(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来、カバーフィルムを穿孔する穿孔針は、特許文献1に開示されているように、先端が円錐形に尖っていた。換言すれば、かかる先端円錐形の穿孔針を用いた場合、形成される通気孔は、二つの円弧が向かいあう略レモン型になりやすい。これは、通気孔が、カバーフィルムの切り抜きではなく、裂けにより形成されるためである。すなわち、円錐形の穿孔針が、カバーフィルムに接触すると小さな孔が形成される。その後、円錐形の穿孔針をカバーフィルムに対して進出させると、この小さな孔をきっかけとして、カバーフィルムが一方向に裂けていき、小さな孔が成長していく。
【0008】
換言すれば、円錐形の穿孔針で形成される通気孔は、一方向に延びる亀裂が、カバーフィルムのテンションにより広がった孔といえる。かかる通気孔は、カバーフィルムのテンションが低下すると、向かい合う二つの円弧状の縁が近づき、開口面積が低下することがある。また、逆に、カバーフィルムのテンションが増加すると、亀裂の進行が進み、通気孔が過大になり、実装ヘッドの吸引面を適切に覆えない場合もある。
【0009】
つまり、従来の先端円錐形の穿孔針では、カバーフィルムに適切な通気孔を形成することは困難であった。
【0010】
そこで、本明細書では、カバーフィルムに適切な通気孔を形成できる実装装置、および、穿孔針を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書で開示する実装装置は、チップ部品を被実装体に加熱圧着する実装ヘッドであって、その底面に前記チップ部品を吸引保持するための吸引孔が形成された実装ヘッドと、前記実装ヘッドの吸引面を覆うように、耐熱性のカバーフィルムを配置するシート配置機構と、前記カバーフィルムに、穿孔針を押し込んで通気孔を形成する穿孔機構と、を備え、前記穿孔針は、その先端に、前記通気孔の周縁に対応した線状の切刃が形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
かかる構成とすることで、カバーフィルムは、裂けるのではなく、線状の切刃により切り抜かれるため、通気孔の形状をより確実にコントンロールできる。そして、結果として、カバーフィルムに適切な通気孔を形成できる。
【0013】
この場合、前記切刃は、軸方向視で、その始端と終端とが繋がったクローズパス形状である、ことが望ましい。
【0014】
かかる構成とすれば、カバーフィルムは、切刃により完全に切り抜かれる。換言すれば、切刃で切り抜かれた切断片が、カバーフィルムに部分的に繋がった状態で残らないため、切断片により通気孔が塞がれることがない。結果として、通気孔を介した適切な吸引動作がより確実に行える。
【0015】
また、前記穿孔機構は、さらに、前記切刃で打ち抜かれて、前記カバーフィルムから分離した切断片を、吹き飛ばす、または、吸引することで回収する回収機構を有してもよい。
【0016】
かかる構成とすることで、カバーフィルムから分離した切断片が、意図しない箇所に散乱して実装動作を妨げることが効果的に防止できる。
【0017】
また、前記切刃は、軸方向視で、始端と終端とが繋がっていないオープンパス形状であり、前記カバーフィルムに押し込まれることで前記カバーフィルムと部分的に繋がった舌状の切断片を形成してもよい。
【0018】
かかる構成とすることで、切断片を回収する回収機構が不要となるため、実装装置の構成をより簡易化できる。
【0019】
また、前記切刃は、軸方向視で、尖った角部を有さない略円状または略C字状であってもよい。
【0020】
かかる構成とした場合、切刃で形成される通気孔も、尖った角部を有さないことになる。カバーフィルムにかかるテンションが増加した場合、応力は、通気孔の周縁の中でも、特に、尖った角部に集中しやすいが、上記構成によれば、こうした尖った角部がないため、応力集中部が生じにくい。結果として、意図しないカバーフィルムの裂け、ひいては、意図しない通気孔の拡大が効果的に防止される。
【0021】
また、前記切刃は、その内径が軸方向一定であるとともに、その外径が先端に近づくにつれて縮径していてもよい。
【0022】
かかる構成とすれば、筒体の先端外周面をテーパー状に削ることで切刃を形成できるため、穿孔針の製造工程を簡易化できる。
【0023】
また、前記切刃は、その外径が軸方向一定であるとともに、その内径が先端に近づくにつれて拡径していてもよい。
【0024】
かかる構成とすれば、穿孔針が、通気孔の周縁を押し広げないため、通気孔の周縁形状をより適切にコントロールできる。
【0025】
また、前記切刃は、その先端の軸方向高さが、周方向に応じて変化する形状としてもよい。例えば、前記切刃は、周方向に進むにつれて、その先端の軸方向高さが軸方向一方向に進む略弦巻線状であってもよい。
【0026】
かかる構成とすることで、切刃が同時に切る距離を低減できるため、切刃がカバーフィルムから受ける反力が低下できる。結果として、カバーフィルムの切り抜きに要する力を低減できる。
【0027】
本明細書で開示する穿孔針は、実装ヘッドの吸引面を覆うカバーフィルムに吸引用の通気孔を形成するための穿孔針であって、軸方向に延びる略棒状の軸部と、前記軸部の先端に連なり、前記通気孔の周縁に対応した線状の切刃と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本明細書で開示する実装装置および穿孔針によれば、カバーフィルムは、裂けるのではなく、線状の切刃により切り抜かれるため、通気孔の形状をより確実にコントンロールできる。そして、結果として、カバーフィルムに適切な通気孔を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実装装置10の構成について図面を参照して説明する。
図1は、実装装置10の構成を示す概略図である。この実装装置10は、複数の半導体チップ100を、基板104または他の半導体チップ100(以下、両者を区別しない場合は、「被実装体」と呼ぶ)に実装することで半導体装置を製造する装置である。半導体チップ100は、フリップチップボンダ技術で、基板104に実装される。具体的には、各半導体チップ100の底面には、バンプと呼ばれる導電性材料からなる突起が形成されており、このバンプを、基板104の表面に形成された電極に接合することで、半導体チップ100と基板104とが電気的に接続される。
【0031】
基板104には、半導体チップ100を実装する実装区画が二次元アレイ状に規定されている。各実装区画の表面には、半導体チップ100のバンプと電気的に接続される電極が複数形成されている。また、各実装区画には、あらかじめ、非導電性ペースト(NCP)または非導電性フィルム(NCF)と呼ばれる接着材料108が塗布されている。接着材料108は、絶縁性を有するとともに熱硬化性を有する熱硬化性樹脂からなる。この接着材料108の上に半導体チップ100を載置して基板104に押し付けるとともに半導体チップ100を加熱することで、接着材料108が硬化し、半導体チップ100が、基板104に機械的に接着、固定される。なお、このように基板104に、予め接着材料108を塗布しておく方式は、一般に、「先塗布方式」と呼ばれる。
【0032】
各半導体チップ100は、基板104に載置された後、実装ヘッド12により加熱しつつ加圧されることで、基板104に実装される。この圧着の際、半導体チップ100は、接着材料108の硬化温度以上、かつ、バンプの溶融温度以上の温度で加熱される。なお、ここでは、半導体チップ100を基板104に載置すると同時に、半導体チップ100の熱圧着を行っているが、半導体チップ100の仮置き(仮圧着)と、本圧着と、を別々に行ってもよい。例えば、複数の実装区画において半導体チップ100の仮圧着を連続して実行した後、この仮圧着された複数の半導体チップ100の本圧着を連続して実行してもよい。
【0033】
実装装置10は、上述した手順で、半導体チップ100を基板104(被実装体)に実装するための装置である。この実装装置10は、ボンディングステージ14、実装ヘッド12、フィルム配置機構16、穿孔機構18、および、これら各部の駆動を制御する制御部20等を有している。
【0034】
ボンディングステージ14は、基板104が載置されるステージである。このボンディングステージ14には、例えば、基板104を吸引保持する吸引孔(図示せず)や、基板104を加熱するためのヒータ(図示せず)などが設けられている。
【0035】
実装ヘッド12は、ボンディングステージ14と対向して設けられており、ボンディングステージ14に対して水平方向および垂直方向に移動可能となっている。この実装ヘッド12により、半導体チップ100が基板104に熱圧着される。具体的には、実装ヘッド12は、図示しないチップ供給源から半導体チップ100を受け取って搬送し、各半導体チップ100を対応する実装区画に載置する。そして、その後、実装ヘッド12は、半導体チップ100を、基板104に押し付けながら加熱することで、半導体チップ100を基板104に熱圧着する。
【0036】
ここで、
図2に示すとおり、実装ヘッド12の底面には、半導体チップ100を吸引保持するための吸引孔22が形成されている。この吸引孔22は、図示しない吸引ポンプに連通されており、当該吸引ポンプによって発生する負圧により、半導体チップ100が、実装ヘッド12の底面に吸引保持される。この吸引孔22の個数および形状は、半導体チップ100を安定して保持できるのであれば、特に限定されない。したがって、吸引面には、半導体チップ100の外形よりも十分に小さい吸引孔が複数、分散配置されてもよい。また、別の形態として、吸引面には、半導体チップ100の外形を内側にオフセットさせたような形状の吸引孔が一つだけ設けられていてもよい。
【0037】
また、実装ヘッド12には、半導体チップ100を加熱するために、ヒータ(図示せず)が内蔵されている。なお、本例では、実装ヘッド12が水平方向に移動する構成としているが、かかる構成に替えてボンディングステージ14が水平方向に移動する構成としてもよい。
【0038】
ところで、上述したとおり、熱圧着(本圧着)の際、実装ヘッド12は、半導体チップ100を、基板104に押圧する。このとき、
図2に示すように、半導体チップ100により外側に押し出された接着材料108の一部が、はみ出て、上方に這い上がることがある。この這い上がった接着材料108が実装ヘッド12に付着すると、その後の実装処理が適切に行えないおそれがある。
【0039】
そこで、本明細書で開示する実装装置10では、実装ヘッド12の底面(吸引面)をカバーフィルム110で覆っている。
図2に示すとおり、実装ヘッド12の吸引面をカバーフィルム110で覆うことで、実装ヘッド12への接着材料108の付着が効果的に防止される。
【0040】
このカバーフィルム110の素材としては、耐熱性に優れ、接着材料108の剥離性が高い素材が適している。したがって、カバーフィルム110の素材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂を用いることができる。
【0041】
実装ヘッド12には、このカバーフィルム110を配置するためのフィルム配置機構16が取り付けられている。フィルム配置機構16は、例えば、帯状のカバーフィルム110を送り出し、または、巻き取るための一対のフィードローラ26を有している。この一対のフィードローラ26は、実装ヘッド12を挟んで両側に配置されており、帯状のカバーフィルム110は、実装ヘッド12の吸引面を横断するように掛け渡されている。そして、一つの半導体チップ100の熱圧着が終了するたびに、一対のフィードローラ26を回転させることで、使用済みのカバーフィルム110を巻き取るとともに、新たなカバーフィルム110を吸引面の真下に送り出す。こうしたフィルム配置機構16は、上述したとおり、実装ヘッド12に取り付けられており、実装ヘッド12とともに水平および垂直移動する。
【0042】
穿孔機構18は、実装ヘッド12の吸引面を覆うカバーフィルム110に通気孔を形成する機構である。すなわち、実装ヘッド12の吸引面には、吸引孔22が形成されており、この吸引孔22を介して半導体チップ100が吸引保持される。この実装ヘッド12の吸引面、ひいては、吸引孔22が、カバーフィルム110で完全に覆われると、吸引面で半導体チップ100を吸引できなくなる。
【0043】
穿孔機構18は、こうした実装ヘッド12の吸引面を覆うカバーフィルム110に、穿孔針を押し付けて通気孔112を形成する。通気孔112を形成することで、実装ヘッド12への接着材料108の付着を防止しつつ、実装ヘッド12で半導体チップ100を吸引保持できる。穿孔機構18は、1以上の穿孔針30を有している。
【0044】
この1以上の穿孔針30は、実装ヘッド12に対して相対移動可能となっている。したがって、例えば、穿孔針30自体が、移動して、実装ヘッド12の真下に移動してもよい。また、別の形態として、穿孔針30は、ボンディング動作を阻害しない位置に固定配置される一方で、実装ヘッド12が穿孔針30の真上に移動するようにしてもよい。いずれにしても、通気孔112を形成する際には、穿孔針30と吸引孔22が正対するように、実装ヘッド12および穿孔針30が位置決めされる。そして、互いに正対した状態で、穿孔針30をカバーフィルム110に押し付けることで、カバーフィルム110に通気孔112が形成される。なお、穿孔針30の個数は、十分な数の通気孔112を形成できるのであれば、特に限定されない。ただし、吸引面に半導体チップ100より十分に小さい吸引孔22が複数形成されている場合、穿孔針30は、この吸引孔22と同数、設けられることが望ましい。
【0045】
制御部20は、実装装置10の各部の駆動を制御する。制御部20は、例えば、各種演算を行うCPUと、各種データやプログラムを記憶するメモリと、を有している。制御部20は、例えば、実装ヘッド12および穿孔機構18の移動制御や、実装ヘッド12およびボンディングステージ14の加熱制御、フィルム配置機構16によるカバーフィルム110のフィード制御などを行う。
【0046】
次に、穿孔針30の形状について
図3、
図4を参照して説明する。
図3は、穿孔針30の斜視図であり、
図4は、穿孔針30の縦断面図である。穿孔針30は、円筒形の軸部32と、当該軸部32の先端に連なる切刃34と、を有している。切刃34は、実際に、カバーフィルム110に切り込んで、通気孔112を切り抜く部位である。この切刃34は、軸方向視で、通気孔112の周縁に対応した線状となっている。具体的には、本例では、通気孔112は、略円形となるため、切刃34も、軸方向視で、略円形(線状)となっている。切刃34は、軸部32に連なる略円筒形であるが、この切刃34の内径は、軸方向一定であるのに対し、切刃34の外径は、先端に近づくにつれて縮径している。その結果、切刃34の肉厚は、先端に近づくにつれて薄くなり、鋭利な刃を構成する。このような切刃34は、例えば、肉厚が軸方向一定の筒体を形成した後、当該筒体の先端の外面を、テーパー状に削ることで形成できる。
【0047】
かかる穿孔針30で通気孔112を形成する様子を
図5に示す。穿孔針30を、カバーフィルム110に押し当てると、
図5Aに示すとおり、切刃34の鋭利な先端が、カバーフィルム110に食い込む。この状態で、穿孔針30を、さらに、進出させると、
図5Bに示すとおり、カバーフィルム110が、切刃34の形状に沿って切り抜かれ、通気孔112が形成される。
図6は、カバーフィルム110に形成された通気孔112のイメージ図である。
図6に示すとおり、通気孔112は、切刃34に対応した形状、すなわち、略円形となる。
【0048】
ここで、本例のように、穿孔針30に、軸方向視で略線状の切刃34を設けた理由について、従来技術と比較して説明する。
図15は、従来の穿孔針30での穿孔の様子を示すイメージ図である。また、
図16は、従来の穿孔針30で形成される通気孔112のイメージ図である。
【0049】
従来の穿孔針30の先端には、
図15A、
図15Bに示すとおり、先端が尖った円錐部38が設けられている。この円錐部38の頂点は、カバーフィルム110に食い込む切刃34となるが、この従来の穿孔針30の切刃34(円錐部38の頂点)は、軸方向視で、点状となっている。そのため、従来の穿孔針30の場合、カバーフィルム110を、点状に切ることはできるが、線状に切ることはできない。
【0050】
そのため、従来の穿孔針30の場合、まず、円錐部38の頂点が、カバーフィルム110に刺し込まれることにより、小さな孔が形成される。その後、穿孔針30を進出させると、この小さな孔の周縁が、拡径していく円錐部38の外周面により外側に押し広げられる。その結果、小さな孔の周囲には、当該小さな孔を広げる方向のテンションFが発生する。この方向のテンションFが発生すると、カバーフィルム110は、最初に形成された小さな孔をきっかけとして、一方向に裂けていく。そして、最初に形成された小さな孔は、拡径していく穿孔針30を受け入れるべく、徐々に成長していく。
【0051】
つまり、先端円錐形の穿孔針30を用いた場合、カバーフィルム110は、切り抜かれず、通気孔112は、カバーフィルム110が一方向に裂けることで形成される。この場合、通気孔112は、
図16Aに示すように、一対の円弧が向かい合うような略レモン型となる。このように一本の裂け目を広げてなる通気孔112の場合、カバーフィルム110に作用するテンションFに応じて、その開口面積が変化するという問題があった。
【0052】
例えば、
図16Bに示すように、カバーフィルム110に作用するテンションFが低下すると、通気孔112の周縁を成す一対の円弧状縁が、互いに近づき、通気孔112の開口面積が低下する。また、
図16Cに示すように、カバーフィルム110に作用するテンションFが増加すると、一対の円弧状縁が交差する頂点Cに応力が集中し、当該頂点Cから一方向への更なる裂けが進行することがある。そして、結果として、通気孔112が過剰に大きくなることがあった。つまり、先端円錐形の穿孔針30を用いた場合、通気孔112の大きさを一定に保つことが難しく、ひいては、実装ヘッド12による半導体チップ100の吸引を安定して行うことが難しかった。
【0053】
一方、本例で用いる穿孔針30は、上述したとおり、軸方向視で、線状の切刃34を有している。その結果、カバーフィルム110を、切刃34の形状にあわせて「切る」ことができる。カバーフィルム110を「切る」場合、「裂く」場合に比べて、カバーフィルムの切れ目・裂け目の形状のコントロールが容易となる。また、本例では、カバーフィルム110を略円形に切り抜いているため、カバーフィルム110のテンションFが変化しても、通気孔112の形状・サイズをほぼ一定に保つことができる。
【0054】
また、本例における穿孔針30の切刃34は、円形、すなわち、尖った角部のない形状となっている。そのため、形成される通気孔112にも、尖った角部が形成されにくい。ここで、
図16Aに示すように、通気孔112が、頂点C、すなわち、尖った角部を有する形状の場合、当該通気孔112を広げる方向のテンションFが大きくなると、尖った角部(頂点C)に応力が集中し、裂けが進行しやすい。一方、
図6に示すように、尖った角部のない略円形の通気孔112の場合、当該通気孔112を広げる方向のテンションFが作用した場合でも、応力が特定箇所に集中しにくい。その結果。カバーフィルム110の意図しない裂け(通気孔112の意図しない拡大)を効果的に防止できる。
【0055】
ところで、本例の穿孔針30の切刃34は、繰り返し述べるとおり、円形、すなわち、始端と終端とが繋がったクローズパス形状である。したがって、この切刃34で、カバーフィルム110を切り抜いた場合、カバーフィルム110から完全分離した切断片114が生じる。この切断片114が、基板104や半導体チップ100、実装ヘッド12などに付着すると実装不良を招く。そこで、穿孔機構18には、穿孔針30で切り抜かれた切断片114を回収する回収機構40を設けることが望ましい。
【0056】
回収機構40の構成としては、種々考えられるが、例えば、穿孔針30の内部空間を利用して切断片114を吸引回収してもよい。すなわち、
図7に示すとおり、筒状の穿孔針30の基端を、ホース42を介して吸引装置44に連結する構成としてもよい。吸引装置44には、例えば、負圧を発生させるブロア等が設けられている。この場合、穿孔針30により切り抜かれた切断片114は、吸引装置44の駆動に伴い、穿孔針30の内部に吸引される。そして、最終的に、切断片114は、ホース42を介して、吸引装置44まで吸引され、回収される。かかる構成とすれば、切断片114が、基板104等に付着することを効果的に防止できる。
【0057】
また、別の形態として、切り抜かれた切断片114を吹き飛ばして回収する構成としてもよい。すなわち、
図8に示すように、穿孔針30の基端を、ホース42を介して、圧縮空気を生成する圧縮機46に接続する構成としてもよい。この場合、穿孔針30により切り抜かれた切断片114は、圧縮機46を駆動に伴い、上方に吹き飛ばされる。穿孔針30の上方には、この吹き飛ばされた切断片114を回収するための吸引装置(図示せず)や粘着テープ(図示せず)を配置しておいてもよい。また、別の形態として、この切断片114の吹き飛ばし動作を、切断片114を回収するダストボックス内でおこなってもよい。いずれにしても、この吹き飛ばし動作は、穿孔針30を、実装ヘッド12や基板104等から離間させた位置で行うことが望ましい。
【0058】
以上の説明から明らかなとおり、本明細書で開示する実装装置10によれば、穿孔針30の先端に、軸方向視で略線状の切刃34を設けているため、カバーフィルム110を適切に切ることができ、通気孔112の形状およびサイズを適切にコントロールできる。結果として、実装ヘッド12への接着材料108の付着を防止しつつ、実装ヘッド12で半導体チップ100を適切に吸引保持できる。
【0059】
なお、これまで説明した構成は、一例であり、穿孔針30の先端に、軸方向視で、略線状の切刃34を設けているのであれば、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、これまでの説明では、切刃34は、先端に近づくにつれて縮径する外径を有していた。しかし、切刃34の外径は、軸方向一定としてもよい。したがって、例えば、切刃34は、
図9A、
図9Bに示すとおり、外径が軸方向一定で、内径が先端に近づくにつれ拡径するような形状であってもよい。かかる切刃34は、例えば中実または中空の丸棒を用意し、この丸棒の先端面をスリバチ状に削ることで形成できる。
【0060】
図9A、
図9Bは、かかる穿孔針30でカバーフィルム110に切り抜く様子を示す図である。この場合も、穿孔針30をカバーフィルム110に押し当てることで、切刃34が、カバーフィルム110に食い込んでいき、カバーフィルム110が切刃34の形状に切り抜かれる。なお、
図5に示すように、切刃34の外径が下方に近づくにつれ、徐々に拡径する形態の場合、穿孔針30を進出させるにつれ、通気孔112の周縁が、切刃34の外周面により外側方向に押されることになる。一方、
図7に示すように、切刃34の外径が軸方向一定である場合、穿孔針30を進出させても、通気孔112の周縁は、切刃34の外周面で押し広げられない。その結果、外径が軸方向一定の切刃34の場合、形成される通気孔112の周縁の意図しない変形がより効果的に防止され、通気孔112の形状をより正確にコントロールできる。
【0061】
また、これまでは、切刃34は、軸方向視で、始端と終端が繋がったクローズパス形状としている。しかし、切刃34は、軸方向視で、始端と終端とが繋がっていないオープンパス形状としてもよい。例えば、
図10に示すように、切刃34の一部に、切り欠き36を形成し、切刃34を、軸方向視で、略C字状としてもよい。かかる切刃34を、カバーフィルム110に押し当てた場合、当該切り欠き36に対応する箇所だけは、切り抜かれずに残ることになる。この場合、切断片114は、
図11に示すように、カバーフィルム110と部分的に繋がった舌状となる。換言すれば、切断片114は、カバーフィルム110と完全分離されないため、この場合、切断片114の回収機構40が不要となる。なお、この場合、残存する切断片114が通気孔112を塞がないように、実装ヘッド12は、十分な吸引力で、カバーフィルム110を吸引することが望ましい。
【0062】
また、切刃34は、その先端の軸方向高さが、周方向に応じて変化する形状であってもよい。例えば、
図12に示すように、切刃34は、その先端が始端S1から周方向に進むにつれて徐々に軸方向基端側に進む弦巻線状であってもよい。かかる構成とした場合、切刃34が同時に切断する距離が短くなるため、より小さな力でカバーフィルム110を切断できる。
図13A〜
図13Dは、この切刃34による通気孔112の形成の様子、換言すれば、切り目120の成長の様子を示す図である。穿孔針30を、カバーフィルム110に押し当てると、最初は、切刃34のうち、最も高い始端S1のみがカバーフィルム110に切り込む。このとき、切刃34によるカバーフィルム110の切断距離は、
図13Aに示すように、非常に短い。その後、穿孔針30が、カバーフィルム110に対して上方に進むにつれ、カバーフィルム110に当たる切刃34の位置が、周方向に徐々に変化していく。
図13Bは、切刃34のうち点S2が、
図13Cは、点S3が、カバーフィルム110に切り込んだときの様子を示している。そして、最終的に、切刃34の終端S4がカバーフィルム110に切り込むことで、カバーフィルム110が略円形に切り抜かれる。このように、
図12に示す切刃34の場合、通気孔112の周縁全部を、同時に切るのではなく、通気孔112の周縁を少しずつ切り進めていく。その結果、穿孔針30がカバーフィルム110から受ける反力が小さくなるため、切り抜きに要する力を小さくできる。
【0063】
また、これまでは、切刃34を、軸方向視で、略円形または略C字状としているが、切刃34は、線状であれば、他の形状でもよい。例えば、切刃34は、軸方向視で、略楕円形や、略矩形のクローズパス形状でもよいし、コ字状、V次等のオープンパス形状でもよい。ただし、通気孔112を形成しなければならないため、切刃34は、軸方向視で、直線以外の形状でなければならない。また、切刃34は、軸方向視で、略矩形や、コ字状などでもよいが、そのコーナ部は、円弧状であることが望ましい。これは、通気孔112の周縁に尖った角部があると、当該角部から意図しない裂けが進行しやすいからである。
【0064】
また、これまでは、カバーフィルム110を、一対のフィードローラ26に掛け渡された帯状としているが、カバーフィルム110の形状は、適宜、変更されてもよい。例えば、カバーフィルム110は、実装ヘッド12の吸引面を覆える程度の略矩形の個片シートでもよい。この場合、個片状のカバーフィルム110は、
図14に示すように、実装ヘッド12の吸引力により実装ヘッド12に取り付けられる。より具体的には、実装ヘッド12の吸引面には、半導体チップ100を吸引保持するための第一吸引孔22aと、カバーフィルム110を吸引保持する第二吸引孔22bと、が形成されている。第一吸引孔22aは、吸引面の中央付近に設けられ、第二吸引孔22bは、吸引面の周縁近傍に設けられている。また、例えば、吸引面は、その面方向端部に傾斜した勾配面を有しており、第二吸引孔22bは、この勾配面に設けられていてもよい。
【0065】
第一吸引孔22aと第二吸引孔22bは、吸引/吸引解除の切替を互いに独立して制御できるようになっている。例えば、第一吸引孔22aと第二吸引孔22bは、
図14に示すとおり、バルブ50を介して吸引ポンプ52に接続されており、この複数のバルブ50は、互いに独立して開閉制御されてもよい。また、別の形態として、第一吸引孔22aと第二吸引孔22bは、互いに異なる吸引ポンプに接続されてもよい。
【0066】
この場合、個片状のカバーフィルム110は、シート載置部54に供給され、載置される。実装ヘッド12は、半導体チップ100の吸引保持に先立って、シート載置部54からカバーフィルム110を吸引し、保持する。実装ヘッド12によりカバーフィルム110が吸引保持されれば、穿孔機構18は、当該カバーフィルム110のうち、第一吸引孔22aに対向する箇所に穿孔針30を押し付けて、通気孔112を形成する。このとき、第一吸引孔22aと第二吸引孔22bとが独立していれば、通気孔112を形成しても、第二吸引孔22bによるカバーフィルム110の吸引が継続される。なお、この場合、カバーフィルム110を吸引保持する第二吸引孔22bおよび当該第二吸引孔22bに連通する吸引ポンプ52が、カバーフィルム110を所定の場所に配置するフィルム配置機構16として機能する。
【0067】
また、これまで説明した穿孔針30は、必要に応じて、交換可能であってもよい。例えば、穿孔針30の劣化、破損に伴い交換できるようにしてもよい。また、実装ヘッド12の形状、特に、吸引孔22の形状、個数の変化に応じて、穿孔針30の種類や個数を替えられるようにしてもよい。
【0068】
いずれにしても、本明細書で開示する実装装置10および穿孔針30によれば、カバーフィルム110に適切な形状の通気孔112が形成できるため、実装ヘッド12への接着材料108の付着を防止しつつ、実装ヘッド12で半導体チップ100を適切に吸引保持できる。