明において、前記混合流路は、所定の流路幅を有する標準流路構造部が形成され、前記混合領域ユニットは、前記標準流路構造部に連続して形成されていることを特徴とするものである。
【0031】
ここで、標準流路構造部とは、混合流路全体における流下速度を決定する標準的な流路幅を有する流路を意味するものであり、混合領域ユニットの上流側または/および下流側に設けられることにより、流路全体に流下する流体の流速を標準化するものである。
【0032】
本発明によれば、標準流路構造部を流下する二種類の流体(混合流体)は、標準的な流速で標準流路構造部を通過する一方、テーパ型流路構造部および拡張型流路構造部において流速が変化し、当該流速の緩急を流体に対し顕著に作用させることができる。
【0033】
複合粒子の製造装置に係る第10の発明は、前記第9の発明において、前記標準流路構造部が、所定の流路幅から下流に向かって徐々にまたは段階的に流路幅を縮小させていることを特徴とするものである。
【0034】
本発明によれば、標準流路構造部内においても粒子間の物理的距離を短縮させることとなり、混合領域ユニット以外の領域においても流体の混合を促進させ得る。
【0035】
複合粒子の製造装置に係る第11の発明は、前記第2〜第10の発明において、前記各流路が、1mm以上の深さを有し、0.5mm以上の流路幅で構成されるものであることを特徴とするものである。
【0036】
本発明によれば、流路全体がミリメートル単位の流路によって構成できることから、微小な流路構造とは異なり、流体に含有される粒子または複合粒子が流路内に留まって目詰まりすることを抑えることができる。また、拡張型流路構造部では十分に対流させ得る領域を得ることができ、テーパ型流路構造部の設計も容易となり、流下する流体に対する流速の緩急を生じさせることが極めて容易となる。なお、流路の深さおよび幅の寸法を決定する際には、流下させるべき粒子または作製される複合粒子の平均粒径の3倍以上とすることが好ましい。平均粒径の3倍以上の大きさで流路が形成されることによって目詰まりの可能性を著しく抑制し得るからである。
【0037】
複合粒子の製造装置に係る第12の発明は、前記第11の発明において、前記流速変化領域が、前記混合流路を部分的に湾曲してなる湾曲部によって構成され、該湾曲部は、前記混合流路の内部壁面の一部を曲線状に起伏させた起伏部を有しており、その起伏部によって該内部壁面の流路長が異なるように形成されたものであることを特徴とするものである。
【0038】
本発明によれば、混合流路の内部壁面は、湾曲部において流路長が異なるように構成されるため、流路長の長い壁面付近における流体の流速は、流路長の短い壁面付近における流体に比較して流速が増大することとなり、流体が湾曲部を通過する際に流速に変化(速度差)を生じさせることができる。このような流速の変化により流体の混合を誘発させるのである。
【0039】
複合粒子の製造装置に係る第13の発明は、前記第12の発明において、前記流速変化領域が、前記湾曲部を2箇所以上繰り返して設けられていることを特徴とするものである。
【0040】
本発明によれば、混合流路を移動する流体に対し、その流速の変化を繰り返し生じさせることができることから、流速変化に伴う二種類の流体を十分に混合させることとなる。なお、湾曲部を繰り返して設ける場合には、その湾曲部の湾曲方向を適宜逆向きとすることにより、内部壁面の流路長の長短側を反転させることとなり、流体の好適な混合が期待できるものとなる。
【0041】
複合粒子の製造方法に係る第1の発明は、製造装置に係る前記第1〜第11の発明のいずれかを使用するものであって、前記第1および第2の導入流路に対し、予め定めた流量により前記第1および第2の流体を供給し、該流量の比率によって、前記二種類の粒子のうち一方の粒子に対する他方の粒子の吸着割合を制御することを特徴とするものである。
【0042】
本発明によれば、混合すべき二種類の流体は、それぞれ所定の濃度で個別の粒子を含有しており、その流量を予め定めることにより、前記製造装置の混合流路に供給される二種類の粒子の割合が決定されることとなる。そして、このように供給される二種類の粒子の割合に応じて、一方の粒子に対して他方の粒子が吸着する比率(吸着割合)を変化させることができるのである。このとき、製造装置に係る発明において説明したように、二種類の流体は、製造装置内において概ね均等に混合される。これにより、この二種類の流体に含有される二種類の粒子も概ね均等に混合させることとなることから、一方の粒子に対して他方の粒子が適度に分散された状態で吸着され得るのである。このような状態で作製された複合粒子は、一方の粒子に対する他方の粒子の吸着割合が製造される全体において、平均的な状態で安定し、所望の吸着割合による複合粒子を大量に製造し得るのである。
【0043】
複合粒子の製造方法に係る第2の発明は、前記第1の発明において、前記第1および第2の導入流路に対して供給される第1および第2の流体の流量が、流量調整工程により、両者の相対的な流量比率が調整されるものであることを特徴とするものである。
【0044】
本発明によれば、製造装置に供給される二種類の流体は、流量調整工程により相対的な流量比率が調整されて混合させることとなる。従って、第1の流体に含有する第1の粒子と、第2の流体に含有する第2の粒子との相対的な供給割合が調整されることとなる。そして、前述のように、供給される粒子の割合に応じた吸着割合による複合粒子を製造することができることから、流体の供給前の流量調整工程によって、複合粒子の吸着割合を調整することができる。なお、流量調整工程とは、第1および第2の導入流路に流体を供給する際の吐出圧の相対的な差違等によって可能であり、自然流下の場合には、導入流路直前にバルブを設置し、そのバルブの開閉割合などによって調整することも可能である。
【0045】
複合粒子の製造方法に係る第3の発明は、前記第1または第2の発明において、前記第1および第2の流体に含有される二種類の粒子が、予め電荷調整工程により、表面電位が調整されたものであることを特徴とするものである。
【0046】
本発明によれば、電荷調整工程によって、静電吸着させるべき粒子の一方(第1の粒子)を正極に帯電させ、他方(第2の粒子)を負極に帯電させることができることから、粒子の性質(物性)を任意に選択した複合粒子を製造することができる。また、両粒子は予め明確に相反する極性に帯電されることから、前記製造装置の混合流路に供給することにより、容易に複合粒子の製造が可能となる。そして、調整された流量に応じた吸着割合の複合粒子を製造し得ることから、所望の性質を発揮し得る複合粒子を製造することも可能となる。ただし、二種類の粒子が当初より所定の表面電荷を有する場合は、電荷調整工程が不要となることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0047】
本発明の複合粒子製造装置によれば、比較的大きい流路幅による流路によって構成することから、目詰まりの発生を抑え、流路内において流体が適度に分散および混合されることから、各流体に含有するそれぞれの粒子が分散した状態で接近し、全体として概ね均等な状態で吸着する複合粒子を安定して製造し得、その生産性を向上させることができる。また、供給する流体の流量を変化させれば粒子の吸着割合を調整可能とすることができる。
【0048】
更に、本発明の複合粒子製造方法によれば、前記複合粒子製造装置を使用することから、予め流量が調整された二種類の流体を当該製造装置に供給することによって、所望の複合粒子を大量に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】複合粒子製造装置に係る発明の第1の実施形態の概略を示す説明図である。
図2】複合粒子製造装置に係る発明の第1の実施形態の流路構造を示す説明図である。
図3】複合粒子製造装置に係る実施形態において複合粒子の作製状態を示すモデル図である。
図4】複合粒子製造装置に係る発明の第2の実施形態の流路構造を示す説明図である。
図5】複合粒子製造装置に係る発明の第2の実施形態の流路幅の状態を示す説明図である。
図6】複合粒子製造装置に係る実施形態の変形例を示す説明図である。
図7】複合粒子製造装置に係る実施形態の他の変形例を示す説明図である。
図8】複合粒子製造装置に係る実施形態の導入流路の形態を示す説明図である。
図9】複合粒子製造装置における流路構造の変形例示す説明図である。
図10】複合粒子製造装置における流路構造の変形例示す説明図である。
図11】(a)は複合粒子製造方法に係る発明の実施形態を示す説明図であり、(b)は電荷調整工程の実施形態を示す説明図である。
図12】実験用として作製した複合粒子製造装置の説明図である。
図13】実験1に使用した複合粒子製造装置における流路構造の説明図である。
図14】比較例に使用した複合粒子製造装置における流路構造の説明図である。
図15】(a)は、実験1の結果を示すSEM像であり、(b)は比較例の結果を示すSEM像である。
図16】実験2に使用した複合粒子製造装置における流路構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、複合粒子の製造装置に係る本発明の第1の実施形態の概略を示す図である。本実施形態の製造装置1は、専ら所定の流路を溝状に形成してなる流路基板11と、この流路基板11に積層される蓋部12とで構成されている。後述する所望形状の流路2〜5は、流路基板11に形成され、蓋部12によって溝状の表面側開口部分を閉鎖することにより、中空管状の流路に形成できる構造となっている。なお、流路基板11は、薄肉板状部材で構成し、流路部分を貫通させ、平板基部に積層したうえ蓋部12を積層する三層構造としてもよい。いずれの場合においても、流路の深さを一定にすることにより、流路幅によって流路断面積が決定され得る構成とすることができる。
【0051】
本実施形態で形成される流路は、少なくとも二個所の導入流路2,3と、それらの合流部4と、混合流路5とを備えている。導入流路2,3に対する流体の供給のために、蓋部12には、供給部21,31が貫通孔によって構成され、この蓋部12の外方から流路(導入路)2,3に対して流体(粒子含有)を供給し得る構成となっている。また、混合流路5は、流路基板11の端縁まで形成され、その末端が流路基板11の端縁において開口し、流出口6が形成されている。
【0052】
上記のような構成から、本実施形態の複合粒子製造装置1では、二つの供給部21,31を介してそれぞれに粒子を含有する二種類の流体を導入流路2,3に供給することにより、供給された二種類の流体は、合流部4で合流し、混合流路5を流下して流出口6から流出することとなる。供給部21,31から流体を供給する場合は、適宜な圧力が付与され、その吐出圧によって流下させるほか、流出口6を下向きにして自然流下させることによって、各流路を通過させることができる。尚、流出口6を上向きにして供給圧によって流体を下方から上昇させつつ各流路を通過させるようにしても良い。混合流路5は、後述するように特殊な形状および構造を有しており、二種類の流体の混合状態を調整し、それぞれの流体に含有する粒子を相互に静電吸着させることにより、複合粒子を製造するものである。
【0053】
ところで、本実施形態における流路は、図2に例示するように、分岐した二つの導入流路2,3と、これらの導入流路2,3が合流する位置(合流部4)から下流側に混合流路5が連続して設けられるものである。図2(a)および(b)は、本実施形態の代表的な流路形状を示している。これら両図に示されているように、本実施形態の導入流路2,3は、それぞれ流下方向を斜状とするものであり、両流路2,3は相互に有角状に設けられている。その終端が連通することにより合流部4が形成され、さらに合流部4に連通して混合流路5が形成されている。各流路に供給される流体の流下を容易にするため、導入流路2,3と混合流路5とで、略Y字状の流路を形成している。
【0054】
混合流路5は、連続する流路において流路断面積を不均一とするものであるが、本実施形態では、図2(a)に示されるように、全体として流路幅が徐々に縮小しているテーパ状とするか、または図2(b)に示されるように、段階的に流路幅を縮小してなる階段状の略テーパ状(以下、これらを総称してテーパ状と称する場合がある)とするものである。
【0055】
本実施形態では、テーパ状に形成された混合流路5の流路断面は矩形状であるが、これに代えて流路断面が円形、楕円形などとなる形状の混合流路を用いても良い。また、混合流路5は相対する両側面が対称的に傾斜するテーパ状となっているが、流路断面積を不均一とする先細りの構造であればこれに限られず、例えば、一方の側面のみ傾斜する構造であっても良く、四方が等方的に傾斜する構造であっても良い。
【0056】
このテーパ状流路の勾配は、流路幅全体で1.5/100以上としており、例えば、合流部4における流路幅を2mmとする場合、末端(流出口6)における流路幅を0.5mmとするために、100mm程度の流路長が必要となる。このように、長い流路において緩やかなテーパ構造とすることにより、混合流路5の内部を流下する流体の流速を徐々に変化させ、流体の混合を促進させている。その意味において、当該テーパ構造の流路が流速変化領域の一形態である。本実施形態では、流路の深さを均一に構成していることから、流路幅の勾配が、流路断面積の勾配と一致する。すなわち、本来的には、流路断面積を縮小することによって流速変化を生じさせることができるのであり、流路深さを均一とすることによって、流路幅の勾配のみを変化させる流路設計が可能となる。因みに上記に例示の流路幅による流路では、深さを2mmとすることにより、流路断面積を4mmから1mmに縮小することができる。なお、当然のことであるが、深さが1mmの場合は、これらの流路断面積は上記の1/2となる。
【0057】
なお、混合流路5の両側壁面に対称な勾配を設ける場合には、両壁面の勾配は、上記1.5/100のさらに1/2となる。また、1.5/100よりも緩やかな勾配の場合は、混合流路5の内部における流速の差違が小さく、平行流路(ストレート管)に近くなり、混合の効果を発揮させ難い。他方、極端に急勾配(例えば、1/10)とした場合には流路長を確保できない。出口の流路径は、複合粒子の粒径を基準に規定されるため、幾何的に限界値が決定される。そのため、混合流路5のテーパは、0.25/100〜5.0/100の範囲が好ましく、さらに、1.5/100〜3.0/100が好適である。また、急勾配の混合流路を複数連接する場合には、全体として(平均して)上記勾配の範囲内に収めることが好ましい。
【0058】
上記の観点から、図2(a)に示す直線的なテーパ状の構造とする場合には、合流部4から末端6まで至る範囲において、両側壁面を斜状に形成することより所望の勾配を構成させることができる。他方、図2(b)に示すような階段状の場合には、流路幅が大きい平行流路51から、徐々に流路幅を小さくする平行流路52,53を連続させ、最終の平行流路54において所望の流路幅とすることにより、全体として(これらを総合して)所望の勾配によるテーパ状とすることができる。その意味において、流路全体5により流速変化領域が形成されるものと把握することもできるが、これらの平行流路51〜54は、順次流路幅が小さくなるように構成されており、次順位の平行流路がそれぞれ流速変化領域として機能するものと把握し得るものである。
【0059】
なお、この平行流路51〜54はテーパ状に構成するものであってもよい。この場合のテーパ状に形成した流路51〜54をテーパ型流路構造部と称し、後述の他の形状を有する流路構造部と区別することとする。また、直線的なテーパ状に形成した単一の混合流路5(図1(a)参照)は、テーパ型流路構造部を単一とした場合の一形態である。
【0060】
上記のように、二種類の流体を供給し得る導入流路2,3と、これらを合流させたうえ流路断面積を縮小する混合流路5を設ける構成の本実施形態は、各流体に含有する粒子を混合流路5の内部で静電吸着させることを目的としている。そこで、粒子の静電吸着の状態について概略を説明する。
【0061】
図3は、本実施形態を使用する場合の粒子の状態の概略を示すモデル図である。なお、説明の便宜上、図中の各構成要素に係る尺度は正確ではない。この図において示されるように、第1の導入流路2から供給される流体には、第1の粒子Aが含有され、第2の導入流路から供給される流体には第2の粒子Bが含有される。各流体に含有される二種類の粒子A,Bは、例えば、第1の粒子Aを母粒子とし、その表面に第2の粒子Bを子粒子として吸着させることが想定される。この吸着のために。例えば、第1の粒子Aは表面電荷を正に帯電し、他方の第2の粒子Bの表面電位は、第1の粒子Aとは反対の負に帯電させることが想定される。両粒子A,Bが相互に反対の極性に帯電されることにより、混合流路5の内部で混合される際に、相互に静電吸着されることとなる。上記の例では、第1の粒子Aの表面に第2の粒子Bが吸着した複合粒子Cを作製することができるのである。
【0062】
これらの粒子A,Bを個別に含有する二種類の流体が、導入流路2,3から個別に供給され、混合流路5の内部で混合することにより、個々の粒子A,Bが相互に接近し、両者が相互に静電吸着し得ることとなるため、混合流路5は、専ら二種類の流体が混合されるような構造として形成される。従って、以下においては、流体の混合状態についてのみ説明する場合もあるが、流体が適度に混合することは、両粒子A,Bが適度に接近し得ることであることを意味する。
【0063】
なお、相互に静電吸着させるべき粒子A,Bには、個々の粒子が単一の物質である場合のほか、いずれか一方または双方が、複合粒子によって形成されている場合も想定され得る。この場合には、各粒子A,Bは、単一物質で構成されるもののみならず、複数の物質が混合された状態となっていても良い。特に、表面電位を正または負に調整するための調整剤が吸着されている場合は、当然に単一の物質ではない。また、二種類の粒子A,Bが、異なる物性によって区分される場合(異なる物質の場合)もあるが、同一物質について表面電位のみ変化させる場合もあり、それらが粒子の形状や粒径等によって区分されて異なる種類とみなす場合もある。さらには、正の表面電位に調整された複数の異なる物性を有する一方の粒子群を一つのグループとし、負の表面電位に調整された複数の異なる物性を有する他方の粒子群とに区分して二種類とみなす場合もあり得る。即ち、物質に関わらず表面電荷の正負によって二つのグループとして区分するのである。これらの粒子A,Bの選択は、製造すべき複合粒子に応じて適宜変更されるものである。また、「粒子」には、粒状の物質のみならず繊維状の物質なども含まれ、静電引力により吸着させ得る「固形物」であればよく、それらの形状としては、球形状、葉巻形状、管形状など種々の形態である場合を含むものである。
【0064】
粒子A,Bには、各種物性や化学組成が異なるものを適宜選択し得る。一方を金属粒子とし、他方をセラミック粒子とすることもあるが、これに限られるものではなく、異種金属粒子を用いて複合粒子を構成しても良く、また、合金、サーメット、ガラス、炭素材料や樹脂材料をいずれか一方の粒子とすることもできる。
【0065】
例示すれば、金属粒子としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、金、銀、プラチナ、銅などがある。また、セラミックには、各種の金属酸化物、窒化物、炭化物などがあるが、これに限られるものではない。なお、金属酸化物は、単一酸化物であっても複合酸化物であっても良い。かかるセラミックとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、マグネシア、カルシア、チタニア、酸化バナジウム、スピネル、フェライトなどが例示できる。
【0066】
樹脂材料としては、例えば、メタクリル樹脂等のアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、アミド系樹脂、セルロース系樹脂などの汎用の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱可塑性樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素樹脂等の各種エンジニアリングプラスチックを適宜使用することができる。
【0067】
また、いずれか一方または双方の粒子を、ナノサイズの粒子(いわゆるナノ粒子)としても良く、これによってナノサイズの複合材料を作製することもできる。
【0068】
上記に例示する粒子A,Bは、いずれも流体に含有させた状態で導入流路2,3から供給されるものであるが、これらの粒子A,Bを含有させるべき流体としては、粘度が極端に大きくないことが好ましい。これは、粘度が極端に大きい場合には、混合流路5の壁面付近における流速が過剰に低下して、所望の流速を得ることができないためである。
【0069】
流体の粘度としては通常の液体として状態が保持される範囲であれば良く、例えば0.5Pa・s以上であり、好ましい粘度は、0.5mPa・s〜1.3mPa・sの範囲である。このため、例えば、純水、エタノール、メタノールおよびこれらを混合したものなどを使用することができる。これらを使用する場合の温度は常温において、上記範囲内の粘性を有する。因みに、純水、エタノール、メタノールおよびこれらを混合物について、温度ごとの粘性を表1に示す。この表に示されているように、15℃、25℃および35℃のいずれの場合であっても、上記範囲内の粘性である。なお、粒子A,Bを含有する場合には、流体全体としての粘性は変化することになり得るが、当該粘性は見かけ上の粘性の変化であって、現実的な流下状態に影響を与える程度は極めて小さいものである。
【0070】
【表1】
【0071】
次に、複合粒子製造装置に係る第2の実施形態について説明する。流路構造以外は第1の実施形態と同様であるため、以下においては、流路構造についてのみ説明する。図4は、本実施形態の二種類の流路構造を例示したものである。これらに例示する実施形態は、混合流路5に適宜容積を有する拡張型流路構造部55〜57が形成されたものである。ここでは、当該拡張型流路構造部55〜57を流速変化領域として形成したものである。
【0072】
拡張型流路構造部55〜57は、混合流路内における混合を促進するためのものであり、流体の流下方向(流路の長手方向)に対して両側(幅方向)に拡幅している。この拡張型流路構造部55〜57は、本体部5aと、その本体部5aに流体が流入できるように開口した流入部5bと、その本体部5aから流体が流出できるように開口した流出部5cとで構成されている。この本体部5aを拡幅することにより、全体として所定の容積を有することができる。本体部5aの拡幅は、流入部5bおよび流出部5cのいずれよりも流路幅を大きくした状態であり、左右両側面を対称な形状で膨出させており、その膨出させた部分の流路幅を大きくしたことから、流入する流体の流速が緩和され、渦流または対流の発生を誘引している。この対流(渦流)の発生により、拡張型流路構造部55〜57の内部においては撹拌に近似する状態を招来させることとなり、流体の混合が好適に促進される。なお、拡張型流路構造部55〜57における所定の容積とは、全体として流下(流動)が可能でありながら、流入する流体の流速を十分に緩和させ、流体が対流できる程度を意味するものである。例えば、流入部5bの流路幅に対して、本体部5aを3倍〜10倍の流路幅と流路長をもって構成することにより、十分な混合効果を奏する上記所定の容積を得ることができる。
【0073】
ところで、例えば、流入部5bおよび流出部5bが本体部5aの中心線上に配置されている場合(図示のような場合)には、流路の中央付近を流れる流体の速度と、流路の壁面近傍を流れる流体との差が大きくなる。流速の差違によって渦流を生じさせ、拡張型流路構造部の本体部5aの内部において流体が対流し、撹拌の効果を得ることで流体の混合が促進されるのである。図示のような場合には、中心線の両側にそれぞれ過流が発生する。このように二種類の流体が混合することにより、それぞれの流体に含有される二種類の粒子は、それぞれ分散した状態で相互に接近することとなり、これにより、一方の粒子に対する他方の粒子の広範な接触の機会が増加するのである。
【0074】
本実施形態では、複数の拡張型流路構造部55〜57を形成させている。図4(a)に示す例では、2個の拡張型流路構造部55,56が形成され、図4(b)に示す例では、3個の拡張型流路構造部55,56,57が形成されている。また、拡張型流路構造部55〜57を除く流路51〜54は、いずれもテーパ状とするテーパ型流路構造部とした形態を示している。図4(a)に示す例では、そのテーパ状が上流の流路51から下流の流路53に向かって徐々に縮径されたものであり、図4(b)に示す例では、同じ勾配による構造部が繰り返し構成されたものである。
【0075】
すなわち、図4(a)に示す実施形態は、テーパ型流路構造部51〜53が連続的に縮径する構造であり、その途中において拡張型流路構造部55,56が形成された構造であるのに対し、図4(b)に示す実施形態では、一つのテーパ型流路構造部51と一つの拡張型流路構造部55によって一組の混合領域ユニット7を構成させ、これを繰り返すように、3組の混合領域ユニット7を直列に連続させた構造としている。
【0076】
上記に示すいずれの形態においても、テーパ型流路構造部51〜54の内部を流下する流体の流速と、拡張型流路構造部55〜57の内部を流れる流体の流速には差違があり、特に、拡張型流路構造部55〜57よりも上流側から流下する流体の流速は、拡張型流路構造部55〜57によって緩和され、この流速緩和によって、対流(渦流)を生じさせることとなるのである。このときの流速緩和は、内部を流れる流体の流速差を大きくするものであり、その流速差によって、拡張型流路構造部55〜57の内部に渦が生じ、結果的に拡張型流路構造部55〜57の内部に対流(渦流)を生じさせるのである。
【0077】
ところで、本実施形態では、拡張型流路構造部55〜57の壁面(本体部5aの左右両側)を弧状としており、特に、図は円弧状としており、前記の流速緩和による対流(渦流)は、弧状壁面に沿った方向へ誘導するようにしている。従って、単なる流速緩和のみを目的とする場合には、拡張型流路構造部55〜57の側面形状は弧状に限定されるものではなく、例えば、全体を矩形とする直線的な壁面形状によって構成してもよいが、対流(渦流)を効果的に誘導するためには、弧状(円または楕円の一部)を形成させることが好ましい。なお、矩形のような直線的な壁面形状の場合には、部分的に流れが停滞する領域を生じる可能性もあるが、流速緩和により流体が相互に混合することは可能である。
【0078】
ここで、混合流路5に拡張型流路構造部55〜57を形成する場合の流路幅について説明する。図5は、拡張型流路構造部55の形成の状態を例示する3種類の形態を示している。
【0079】
図5(a)は、拡張型流路構造部55の上流側流路51および下流側流路52は、平行流路(ストレート流路)であるが、上流側流路51の流路幅に対し下流側流路52の流路幅を小さくしており、全体として勾配を有して(テーパ状として)形成されたものである。従って、図においてW1=W2、W4=W5であるが、W3>W2>W4としている。この形態は、拡張型流路構造部55における流出部の流路幅W3が、流入部の流路幅W2よりも小さく、これに合わせて流路断面積も小さくなっている。この場合、拡張型流路構造部55に流入する際の流体の流速よりも、流出する際の流体の流速が大きくなり、拡張型流路構造部55の本体部において流速が緩和されることと相俟って、本体部内で対流される流体が多くなる傾向となる。なお、この形態におけるW2とW3の流路幅比(W2:W3)は、1:3〜1:5としている。流路の深さが同じであるから、それぞれの流路断面積の比も同様となる。また、本体部の流路長L1は、W3とほぼ同様とし、壁面の形状を円弧としている。
【0080】
図5(b)では、拡張型流路構造部55の上流側流路51および下流側流路52は、テーパ状としているが、全体として(拡張型流路構造部55を除いて)同じ勾配で傾斜する構造としている。従って、図においてW6>W7であり、またW9>W10としている。本体部の流路幅W8を最も大きくしていることから、全体としてはW8>W6>W7>W9>W10としている。なお、本体部の流路長L2および壁面形状は図5(a)と同様である。この形態においてもW7とW8の流路幅比(W7:W8)は、1:3〜1:5としている。この場合においても、拡張型流路構造部55に流入する際の流体の流速よりも、流出する際の流体の流速が大きくなると共に、拡張型流路構造部55の本体部において流速が緩和され得る。言い換えれば、拡張型流路構造部55の本体部において流入速度と流出速度との速度差を解消する(物質収支を改善する)現象が生じるのである。結果として、例えば渦流が生じる。
【0081】
図5(c)は、拡張型流路構造部55の上流側流路51および下流側流路52は、いずれもテーパ型流路構造部としており、同じ寸法のテーパ構造としている。従って、図においてW11>W12であり、W14>W15であるが、W11=W14、W12=W15としている。なお、W11とW12との流路幅比(W11:W12)およびW14とW15との比(W14:W15)は、いずれも3:1としている。本体部の流路幅W13はテーパ型流路構造部の広幅の流路幅W11(W14)よりも大きく形成されている。そこで、この形態における全体の流路幅の比は、W11(W14):W12(W15):W13=3:1:5としおり、流路断面積の同様としている。なお、流路長L3および壁面形状は図5(a)と同様である。このような形態の場合には、流入部から流入する際の流体の流速よりも、流出部から流出する際の流体の流速が遅くなるものであり、最も小径(狭幅)のW12,W15において流速が最も速くなる。このような形態においては、流出部の近傍における流速が比較的緩やかとなり、本体部に流体が留まりやすく、当該本体部における対流(渦流)の発生を容易にしている。
【0082】
これらの各形態は、いずれの場合においても、拡張型流路構造部55の本体部に流入する際の流体の速度と流出する際の流体の速度が異なることとなり、同時に流路中央付近の流速と壁面付近の流速も大きく異なる現象を生じさせる。これにより、拡張型流路構造部55の内部における対流(渦流)を生じさせることができるのである。また、流入時と流出時とで流速が異なることから、それぞれ流速の不均衡により、拡張型流路構造部55の本体部内における対流(一部の逆流)または渦流を生じさせ得ることとなる。
【0083】
なお、複合粒子の製造装置に係る実施形態、特に流路形状に係る形態は、上記に限定されるものではなく、他の流路形状とすることができる。そこで、以下に変形例について説明する。
【0084】
図6は、前述の第2の実施形態(図4(b)参照)を変形したものである。図6(a)は、前述の混合領域ユニット7を二組形成させる形態であるが、これら二つの混合領域ユニット7の中間に標準流路構造部50が形成されたものである。この標準流路構造部50は、平行流路(ストレート流路)で構成され、拡張型流路構造部55,56を除く流路の平均的な流路幅で構成されている。このような標準流路構造部50を流下する流体は、流路全体を流下する流体の流速の標準な速さとなるのである。そのため、その前後における流速の変化を一時的に標準的な速さに戻すことにより、流速の変化を際立たせることとなり、当該流速変化による流体の混合を促進させるものである。
【0085】
図6(b)においても標準流路50を形成するものであるが、この形態は、混合領域ユニット8が、拡張型流路構造部55,56の上流側流路51,53と下流側流路52,54とで一組としたものである。上流側および下流側の各流路51〜54は全て同じ形状のテーパ型流路構造部としており、一組の混合領域ユニットを構成する流路の組み合わせを変更したものである。なお、標準流路構造部50の作用は前述と同様である。
【0086】
なお、このような構成の標準流路構造部50は、当該標準流路構造部50を流下する流体の最も速い流速を標準的な流速として、テーパ型流路構造部または拡張型流路構造部における所望の流速を生じさせるように各種流路幅(流路断面積)を設計することとなる。
【0087】
さらに、図7は、混合流路5a,5bを並列に複数設けた例を示している。この形態では、第1の混合流路5aを通過した混合流体を、さらに第2の混合流路5bに流入させ、テーパ型流路構造部51〜54および拡張型流路構造部55〜57を多数回にわたって通過させる構成である。流速変化を多数回生じさせることによって、二種類の流体が撹拌される回数(すなわち二種類の粒子が接触できる機会)を増やすことが目的である。なお、混合流路5a,5bを並列に構成したのは、流路全体が長尺になることを回避するものである。また、第2の混合流路5bには、導入流路2,3を追加して設け、さらに二種類の流体を供給し得る構成としてもよく、いずれか一方のみを追加的に設ける構成でもよい。これは、製造すべき複合粒子における吸着割合(一方の粒子に対する他方の粒子が静電吸着する割合)を調整するために使用される。さらに、二つの導入流路2,3を設ける構成の場合には、その配置は、第1の混合流路5aに対する供給位置と逆にすることも可能である。これは、第1の混合流路5aに供給される二種類の流体が左右に分かれて流下することを考慮し、これらの二種類の流体が層流となって流下した場合であっても、一方の流体に外方から他方の流体を接触させることによって混合を促進せしめ、左右両側の壁面近傍に残余する粒子を残すことなく利用するためである。
【0088】
図8は、導入流路2,3の配置に関する各種形態を示している。導入流路2,3は、二種類の流体を混合流路5に供給するためのものであり、少なくとも各1個配置されることが必要であるが、その流下方向および数は適宜変更可能である。図8(a)は、上述の各実施形態において図示した代表的な導入流路2,3の形態であり、図8(b)〜(d)は、その変形例である。
【0089】
図8(b)は、第1番目の導入流路2a,3aが合流する合流部4aよりも下流側に、同様の構成による第2番目の導入流路2b,3bを配置したものである。各導入流路2a〜3bから、それぞれ所望の流体を供給することにより、流量調整を可能にしている。なお、第2番目の導入流路2b,3bは、供給する流体の種類を第1番目の場合と逆にしてもよい。上記実施形態においても最終的には両流体は混合されるが、導入流路2b,3bから供給する流体の種類を逆にすることで、両流体の混合状態を向上させることが期待できるからである。また、導入流路2b,3bから導入される流体には、導入流路2a,3aから導入される流体に含まれる粒子とは異なる種類の粒子を含ませても良い。
【0090】
図8(c)は、導入流路2,3の流下方向を若干変更したものであり、図8(d)は、混合流路5に対し直線的に第1の流体を供給する第1の導入流路2に対し、第2の導入流路3を両側から斜状に供給させる構成としたものである。第2の導入流路3を両側に各1個(合計2個)配置することにより、第1の流体に対する第2の流体の供給量(流量)を著しく増加させることが可能となる。
【0091】
図9は、混合流路5の断面形状を円形とした場合を示している。なお、図は流路を構成する部分のみを立体的に示したものである。図9(a)は、混合流路5を単純にテーパ状とした場合であり、図2(a)の変形例であり、図9(b)は、混合流路5がテーパ型流路構造部51,52,53と拡張型流路構造部55,56とで構成された場合であり、図4(a)の変形例である。これらに図示されるように、流路断面積の変化は、流路幅のみを変化させる平面的(二次元)に限定されるものではなく、流路全体を立体的(三次元)に変化させるものでもよい。また、流路の流下方向は、平面方向(図1参照)であってもよいが、鉛直下向きであっても良い。尚、下方に導入流路流2,3を配置し、流体を上向きに圧送させるものとしても良い。
【0092】
さらに、混合流路5は図10(a),(b)に示すような構成でも可能である。これらの図は、流速変化領域としての形状を変形したものであり、図10(a)は、平行流路(標準流路構造部)50を基準とし、流路5の片方の側面のみを膨出させた膨出部(拡張型流路構造部の変形)58を形成することにより拡径させた形態であり、図10(b)は、流路5の内側に突出させる突出部59を形成することにより縮径させた形態である。このように、平行流路を基準としつつ流路の一部を拡径し、または縮径することにより、混合流路5を流下する流体は、膨出部58および突出部59の近傍では流速が変化して攪拌される効果を誘発させることとなる。
【0093】
なお、図示の膨出部58および突起部59は近接して形成しているが、適宜距離を有して形成してもよい。また、上記の膨出部58および突起部59は、混合流路5の全体に至る範囲に繰り返して構成してもよいが、部分的に構成してもよい。例えば上流側のみ、または下流側のみに構成し、その他の流路を平行流路またはテーパ状の流路としてもよい。混合流路5の一部にテーパ状の流路を設ける場合には、異なる形態の流速変化領域が同一流路内に形成するものであるが、流体に対する混合の効果を(攪拌効果)得るためには、複数の形態による流速変化領域を組み合わせることも可能である。
【0094】
なお、上記構成のほか、流速変化領域としては、特に図示はしないが、混合流路の一部を湾曲させる場合があり得る。湾曲させる場合には、流路内壁が円滑な曲線を有する状態とすることが好ましい。例えば、同心円による円弧状の壁面とすることにより、小径の曲線部と大径の曲線部とを設けることにより、両者の曲線の長さが異なり、短い曲線の壁面に沿って流下する流体は長い曲線の壁面に沿って流下する液体よりも、その流速は相対的に緩慢になることから、流速の変化を生じさせることができるのである。また、例えば、流路内壁が円滑でない場合(角が形成される場合)には、流体の流れが著しく停滞することとなり、液体の一部が留り、所定の割合による混合状態を得られないことがあるが、円滑な壁面とすることにより、そのような停滞を生じさせないことができる。なお、湾曲形状としては、L字状やU字状に湾曲させることが一般的であるが、それ以外の形状でもよい。また、湾曲させる部分は、一箇所である必要はなく、複数設けることができる。
【0095】
複合粒子の製造装置に係る実施形態は上述のとおりであるが、本発明がこれらの実施形態に限定させるものではない。本発明の趣旨の範囲内において種々の変更は可能であり、各実施形態の一部または全部を組み合わせた形態で流路を構成しても良い。例えば、標準流路構造部50(図6参照)は平行流路を基本としているが、これをテーパ状に構成してもよい。この場合の標準的な流速は勾配の中間位置における流速として設計すればよい。
【0096】
また、混合流路5に設けた突起部59は、円弧状に内側に突出させるものとしたが、流路幅を縮径できるものであれば、これに限られるものではなく、釣り鐘状に突出させても良く、また、矩形状に突出する形態であってもよい。更には、流下する流体に渦流を発生させるものであれば、流路形状は流路径を縮径する形態に限られない。例えば、各導入流路2,3から導入される2種類の流体の供給に際して、一方の液体の流速に比して他方の液体の流速を大幅に増速させるなど相対速度の差を大きくすることで、渦流を発生させるものとしても良い。かかる場合には、流路において流速変化領域を非設としても良い。
【0097】
また、図示を省略したが、各導入流路2,3に対する流体の供給に際しては、適宜な流量を提供するため、流量調整手段が設けられる。この流量調整手段は、専ら導入流路2,3に対する吐出量を調整する装置であり、加圧装置(ポンプ)および必要に応じて適宜設けられる開閉弁(バルブ)によって構成され得る。吐出量の変更により、供給量が変更される。また、供給量は加圧された流体の流速の調整によって変更することができる。同一流路断面積に対する流速の変化により流量が調整できるからである。
【0098】
また、これらの流量調整手段から供給部21,31(図1)までの流路として送液管を使用し、混合された後の複合粒子を含む混合流体を回収するために、流出口6(図1)に接続する送液管を設ける必要があることは当然であり、これらを含めて製造装置として把握することも可能である。
【0099】
次に、上述の製造装置を使用した複合粒子の製造方法について説明する。図11(a)にその一例を示す。この図に示されるように、粒子A,Bは、それぞれに個別に電荷調整工程によって表面電位が調整される(S10)。ここでの電荷調整工程では、粒子A,Bが相互に反対の極性となるように調整される。例えば、粒子Aの表面電位を正に調整する場合には、粒子Bを負に調整するのである。但し、各粒子A,Bが既に所定の表面電位を有している場合には、当該粒子に対する電荷調整工程を省略することがあり得る。
【0100】
粒子A,Bに対する電荷調整工程は流体中に含有された状態で行われることから、表面電位が調整された粒子A,Bは、そのまま各流体に含有された状態で流量調整され(S20)、製造装置に供給されて混合される(S30)。
【0101】
ここで、各粒子A,Bの表面電位の調整について詳述する。各粒子A,Bの表面電位の調整には、アニオン性電解質またはカチオン性電解質が使用され、粒子A,Bがプラスに帯電している場合には、アニオン性電解質を投与してマイナスに帯電させ、逆に、プラスに帯電している場合には、カチオン性電解質を投与してプラスに帯電させるのである。さらに、その後、極性を反転させてもよい。そして、これらの粒子A,Bは、それぞれが個別の流体に含有されており、それぞれの流体中にポリアニオン(アニオン性電解質)溶液またはポリカチオン(カチオン性電解質)溶液が添加されることにより、液中におけるそれぞれの粒子A,Bについて表面電位が調整される。
【0102】
図11(b)には、プラスに帯電する粒子について、電荷調整工程を実施する際の工程を示す。この図11(b)に示されるように、流体中に含有する粒子がプラスに帯電している場合には、まず、ポリアニオン溶液を添加し、粒子の表面をマイナスに帯電(S21)させたうえで、さらにポリカチオン溶液を添加することにより、粒子の表面電位をプラスに帯電(S22)させるのである。この電荷調整工程により、粒子の表面はほぼ均等にプラスに帯電し、マイナスに帯電する粒子との間で良好に静電吸着可能な状態となるのである。図示とは逆に、粒子がマイナスに帯電している場合には、当該粒子が含有される流体に、まず、ポリカチオン溶液を添加し、その後にポリアニオン溶液を添加することにより、マイナスに帯電させるのである。
【0103】
なお、これらのポリアニオン溶液およびポリカチオン溶液の添加は、交互に各1回とする必要はなく、混合すべき物質粒子が同じ極性に帯電している場合には、いずれか一方についてさらに極性を反転させる溶液を添加してもよく、または、ポリアニオン溶液またはポリカリオン溶液のいずれか一方を1回のみ添加することでもよい。上記の電荷調整は、本願発明者らによって開発された発明(WO2012/133696号公報)に基づくものであり、詳細な説明は省略するが、粒子A,Bのいずれについても均等にプラスまたはマイナスに帯電させることにより、各粒子A,Bは流体中において均等に分散した状態となる。
【0104】
このように、二種類の流体中において均等に分散された状態の粒子A,Bは、両流体が混合することにより、相互に接近し、混合流体中において相互に静電吸着することにより複合粒子が製造される。従って、上述のような製造装置(流路構造)に供給された流体が適度に混合することにより、供給された流体の量(粒子の量)に応じ、一方の粒子に対して他方の粒子が吸着する割合(吸着割合)を調整することができるのである。この吸着割合が調整できることにより、所望の特性を有する複合粒子を製造することができる。また、複合化されないまま残存する粒子数を極めて少なくすることができ、且つ、設定した吸着割合を大きく逸脱することのない範囲で均質な複合粒子を製造することができる。
【0105】
製造方法に係る実施形態は上記のとおりであるが、本発明が上記に限定されるものではない。本発明の趣旨の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、流量調整工程では、前述の製造装置におけるポンプ等を使用することが可能であるが、自然流下による流体供給の場合はバルブの開閉状態のみによって流量を調整することも可能である。また、図8(b)または(d)に示すように、導入流路2,3を複数設ける構成の製造装置においては、当該導入流路2,3に対する供給の有無によって流量を調整することも可能である。さらには、予め流体中に含有する粒子の量(濃度)を調整できる場合には、流量調整工程を省略することも可能である。
【実施例】
【0106】
上述の実施形態において説明した複合粒子の製造装置について、具体的な装置を作製し、複合粒子を製造する実験を行ったので、その例を以下に説明する。
<実験に使用する装置>
実験に使用した装置は、図12に示すように三層構造としており、流路基板は、平坦な板状部材で構成される平板基部11aと、薄肉板状部材に流路を貫通して形成した流路用基板11bとで構成され、さらに蓋部12を積層することによって製造装置を構成したものである。図の流路形状は、拡張型流路構造部を形成したものを例示しているが、以下のとおり、実験の内容に応じて変更している。各板はアクリル製の板材を使用し、流路用基板11bは、レーザー加工機によって所望形状の流路にレーザーカッターで切断する方法により作製した。
<実験用粒子および流体>
一方の粒子は、住友化学工業社製の粒径1.5μmのアルミナ粒子を使用して、これを母粒子とし、他方の粒子は、同社製の粒径100nmのアルミナ粒子を使用して、これを子粒子とした。子粒子(第1の粒子)の表面電位を正に調整し、母粒子(第2の粒子)の表面電位を負に調整した。表面電位の調整に使用する電荷調整剤(電解質)としては、負に調整させる場合はポリスチレンスルホン酸(PSS)を、正に調整させる場合はポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)(PDDA)を使用した。
【0107】
PDDA溶液およびPSS溶液を作製し、母粒子(第2の粒子)は、PSS溶液によって負に帯電させたうえ、PDDA溶液により正に帯電させ、さらに、再度PSS溶液によって負に帯電させた。子粒子(第1の粒子)は、PSS溶液によって負に帯電させたのち、PDDA溶液によって正に帯電させた。なお、PDDA溶液は、純水1リットルに対し、1wt%のPDDAおよび0.5Molの塩化ナトリウムを含有したものであり。PSS溶液は、純水1リットルに対し、1wt%のPSSおよび0.5Molの塩化ナトリウムを含有したものである。
【0108】
実験においては、表面電位の調整は、前記各溶液に粒子を入れた状態で撹拌した後、遠心分離器による分離操作にて粒子を沈殿させて上澄みの溶媒を取り除いた。その後、PDDAおよびPSSが残余しないように、純水を入れて撹拌した後、遠心分離器を用いて粒子と純水とを分離し純水を除去する洗浄工程を3回繰り返し、上記PDDAまたはPSS溶液による帯電の処理を行った。
【0109】
第1の流体および第2の流体は、純水(25℃、粘度0.894mPa・s)を使用し、各粒子が含有した状態において、それぞれ240mlとなるように調整した。
<流体供給のための構成>
流体を導入流路に供給するための装置として、YMC(株)社製のデゥアルプランジャーポンプ2台使用し、一方の流体を第1の導入流路へ、他方の流体を第2の導入流路へ供給するためのものとして使用した。導入流路へ供給するための供給部21,31(図12参照)は、直径0.5mmとして形成した。
<流体供給方法>
上記流体供給のためのポンプを使用して流路内に流体を供給する際は、予め2台のポンプに、第1および第2の流体を個別に吸引させ、当初は5ml/minの流速(流量)で供給し、流路内の空気の侵入(空気の残存)を解消させたうえで、所望流速(流量)による供給を開始することとした。また、二種類の粒子が静電吸着されてなる複合粒子の観察は、所定の流速(流量)によって流路内に供給を開始した後、約10秒を経過した以降のものを採取することとした。
<実験1>
実験用流路1
上記の要領により、肉厚2mmのアクリル製の板材を使用し、図13に示すような全体をテーパ状とする流路を、流路用基板として作製した。アクリル板に作製した流路は貫通するものであり、流路の深さは板厚と同じ2mmである。なお、図の流路構造において、流路幅WAは2mm、WBは0.5mmとし、全体の流路長LLは100mmとした。なお、導入流路の流路幅は混合流路の合流部と同じWA=2mmとし、導入流路の長さL0は10mmとした。
比較例1
上記テーパ状流路による複合粒子の作製状態の評価のため、同じ流路断面積(流路幅)による比較用流路を作製した。この流路は、図14に示すとおり、混合流路は、全て同じ流路断面積(流路幅)とし、末端に至る範囲に全ての流路幅をWAとしたものである。その他は実験用流路と同様とした。
実験結果1
上記両流路に対し、予め用意した第1の流体および第2の流体を導入流路から供給し、作製された複合粒子の状態をSEM像によって確認した。そのSEM像を図15に示す。図15(a)が実験用流路1を使用した場合の複合粒子であり、図15(b)が比較例1の流路を使用した場合の複合粒子の状態である。
【0110】
上記の比較により明らかなとおり、比較例1の流路を使用した複合粒子では、母粒子に吸着される子粒子の状態が偏った状態となっている。すなわち、母粒子1個に対して吸着する子粒子の数が多数のものと、僅かなものとが混在している。これに対し、実験用流路1を使用した場合の複合粒子は、正確な子粒子の数までは確認していないが、いずれの母粒子に対しても概ね同程度の子粒子が吸着している。
【0111】
上記の実験結果から、流路形状をテーパ状にすることによって、流路の連続方向に流路断面積が不均一となるような流路構造において、両粒子が十分に分散しつつ吸着している結果となることが判明した。
<実験2>
第2の実験として、流路用基板は、上記と同じ要領により、肉厚2mmのアクリル製の板材を使用し、図16に示すようなテーパ型流路構成部と拡張型流路構造部とを形成した。この場合も流路は貫通するものであり、流路の深さは板厚と同じ2mmである。テーパ型流路構成部のうち、流路幅の大きい部分では、その流路幅WAを2mmと固定した。この流路幅WAは、拡張型流路構造部の流出部における流路幅と同じである。また、テーパ型流路構成部の狭幅部分(拡張型流路構造部の流入部)の流路幅を「d」とし、これを1mmに固定した。なお、テーパ型流路構造部の流路長は適当に作製したが、実験用の流路では約5mmであった。
【0112】
実験に先立ち、上記構成において、拡張型流路構造部の本体部の流路幅を「D」、拡張型流路構造部の本体部の流路長を「L」として、これらを変更しつつ、複数種類の形状とした流路を使用し、その好適な比率を求めるためのシミュレーションを行った。このシミュレーションは、二種類の流体が拡張型流路構造部における混合状態を観察するものであり、上記形状を基準に、拡張型流路構造部の流路幅「D」および流路長「L」を適宜変更した場合の混合状態を観察した。
【0113】
上記シミュレーションの結果から、拡張型流路構造部を形成する場合、流入部の流路幅dに対する本体部の流路幅Dの割合を1:3〜1:7の範囲とする場合、流入する流体に対流(渦流)が生じ、二種類の流体が好適に混合されることが判明した。また、拡張型流路構造部の本体部の流路幅Dと流路長Lとの比率については、D:L=1:1よりも流路長Lが大きければ、流体の混合状態に差違がないことも判明した。
【0114】
そこで、上記シミュレーションの結果に基づき、流路長「L」は流路幅「D」と同一(両者の比率を1:1)とし、流路幅「D」および流路長「L」を3mm〜30mmの範囲で変化させた流路を作製し、実際に複合粒子を製造する実験を行った。その実験において作製された複合粒子のTEM像を観察したところ、下表のとおりの結果となった。
【0115】
【表2】
【0116】
以上の実験を総合的に判断すれば、混合流路の流路断面積を変更するような流路形状とすることにより、二種類の粒子が相互に分散し、所望の複合粒子を製造し得ることとなる。特に、拡張型流路構造部を形成する場合には、本体部の流路幅と流入部の流路幅との比が1:3〜1:10において良好であり、1:3〜1:5において更に良好であり、1:5において最も好適な複合粒子を作製し得る。
【符号の説明】
【0117】
1 複合粒子製造装置
2 第1の導入流路
3 第2の導入流路
4 合流部
5 混合流路
6 流出口
7,8 混合領域ユニット
11 流路基板
12 蓋部
21,31 供給部
50 標準流路構造部
51,52,53,54 テーパ型流路構造部
55,56,57 拡張型流路構造部
58 膨出部(拡張型流路構造部の変形)
59 突出部
A,B 粒子
C 複合粒子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16