(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796961
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】起立サポートいす
(51)【国際特許分類】
A47C 9/00 20060101AFI20201130BHJP
A47C 7/54 20060101ALI20201130BHJP
A47C 13/00 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
A47C9/00 Z
A47C7/54 Z
A47C13/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-137547(P2016-137547)
(22)【出願日】2016年7月12日
(65)【公開番号】特開2018-7745(P2018-7745A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】山中 彬弘
【審査官】
野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2014−0025206(KR,A)
【文献】
米国特許第06050644(US,A)
【文献】
特開2003−289978(JP,A)
【文献】
特開2003−135209(JP,A)
【文献】
実開昭58−152156(JP,U)
【文献】
特表2001−510372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C3/00−3/40
A47C7/00−7/74
A47C9/00−16/04
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部の裏面に、背もたれの取付部と前記着座部の180度離間した両側よりも背もたれ寄りの左右側に肘掛け体を有する肘掛け支柱の取付部を備えると共に、前記着座部の裏面の中心部に当該着座部を上端側で支持した支柱を備えるいすの座部に対し、前記肘掛け支柱の取付部を兼用して取付けられる起立サポートアームを取付けるためのサポートアーム用ブラケットと、該サポートアーム用ブラケットに固定されて前記着座部の180度離間した両側から立ち上がった起立サポートアームと、前記支柱の下端部に取付けた脚体を設けたことを特徴とする起立サポートいす。
【請求項2】
起立サポートいすは、通常いすから少なくとも背もたれ、左右の肘掛け体とブラケットを含む肘掛け支柱を取外した着座部を用いた請求項1の起立サポートいす。
【請求項3】
サポートアーム用ブラケットは、底面から見た平面形状を、通常いすの肘掛け支柱用ブラケットの底面から見た平面形状における上下幅サイズを少なくとも略2倍の大きさに形成し、前記サポートアーム用ブラケットの上下幅における一半側に、前記通常いすの肘掛け支柱用ブラケットのビス穴と同じ形態でビス穴を設けた請求構1又は2の起立サポートいす。
【請求項4】
左右の起立サポートアームは、その立上り部が上部に向かって緩く拡開弯曲した請求項1〜3のいずれかの起立サポートいす。
【請求項5】
左右のサポートアーム用ブラケットに固定される左右の起立サポートアームの夫々の基部は、前記ビス穴が設けられた側に固定される基部を短く形成する一方、ビス穴が設けられない側に固定される基部を長く形成した請求項4の起立サポートいす。
【請求項6】
起立サポートアームは、立上り部上端に形成される水平部にクッション材を設けた請求項4又は5の起立サポートいす。
【請求項7】
起立サポートアームは、当該起立サポートアームの外輪郭形状と略同じ外形を持つパネル状アームに代替する請求項4〜6のいずれかの起立サポートいす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着座姿勢からの起立動作をサポートできる構造を具備する起立サポートいすに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、膝(ひざ)や腰を痛めている人、高齢者や妊婦などのように着座した椅子から起立する乃至は立ち上がる(以下、単に「起立する」という。)ことが難しい人の起立動作をサポートする構造が付与されているいすが、特許文献1〜5などによって種々提案されている。
【0003】
特許文献1〜3に開示されている起立サポート機能を発揮できる構造を備えたいすは、特許文献1〜3の記載からも明らかなように、立上りサポート専用の機械的構造が付与された椅子であるため、構造が複雑で使用する部品が多く、製造にも手間がかかり、大掛かりな形態で価格も高く病院等には導入しにくいという問題がある。
【0004】
一方、起立サポート機能を発揮するが、構造を簡潔した特許文献4,5のいすでは、構成部材が他のいすに転用できない特殊な形態になるため、構成部材が汎用性に乏しく結果的にいすの価格が高くなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−295731号公報
【特許文献2】特開2002−65391号公報
【特許文献3】特許2003−79668号公報
【特許文献4】特許第3835504号公報
【特許文献5】特許第5867946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した着座姿勢からの立上り乃至は起立をサポートできるように形成された従来のいすの問題点に鑑み、既存の通常いすの主要な構造部材、具体的には支柱を備えた座部をそのまま利用して着座者の起立動作をサポートするための構造を備えたいすを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することを目的としてなされた着座者の起立動作をサポートする機能を備えるいすの構成は、着座部の裏面に、背もたれの取付部と前記着座部の180度離間した両側よりも背もたれ寄りの左右側に肘掛け体を有する肘掛け支柱の取付部を備えると共に、前記着座部の裏面の中心部に当該着座部を上端側で支持した支柱を備えるいすの座部に対し、前記肘掛け支柱の取付部を兼用して取付けられる起立サポートアームを取付けるためのサポートアーム用ブラケットと、該サポートアーム用ブラケットに固定されて前記着座部の180度離間した両側から立ち上がった起立サポートアームと、前記支柱の下端部に取付けた脚体を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明起立サポートいすにそのまま用いる通常いすの着座部は、一例として平面視略円形であり、その裏面はプラスチック成形体や金属材成形体により形成されており、通常いす用の背もたれと左右の肘掛け体を備えた肘掛け支柱の夫々の取付部が、前記着座部の裏面に、雌ネジを備えたビス穴として形成されている。ここで、通常いすとは、一例として支柱の上端に回転式の着座部を有すると共に前記支柱下端部にヒトデ型乃至は放射型の脚体を備え、前記着座部の後背側に背もたれを、当該着座部の背もたれ寄りの左右側に肘掛け体を備えた左右の
肘掛け支柱を、夫々に有する一般的な回転事務用いすをいうものとする。
本明細書においては、前記通常椅子を底面から見たとき背もたれの左右を左右方向とし、前記左右方向に平面内で直交する向きを上下方向とする。
【0009】
前記ビス穴は、背もたれの取付部、および肘掛け支柱の取付部とも複数のビス穴、より具体的には背もたれ取付部は一例として5個のビス穴、肘掛け支柱の取付部は一例として3個のビス穴で形成されている。また、前記肘掛け支柱の取付部のビス穴は、背もたれ取付部のビス穴を挟んで左右対称に配されている。なお、ビス穴の数は上記例に限られるものではない。
【0010】
通常いす用の肘掛けは、図示しないが、大略L状の肘掛け支柱と、該肘掛け支柱の上端に設けた肘掛け体と、前記肘掛け支柱の下端側の略水平部に設けた肘掛け支柱を着座部に取付けるための肘掛け支柱用ブラケットから形成され、前記肘掛け支柱用ブラケットのビス穴から着座部裏面に設けたブラケット取付部となるビス穴にネジ部材をねじ込んで前記着座部に取付けられる。
【0011】
また、通常いす用の前記背もたれは、着座部裏面の背もたれ取付部に設けたビス穴に、側断面大略L状をなす背もたれフレームの略水平な基部に形成したビス穴から前記背もたれ取付部のビス穴にねじ込まれるネジ部材により取付けられる。
【0012】
前記着座部を上端部に備える支柱は、通常いすにおいては、下端部に放射状(又はヒトデ型)の脚体を備えているが、本発明起立サポートいすの実施例においては、前記放射状の脚体に代えて平面視略円板状の安定板を用いた。本発明起立サポートいすの脚体としては、通常いすの前記脚体をそのまま使ったり、当該脚体のキャスターを備えないタイプの脚体を用いることもできる。
【0013】
本発明起立サポートいすにおいて、起立サポートアームの基部(末端部)に取付けられて当該サポートアームを固定支持するブラケット(以下、サポートアーム用ブラケットという)は、
底面から見た前記
通常いすの肘掛け支柱用ブラケット
の上下幅に対し
上下幅が少なくとも2倍の大きさを有する略扇型状のブラケットに形成されており、該扇型状ブラケットの
下半側(又は
上半側)に、前記通常いすの着座部に肘掛け支柱用ブラケットの取付部として設けられた3個のビス穴に対応する位置に、同じ数のビス穴が設けられ、当該扇型状ブラケットの
上半側(又は
下半側)にはビス穴が設けられない。本発明のサポートアーム用ブラケットの一半側に
通常いすの肘掛け支柱用ブラケットと同じビス穴を設けるのは、
通常いすの肘掛け支柱用ブラケットの取付部として設けられたビス穴を、起立サポートアーム用のブラケットの取付部として兼用するためである。
【0014】
本発明において起立サポートアームは、一例としてパイプ材を曲げて正面から視て大略逆台角形状乃至略逆三角形状を呈するように形成され、曲げたパイプ材の両端部を、前記サポートアーム用ブラケットに溶接等により固着し、この状態で前記サポートアーム用ブラケットのビス穴から前記肘掛け支柱用ブラケットの取付部であるビス穴に、ビス等のネジ部材をねじ込み、前記起立サポートアームを前記着座部の裏面に取付ける。
【0015】
前記着座部裏面のブラケット取付部(ビス穴)に、前記サポートアーム用ブラケットをネジ止めすることにより取付けられる起立サポートアームは、前記着座部の外輪郭上において180度離間した両側から立ち上がった形態で設けられる。
起立サポートアーム上部に形成された水平部は起立動作時のアームレストや掴み部となる。このため起立サポートアームの上部の水平部には掴み部材等となる適宜のクッション材が装着される。
【0016】
本発明において前記起立サポートアームは、上記例のパイプ材を曲げ加工したものに代えて、一例としてプラスチック成形体により前記起立サポートアームの外形(略逆台形状乃至略逆三角形状)の輪郭形状を持つパネル状に形成したものを使用することが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、着座部の裏面に、背もたれの取付部と前記着座部の180度離間した両側よりも背もたれ寄りの左右側に肘掛け体を有する肘掛け支柱の取付部を備えると共に、前記着座部の裏面の中心部に当該着座部を上端側で支持した支柱を備えるいすの座部に対し、前記肘掛け支柱の取付部を兼用して取付けられる起立サポートアームを取付けるためのサポートアーム用ブラケットと、該サポートアーム用ブラケットに固定されて前記着座部の180度離間した両側から立ち上がった起立サポートアームと、前記支柱の下端部に取付けた脚体とを設けて起立サポートいすに形成したから、既存の通常いすの着座部をそのまま利用して着座者の起立や立上りをサポートできるいすを低コストで提供することができる。
また、需要が多いため多数製造される既存の通常いすの着座部をそのまま利用するから、特殊形態の起立サポートいす形成するための専用のパーツが少なくて済み、起立サポートいすのコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】
図1〜
図3のいすから取外した起立サポートアームの一例の斜視図。
【
図6】本発明起立サポートいすに転用する肘掛け付き事務用回転いす(通常いす)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に図を参照して本発明起立サポートいすの実施の形態例について説明する。
図1〜
図3に示す本発明起立サポートいすSCの一例は、
図6に一例として示した座面が円形の肘掛け付き回転いす(以下、通常いすNCという)に用いられている着座部1と、該着座部1を下面から支持した支柱2の下端側に設けた円板状の安定板3と、前記着座部1において180度離間した両側に設けられた左右の起立サポートアーム4,5とを備えている。前記着座部1の表面は、クッションを内装した座面1aであり、着座部1の裏面は、硬質プラスチック材や鋼板などにより形成した裏面材1bである。
【0020】
図示した例では、前記着座部1は平面視円形であるが、四角形や六角形などの多角形であってもよい。安定板3も円形以外の平面から見て六角形や八角形等の多角形であってもよい。本発明起立サポートいすでは、前記安定板3に代えて
図6に例示した通常いすのキャスタ―付きの放射状の脚体やキャスターを有しない放射状の脚体、或は平面視略H型の脚体や他の形態の脚体を使用してもよい。
【0021】
本発明起立サポート椅子SCの着座部1は、
図6に例示した通常いすNCの座部Sをそのまま用いている。
図6の通常いすNCにおいて、6は背もたれ、7,8は背もたれの前方側の左右において前記座部Sの裏面材1bから立ち上げた肘掛け支柱9,10の上端に設けた左右の肘掛け体、11は支柱2の下端に設けたキャスタ11aを有する放射状(又はヒトデ型)の脚体である。
【0022】
図6の通常いすNCでは、底面から見た
図7に示すように、着座部1の裏面材1bに設けた背もたれ6の取付部となる5個のビス穴6cに5本のビス等のネジ部材6bでねじ止めされた背もたれ6の基部6aが配置されている。
【0023】
また、
図7において左右の肘掛け支柱7,8は、その下端側の基部7a,8aにおいて溶接等により肘掛け支柱用ブラケット12,13に固着されている。前記肘掛け支柱用ブラケット12,13は大略縦長台形状乃至大略二等辺三角形状であり、両ブラケット12,13は、それらに設けた3個のビス穴12a,13aから挿入された3本のビス等のネジ部材12b,13bによって前記裏面材1bにねじ止め固定されている。
【0024】
図1〜
図3に示す本発明起立サポートいすSCの一例は、
図6,
図7により説明した通常いすNCの座部Sをそのまま利用するから、着座部1の裏面材1bに設けられている肘掛け支柱7,8と一体の肘掛け支柱用ブラケット12,13の取付部として設けられた3個のビス穴(図に表れず)をそのまま利用して起立サポートアーム4,5と一体のサポートアーム用ブラケット14,15を取付けることが出来る構成を備えたいすである。この点について以下に説明する。
【0025】
まず、
図6,
図7に示した通常いすNCから、背もたれ6、肘掛け用ブラケット12,13と一体の肘掛け支柱7,8、及び脚体11を取外し、座部S(着座部1と支柱2)のみの姿にする。
次に、上記座部Sの支柱2に円形の安定板3を取付けると共に、着座部1の裏面材1bに設けた肘掛け支柱7,8と一体の肘掛け用ブラケット12,13の取付部であるビス穴に左右の起立サポートアーム4,5のサポートアーム用ブラケット14,15を前記ネジ部材12b,13bを用いてねじ止めして取付けることにより、本発明起立サポートいすSCの一例に形成する。
【0026】
本発明では起立サポートアーム4,5の前記裏面材1bへの取付態様に独自の工夫を施したので、
図3〜
図5を参照して説明する。
通常いすNCにおいて、背もたれ6と左右の肘掛け7,8と脚体11とを取外すと、座部Sの着座部1の裏面材1bには、背もたれの取付部として5個のビス穴6cと、左右の肘掛け支柱7,8の基部7a,8aと一体の左右の肘掛け支柱用ブラケット12,13の取付部として、前記5個のビス穴6cの左右に対称的に設けられた3個ビス穴(図に表れず)が、着座部1の裏面材1bの表面に露出する。
【0027】
そこで本発明では、着座部1の裏面材1bに前記5個のビス穴6cを挟んで左右に対称的に設けられている3個のビス穴を、後述するサポートアーム用ブラケット14,15の取付部としてそのまま利用するようにした。即ち、前記3個のビス穴を、通常いすの肘掛け支柱用ブラケット12,13の取付部と、本発明起立サポートいすのアームサポート用ブラケット14,15の取付部とに、そのまま兼用するようにしたのである。
このため本発明では、
図4,
図5に例示した左右の起立サポートアーム4,5に取付けられたサポートアーム用ブラケット14,15を、その平面形状が前記肘掛け支柱用ブラケット12,13の
上下幅の少なくとも2倍の大きさを有する略扇型にすると共に、その一半側に、前記3個のビス穴に対応した3個のビス穴14a,15aを備える形態に形成した。
なお、前記2種類のブラケット12,13と14,15の厚みやビス穴の大きさは同じである。
【0028】
ここで、前記サポートアーム用ブラケット14,15は、夫々の
上下幅における一半側にのみ、前記3個のビス穴に対応した3個のビス穴14a,15aを設け、他半側にはビス穴を設けていない(
図4,
図5参照)のは、前記肘掛け支柱用ブラケット12,13の取付部として前記着座部1の裏面材1bに設けられた前記3個のビス穴をそのまま利用するためである。なお、前記他半側にビス穴が設けられないのは、該他半側に対応する部位の前記裏面材1bにはビス穴が設けられていないからである。
【0029】
本発明における起立サポートアーム4,5は、1本のパイプ等の材料を曲げて略逆台形状に形成したので、アーム未端には夫々に略水平な2本の基部4a,4bと同5a,5bが形成される。そこで各2本の基部4a,4bと同5a,5bは、前記アームサポート用ブラケット14,15に、夫々に溶接等によって取付けなければならない。また、着座者の起立動作を、当該着座者が下向きに突っ張る両腕を起立サポートアーム4,5の上部の水平部4c,5cで支える形でサポートするために、起立サポートアーム4,5は、着座部1の略180度離間した両側(真横)に配置する必要がある。上記態様で着座者の起立動作をサポートすると、着座者の体重を含む下向きの大きな力が起立サポートアーム4,5に前記水平部4c,5cを通して作用する。
前記起立サポートアーム4,5の起立動作のサポート形態や起立時にサポートアーム4,5に掛かる荷重特性等を考慮すると、本発明の起立サポートアーム4,5は、着座部1の裏面材1bに肘掛け支柱用ブラケット12,13よりも強固に支持されていなければならない。
【0030】
そこで本発明では、上述したように、サポートアーム用ブラケット14,15平面形状を、前記肘掛け支柱用ブラケット12,13の
上下幅の少なくとも2倍の
上下幅を有する大形の略扇型としたのであり、大形の略扇型に形成した前記サポートアーム用ブラケット14,15に、前記起立サポートアーム4,5における夫々の2本の基部4a,4b,と同5a,5bを、溶接等により固着した(
図5参照)。
この固着においては、前記2本の基部4a,4b、同5a,5bの長さを、夫々のサポートアーム用ブラケット14,15のビス穴14a,15aが存在する側は当該ビス穴14a,15aとの干渉を避けた短めの長さ(基部4a,5a)に調整している一方、ビス穴の設けられていない側は、当該サポートアーム用ブラケット14,15と一体化することによる強度と剛性を大きくするために長めの長さ(基部4a,5b)に調整している(
図5参照)。
【0031】
本発明における起立サポートアーム4,5では、その水平部4c,5cの着座部1の座面1aからの高さを、例えば
図6の通常いすNCの肘掛け体9,10よりも低く形成している。これは、起立する着座者が水平部4c,5cを掴みやすくすると共に、立上り動作時のサポート部として利用しやすくするためである。また、左右の起立サポートアーム4,5における夫々2本の立上り部4d,4eと5d,5eは、座面1aに関して外側に大きなアールで緩やかに反った形態(左右の立上り部4d,4eと5d,5eが上方に行くほど弯曲して広がっている状態、
図2参照)に形成している。起立サポートアーム4,5が上方へ向って拡開状に浅く弯曲していることも、着座者の起立動作のサポートをし易くして立上り動作をより好ましい状態でサポートするためである。
【0032】
本発明は以上の通りであって、起立サポートいすSCを、通常いすNCの座部Sをそのまま利用して形成したから、起立サポートいす専用の座部(支柱、又は支柱と脚体を備えた着座部)を別途設計,製作する必要がなくなり、起立サポートいすを低コストかつ容易に製造でき、提供することが可能になる。しかも、本発明起立サポートいすでは、その着座部を必要に応じ通常いすの着座部に容易に戻すことが出来る。
【0033】
特に、本発明では、通常いすの肘掛け支柱用ブラケットの取付部として着座部1の裏面材1bに設けられている3個のビス穴をそのまま使って、座面の左右両側の180度離間した位置から立上る左右の起立サポートアームと一体のサポートアーム用ブラケットの一半側に設けた3個のビス穴を、3本のビス等のネジ部材で前記着座部の裏面にある3個のビス穴に固定圧着し、当該サポートアーム用ブラケット全体を前記固定圧着部の片持ち支持によって取付けるようにしたから、通常いすの着座部に形成された肘掛け支柱用ブラケットの取付部であるビス穴をそのまま利用でき、従って起立サポートいすの部品の製造手間を大きく省くことが出来るので、製造コストの抑制に大幅に寄与できる。
【0034】
さらに、本発明のサポートアーム用ブラケットの平面形状は、通常いすの肘掛け支柱用ブラケットの略2倍以上の
上下幅サイズの大略扇型状にして着座部の裏面部との接触面積を大きくなるように形成することにより、座面の180度離間した位置を基準に見ると背もたれ側寄りにずれた位置に設けられている肘掛け支柱用ブラケットの取付部たるビス穴をそのまま利用して前記サポートアーム用ブラケットを着座部の裏面材に強固に取付けることが出来る。従って、通常いすの着座部をそのまま利用しても座面の180度離間した真横から起立サポートアームを強固に支持した状態で立ち上げて設けることが出来る。
【符号の説明】
【0035】
NC 通常いす
SC 本発明起立サポートいす
1 着座部
1a 座面
1b 裏面材
2 支柱
3 安定板
4,5 起立サポートアーム
6 背もたれ
7,8 肘掛け支柱
9,10 肘掛け体
11 脚体
12,13 肘掛け支柱用ブラケット
14,15 サポートアーム用ブラケット
14a,15a ブラケット14,15のビス穴