特許第6796878号(P6796878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000002
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000003
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000004
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000005
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000006
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000007
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000008
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000009
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000010
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000011
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000012
  • 特許6796878-基板矯正方法,基板矯正システム 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796878
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】基板矯正方法,基板矯正システム
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/26 20060101AFI20201130BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20201130BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B41F15/26 A
   B41F15/08 303E
   H05K3/34 505D
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-539475(P2018-539475)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(86)【国際出願番号】JP2016077494
(87)【国際公開番号】WO2018051495
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2019年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 丈喜
(72)【発明者】
【氏名】清水 利律
(72)【発明者】
【氏名】絹田 実
【審査官】 石附 直弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−065900(JP,A)
【文献】 特開平06−230061(JP,A)
【文献】 特開2013−071284(JP,A)
【文献】 特開2011−143549(JP,A)
【文献】 特開2005−047123(JP,A)
【文献】 特開2011−020392(JP,A)
【文献】 特開2007−245593(JP,A)
【文献】 特開2008−135577(JP,A)
【文献】 米国特許第05862588(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F15/00−19/08
H05K3/00−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下面の互いに隔たった複数箇所において当接可能な1つ以上の基板支持部材を有し、前記基板を下方から支持する基板支持装置と、
前記基板の上面に当接可能な基板押さえ部材を有し、その基板押さえ部材を介して前記基板を上方から押さえる基板押さえ装置と
を含み、前記基板押さえ部材と前記1つ以上の基板支持部材とを前記基板に押し付けることにより、前記基板を矯正する基板矯正システムであって、
前記基板押さえ部材が前記基板の上面に当接する箇所である押さえ箇所を、前記基板の厚さと、前記1つ以上の基板支持部材が前記基板の下面に当接する前記複数箇所を表す複数の支持箇所とに基づいて自動で決定する押さえ箇所決定部を含むことを特徴とする基板矯正システム。
【請求項2】
前記押さえ箇所決定部が、前記基板の厚さが第1設定値より大きい場合には、前記押さえ箇所を前記基板の中央部に決定し、前記基板の厚さが前記第1設定値より小さい第2設定値以下の場合には、前記基板の下面の前記複数の支持箇所のうちの前記中央部に最も近い支持箇所に対応する前記上面の箇所に決定するものである請求項1に記載の基板矯正システム。
【請求項3】
前記押さえ箇所決定部が、前記基板の厚さが前記第2設定値より大きく前記第1設定値以下の場合において、前記基板の割線が前記基板の中央部を通らない場合には、前記押さえ箇所を前記基板の前記中央部に決定し、前記基板の割線が前記基板の前記中央部を通る場合には、前記複数の支持箇所のうち前記基板の中心から最も近い支持箇所に対応する前記上面の箇所に決定するものである請求項2に記載の基板矯正システム。
【請求項4】
前記押さえ箇所決定部が、前記基板の厚さおよび前記複数の支持箇所と、前記基板の割線が通る箇所とに基づいて前記押さえ箇所を決定するものである請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板矯正システム。
【請求項5】
当該基板矯正システムが、前記基板の設定箇所の高さを測定する高さセンサを含み、前記高さセンサによって測定された前記基板の前記設定箇所としての前記押さえ箇所決定部によって決定された前記押さえ箇所の高さが、設定高さ以上である場合に、前記基板押さえ部材と前記1つ以上の基板支持部材とを前記基板に押し付けるものである請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板矯正システム。
【請求項6】
当該基板矯正システムが、
前記1つ以上の基板支持部材を上方から撮像可能な撮像装置と、
その撮像装置による撮像画像に基づいて取得された前記複数の支持箇所を表示するディスプレイと
を含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板矯正システム。
【請求項7】
基板の下面の互いに隔たった複数箇所に負圧を供給して、吸引することにより前記基板の位置決めをするとともに、前記基板を下方から支持する基板支持装置と、
前記基板の上面に当接可能な基板押さえ部材を有し、その基板押さえ部材を介して前記基板を上方から押さえる基板押さえ装置と
を含み、前記基板押さえ装置と前記基板支持装置との作動により前記基板の反りを修正する基板矯正システムであって、
前記基板押さえ部材が前記基板の上面に当接する箇所である押さえ箇所を、前記複数箇所である複数の吸引箇所に基づいて自動で決定する押さえ箇所決定部を含むことを特徴とする基板矯正システム。
【請求項8】
当該基板矯正システムが、前記基板支持装置の負圧の漏れの有無を検出する漏れ有無検出装置を含み、前記漏れ有無検出装置により前記負圧の漏れが検出された場合に、前記基板押さえ装置と前記基板支持装置との作動により前記基板の反りを修正するものである請求項7に記載の基板矯正システム。
【請求項9】
基板の下面の複数箇所において前記基板を下方から支持する基板支持装置と、前記基板の上面に当接可能な基板押さえ部材を有し、その基板押さえ部材を介して前記基板を上方から押さえる基板押さえ装置とにより前記基板を矯正する基板矯正方法であって、
前記基板の厚さと、前記基板支持装置が支持する前記基板の下面の前記複数箇所である複数の支持箇所とに基づいて、前記基板押さえ部材が前記基板の上面に当接して押さえる箇所である押さえ箇所を自動で決定する押さえ箇所決定工程と、
その押さえ箇所決定工程において決定された前記押さえ箇所に前記基板押さえ部材を当接させて、前記基板押さえ装置と前記基板支持装置とにより前記基板の反りを修正する反り修正工程と
を含むことを特徴とする基板矯正方法。
【請求項10】
前記基板支持装置が、前記基板に当接可能な1つ以上の基板支持部材を含み、
当該基板矯正方法が、
前記反り修正工程の後に、前記1つ以上の基板支持部材が前記複数の支持箇所において前記基板の下面に当接した状態にあるか否かを検出する当接状態検出工程と、
その当接状態検出工程において、前記1つ以上の基板支持部材が前記複数の支持箇所において前記基板の下面に当接していないと検出された場合に、前記押さえ箇所を、前記押さえ箇所決定工程において決定された前記押さえ箇所を除いた、前記複数の支持箇所のうちの、前記基板の中心から最も近い支持箇所に対応する前記上面の箇所に決定する再押さえ箇所決定工程と
を含む請求項9に記載の基板矯正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の矯正に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回路基板を矯正する方法である基板矯正方法および基板矯正システムが記載されている。特許文献1の[0011]の(2)の説明の欄には、基板の材料、厚さ等に基づき反りがあると推定される場合には、矯正の実行が設定されること、矯正実行の選択ないし設定は、制御装置により自動的に行われてもよい旨が記載され、[0046]には、「基板押さえ個所が1個所の場合、基板40の中央部に対応する位置である。基板40の中央近傍部が基板支持ピン84によって下方から吸着されるのであれば、その支持される部分を押さえてもよい。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−245593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特許文献1に記載の方法とは異なる方法で、基板押さえ箇所を自動で設定可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、基板押さえ箇所が、回路基板(以下、単に基板と略称する)の厚さと基板の支持箇所とに基づいて自動で設定される。例えば、基板の厚さが第1設定値より大きい場合には、基板の支持箇所がいずれであっても、基板の押さえ箇所が中央部とされ、基板の厚さが第2設定値以下の場合には、基板の中心に最も近い基板の支持箇所に対応する上面の箇所とされる。このように、基板の厚さと基板の支持箇所とに基づけば、基板の押さえ箇所を適切に設定し、良好に矯正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】基板の矯正が行われるスクリーン印刷機の正面図である。
図2】上記スクリーン印刷機の一部を表す側面図である。
図3】上記スクリーン印刷機の基板保持装置を示す側面図である。
図4】上記基板保持装置の基板支持装置の要部を表す断面図である。
図5】上記スクリーン印刷機の撮像装置移動装置を表す平面図である。
図6】上記基板保持装置の基板押さえ装置を表す図である。
図7】上記スクリーン印刷機の制御装置の周辺を概念的に示すブロック図である。
図8】上記制御装置の記憶部に記憶された矯正プログラムを表すフローチャートである。
図9】上記スクリーン印刷機のディスプレイの一例を示す図である。
図10】上記スクリーン印刷機の作動を示す図である。(a)中心を押さえる状態。(b)中心に最も近い支持位置へ移動した状態。(c)中心に次に近い支持位置へ移動した状態。(D)その位置で押さえる状態。
図11】上記基板支持装置とは別の基板支持装置(支持ブロックを含む)を示す断面図である。
図12】上記別の基板支持装置が取り付けられた場合のディスプレイの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0008】
図1に、スクリーン印刷機を示す。本スクリーン印刷機は、基板Sにクリーム状はんだ(以後、はんだと略称する)を印刷するものであり、印刷機本体6,基板搬送装置8,基板保持装置10、スクリーン12,スクリーン保持装置14,スキージ装置16等を含む。
【0009】
図1,3に示すように、基板搬送装置8は、基板Sを搬送するものであり、1対のコンベア20a,20b、それら1対のコンベア20a,20bを駆動する図示しない搬送モータ等を含む。以下、本明細書において、基板Sの搬送方向をx方向とし、基板Sの搬送方向と直交する方向である幅方向をy方向とし、基板Sの厚さ方向、すなわち、スクリーン印刷機の上下方向をz方向とする。
【0010】
スクリーン12は、印刷機本体6の上部に設けられたスクリーン保持装置14によって水平な姿勢で保持されている。スクリーン12には、基板Sへの印刷箇所に対応する部分に複数の貫通孔が形成されている。スキージ装置16は、スクリーン12の上方に設けられ、図2に示すように、1対のスキージ30a,30b、それら1対のスキージ30a,30bの各々を昇降させる1対のスキージ昇降装置32a,32b、1対のスキージ30a,30bをスクリーン12に沿って基板Sの幅方向(y方向)に移動させるスキージ移動装置34(図7参照)等を含む。一対のスキージ30a,30bは、それぞれ、y方向へ移動させられつつ昇降させられ、スクリーン12に接触させられる。それにより、はんだが、スクリーン12の貫通孔を通って、基板Sの上面の対応する部分に印刷される。
【0011】
基板保持装置10は、図3に示すように、基板支持装置40、クランプ装置42、上面規定装置46等を含む。
【0012】
クランプ装置42は、y方向に隔てて設けられた一対の本体43a,43b、本体43a,43bにそれぞれ設けられた1対のクランプ部材44a,44b等を含み、クランプ部材44a,44bが、基板Sを幅方向の両側から保持する。一方の本体43aが固定、他方の本体43bが可動とされ、これら一対のクランプ部材44a,44bの間隔が可変とされている。一対の本体43a,43bには、それぞれ、コンベア20a,20bが取り付けられている。上面規定装置46は、クランプ装置42のy方向の外側に設けられ、y方向に移動可能な一対の本体47a,47b、本体47a,47bにそれぞれ取り付けられた一対の合わせ部材48a,48b等を含む。一対の合わせ部材48a,48bの下面に一対のクランプ部材44a,44bの上面と、基板Sの上面とが当接させられることにより、基板Sの上面の高さが規定される。
【0013】
基板支持装置40は、図4に示すように、基板Sの下面の互いに隔たった複数箇所で当接可能な複数の基板支持部材としての複数の基板支持ピン50、ピン支持台52等を含む。基板支持ピン50は、それぞれ、本体53、その本体53の内部に形成された負圧通路54、負圧通路54の上端開口部の周りに取り付けられた吸着パッド56等を含む。ピン支持台52には、負圧通路60、負圧通路60に連通させられた複数の負圧供給口62等を含む。複数の基板支持ピン50は、それぞれ、負圧供給口62が負圧通路54内で開口する状態で、着脱可能にピン支持台62に取り付けられる。基板支持ピン50は、複数の負圧供給口62のすべてに取り付けられるとは限らず、基板Sの下面にすでに取り付けられた部品等の邪魔にならない箇所に取り付けられる。基板支持ピン50が取り付けられない負圧供給口62にはキャップ70が取り付けられ、負圧の漏れが防止される。また、負圧通路60には、負圧源64が電磁弁65を介して接続されるとともに、負圧センサ66が設けられる。負圧センサ66により、複数の基板支持ピン50の各々の負圧通路54の負圧が共通に検出される。以上のように、基板支持ピン50は基板Sを下方から支持するとともに、負圧の供給(吸引)により基板Sのずれを防止するものである。そのため、基板支持ピン50が取り付けられる基板上の箇所を支持箇所、吸引箇所と称することができる。本実施例において、支持箇所、吸引箇所は、基板支持ピン50の中心の基板上のx、y座標上の位置である支持位置、吸引位置で表す。また、基板支持ピン50の吸着パッド56が基板Sの下面と当接する環状部分の外周縁の内側の領域を支持箇所であると考えることができるが、その場合には、支持箇所の中心が支持位置であると考えることができる。
【0014】
基板保持装置10は、さらに、図3に示すように、クランプ部材接近・離間装置74、合わせ部材移動装置76、第1昇降装置80、第2昇降装置82、第3昇降装置84等を含む。
【0015】
クランプ部材接近・離間装置74は、電動モータ77の駆動により運動変換機構を介して本体43bをy方向に移動させるものであり、合わせ部材移動装置76は、一対のエアシリンダ79a,79bの作動により本体47a,47bをそれぞれy方向へ移動させるものである。
【0016】
第1昇降装置80は、基板支持装置40、クランプ装置42、上面規定装置46が取り付けられた第1昇降台86を、駆動源としての電動モータ90により運動変換機構91を介して昇降させるものである。第2昇降装置82は、クランプ装置42が取り付けられた第2昇降台88を昇降させるものであり、駆動源としてのエアシリンダ92、エアシリンダ92のピストンのy方向の移動をz方向の移動に変換して、第2昇降台88に伝達する一対のカム機構93a,93b等を含む。第3昇降装置84は、基板支持装置40を昇降させるものであり、第2昇降台88に固定された駆動源としての電動モータ95の駆動により運動変換機構96を介して基板支持装置40を昇降させるものである。
【0017】
本スクリーン印刷機は、図1,5に示すように、撮像装置100と、その撮像装置100を、スクリーン12と基板保持装置10との間において、スクリーン12および基板Sと平行に移動させる撮像装置移動装置102とを含む。撮像装置100は、基板S、スクリーン12に設けられたマークを撮像するが、本実施例においては、基板支持装置40も撮像する。撮像装置移動装置102は、撮像装置100を、x方向に移動させるx移動装置104と、y方向に移動させるy移動装置106とを含む。x移動装置104は、xスライダ110、駆動源としてのx軸モータ112、x軸モータ112の回転をxスライダ110の直線移動に変換する運動変換機構114、一対のガイドレール116a,116b等を含む。y移動装置106は、xスライダ110に設けられ、撮像装置100が取り付けられたyスライダ120、駆動源としてのy軸モータ122、y軸モータ122の回転をyスライダ120の直線移動に変換する運動変換機構124、ガイドレール126等を含む。
【0018】
yスライダ120には基板押さえ装置130も取り付けられる。基板押さえ装置130は、基板Sの上面を上方から押さえるものであり、図6に示すように、基板押さえ部材132、押さえ部材昇降装置134、案内装置136等を含む。押さえ部材昇降装置134は、複動式のエアシリンダにより構成され、図示しないピストンの両側の上室と下室とには、それぞれ、電磁弁140,142が接続される。電磁弁140,142の切換えにより、上室、下室がそれぞれエア源としての正圧源144と大気とに選択的に連通させられ、基板押さえ部材132が、上昇端位置と下降端位置とに移動させられる。
【0019】
基板押さえ装置130には高さセンサ146が取り付けられる。高さセンサ146は、例えば、光を照射角度θで照射して反射光を受光することにより、基板押さえ部材132の下方の基板Sの上面の押さえ箇所(厳密に言えば、光が照射された点)までの距離Lを検出する。また、高さセンサ146と当該スクリーン印刷機の予め定められた基準位置との間の距離である高さHsは既知である。そのため、高さセンサ146によって、高さセンサ146と基板Sの設定部分との間の距離Lが求められれば、基板Sの設定部分の基準位置からの高さHを求めることができる(H=Hs−L)。
【0020】
本スクリーン印刷機は、図7に示す制御装置150により制御される。制御装置150は、コンピュータ152を主体とするものであり、実行部154,記憶部156,入・出力部158等を含む。入・出力部158には、本スクリーン印刷機に含まれる駆動源等が駆動回路170を介して接続されるとともに、撮像装置100、負圧センサ66、高さセンサ146、ディスプレイ164、操作入力部166、外部コンピュータ168等が接続される。ディスプレイ164がタッチパネルの機能を有する場合には、操作入力部166の一部の機能を有する場合がある。制御装置150に外部コンピュータ168が接続されることは不可欠ではないが、本実施例においては、外部コンピュータ168において、撮像装置100によって撮像された撮像画像の処理が行われる。
【0021】
次に、基板Sを矯正する方法について説明する。
基板Sがスクリーン12の下方の予め定められた位置に到達すると、予め決められた作動が行われ、図10(a)に示すように、基板Sの上面の両側縁が合わせ部材48a,48bの下面に当接させられ、かつ、基板Sのy方向の両側端面がクランプ部材44a,44bから離間した状態とされる。この状態において、基板押さえ部材132が決められた押さえ箇所へ移動させられ、第1昇降装置80と押さえ部材昇降装置134との少なくとも一方の作動により、複数の基板支持ピン50および合わせ部材48a,48bと、基板押さえ部材132とが接近させられて、基板Sが押さえられる(以下、単に、基板を押さえる、基板押さえを行う等と称する)。このように、基板押さえが、基板Sの浮き上がりが抑制されて幅方向の伸びが許容される状態で行われるため、基板Sの反りを良好に小さくすることができる。
【0022】
また、基板Sの矯正において基板押さえが複数回行われる場合があるが、基板Sの矯正が開始される前と複数回の基板押さえの各々が行われた後とに、それぞれ、負圧センサ66によって負圧通路60の負圧が検出される。検出された負圧が設定負圧より大気圧に近い場合には負圧の漏れが有り、すべての基板支持ピン50が基板Sの下面に当接していない、すなわち、基板Sが反っていると判定される。それに対して、負圧が設定負圧より真空に近い場合には負圧の漏れが実質的になく、すべての基板支持ピン50が基板Sの下面に当接している、すなわち、実質的に基板Sに反りがないと判定される。そのため、基板Sの矯正が開始される前に負圧の漏れが無いと判定された場合には、基板Sの矯正は開始されず、基板押さえが行われた後に漏れがないと判断された場合には、基板Sの矯正が終了させられる。
【0023】
基板Sの押さえ箇所は、基板の厚さD、割線Aが通る箇所、基板支持ピン50の支持位置等に基づいて自動で決定される。本実施例において、押さえ箇所は、基板押さえ部材132の下面132fの中心点が位置するx、y座標上の位置である押さえ位置で表す。
基板Sの大きさ、厚さD、基板の割数は作業計画情報等から読み込まれ、数値が図9に示すディスプレイ164の入力表示部180に表示され、基板Sを表す図形が入力表示部182に表示される。割線Aが通る位置は、基板Sの大きさ(x、y方向の寸法)と基板Sのx、y方向の割り数とに基づいて決まり、入力表示部182に、基板Sの画像に重ねて表示される。
【0024】
また、基板支持ピン50の支持位置等は、作業者によって、ディスプレイ164上の、ピン選択部188aがタッチまたはクリック(以下、タッチ等と称する)された後に、操作入力部166を介して入力されるが、入力された数値は入力表示部184に表示される。一方、支持位置等取得コマンド186がタッチ等された場合には、撮像装置100によって複数の基準支持ピン50等が上方から撮像され、その撮像画像が外部コンピュータ168において処理されて、支持箇所が入力表示部182に基板Sと重ねて表示される。このように、支持箇所が撮像装置100による撮像画像に基づいて取得されて表示されるため、作業者は、作業者による入力や基板支持ピン50の取付け位置の確認を行うことができ、誤りがあった場合には修正することができる。なお、撮像画像に基づいて支持位置が取得されて入力表示部182に表示されるようにすることもできる。
【0025】
さらに、複数の基板支持ピン50の他に、図示を省略するが、負圧が供給されない(吸引機能を備えていない)支持ピンが設けられる場合があり、その場合には、負圧が供給される基板支持ピン50の支持位置(図9にVac支持位置と記載)と負圧が供給されない支持ピンの支持位置(非Vac支持位置と記載)とが区別して入力される。
【0026】
支持位置等が入力された後に、押さえ位置自動設定コマンド190がタッチ等されると、押さえ位置が決定されて、押さえ位置表示部192に表示される。
1回目の押さえ位置は、以下のように決定される。
(a)厚さDが第1設定値Dth1より大きい場合(D>Dth1)には、原則として、押さえ位置が基板Sの中心に決定される。基板Sが厚い場合には、割線A、基板支持ピン50の有無に関係なく、基板押さえが行われても、基板Sの破損等は生じ難いと考えられる。また、基板Sの中心において基板押さえが行われれば、基板全体の反りを良好に小さくすることができる。以上のことから、基板Sが厚い場合には、押さえ位置が中心に決定されるようにしたのである。一方、基板Sの中心の下面に部品がすでに装着されている場合等、基板Sの中心において基板押さえが行われることが望ましくない場合には、押さえ位置が中心から離れた中心近傍の位置に決定される場合がある。押さえ位置が基板Sの中心の近傍であれば、基板全体の反りを良好に小さくし得ると考えられるからである。このように、押さえ位置が中心であっても、中心近傍の位置であっても(以下、これらを合わせて中心等と称する場合がある)、基板押さえ部材132は、下面132fの中心点が押さえ位置と一致する位置へ移動させられ、基板Sの上面と当接させられる。そのため、基板押さえ部材132の下面132fと基板Sの上面とが当接する部分が押さえ箇所に対応し、その押さえ箇所が基板Sの中央部に対応する。以上のことから、基板Sの中央部は、基板Sの中心を含む部分となると考えられる。
【0027】
(b)厚さDが第1設定値Dth1より小さい第2設定値Dth2(Dth2<Dth1)以下である場合(Dth2≧D)には、押さえ位置が複数の基板支持ピン50の支持位置のうち基板Sの中心に最も近い支持位置に対応する上面の位置とされる。基板Sが薄い場合には、基板支持ピン50によって下方から支持されていない位置で基板押さえが行われた場合に、基板Sの破損等が生じ易いからである。
【0028】
(c)厚さDが第2設定値より大きく、第1設定値以下の場合(Dth1≧D>Dth2)には、基板Sの下方に基板支持ピン50がなくても割線Aが通っていなければ、その位置において基板押さえが行われても基板Sの破損等は生じ難いが、割線Aが通っていて基板支持ピン50がない位置において基板押さえが行われると、基板Sの破損等が生じ易くなる。そのため、押さえ位置は、原則として、基板Sの中央部を割線Aが通らない場合には中心等とされる。押さえ箇所に割線Aが通っていない状態で基板押さえが行われるのである。それに対して、基板の中央部を割線Aが通る場合には中心に最も近い支持位置に対応する上面の位置とされる。
一方、本実施例においては、割線Aが基板Sの中心を通るか否かが判断される。割線Aは、基板Sを割数で分けた場合の境界線であるため、基板押さえ部材132の下面132fの面積と、基板Sの大きさ等から、押さえ位置が中心等である場合に、割線Aが基板Sの中心を通らないで、基板押さえ部材132の下面132fとの当接部を通ることは殆どない。そのため、割線Aが基板Sの中心を通るか否かを判断すればよいと考えられる。最も、割線Aが中央部を通るか否かが判断されるようにすることもできる。
【0029】
2回目以降の押さえ位置は、前回までに決定された押さえ位置(基板押さえが行われなかった位置も含む)を除き、複数の基板支持ピン50の支持位置のうち、中心に近い位置から順番に決定される。例えば、1回目に中心において基板押さえが行われた場合には、中心を除く、複数の基板支持ピン50の支持位置のうち、中心に近い位置から順番に決定される。中心が基板支持ピン50の支持位置である場合もある。
【0030】
また、押さえ位置が基板支持ピン50の支持位置である場合には、基板を押さえる前に、高さセンサ146によって、基板Sの上面の押さえ位置Pとの間の距離Lが求められる。距離Lが設定値Lthより短い場合には、基板Sの下面が基板支持ピン50から浮き上っていて、基板Sがその位置近傍において反っていることがわかる。そのため、その押さえ位置において、基板が押さえられる{図10(d)}。それに対して、距離Lが設定値Lth以上である場合には、基板Sのその部分の反りが小さく、基板Sの下面は基板支持ピン50の上面に当接していると推測される。そのため、その押さえ位置において基板が押さえられることなく{図10(b)}、基板押さえ装置130が次の押さえ位置へ移動させられる{図10(c)}。
なお、押さえ位置が中心等である場合には、距離Lが測定されることなく基板押さえが行われる。中心等において基板押さえが行われれば、基板Sの一部において反りが生じていても、矯正できる場合があるからである。
【0031】
基板の矯正は、図8のフローチャートで表される基板矯正プログラムの実行により行われる。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、負圧センサ66によって負圧が検出され、漏れの有無が検出される。漏れがない場合には基板の矯正を行う必要がないため、S2以降が実行されない。漏れがある場合には、S2において、基板の厚さD、割線Aの位置、支持位置に関する情報が読み込まれ、S3〜6において、基板Sの厚さD、割線Aの位置に基づいて、1回目の押さえ位置が中心等(S5)、または、複数の支持位置のうちの中心に最も近い支持位置に対応する上面の位置(S6)に決定される。
【0032】
S5において、押さえ位置が中心等に決定された場合には、S10において基板押さえが行われ、S11において漏れの有無が検出される。S6において、押さえ位置が支持位置に対応する上面の位置に決定された場合にはS7〜9において、図10(b)に示すように、基板押さえ装置130が、その位置へ移動させられて、基板Sの押さえ位置Pまでの距離Lが測定されて、浮き上がりの有無が検出される。浮き上がりがない場合(L1≧Lth)には、その位置で基板押さえが行われることがなく、図10(c)に示すように、次の押さえ位置へ移動させられ、再度、S6〜9が実行される。基板Sの浮き上がりがある場合(L2<Lth)には、図10(d)に示すように、S10,11において、基板押さえが行われて、負圧の漏れの有無が検出される。以下、負圧の漏れが有る間、S6〜11が繰り返し実行されるが、負圧の漏れがなくなると、基板Sの反りが小さくなったと判定されて、基板押さえが終了させられる。
【0033】
その後、スクリーン印刷が行われるのであるが、基板Sの反りが小さくされたため、上面にはんだを良好に塗布することができる。また、複数の基板支持ピン50と基板Sの下面とが良好に当接させられるため、吸引によって基板Sのずれを良好に防止し、位置決め精度を向上させることができる。
【0034】
本実施例においては、基板の押さえ位置が基板の厚さD、割線Aが通る位置、支持位置に基づいて自動で決定されるため、押さえ位置を、基板の破損を回避しつつ、適切に決定することができる。また、基板Sの押さえ位置Pの高さが検出され、その位置周辺の部分における基板Sの反りの有無が検出され、反りがないと判定された場合には、押さえ位置として決定されていても基板押さえが行われない。そのため、基板Sの反りにバラツキがあっても、真に必要な部分においてのみ基板押さえが行われるようにすることができ、作業時間の短縮を図ることができ、効率よく矯正を行うことができる。さらに、負圧の漏れの有無が検出され、漏れがないと検出された場合には、基板押さえが終了させられる。基板の反りが小さくなったことを良好に確認することができ、効率よく基板押さえを行うことができる。また、ディスプレイ164に、撮像画像に基づいて取得された支持箇所が表示されるため、作業者は入力ミス等を良好に修正することができる。
【0035】
以上のように、本実施例においては、制御装置150のS2〜6を記憶する部分、実行する部分等により押さえ箇所決定部が構成される。また、S2〜6の実行が、押さえ箇所決定工程に対応し、S10の実行が反り修正工程に対応する。さらに、S11の実行が当接状態検出工程に対応し、S11の実行後のS6の実行が再押さえ箇所決定工程に対応する。また、負圧センサ66、制御装置150のS1,11を記憶する部分、実行する部分等により漏れ有無検出装置が構成される。さらに、基板支持装置40、基板押さえ装置130、制御装置150の基板矯正プログラムを記憶する部分、実行する部分、高さセンサ146、負圧センサ66、ディスプレイ164等により基板矯正システムが構成される。
【0036】
また、複数の基板支持ピン50の代わりに、1つ以上の支持ブロックを取り付けることができる。その場合の一例を図11に示す。基板支持装置198は、1つの支持ブロック200と、ブロック保持部材202とを含む。支持ブロック200とブロック保持部材202とには、それぞれ、互いに連通させられた負圧通路204,206が形成され、上記実施例における場合と同様に、電磁弁65を介して負圧源64に接続される。また、支持ブロック200の上面には、複数の開口208が形成される。支持ブロック200の上面は、開口208の周縁において基板Sの下面に当接可能とされ基板Sを下方から支持するとともに、開口208から吸引することにより、基板Sのズレを防止する。その意味において、開口208の中心の位置は支持位置、吸引位置と称することができ、開口縁の内側が支持箇所、吸引箇所に対応する。
【0037】
図12に示すように、ディスプレイ164のブロック設定部188bがタッチ等されることにより、撮像装置100によって、支持ブロック200に設けられたマークMが撮像されて、読み込まれることにより、開口208の位置である吸引位置(支持位置)が自動で入力されて、入力表示部220に表示される。また、支持位置等取得コマンド186がタッチ等されることにより、撮像装置100によって支持ブロック200が撮像されて、得られた撮像画像に基づいて複数の吸引箇所が取得されて、入力表示部182に基板Sの画像と重ねて表示される。
【0038】
例えば、支持ブロック200の上面に複数の凹部が設けられている場合には、上記実施例における場合と同様に押さえ位置を決定することができる。それに対して、支持ブロック200の上面に凹部が設けられていない場合(支持ブロック200の上面のほぼ全体が基板Sの下面に当接可能な形状を成す場合)には、押さえ位置を、基板Sの厚さD,割線Aの位置を考慮することなく、吸引位置に基づいて決定することも可能であり、例えば、中心に最も近い吸引位置(開口208の位置)に対応する上面の位置から順に、決定することができる。基板押さえに起因する基板の破損等が生じ難いからである。このように、基板Sの下面が開口208の周縁に確実に当接することにより、基板Sのずれを防止し、位置決め精度を向上させることができる。
【0039】
なお、複数の基板支持ピン50は、負圧が供給されない非負圧型の支持ピンとすることもできる等、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
10:基板保持装置 40,198:基板支持装置 60:負圧通路 80 基板支持ピン 66:負圧センサ 100:撮像装置 130:基板押さえ装置 132:基板押さえ部材 146:高さセンサ 150:制御装置 164:ディスプレイ 200:基板支持ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12