(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のバンドの選択方法によれば、無線LANアクセスポイントが複数の無線LANステーション装置と同時に接続可能であり、且つ、各無線LANステーション装置において品質のより高いバンドを選択するというポリシーが採用された場合、或る特定のバンドが集中して選択される。このため、かかるバンドに無線通信が集中し、各無線LANステーション装置における空間帯域占有時間が低下して通信のスループットが低下するという問題があった。なお、このような問題は、無線LANに限らず、複数のバンドで通信可能な無線通信装置および無線端末装置の無線接続において発生し得る。このため、各無線端末装置による無線通信装置を介した無線通信のスループットの低下を抑制可能な技術が望まれていた。その他、従来の無線通信装置においては、その小型化や、低コスト化や、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
[形態1]複数の無線端末装置と通信可能な無線通信装置であって、
互いに異なる複数の無線周波数帯域でそれぞれ前記複数の無線端末装置と通信可能な無線通信部と、
前記複数の無線端末装置のうち、前記複数の無線周波数帯域のうちの所定の度合い以上に混雑した無線周波数帯域である混雑周波数帯域で通信しており、且つ、前記複数の無線周波数帯域のうちの前記混雑周波数帯域とは異なる他の無線周波数帯域で通信可能な無線端末装置である第1の無線端末装置を特定する端末装置特定部と、
特定された前記第1の無線端末装置のうちの少なくとも1台において通信を行なう際に使用する無線周波数帯域である使用無線周波数帯域を、前記混雑周波数帯域から、前記他の無線周波数帯域に変更する第1の周波数帯域変更部と、
を備え、さらに、
前記使用無線周波数帯域を、前記混雑周波数帯域から前記他の無線周波数帯域に変更した後において、所定期間内に、
特定された前記第1の無線端末装置が前記他の無線周波数帯域で前記無線通信部と通信を行なったか否かを判定する通信判定部と、
前記所定期間内に、
特定された前記第1の無線端末装置が前記他の無線周波数帯域で前記無線通信部と通信を行なっていないと判定された場合に、前記使用無線周波数帯域を、前記他の無線周波数帯域から前記混雑周波数帯域に戻す第2の周波数帯域変更部と、
を備える、無線通信装置。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、複数の無線端末装置と通信可能な無線通信装置が提供される。この無線通信装置は:互いに異なる複数の無線周波数帯域でそれぞれ前記複数の無線端末装置と通信可能な無線通信部と;前記複数の無線端末装置のうち、前記複数の無線周波数帯域のうちの所定の度合い以上に混雑した無線周波数帯域である混雑周波数帯域で通信しており、且つ、前記複数の無線周波数帯域のうちの前記混雑周波数帯域とは異なる他の無線周波数帯域で通信可能な無線端末装置である第1の無線端末装置を特定する端末装置特定部と;前記特定された前記第1の無線端末装置のうちの少なくとも1台において通信を行なう際に使用する無線周波数帯域である使用無線周波数帯域を、前記混雑周波数帯域から、前記他の無線周波数帯域に変更する第1の周波数帯域変更部と;を備える。
この形態の無線通信装置によれば、混雑周波数帯域で通信しており、且つ、混雑周波数帯域とは異なる他の無線周波数帯域で通信可能な第1の無線端末装置を特定し、第1の無線端末装置のうちの少なくとも1台における使用無線周波数帯域を、混雑周波数帯域から他の無線周波数帯域に変更するので、各無線端末装置による無線通信装置を介した通信のスループットの低下を抑制できる。また、或る無線端末装置が通信を開始した当初は所定の度合い以上に混雑していなかった周波数帯域が、その後に所定の度合い以上に混雑した場合であっても、その周波数帯域の混雑の度合いを低減できる。
【0007】
(2)上記形態の無線通信装置において、前記端末装置特定部は:前記複数の無線端末装置のそれぞれについて、前記複数の無線周波数帯域でそれぞれ通信が可能であるか否かを特定する通信可否特定部と;前記複数の無線周波数帯域の混雑の度合いを、それぞれ特定する混雑度合い特定部と;前記特定された混雑度合いが前記所定の度合いよりも小さい無線周波数帯域で通信可能な無線端末装置のうち、前記特定された混雑度合いが前記所定の度合い以上の前記混雑周波数帯域で通信している無線端末装置を、前記第1の無線端末装置として特定する装置特定部と;を有してもよい。この形態の無線通信装置によれば、通信可否特定部により複数の無線端末装置のそれぞれについて、複数の無線周波数帯域でそれぞれ通信可能であるか否かを特定し、また、第1の無線端末装置として、混雑度合いが所定の度合いよりも小さい他の無線周波数帯域で通信可能な無線端末装置のうち、混雑周波数帯域で通信している無線端末装置を特定するので、かかる無線端末装置の使用無線周波数帯域を他の無線周波数帯域に変更した場合に、第1の無線端末装置が無線通信装置を介した無線通信を行なえなくなることを抑制できる。
【0008】
(3)上記形態の無線通信装置において、前記通信可否特定部は、前記複数の無線端末装置のうちの少なくとも1台が前記複数の無線周波数帯域のいずれかで通信を開始した後に、該無線端末装置が前記複数の無線周波数帯域でそれぞれ通信が可能であるか否かを特定し、前記装置特定部は、前記複数の無線端末装置のうちの少なくとも1台が前記複数の無線周波数帯域のいずれかで通信を開始した後に、前記第1の無線端末装置を特定し、前記第1の周波数帯域変更部は、前記複数の無線端末装置のうちの少なくとも1台が前記複数の無線周波数帯域のいずれかで通信を開始した後に、前記使用無線周波数帯域を、前記混雑周波数帯域から、前記他の無線周波数帯域に変更してもよい。この形態の無線通信装置によれば、少なくとも1台の無線端末装置が複数の無線周波数帯域のいずれかで通信を開始した後に、該無線端末装置が複数の無線周波数帯域でそれぞれ通信可能であるか否かを特定し、第1の無線端末装置を特定し、使用無線周波数帯域を混雑周波数帯域から他の無線周波数帯域に変更するので、新たな無線通信が開始された以後において無線状態や無線通信装置の処理負荷等に応じて混雑周波数帯域が生じた場合に、無線通信のスループットの低下を抑制するように柔軟に対応し得る。
【0009】
(4)上記形態の無線通信装置において、前記第1の周波数帯域変更部は:前記無線通信部を制御して、前記特定された第1の無線端末装置との間の無線接続を切断する切断制御部と;前記第1の無線端末装置による前記混雑周波数帯域での通信要求に対して応答を返さないように、前記無線通信部を制御する無応答制御部と;を有してもよい。この形態の無線通信装置によれば、無線通信装置と第1の無線端末装置との間の無線接続を切断し、その後、かかる第1の無線端末装置により混雑周波数帯域での通信要求があっても、かかる要求に対して応答を返さないので、第1の無線端末装置による混雑周波数帯域での無線通信を妨げ、他の無線周波数帯域での無線通信を促すことができる。
【0010】
(5)上記形態の無線通信装置において、さらに:前記使用無線周波数帯域を、前記混雑周波数帯域から前記他の無線周波数帯域に変更した後において、所定期間内に、前記第1の無線端末装置が前記他の無線周波数帯域で前記無線通信部と通信を行なったか否かを判定する通信判定部と;前記所定期間内に、前記第1の無線端末装置が前記他の無線周波数帯域で前記無線通信部と通信を行なっていないと判定された場合に、前記使用無線周波数帯域を、前記他の無線周波数帯域から前記混雑周波数帯域に戻す第2の周波数帯域変更部と;を備えてもよい。この形態の無線通信装置によれば、使用無線周波数帯域を混雑周波数帯域から他の無線周波数帯域に変更した後において、第1の無線端末装置が所定期間内に他の無線周波数帯域で無線通信装置と通信を行なっていない場合に、使用無線周波数帯域を混雑周波数帯域に戻すので、何らかの理由で第1の無線端末装置が他の無線周波数帯域で通信を実行できない場合であっても、混雑周波数帯域で通信を実行することができ、無線通信装置による通信のスループットの低下を抑制できる。
【0011】
(6)上記形態の無線通信装置において、前記第1の周波数帯域変更部は、前記他の無線周波数帯域として複数の無線周波数帯域が存在する場合において、前記使用無線周波数帯域を、前記混雑周波数帯域から、該複数の無線周波数帯域のうちの混雑度合いが最も低い無線周波数帯域に変更してもよい。この形態の無線通信装置によれば、他の無線周波数帯域のうちの最も混雑度合いが低い無線周波数帯域に使用無線周波数帯域が変更されるので、使用無線周波数帯域の変更後において、変更先の無線周波数帯域が所定の度合い以上に混雑することを抑制できる。
【0012】
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0013】
例えば、本発明の一形態は、無線通信部と、端末装置特定部と、第1の周波数帯域変更部と、を備えた装置として実現可能である。無線通信部は、互いに異なる複数の無線周波数帯域でそれぞれ複数の無線端末装置と通信可能な無線通信部として構成されてもよい。端末装置特定部は、複数の無線端末装置のうち、複数の無線周波数帯域のうちの所定の度合い以上に混雑した無線周波数帯域である混雑周波数帯域で通信しており、且つ、複数の無線周波数帯域のうちの混雑周波数帯域とは異なる他の無線周波数帯域で通信可能な無線端末装置である第1の無線端末装置を特定する端末装置特定部として構成されてもよい。第1の周波数帯域変更部は、特定された第1の無線端末装置のうちの少なくとも1台において通信を行なう際に使用する無線周波数帯域である使用無線周波数帯域を、混雑周波数帯域から、他の無線周波数帯域に変更する第1の周波数帯域変更部として構成してもよい。このような形態の装置は、無線通信装置として実現できるが、無線通信装置以外の他の装置としても実現可能である。このような形態によれば、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、省電力化、製造の容易化、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも一つを解決することができる。上述した無線通信装置の各形態の技術的特徴の一部又は全部は、いずれもこの装置に適用することが可能である。
【0014】
本発明は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、無線LANアクセスポイントや、無線通信装置の制御方法や、使用無線周波数帯域の制御方法や、無線通信装置または無線LANアクセスポイントの機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施形態:
A1.装置構成:
図1は、本発明の一実施形態としての無線通信装置の概略構成を示す説明図である。無線通信装置100は、無線LANアクセスポイントとして構成され、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11に規定される無線LAN(Local Area Network)規格におけるインフラストラクチャーモードのアクセスポイントとして機能し、ステーションとして機能する複数の無線端末装置200との間で無線LANを形成する。無線通信装置100は、2.4GHz帯および5.0GHz帯の2種類の無線周波数帯域で無線通信を実行できる。以降において、「無線周波数帯域」を、単に「バンド」と呼ぶこともある。また、便宜上、2.4GHz帯を「バンド1」と呼び、5.0GHz帯を「バンド2」と呼ぶこともある。無線通信装置100は、インターネットINTに接続されており、各無線端末装置200がインターネットINTに接続されている他の装置、例えば、WWW(World Wide Web)サーバと通信を行なう際に、無線端末装置200から出力されたパケットを、インターネットINTに向けて中継し、WWWサーバ等から出力された無線端末装置200宛のパケットを無線端末装置200に中継する。
【0017】
本実施形態において、無線端末装置200は、WWWブラウザが動作可能な一般的な多機能携帯電話端末(いわゆるスマートフォン)により構成されているので、その詳細な説明を省略する。なお、各無線端末装置200は、無線通信装置100と同様に、2つのバンド1,2のいずれにおいても無線通信装置100と無線接続が可能である。無線端末装置200は、多機能携帯電話端末に代えて、パーソナルコンピュータおよび携帯ゲーム機など、無線LANステーションとして機能する任意の装置により構成されてもよい。
【0018】
無線通信装置100は、CPU(Central Processing Unit)110と、RAM(Random Access Memory)140と、フラッシュROM(Read Only Memory)150と、2つの無線LAN通信部(第1無線LAN通信部161および第2無線LAN通信部162)と、WAN通信部170とを備えている。CPU110、RAM140、フラッシュROM150、2つの無線LAN通信部161,162、およびWAN通信部170は、いずれも内部バス190に接続されている。
【0019】
CPU110は、フラッシュROM150に格納されている制御プログラムをRAM140に展開して実行することにより、端末装置特定部120、第1バンド変更部130、およびパケット中継部135として機能する。
【0020】
端末装置特定部120は、複数の無線端末装置200のうち、2つのバンド1,2(2.4GHz帯および5.0GHz帯)のうちの所定の度合い以上に混雑した無線周波数帯域(以下、「混雑バンド」と呼ぶ)で通信しており、且つ、これら2つのバンド1,2のうちの混雑バンドとは異なる他のバンドで通信可能な無線端末装置200を特定する。
【0021】
無線周波数帯域の混雑の度合いとは、かかる無線周波数帯域でのデータ出力のし難さ(およびデータ出力のし易さ)の程度を意味する。例えば、該当の無線周波数帯域において頻繁にデータ出力が行われている場合、或る無線端末装置200がデータ(より正確には、データを示す無線信号)を出力しようとしても、他の無線端末装置200がデータ出力中であるためにデータを出力できないことが頻繁に起こり得る。このような場合には、該当の無線周波数帯域における混雑度合いは高いといえる。これに対して、該当の無線周波数帯域において頻繁にデータ出力が行われていない場合、或る無線端末装置200がデータを出力しようとするときに、他の無線端末装置200がデータを出力していないためにデータを出力できることが頻繁に起こり得る。このような場合には、該当の無線周波数帯域における混雑度合いは低いといえる。本実施形態では、単位時間におけるいずれかの装置によりデータ出力が可能であった時間(帯域占有可能時間)を、混雑度合いとして示す。より詳細に説明すると、単位時間においてIFS(Inter Frame Space)やバックオフタイム等のCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)において規定されているデータ出力が禁止されている時間を除いた時間のうち、各無線端末装置200および無線通信装置100のうちのいずれの装置もデータ出力を行なっていない時間の総和を、混雑の度合いとして示す。このような混雑度合いを採用することにより、単位時間当たりの帯域占有可能時間が小さい(短い)場合に混雑の度合いは高いと評価でき、単位時間当たりの帯域占有可能時間が大きい(長い)場合に混雑の度合いは低いと評価できる。
【0022】
端末装置特定部120は、通信可否特定部121、混雑度合い特定部122、および装置特定部123を備えている。これら3つの機能部121〜123のそれぞれの機能については、後述の性能記録処理および通信制御処理において詳細に説明する。
【0023】
第1バンド変更部130は、第1の無線端末装置のうちの少なくとも1台において通信を行なう際に使用するバンド(以下、「使用バンド」と呼ぶ)を、混雑バンドから、混雑バンドとは異なる他のバンドに変更するための処理を行う。第1バンド変更部130は、切断制御部131および無応答制御部132を備えている。切断制御部131および無応答制御部132のそれぞれの機能については、後述の通信制御処理において詳細に説明する。
【0024】
パケット中継部135は、各無線端末装置200から受信したパケットや、インターネットINTを介して受信したパケットを、パケットの宛先アドレスに応じて中継する。本実施形態では、無線通信装置100は、ルータ装置として動作してレイヤ3パケットを中継(ルーティング)する。なお、ルータ装置に代えて、ブリッジ装置として動作して、レイヤ2フレームを中継(スイッチング)してもよい。
【0025】
フラッシュROM150は、上述の制御プログラムを記憶すると共に、無線端末装置管理テーブル(以下、「STA管理テーブル」とも呼ぶ)格納部151を有し、かかるSTA管理テーブル格納部151においてSTA管理テーブルtb1を格納している。STA管理テーブルtb1は、各無線端末装置200についての各バンド1,2における通信可否と接続可否とを記録したテーブルである。かかるSTA管理テーブルtb1は、初期状態において予めSTA管理テーブル格納部151に格納されている。但し、STA管理テーブルtb1の各レコードは、後述の性能記録処理において記録される。ここで、上述の「通信可否」とは、該当のバンドでの無線LANを介したデータの送受信を行なう能力の有無を意味し、実際にデータ(データパケット)のやりとりが行われなくても、該当バンドでの無線通信を行なう機能部を有する場合に「通信可能」と特定される。本実施形態では、後述するように、該当バンドでプローブ要求信号を受信した場合に「通信可能」と特定される。これに対して、「接続可否」とは、該当バンドでの無線通信により実際にデータのやりとりを行なうことができるか否かを意味し、本実施形態では、後述するように、かかる通信を実際に行なった場合に「通信可能」と特定される。したがって、通信可能と特定された無線端末装置200であっても、実際に無線LANを介したデータの送受信を行なっていない場合には、接続不可能と特定される。
【0026】
STA管理テーブルtb1は、MACアドレスフィールドと、各バンド1,2ごとの通信可否を示すフィールドおよび接続可否を示すフィールドとを有する。
図1では、MACアドレスが「MAC1」である無線端末装置200について、バンド1(2.4GHz帯)における通信可否が「○」(可能)に設定され、接続可否が「○」(可能)に設定されている。また、バンド2(5.0GHz帯)における通信可否が「○」(可能)に設定され、接続可否が「×」(不可能)に設定されている。
【0027】
第1無線LAN通信部161は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えばIEEE802.11a/b/g/n/ac等に準拠したアクセス制御方式に従って、無線LANステーションとして機能する各無線端末装置200と2.4GHz帯で通信を行なう。同様に、第2無線LAN通信部162は、変調器やアンプ、アンテナを含み、例えばIEEE802.11a/b/g/n/ac等に準拠したアクセス制御方式に従って、無線LANステーションとして機能する各無線端末装置200と5.0GHz帯で通信を行なう。
【0028】
WAN通信部170は、インターネットINTに接続するためのWAN(Wide Area Network)インターフェイスを有し、インターネットINT等の外部ネットワークとの通信を行なう。WANインターフェイスとしては、例えば、図示しない光回線終端装置(ONU)に接続するためのインターフェイスなどが該当する。
【0029】
上記構成を備える無線通信装置100では、後述の性能記録処理および通信制御処理が実行されることにより、複数の無線端末装置200による無線通信装置100を介した通信状況や、無線通信装置100および複数の無線端末装置200の通信環境の変化等に起因して、2つのバンド1,2のうちのいずれかのバンドに通信が集中した場合であっても、各無線端末装置200による無線通信装置100を介した無線通信のスループットの低下を抑制できる。なお、上記第1バンド変更部130は、請求項における第1の周波数帯変更部の下位概念に相当する。
【0030】
A2.性能記録処理:
図2は、第1実施形態における性能記録処理の手順を示すフローチャートである。無線通信装置100において、性能記録処理とは、無線通信装置100と無線通信および無線接続可能な無線LANステーション装置(本実施形態では、複数の無線端末装置200)を特定して、その通信可否および接続可否を記録する処理である。通信可否特定部121は、無線通信装置100の電源がオンすると、性能記録処理を実行する。
【0031】
通信可否特定部121は、2つの無線LAN通信部161,162のいずれかにおいて、プローブ要求を受信したか否かを判定する(ステップS105)。例えば、第1無線LAN通信部161であれば、2.4GHz帯に含まれる13チャンネル(IEEE802.11gの場合)または14チャンネル(IEEE802.11bの場合)のいずれかのチャンネルにおいて、いずれかの無線端末装置200からプローブ要求を受信したか否かを判定する。プローブ要求は、自身に設定されているESSID(Extended Service Set Identifier)と同じESSIDが設定されている無線LANアクセスポイントを検索するための信号であり、送信元のMAC(Media Access Control)アドレスが含まれている。各無線端末装置200は、無線LANアクセスポイントを検索する場合、各バンド1,2の各チャンネルにおいて、プローブ要求を出力する。
【0032】
上記ステップS105において、プローブ要求が受信されたと判定された場合(ステップS105:YES)、通信可否特定部121は、プローブ要求の送信元の無線端末装置200について、プローブ要求を受信したバンドにおいて通信可能であると、RAM140に一時的に記録する(ステップS110)。ステップS110の実行後、通信可否特定部121は、STA管理テーブルtb1において、該当の無線端末装置200(受信されたプローブ要求の送信元の無線端末装置200)について、該当のバンド(プローブ要求が受信されたバンド)で接続可能であると記録されているかを判定する(ステップS115)。
【0033】
上記ステップS105において、プローブ要求が受信されないと判定された場合(ステップS105:NO)、または、上記ステップS115において、該当の無線端末装置200について、STA管理テーブルtb1には該当バンドで接続可能であると記録されていないと判定された場合(ステップS115:NO)、通信可否特定部121は、無線端末装置200が所定期間内に無線接続を完了したか否かを判定する(ステップS120)。複数の無線端末装置200のうち、自身に設定されているESSIDと同じESSIDが設定されている無線LANアクセスポイントを既に特定している無線端末装置200は、プローブ要求を出力することなく無線通信装置100との間で通信を開始して無線接続を確立する。したがって、この場合、プローブ要求を受信することなく(ステップS105:NO)、無線端末装置200と無線通信装置100との間の無線接続の確立が完了する。また、自身に設定されているESSIDと同じESSIDが設定されている無線LANアクセスポイントを新たに特定した無線端末装置200は、その後、認証シーケンスおよびアソシエーションシーケンスを経て、無線通信装置100と無線接続を確立する。したがって、この場合、プローブ要求を受信してから(ステップS105:YES)、無線端末装置200の無線接続が完了する。
【0034】
上記ステップS120において、無線端末装置200が無線接続を完了しないと判定された場合(ステップS120:NO)、性能記録処理は一旦終了し、当該処理が周期的に実行される。これに対して、ステップS120において、無線端末装置200が無線接続を完了したと判定された場合(ステップS120:YES)、通信可否特定部121は、ステップS120において無線通信装置100との間の無線接続を完了したと判定された無線端末装置200について、当該バンドにおいて無線接続が可能である旨を、RAM140に一時的に記録する(ステップS125)。
【0035】
通信可否特定部121は、RAM140に一時的に記録されている情報と、フラッシュROM150内のSTA管理テーブルtb1に記録されている情報とが相違しているか否かを判定する(ステップS130)。相違していると判定された場合(ステップS130:YES)、通信可否特定部121は、STA管理テーブルtb1を、RAM140に記録されている情報で上書きする(ステップS135)。上述のステップS130において、相違していないと判定された場合(ステップS130:NO)、およびステップS135が完了した場合、性能記録処理は一旦終了し、当該処理が周期的に実行される。
【0036】
上述の性能記録処理が実行されることにより、無線通信装置100に対してプローブ要求を出力した無線端末装置200、および無線通信装置100と無線接続を行なった無線端末装置200について、その通信可否および接続可否が、STA管理テーブルtb1に記録される。
図1に示す例では、MACアドレスが「MAC1」である無線端末装置200について、バンド1に関する通信可否および接続可否がいずれも「○」(可能)に記録されている。また、バンド2に関する通信可否は「○」(可能)に、バンド2に関する接続可否は「×」(不可能)に、それぞれ記録されている。この記録例は、例えば、MACアドレスが「MAC1」の無線端末装置200が、2つのバンド1,2のそれぞれにおいてプローブ要求を出力し、そのいずれのバンドからもプローブ要求を受信し、最終的にバンド1において無線通信装置100と無線接続した場合等において起こり得る。このようにして記録された各無線端末装置200の各バンドについての通信可否および接続可否は、後述の通信制御処理において利用される。
【0037】
A3.通信制御処理:
図3は、第1実施形態における通信制御処理の手順を示すフローチャートである。無線通信装置100では、無線通信装置100の電源がオンすると、通信制御処理が実行される。混雑度合い特定部122は、2つのバンド1,2のうちのいずれかのバンドにおいていずれかの無線端末装置200との間で通信が開始されたか否かを判定する(ステップS205)。いずれのバンドにおいてもいずれの無線端末装置200との間で通信が開始されていないと判定された場合(ステップS205:NO)、上述のステップS205に戻る。
【0038】
これに対して、いずれかのバンドにおいて通信が開始されたと判定された場合(ステップS205:YES)、混雑度合い特定部122は、2つの無線LAN通信部161,162を制御して、各バンド1,2の混雑度合いを特定する(ステップS210)。各無線LAN通信部161,162は、それぞれCSMA/CAを実行するために、各バンドについて、無線端末装置200等の無線LANステーションが信号を出力しているか、または、自らが信号を出力しているかを検出しており、これらの情報に基づき、上述した混雑度合いを特定できる。
【0039】
混雑度合い特定部122は、ステップS210で特定された混雑度合いに基づき、2つのバンド1,2のうち、混雑バンドが有るか否かを判定する(ステップS215)。本実施形態において、混雑バンドとは、5秒間における帯域占有可能時間が1秒間未満である無線周波数帯域を意味する。なお、単位時間は5秒間でなくともよい。また、帯域占有可能時間が1秒間に限らず、単位時間(5秒間)未満の任意の時間未満である無線周波数帯域を、混雑バンドとして特定してもよい。
【0040】
上記ステップS215において混雑バンドが有ると判定された場合(ステップS215:YES)、混雑度合い特定部122は、混雑バンドではない他のバンドが有るか否かを判定する(ステップS220)。本実施形態では、無線通信装置100が通信可能な無線周波数帯域の数は2つのみであるので、上記ステップS220は、一方のバンドが混雑バンドであると判定された場合、他方のバンドが混雑バンドで無いか否かを判定する処理に該当する。
【0041】
上記ステップS220において混雑バンドではない他のバンドが有ると判定された場合(ステップS220:YES)、装置特定部123は、混雑バンドで現在無線接続中であり、且つ、ステップS220において特定された他のバンドで通信可能である無線端末装置200(以下、「第1の無線端末装置」と呼ぶ)の有無を判定する(ステップS225)。ステップS220において特定された他のバンドで通信可能であるか否かは、STA管理テーブルtb1の記録に基づき判定できる。例えば、MACアドレスが「MAC1」である無線端末装置200がバンド1において無線通信装置100を介した通信を開始し、バンド1が混雑バンドであると判定され、バンド2が混雑バンドではないと判定された場合、この無線端末装置200は、ステップS225において第1の無線端末装置として特定されることとなる。
【0042】
上記ステップS225において、第1の無線端末装置が有ると判定された場合(ステップS225:YES)、無応答制御部132は、混雑バンドにおいて、第1の無線端末装置に関して、認証要求およびアソシエーション要求に応答しないように設定する(ステップS230)。上述のように、バンド1が混雑バンドであり、ステップS225においてMACアドレスが「MAC1」の無線端末装置200が第1の無線端末装置であると特定された場合、この無線端末装置200に関して、バンド1において出力される認証要求およびアソシエーション要求に応答しないように設定される。本実施形態において、かかる設定は、例えば、バンド1での無線通信を実行する第1無線LAN通信部161が有する図示しない記憶装置(例えば、EEPROM)に格納されている所定のフィルターテーブルに、第1の無線端末装置のMACアドレス「MAC1」を登録することにより実現できる。第1無線LAN通信部161は、かかるフィルターテーブルに登録されているMACアドレスの無線LANステーション装置から認証要求またはアソシエーション要求を受信した場合であっても、認証応答およびアソシエーション応答の各信号を出力しない。なお、上述の認証要求およびアソシエーション要求は、請求項における通信要求の下位概念に相当する。
【0043】
ステップS230の完了後、切断制御部131は、第1の無線端末装置に対してIEEE802.11において規定されるDisassociate信号を出力して、第1の無線端末装置との間の無線接続を切断する(ステップS235)。上述のステップS235が実行されると、第1の無線端末装置であるMACアドレスが「MAC1」である無線端末装置200と無線通信装置100との間の無線接続が切断される。このため、かかる無線端末装置200は、通信すべきデータが残っている場合又は通信すべきデータが新たに蓄積された場合に、無線通信装置100を介した通信を行なうために無線通信装置100との無線接続を確立するためのシーケンスを実行する。かかるシーケンスには、暗号化および復号化に用いる暗号鍵のやりとりを含む認証シーケンスと、アソシエーション要求およびその応答をやりとりするアソシエーションシーケンスとが含まれる。ここで、MACアドレスが「MAC1」である無線端末装置200が、再びバンド1での無線接続を確立するためにバンド1において無線通信装置100に対して認証要求およびアソシエーション要求を出力しても、上述のステップS230における設定によって、無線通信装置100(第1無線LAN通信部161)は、これらの要求に対して応答を出力しない。このため、各シーケンスはタイムアウトして、バンド1における無線通信装置100と当該無線端末装置200との間の無線接続は確立できない。この場合、MACアドレスが「MAC1」である無線端末装置200は、通信可能な他のバンドであるバンド2において無線通信装置100に対して認証要求およびアソシエーション要求を出力する。無線通信装置100において、第2無線LAN通信部162は、これらの要求に対して応答を出力するため、バンド2において、MACアドレスが「MAC1」である無線端末装置200と無線通信装置100との間の無線接続が確立することとなる。したがって、MACアドレスが「MAC1」である無線端末装置200は、その後、バンド2において無線通信装置100を介して通信を実行できる。以上の動作により、MACアドレスが「MAC1」である無線端末装置200が無線通信において使用するバンドが、バンド1からバンド2に変更されるので、バンド1における通信のスループットの低下が抑制される。また、バンド2は、混雑バンドではないため、かかるバンドにおいて当該無線端末装置200の通信が追加して実行されても、各無線端末装置200による通信のスループットが大きく低下する可能性は低い。なお、上述のようにして使用バンドがバンド1からバンド2に変更され、その後、該当の無線端末装置200(第1の無線端末装置)がバンド2において無線通信装置100と無線接続を確立した場合、上述の性能記録処理において、該当の無線端末装置200について、バンド2において接続可能であるとSTA管理テーブルtb1に記録されることとなる。
【0044】
上述のステップS235の完了後、通信制御処理は一旦終了し、当該処理が周期的に実行される。なお、上述のステップS215において混雑バンドが無いと判定された場合(ステップS215:NO)、上述のステップS220において混雑バンドではない他のバンドが無いと判定された場合(ステップS220:NO)、および上述のステップS225において第1の無線端末装置、すなわち、混雑バンドで現在無線接続中であり、且つ、ステップS220において特定された他のバンドで通信可能である無線端末装置200が無いと判定された場合(ステップS225:NO)、上述のステップS205に戻る。
【0045】
以上説明した第1実施形態の無線通信装置100では、混雑バンドで現在無線接続中であり、且つ、混雑バンドとは異なる他のバンドで通信可能な第1の無線端末装置を特定し、第1の無線端末装置の使用バンドを混雑バンドから他のバンドに変更するので、各無線端末装置200による無線通信装置100を介した通信のスループットの低下を抑制できる。また、各バンド1,2の混雑度合いの特定、混雑バンドの有無の特定、第1の無線端末装置の有無の特定、および使用バンドの変更が周期的に実行されるので、或る無線端末装置200が無線通信装置100を介した通信を開始した当初は所定の度合い以上に混雑していなかったバンドが、その後に混雑バンドになった場合であっても、その混雑バンドの混雑度合いが増加することを抑制でき、且つ、各無線端末装置200による無線通信装置100を介した通信スループットの低下を抑制できる。
【0046】
また、使用バンドの変更対象となる無線端末装置200、すなわち、第1の無線端末装置として、混雑バンドで現在無線接続中との条件に加えて、他のバンドで通信可能であるとの条件を満たす無線端末装置200を特定するので、使用バンドを変更した後に、かかる無線端末装置200が無線通信装置100を介した通信を行なえなくなることを抑制できる。
【0047】
また、性能記録処理は、周期的に実行されるので、複数の無線端末装置200のうちの少なくとも1台が2つのバンド1,2のいずれかで通信を開始した後に、通信可否特定部121は、かかる無線端末装置200が2つのバンド1,2でそれぞれ通信が可能であるか否かを特定し、装置特定部123は、第1の無線端末装置を特定し、第1バンド変更部130(切断制御部131および無応答制御部132)は、使用バンドを変更するための処理であるステップS230,S235を実行することとなる。このため、或る無線端末装置200が無線通信装置100を介して新たに通信を開始した以後における無線状態や、無線通信装置100の処理負荷等に応じて混雑バンドが生じた場合に、各無線端末装置200による無線通信装置100を介した通信のスループットの低下を抑制するように柔軟に対応することができる。
【0048】
また、通信制御処理のステップS230において、第1の無線端末装置に関して、混雑バンドにおいて認証要求およびアソシエーション要求に対して応答しないように設定し、ステップS235において、第1の無線端末装置に対してDisassociate信号を出力して無線接続を切断するので、第1の無線端末装置が再び混雑バンドにおいて無線通信を行なうことを確実に抑制できると共に、第1の無線端末装置による混雑バンドとは異なる他のバンドでの無線通信を促すことができる。
【0049】
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態における無線通信装置の概略構成を示す説明図である。第2実施形態の無線通信装置100aは、CPU110が第2バンド変更部137としても機能する点、およびSTA管理テーブルの設定項目において、
図1に示す第1実施形態の無線通信装置100と異なる。第2実施形態の無線通信装置100aにおけるその他の構成については、第1実施形態の無線通信装置100と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。第2バンド変更部137の機能については、後述の第2実施形態における通信制御処理において詳細に説明する。
【0050】
図5は、第2実施形態におけるSTA管理テーブルtb2の設定内容の一例を示す説明図である。第2実施形態におけるSTA管理テーブルtb2は、各バンド1,2について、通信可否および接続可否に加えて、バンド変更の可否について記録する点において、
図1に示す第1実施形態におけるSTA管理テーブルtb1と異なる。第2実施形態におけるSTA管理テーブルtb2における他の設定項目は、第1実施形態のSTA管理テーブルtb1と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0051】
STA管理テーブルtb2に記録されるバンド変更可否とは、使用バンドを変更できるか否かを意味し、後述する第2実施形態の通信制御処理において記録および上書きされる。
図5の例では、MACアドレスが「MAC1」の無線端末装置200のバンド変更可否について、バンド1に関して「○」(変更可能)と設定され、バンド2に関して「×」(変更不可能)と設定されている。
【0052】
第2実施形態の無線通信装置100aは、後述する第2実施形態の通信制御処理を実行することにより、使用バンドを混雑バンドから他のバンドに変更しようとする際に、実際に他のバンドで通信が実行されない場合には、使用バンドを他のバンドから混雑バンドに切り戻す。
【0053】
図6は、第2実施形態における通信制御処理の手順を示す第1のフローチャートである。
図7は、第2実施形態における通信制御処理の手順を示す第2のフローチャートである。
図7に示す手順は、
図6に示す手順が実行された後に実行される。第2実施形態の通信制御処理は、
図6に示すステップS220aをステップS220に代えて実行する点と、
図7に示すステップS240からS270までの手順を追加して実行する点において、
図3に示す第1実施形態における通信制御処理と異なる。第2実施形態におけるその他手順は、第1実施形態の手順と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
図6に示すように、上述のステップS215の完了後、混雑度合い特定部122は、混雑バンドとは異なるバンドであって、バンド変更可能である他のバンドが有るか否かを判定する(ステップS220a)。バンド変更可能であるか否かは、STA管理テーブルtb2を参照することにより特定できる。
【0055】
図7に示すように、上述したステップS235(無線通信装置100aと第1の無線端末装置との間の無線接続の切断)の完了後、第2バンド変更部137は、ステップS235において無線接続が切断された無線端末装置200が、ステップS220aで特定された他のバンドにおいて無線通信装置100aとの間の無線接続を確立したか否かを判定する(ステップS240)。
【0056】
上述のステップS240において、他のバンドにおいて無線通信装置100aとの間の無線接続が確立されたと判定された場合(ステップS240:YES)、第2バンド変更部137は、当該無線端末装置200(第1の無線端末装置と特定された無線端末装置200)について、当該他のバンドにおいてバンド変更が可能であると、RAM140に一時的に記録する(ステップS250)。
【0057】
これに対して、他のバンドにおいて無線通信装置100aとの間の無線接続が確立されていないと判定された場合(ステップS240:NO)、第2バンド変更部137は、当該無線端末装置200との間の無線接続を切断してから所定期間経過したか否かを判定する(ステップS245)。以降において、ステップS245における所定期間を「第1期間」と呼ぶ。本実施形態において、第1期間は、30秒間に設定されている。なお、30秒に限らず任意の期間を第1期間として設定してもよい。上述のように、使用バンドの変更先である「他のバンド」は、当該無線端末装置200において通信可能と記録されているバンドであるため、原則として、当該無線端末装置200(第1の無線端末装置)は、かかるバンドで無線接続を確立できる。しかしながら、例えば、電子レンジ等から出力される電波や外来ノイズ等に起因する無線環境の急激な変化等により、当該バンドにおいて無線接続を確立できないことが起こり得る。このような場合には、当該無線端末装置200との間の無線接続を切断してから所定期間(第1期間)が経過することとなる。
【0058】
ステップS245において第1期間が未だ経過していないと判定された場合(ステップS245:NO)、上述のステップS240が実行される。これに対して、上述のステップS245において、第1期間が経過したと判定された場合(ステップS245:YES)、第2バンド変更部137は、上述のステップS215において特定された混雑バンドにおいて、当該無線端末装置200に対して認証要求およびアソシエーション要求に応答するように設定する(ステップS255)。
【0059】
上述のステップS255の完了後、第2バンド変更部137は、使用バンドの変更先としてステップS220aにおいて特定されたバンドについて、所定期間だけ、当該無線端末装置200に関してバンド変更不可能であると、RAM140に一時的に記録する(ステップS260)。以降において、ステップS260における所定期間を「第2期間」と呼ぶ。本実施形態において第2期間は、5分間に設定されている。なお、5分間に限らず任意の期間を第2期間として設定してもよい。
【0060】
上述のステップS250の完了後、または、ステップS260の完了後、通信可否特定部121は、RAM140に一時的に記録されている情報と、フラッシュROM150内のSTA管理テーブルtb2に記録されている情報とが相違しているか否かを判定する(ステップS265)。相違していると判定された場合(ステップS265:YES)、通信可否特定部121は、STA管理テーブルtb2を、RAM140に記録されている情報で上書きする(ステップS270)。上述のステップS265において、相違していないと判定された場合(ステップS265:NO)、通信制御処理は一旦終了し、当該処理が周期的に実行される。
【0061】
使用バンドの変更先である「他のバンド」における無線通信を実行する無線LAN通信部が故障している場合等には、無線端末装置200は、かかる他のバンドでの無線接続を試みても無線接続を確立することはできない。この場合、無線端末装置200は、かかるバンドとは異なるバンド、すなわち、本実施形態では、ステップS215において混雑バンドと特定されたバンドにおいて無線接続を試みる。このとき、上述のステップS255において、混雑バンドについて認証要求およびアソシエーション要求に応答するように設定されているので、第1無線LAN通信部161は、当該無線端末装置200からの認証要求およびアソシエーション要求に応答する。したがって、無線端末装置200は、混雑バンドにおいて無線通信装置100aとの間の無線接続を確立することができる。したがって、当該無線端末装置200が、他のバンドでの無線接続を試み続けてしまい、無線通信装置100aと無線接続が確立できない状態が継続することを抑制できる。
【0062】
なお、使用バンドの変更先である他のバンドでの無線接続が第1期間を経過しても確立されず、バンド変更不可能と記録された場合であっても、所定期間(第2期間)経過後には、バンド変更可能と上書きされることとなる。このため、バンド変更可能と上書きされた後には、該当バンドは、使用バンドの変更先のバンドとして、ステップS220aにおいて特定されることとなる。このように、第2期間経過後において、STA管理テーブルtb2において、当該バンドについてバンド可能と上書きするのは、第2期間において、外来ノイズ等に起因する無線環境の急激な変化等の無線接続できない理由が解消されている可能性があり、この場合、当該バンドが使用バンドの変更先として特定されても問題無いからである。
【0063】
以上説明した第2実施形態の無線通信装置100aは、第1実施形態の無線通信装置100と同様な効果を有する。加えて、第2実施形態の無線通信装置100aでは、使用バンドの変更先である他のバンドでの無線接続が第1期間を経過しても確立されない場合には、混雑バンドでの無線接続を許容するので、無線LAN通信部の故障等により無線接続ができないバンドにおいて、無線接続が継続して試みられて無線通信装置100aを介した通信が実行できない状態が続くことを抑制できる。
【0064】
また、使用バンドの変更先の他のバンドとして、混雑バンドでないとの条件に加えて、バンド変更が可能なバンドを特定するので、外来ノイズ等に起因する無線環境の急激な変化等により無線接続が確立できないバンドが使用バンドの変更先のバンドとして特定されることを抑制できる。
【0065】
また、使用バンドの変更先の他のバンドでの無線接続が第1期間を経過しても確立されない場合に、所定期間(第2期間)だけ、STA管理テーブルtb2においてバンド変更が不可能であると記録されるので、第2期間が経過して、外来ノイズ等に起因する無線環境の急激な変化等の無線接続できない理由が解消されている場合に、該当バンドを使用バンドの変更先として特定されるようにできる。
【0066】
C.第3実施形態:
図8は、第3実施形態における無線通信装置の構成を示すブロック図である。第3実施形態の無線通信装置500は、無線通信部510と、端末装置特定部520と、第1の周波数帯域変更部530とを備えている。
【0067】
無線通信部510は、互いに異なる複数の無線周波数帯域でそれぞれ複数の無線端末装置と通信可能である。
【0068】
端末装置特定部520は、複数の無線端末装置のうち、複数の無線周波数帯域のうちの所定の度合い以上に混雑した無線周波数帯域である混雑周波数帯域で通信しており、且つ、複数の無線周波数帯域のうちの混雑周波数帯域とは異なる他の無線周波数帯域で通信可能な無線端末装置である第1の無線端末装置を特定する。
【0069】
第1の周波数帯域変更部530は、特定された第1の無線端末装置のうちの少なくとも1台において通信を行なう際に使用する無線周波数帯域である使用無線周波数帯域を、混雑周波数帯域から、他の無線周波数帯域に変更する。
【0070】
以上の構成を有する第3実施形態の無線通信装置500によれば、混雑周波数帯域で通信しており、且つ、混雑周波数帯域とは異なる他の無線周波数帯域で通信可能な第1の無線端末装置を特定し、第1の無線端末装置のうちの少なくとも1台における使用無線周波数帯域を、混雑周波数帯域から他の無線周波数帯域に変更するので、各無線端末装置による無線通信装置を介した通信のスループットの低下を抑制できる。また、或る無線端末装置が通信を開始した当初は所定の度合い以上に混雑していなかった周波数帯域が、その後に所定の度合い以上に混雑した場合であっても、その周波数帯域の混雑の度合いを低減できる。
【0071】
D.変形例:
D1.変形例1:
各実施形態では、使用バンドを混雑バンドから他のバンドに変更させるために、混雑バンドで通信を行なう無線LAN通信部において、第1の無線端末装置からの認証要求およびアソシエーション要求に対して応答しないように設定した上で(ステップS230)、第1の無線端末装置に対してDisassociate信号を出力して実現していたが(ステップS235)、本発明はこれに限定されない。例えば、バンド1が混雑バンドであり、他のバンドがバンド2である場合、第1バンド変更部130は、第1無線LAN通信部161から第1の無線端末装置に対してIEEE802.11vにおいて規定されているACTIONフレームを出力して、第1の無線端末装置に対してバンド1からバンド2への使用バンドの変更を積極的に促してもよい。この構成においては、ACTIONフレームにおいて、バンド2での通信に用いるESSIDを指定する。すなわち、一般には、第1の無線端末装置の使用バンドを、混雑バンドから混雑バンドとは異なる他のバンドに任意の方法で変更する第1バンド変更部130を、本発明の無線通信装置における第1の周波数帯域変更部に適用してもよい。
【0072】
D2.変形例2:
各実施形態では、各バンドの混雑度合いは、単位時間においてデータ出力が禁止されている時間を除いた時間のうち、各無線端末装置200および無線通信装置100のうちのいずれの装置もデータ出力を行なっていない時間の総和として定めていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、単位時間当たりの各バンドを介して実際にやりとりされたデータ量を、混雑度合いとして定めてもよい。この構成では、単位時間当たりにより多くのデータがやりとりされた場合に混雑度合いがより高いと評価できる。また、例えば、単位時間当たりに各バンドで無線接続されている無線端末装置200の台数を、混雑度合いとして定めてもよい。この構成では、単位時間当たりにより多くの無線端末装置200が無線接続している場合に混雑度合いがより高いと評価できる。すなわち、一般には、各バンドでのデータ出力のし難さおよび出力のし易さの指標となる任意のパラメータを、混雑度合いとして定めてもよい。
【0073】
D3.変形例3:
各実施形態では、無線通信装置100,100aが無線通信可能なバンド数は2つであったが、3以上の任意の数としてもよい。この場合において、5.0GHz帯の通信を、W52(チャンネル36,40,44,48)と、W53(チャンネル52,56,60,64)と、W56(チャンネル100,104,108,112,116,120,124,128,132,136,140)との合計3つの帯域に分けて、それぞれの帯域ごとに無線LAN通信部を設けてもよい。また、複数のバンドは、2.4GHz帯および5.0GHz帯に限らず、互いに異なる任意の無線周波数帯域としてもよい。上述の「互いに異なる」とは、複数の無線周波数帯域が互いに全く重複しない構成と、一部重複する構成も含む広い意味を有する。
【0074】
なお、無線通信可能なバンド数が3以上の構成において、混雑バンドとは異なる他のバンド(第1実施形態)、および混雑バンドとは異なる他のバンドであってバンド変更可能な他のバンド(第2実施形態)として、複数のバンドが特定された場合には、以下に例示する基準により変更先のバンドを特定してもよい。すなわち、混雑度合いが最も低いバンドを変更先のバンドとして特定してもよい。このようにすることで、変更先のバンドがその後混雑バンドになることを抑制できる。また、例えば、最も直近にバンド変更可能と記録されたバンドを変更先のバンドとして特定してもよい。このようにすることで、使用バンドを変更しようとする際に、接続できない不具合が発生している可能性が低いバンドを変更先として特定する可能性を高めることができ、無線端末装置200による通信のスループットの低下を抑制できる。また、混雑バンドとして複数のバンドが特定された場合には、複数のバンドのうち少なくとも1つのバンドを他のバンドに変更してもよい。この構成において、例えば、混雑バンドとして特定されたバンドの数が他のバンドとして特定されたバンドの数よりも多い場合には、混雑バンドとして特定されたバンドのうち、混雑度合いがより大きなバンドから順に他のバンドと同じ数のバンドを、他のバンドに変更してもよい。
【0075】
D4.変形例4:
上述した各実施形態における無線通信装置100,100aの構成は、あくまでも一例であり、種々変更可能である。例えば、各実施形態において、第1の無線端末装置を特定する際に、他のバンドでの通信が可能であることを条件としていたが、かかる条件に代えて又はかかる条件に加えて、他のバンドでの接続が可能性であることを条件としてもよい。また、第2実施形態において、
図7に示すステップS260を省略してもよい。この場合、他のバンドについて、第2期間だけ当該無線端末装置200についてバンド変更不可能と記録されることはない。このため、該当バンドは、
図6に示すステップS220aにおいて他のバンドとして特定される可能性がある。この場合であっても、ステップS255において、混雑バンドでの認証要求およびアソシエーション要求に対して応答するように設定されているので、該当無線端末装置200は、混雑バンドで無線通信を行なうことができる。なお、この構成では、混雑バンドと他のバンドとの間において使用バンドの変更が繰り返される可能性がある。しかしながら、他のバンドの故障等の不具合が解消された後には、使用バンドが他のバンドに変更されて固定される。また、各実施形態では、通信可否および接続可否は、一時的にRAM140に記録し、その後フラッシュROM150と記録データを比較して相違がある場合に、フラッシュROM150をRAM140の内容で上書きしていたが、これに代えて、直接的にフラッシュROM150に記録してもよい。また、各実施形態では、無線通信装置100,100aと各無線端末装置200とは、無線LAN通信を行なっていたが、無線LAN通信に代えて、近距離無線通信など、任意の方式の無線通信を行なってもよい。
【0076】
D5.変形例5:
各実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータープログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピューターに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、データを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
【0077】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。