特許第6796880号(P6796880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6796880
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】粉砕媒体および粉砕具
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/20 20060101AFI20201130BHJP
   B02C 17/14 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B02C17/20
   B02C17/14 A
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-125182(P2019-125182)
(22)【出願日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】392013224
【氏名又は名称】フロンティア・ラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉井 修
(72)【発明者】
【氏名】玉井 哲快
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 忠一
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−147170(JP,A)
【文献】 特開2010−194397(JP,A)
【文献】 特開2006−051505(JP,A)
【文献】 特開昭60−137453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00−7/18、15/00−17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕容器内に試料と共に収容され、粉砕容器内を移動することによって試料を粉砕する粉砕媒体であって、
長手方向を有する本体部と、
前記本体部の前記長手方向の一端に設けられた球状の第1凸部と、
前記本体部の前記長手方向の他端に設けられた球状の第2凸部と、
を備え、
前記本体部の直径は、前記長手方向に沿って連続的に変化しており、
前記本体部には、前記一端に向かって直径が小さくなる縮径部が設けられており、
前記縮径部は、前記本体部の前記他端から前記一端に向かって直径が小さくなるテーパ状に形成されており、
前記第1凸部の外径は、前記第2凸部の外径よりも小さい、粉砕媒体。
【請求項2】
前記縮径部は、前記本体部の中央から前記一端に向かって直径が小さくなるテーパ状に形成された第1縮径部であり、
前記本体部には、前記本体部の中央から前記他端に向かって直径が小さくなるテーパ状に形成された第2縮径部が更に設けられている、
請求項1に記載の粉砕媒体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粉砕媒体と、
試料と共に前記粉砕媒体を収容する粉砕容器と、
を備え、
前記粉砕容器は、
両端に開口を有する円筒状の容器本体と、
前記容器本体の一端側の開口を開閉可能に封止し、且つ前記容器本体の内部側に設けられた球状の第1凹部を有する第1蓋体と、
前記容器本体の他端側の開口を開閉可能に封止し、且つ前記容器本体の内部側に設けられた球状の第2凹部を有する第2蓋体と、
を有する、粉砕具。
【請求項4】
前記粉砕媒体と前記粉砕容器の内壁との間には、隙間が形成されている、
請求項3に記載の粉砕具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕媒体および粉砕具に関する。
【背景技術】
【0002】
試料を粉砕する粉砕具として、破砕容器内に破砕対象とする試料と共に破砕媒体を収容し、破砕容器を振動させて試料を破砕する試料破砕具が知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の試料破砕具は、有底円筒状の容器本体及び蓋体を有する破砕容器と、破砕容器内に収容される破砕媒体と、を備える。破砕媒体は、円柱状の本体部と、本体部の両端に設けられた半球状の突出端部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4373391号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、試料を細かく粉砕することが求められている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、試料を細かく粉砕することができる粉砕媒体および粉砕具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の一態様に係る粉砕媒体は、
粉砕容器内に試料と共に収容され、粉砕容器内を移動することによって試料を粉砕する粉砕媒体であって、
長手方向を有する本体部と、
前記本体部の前記長手方向の一端に設けられた球状の第1凸部と、
前記本体部の前記長手方向の他端に設けられた球状の第2凸部と、
を備え、
前記本体部の直径は、前記長手方向に沿って連続的に変化しており、
前記本体部には、前記一端に向かって直径が小さくなる縮径部が設けられている。
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の一態様に係る粉砕具は、
前記態様の粉砕媒体と、
試料と共に前記粉砕媒体を収容する粉砕容器と、
を備え、
前記粉砕容器は、
両端に開口を有する円筒状の容器本体と、
前記容器本体の一端側の開口を開閉可能に封止し、且つ前記容器本体の内部側に設けられた球状の第1凹部を有する第1蓋体と、
前記容器本体の他端側の開口を開閉可能に封止し、且つ前記容器本体の内部側に設けられた球状の第2凹部を有する第2蓋体と、
を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る粉砕媒体および粉砕具によれば、試料を細かく粉砕することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、粉砕具を粉砕装置に取り付けた状態の一例を示す概略図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る粉砕具の一例の断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る粉砕具の一例の分解図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体の一例の斜視図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体の一例の正面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体の一例の平面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体の一例の底面図である。
図8図8は、本発明の実施の形態1に係る粉砕具の動作の一例を示す概略図である。
図9A図9Aは、本発明の実施の形態1に係る粉砕具における粉砕媒体の動きの一例を説明する図である。
図9B図9Bは、本発明の実施の形態1に係る粉砕具における粉砕媒体の動きの一例を説明する図である。
図10A図10Aは、比較例の粉砕具における粉砕媒体の動きの一例を説明する図である。
図10B図10Bは、比較例の粉砕具における粉砕媒体の動きの一例を説明する図である。
図11図11は、本発明の実施の形態2に係る粉砕具の一例の断面図である。
図12図12は、本発明の実施の形態2に係る粉砕媒体の一例の斜視図である。
図13図13は、本発明の実施の形態2に係る粉砕媒体の一例の正面図である。
図14図14は、本発明の実施の形態2に係る粉砕媒体の一例の平面図である。
図15図15は、本発明の実施の形態2に係る粉砕媒体の一例の底面図である。
図16図16は、本発明の実施の形態2に係る粉砕具の動作の一例を示す概略図である。
図17図17は、実施例1および実施例2の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献1に記載の破砕具においては、破砕媒体の本体部は円柱状に形成されている。これにより、破砕媒体の本体部が破砕容器内にその軸芯にほぼ沿った姿勢を保持してほぼ軸芯方向に相対移動する。
【0012】
発明者らは、特許文献1に記載の破砕具を鋭意検討したところ、試料に対して破砕媒体が姿勢を保持した状態で一様に衝突する場合、試料をより細かく粉砕することが困難であるという新たな課題を見出した。
【0013】
そこで、発明者らは、粉砕媒体の本体部の直径を長手方向に沿って連続的に変化させ、且つ粉砕媒体の長手方向の一端に向かって直径が小さくなる縮径部を設けた構成を見出した。これにより、粉砕媒体が粉砕容器の内部に配置された試料に対して様々な角度を有して衝突することによって、試料をより細かく粉砕することができる。以下、本発明について説明する。
【0014】
本発明の第1態様の粉砕媒体は、
粉砕容器内に試料と共に収容され、粉砕容器内を移動することによって試料を粉砕する粉砕媒体であって、
長手方向を有する本体部と、
前記本体部の前記長手方向の一端に設けられた球状の第1凸部と、
前記本体部の前記長手方向の他端に設けられた球状の第2凸部と、
を備え、
前記本体部の直径は、前記長手方向に沿って連続的に変化しており、
前記本体部には、前記一端に向かって直径が小さくなる縮径部が設けられている。
【0015】
本発明の第2態様の粉砕媒体においては、
前記縮径部は、前記本体部の前記他端から前記一端に向かって直径が小さくなるテーパ状に形成されており、
前記第1凸部の外径は、前記第2凸部の外径よりも小さくてもよい。
【0016】
本発明の第3態様の粉砕媒体においては、
前記縮径部は、前記本体部の中央から前記一端に向かって直径が小さくなるテーパ状に形成された第1縮径部であり、
前記本体部には、前記本体部の中央から前記他端に向かって直径が小さくなるテーパ状に形成された第2縮径部が更に設けられていてもよい。
【0017】
本発明の第4態様の粉砕具は、
第1〜3態様のいずれかの態様の粉砕媒体と、
試料と共に前記粉砕媒体を収容する粉砕容器と、
を備え、
前記粉砕容器は、
両端に開口を有する円筒状の容器本体と、
前記容器本体の一端側の開口を開閉可能に封止し、且つ前記容器本体の内部側に設けられた球状の第1凹部を有する第1蓋体と、
前記容器本体の他端側の開口を開閉可能に封止し、且つ前記容器本体の内部側に設けられた球状の第2凹部を有する第2蓋体と、
を有する。
【0018】
本発明の第5態様の粉砕具においては、前記粉砕媒体と前記粉砕容器の内壁との間には、隙間が形成されていてもよい。
【0019】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。また、各図においては、説明を容易なものとするため、各要素を誇張して示している。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る粉砕具の一例について説明する。図1は、図1は、粉砕具10を粉砕装置1に取り付けた状態の一例を示す概略図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る粉砕具10の一例の断面図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る粉砕具10の一例の分解図である。図中において、鉛直方向をZ方向、水平面内において互いに直交する2つ方向をX方向およびY方向とする。
【0021】
図1に示すように、粉砕具10は、粉砕装置1に取り付けて使用される。粉砕装置1は、粉砕具10を保持し、粉砕具10に対して振動を与えることで、粉砕具10内に収容された試料を粉砕する。粉砕装置1は、複数の方向から粉砕具10に対して振動を与えることが好ましい。粉砕装置1としては、例えば、小型ビーズ式粉砕機(有限会社興国産業、型番:CM−100)などを用いることができる。
【0022】
図2及び図3に示すように、粉砕具10は、粉砕容器20と、粉砕媒体30と、を備える。
【0023】
<粉砕容器>
粉砕容器20は、試料と粉砕媒体30を収容する容器である。粉砕容器20は、容器本体21と、第1蓋体22と、第2蓋体23とを備える。
【0024】
容器本体21は、両端に開口21a,21bを有する円筒状の部材で形成されている。具体的には、容器本体21の一端側に開口21aが設けられており、容器本体21の他端側に開口21bが設けられている。容器本体21は、一端から他端に向かう方向(Z方向)に長手方向を有する。
【0025】
容器本体21の内壁には、第1蓋体22および第2蓋体23が配置される段差21c,21dが設けられている。具体的には、開口21a,21b付近において、容器本体21の内径D1が広がる方向に、段差21c,21dが設けられている。
【0026】
第1蓋体22は、容器本体21の一端側の開口21aを開閉可能に封止し、且つ容器本体21の内部側に設けられた球状の第1凹部22aを有する。第1蓋体22は、円柱状の部材で形成されている。第1蓋体22の高さは、第1蓋体22の直径よりも小さい。第1蓋体22は、開口21aから容器本体21の内部に向かって押圧され、段差21cに接触することによって、容器本体21の一端に取り付けられる。
【0027】
第1蓋体22が容器本体21の一端に取り付けられた状態において、第1凹部22aは、容器本体21の内部側に位置する。第1凹部22aは、曲率R1を有して形成されている。なお、球状とは、部分的に球面状に形成されている形状を含み、例えば、半球状および半楕円球状を含む。
【0028】
第2蓋体23は、容器本体21の他端側の開口21bを開閉可能に封止し、且つ容器本体21の内部側に設けられた球状の第2凹部23aを有する。第2蓋体23は、第1蓋体22と同様の形状を有する。第2蓋体23は、開口21bから容器本体21の内部に向かって押圧され、段差21dに接触することによって、容器本体21の他端に取り付けられる。
【0029】
第2蓋体23が容器本体21の他端に取り付けられた状態において、第2凹部23aは、容器本体21の内部側に位置する。第2凹部23aは、曲率R2を有して形成されている。
【0030】
容器本体21、第1蓋体22および第2蓋体23は、例えば、樹脂で形成されている。
【0031】
実施の形態1では、容器本体21の一端は、容器本体21の他端よりも低い位置に配置されている。言い換えると、第1蓋体22は、第2蓋体23よりも低い位置に配置されている。
【0032】
<粉砕媒体>
図4は、本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体30の一例の斜視図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体30の一例の正面図である。図6は、本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体30の一例の平面図である。図7は、本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体30の一例の底面図である。
【0033】
図2〜7に示すように、粉砕媒体30は、粉砕容器20内に試料と共に収容され、粉砕容器20内を移動することによって試料を粉砕する。粉砕媒体30は、本体部31と、第1凸部32と、第2凸部33と、を備える。
【0034】
本体部31は、長手方向を有する。本体部31の直径は、長手方向に沿って連続的に変化している。「連続的に変化している」とは、段階的に変化するのではなく、緩やかに変化していることを意味する。また、「連続的に変化している」とは、一定の変化率で変化すること、変化率が徐々に大きくなって変化すること、又は変化率が小さくなって変化することを含む。
【0035】
本体部31には、一端E1に向かって直径が小さくなる縮径部34が設けられている。縮径部34は、本体部31の一端E1に向かって、本体部31の直径が連続して小さくなっていく部分である。
【0036】
実施の形態1では、縮径部34は、長手方向において、他端E2から一端E1に向かって直径が連続して小さくなるようにテーパ状に形成されている。テーパ状とは、本体部31を長手方向に沿って延びる面で切断したとき、断面視において縮径部34の側面が直線的に延びる形態を意味する。これにより、本体部31は、円錐台形状に形成されている。本体部31において、他端E2の直径D3が最も大きく、一端E1の直径D2が最も小さくなっている。また、本体部31の他端E2の直径D3は、粉砕容器20の容器本体21の内径D1よりも小さい。このため、粉砕容器20の内部に粉砕媒体30を収容した状態において、粉砕媒体30と粉砕容器20の内壁との間には、隙間が形成されている。
【0037】
第1凸部32は、本体部31の長手方向の一端E1に設けられている。第1凸部32は、曲率R3を有する球状に形成されている。第1凸部32は、本体部31の一端E1と連続して接続されている。このため、第1凸部32の外径は、本体部31の一端E1の直径D2と等しい。第1凸部32の曲率R3は、第1凹部22aの曲率R1と等しい。
【0038】
第2凸部33は、本体部31の長手方向の他端E2に設けられている。第2凸部33は、曲率R4を有する球状に形成されている。第2凸部33は、本体部31の他端E2と連続して接続されている。このため、第2凸部33の外径は、本体部31の他端E2の直径D3と等しい。第2凸部33の曲率R4は、第2凹部23aの曲率R2と等しい。
【0039】
実施の形態1では、本体部31の一端E1は、他端E2よりも低い位置に配置される。言い換えると、粉砕媒体30が粉砕容器20内に収容されているとき、第1凸部32は、第2凸部33より低い位置に配置される。
【0040】
粉砕媒体30は、例えば、金属材料で形成される。
【0041】
粉砕媒体30の長手方向の長さは、粉砕容器20の内径D1よりも長い。
【0042】
[動作]
粉砕具10の動作の一例について説明する。
【0043】
粉砕容器20において、容器本体21から第2蓋体23を取り外す。次に、容器本体21の中に試料40と、粉砕媒体30を入れる。具体的には、試料40を第1蓋体22の第1凹部22aに配置し、試料40の上に粉砕媒体30を配置する。
【0044】
試料40は、例えば、複数のプラスチック片などの樹脂材料である。なお、試料40は、樹脂材料に限定されるものではなく、粉砕可能なものであれば任意の材料を選択し得る。例えば、試料40は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロン、塩化ビニール、ウレタン、エンジニアリングプラスチック、木材、生体試料、建築材などであってもよい。
【0045】
試料40と粉砕媒体30を粉砕容器20の中に入れた後、第2蓋体23を容器本体21に取り付ける。次に、粉砕具10を粉砕装置1に取り付ける。粉砕装置1は、粉砕具10を振動させる。
【0046】
図8は、本発明の実施の形態1に係る粉砕具10の動作の一例を示す概略図である。図8に示すように、粉砕具10が粉砕装置1によって振動させられると、粉砕媒体30が粉砕容器20内を移動する。具体的には、粉砕媒体30が粉砕容器20に対して、相対移動する。これにより、粉砕媒体30の第1凸部32が第1凹部22aに配置されている試料40に複数回衝突する。粉砕媒体30は、試料40に対して様々な角度を有して衝突する。これにより、試料40をより細かく粉砕することができる。
【0047】
具体的には、粉砕具10においては、粉砕媒体30の本体部31にテーパ状に形成された縮径部34が形成されている。このため、粉砕媒体30の第1凸部32は、常に同じ方向を向いて第1凹部22aに配置された試料40に衝突するわけではなく、第1凸部32の試料40に対して衝突する角度が変化する。言い換えると、第1凸部32は、第1凹部22aに配置された試料40に対して一様に衝突するわけではなく、衝突する箇所が変化する。このように、粉砕具10では、粉砕媒体30が様々な角度を有して試料40に衝突するため、試料40をより細かく粉砕することができる。
【0048】
また、粉砕媒体30が粉砕容器20の内壁に沿って移動する場合がある。この場合においても、粉砕媒体30の第1凸部32は、第1蓋体22の第1凹部22aに接触しやくなっているため、円柱形状の粉砕媒体よりも試料40を細かく粉砕することができる。ここで、図9A〜9B及び図10A〜10Bを用いて、本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体30の動きと、比較例として円柱形状の粉砕媒体の動きの違いを説明する。図9A及び図9Bは、本発明の実施の形態1に係る粉砕具10における粉砕媒体30の動きの一例を説明する図である。図10A及び図10Bは、比較例の粉砕具における粉砕媒体50の動きの一例を説明する図である。なお、図9A〜9B及び図10A〜10Bは、それぞれ、粉砕媒体が粉砕容器の内壁に沿って移動し、第1凸部が第1凹部に接触するまでの粉砕媒体の動きの一例を示している。
【0049】
比較例の粉砕具において、粉砕媒体50は、円柱状の本体部51を備える点、および第1凸部52の外径と第2凸部53の外径が等しい点で、本発明の実施の形態1に係る粉砕具10と異なる。比較例の粉砕具において、その他の構成は粉砕具10と同じである。
【0050】
例えば、図9Aに示すように、粉砕具10が振動すると、粉砕媒体30が第1蓋体22に向かって移動する。このとき、粉砕媒体30においてテーパ状の縮径部34の側壁が、粉砕容器20の内壁に沿った状態となる場合がある。この場合、図9Bに示すように、粉砕媒体30は第1凹部22aの端部に接触した後、粉砕媒体30が粉砕容器20の内壁から離れて、第1凸部32が第1凹部22aに接触する。具体的には、粉砕媒体30は、第1凹部22aの端部を中心として回転し、第1凸部32が第1凹部22aの形状に沿って接触する。
【0051】
粉砕媒体30は、第1凹部22aの端部に接触するとき、第1凹部22aに対して角度を有している。即ち、粉砕媒体30の中心軸CR2が、粉砕容器20の中心軸CR1に対して傾いている。なお、中心軸CR1は粉砕容器20の長手方向(Z方向)と一致し、中心軸CR2は粉砕媒体30の長手方向と一致する。第1凸部32が第1凹部22aに対して傾いているため、第1凸部32と第1凹部22aとの間の距離が小さい。これにより、粉砕媒体30が粉砕容器20の内壁に沿って移動した後、第1凸部32が第1凹部22aの形状に沿って接触するまでの粉砕媒体30の回転角度が小さくなる。その結果、粉砕媒体30の第1凸部32が第1凹部22aの形状に沿って、試料40に衝突する確率が高くなり、試料40をより細かく粉砕することができる。
【0052】
一方、比較例の円柱形状の粉砕媒体50では、図10Aに示すように、粉砕容器20の内壁に沿って粉砕媒体50が移動する場合がある。この場合、粉砕媒体50は、第1凹部22aの端部に接触するとき、第1凹部22aに対して角度を有していない。即ち、粉砕媒体50の中心軸CR3が、粉砕容器20の中心軸CR1と平行である。なお、中心軸CR3は粉砕媒体50の長手方向と一致する。このため、粉砕媒体50においては、第1凸部52と第1凹部22aとの間の距離が大きい。これにより、図10Bに示すように、粉砕媒体50が粉砕容器20の内壁に沿って移動した後、第1凸部52が第1凹部22aの形状に沿って接触するまでの粉砕媒体50の回転角度が大きくなる。その結果、粉砕媒体50の第1凸部52が第1凹部22aの形状に沿って、試料40に衝突する確率が低くなり、試料40を粉砕しにくくなっている。
【0053】
このように、粉砕媒体30においては、比較例の円柱形状の粉砕媒体50に比べて、第1凸部32が第1凹部22aの形状に沿って接触しやすくなっている。具体的には、粉砕媒体30が粉砕容器20の内壁に沿って移動する場合に、粉砕媒体30の第1凸部32が第1凹部22aの形状に沿って試料40に衝突する確率が、比較例に比べて高い。その結果、試料40をより細かく粉砕することができる。
【0054】
[効果]
本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体30および粉砕具10によれば、以下の効果を奏することができる。
【0055】
粉砕媒体30は、長手方向を有する本体部31と、本体部31の長手方向の一端E1に設けられた球状の第1凸部32と、本体部31の長手方向の他端E2に設けられた球状の第2凸部33と、備える。本体部31の直径は、長手方向に沿って連続的に変化している。本体部31は、一端E1に向かって直径が小さくなる縮径部34を有する。このような構成により、粉砕容器20内に収容された試料40を細かく粉砕することができる。また、第1凸部32が試料40に対して様々な角度を有して衝突するため、試料40をより細かく粉砕することができる。さらに、粉砕媒体30が粉砕容器20の内壁に沿って移動した場合でも、試料40に対して衝突する確率が高くなるため、試料40を粉砕する効率が向上する。
【0056】
縮径部34は、本体部31の他端E2から一端E1に向かって直径が小さくなるようにテーパ状に形成されている。第1凸部32の外径D2は、第2凸部33の外径D3よりも小さい。このような構成により、試料40をより細かく粉砕することができる。
【0057】
粉砕具10は、粉砕媒体30、および試料40と粉砕媒体30とを収容する粉砕容器20、を備える。粉砕容器20は、両端に開口21a,21bを有する円筒状の容器本体21と、容器本体21の一端側の開口21aを開閉可能に封止し、且つ容器本体21の内部側に設けられた球状の第1凹部22aを有する第1蓋体22と、容器本体21の他端側の開口21bを開閉可能に封止し、且つ容器本体21の内部側に設けられた球状の第2凹部23aを有する第2蓋体23と、を有する。このような構成により、粉砕容器20内に収容された試料40を粉砕媒体30によって細かく粉砕することができる。
【0058】
第1凸部32の曲率R3と第1凹部22aの曲率R1は等しい。第1凸部32は、第2凸部33より低い位置に配置される。第1蓋体22は、第2蓋体23よりも低い位置に配置される。このような構成により、第1凹部22aに配置された試料40を第1凸部32によってより細かく粉砕することができる。
【0059】
粉砕媒体30と粉砕容器20の内壁との間には、隙間が形成されている。このような構成により、試料40が粉砕媒体30と粉砕容器20との間に詰まること抑制することができる。
【0060】
なお、実施の形態1では、粉砕容器20は、容器本体21の両端に開口21a,21bを有し、2つの蓋体22,23によって封止する例について説明したが、これに限定されない。例えば、粉砕容器20は、1つの開口を有する有底の円筒状の容器本体と、1つの蓋体と、を備えていてもよい。この場合、容器本体の底部には、第1凹部22aが設けられる。
【0061】
実施の形態1では、粉砕媒体30において、縮径部34は、テーパ状に形成される例について説明したが、これに限定されない。縮径部34は、本体部31の一端E1に向かって直径が連続して小さくなる形状であればよい。例えば、本体部31を長手方向に沿って延びる面で切断したとき、断面視において縮径部34の側面が曲線状に延びていたり、一部に曲線部分を含んでいたり、直線状部分と曲線状部分とを有していてもよい。
【0062】
実施の形態1では、粉砕媒体30は、1つの縮径部34を有する例について説明したが、これに限定されない。粉砕媒体30は、複数の縮径部34を有していてもよい。
【0063】
実施の形態1では、第1凹部22aに配置された試料40を第1凸部32によって粉砕する例について説明したが、これに限定されない。第1凸部32と第1凹部22aに加えて、第2凸部33と第2凹部23aによって試料40を粉砕してもよい。
【0064】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る粉砕媒体および粉砕具について説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0065】
実施の形態2の粉砕媒体および粉砕具の一例について、図11〜16用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係る粉砕具10Aの一例の断面図である。図12は、本発明の実施の形態2に係る粉砕媒体30Aの一例の斜視図である。図13は、本発明の実施の形態2に係る粉砕媒体30Aの一例の正面図である。図14は、本発明の実施の形態2に係る粉砕媒体30Aの一例の平面図である。図15は、本発明の実施の形態2に係る粉砕媒体30Aの一例の底面図である。図16は、本発明の実施の形態2に係る粉砕具10Aの動作の一例を示す概略図である。
【0066】
実施の形態2では、粉砕媒体30Aの本体部31aに第1縮径部35および第2縮径部36が設けられている点、及び粉砕媒体30Aの長手方向の長さが粉砕媒体30よりも長い点、第2凸部33aの外径D5が第2凸部33の外径D3よりも小さい点で、実施の形態1と異なる。
【0067】
図11〜15に示すように、粉砕媒体30Aは、本体部31aの中央C1から一端E1に向かって直径が小さくなる第1縮径部35と、本体部31aの中央C1から他端E2に向かって直径が小さくなる第2縮径部36と、を有する。
【0068】
第1縮径部35は、本体部31aの中央C1から一端E1に向かって、本体部31aの直径が連続して小さくなるようにテーパ状に形成された部分である。第2縮径部36は、本体部31aの中央C1から他端E2に向かって、本体部31aの直径が連続して小さくなるようにテーパ状に形成された部分である。
【0069】
本体部31aにおいて、中央C1の直径D6が最も大きく、一端E1の直径D4および他端E2の直径D5が最も小さくなっている。また、本体部31aの中央C1の直径D6は、粉砕容器20の容器本体21の内径D1よりも小さい。このため、粉砕容器20の内部に粉砕媒体30Aを収容した状態において、粉砕媒体30Aと粉砕容器20の内壁との間には、隙間が形成されている。
【0070】
本体部31aの一端E1には、球状の第1凸部32aが設けられている。第1凸部32aは、本体部31aの一端E1と連続して接続されている。これにより、第1凸部32aの外径は、本体部31aの一端E1の直径D4と等しくなっている。また、第1凸部32aの曲率R5は、第1凹部22aの曲率R1と等しい。
【0071】
本体部31aの他端E2には、球状の第2凸部33aが設けられている。第2凸部33aは、本体部31aの他端E2と連続して接続されている。これにより、第2凸部33aの外径は、本体部31aの他端E2の直径D5と等しくなっている。また、第2凸部33aの曲率R6は、第2凹部23aの曲率R2と等しい。
【0072】
実施の形態2では、本体部31aの一端E1の直径D4と、本体部31aの他端E2の直径D5とは等しい。即ち、第1凸部32aの外径と、第2凸部33aの外径とは等しい。
【0073】
また、実施の形態2では、第1凸部32aの曲率R5、第2凸部33aの曲率R6、第1凹部22aの曲率R1および第2凹部23aの曲率R2は、それぞれ、等しい。
【0074】
粉砕媒体30Aの長手方向の長さは、破砕容器10の内径D1よりも長い。これにより、粉砕媒体30Aが粉砕容器10の中で横にならない。粉砕媒体30Aの長手方向の長さは、例えば、第1凹部22aから第2凹部23aまでの最大距離の約0.6倍以上0.8倍以下で設計される。より好ましくは、粉砕媒体30Aの長手方向の長さは、第1凹部22aから第2凹部23aまでの最大距離の約0.6倍以上0.7倍以下で設計される。
【0075】
[動作]
粉砕具10Aの動作の一例について説明する。
【0076】
粉砕容器20において、容器本体21から第2蓋体23を取り外す。次に、容器本体21の中に試料40と、粉砕媒体30Aを入れる。具体的には、試料40を第1蓋体22の第1凹部22aに配置し、試料40の上に粉砕媒体30Aを配置する。なお、実施の形態2では、試料40は、粉砕媒体30Aの下に配置する例について説明したが、これに限定されない。試料40は、粉砕媒体30Aの上に配置してもよいし、粉砕媒体30Aの上と下に配置してもよい。
【0077】
試料40と粉砕媒体30Aを粉砕容器20の中に入れた後、第2蓋体23を容器本体21に取り付ける。次に、粉砕具10Aを粉砕装置1に取り付ける。粉砕装置1は、粉砕具10Aを振動させる。
【0078】
図16は、本発明の実施の形態2に係る粉砕具10Aの動作の一例を示す概略図である。図16に示すように、粉砕具10Aを振動させると、粉砕容器20の内部で粉砕媒体30Aが移動する。また、粉砕容器20内の試料40の一部は、振動によって、粉砕媒体30Aと粉砕容器20の内壁との間の隙間を通って、第1凹部22aから第2凹部23aに移動する。即ち、粉砕具10Aを振動させることによって、試料40が第1凹部22aと第2凹部23aに存在することになる。
【0079】
このため、第1凸部32aが第1凹部22aに衝突するとき、第1凸部32aと第1凹部22aとの間に存在する試料40が粉砕される。また、第2凸部33aが第2凹部23aに衝突するとき、第2凸部33aと第2凹部23aとの間に存在する試料40が粉砕される。
【0080】
なお、試料40を粉砕するメカニズムについては、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
[効果]
本発明の実施の形態1に係る粉砕媒体30Aおよび粉砕具10Aによれば、以下の効果を奏することができる。
【0082】
粉砕媒体30Aは、本体部31aの中央C1から一端E1に向かって直径が小さくなるようにテーパ状に形成された第1縮径部35と、本体部31aの中央C1から他端E2に向かって直径が小さくなるようにテーパ状に形成された第2縮径部36と、備える。このような構成により、粉砕容器20内に収容された試料40を細かく粉砕することができる。
【0083】
また、粉砕媒体30Aを備える粉砕具10Aにおいては、粉砕媒体30Aの第1凸部32aと第2凸部33aとの両方で試料40を粉砕することができる。即ち、粉砕媒体30Aは、粉砕容器20の長手方向において一端から他端に向かう移動と、他端から一端に向かう移動との両方によって、試料40を粉砕することができる。これにより、試料40を効率よく短時間で粉砕することができ、試料40をより細かく粉砕することができる。
【0084】
なお、実施の形態2では、本体部31aの一端E1の直径D4と、本体部31aの他端E2の直径D5とが等しい例について説明したが、これに限定されない。本体部31aの一端E1の直径D4と、本体部31aの他端E2の直径D5とは、異なっていてもよい。即ち、第1凸部32aの外径と、第2凸部33aの外径とは異なっていてもよい。
【0085】
実施の形態2では、粉砕媒体30Aにおいて、第1縮径部35および第2縮径部36は、テーパ状に形成される例について説明したが、これに限定されない。第1縮径部35および第2縮径部36は、直径が連続して小さくなる形状であればよい。例えば、本体部31aを長手方向に沿って延びる面で切断したとき、断面視において第1縮径部35および第2縮径部36の側面のそれぞれが曲線状に延びていたり、一部に曲線部分を含んでいたり、直線状部分と曲線状部分とを有していてもよい。
【0086】
実施の形態2では、第1凸部32aの曲率R5、第2凸部33aの曲率R6、第1凹部22aの曲率R1および第2凹部23aの曲率R2は、それぞれ、等しい例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1凸部32aの曲率R5と第2凸部33aの曲率R6とは異なっていてもよい。第1凹部22aの曲率R1と第2凹部23aの曲率R2とは、異なっていてもよい。
【実施例】
【0087】
実施例1および実施例2において、粉砕具10を用いて試料40を粉砕する実験を行った。実施例1においては、粉砕媒体30において、第1凸部32は、第2凸部33より低い位置に配置されている。また、粉砕容器20において、第1蓋体22は、第2蓋体23よりも低い位置に配置されている。
【0088】
実施例2として、粉砕具10を用いて試料40を粉砕した。実施例2においては、粉砕媒体30において、第2凸部33は、第1凸部32より低い位置に配置されている点が、実施例1と異なる。
【0089】
実験条件としては、試料40は、約3mmの大きさを有するPE(ポリエチレン)のペレットを5粒用いた。また、粉砕装置1としては、小型ビーズ式粉砕機(有限会社興国産業、型番:CM−100)を用いた。試料40、粉砕容器10および粉砕媒体30は、試料40のガラス転移点温度以下(ポリエチレンの場合、−125℃以下)になるように、液体窒素により冷却した。粉砕装置1は、3000rpm×10secの条件で1回振動させた。
【0090】
図17は、実施例1および実施例2の実験結果を示す図である。図17に示すように、実施例1および実施例2において、試料40を細かく粉砕できていることが確認できた。また、実施例1においては、実施例2と比べて、試料40をより細かく粉砕できていることが確認できた。
【0091】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る粉砕媒体及び粉砕具は、例えば、試料を粉砕する粉砕装置などに取り付けて使用される。
【符号の説明】
【0093】
1 粉砕装置
10,10A 粉砕具
20 粉砕容器
21 容器本体
21a,21b 開口
21c,21d 段差
22 第1蓋体
22a 第1凹部
23 第2蓋体
23a 第2凹部
30,30A 粉砕媒体
31,31a 本体部
32,32a 第1凸部
33,33a 第2凸部
34 縮径部(第1縮径部)
35 第1縮径部
36 第2縮径部
40 試料
50 粉砕媒体
51 本体部
52 第1凸部
53 第2凸部
【要約】
【課題】試料を細かく粉砕する粉砕媒体および粉砕具を提供する。
【解決手段】本発明に係る粉砕媒体は、粉砕容器内に試料と共に収容され、粉砕容器内を移動することによって試料を粉砕する粉砕媒体であって、長手方向を有する本体部と、前記本体部の前記長手方向の一端に設けられた球状の第1凸部と、前記本体部の前記長手方向の他端に設けられた球状の第2凸部と、を備え、前記本体部の直径は、前記長手方向に沿って連続的に変化しており、前記本体部には、前記一端に向かって直径が小さくなる縮径部が設けられている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17