特許第6796924号(P6796924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許6796924耐衝撃性ハウジングを備える医療用デバイス
<>
  • 特許6796924-耐衝撃性ハウジングを備える医療用デバイス 図000002
  • 特許6796924-耐衝撃性ハウジングを備える医療用デバイス 図000003
  • 特許6796924-耐衝撃性ハウジングを備える医療用デバイス 図000004
  • 特許6796924-耐衝撃性ハウジングを備える医療用デバイス 図000005
  • 特許6796924-耐衝撃性ハウジングを備える医療用デバイス 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796924
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】耐衝撃性ハウジングを備える医療用デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   A61M5/142 520
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-528995(P2015-528995)
(86)(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公表番号】特表2015-526215(P2015-526215A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013067751
(87)【国際公開番号】WO2014033141
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月17日
【審判番号】不服2018-9342(P2018-9342/J1)
【審判請求日】2018年7月6日
(31)【優先権主張番号】12182523.6
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ユーグル
(72)【発明者】
【氏名】アクセル・トイチャー
【合議体】
【審判長】 芦原 康裕
【審判官】 倉橋 紀夫
【審判官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−518107号公報(JP,A)
【文献】 米国特許第5913448号明細書(US,A)
【文献】 特開2011−5182号公報(JP,A)
【文献】 特開2007−296374号公報(JP,A)
【文献】 特開平8−57046号公報(JP,A)
【文献】 特開2003−245347号公報(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/159930号(WO,A2)
【文献】 国際公開第2008/077914号(WO,A2)
【文献】 特開2008−183405号公報(JP,A)
【文献】 特開2008−156925号公報(JP,A)
【文献】 特開2007−16918号公報(JP,A)
【文献】 特開平7−217690号公報(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/055608(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのデバイス構成要素(14)とハウジングを含む医療用デバイスであって、ここでハウジングは少なくとも1つのデバイス構成要素(14)を受け入れる本体(11;31;41)を含み、ここでハウジングの本体(11;31;41)は所定の閾値を上回る機械的衝撃に応答して柔軟に変形可能であり、ここで本体(11;31;41)は本体(11;31;41)の反対側の端部区画に位置する第1の端部部分(32)および第2の端部部分(36)を含み、そして第1の端部部分(32)および第2の端部部分(36)は第1と第2の端部部分(32、36)の間を延びる中央部分(34)によって相互接続されており、ここで中央部分(34)は機械的衝撃に応答して柔軟な変形挙動を示すハウジングの座屈または屈曲部分として役立ち、そして中央部分(34)は外部から加えられる機械的負荷または衝撃を受けると、弾性的または可塑的に変形し、ここで中央部分(34)は屈曲可能または変形可能なポリマー材料で作られ、そしてここで中央部分(34)は第1と第2の端部(32、36)に比較して柔軟な変形性の増大した本体(11、31)の区域であり、ここで本体(11)は締結アセンブリ(26)を含み、ここで、デバイス構成要素(14)は締結アセンブリ(26)によって本体に取り付けられ、そしてデバイス構成要素は電子表示である、
上記の医療用デバイス。
【請求項2】
本体(11;31;41)は弾性的または可塑的に変形可能である、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
本体(11;31;41)は、異なる機械的剛性または硬さの少なくとも第1の層(46)および第2の層(44)を含む、請求項1または2に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
第1の層(46)は金属薄板を含み、第2の層(44)はポリマー材料を含む、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
第2の層(44)のポリマー材料は第1の層(46)を完全に封入する、請求項4に記
載の医療用デバイス。
【請求項6】
ポリマー材料はUV硬化性である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
締結アセンブリ(26)は、対応して形作られた挿入物(15)を受け入れる少なくとも1つのレセプタクル(18)を含み、レセプタクル(18)と挿入物(15)との間の中間空間は、弾性の減衰部材(22)によって実質的に充填または裏打ちされる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
挿入物(15)およびレセプタクル(18)はポジティブ係合可能である、請求項に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
薬物送達デバイス、注射デバイス、または分析デバイスを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
注射デバイスは薬剤が充填されたカートリッジを含む、請求項に記載の医療用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスの分野に関し、詳細には、デバイスおよびその構成要素を機械的衝撃から保護する衝撃吸収の機能を提供する、医療用デバイスのハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
注射デバイスまたは分析デバイスなど、患者が自己治療を行うのに、特に薬剤の自己投与を行うのに用いられることがある、様々な可搬型医療用デバイスが存在する。
【0003】
特に、糖尿病患者の場合、例えば血糖測定デバイス(BGM)を利用することによって、血糖値を定期的に判定しなければならない。測定データおよび判定した血糖濃度に応じて、患者は次に、例えば注射によって、投与すべき薬剤の用量を個別に選択することができる。
【0004】
診断および/または治療目的で、患者の分析および処置を行うための、多種多様な医療用デバイスが存在する。かかる医療用デバイスは、かなり壊れやすく機械的衝撃に対して敏感である場合がある。
【0005】
一般に、医療用デバイスは、外的危険からの十分な保護を要する、様々な繊細な構成要素を含むことがある。可搬型または移動式医療用デバイスはまた、デバイスの様々な機能を構成、制御、および実施するのに用いることができる、多種多様な電子構成要素を含むことがある。それに加えて、かかるデバイスは、表示装置、操作ボタンおよびノブ、調整器、用量ダイヤルなど、様々な入力および/または出力手段を含むことがある。
【0006】
さらに、医療用デバイスはまた、医療用デバイスの繰返し使用を監視し記録するのに用いることができる、記憶モジュールを含むことがある。また、医療用デバイスは、治療に関連するかまたはデバイス構成に関連するデータを、パーソナルコンピュータまたはスマートフォンなどの追加のデバイスと交換するのに用いることができる、インターフェースなどの通信モジュールを含むことがある。
【0007】
かかる可搬型医療用デバイスの様々な構成要素は、機械的衝撃にかなり弱いことがあり、特定の閾値を上回る機械的衝撃に暴露されたとき、かかるデバイスの全体的な操作性に影響することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の1つの目的は、機械的衝撃に対するデバイスおよびその構成要素の堅牢性と感受性を向上させる、医療用デバイスのための改善されたハウジングを提供することである。特に、衝撃吸収または緩衝の機能を提供し、さらに、医療用デバイスの明確な衝撃または衝突挙動を提供することを目的とする。衝撃保護に関するこれらの改善は、ある程度単純かつコスト効率良く実現できるものであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、少なくとも1つのデバイス構成要素を受け入れる本体を含む、医療用デバイス向けのハウジングが提供される。本体は、医療用デバイスの外部シェルとして役立ち、さらには医療用デバイスのハウジングを構成してもよい。本体は、所定の閾値を上回る機械的衝撃に応答して柔軟に変形可能である。このように、ハウジングの本体またはハウジング自体が、外部から加えられる力または衝撃を吸収してもよく、それが本体の柔軟な変形へと移行してもよい。
【0010】
本体の柔軟な変形は、一般的に、衝撃が生じた場合に、例えば医療用デバイスが下に落ちて地面に当たったときに解放される、運動エネルギーおよび/または運動量の明確な吸収をもたらす。柔軟に変形可能な本体を提供することによって、ハウジングは、衝撃が生じた場合にデバイスに作用することがある、外部から加えられる力を吸収するように適合された、衝撃または衝突保護手段として役立つ。このように、デバイス構成要素のうち少なくともいくつかを、機械的衝撃およびそれぞれの外部から加えられる機械的力から有効に保護することができる。
【0011】
衝撃または衝突のシナリオにおいて、少なくとも1つのデバイス構成要素に対して存在する機械的衝撃の大きさおよび/または持続時間は、衝撃の際に破損するか、亀裂が入るか、または付随する衝撃をそのハウジング全体にわたってある程度不変の形で伝えることがある、ある程度剛性および硬質のハウジングを特徴とする従来の医療用デバイスに比べて、有効に低減することができる。
【0012】
さらに、ハウジングの柔軟に変形可能な本体を提供することにより、ハウジングは、機械的衝撃を受けたときであっても、ほぼ無傷のままであることができる。一般に、柔軟に変形可能な本体は、破損または亀裂形成の傾向が低減することを特徴とする。
【0013】
柔軟に変形可能な本体は、衝撃またはそれと同等の機械的負荷の影響下で、その形状および/または幾何学形状が変わることがある。本体が作られる材料の種類に応じて、本体の形状の変化は恒久的または一時的であることがある。
【0014】
好ましい一実施形態では、ハウジングの本体は、所定の閾値を上回る機械的衝撃に応答して弾性的または可塑的に変形可能である。ここで、本体全体またはその少なくとも一部分のどちらかが、弾性的または可塑的に変形可能である。さらに、本体の特定の部分が弾性的に変形可能であり、一方で本体の他の部分は実質的に可塑的に変形可能であることも想到される。本体の可塑的および柔軟に変形可能な部分は、本体を初期形状へと移行させることができる復元力を提供しないので、衝撃の際に、デバイスのユーザが視覚的または触覚的に検出することができる、本体の持続的な変形に結び付くことがある。
【0015】
したがって、可塑的および柔軟に変形可能な本体の場合、ハウジング自体が、潜在的に危険および/または有害な事象に晒されていたことを直ちに示唆する。この場合、医療用デバイスの外観も深刻な影響を受けていることがあり、それにより、エンドユーザは、医療用デバイスをメンテナンスサービスに持ち込むように促される。
【0016】
それとは対照的に、弾性的に変形可能なハウジング、またはハウジングの弾性的に変形可能な部分は、衝撃または衝突が生じた直後に特定の復元力を提供して、デバイスの外観が実質的に無傷のままであってもよい。
【0017】
好ましい実施形態では、さらに、本体が弾性的ならびに可塑的に変形可能な性質を特徴とすることも想到される。例えば、機械的衝撃が所定の閾値未満である限り、本体は少なくとも区画単位で弾性的に変形可能な挙動を提供してもよい。前記閾値を上回ると、本体またはその区画の柔軟に変形可能な挙動は、可塑的変形によって支配されてもよく、それにより、デバイスおよび/または少なくともその構成要素が損傷しているかも知れず、あるいは少なくとも検査を要しているかも知れないことが示唆される。ここで、衝撃閾値は、前記閾値を下回る衝撃または衝突のシナリオが、通常は、デバイスおよび/またはその構成要素の誤動作もしくは損傷を誘発しないようにして選択することができる。しかし、衝撃で誘発される損傷または誤動作が起こり得る、前記閾値を上回った場合のみ、本体は可塑的変形挙動を、したがって持続性の変形挙動を示すことがある。
【0018】
さらなる一実施形態では、本体は、少なくとも1つの予め定められた座屈または屈曲部分を含む。このように、本体およびハウジングの予め定められた屈曲または座屈挙動を提供することができる。特に、本体は、機械的衝撃またはそれと同等の外部から加えられる力に対して異なる明確な形で反応する、異なる材料で作られた異なる部分を含んでもよい。デバイス、その全体的な機能、その様々なデバイス構成要素の構造および/または配置に応じて、本体の選択された部分は、外部から加えられる力に対してある程度剛性で硬質な応答を特徴とすることがあり、一方で他の部分は、比較的柔軟で変形可能な挙動を示すことがある。
【0019】
このように、本体および/またはハウジングの柔軟に変形可能な挙動を、医療用デバイスの様々な構成要素に対して局所的に適合させることができる。柔軟な変形性の増大した区域を有することによって、本体の一種の衝突または衝撃吸収区域を設けることができ、その一方である程度剛性で硬質な機械的挙動を特徴とする本体の他の部分は、例えば、その中に位置するデバイス構成要素の細長い構造を保護するのに役立ってもよい。医療用デバイスが、例えば薬剤が充填されたガラス製カートリッジを含む場合、カートリッジを受け入れて封入するハウジングの特定の部分は、中に位置するカートリッジを機械的衝撃または剪断力に露出させないために、限定された柔軟な変形挙動のみを提供するべきである。
【0020】
別の実施形態によれば、本体は少なくとも区画単位で屈曲可能または変形可能なポリマー材料を含む。さらに、本体全体またはその区画はポリマー材料で作られてもよい。本体は、弾性的変形を主に提供するエラストマー材料も含んでもよい。複数の弾性的ポリマー材料の中で、ポリカーボネート、グリルアミドTR−90、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、酢酸セルロース、シリコーン、および/またはそれらの混合物などの、多数の寸法安定性材料が使用されてもよい。本体を形成する他の比較的軟質の材料は、様々な熱可塑性エラストマー(TPE)、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDMゴム)、および/またはそれらの混合物を含んでもよい。
【0021】
本体が作られる材料の特定の選択および構成は、医療用デバイスの総合的な性質および需要に応じて決まってもよい。したがって、本体の柔軟な変形は個別に適合されてもよく、異なる医療用デバイスおよびそれぞれのハウジングの中で変動してもよい。
【0022】
さらなる一実施形態では、ハウジングの本体は少なくとも区画単位で多層構造を含む。さらに、本体全体が多層構造を含むことも想到される。多層構造は、少なくとも第1の層および第2の層を含み、第1および第2の層は、機械的剛性または硬さに関して異なる機械的性質を含む。したがって、第1および第2の層は、機械的衝撃に対して異なる程度の機械的抵抗を示す。特に、第1および第2の層は異なる柔軟な変形挙動を示す。
【0023】
異なる材料の少なくとも2つの層を組み合わせることによって、本体の柔軟および変形可能な挙動は、それぞれの医療用デバイスの機械的需要にしたがって個別に適応させ修正することができる。特に、内側に面していてもよい第1の層は、ある程度剛性および/または硬質であってもよい。したがって、前記層は、柔軟な変形が生じるまで、機械的衝撃に関する比較的高い閾値を提供してもよい。例えば外側に面し、第1の層に相互接続または結合される第2の層は、比較的弾性で軟質の挙動を特徴としてもよく、したがって、第1の層の変形閾値を下回る機械的衝撃に応答して、実質的に弾性的に変形する傾向であってもよい。
【0024】
このように、第1の外層は、機械的減衰および/または懸架効果を提供してもよく、一方で第2の層は、本体および/またはハウジングに対して明確な剛性および硬さを提供してもよい。損傷を与える閾値を上回る機械的衝撃が生じた場合にのみ、本体の第1の層が、例えば可塑的変形に晒されるようにしてもよい。
【0025】
さらなる一実施形態では、第1の層は金属薄板を含み、一方で、好ましくは第1の層と接合される第2の層は、第1の層が作られる材料よりも高い弾性を示すポリマー材料を含む。所定の閾値を上回る機械的衝撃を受けたときに可塑的変形挙動を示すことがある金属薄板の代わりに、幾何学的に安定した幾何学形状および相当の変形挙動を示す、それと同等のポリマー材料も第1の層として使用されてもよい。
【0026】
さらに、多層構造は、二層のみに限定されず、可変の異なる厚さの3つ以上の層も含んでもよく、それらはさらに異なる材料を含んでもよい。
【0027】
さらなる一実施形態では、第2の層のポリマー材料は、第1の層を完全に封入するか、または実質的に密閉する。このように、第1の層は、医療用デバイスのハウジングの外観に実質的に寄与しない。その代わりに、第2の層は保護用として、例えば衝突もしくは衝撃吸収性のカバーまたはコーティングとして役立ってもよい。一般に、本体の多層構造の少なくとも1つの層は、一成分もしくは多成分の射出成形、および/または被覆によって製造されることが想到される。
【0028】
さらなる一実施形態によれば、本体および/または本体の少なくとも一層のポリマー材料は、最初は液状であるが、例えばUV照射によって硬化性である材料で作られる。したがって、本体および/またはその少なくとも一層は、予形成された本体を、実質的に液状または粘性のポリマー材料が充填された容器に浸漬し、その後、被覆されたポリマー材料を、UV照射を用いて硬化することによって形成されてもよい。硬化後、シリコーンなどのポリマー材料は、幾何学的に安定性であってもよいが、弾性的または可塑的に柔軟な変形挙動を依然として示してもよい。
【0029】
別の態様では、ハウジングの本体は、少なくとも1つのデバイス構成要素を本体に取り付ける少なくとも1つの締結アセンブリをさらに含む。一般的に、本体は、少なくとも1つもしくは複数のデバイス構成要素を締結および/または結合することができる、医療用デバイスのハウジングもしくはそれと同等の支持構造の側壁を形成するか、またはそれを含む。本体自体は柔軟に変形可能なので、本体に個別に結合されるデバイス構成要素は、相互に連結している本体によって衝突または衝撃吸収の機能が本質的にもたらされることから、機械的衝撃に対して有効に減衰することができる。
【0030】
さらに、本体が選択されたデバイス構成要素間の部分において柔軟に変形可能であるとき、前記構成要素は衝撃が生じた場合に相対的な動きに晒されるようになることがある。このように、また機械的衝撃が生じた場合、本体は、互いに対するデバイス構成要素の回避的な動きを提供し、それによって、特定のデバイス構成要素を過度な機械的負荷から保護してもよい。
【0031】
さらなる態様では、締結アセンブリは、対応して形作られた挿入物を受け入れる少なくとも1つのレセプタクルを含む。好ましくは、デバイス構成要素の挿入物を受け入れるレセプタクルを含むのは、ハウジングの本体である。しかし、挿入物がハウジングの本体によって提供され、一方でデバイス構成要素がそれに対応して形作られたレセプタクルを含むことも想到される。
【0032】
さらに、締結アセンブリのレセプタクルと挿入物との間の中間空間は、弾性の減衰部材によって実質的に充填または裏打ちされる。このように、デバイス構成要素またはハウジングの挿入物は、本体またはデバイス構成要素のレセプタクルと間接的にのみ、減衰された機械的係合状態にある。事実上、弾性の減衰部材は、医療用デバイスのハウジングの本体に対する少なくとも1つのデバイス構成要素の緩衝性の締結を提供するのに役立つ。衝撃が生じた場合、ハウジングおよび本体に対して存在する機械的負荷は、弱められ、または減衰された形でのみそれぞれのデバイス構成要素に伝わってもよい。
【0033】
さらなる好ましい一実施形態では、締結アセンブリの挿入物およびレセプタクルはポジティブ係合するように適合される。本体の製造に応じて、本体の製造中であっても挿入物およびレセプタクルのポジティブ係合が確立されてもよい。したがって、医療用デバイス構成要素の挿入物は、プリフォームまたは型の所定の場所に位置してもよく、次に、本体の製造中にその材料によってオーバーモールドまたは密閉されてもよい。
【0034】
別の方法として、デバイス構成要素の挿入物およびレセプタクルならびに本体は、別個に製造されてもよく、別個の組立て工程で相互に組み立てられてもよい。
【0035】
別の態様では、本発明はまた、上述のような少なくとも1つのデバイス構成要素およびハウジングを含む医療用デバイスに関する。
【0036】
さらに、好ましい実施形態では、医療用デバイスは、薬物送達デバイスを、特にペン型注射器などの注射デバイスを含む。あるいは、医療用デバイスは、血糖モニタリングデバイスなどの分析デバイスを含んでもよい。
【0037】
さらに、またさらなる一実施形態によれば、薬物送達デバイス、特に注射デバイスは、好ましくは注射によって、患者に投与または送達されるべき薬剤が充填されたガラス製容器を含んでもよい、少なくとも1つのカートリッジ、アンプル、またはカルプルをさらに含む。
【0038】
さらに別の独立した態様では、本発明は、医療用デバイスのハウジングを製造する方法に関する。前記方法は、少なくとも1つのデバイス構成要素をプリフォームまたは型の所定の場所に配置する工程と、ハウジングの本体を少なくとも部分的にデバイス構成要素の周り、および/またはその挿入物の周りに成形して、本体とデバイス構成要素とのポジティブ係合を確立する工程とを含む。ここで、デバイス構成要素が、本体の成形プロセス中にその大部分に少なくとも部分的に埋め込まれる付属物または突出部を含むのが、特に有益である。
【0039】
デバイス構成要素が、変形可能な材料で少なくとも部分的に外装または封入された挿入物を含み、それによって弾性の減衰部材を形成するのが、特に有益である。その結果、デバイスの挿入物は、ハウジングの本体と直接ではなく、機械的に減衰または懸架された形でのみ接触することになる。
【0040】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0041】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0042】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0043】
エキセンジン−4は、例えば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0044】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0045】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0046】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0047】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0048】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0049】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(例えば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0050】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0051】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0052】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0053】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0054】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0055】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、例えば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0056】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0057】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を様々に修正および変形できることが、当業者にはさらに明白となるであろう。さらに、添付の請求項で使用されるあらゆる参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして見なすべきでないことに留意されたい。
【0058】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】衝撃が生じる前および後の流れにおける医療用デバイスを示す概略図である。
図2】少なくとも1つのデバイス構成要素を医療用デバイスのハウジングの本体に締結する締結アセンブリを示す概略図である。
図3a】衝撃が生じる前の変形区域を含む薬物送達デバイスのハウジングを示す概略図である。
図3b】衝撃が生じた後の図3aによるハウジングを示す図である。
図4】医療用デバイスのハウジングの多層構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1では、衝撃が生じる前および後の医療用デバイスの単純化された概略図が提供される。医療用デバイスは、細長い形状またはロッド状の形状のハウジング10を含む。ハウジング10およびそれぞれの医療用デバイスは、例えば、ペン型注射器などの薬物送達デバイスを含んでもよい。
【0061】
図1の右側に示されているように、ハウジング10は、ハウジング10が地面1に当たったときに、その幾何学形状の柔軟な変形およびそれぞれの変化を起こす本体11を含む。地面1に落ちた場合、例えば重力の影響下で地面1に当たったとき、ハウジング10およびその本体11は、所定の閾値を上回る機械的負荷および/または衝撃を経験して、本体11’およびハウジング10’が柔軟に変形したままになることがあり、それにより、衝撃または衝突エネルギーをハウジング10’および本体11’それぞれの幾何学的変形に移行させることができる。このように、衝撃に誘発されて解放された機械的エネルギーを、本体11’によって少なくとも部分的に吸収することができる。結果として、この図に明示的に例証されていない医療用デバイスの特定の構成要素14を、機械的衝撃から有効に保護することができる。
【0062】
したがって、医療用デバイスのハウジング10の明確な、または予め定められた柔軟な変形挙動を提供することができ、それによって、ある程度繊細なデバイス構成要素を機械的衝撃から有効に保護することができる。
【0063】
かかるデバイス構成要素は、例えば、表示要素、通信モジュール、または薬剤が充填されたカートリッジを含んでもよい。緩衝の機能または衝撃吸収の機能を提供することによって、かかるデバイス構成要素14を有効に保護することができ、デバイスが破壊されるかまたは衝撃の発生によって実質的に動作不能なときであっても、さらに有用であってもよい。通信モジュール、記憶モジュール、処理モジュール、および/または表示装置などの電子デバイス構成要素を保護することによって、医療処置に関するデータまたはそれと同等の情報が、依然としてデバイスから取得され読み出されてもよい。例えば、医療用デバイスの他の構成要素、例えば注射機構が実質的に動作不能になったときであっても、デバイスの適用履歴が依然として取得されてもよい。
【0064】
ハウジングの本体全体は、柔軟に変形可能な材料によって、特に単層もしくは多層構成の特定のポリマー材料によって、被覆されるかまたは取り囲まれてもよい。しかし、本体11およびハウジング10は、機械的または電子的に実装されてもよい、操作手段などの特定のデバイス構成要素に対するアクセスを提供するために、少なくとも1つまたは複数の貫通開口部を含んでもよい。例えばボタン、ダイヤルなど形態の、かかる操作手段もまた、柔軟な変形挙動を示してもよい。また、本体の少なくとも1つの開口部内に位置してもよく、またはそこを通って延びてもよい表示要素も、特定の柔軟性を示し提供してもよい。かかる柔軟な表示要素は、特に、有機発光ダイオード(OLED)に基づいてもよい。
【0065】
例えば図3aにさらに示されているように、医療用デバイスのハウジング30は、本体31の異なる反対側の端部区画に位置する第1の端部部分32および第2の端部部分36を特徴とする、本体31を含んでもよい。2つの端部部分32、36は、2つの端部部分32、36の間を延びる中央部分34によって相互接続される。ここで、少なくとも中央部分34は、機械的衝撃に応答して明確な柔軟な変形挙動を示す。したがって、中央部分34は、ハウジング30の一種の座屈または屈曲部分として役立つ。図3bに示されているように、中央部分34’は、外部から加えられる機械的負荷または衝撃を受けると、可塑的に変形してもよい。
【0066】
図3bによる幾何学的に変化したハウジング30’の図の代わりに、中央部分34が弾性的に変形可能であり、それによって、衝撃が生じた後であっても、ハウジング30の初期の形状および幾何学形状に復帰することも想到される。
【0067】
図4では、本体41を特徴とする別のハウジング40が区画単位でのみ示されている。ここで、本体41の側壁42は、外層44および内層46を備えた多層構造を含む断面で示されている。したがって、外層44は、本体41の外表面を形成するとともに外側48に面し、一方で内層46は、医療用デバイスのハウジング40の内側50に向かって面する。2つの層44、46は厚さが異なり、異なる機械的変形挙動および柔軟な変形挙動を示す異なる材料を含んでもよい。
【0068】
内層46は、例えば、比較的大きい衝撃閾値を上回ると実質的に可塑的に変形可能である金属薄板を含んでもよい。外層44は、熱可塑性エラストマーなど、比較的軟質で弾性的に変形可能な材料を含んでもよい。このように、外層44は、所定の閾値未満の衝撃が生じたことに対して緩衝および衝撃吸収の挙動を提供してもよく、一方で内層46は、比較的大きい機械的負荷およびそれぞれの機械的衝撃下で、吸収および変形するのに役立つ。
【0069】
図2では、耐衝突性または衝撃減衰型の締結アセンブリ26が断面で概略的に示され、それにより、少なくとも1つのデバイス構成要素14を、医療用デバイスのハウジング10の側壁12に、またはそれと同等の支持構造に取り付けることができる。締結アセンブリ26は、本体11の側壁12に位置するレセプタクル18を含む。締結アセンブリ26は、デバイス構成要素14の付属物に、または突出部分に設けられる挿入物15をさらに含む。レセプタクル18は、デバイス構成要素14の挿入物15の自由端にあるフランジ状部分20を受け入れるように適合される。したがって、フランジ状部分20は、レセプタクル18の首部分またはオリフィス16を通って延びる挿入物15の軸部分24の自由端に設けられる。
【0070】
オリフィス16は、デバイス構成要素14の軸部分24よりも大幅に大きいが、デバイス構成要素14のフランジ状部分20の径方向延長部よりは小さい直径を含む。このように、締結アセンブリ26は、デバイス構成要素14と本体11の側壁12のレセプタクル18とのポジティブ係合を提供する。
【0071】
軸部分24、フランジ状部分20、およびレセプタクル18の側壁の間の中間空間は、好ましくは、弾性の減衰部材22で充填または裏打ちされる。このように、デバイス構成要素14および本体11の緩衝性のサスペンション状の締結を得ることができる。デバイス構成要素14、その軸部分24、ならびにフランジ状部分20は、ある程度剛性または硬質の構成を含んでもよい。弾性の減衰部材22によって、本体11に全体的に突き当たる際の機械的衝撃および機械的負荷は、減衰され弱められた形でデバイス構成要素14に伝わる。
【0072】
デバイス構成要素14とレセプタクル18とのポジティブ係合は、本体11の形成前に、プリフォームまたは型内の特定の場所にデバイス構成要素14を位置させることによって得ることができる。フランジ状部分20は、弾性部材22で外装および/または被覆されてもよく、最終形成プロセスでは、本体11は、デバイス構成要素14の挿入物15のフランジ状部分20の周りに成形、例えば射出成形されてもよい。
【0073】
他の組立て方法としては、フランジ状部分20が非円形の形状であるもの、およびオリフィス16が選択された方向でそれに対応する形状を含むものを含んでもよい。その結果、デバイス構成要素14の軸24は、所定の向きでフランジ状部分とともにオリフィス16に入り、そこを通って延びてもよい。フランジ状部分20が径方向に拡幅したレセプタクル18の内部に位置すると、軸部分24を回転軸としてその周りで回転および旋回させ、それによって図2に示されているようなポジティブインターロック構成を確立してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 地面
10 ハウジング
11 本体
12 側壁
14 デバイス構成要素
15 挿入物
16 オリフィス
18 レセプタクル
20 フランジ状部分
22 弾性部材
24 軸部分
26 締結アセンブリ
30 ハウジング
31 本体
32 端部部分
34 中央部分
36 端部部分
40 ハウジング
41 本体
42 側壁
44 層
46 層
48 外側
50 内側
図1
図2
図3a
図3b
図4