【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、少なくとも1つのデバイス構成要素を受け入れる本体を含む、医療用デバイス向けのハウジングが提供される。本体は、医療用デバイスの外部シェルとして役立ち、さらには医療用デバイスのハウジングを構成してもよい。本体は、所定の閾値を上回る機械的衝撃に応答して柔軟に変形可能である。このように、ハウジングの本体またはハウジング自体が、外部から加えられる力または衝撃を吸収してもよく、それが本体の柔軟な変形へと移行してもよい。
【0010】
本体の柔軟な変形は、一般的に、衝撃が生じた場合に、例えば医療用デバイスが下に落ちて地面に当たったときに解放される、運動エネルギーおよび/または運動量の明確な吸収をもたらす。柔軟に変形可能な本体を提供することによって、ハウジングは、衝撃が生じた場合にデバイスに作用することがある、外部から加えられる力を吸収するように適合された、衝撃または衝突保護手段として役立つ。このように、デバイス構成要素のうち少なくともいくつかを、機械的衝撃およびそれぞれの外部から加えられる機械的力から有効に保護することができる。
【0011】
衝撃または衝突のシナリオにおいて、少なくとも1つのデバイス構成要素に対して存在する機械的衝撃の大きさおよび/または持続時間は、衝撃の際に破損するか、亀裂が入るか、または付随する衝撃をそのハウジング全体にわたってある程度不変の形で伝えることがある、ある程度剛性および硬質のハウジングを特徴とする従来の医療用デバイスに比べて、有効に低減することができる。
【0012】
さらに、ハウジングの柔軟に変形可能な本体を提供することにより、ハウジングは、機械的衝撃を受けたときであっても、ほぼ無傷のままであることができる。一般に、柔軟に変形可能な本体は、破損または亀裂形成の傾向が低減することを特徴とする。
【0013】
柔軟に変形可能な本体は、衝撃またはそれと同等の機械的負荷の影響下で、その形状および/または幾何学形状が変わることがある。本体が作られる材料の種類に応じて、本体の形状の変化は恒久的または一時的であることがある。
【0014】
好ましい一実施形態では、ハウジングの本体は、所定の閾値を上回る機械的衝撃に応答して弾性的または可塑的に変形可能である。ここで、本体全体またはその少なくとも一部分のどちらかが、弾性的または可塑的に変形可能である。さらに、本体の特定の部分が弾性的に変形可能であり、一方で本体の他の部分は実質的に可塑的に変形可能であることも想到される。本体の可塑的および柔軟に変形可能な部分は、本体を初期形状へと移行させることができる復元力を提供しないので、衝撃の際に、デバイスのユーザが視覚的または触覚的に検出することができる、本体の持続的な変形に結び付くことがある。
【0015】
したがって、可塑的および柔軟に変形可能な本体の場合、ハウジング自体が、潜在的に危険および/または有害な事象に晒されていたことを直ちに示唆する。この場合、医療用デバイスの外観も深刻な影響を受けていることがあり、それにより、エンドユーザは、医療用デバイスをメンテナンスサービスに持ち込むように促される。
【0016】
それとは対照的に、弾性的に変形可能なハウジング、またはハウジングの弾性的に変形可能な部分は、衝撃または衝突が生じた直後に特定の復元力を提供して、デバイスの外観が実質的に無傷のままであってもよい。
【0017】
好ましい実施形態では、さらに、本体が弾性的ならびに可塑的に変形可能な性質を特徴とすることも想到される。例えば、機械的衝撃が所定の閾値未満である限り、本体は少なくとも区画単位で弾性的に変形可能な挙動を提供してもよい。前記閾値を上回ると、本体またはその区画の柔軟に変形可能な挙動は、可塑的変形によって支配されてもよく、それにより、デバイスおよび/または少なくともその構成要素が損傷しているかも知れず、あるいは少なくとも検査を要しているかも知れないことが示唆される。ここで、衝撃閾値は、前記閾値を下回る衝撃または衝突のシナリオが、通常は、デバイスおよび/またはその構成要素の誤動作もしくは損傷を誘発しないようにして選択することができる。しかし、衝撃で誘発される損傷または誤動作が起こり得る、前記閾値を上回った場合のみ、本体は可塑的変形挙動を、したがって持続性の変形挙動を示すことがある。
【0018】
さらなる一実施形態では、本体は、少なくとも1つの予め定められた座屈または屈曲部分を含む。このように、本体およびハウジングの予め定められた屈曲または座屈挙動を提供することができる。特に、本体は、機械的衝撃またはそれと同等の外部から加えられる力に対して異なる明確な形で反応する、異なる材料で作られた異なる部分を含んでもよい。デバイス、その全体的な機能、その様々なデバイス構成要素の構造および/または配置に応じて、本体の選択された部分は、外部から加えられる力に対してある程度剛性で硬質な応答を特徴とすることがあり、一方で他の部分は、比較的柔軟で変形可能な挙動を示すことがある。
【0019】
このように、本体および/またはハウジングの柔軟に変形可能な挙動を、医療用デバイスの様々な構成要素に対して局所的に適合させることができる。柔軟な変形性の増大した区域を有することによって、本体の一種の衝突または衝撃吸収区域を設けることができ、その一方である程度剛性で硬質な機械的挙動を特徴とする本体の他の部分は、例えば、その中に位置するデバイス構成要素の細長い構造を保護するのに役立ってもよい。医療用デバイスが、例えば薬剤が充填されたガラス製カートリッジを含む場合、カートリッジを受け入れて封入するハウジングの特定の部分は、中に位置するカートリッジを機械的衝撃または剪断力に露出させないために、限定された柔軟な変形挙動のみを提供するべきである。
【0020】
別の実施形態によれば、本体は少なくとも区画単位で屈曲可能または変形可能なポリマー材料を含む。さらに、本体全体またはその区画はポリマー材料で作られてもよい。本体は、弾性的変形を主に提供するエラストマー材料も含んでもよい。複数の弾性的ポリマー材料の中で、ポリカーボネート、グリルアミドTR−90、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、酢酸セルロース、シリコーン、および/またはそれらの混合物などの、多数の寸法安定性材料が使用されてもよい。本体を形成する他の比較的軟質の材料は、様々な熱可塑性エラストマー(TPE)、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDMゴム)、および/またはそれらの混合物を含んでもよい。
【0021】
本体が作られる材料の特定の選択および構成は、医療用デバイスの総合的な性質および需要に応じて決まってもよい。したがって、本体の柔軟な変形は個別に適合されてもよく、異なる医療用デバイスおよびそれぞれのハウジングの中で変動してもよい。
【0022】
さらなる一実施形態では、ハウジングの本体は少なくとも区画単位で多層構造を含む。さらに、本体全体が多層構造を含むことも想到される。多層構造は、少なくとも第1の層および第2の層を含み、第1および第2の層は、機械的剛性または硬さに関して異なる機械的性質を含む。したがって、第1および第2の層は、機械的衝撃に対して異なる程度の機械的抵抗を示す。特に、第1および第2の層は異なる柔軟な変形挙動を示す。
【0023】
異なる材料の少なくとも2つの層を組み合わせることによって、本体の柔軟および変形可能な挙動は、それぞれの医療用デバイスの機械的需要にしたがって個別に適応させ修正することができる。特に、内側に面していてもよい第1の層は、ある程度剛性および/または硬質であってもよい。したがって、前記層は、柔軟な変形が生じるまで、機械的衝撃に関する比較的高い閾値を提供してもよい。例えば外側に面し、第1の層に相互接続または結合される第2の層は、比較的弾性で軟質の挙動を特徴としてもよく、したがって、第1の層の変形閾値を下回る機械的衝撃に応答して、実質的に弾性的に変形する傾向であってもよい。
【0024】
このように、第1の外層は、機械的減衰および/または懸架効果を提供してもよく、一方で第2の層は、本体および/またはハウジングに対して明確な剛性および硬さを提供してもよい。損傷を与える閾値を上回る機械的衝撃が生じた場合にのみ、本体の第1の層が、例えば可塑的変形に晒されるようにしてもよい。
【0025】
さらなる一実施形態では、第1の層は金属薄板を含み、一方で、好ましくは第1の層と接合される第2の層は、第1の層が作られる材料よりも高い弾性を示すポリマー材料を含む。所定の閾値を上回る機械的衝撃を受けたときに可塑的変形挙動を示すことがある金属薄板の代わりに、幾何学的に安定した幾何学形状および相当の変形挙動を示す、それと同等のポリマー材料も第1の層として使用されてもよい。
【0026】
さらに、多層構造は、二層のみに限定されず、可変の異なる厚さの3つ以上の層も含んでもよく、それらはさらに異なる材料を含んでもよい。
【0027】
さらなる一実施形態では、第2の層のポリマー材料は、第1の層を完全に封入するか、または実質的に密閉する。このように、第1の層は、医療用デバイスのハウジングの外観に実質的に寄与しない。その代わりに、第2の層は保護用として、例えば衝突もしくは衝撃吸収性のカバーまたはコーティングとして役立ってもよい。一般に、本体の多層構造の少なくとも1つの層は、一成分もしくは多成分の射出成形、および/または被覆によって製造されることが想到される。
【0028】
さらなる一実施形態によれば、本体および/または本体の少なくとも一層のポリマー材料は、最初は液状であるが、例えばUV照射によって硬化性である材料で作られる。したがって、本体および/またはその少なくとも一層は、予形成された本体を、実質的に液状または粘性のポリマー材料が充填された容器に浸漬し、その後、被覆されたポリマー材料を、UV照射を用いて硬化することによって形成されてもよい。硬化後、シリコーンなどのポリマー材料は、幾何学的に安定性であってもよいが、弾性的または可塑的に柔軟な変形挙動を依然として示してもよい。
【0029】
別の態様では、ハウジングの本体は、少なくとも1つのデバイス構成要素を本体に取り付ける少なくとも1つの締結アセンブリをさらに含む。一般的に、本体は、少なくとも1つもしくは複数のデバイス構成要素を締結および/または結合することができる、医療用デバイスのハウジングもしくはそれと同等の支持構造の側壁を形成するか、またはそれを含む。本体自体は柔軟に変形可能なので、本体に個別に結合されるデバイス構成要素は、相互に連結している本体によって衝突または衝撃吸収の機能が本質的にもたらされることから、機械的衝撃に対して有効に減衰することができる。
【0030】
さらに、本体が選択されたデバイス構成要素間の部分において柔軟に変形可能であるとき、前記構成要素は衝撃が生じた場合に相対的な動きに晒されるようになることがある。このように、また機械的衝撃が生じた場合、本体は、互いに対するデバイス構成要素の回避的な動きを提供し、それによって、特定のデバイス構成要素を過度な機械的負荷から保護してもよい。
【0031】
さらなる態様では、締結アセンブリは、対応して形作られた挿入物を受け入れる少なくとも1つのレセプタクルを含む。好ましくは、デバイス構成要素の挿入物を受け入れるレセプタクルを含むのは、ハウジングの本体である。しかし、挿入物がハウジングの本体によって提供され、一方でデバイス構成要素がそれに対応して形作られたレセプタクルを含むことも想到される。
【0032】
さらに、締結アセンブリのレセプタクルと挿入物との間の中間空間は、弾性の減衰部材によって実質的に充填または裏打ちされる。このように、デバイス構成要素またはハウジングの挿入物は、本体またはデバイス構成要素のレセプタクルと間接的にのみ、減衰された機械的係合状態にある。事実上、弾性の減衰部材は、医療用デバイスのハウジングの本体に対する少なくとも1つのデバイス構成要素の緩衝性の締結を提供するのに役立つ。衝撃が生じた場合、ハウジングおよび本体に対して存在する機械的負荷は、弱められ、または減衰された形でのみそれぞれのデバイス構成要素に伝わってもよい。
【0033】
さらなる好ましい一実施形態では、締結アセンブリの挿入物およびレセプタクルはポジティブ係合するように適合される。本体の製造に応じて、本体の製造中であっても挿入物およびレセプタクルのポジティブ係合が確立されてもよい。したがって、医療用デバイス構成要素の挿入物は、プリフォームまたは型の所定の場所に位置してもよく、次に、本体の製造中にその材料によってオーバーモールドまたは密閉されてもよい。
【0034】
別の方法として、デバイス構成要素の挿入物およびレセプタクルならびに本体は、別個に製造されてもよく、別個の組立て工程で相互に組み立てられてもよい。
【0035】
別の態様では、本発明はまた、上述のような少なくとも1つのデバイス構成要素およびハウジングを含む医療用デバイスに関する。
【0036】
さらに、好ましい実施形態では、医療用デバイスは、薬物送達デバイスを、特にペン型注射器などの注射デバイスを含む。あるいは、医療用デバイスは、血糖モニタリングデバイスなどの分析デバイスを含んでもよい。
【0037】
さらに、またさらなる一実施形態によれば、薬物送達デバイス、特に注射デバイスは、好ましくは注射によって、患者に投与または送達されるべき薬剤が充填されたガラス製容器を含んでもよい、少なくとも1つのカートリッジ、アンプル、またはカルプルをさらに含む。
【0038】
さらに別の独立した態様では、本発明は、医療用デバイスのハウジングを製造する方法に関する。前記方法は、少なくとも1つのデバイス構成要素をプリフォームまたは型の所定の場所に配置する工程と、ハウジングの本体を少なくとも部分的にデバイス構成要素の周り、および/またはその挿入物の周りに成形して、本体とデバイス構成要素とのポジティブ係合を確立する工程とを含む。ここで、デバイス構成要素が、本体の成形プロセス中にその大部分に少なくとも部分的に埋め込まれる付属物または突出部を含むのが、特に有益である。
【0039】
デバイス構成要素が、変形可能な材料で少なくとも部分的に外装または封入された挿入物を含み、それによって弾性の減衰部材を形成するのが、特に有益である。その結果、デバイスの挿入物は、ハウジングの本体と直接ではなく、機械的に減衰または懸架された形でのみ接触することになる。
【0040】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0041】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0042】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0043】
エキセンジン−4は、例えば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0044】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0045】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0046】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0047】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0048】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0049】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(例えば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0050】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0051】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0052】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0053】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0054】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0055】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、例えば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0056】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0057】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を様々に修正および変形できることが、当業者にはさらに明白となるであろう。さらに、添付の請求項で使用されるあらゆる参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして見なすべきでないことに留意されたい。
【0058】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して記載する。