(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6796883
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】はんだコテのコテ先クリーナ装置
(51)【国際特許分類】
B23K 3/02 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
B23K3/02 H
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-181649(P2019-181649)
(22)【出願日】2019年10月1日
【審査請求日】2020年3月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515196919
【氏名又は名称】昭立電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】特許業務法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【弁理士】
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】中島 浩介
(72)【発明者】
【氏名】山本 忍
(72)【発明者】
【氏名】三村 猛
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−276081(JP,A)
【文献】
韓国登録実用新案第20−322809(KR,Y1)
【文献】
特開2004−085215(JP,A)
【文献】
特開平05−126276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/02
B23K 1/018
B23K 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだコテのコテ先の挿入を受け入れるコテ先受入部と、
はんだコテのコテ先に付着したはんだ屑をエアーの噴射により剥離するクリーナ部と、
噴射するエアーを前記クリーナ部に供給するエアー供給部と、
はんだコテに噴射したエアーを排気するエアー排気部と、
筐体であって、はんだコテに噴射したエアーが前記筐体の内部空間を前記エアー排気部に向けて流れる筐体とを備え、
前記エアー排気部において、
はんだコテに噴射したエアーが排出される開口である第一開口の他に
エアー供給口から発する管の開口である第二開口とが備わり、
第二開口から噴射されるエアーの流れが第一開口からのエアーの排出を促進し、
噴射するエアーを前記クリーナ部に供給する前記エアー供給部に供給されるエアーと前記第二開口から噴射されるエアーが、共通の一つのエアー供給口から供給されることを特徴とするはんだコテのコテ先クリーナ装置。
【請求項2】
前記第一開口は、第二開口を囲む位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のはんだコテのコテ先クリーナ装置。
【請求項3】
前記コテ先挿入部に、リング状の銅線を配し、前記リング状の銅線にコテ先が接近したことにより生じる静電容量の変化を検知し検知したことを合図にエアーの噴射を開始する機構が備わることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のはんだコテのコテ先クリーナ装置。
【請求項4】
コテ先を清浄する作業者の視界に前記コテ先受入部が入るよう、前記コテ先受入部が鉛直方向から傾斜した方向に開口することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のはんだコテのコテ先クリーナ装置。
【請求項5】
鉛直方向に下降するコテ先を受け入れるよう、前記コテ先受入部が鉛直方向に開口することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のはんだコテのコテ先クリーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
はんだコテのコテ先に付着したはんだ屑を、コテ先にエアーを吹き付けて取り除くコテ先クリーナ装置に関する。より詳細には、吹き付けたエアーがスムーズに排出されるコテ先クリーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだコテのコテ先に付着したはんだ屑をコテ先にエアーを吹き付けて取り除くコテ先クリーナ装置にあっては、コテ先に吹き付けたエアーをスムーズに排出する必要がある。エアーの排出手段を設けない場合、はんだ屑の除去が終了しエアー噴射をやめてコテ先をクリーナ装置から引き出す際、はんだ屑の混入したエアーがコテ先挿入口から噴き出してしまう。コテ先挿入口が、エアーの出口とならざるを得ないためである。
【0003】
特許文献1には、はんだコテのコテ先に付着したはんだ屑をコテ先にエアーを吹き付けて取り除くコテ先クリーナ装置であって、エアーの出口を設けたコテ先クリーナ装置が記載されている。ここで、特許文献1の明細書[0023]に、一つのエア源だけを設けて第1エア源と第2エア源とに共用することもできる旨の記載があるが、本願に係る発明の特徴の一つである、エア供給が一系統で済む、ということを記載しているのではないので説明する。特許文献1に記載のコテ先クリーナ装置にあっては、コテ先の洗浄のために用いるエアーを第1エア源がまかない、エアー排出のために用いるエアーを第2エア源がまかなっている。また、エアー供給のための切替弁をそれぞれに設けているところ、第1エア源と第2エア源は使用圧力が異なるため、切替弁もエア源毎に必要となり、エア源及び切替弁がそれぞれ二つある。特許文献1の明細書[0023]に記載の第1エア源と第2エア源との共用は、装置の外部でエアーを2分岐させ第1エア源と第2エア源に振り分けて入力することが可能と述べている。また、特許文献1に記載のコテ先クリーナ装置にあっては、二つのエア源と、それぞれのエア源に設けた切換弁を備えるため、構造が複雑であり、この点も本願発明と異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−276081公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
はんだコテのコテ先に付着したはんだ屑を、コテ先にエアーを吹き付けて取り除くコテ先クリーナ装置であって、コテ先に吹き付けたエアーをスムーズに排出することができ、そのようなエアーを、一つの供給源から供給することができるために、構造が単純な装置を提供することを課題とする。さらに、構造が単純なために、製造が容易でコストが安価な装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)はんだコテのコテ先の挿入を受け入れるコテ先受入部と、はんだコテのコテ先に付着したはんだ屑をエアーの噴射により剥離するクリーナ部と、噴射するエアーを前記クリーナ部に供給するエアー供給部と、はんだコテに噴射したエアーを排気するエアー排気部と、その内部をはんだコテに噴射したエアーが前記エアー排気部に向けて流れる筐体とを備え、前記エアー排気部において、はんだコテに噴射したエアーが排出される開口である第一開口の他にエアー供給口から発する管の開口である第二開口とが備わり、第二開口から噴射されるエアーの流れが第一開口からのエアーの排出を促進し、噴射するエアーを前記クリーナ部に供給する前記エアー供給部に供給されるエアーと前記第二開口から噴射されるエアーが、共通の一つのエアー供給口から供給されることを特徴とするはんだコテのコテ先クリーナ装置によって課題を解決する。
(2)前記第一開口は、第二開口を囲む位置に配置されることを特徴とするはんだコテのコテ先クリーナ装置によって課題を解決する
(3)前記コテ先挿入部に、リング状の銅線を配し、前記リング状の銅線にコテ先が接近したことにより生じる静電容量の変化を検知し検知したことを合図にエアーの噴射を開始する機構が備わることを特徴とするはんだコテのコテ先クリーナ装置によって課題を解決する。
(4)コテ先を清浄する作業者の視界に前記コテ先受入部が入るよう、前記コテ先受入部が鉛直方向から傾斜した方向に開口することを特徴とするはんだコテのコテ先クリーナ装置によって課題を解決する。
(5)鉛直方向に下降するコテ先を受け入れるよう、前記コテ先受入部が鉛直方向に開口することを特徴とするはんだコテのコテ先クリーナ装置によって課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
はんだコテのコテ先に付着したはんだ屑を、コテ先にエアーを吹き付けて取り除くコテ先クリーナ装置であって、コテ先に吹き付けたエアーをスムーズに排出することができ、そのようなエアーを、一つの供給源から供給することができるために、構造が単純な装置を得ることができる。さらに、構造が単純なために、製造が容易でコストが安価で済む装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(1)に本願実施例1を示す。(2)に本願実施例3を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本願発明の全実施例の概要]
実施例1は、コテ先をクリーナ装置に斜め上方から差し入れる例であり、主にはんだ付けを手作業で行う場合に用いることを想定している。実施例2は、コテ先をクリーナ装置に真上から差し入れる例であり、主にはんだ付けをロボットが行う場合に用いることを想定している。実施例3は、コテ先がクリーナ装置のコテ挿入口に挿入されたか否かを検知する機構に関する、実施例1に示した機構とは別の例であり、実施例1と実施例2のいずれのクリーナ装置にも適用できる。以下、各実施例に分けて説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1を
図1(1)、
図2、
図3、
図4及び
図5により説明する。
図1(1)はコテ先クリーナ20を使用している状態を外部から見た図である。
図2は、クリーナ装置を構成する部材の位置を概略的に示している。クリーナ装置を構成する部材は、随所がエアーの流れる管でつながれているところ、
図2、
図3及び
図4では、いずれも、わかり易く説明するために管を省略している。
図3に、管を流れるエアーを、破線矢印で示している。
図4に、クリーナ装置内の空間を流れるエアーを、実線矢印で示している。
【0011】
図1(1)に示す通り、コテ先クリーナ20は、前面にコテ先挿入口15を備える。コテ先を清浄する際は、はんだコテ10のコテ先を、コテ先クリーナ20のコテ先挿入口15に差し入れる。
【0012】
図2に示す通り、コテ先挿入口15は制御基板26を介してクリーニングポット21と接続している。クリーニングポット21は、例えば特願2019−45579に記載する通りの構成である。すなわち、クリーニングポット21は、例えば、内部にクリーナ室を備え、コテ先挿入口から挿入されたコテ先は、このクリーナ室に入る。コテ先のはんだ屑は、クリーナ室の壁面に備わる噴射口から噴射するエアーによって、吹き飛ばされる。クリーニングポット21の下方には、コテ先から剥がれ吹き飛ばされて落下したはんだ屑を受ける屑入れ25が備わる。屑入れ25は引き出し式になっており、外部に(例えば前方に)向けて引き出して、溜まったはんだ屑を廃棄できる。
【0013】
コテ先クリーナ20は、内部に、コテ先クリーナの筐体を仕切るしきり板22を備える。コテ先クリーナの内部は、しきり板22によって、しきり板より前方の前室24と、しきり板より後方の後室23に分かれている。しきり板22は、コテ先クリーナ20の内部を完全に分断するものではなく、筐体との間の、上方及び側方に、エアーが後室23にスムーズに流れるのに充分な空所を備えている。なぜならば、後室23には、後述の通りエアーを外部に排出するための機構が設けてあるところ、エアーが後室23にスムーズに流れないとすると、エアーの外部への排出が妨げられるからである。
【0014】
後室23には、コテ先クリーナにエアーを供給するためのエアー供給口27と、供給されたエアーが流れる管の開閉を制御する電磁弁30と、管の流れる方向を二方向に分ける継手31と、外部にエアーを排出する排気口28が備わる。
【0015】
図3、
図4及び
図5により実施例1のクリーナ装置の動作を説明する。
【0016】
前述のとおり、
図3、
図4及び
図5では、各部材をつなぐ管の記載を省略している。
図3に、管の中を流れるエアーの流れを破線矢印で示す。すなわち、エアー供給口27からクリーナ装置20の内部に入ったエアーは、エアー供給口27、管、電磁弁30、管、継手31、管、クリーニングポット21、の順に大きな圧力を伴なって流れ、クリーニングポット21において、はんだゴテのコテ先に噴射する。
【0017】
はんだコテ挿入口付近の符号13(
図1(1))で示す位置に、既存の透過型センサーが設けてある。はんだコテ10のコテ先をはんだコテ挿入口15に挿入すると、通過型センサーがコテ先が挿入されたことを検知し、エアーブローのスイッチがオンになり、エアーブローが始まる。すなわち、透過型センサーがはんだコテの挿入を検知すると、エアー供給口27からクリーニングポット21に向けて、エアーが強い流れで供給される。クリーニングポット21では、内部のクリーナ室の壁面に備わる噴射口からエアーが噴射され、コテ先のはんだ屑を吹き飛ばす。
【0018】
図4に、各部材が管でつながっておらずエアーがコテ先クリーナ20の筐体内の空間を流れるものに関し、エアーの流れを実線矢印で示す。
【0019】
エアーは、クリーニングポット21内を渦を巻いて流れ、コテ先に向けて噴射される。
【0020】
クリーニングポット21内ではんだコテコテ先のクリーニングを終えたエアーは、
図4の実線矢印で示す通りコテ先クリーナ20の筐体内の、屑入れ25に向けて流れ、主なはんだ屑は屑入れ25に落下する。エアーは、筐体内のしきり板22を避けて筐体の上方やと側方を流れて後室23に入る。クリーニングポット21から噴き出るエアーはしきり板22に衝突し、下方に向けて流れる。このため、エアーに混じったはんだ屑は、くず入れ25に導かれ、コテ先クリーナ20の内部全体に広く飛び散ることがない。
【0021】
図3から
図5を用いて、主に後室に関し、エアーの流れを説明する。
図5に破線矢印で示す通り、エアー供給口27からクリーナ装置20に入ったエアーは、管を介して継手31に流れ、継手31において、クリーニングポット21の方向と、排気口28(の内側出口29b)の方向の二方向に枝分かれする。
【0022】
図5に模式的に示す通り、排気口28は、排気口の集合出口29cの他に排気口の内側出口29bを備える。また、排気口28は、筐体内の空間からのエアーを受け入れる排気口の外側入口29aを備える。排気口の外側入口29a、内側出口29b及び集合出口29cについては、
図3と
図4も参照されたい。
【0023】
排気口の内側出口29bから流れ出たエアーは、引続き、排気口の集合出口29cに向かって流れ、そのまま排出される。この際、排気口28の内部において、内側出口29bから集合出口29cに向けてエアーの流れが形成される。ここで形成されたエアーの流れは、コテ先クリーナ20の筐体内のエアーが29aから排気口28に向けて流れる流れを生ぜしめる。その結果、はんだコテコテ先のクリーニングを終えたエアーは、
図4の実線矢印で示す通りコテ先クリーナ20の筐体内のしきり板22を避けて筐体上方等を流れて後室23に流れ込んだエアーは、排気口の外側入口29aを通って排気口に入り、排気口集合出口29cから排出される。元来、後室23に流れ込んだエアーは、コテ先クリーナの筐体内を、出口を求めて流れるため、少しでもエアーの流れが生じていれば、その流れに乗って流れ出やすい。
【実施例2】
【0024】
実施例2を、
図6により説明する。コテ先クリーナ40では、コテ先挿入口45が、コテ先クリーナの頂面において、鉛直方向に向けて開口している。はんだ付装置がロボットの場合、コテ先は鉛直方向に向けて上下してはんだ付けを行うケースが多いため、はんだ屑を洗浄する際の、はんだコテの動作を、はんだ付けを行う際の移動を同じ上下方向にしたものである。その他の機構は、実施例1と同様のため省略する。
【実施例3】
【0025】
実施例3を、
図1(2)により説明する。実施例3では、はんだコテのコテ先がはんだコテ挿入口15に挿入されたことを検知する機構として静電容量式の近接センサーを用いる。具体的には、コテ先挿入口において、挿入口を囲む位置に、丸く銅線を巡らせる。銅線は、コテ先挿入口を丸く囲む位置であればどこに設けても良いが、
図1(2)では、制御基板26に設けた。制御基板に設けたリング状の銅線は外部からは見えないため、
図1(b)では、リング状銅線60を、存する位置に破線で示した。はんだコテのコテ先がコテ先挿入口に近づくと、静電容量の変化が捉えられ、制御基板26に設けた電気回路(図示せず)を介してエアーブローのスイッチがオンになり、エアーブローが始まる。静電容量式とすることにより、スイッチをオンにするか、あるいは、無反応とするかに関し、感度調整が可能となる。このため、コテ先程度の大きさのものでは反応するが、コテ先よりも小さなもの、例えば異物が付着した、という程度ではエアーブローのスイッチがオンにならないように調整できる。
【符号の説明】
【0026】
10 はんだコテ
15 コテ先挿入口
20 コテ先クリーナ
21 クリーニングポット
22 しきり板
23 後室
24 前室
25 屑入れ
26 制御基板
27 エアー供給口
28 排気口
29a 排気口の外側入口
29b 排気口の内側出口
29c 排気口の集合出口
30 電磁弁
31 継手
40 コテ先クリーナ
45 コテ先挿入口
47 エアー供給口
50 留め金
60 リング状銅線
100 はんだコテ用コテ先浄化装置
101 吸引ホース接続口
102 トレー
103 エアー噴射ノズル
110 はんだコテ
【要約】 (修正有)
【課題】コテ先に吹き付けたエアーをスムーズに排出することができるコテ先クリーナ装置を提供する。
【解決手段】はんだコテのコテ先に付着したはんだ屑をエアーの噴射により剥離するクリーナ部20と、噴射するエアーを前記クリーナ部に供給するエアー供給部27と、はんだコテに噴射したエアーを排気するエアー排気部28を備えたコテ先クリーナ装置により課題を解決する。エアー排気部において、はんだコテに噴射したエアーが排出される開口である第一開口の他にエアー供給口から発する管の開口である第二開口が備わり、第二開口から噴射されるエアーの流れが第一開口からのエアーの排出を促進し、噴射するエアーを前記クリーナ部に供給する前記エアー供給部に供給されるエアーと第二開口から噴射されるエアーが、共通の一つのエアー供給口から供給される。
【選択図】
図5