(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル、PPS、スチレン系樹脂から選ばれるものであり、繊維状充填材が、ガラス繊維、炭素繊維、有機繊維、金属繊維、無機繊維(ガラス繊維を除く)から選ばれるものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の棒状成形体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の棒状成形体の製造方法により製造することができる棒状成形体は、外径が均一な部分を含んでおり、幅方向の断面形状が円形または正多角形のものである。
棒状成形体は、長さ方向全体の外径が均一なものでもよいし、一部に外径の大きな部分または外径の小さな部分を含んでいるものでもよい。前記の外径の大きな部分または外径の小さな部分は、棒状成形体の一端部または両端部にあってもよいし、棒状成形体の中間部分にあってもよい。
本発明の棒状成形体の製造方法により製造することができる棒状成形体としては、
図1〜
図3に示すようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
図1(a)、(b)に示す棒状成形体1は、長さLの円柱であり、底面2、3は円形で、直径Dである。
図2(a)、(b)に示す棒状成形体11は、長さLの三角柱であり、底面12、13は正三角形で、内接円の直径がDである。
図3(a)、(b)に示す棒状成形体21は、長さLの四角柱であり、底面22、23は正四角形で、内接円の直径がDである。
【0010】
<繊維状充填材を含む熱可塑性樹脂組成物>
本発明の製造方法で使用する熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と繊維状充填材、および必要に応じて公知の樹脂用添加剤を含有するものである。
熱可塑性樹脂は特に制限されるものではなく、用途に応じて選択することができるものであり、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプレンなどのポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、PBTなどのポリエステル、PPS、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、および各種ポリマーアロイなどから選択することができる。
【0011】
繊維状充填材は特に制限されるものではなく、用途に応じて選択することができるものであり、ガラス繊維、炭素繊維、無機繊維(ガラス繊維を除く)、有機繊維、金属繊維などから選択することができる。
繊維状充填材の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して10〜60質量部が好ましい。
【0012】
公知の添加剤としては、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、可塑剤、軟化剤、分散剤、安定化剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などの酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤など)、アンチブロッキング剤、結晶核成長剤、充填剤(シリカやタルクなどの粒状充填剤など)、滑剤などを挙げることができる。
【0013】
本発明で用いる繊維状充填材を含む樹脂組成物は、繊維状充填材の束に熱可塑性樹脂を含浸させたものを6〜50mmの範囲で切断した樹脂含浸繊維束を含むものが好ましい。
前記樹脂含浸繊維束は、繊維状充填材を長さ方向に揃えた状態で束ね、前記繊維状充填材の束に熱可塑性樹脂を溶融させた状態で含浸させ一体化した後に6〜30mmの長さに切断したものが好ましい。
前記樹脂含浸繊維束に含まれる繊維状充填材の長さは、樹脂含浸繊維束の長さと同一である。
前記樹脂含浸繊維束の直径は、0.8〜3mmの範囲であることが好ましい。
【0014】
樹脂含浸繊維束に含まれる繊維状充填材は、繊維径(単糸径)6〜30μmのものを使用することができる。
繊維束を構成する繊維の本数は、繊維の種類により繊維径が異なるため、繊維の種類に応じて選択することができる。
例えば、繊維状充填材としてガラス繊維(繊維径17μm)を使用したとき、100〜
30000本が好ましく、より好ましくは500〜20000本、さらに好ましくは1000〜10000本程度である。
また例えば、繊維状充填材として炭素繊維(繊維径7μm)を使用したとき、1000〜40000本が好ましく、より好ましくは5000〜35000本、さらに好ましくは10000〜30000本程度である。
【0015】
樹脂含浸繊維束は、ダイスを用いた周知の製造方法により製造することができ、例えば、特開平6−313050号公報の段落番号7、特開2007−176227号公報の段落番号23のほか、特公平6−2344号公報(樹脂被覆長繊維束の製造方法並びに成形方法)、特開平6−114832号公報(繊維強化熱可塑性樹脂構造体およびその製造法)、特開平6−293023号公報(長繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法)、特開平7−205317号公報(繊維束の取り出し方法および長繊維強化樹脂構造物の製造方法)、特開平7−216104号公報(長繊維強化樹脂構造物の製造方法)、特開平7−251437号公報(長繊維強化熱可塑性複合材料の製造方法および製造装置)、特開平8−118490号公報(クロスヘッドダイおよび長繊維強化樹脂構造物の製造方法)等に記載の製造方法を適用することができる。
また樹脂含浸繊維束としては、ダイセルポリマー(株)から販売されている、各種熱可塑性樹脂と、ガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維、アラミド繊維などの繊維状充填材を含むプラストロン(登録商標)シリーズを使用することもできる。
【0016】
<棒状成形体の製造方法>
本発明の棒状成形体の製造方法は、上記の繊維状充填材を含む熱可塑性樹脂組成物(好ましくは上記の樹脂含浸繊維束)を使用して、公知の射出成形法を適用して製造する。
射出成形機の射出ノズルと金型のゲートは、スプールとランナーで接続されている。
【0017】
本発明の製造方法で使用する金型は、金型内の一つのキャビティにつながる複数のゲートを有しているものであり、例えば、
図4(a)〜(c)に示す2〜4のゲートを有する金型を使用することができる。
図4(a)〜(c)は、金型内の一つのキャビティに通じる部分に2つのゲート31、32、3つのゲート31〜33、4つのゲート31〜34を有している状態が示されている。
ゲートの形状は特に制限されるものではないが、円形または楕円形が好ましいが、円形がより好ましい。
ゲートの配置状態は、ゲート同士が間隔(好ましくは等間隔)をおいて配置されていればよい。
【0018】
図4(a)に示すようにゲートが2つのときは、中心Oを通る同一直線(直径)上に2つの円形ゲート31、32の中心が位置するように配置されていることが好ましい。
また2つの円形ゲート31、32は、中心Oからの半径がrであるとき、0.1r〜0.9rの範囲に形成されていることが好ましい。
【0019】
図4(b)に示すようにゲートが3つのときは、中心Oを基点として、3つの円形ゲートの中心と中心Oを結ぶ3本の線の長さが同一であり、中心Oと3本の線の角度が同一(120ー)になるように配置されていることが好ましい。
また3つの円形ゲート31〜33は、中心Oからの半径がrであるとき、0.1r〜0.9rの範囲に形成されていることが好ましい。
【0020】
図4(c)に示すようにゲートが4つのときは、中心Oを基点として、4つの円形ゲートの中心と中心Oを結ぶ4本の線の長さが同一であり、中心Oと4本の線の角度が同一(90ー)になるように配置されていることが好ましい。
また4つの円形ゲート31〜34は、中心Oからの半径がrであるとき、0.1r〜0.9rの範囲に形成されていることが好ましい。
【0021】
金型の複数のゲートに接続されたランナーは、スプールと接続された1本の幹ランナーと、ゲート数に対応した数だけ分岐され、ゲートに接続された複数の枝ランナーを有している。
図5(a)に示すランナー50は、
図4(a)に示す2つのゲート31,32を有している二つの金型に対応したものであり、同時に2本の棒状成形体を製造することができる。
図5(a)に示すランナー50は、スプール80に接続された1本の幹ランナー51、幹ランナー51から分岐された、略U字状である1対の枝ランナー53、54と、別の1対の枝ランナー56、57の合計4本の枝ランナーを有している。
図5(a)では、幹ランナー51と1対の枝ランナー53、54は、分岐部52を介して接続され、幹ランナー51と1対の枝ランナー56、57は、分岐部55を介して接続されている。
分岐部52、55がある方が、1対の枝ランナー53、54、1対の枝ランナー56、57に対して均等量の溶融樹脂を同時に分配する機能が高められるため好ましいが、分岐部52、55がなく、幹ランナー51から、1対の枝ランナー53、54と1対の枝ランナー56、57が直接分岐されていてもよい。
1対の枝ランナー53、54は同形状および同寸法であり、分岐部52から枝ランナー53の先端部(先端開口部)53aまでの距離と分岐部52から枝ランナー54の先端部(先端開口部)54aまでの距離は同一である。
1対の枝ランナー56、57は同形状および同寸法であり、分岐部55から枝ランナー56の先端部(先端開口部)56aまでの距離と分岐部55から枝ランナー57の先端部(先端開口部)57aまでの距離は同一である。
【0022】
図5(b)に示すランナー60は、二つの金型に対応したものであり、同時に2本の棒状成形体を製造することができる。
図
5(b)に示すランナー60は、スプール80に接続された1本の幹ランナー61、幹ランナー61から分岐された、略C字状である1対の枝ランナー63、64と、別の1対の枝ランナー66、67の合計4本の枝ランナーを有している。
図
5(b)では、幹ランナー61と1対の枝ランナー63、64は、分岐部62を介して接続され、幹ランナー61と1対の枝ランナー66、67は、分岐部65を介して接続されている。
分岐部62、65がある方が、1対の枝ランナー63、64、1対の枝ランナー66、67に対して均等量の溶融樹脂を同時に分配する機能が高められるため好ましいが、分岐部62、65がなく、幹ランナー61から、1対の枝ランナー63、64と1対の枝ランナー66、67が直接分岐されていてもよい。
1対の枝ランナー63、64は同形状および同寸法であり、分岐部62から枝ランナー63の先端部(先端開口部)63aまでの距離と分岐部62から枝ランナー64の先端部(先端開口部)64aまでの距離は同一である。
1対の枝ランナー66、67は同形状および同寸法であり、分岐部65から枝ランナー66の先端部(先端開口部)66aまでの距離と分岐部65から枝ランナー67の先端部(先端開口部)67aまでの距離は同一である。
【0023】
一つのランナーは、例えば
図5(a)の1対の枝ランナー53、54と、
図5(b)の1対の枝ランナー63、64の組み合わせにすることもできる。
また1対の枝ランナーの形状は、
図5(a)、(b)に示されたものに限定されず、V字形状などにもすることができる。
【0024】
ランナーとして枝ランナーが3対のものを使用するときは、
図4(b)のような3つのゲート31〜33を有する金型に使用することができ、ランナーとして枝ランナーが4対のものを使用するときは、
図4(c)のような4つのゲート31〜34を有する金型に使用することができる。
【0025】
図5(a)に示すランナー50と、
図4(a)に示す金型を使用したときの作用効果を説明する。なお、
図7に示す従来技術のランナー70を使用した場合と対比させて説明する。
図7のランナー70は、スプール80に接続された1本の幹ランナー71、幹ランナー71に接続された1対の枝ランナー72、73と、別の1対の枝ランナー74、75の合計4本の枝ランナー72〜75を有している。
4本の枝ランナー72〜75は同一形状のものであるが、スプール80と幹ランナー61との接続箇所からの距離は、枝ランナー72と枝ランナー73が異なり、枝ランナー74と枝ランナー75が異なっている。
【0026】
(
図5(a)のランナー50の使用)
射出成形機のノズルから溶融状態の樹脂を射出したとき、前記溶融状態の樹脂はスプール80を通って幹ランナー51に入り、分岐部52と1対の枝ライナー52、53を通ってゲート31、32から一つの金型のキャビティ(目的とする棒状成形体に対応する形状のキャビティ)に射出される。
このとき、分岐部52から2本の枝ライナー52、53までの距離(先端開口部53a、54a)が全て同一であるから、溶融状態の樹脂は2本の枝ライナー52,53から同時にそれぞれの金型のキャビティ内に射出される。
このため得られた棒状成形体は、長軸方向への繊維状充填材の配向度が高くなり、曲げ強度も大きくなる。
1対の枝ライナー56、57から金型のキャビティ内に射出した場合も同様の効果が得られる。
【0027】
(
図7のランナー70の使用)
射出成形機のノズルから溶融状態の樹脂を射出したとき、前記溶融状態の樹脂はスプール80を通って幹ランナー71に入り、そこから1対の枝ライナー72、73を通ってゲート31、32から一つの金型のキャビティに射出され、1対の枝ライナー74、75を通ってゲート31、32から別の金型のキャビティに射出される。
このとき、枝ライナー72と枝ライナー73はスプール80と幹ランナー71との接続箇所からの距離が異なっており、枝ライナー74と枝ライナー75はスプール80と幹ランナー71との接続箇所からの距離が異なっているから、溶融状態の樹脂は僅かな時間差をおいて射出されることになる。
このため得られた棒状成形体は、長軸方向への繊維状充填材の配向度が低くなり、曲げ強度も小さくなる。
【0028】
図8により本発明の棒状成形体の製造方法を適用して、一度に多くの棒状成形体を製造するための好ましい実施形態を説明する。
幹ランナーは、第1幹ランナーから第n幹ランナーを使用することができ、枝ランナーは、第1枝ランナーから第n枝ランナーを使用することができる。
ここでn数は特に制限されないが、例えば2〜10の範囲にすることができる。
図8の実施形態は、n=3の例である。
【0029】
1本の第1幹ランナー100から2本の第1枝ランナー101、102(第1枝ランナー群)が分岐されている。第1枝ランナー群は2本の枝ランナーからなっている。
第1枝ランナー101は第2a幹ランナー103に接続され、第1枝ランナー102は第2b幹ランナー104に接続されている。第2幹ランナー群は、2本の幹ランナーからなっている。
【0030】
第2a幹ランナー103から2本の第2枝ランナー105、106(第2枝ランナー群)が分岐され、第2b幹ランナー104から2本の枝ランナー107、108(第2枝ランナー群)が分岐されている。第2枝ランナー群は4本の枝ランナーからなっている。
第2枝ランナー105は第3幹aランナー109に接続され、第2枝ランナー106は第3b幹ランナー110に接続され、第2枝ランナー107は第3c幹ランナー111に接続され、第2枝ランナー108は第3d幹ランナー112に接続されている。第3幹ランナー群は、4本の幹ランナーからなっている。
【0031】
第3幹aランナー109からは、分岐部120を介して2本の枝ランナー121、122が分岐されており、一つの金型のキャビティに面した2つのゲートに接続される。
さらに第3幹aランナー109からは、分岐部130を介して2本の枝ランナー131、132が分岐されており、一つの金型のキャビティに面した2つのゲートに接続される。
【0032】
第3幹bランナー110からは、分岐部140を介して2本の枝ランナー141、142が分岐されており、一つの金型のキャビティに面した2つのゲートに接続される。
さらに第3幹bランナー110からは、分岐部150を介して2本の枝ランナー151、152が分岐されており、一つの金型のキャビティに面した2つのゲートに接続される。
【0033】
第3幹cランナー111からは、分岐部160を介して2本の枝ランナー161、162が分岐されており、一つの金型のキャビティに面した2つのゲートに接続される。
さらに第3幹cランナー111からは、分岐部170を介して2本の枝ランナー171、172が分岐されており、一つの金型のキャビティに面した2つのゲートに接続される。
【0034】
第3幹dランナー112からは、分岐部180を介して2本の枝ランナー181、182が分岐されており、一つの金型のキャビティに面した2つのゲートに接続される。
さらに第3幹dランナー112からは、分岐部190を介して2本の枝ランナー191、192が分岐されており、一つの金型のキャビティに面した2つのゲートに接続される。
図8に示す実施形態では、一度に8個の金型を使用して、8本の棒状成形体を製造することができる。
このようにして幹ランナーと枝ランナーをトーナメント分岐方式で必要回数(n回)繰り返して接続することで、より多くの金型を使用して一度に数多くの棒状成形体を製造することができる。
【0035】
<ボルトの製造方法>
上記した本発明の棒状成形体の製造方法を適用することで、
図6(a)に示すような長ねじボルト、
図6(b)に示すような全ねじ六角ボルトなどのボルトのほか、木ねじなどを製造することができる。
図6(a)に示す長ねじボルト40は、周面の全体にねじ山41を有しており、内部には繊維状充填材が長軸方向に配向された状態で含有されている。なお、Dは底面42の直径である。
図6(b)に示す全ねじ六角ボルト45は、頭部47の下から周面の全体にねじ山46を有しており、少なくともねじ山46が形成されている内部には、繊維状充填材が状軸方向に配向された状態で含有されている。なお、Dは底面48の直径である。
【0036】
図6(b)に示す全ねじ六角ボルト45を製造するときは、ゲートが、金型のキャビティの頭部47に面した部分に位置するか、または底面48に面した部分に位置するような金型を使用して射出成形することができる。
本発明の幹ランナーと複数の枝ランナーの組み合わせからなるランナーを使用するときには、ゲートが、金型のキャビティの頭部47に面した部分に位置するような金型を使用して、頭部47から底面48側に向かって樹脂を射出成形する方が、繊維状充填材の長軸方向への配向性が高められるので好ましい。
【実施例】
【0037】
(1)残存繊維長(重量平均繊維長)
成形品から約3gの試料を切出し、下記の方法で繊維を取り出した。取り出した繊維の一部(500本)から重量平均繊維長を求めた。計算式は、特開2006−274061号公報の〔0044〕、〔0045〕を使用した。
炭素繊維:硫酸によりPPS樹脂を溶解除去して繊維を取り出した。
ガラス繊維:650℃でPPS樹脂を加熱・灰化させて繊維を取り出した。
【0038】
(2)引張強度
実施例および比較例で得た棒状成形体について、下記条件にて引張強度を測定した。
測定機器:オートグラフAG2000((株)島津製作所製)
試験速度:5mm/min
チャック間距離:40mm
【0039】
実施例1〜3、比較例1〜3
実施例1と比較例1は、熱可塑性樹脂組成物としてポリアミドMXD6を50質量%、ガラス長繊維(LGF)50質量%からなる樹脂含浸繊維束(プラストロンPAX−GF50−02;直径1.0mm、長さ9mmの円柱形状;ダイセルポリマー(株))を使用した。
実施例2と比較例2は、熱可塑性樹脂組成物としてポリアミドMXD6を50質量%、炭素長繊維(LCF)50質量%からなる樹脂含浸繊維束(直径1.0mm、長さ9mmのプラストロンPAX−CF40−02;円柱形状;ダイセルポリマー(株))を使用した。
実施例3と比較例3は、熱可塑性樹脂組成物としてPPSを50質量%、ガラス長繊維50質量%からなる樹脂含浸繊維束(直径1.0mm、長さ9mmのプラストロンPPS−GF50−01;円柱形状;ダイセルポリマー(株))を使用した。
いずれの例においても、円柱形状の樹脂含浸繊維束の長さと含有されている繊維長は同じである。
【0040】
上記実施例1および比較例の各組成物(樹脂含浸繊維束)を使用して、次の条件で射出成形して、直径(D)12mm、長さ(L)80mmの丸棒を得た。得られた丸棒の残存繊維長と引張強度を測定した。結果を表1に示す
(射出成形条件)
射出成形機:日本製鋼所のJ150EII
シリンダー温度:280℃
背圧:2MPa
金型温度:160℃
【0041】
【表1】
【0042】
図9(a)に実施例1で得られた棒状成形体の軸方向断面図を示し、
図9(b)に比較例1で得られた棒状成形体の軸方向断面図を示す。
実施例1では、繊維状充填剤を含む樹脂材料が二つのゲートから均一に(同時に)射出されたため、棒状成形体の中心軸に沿ってウェルドラインが存在するようになる。
比較例1では、繊維状充填剤を含む樹脂材料が二つのゲートから不均一に(時間差をおいて)射出されたため、棒状成形体の中心軸から偏った位置にウェルドラインが存在するようになる。
このような配向性の違いは、実施例と比較例で使用する枝ランナーの違いによるものである。なお、
図5(a)に示すランナーに代えて
図5(b)に示すランナーを使用した場合でも、同様の結果が得られた。
このような繊維状充填剤の配向性の違いによって、実施例1と比較例1は、残存繊維長は同じであったが、引張強度には明確な違いがあり、他の実施例2、3と比較例2、3も同様の結果であった。