(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の端末は、画像撮影手段および表示画面を備え、前記画像撮影手段により前記収納バッグを撮影すると前記表示画面に前記収納バッグの画像と、前記第1の紐付け情報とを表示し、その表示画面の画像情報を前記情報管理部に送信する構成を備えることを特徴とする請求項1記載の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行システム。
前記バッグ識別部材、前記運搬手段識別部材および前記運搬者識別部材が、複数の識別部材の識別情報を一括して読み取ることが可能な電子タグまたはカラーバーコードで構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行システム。
(a)複数の第1の領域の各々において、バッグ識別部材が取り付けられ、放射性物質に汚染された廃棄物が収納されている複数の収納バッグの各々の重量および表面線量を計測する工程と、
(b)前記複数の第1の領域の各々において、前記複数の収納バッグの各々のバッグ識別部材の識別情報と、前記複数の収納バッグの各々の重量および表面線量の計測値とを読み取り紐付けし、第1の紐付け情報として情報管理部に送信して記録する工程と、
(c)前記複数の第1の領域の各々において、前記(b)工程後の前記複数の収納バッグを運搬手段に積載する工程と、
(d)前記複数の第1の領域の各々において、前記複数の収納バッグを積載した運搬手段が第1のゲート部を通過する際に、前記運搬手段に積載された前記複数の収納バッグの各々の前記バッグ識別部材と、前記運搬手段を識別する運搬手段識別部材と、前記運搬手段の運搬者を識別する運搬者識別部材との各々の識別情報を読み取り紐付けし、第2の紐付け情報として前記情報管理部に送信し記録する工程と、
(e)前記複数の第1の領域の各々の前記第1のゲート部と公道との間において、前記運搬手段の放射線量を計測することで得られた計測値と、その放射線量の計測対象の前記運搬手段の前記運搬手段識別部材の識別情報とを読み取り紐付けし、第3の紐付け情報として前記情報管理部に送信して記録する工程と、
(f)前記(e)工程後、前記複数の収納バッグを前記運搬手段により前記公道を通じて第2の領域に運ぶ工程と、
(g)前記第2の領域において、前記複数の収納バッグを積載した運搬手段が第2のゲート部を通過する際に、前記運搬手段に積載された前記複数の収納バッグの各々の前記バッグ識別部材と、前記運搬手段識別部材と前記運搬者識別部材との識別情報を読み取り前記情報管理部に送信する工程と、
を有することを特徴とする放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行方法。
前記バッグ識別部材、前記運搬手段識別部材および前記運搬者識別部材が、複数の識別部材の識別情報を一括して読み取ることが可能な電子タグまたはカラーバーコードであることを特徴とする請求項4または5記載の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行方法。
前記(c)工程においては、前記複数の収納バッグを前記運搬手段に積載する際に、前記複数の収納バッグの各々のバッグ識別部材の識別情報を一括して読み取れる状態で積載することを特徴とする請求項4、5または6記載の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、放射性物質汚染廃棄物による人や環境への影響を速やかに低減するために、放射性物質汚染廃棄物の廃棄処理を短時間で完了させることが望まれている。しかし、放射性物質汚染廃棄物を保管する仮置き場等は広範囲にわたり複数箇所に点在している上、放射性物質汚染廃棄物を収納するフレコンは膨大な数であり、そして、これを運ぶ運搬車両も膨大な数になっており、放射性物質汚染廃棄物の廃棄処理を短時間で完了させることが難しい状況にある。したがって、放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行過程においては、如何にして各作業を効率的に実行して廃棄処理を短時間で完了させるかが重要な課題になっている。
【0005】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、その目的は、放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行過程における作業効率を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行システムは、放射性物質に汚染された廃棄物を収納する複数の収納バッグを、複数の第1の領域の各々から公道を介して第2の領域に運ぶ複数の運搬手段と、前記第1の領域、前記第2の領域および前記運搬手段の各々と情報を共有することが可能な状態で接続され、前記第1の領域、前記第2の領域および前記運搬手段で得られた情報の記録、処理および管理を実行する情報管理部と、を備え、前記第1の領域は、前記複数の収納バッグの各々の重量および表面線量を計測する計測手段と、前記複数の収納バッグの各々に取り付けられたバッグ識別部材の識別情報と、前記計測手段により計測された計測値とを読み取り紐付けし、第1の紐付け情報として前記情報管理部に送信する第1の端末と、前記第1の端末により紐付けがなされた状態の前記複数の収納バッグを前記運搬手段に積載する積載手段と、前記運搬手段に積載された前記複数の収納バッグの前記バッグ識別部材、前記運搬手段を識別する運搬手段識別部材および前記運搬手段の運搬者を識別する運搬者識別部材の各々の識別情報を読み取る第1の読取手段を備えるとともに、前記第1の読取手段で読み取られた情報を紐付けして第2の紐付け情報として前記情報管理部に送信する第2の端末を備える第1のゲート部と、前記第1のゲート部と前記公道との間において、前記運搬手段の放射線量を計測することで得られた計測値と、その放射線量の計測対象の運搬手段の前記運搬手段識別部材の識別情報とを読み取り紐付けし、第3の紐付け情報として前記情報管理部に送信する第3の端末と、を備え、前記第2の領域は、前記運搬手段に積載された前記複数の収納バッグの前記バッグ識別部材、前記運搬手段識別部材および前記運搬者識別部材の各々の識別情報を読み取る第2の読取手段を備えるとともに、前記第2の読取手段で読み取られた情報を前記情報管理部に送信する第4の端末を備える第2のゲート部を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の本発明は、上記請求項1記載の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行システムにおいて、前記第1の端末は、画像撮影手段および表示画面を備え、前記画像撮影手段により前記収納バッグを撮影すると前記表示画面に前記収納バッグの画像と、前記第1の紐付け情報とを表示し、その表示画面の画像情報を前記情報管理部に送信する構成を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の本発明は、上記請求項1または2記載の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行システムにおいて、前記バッグ識別部材、前記運搬手段識別部材および前記運搬者識別部材が、複数の識別部材の識別情報を一括して読み取ることが可能な電子タグまたはカラーバーコードで構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の本発明の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行方法は、(a)複数の第1の領域の各々において、バッグ識別部材が取り付けられ、放射性物質に汚染された廃棄物が収納されている複数の収納バッグの各々の重量および表面線量を計測する工程と、(b)前記複数の第1の領域の各々において、前記複数の収納バッグの各々のバッグ識別部材の識別情報と、前記複数の収納バッグの各々の重量および表面線量の計測値とを読み取り紐付けし、第1の紐付け情報として情報管理部に送信して記録する工程と、(c)前記複数の第1の領域の各々において、前記(b)工程後の前記複数の収納バッグを運搬手段に積載する工程と、(d)前記複数の第1の領域の各々において、前記複数の収納バッグを積載した運搬手段が第1のゲート部を通過する際に、前記運搬手段に積載された前記複数の収納バッグの各々の前記バッグ識別部材と、
前記運搬手段を識別する運搬手段識別部材と、
前記運搬手段の運搬者を識別する運搬者識別部材との各々の識別情報を読み取り紐付けし、第2の紐付け情報として前記情報管理部に送信し記録する工程と、(e)前記複数の第1の領域の各々の前記第1のゲート部と公道との間において、前記運搬手段の放射線量を計測することで得られた計測値と、その放射線量の計測対象の前記運搬手段の前記運搬手段識別部材の識別情報とを読み取り紐付けし、第3の紐付け情報として前記情報管理部に送信して記録する工程と、(f)前記(e)工程後、前記複数の収納バッグを前記運搬手段により前記公道を通じて第2の領域に運ぶ工程と、(g)前記第2の領域において、前記複数の収納バッグを積載した運搬手段が第2のゲート部を通過する際に、前記運搬手段に積載された前記複数の収納バッグの各々の前記バッグ識別部材と、前記運搬手段識別部材と前記運搬者識別部材との識別情報を読み取り前記情報管理部に送信する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の本発明は、上記請求項4記載の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行方法において、前記(b)工程は、(b1)前記収納バックのバッグ識別部材の識別情報を読み取る工程と、(b2)前記収納バッグの重量および表面線量を計測する工程と、(b3)前記(b1)で得られた前記収納バッグの識別情報と前記(b2)工程で得られた前記収納バッグの重量および表面線量の計測値とを紐付けして前記第1の紐付け情報を作成する工程と、(b4)前記収納バッグを第1の端末により撮影することで前記第1の端末の表示画面に、前記収納バッグの画像と前記第1の紐付け情報とを表示した画像情報を作成する工程と、(b5)前記(b1)〜前記(b4)で得られた情報を前記情報管理部に送信して記録する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の本発明は、上記請求項4または5記載の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行方法において、前記バッグ識別部材、前記運搬手段識別部材および前記運搬者識別部材が、複数の識別部材の識別情報を一括して読み取ることが可能な電子タグまたはカラーバーコードであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の本発明は、上記請求項4、5または6記載の放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行方法において、前記(c)工程においては、前記複数の収納バッグを前記運搬手段に積載する際に、前記複数の収納バッグの各々のバッグ識別部材の識別情報を一括して読み取れる状態で積載することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行過程における作業効率を向上させることが可能になる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、個々の収納バッグの情報の確認作業を効率的に実行することが可能になる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、運搬手段に積載された複数個の収納バッグの各々のバック識別情報等を効率的に読み取ることができるので、情報の読み取り時間を短縮することが可能になる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、放射性物質汚染廃棄物の廃棄運行過程における作業効率を向上させることが可能になる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、収納バッグの情報の確認作業を効率的に実行することが可能になる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、運搬手段に積載された複数個の収納バッグの各々のバック識別情報等を効率的に読み取ることができるので、情報の読み取り時間を短縮することが可能になる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、運搬手段に積載された複数個の収納バッグの各々のバック識別情報等を効率的に読み取ることができるので、情報の読み取り時間を短縮することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、放射性物質汚染廃棄物を単に汚染廃棄物という。
【0022】
まず、本実施の形態の汚染廃棄物の廃棄運行システムの構成例について
図1および
図2を参照して説明する。
図1は本実施の形態に係る汚染廃棄物の廃棄運行システムの一例の構成図、
図2は
図1の汚染廃棄物の廃棄運行システムの要部の構成図である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態の汚染廃棄物の廃棄運行システム1は、広範囲にわたり複数箇所に点在する仮置き場(第1の領域)2において汚染廃棄物を複数個のフレコン(収納バッグ)に収納してトラック(運搬手段)3に積み込み、公道を介して最終処分場(第2の領域)4に運ぶまでの廃棄過程において汚染廃棄物を管理するシステムであり、複数箇所の仮置き場2と、複数台のトラック3と、最終処分場4と、クラウドサーバ(情報管理部)5との間で情報の共有が可能な状態で構築されている。
【0024】
図2に示すように、仮置き場2の受入領域2aは、被災地等からトラック等によって運ばれた汚染廃棄物を受け入れ荷降しする領域である。その後段の収納領域2bは、受入領域2aに集められた汚染廃棄物を複数個のフレコンに収納する領域である。その後段の識別部材貼付領域2cは、複数個のフレコンの各々に識別部材を貼り付ける領域である。この識別部材は、例えば、RFID(Radio Frequency identifier)等のような電子タグで構成されており、各フレコンの外側表面のほぼ同じ位置に貼り付けられる。
【0025】
識別部材貼付領域2cの後段の計測・読取領域2dは、例えば、各フレコンの重量(kg)、表面線量(μSV/h)および表面汚染密度(Bq/cm
2)を計測するとともに、各フレコンの識別部材の識別情報を読み取り、各フレコンの重量、表面線量および表面汚染密度の計測値と、各フレコンの識別部材の識別情報とを紐付け(関連付け)する領域である。ここで得られた情報はクラウドサーバ5に送信されクラウドサーバ5のメモリに記録されるようになっている。
【0026】
計測・読取領域2dの後段の収納バッグ積載領域2eは、荷積み搬出業務指示書等に従って複数個のフレコンをクレーン(積載手段)等によってトラック3に積載する領域である。ここでは、複数個のフレコンが、その複数個の識別部材の識別情報をタブレット型の端末機等によって一括して読み取ることが可能な状態でトラック3に積載される。
【0027】
収納バッグ積載領域2eの後段の搬出用ゲート部2fは、複数個のフレコンが積載されたトラック3が通過する際に、複数個のフレコンの識別部材の識別情報、トラック3の識別部材の識別情報および運転手の識別部材の識別情報を一括して読み取り、その読み取られた情報を紐付け(関連付け)する構成部である。ここで得られた情報はクラウドサーバ5に送信されクラウドサーバ5のメモリに記録されるようになっている。
【0028】
また、搬出用ゲート部2fにおいては、上記のように一括読み取りにより得られた複数個のフレコンの識別部材の識別情報、トラック3の識別部材の識別情報および運転手の識別部材の識別情報に基づいて、当該トラック3が過積載になっていないか、トラック3に積載された複数個のフレコンの中に放射線濃度が規定値の10万Bq/kgを越えるものはないか、さらには、運行計画と比較して問題がないか等を確認する。
【0029】
搬出用ゲート部2fの後段の待機領域2gは、フレコンを積載したトラックが公道に出る直前の最終確認領域である。ここでは、トラック3に積載されたフレコンの個数が目視確認される他、トラック3に積載されたフレコンの状態が写真撮影される。また、必要事項書面が発行され運転手に手渡される。また、トラック3の周りの空間放射線量が計測されるとともに、トラック3の識別部材の識別情報が読み取られ、トラック3の周りの空間放射線量の計測値とトラック3の識別部材の識別情報とが紐付け(関連付け)される。ここで得られた情報もクラウドサーバ5に送信されクラウドサーバ5のメモリに記録されるようになっている。
【0030】
トラック3は、汚染廃棄物を収納した複数個のフレコンを仮置き場2から最終処分場4に運ぶ運搬手段である。トラック3の運転手には、GPS(Global Positioning System)機能付きのタブレット型の端末機等が運送会社の輸送基地を出発する時点で既に渡されている。このタブレット型の端末機は、GPS衛生から受信した信号に基づいてトラック3の走行位置をリアルタイムでタブレット型の端末機の液晶表示画面に表示するとともに、その位置情報をクラウドサーバ5に送信するようになっている。クラウドサーバ5においては、公道を走行する複数台のトラック3の各々のタブレット型の端末機から送られた複数台のトラック3の位置情報を地図上にリアルタイムに表示するようになっている。また、クラウドサーバ5においては、各トラック3に紐付けられた各種の情報を表示したり、道路情報位置情報に基づいて各トラック3の到着時刻を表示したりすることが可能になっている。
【0031】
最終処分場4の搬入用ゲート部4aは、複数個のフレコンが積載されたトラック3が通過する際に、複数個のフレコンの識別部材の識別情報、トラック3の識別部材の識別情報および運転手の識別部材の識別情報を一括して読み取り、クラウドサーバ5に送信する構成部である。ここでは、仮置き場2の搬出用ゲート部2fで取得されクラウドサーバ5に記録された情報と、最終処分場4の搬入用ゲート部4aで取得された情報とを照合(確認)する。
【0032】
また、搬入用ゲート部4aの後段の受入領域4bは、最終処分前の最終確認領域である。ここでは、必要事項書面の確認やフレコンの個数の目視確認等が行われる。
【0033】
クラウドサーバ5は、仮置き場2、トラック3および最終処分場4の各々で得られた情報の記録、処理および管理等を実行する情報管理部であり、仮置き場2、トラック3および最終処分場4の各々と情報を共有することが可能な状態で電気的に接続されている。
【0034】
次に、仮置き場2の計測・読取領域2dに配備された計測器および端末機の一例について
図3および
図4を参照して説明する。
図3(a)は
図2の計測・読取領域の計測器の一例の平面図、
図3(b)はフレコン搭載時の
図3(a)の計測器の側面図、
図3(c)はフレコン離脱時の
図3(a)の計測器の側面図、
図4は
図3の計測器と端末機との接続状態を示す構成図である。なお、ここでは、符号FBは、地盤改良型のフレコンを例示している。また、符号D1は、フレコンFBの表面に貼り付けられた上記識別部材を示している。
【0035】
図3に示すように、計測器10は、例えば、フレコンFBの重量および表面線量を計測する計測器である。計測器10は、1台で重量および表面線量を計測することができるので、重量および表面線量を別々に計測する場合よりも場所をとらない上、計測作業を効率的に実行することができる。
【0036】
この計測器10の基台10aには、例えば、ロードセルのような重量計測器が設置されている。この重量計測器は、
図4に示すように、配線を通じて送信機S1に電気的に接続されている。この送信機S1は、重量計測器から送信されたフレコンFBの計測値の情報を無線通信によってタブレット型の端末機(第1の端末)T1に送信することが可能な構成になっている。
【0037】
また、
図3に示すように、計測器10の基台10aの上面上には、複数個のスプリング10bを介して載置板10cが上下方向に移動可能な状態で設置されている。
図3(b)に示すように、載置板10c上にフレコンFBを載せるとスプリング10bが縮み、そのスプリング10bから基台10aの重量計測器に圧力が加わることでフレコンFBの重量が計測されるようになっている。一方、
図3(c)に示すように、載置板10c上からフレコンFBをどけると、スプリング10bが延びて載置板10cを上方の元の位置に戻すようになっている。また、基台10aの上面にはスプリング10bの一群を取り囲むように受け台10dが設置されている。これにより、載置板10c側から基台10aの重量計測器に過剰な圧力が加わらないようになっている。なお、
図3(a)に示すように、載置板10cの上面には、フレコンFBの搭載位置を示す基準線Lが印されている。
【0038】
また、計測器10の2つの側面には、放射線計測器10eが回動可能な状態で設置されている。この放射線計測器10eは、フレコンFBの表面線量を計測する機器であり、
図4に示すように、配線を通じて送信機S2に電気的に接続されている。この送信機S2は、放射線計測器10eから送信されたフレコンFBの表面線量の計測値の情報を無線通信によってタブレット型の端末機T1に送信することが可能な構成になっている。なお、ここでは放射線計測器10eを2個設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、3個以上でも良い。
【0039】
また、
図3(b),(c)に示すように、放射線計測器10eは、緩衝用スプリング10fを介してL字状の支持部材10gの一端側に支持されている。緩衝用スプリング10fは、放射線計測器10eに振動等が伝わらないようにするための部材である。
【0040】
支持部材10gの他端側は、その他端側に設置されたローラ10hを介して載置板10cと係合されている。すなわち、
図3(c)に示すように、載置板10c上にフレコンFBを載せる前は、フレコンFBを載せ易くするために、2つの放射線計測器10eが外側に開いた状態になっているが、
図3(b)に示すように、載置板10c上にフレコンFBを載せると、フレコンFBの重みで載置板10cが下降することにより支持部材10gの他端部が下方に押される結果、支持部材10gが内側に回転し、自動的に放射線計測器10eの計測面(検出面)がフレコンFBの側面に対向するようになっている。
【0041】
さらに、
図4に示すように、汚染密度計測器11は、フレコンFBの表面汚染密度を計測する計測器であり、配線を通じて送信機S3に電気的に接続されている。この送信機S3は、汚染密度計測器11から送信されたフレコンFBの表面汚染密度の計測値の情報を無線通信によってタブレット型の端末機T1に送信することが可能な構成になっている。
【0042】
計測・読取領域2dで用いる上記タブレット型の端末機T1は、複数個のフレコンFBの識別部材D1の識別情報を一括して読み取る機能を備えている上、各フレコンFBの識別部材D1の識別情報と、計測器10および汚染密度計測器11で計測された各フレコンFBの重量、表面線量および表面汚染密度の計測値とを紐付け(関連付け)してクラウドサーバ5に送信する機能を備えている。
【0043】
また、タブレット型の端末機T1は、液晶表示画面SC1を備えており、クラウドサーバ5に記録された情報をインターネット回線経由で液晶表示画面SC1に表示させて目視確認することが可能になっている。また、タブレット型の端末機T1は、画像撮影機能を備えており、画像撮影機能によりフレコンFBを撮影すると、そのフレコンFBの撮影画像(写真)を液晶表示画面SC1に表示するとともに、撮影したフレコンFBの識別部材D1の識別情報に紐付けされた紐付け情報(第1の紐付け情報)を電子黒板形式で表示し、さらに、その液晶表示画面SC1の画像情報をクラウドサーバ5に送信する機能を備えている。
【0044】
次に、放射性物質汚染廃棄物の管理方法の一例について
図2および
図5〜
図12を参照して説明する。
【0045】
まず、
図2に示す仮置き場2の受入領域2aに集められた汚染廃棄物を収納領域2bにおいて、例えば、地盤改良用のフレコンFBに収納して保管する。続いて、
図2に示す識別部材貼付領域2cにおいて、
図5(a)に示すように、複数のフレコンFBの各々の表面に識別部材D1を貼り付ける。識別部材D1は、例えば、RFIDからなり、各フレコンFBの外側表面のほぼ同じ位置に貼り付けられる。なお、この識別部材D1は、フレコンFBに汚染廃棄物を収納する前に貼り付けても良い。また、フレコンは、上記したものに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、縦長柱状の輸送用のフレコンを用いても良い。
【0046】
次いで、
図2に示す計測・読取領域2dにおいては、
図5(b),(c)に示すように、個々のフレコンFBをクレーン等によって計測器10の載置板10c上に載せた後、フレコンFBの重量、表面線量および表面汚染密度を計測する。
【0047】
この際、
図6(a)に示すように、タブレット型の端末機T1によって計測中のフレコンFBの識別部材D1の識別情報を読み取る。続いて、
図6(b)に示すように、計測器10で取得された重量および表面線量の計測値を無線通信によってタブレット型の端末機T1に取り込む。さらに、
図4に示したように、汚染密度計測器11で取得された重量および表面線量の計測値を無線通信によってタブレット型の端末機T1に取り込む。その後、タブレット型の端末機T1においては、フレコンFBの識別部材D1の識別情報と、フレコンFBの重量、表面線量および表面汚染密度の計測値とを紐付け(関連付け)し、第1の紐付け情報としてタブレット型の端末機T1のメモリに記録する。なお、タブレット型の端末機を通じて、例えば、作業場所、作業者および汚染物質の種類等も記録する。
【0048】
続いて,
図7に示すように、タブレット型の端末機T1によってフレコンFBを写真撮影すると、タブレット型の端末機T1の液晶表示画面SC1に、フレコンFBの撮影画像(写真)が表示されるとともに、その撮影画像の脇に電子黒板BBが表示される。この電子黒板BBには、第1の紐付け情報としてフレコンFBの識別情報、フレコンFBの重量、表面線量および表面汚染密度の計測値が表示される他、作業場所や汚染廃棄物の種類等が表示される。これにより、作業者は、個々のフレコンFBの情報を簡単に確認することができるので、確認作業を効率的に実行することができる。その後、タブレット型の端末機T1で撮影した画像情報をクラウドサーバ5に送信する。クラウドサーバ5は、タブレット型の端末機T1から送信された各種情報(第1の紐付け情報や画像情報)をクラウドサーバ5のメモリに記録する。これにより、この段階の汚染廃棄物の情報を共有することができる。また、この段階の汚染廃棄物を良好に管理することができる。
【0049】
次いで、
図2に示す収納バッグ積載領域2eにおいては、
図8に示すように、荷積み搬出業務指示書等に従って計測後の複数個のフレコンFBをクレーン(積載手段)12等によってトラック3の荷台に積載する。この際、複数個のフレコンFBの各々の識別部材D1の識別情報を一括して読み取れる状態で積載する。これにより、後に複数個のフレコンFBの各々の識別部材D1の識別情報を短時間で取得することができるので、確認作業の効率を向上させることができる。このトラック3には識別部材D2が読み取り可能な状態で貼り付けられている。また、運転者も識別部材D3を所有している。識別部材D2,D3は、例えば、フレコンFBの識別部材D1と同様のRFIDが使用されている。なお、トラック3の情報(所属、積載重量等の仕様)や運転者の情報(所属、氏名等)は事前に登録されている。
【0050】
続いて、
図2に示す搬出用ゲート部2fにおいては、
図9(a)に示すように、複数個のフレコンFBを積載したトラック3が搬出用ゲートG1を通過する際に、搬出用ゲートG1に設置された読取装置(第1の読取手段)によって、トラック3に積載された複数個のフレコンの識別部材D1の識別情報、トラック3の識別部材D2の識別情報および運転手の識別部材D3の識別情報が自動的に一括して読み取られる。識別部材としてバーコードを用いた場合、複数個のフレコンFBの識別部材の識別情報を1つ1つ読み取らなければならない上、トラック3の識別情報や運転者の識別情報も1つ1つ読み取らなければならないので読み取りに時間がかかり作業に時間がかかる。これに対して、本実施の形態においては、上記したように複数個のフレコンFBの識別部材の識別情報、トラック3の識別部材D2の識別情報および運転手の識別部材D3の全てを一括して読み取ることができるので、効率的な読み取りができ、読み取り時間を短縮することができる。
【0051】
搬出用ゲートG1の読取装置は、読み取った情報を無線通信によってタブレット型の端末機(第2の端末)T2に送信する。タブレット型の端末機T2においては、搬出用ゲートG1の読取装置から送信された複数個のフレコンの識別部材D1の識別情報、トラック3の識別部材D2の識別情報および運転手の識別部材D3の識別情報を紐付け(関連付け)し第2の紐付け情報として端末機T2のメモリに記録するとともに、クラウドサーバ5に送信する。クラウドサーバ5では、タブレット型の端末機T2から送信された第2の紐付け情報をクラウドサーバ5のメモリに記録する。これにより、この段階の汚染廃棄物の情報を共有することができる。また、この段階の汚染廃棄物を良好に管理することができる。
【0052】
また、タブレット型の端末機T2においては、第2の紐付け情報に基づいて、トラック3の重量、トラック3に積載された複数個のフレコンFBの総重量、そのトラック3に許容される荷物の重量等を液晶表示画面SC2に表示する。これにより、搬出用ゲート部2fの作業者はトラック3が過積載になっていないか否かを簡単に確認することができる。
【0053】
また、タブレット型の端末機T2においては、第2の紐付け情報に基づいて、トラック3に積載された複数個のフレコンFBの個々の放射線濃度を液晶表示画面SC2に表示する。これにより、搬出用ゲート部2fの作業者はトラック3に積載された複数個のフレコンFBの中に放射線濃度が規定値の10万Bq/kgを越えるものはないか否かを簡単に確認することができる。
【0054】
さらに、タブレット型の端末機T2においては、第2の紐付け情報や他の情報を液晶表示画面SC2に表示する。これにより、搬出用ゲート部2fの作業者は運行計画と比較して問題がないか等を簡単に確認することができる。
【0055】
したがって、本実施の形態においては、上記した過積載、放射線濃度および運行計画等に関する確認作業を効率的に実行することができるので、搬出用ゲート部2fでの確認作業の時間を短縮することができる。
【0056】
その後、
図2に示す待機領域2gにおいては、
図9(b)に示すように、搬出用ゲートG1を通過直後、公道に出る前に、トラック3の周りの空間放射線量を放射線計測器13によって計測し、その計測値の情報を送信機S4から無線通信によってタブレット型の端末機(第3の端末)T3に送信する。タブレット型の端末機T3においては、放射線計測器13で計測された空間放射線量の計測値と、トラック3の識別部材D2の識別情報(または第2の紐付け情報)とを紐付け(関連付け)し、第3の紐付け情報としてタブレット型の端末機T3のメモリに記録するとともに、その第3の紐付け情報をクラウドサーバ5に送信する。クラウドサーバ5は、タブレット型の端末機T3から送信された情報をクラウドサーバ5のメモリに記録する。これにより、この段階の汚染廃棄物の情報を共有することができる。また、この段階の汚染廃棄物を良好に管理することができる。
【0057】
また、待機領域2gにおいては、トラック3に積載された複数個のフレコンの個数等を目視確認する。また、タブレット型の端末機T3によってトラック3の全体の写真を撮影する。また、必要事項書面を印刷して運転者に手渡しする。
図10は必要事項書面の一例を示している。必要事項書面には、例えば、運搬日、搬出搬入時刻、運搬事業者、保管場所、連絡先、埋立対象廃棄物の種類、処理の仕方、積荷数量、車両重量、車両線量率、積荷および受入重量等に関する種々の情報が記載されている。
【0058】
次いで、
図2に示すように、仮置き場2の複数個のフレコンFBをトラック3に載せて公道を通じて最終処分場4に運搬する。ここで、
図11に示すように、トラック3の運転手にはGPS機能付きのタブレット型の端末機T4等が渡されている。
【0059】
このタブレット型の端末機T4は、GPS衛生STから受信した信号に基づいてトラック3の走行位置をリアルタイムに液晶表示画面SC4に表示するとともに、その位置情報をクラウドサーバ5に送信する。
【0060】
クラウドサーバ5においては、走行中の複数のトラック3の各々のタブレット型の端末機T4から送られた複数のトラック3の位置情報を地
図MP上にリアルタイムに表示する。また、クラウドサーバ5においては、各トラック3に紐付けられた各種の情報を表示したり、道路情報位置情報に基づいて各トラック3が最終処分場4に到着する時刻を表示したりすることも可能になっている。したがって、トラック3の走行時の汚染廃棄物の情報を共有することができる。また、トラック3の走行時の汚染廃棄物を良好に管理することができる。また、各トラック3に対して渋滞情報やルート誘導情報を提供することにより、トラック3の運搬時間を短縮することもできる。
【0061】
続いて、
図2に示すように、最終処分場4に到着したトラック3は、搬入用ゲート部4aに入る。この搬入用ゲート部4aにおいては、
図12(a)に示すように、複数個のフレコンFBを積載したトラック3が搬入用ゲートG2を通過する際に、搬入用ゲートG2に設置された読取装置(第2の読取手段)によって、トラック3に積載された複数個のフレコンの識別部材D1の識別情報、トラック3の識別部材D2の識別情報および運転手の識別部材D3の識別情報が自動的に一括して読み取られる。これにより、トラック3の複数のフレコンFB、トラック3および運転手の識別情報の効率的な読み取りができ、それらの識別情報の読み取り時間を短縮することができる。
【0062】
搬入用ゲートG2の読取装置は、読み取った情報を無線通信によってタブレット型の端末機(第4の端末)T5に送信する。タブレット型の端末機T5は、搬入用ゲートG2の読取装置から送信された複数個のフレコンの識別部材D1の識別情報、トラック3の識別部材D2の識別情報および運転手の識別部材D3の識別情報を紐付け(関連付け)し第4の紐付け情報として端末機T5のメモリに記録するとともに、クラウドサーバ5に送信する。クラウドサーバ5では、タブレット型の端末機T5から送信された第4の紐付け情報をクラウドサーバ5のメモリに記録する。これにより、この段階の汚染廃棄物の情報を共有することができる。また、この段階の汚染廃棄物を良好に管理することができる。
【0063】
ここで、搬入用ゲート部4aの作業者は、タブレット型の端末機T5を用いて、最終処分場4の搬入用ゲート部4aで取得された情報と、仮置き場2の搬出用ゲート部2fで取得されクラウドサーバ5に記録された情報とを照合する。この照合はクラウドサーバ5側で行うこともできる。これにより、搬出および搬入での汚染廃棄物の照合作業を効率的に実行することができるので、その照合時間を短縮することができる。
【0064】
続いて、搬入用ゲート部4aで問題が無かったトラック3は、
図12(b)に示すように、最終処分場4の受入領域4bに移動する。ここでは、トラック3に積載された複数個のフレコンFBの個数等を目視確認する。また、必要事項書面を確認する。問題がなければ、トラック3に積載された複数個のフレコンFB内の汚染廃棄物を処分する。
【0065】
このように本実施の形態においては、汚染廃棄物の廃棄運行過程の各段階(仮置き場2での汚染廃棄物の運搬準備段階、トラック3での汚染廃棄物の運搬段階および最終処分場4での汚染廃棄物の受入準備段階等)において、汚染廃棄物に関する情報を取得し、その情報をクラウドサーバ5に送信することにより、廃棄運行過程の各段階において汚染廃棄物を厳密に管理することができる。
【0066】
また、本実施の形態においては、汚染廃棄物の廃棄運行過程の各段階において各種作業を効率的に実行することができるので、仮置き場2に集められた汚染廃棄物をトラック3で最終処分場4に運搬して廃棄するまで時間を短縮することができる。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0068】
前記実施の形態においては、識別部材としてRFIDを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、識別部材として、赤、青、緑の色の繋がりで表現されカラーバーコードを用いても良い。この場合も複数の識別部材(カラーバーコード)の識別情報を一括して読み取ることができる。カラーバーコードは、赤、青、緑の色を用いてデータを表したコードであり、隣接する色の変化で、「1」、「0」を表現している。例えば、色が、赤青、青緑または緑赤の各々の順で変化しているところで「1」を表し、赤緑、緑青または青赤の各々の順で変化しているところで「0」を表している。カラーバーコードの読取装置としては、例えば、ウェブカメラ、デジタルカメラあるいは携帯電話やパーソナルコンピュータに装備されたカメラを用いることができる。この場合、専用の読取装置を必要としないので、構成を簡単化することができる上、コストを低減することができる。