(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
飛行体と、該飛行体に搭載され、略鉛直下方に延出する基準光軸を中心に2次元スキャンするレーザスキャナと、前記基準光軸と平行な撮像光軸を有する撮像ユニットと、制御演算部とを有し、該制御演算部は、前記レーザスキャナによる前記2次元スキャンと前記撮像ユニットによる撮像を同期させ、前記2次元スキャンにより取得したスキャン軌跡を取得した画像に対応付け、重複部分を有する複数の画像とそのスキャン軌跡を用い、スキャン軌跡の互いに交差する点を連結点とし、画像とスキャン軌跡とを連結する様構成したUAV測定装置。
飛行体と、該飛行体に搭載され、略鉛直下方に延出する基準光軸を中心に2次元スキャンするレーザスキャナと、前記基準光軸と平行な撮像光軸を有する撮像ユニットと、制御演算部とを有し、該制御演算部は、前記レーザスキャナによる前記2次元スキャンと前記撮像ユニットによる撮像を同期させ、前記2次元スキャンにより取得したスキャン軌跡を取得した画像に対応付け、経時的に取得した前画像と後画像とを画像マッチングし、前画像に含まれるスキャン軌跡の情報を後画像の対応する部分に引継ぐことを繰返し、前記スキャン軌跡の情報を一つの画像に集約する様構成したUAV測定装置。
飛行体と、該飛行体に搭載され、略鉛直下方に延出する基準光軸を中心に2次元スキャンするレーザスキャナと、前記基準光軸と平行な撮像光軸を有する撮像ユニットと、制御演算部と、鉛直に対する傾斜角を検出する姿勢検出器とを有し、該姿勢検出器は前記基準光軸の鉛直に対する傾斜角を検出し、前記撮像ユニットはスキャン軌跡の情報が集約された2つの画像を、重複部分が存在する様に取得し、前記制御演算部は、前記レーザスキャナによる前記2次元スキャンと前記撮像ユニットによる撮像を同期させ、前記2次元スキャンにより取得した前記スキャン軌跡を取得した画像に対応付け、前記2つの画像を前記姿勢検出器で検出された傾斜角に基づき前記レーザスキャナで取得されるスキャンデータを補正し、又取得した前記2つの画像を水平画像に補正し、前記重複部分に共通して存在するスキャン軌跡に基づき前記2つの画像を画像マッチングし、詳細な3次元地図を作製する様構成したUAV測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0021】
先ず、
図1により、本実施例に係るUAV測定システム1について説明する。
【0022】
該UAV測定システム1は、主にUAV測定装置2、トータルステーション(TS)3、地上基地4、遠隔操縦機5から構成される。
【0023】
前記UAV測定装置2は、主に飛行体11と、該飛行体11にジンバル機構を介して自在に傾動する様に設けられ測定基準点を有する測定装置12、該測定装置12と一体的に設けられた再帰反射体としてのプリズム13とを具備している。
【0024】
前記トータルステーション3は既知点に設けられ、プリズムを測定対象物として測定を行うプリズム測定、自然物、構造物を測定対象物として測定を行うノンプリズム測定が可能であり、追尾機能を有する。プリズム測定をする場合、追尾機能によりプリズムを追尾しつつ、該プリズムの3次元座標を測定する。
【0025】
従って、前記トータルステーション3は、前記UAV測定装置2が飛行中、前記プリズム13を追尾しつつ、該プリズム13の位置(即ち、前記測定基準点の位置、即ち前記飛行体11の位置)を測定する。
【0026】
前記トータルステーション3は前記地上基地4と有線或は無線により電気的に接続され、測定された3次元座標は座標データ(前記UAV測定装置2の位置情報)として前記地上基地4に送信される。
【0027】
該地上基地4は、例えばPCであり、表示部、演算機能を有する演算装置、データ、プログラム類を格納する記憶部、更に基地通信部(後述)を有する。
【0028】
前記プログラムとしては、例えば、前記測定装置12を飛行させる為の飛行条件、飛行コース等を設定した飛行計画プログラム、測定範囲、測定条件等を設定した測定プログラム等がある。
【0029】
前記基地通信部は、前記遠隔操縦機5と有線或は無線により通信が可能であり、前記地上基地4と前記遠隔操縦機5間でデータ(例えば、前記UAV測定装置2の位置情報、該UAV測定装置2の飛行制御データ等)の授受が可能となっている。
【0030】
前記遠隔操縦機5は、前記UAV測定装置2の飛行を遠隔操作するものであり、前記遠隔操縦機5と前記UAV測定装置2間で無線通信が可能であり、前記遠隔操縦機5により、前記UAV測定装置2の飛行制御(飛行の遠隔操作)が行われる。
【0031】
前記遠隔操縦機5から、測定に関する指令が前記UAV測定装置2に送信され、前記遠隔操縦機5は前記UAV測定装置2から送信される測定データ、画像データを受信し、更に該測定データ、画像データは、前記遠隔操縦機5から前記地上基地4に送信される様になっている。
【0032】
尚、前記遠隔操縦機5は、作業者によって操作され、前記UAV測定装置2を遠隔操作し、飛行制御、測定の実行、測定データ等の収集を行ってもよいし、遠隔操作用のプログラムによって前記遠隔操縦機5が操作され、飛行制御、測定の実行、測定データ等の収集を自動で行う様にしてもよい。
【0033】
又、前記地上基地4に前記測定装置12と通信を行う、通信部を設け、前記地上基地4から直接前記測定装置12と通信を行う様にし、前記遠隔操縦機5を省略してもよい。
【0034】
前記飛行体11の安全管理の面で、飛行中の位置情報と該飛行体11の飛行映像と前記トータルステーション3による視準映像とUAV状態情報(電力の消耗状態、制御系の各センサ情報)が無線で前記地上基地4に送信され、該地上基地4の表示部の画面上でモニタできる様にもなっている。
【0035】
前記UAV測定装置2について、
図2に於いて説明する。
【0036】
前記測定装置12はジンバル機構15を介して前記飛行体11に自在に傾動する様設けられ、前記測定装置12の基準光軸14が略鉛直下方に向く様にモータ(図示せず)駆動されている。
【0037】
該飛行体11は、放射状に延出する複数(好ましくは偶数)のプロペラフレーム16を有し、各プロペラフレーム16の先端にそれぞれプロペラユニット17が設けられる。
【0038】
該プロペラユニット17は、前記プロペラフレーム16の先端に取付けられたプロペラモータと、該プロペラモータによって回転されるプロペラより構成され、個別に制御可能となっており、前記プロペラモータにより前記プロペラが回転され、前記飛行体11が飛行する様になっている。
【0039】
前記プリズム13は下方に向けて設けられ、該プリズム13下方全範囲から入射される光を再帰反射する光学特性を有している。又、該プリズム13の代りに反射シールを設けてもよい。又、該プリズム13の反射基準点と前記測定基準点とは所定の関係(図示せず)となっている。
【0040】
図3、
図4を参照して前記測定装置12について、更に説明する。
【0041】
筐体18の内部にレーザスキャナ19及び撮像ユニット20、制御演算部24、射出方向検出器25、姿勢検出器26、通信部27、撮像制御部28が収納されている。
【0042】
前記通信部27は、前記遠隔操縦機5から送信される測定に関する指令を受信し、前記制御演算部24に入力すると共に測定データ、取得した画像データを前記遠隔操縦機5に送信する。
【0043】
前記撮像制御部28は、前記撮像ユニット20に撮像指令を発し、撮像間隔、撮像タイミング等画像取得に関する制御を行う。
【0044】
前記レーザスキャナ19は、測距光射出部21、受光部22、測距部23により構成されている。
【0045】
前記測距光射出部21は、測距光を射出する。該測距光射出部21は、射出光軸31を有し、該射出光軸31上に発光素子32、例えばレーザダイオード(LD)が設けられ、更に、前記射出光軸31上に投光レンズ33が設けられる。
【0046】
又、前記射出光軸31が、受光光軸38(後述)に合致する様に偏向光学部材として第1反射鏡34、第2反射鏡35を配設する。
【0047】
前記受光部22は、測定対象物からの反射測距光を受光する。該受光部22は、前記受光光軸38を有し、その延長線が前記測定装置12の前記基準光軸14となっている。
【0048】
前記受光光軸38上に受光素子39、例えばフォトダイオード(PD)が設けられ、又結像レンズ40が配設されている。該結像レンズ40は、反射測距光を前記受光素子39に結像する。該受光素子39は反射測距光を受光し、受光信号を発生する。該受光信号は、前記測距部23に入力される。
【0049】
更に、前記受光光軸38上で、前記結像レンズ40の物側には、光軸偏向ユニット36が配置されている。
【0050】
前記測距部23は、前記発光素子32を制御し、測距光としてレーザ光線を発光させる。前記光軸偏向ユニット36(測距光偏向部36a(後述))により、測定点に向う様、前記測距光が偏向される。
【0051】
測定対象物から反射された反射測距光は前記光軸偏向ユニット36(反射測距光偏向部36b(後述))、前記結像レンズ40を介して前記受光部22に入射する。前記反射測距光偏向部36bは、前記測距光偏向部36aで偏向された測距光軸37を基の状態に復帰させる様再偏向し、反射測距光を前記受光素子39に受光させる。
【0052】
該受光素子39は受光信号を前記測距部23に送出し、該測距部23は、前記受光素子39からの受光信号に基づき測定点(測距光が照射された点)の測距を行う。
【0053】
前記制御演算部24は、入出力制御部、演算器(CPU)、記憶部等から構成され、該記憶部には測距作動を制御する測距プログラム、モータ47a,47b(後述)の駆動を制御する制御プログラム、画像マッチング等の画像処理を行う画像処理プログラム、入出力制御プログラム、前記射出方向検出器25からの射出方向の演算結果(後述)に基づき前記測距光軸37の方向角(水平角、鉛直角)を演算する方向角演算プログラム等のプログラムが格納され、更に前記記憶部には測距データ、画像データ等の測定結果が格納される。
【0054】
前記姿勢検出器26は、前記測定装置12の鉛直又は水平に対する姿勢(傾斜角、傾斜方向)を検出する。検出結果は、前記制御演算部24に入力される。
【0055】
次に、前記撮像ユニット20は、測定範囲を含む画像を取得する画像取得手段であり、撮像光軸29を有している。該撮像光軸29は、前記基準光軸14と平行となる様に設定されている。前記撮像光軸29上に結像レンズ48、撮像素子49が設けられている。
【0056】
前記撮像ユニット20の画角は、前記光軸偏向ユニット36により光軸が偏向される範囲と同等、又は若干大きく設定されており、前記撮像ユニット20の画角は、例えば40゜となっている。
【0057】
又、前記撮像素子49は、画素の集合体である、CCD或はCMOSセンサであり、各画素からの信号は、画像素子上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、カメラの前記撮像光軸29を原点とした座標系で位置が特定される。
【0058】
前記光軸偏向ユニット36について説明する。
【0059】
該光軸偏向ユニット36には、一対の光学プリズム41a,41bが配設される。該光学プリズム41a,41bは、それぞれ円板状であり、前記受光光軸38に直交して配置され、重なり合い、平行に配置されている。前記光学プリズム41a,41bとしては、それぞれフレネルプリズムが用いられることが、装置を小型化する為に好ましい。
【0060】
前記光軸偏向ユニット36の中央部は、測距光が透過する前記測距光偏向部36aとなっており、中央部を除く部分は前記反射測距光偏向部36bとなっている。
【0061】
前記光学プリズム41a,41bとして用いられるフレネルプリズムは、それぞれ平行に配置されたプリズム要素42a,42bと多数のプリズム要素43a,43bによって構成され、板形状を有する。前記光学プリズム41a,41b及び各プリズム要素42a,42b及びプリズム要素43a,43bは同一の光学特性を有する。
【0062】
前記プリズム要素42a,42bは、前記測距光偏向部36aを構成し、前記プリズム要素43a,43bは前記反射測距光偏向部36bを構成する。
【0063】
前記フレネルプリズムは光学ガラスから製作してもよいが、光学プラスチック材料でモールド成形したものでもよい。光学プラスチック材料でモールド成形することで、安価なフレネルプリズムを製作できる。
【0064】
前記光学プリズム41a,41bはそれぞれ前記受光光軸38(即ち、前記基準光軸14)を中心に個別に回転可能に配設されている。前記光学プリズム41a,41bは、回転方向、回転量、回転速度を独立して制御されることで、射出される測距光の前記測距光軸37を任意の偏向方向に偏向し、受光される反射測距光の前記受光光軸38を前記測距光軸37と平行に偏向する。
【0065】
前記光学プリズム41a,41bの外形形状は、それぞれ前記受光光軸38を中心とする円板状であり、反射測距光の広がりを考慮し、充分な光量を取得できる様、前記光学プリズム41a,41bの直径が設定されている。
【0066】
前記光学プリズム41aの外周にはリングギア44aが嵌設され、前記光学プリズム41bの外周にはリングギア44bが嵌設されている。
【0067】
前記リングギア44aには駆動ギア46aが噛合し、該駆動ギア46aは前記モータ47aの出力軸に固着されている。前記リングギア44bには、駆動ギア46bが噛合し、該駆動ギア46bは前記モータ47bの出力軸に固着されている。前記モータ47a,47bは前記制御演算部24に電気的に接続されている。
【0068】
前記モータ47a,47bは、回転角を検出することができるもの、或は駆動入力値に対応した回転をするもの、例えばパルスモータが用いられる。或は、モータの回転量(回転角)を検出する回転角検出器、例えばエンコーダ(図示せず)等を用いて、モータの回転量を検出してもよい。前記射出方向検出器25の検出結果に基づき前記制御演算部24により前記モータ47a,47bが個別に制御される。
【0069】
前記駆動ギア46a,46b、前記モータ47a,47bは前記測距光射出部21と干渉しない位置、例えば前記リングギア44a,44bの側方に設けられている。
【0070】
前記投光レンズ33、前記測距光偏向部36a等は、投光光学系を構成し、前記反射測距光偏向部36b、前記結像レンズ40等は受光光学系を構成する。
【0071】
前記射出方向検出器25は、前記モータ47a,47bに入力する駆動パルスをカウントすることで該モータ47a,47bの回転角を検出し、或はエンコーダからの信号に基づき該モータ47a,47bの回転角を検出する。尚、前記リングギア44a,44bにエンコーダ(図示せず)をそれぞれ連結し、前記リングギア44a,44bの回転角をエンコーダにより直接検出する様にしてもよい。
【0072】
更に、前記射出方向検出器25は、前記モータ47a,47bの回転角に基づき、前記光学プリズム41a,41bの回転位置を演算し、前記測距光偏向部36a(即ち、前記プリズム要素42a,42b)の屈折率と回転位置に基づき測距光の偏角(偏向方向)、射出方向を演算し、演算結果は前記制御演算部24に入力される。
【0073】
前記光軸偏向ユニット36による偏向作用について、
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)を参照して説明する。
【0074】
尚、
図5(A)では説明を簡略化する為、前記光学プリズム41a,41bについて、前記プリズム要素42a,42b、前記プリズム要素43a,43bを分離して示している。又、
図5(A)で示される前記プリズム要素42a,42b、前記プリズム要素43a,43bは最大の偏角が得られる状態となっている。又、最小の偏角は、前記光学プリズム41a,41bのいずれか一方が180゜回転した位置であり、偏角は0゜となり、射出されるレーザ光線の光軸(即ち、前記測距光軸37)は前記基準光軸14と合致する。
【0075】
前記発光素子32から測距光が発せられ、測距光は前記投光レンズ33で平行光束とされ、前記測距光偏向部36a(前記プリズム要素42a,42b)を透過して測定対象物或は測定対象エリアに向けて射出される。ここで、前記測距光偏向部36aを透過することで、測距光は前記プリズム要素42a,42bによって所要の方向に偏向されて射出される。
【0076】
測定対象物或は測定対象エリアで反射された反射測距光は、前記反射測距光偏向部36bに入射し、該光軸偏向ユニット36を透過後、前記結像レンズ40により前記受光素子39に集光される。
【0077】
反射測距光が前記反射測距光偏向部36bを透過することで、反射測距光の光軸は、前記受光光軸38と合致する様に前記プリズム要素43a,43bによって偏向される(
図5(A))。
【0078】
前記光学プリズム41aと前記光学プリズム41bとの回転位置の組合わせにより、射出する測距光の偏向方向、偏角を任意に変更することができる。
【0079】
又、前記光学プリズム41aと前記光学プリズム41bとの位置関係を固定した状態で(前記光学プリズム41aと前記光学プリズム41bとで得られる偏角を固定した状態で)、前記モータ47a,47bにより、前記光学プリズム41aと前記光学プリズム41bとを一体に回転することで、前記測距光偏向部36aを透過した測距光が描く軌跡は前記基準光軸14を中心とした円となる。
【0080】
従って、前記発光素子32よりレーザ光線を発光させつつ、前記光軸偏向ユニット36を回転させれば、測距光を円の軌跡で走査させることができる。尚、前記反射測距光偏向部36bは、前記測距光偏向部36aと一体に回転していることは言う迄もない。
【0081】
次に、
図5(B)は前記光学プリズム41aと前記光学プリズム41bとを相対回転させた場合を示している。前記光学プリズム41aにより偏向された光軸の偏向方向を偏向Aとし、前記光学プリズム41bにより偏向された光軸の偏向方向を偏向Bとすると、前記光学プリズム41a,41bによる光軸の偏向は、該光学プリズム41a,41b間の角度差θとして、合成偏向Cとなる。
【0082】
従って、前記光学プリズム41aと前記光学プリズム41bを逆向きに同期して等角度で等速往復回転させた場合、前記光学プリズム41a,41bを透過した測距光は、直線状に走査される。従って、前記光学プリズム41aと前記光学プリズム41bを逆向きに等角度で等速往復回転させることで、
図5(B)に示される様に、測距光を合成偏向C方向に直線状の軌跡50で往復走査させることができる。
【0083】
更に、
図5(C)に示される様に、前記光学プリズム41aの回転速度に対して遅い回転速度で前記光学プリズム41bを回転させれば、角度差θは漸次増大しつつ測距光が回転されるので、測距光のスキャン軌跡は、スパイラル状となる。
【0084】
更に又、前記光学プリズム41a、前記光学プリズム41bの回転方向、回転速度を個々に制御することで、測距光のスキャン軌跡を前記基準光軸14を中心とした照射方向(半径方向の走査)とし、或は水平、垂直方向とする等、種々の走査状態が得られる。
【0085】
測定の態様としては、前記光軸偏向ユニット36(前記光学プリズム41a,41b)を所要偏角毎に固定して測距を行うことで、特定の測定点についての測距を行うことができる。更に、前記光軸偏向ユニット36の偏角を変更しつつ、測距を実行することで、即ち測距光を所要のパターンで走査することができ、更に走査しつつ測距を実行することでスキャン軌跡に沿って点群の測距データ(スキャンデータ)を取得することができる。
【0086】
又、各測距光の射出方向角は、前記光学プリズム41a,41bの回転位置の検出、或は前記モータ47a,47bの回転角の検出により、検出することができる。更に、射出方向角と測距データとを関連付けることで、3次元の測距データを取得することができる。
【0087】
従って、前記レーザスキャナ19を3次元点群データを取得するレーザスキャナとして機能させることができる。
【0088】
更に、前記光学プリズム41a,41bの相対回転速度、回転方向を適宜制御することで、レーザ光線を直線的(1次元)にスキャンさせること、2次元にスキャンさせること、閉ループを形成する様スキャンさせること等、種々のモードでスキャンさせることができる。
【0089】
次に、
図6、
図7を参照して前記姿勢検出器26について詳述する。尚、
図6は平面図を示しており、以下の説明に於いて、上下は図中での上下に対応し、左右は図中での左右に対応する。
【0090】
矩形枠形状の外フレーム51の内部に矩形枠形状の内フレーム53が設けられ、該内フレーム53の内部に傾斜検出ユニット56が設けられる。
【0091】
前記内フレーム53の上面、下面から縦軸54,54が突設され、該縦軸54,54は前記外フレーム51に設けられた軸受52,52と回転自在に嵌合する。前記縦軸54,54は縦軸心を有し、前記内フレーム53は前記縦軸54,54を中心に左右方向に360゜回転自在となっている。
【0092】
前記傾斜検出ユニット56は横軸55に支持され、該横軸55の両端部は、前記内フレーム53に設けられた軸受57,57に回転自在に嵌合する。前記横軸55は前記縦軸心と直交する横軸心を有し、前記傾斜検出ユニット56は前記横軸55を中心に上下方向に360゜回転自在となっている。
【0093】
つまり、前記傾斜検出ユニット56は前記外フレーム51に対して2軸方向に360°回転自在のジンバル機構を介して支持された構成になっている。
【0094】
前記縦軸54,54の一方、例えば下側の縦軸54には第1ギア58が取付けられ、該第1ギア58には第1駆動ギア59が噛合している。又、前記外フレーム51の下面には第1モータ61が設けられ、前記第1駆動ギア59は前記第1モータ61の出力軸に取付けられている。
【0095】
前記縦軸54,54の他方には第1エンコーダ62が取付けられ、該第1エンコーダ62は前記内フレーム53の前記外フレーム51に対する左右方向の回転角を検出する様に構成されている。
【0096】
前記横軸55の一端部には、第2ギア63が取付けられ、該第2ギア63には第2駆動ギア64が噛合している。又、前記内フレーム53の側面(図示では左側面)には第2モータ65が取付けられ、前記第2駆動ギア64は前記第2モータ65の出力軸に取付けられている。
【0097】
前記横軸55の他端部には第2エンコーダ66が取付けられ、該第2エンコーダ66は前記内フレーム53に対する前記傾斜検出ユニット56の上下方向の回転角を検出する様に構成されている。
【0098】
前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66は、演算処理部68に電気的に接続されている。
【0099】
前記傾斜検出ユニット56は、第1傾斜センサ71、第2傾斜センサ72を有しており、該第1傾斜センサ71、該第2傾斜センサ72は、前記演算処理部68に電気的に接続されている。
【0100】
前記姿勢検出器26について、
図7により更に説明する。
【0101】
該姿勢検出器26は、前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66、前記第1傾斜センサ71、前記第2傾斜センサ72、前記演算処理部68、前記第1モータ61、前記第2モータ65の他に、更に記憶部73、入出力制御部74を具備している。
【0102】
前記記憶部73には、姿勢検出の為の演算プログラム等のプログラム、及び演算データ等のデータ類を格納している。
【0103】
前記入出力制御部74は、前記演算処理部68から出力される制御指令に基づき前記第1モータ61、前記第2モータ65を駆動し、前記演算処理部68で演算した傾斜検出結果を検出信号として出力する。
【0104】
前記第1傾斜センサ71は水平を高精度に検出するものであり、例えば水平液面に検出光を入射させ反射光の反射角度の変化で水平を検出する傾斜検出器、或は封入した気泡の位置変化で傾斜を検出する気泡管である。又、前記第2傾斜センサ72は傾斜変化を高応答性で検出するものであり、例えば加速度センサである。
【0105】
尚、前記第1傾斜センサ71、前記第2傾斜センサ72のいずれも、前記第1エンコーダ62が検出する回転方向(傾斜方向)、前記第2エンコーダ66が検出する回転方向(傾斜方向)の2軸方向の傾斜を個別に検出可能となっている。
【0106】
前記演算処理部68は、前記第1傾斜センサ71、前記第2傾斜センサ72からの検出結果に基づき、傾斜角、傾斜方向を演算し、更に該傾斜角、傾斜方向に相当する前記第1エンコーダ62の回転角、前記第2エンコーダ66の回転角により前記測定装置12の鉛直(又は水平)に対する傾斜角を演算する。
【0107】
尚、前記姿勢検出器26は、前記外フレーム51が水平に設置された場合に、前記第1傾斜センサ71が水平を検出する様に設定され、更に前記第1エンコーダ62の出力、前記第2エンコーダ66の出力が共に基準位置(回転角0゜)を示す様に設定される。
【0108】
以下、前記姿勢検出器26の作用について説明する。
【0109】
先ず、高精度に傾斜を検出する場合について説明する。
【0110】
高精度に傾斜を検出する場合としては、静的或は前記第1傾斜センサ71が傾斜変化に追従できる程度に傾斜の変化が遅い場合である。
【0111】
前記姿勢検出器26が傾斜すると、前記第1傾斜センサ71が傾斜に応じた信号を出力する。
【0112】
前記演算処理部68は、前記第1傾斜センサ71からの信号に基づき、傾斜角、傾斜方向を演算し、更に演算結果に基づき傾斜角、傾斜方向を0にする為の、前記第1モータ61、前記第2モータ65の回転量を演算し、前記入出力制御部74を介して前記第1モータ61、前記第2モータ65を前記回転量駆動する駆動指令を発する。
【0113】
前記第1モータ61、前記第2モータ65の駆動により、演算された傾斜角、傾斜方向の逆に傾斜する様、前記第1モータ61、前記第2モータ65が駆動され、モータの回転量(回転角)は前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66によって検出され、回転角が前記演算結果となったところで前記第1モータ61、前記第2モータ65の駆動が停止される。
【0114】
この状態では、前記外フレーム51が傾斜した状態で、前記傾斜検出ユニット56が水平に制御される。
【0115】
従って、該傾斜検出ユニット56を水平とする為に、前記第1モータ61、前記第2モータ65により、前記内フレーム53、前記傾斜検出ユニット56を傾斜させた傾斜角、傾斜方向は、前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66で検出した回転角に基づき求められる。
【0116】
前記演算処理部68は、前記第1傾斜センサ71が水平を検出した時の、前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66の検出結果に基づき前記姿勢検出器26の傾斜角、傾斜方向を演算する。この演算結果が、該姿勢検出器26の傾斜後の姿勢を示す。
【0117】
前記演算処理部68は、演算された傾斜角、傾斜方向を前記姿勢検出器26の検出信号として前記入出力制御部74を介して外部に出力する。
【0118】
前記姿勢検出器26では、
図6に示される構造の通り、前記傾斜検出ユニット56、前記内フレーム53の回転を制約するものがなく、前記傾斜検出ユニット56、前記内フレーム53は共に360゜以上の回転が可能である。即ち、前記姿勢検出器26がどの様な姿勢となろうとも(例えば、該姿勢検出器26の天地が逆になった場合でも)、全方向での姿勢検出が可能である。
【0119】
姿勢検出に於いて、高応答性を要求する場合は、前記第2傾斜センサ72の検出結果に基づき姿勢検出と姿勢制御が行われるが、該第2傾斜センサ72は前記第1傾斜センサ71に比べ検出精度が悪いのが一般的である。
【0120】
前記姿勢検出器26では、高精度の前記第1傾斜センサ71と高応答性の前記第2傾斜センサ72を具備することで、該第2傾斜センサ72の検出結果に基づき姿勢制御を行い、前記第1傾斜センサ71により高精度の姿勢検出を可能とする。
【0121】
つまり、前記第2傾斜センサ72が検出した傾斜角に基づき、該傾斜角が0°になる様に前記第1モータ61、前記第2モータ65を駆動し、更に前記第1傾斜センサ71が水平を検出する迄前記第1モータ61、前記第2モータ65の駆動を継続することにより、高精度に姿勢を検出することが可能となる。前記第1傾斜センサ71が水平を検出した時の前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66の値、即ち実際の傾斜角と前記第2傾斜センサ72が検出した傾斜角との間で偏差を生じれば、該偏差に基づき前記第2傾斜センサ72の傾斜角を較正することができる。
【0122】
従って、予め、該第2傾斜センサ72の検出傾斜角と、前記第1傾斜センサ71による水平検出と前記第1エンコーダ62、前記第2エンコーダ66の検出結果に基づき求めた傾斜角との関係を取得しておけば、前記第2傾斜センサ72に検出された傾斜角の較正(キャリブレーション)をすることができ、該第2傾斜センサ72による高応答性での姿勢検出の精度を向上させることができる。
【0123】
又、前記演算処理部68は、傾斜の変動が大きい時、傾斜の変化が速い時は、前記第2傾斜センサ72からの信号に基づき、前記第1モータ61、前記第2モータ65を制御する。又、前記演算処理部68は、傾斜の変動が小さい時、傾斜の変化が緩やかな時、即ち前記第1傾斜センサ71が追従可能な状態では、該第1傾斜センサ71からの信号に基づき、前記第1モータ61、前記第2モータ65を制御する。
【0124】
尚、前記記憶部73には、前記第1傾斜センサ71の検出結果と前記第2傾斜センサ72の検出結果との比較結果を示すデータテーブルである対比データが格納されている。前記第2傾斜センサ72からの信号に基づき、前記第1モータ61、前記第2モータ65を制御する場合、前記演算処理部68は前記対比データに基づき前記第2傾斜センサ72による検出結果を較正する。この較正により、該第2傾斜センサ72による検出結果を前記第1傾斜センサ71の検出精度迄高めることができる。よって、前記姿勢検出器26による姿勢検出に於いて、高精度を維持しつつ高応答性を実現することができる。
【0125】
演算された前記第1エンコーダ62の回転角、前記第2エンコーダ66の回転角を合成することで、傾斜角と傾斜方向がリアルタイムに演算される。該傾斜角と傾斜方向は、前記姿勢検出器26が取付けられる前記測定装置12の、鉛直(又は水平)に対する傾斜角、傾斜方向に対応する。
【0126】
図8を参照して、本実施例に係る測定の作用について説明する。
図8に示す測定では、前記UAV測定装置2により測定範囲を飛行中、前記測定装置12から発せられる測距光を円状にスキャン(以下、円スキャン)測定する。
【0127】
先ず、前記遠隔操縦機5から円スキャンする場合の偏角θを指示する。又偏角θは、前記測定装置12に送信され、前記地上基地4にも入力される。
【0128】
前記制御演算部24は受信した偏角θに基づき、前記光軸偏向ユニット36を駆動する。該光軸偏向ユニット36は、前記基準光軸14に対して偏角がθとなる様に、前記光学プリズム41a,41b間の相対角度を設定する。設定後、前記光学プリズム41a,41bを一体に回転することで円スキャンとなる。
【0129】
円スキャンした場合、地上でのレーザ光線の照射点のスキャン軌跡76は閉ループの円となり、レーザ光線自体の軌跡は前記光軸偏向ユニット36を頂点とする円錐形となり、頂角は2θとなる。
【0130】
尚、前記偏角θは、前記UAV測定装置2の高度、又前記撮像ユニット20の画角を考慮して設定される。
【0131】
前記UAV測定装置2は、予め設定された飛行計画に基づいて飛行される。
【0132】
前記トータルステーション3は既知点に設置され、該トータルステーション3は飛行中の前記UAV測定装置2の前記プリズム13を追尾し、測定する。
【0133】
上記した様に、前記測定装置12は前記ジンバル機構15によって支持され、前記測定装置12に急激な外力が作用しない場合には、該測定装置12は略鉛直姿勢、即ち前記基準光軸14は略鉛直となっている。又、前記プリズム13は、前記測定装置12と一体となっており、該測定装置12の測定基準点とは所定の関係にあるので、前記トータルステーション3が前記プリズム13の位置を測定することで、直ちに前記測定装置12の位置(3次元座標)を測定することができる。
【0134】
該測定装置12の位置は、前記地上基地4に送信され、該地上基地4では得られた前記測定装置12の位置と、飛行計画に基づき飛行制御指令を演算し、前記遠隔操縦機5から前記測定装置12に送信し、前記UAV測定装置2の飛行を制御する。
【0135】
前記測定装置12は、前記UAV測定装置2の飛行中、円スキャンを行い円軌跡で点群データを取得し、取得した点群データを前記遠隔操縦機5を経て前記地上基地4に送信する。
【0136】
前記測定装置12の前記基準光軸14は略鉛直であり、測距光の前記偏角θは既知であり、測定時の前記測定装置12の位置(即ち、前記測定基準点の位置)も前記トータルステーション3の測定により既知となっている。
【0137】
前記円スキャンによる測定結果は、前記基準光軸14を基準とした偏角と偏角の方向及び距離値であり、前記測定装置12の前記測定基準点を基準とした座標系のデータに変換することができる。更に、前記基準光軸14の略鉛直に対する傾斜は、前記姿勢検出器26により高精度に検出することができるので、水平基準の座標系に変換することができる。
【0138】
従って取得画像上の前記スキャン軌跡76に対応する画素は水平距離と高さ、若しくは水平距離差と高低差で対応付けでき、一つの画像を見るだけで前記スキャン軌跡76上の水平距離差と高低差が分かり、画像全体のおよその水平距離差と高低差も推定できる。
【0139】
従って、前記地上基地4では円スキャンで得られる点群データの測定結果を、直ちに前記トータルステーション3の設置位置を基準とした地上座標系の3次元データに変換することができる。
【0140】
点群データの各点の測定時の該基準光軸14の傾斜角が前記姿勢検出器26から取得される。前記基準光軸14の傾斜角と前記各点の前記測定装置12による測定結果とが関連付けられ、傾斜角と関連付けられた点群データが前記遠隔操縦機5を介して前記地上基地4に送信される。
【0141】
該地上基地4では、傾斜角に基づき、前記基準光軸14が略鉛直状態の点群データに補正し、更に前記トータルステーション3の設置位置を基準とした3次元データに変換する。
【0142】
従って、前記測定装置12の姿勢に拘らず、前記トータルステーション3の設置位置を基準とした正確な点群データを取得することができる。
【0143】
次に、前記撮像ユニット20により前記測定装置12による測定時の画像を取得する。尚、前記撮像ユニット20の前記撮像光軸29と前記基準光軸14とは平行であり、両光軸の関係は既知であるので、取得した画像と円スキャンで得られた点群データとの関連付けは容易である。
【0144】
又、前記点群データの各点の測定タイミングは、前記制御演算部24のクロック信号に基づき制御され(測定され)、又前記撮像制御部28は前記制御演算部24のクロック信号に基づき撮像タイミングを制御しているので、画像の取得が点群データのどの点で行われたかは、クロック信号に基づき容易に関連付けできる。尚、同期信号によりスキャン開始と撮像とを同期させてもよい。以下、クロック信号に基づく関連付け、同期信号による同期を含めて同期と称する。
【0145】
即ち、前記撮像ユニット20による画像取得位置と点群データの関連付けを正確に行うことができる。更に、測距光による測距時の前記基準光軸14を基準とした偏角、偏向方向は前記射出方向検出器25によって検出され、又偏角、偏向方向は前記受光素子39の画素の位置に対応付けられるので、前記スキャン軌跡76は画像の画素に対応付けることができる。
【0146】
図9、
図10を参照して、飛行中の(移動中の)点群データの取得、画像の取得について説明する。
【0147】
図9は、測定位置1、測定位置2、測定位置3でそれぞれ円スキャンと画像の取得を実行した状態を示している。ここで、1つの円スキャンで得られる点群データを円点群データ78と称す。
【0148】
図10は、測定位置1、測定位置2、測定位置3で取得した画像81−1、画像81−2、画像81−3、円スキャンで取得した円点群データ78−1、円点群データ78−2、円点群データ78−3を示している。
【0149】
閉ループスキャンの特徴として各スキャン軌跡の交点が複数得られる。円スキャンの場合、2つのスキャン軌跡(円点群データ78)に対して交点は2つであり、この2つの交点は前記飛行体11の方向が回転しても確保される。
【0150】
図中、前記円点群データ78−1と前記円点群データ78−2との交点はP1とP2であり、この交点は2つの前記円点群データ78−1,78−2と2つの前記画像81−1,81−2を連結させる重要な連結点となり、座標情報(水平距離と高さ)を用いて連結することができる。
【0151】
同様に、前記円点群データ78−2と前記円点群データ78−3との交点はP3とP4であり、更に前記円点群データ78−1と前記円点群データ78−3との交点はP5とP6である。
【0152】
次に、測定位置1、測定位置2で取得した画像81−1、画像81−2についての画像マッチングを行う場合について説明する。
【0153】
前記画像81−1、画像81−2は、それぞれ円点群データ78−1、円点群データ78−2を含んでおり、前記円点群データ78−1、円点群データ78−2の交点P1,P2は両画像の共通点となり、更に交点P1,P2は座標値を有している。従って、交点P1,P2の座標値を用いることで、前記画像81−1、画像81−2間のマッチングが直ちに座標の連結となる。
【0154】
同様に、画像81−2、画像81−3については、円点群データ78−2、円点群データ78−3の交点P3,P4を用い、画像81−1、画像81−3については、円点群データ78−1、円点群データ78−3の交点P5,P6を用い、それぞれ座標の連結を行うことができる。
【0155】
又、測定位置1、測定位置2、測定位置3の座標については前記トータルステーション3により測定しているので、マッチングされた画像、測定位置1、測定位置2、測定位置3の位置情報を基に写真測量を実行することができる。
【0156】
前記したP1〜P6は連結点であり、測定位置1と測定位置2から測定位置3の位置(前記測定装置12の現在位置)が推定できる(後方交会法)。
【0157】
従って、位置測定システムが途切れた場合、即ち前記トータルステーション3による測定が不能になった場合でも、前記飛行体11の自己位置が分かり、安全飛行に役立つ。
【0158】
上記測定は、比較的間欠的に測定した場合を示しているが、測定レートが速い場合(円スキャン速度が速い場合)にはリアルタイムで座標情報(水平距離と高さ、若しくは鉛直基準のスキャン角度と測距値)付きの画像を作ることができる。
【0159】
水平距離と高さの算出は鉛直基準のスキャン角度(前記基準光軸14に対する偏角θ(
図8参照))と測距値から求めることができる。
【0160】
円スキャンと同期して得られた画像上に於いて、スキャン軌跡に対応する画素に座標情報を付加すると共に、直前の画像と画像マッチングを施し、新しい画像に直前のスキャン軌跡上の座標情報を引継ぐ(転写する)。この画像マッチングと座標情報の転写を、画像取得毎に継続することで、地表の形状を測定するのに充分な点群密度が得られ、リアルタイムで座標情報付き画像が得られる(
図11参照)。
【0161】
尚、
図11中、81nは最新の画像を示し、81は古い画像を示している。又、スキャン軌跡76nは最新のスキャン軌跡を示し、76は古いスキャン軌跡を示している。
【0162】
このリアルタイム座標情報付き画像を連続させることで、飛行経路に沿った疑似的な写真地図を作製することができる。
【0163】
又、リアルタイム座標情報付き画像の連結点を用い、前記測定装置12の自己位置推定ができるので前記トータルステーション3等の位置測定システムが無くても、疑似写真地図の拡張作製もできる。更に、出来上がった疑似写真地図と前記UAV測定装置2の飛行中に取得する画像を照合させて該UAV測定装置2の位置確認もでき、安全飛行に役立つ。
【0164】
尚撮影時に、略鉛直下方に向けたカメラの傾きが大きい場合には前記姿勢検出器26が検出した傾斜に基づいて射影変換を施し、略鉛直下方に向けた正射画像に変換し、疑似写真地図を作製してもよい。
【0165】
疑似写真地図に写真測量を併用すると、スキャン軌跡以外の部分についても座標情報を付加することができ、詳細な3次元地図を作製することができる。
【0166】
この場合、疑似写真地図の作製過程で得た任意の座標情報付き画像の内、所定のオーバラップを有する2つの画像を選択する。ここで、オーバラップは、好ましくは60%程度あることが好ましい。
【0167】
図12は疑似写真地図の作製過程で得られる2つの画像A、Bの例である。画像A、Bは所要のオーバラップ部分を有する。画像A、Bには同じスキャン軌跡76a,76b,76c,…が含まれている。
図12はスキャン軌跡の対応を示している。
【0168】
一般の航空写真測量では熟練を要する相互標定(2つの画像の傾きと回転関係を求める)、対地標定(地上での実距離との関係を求める)との処理が必要であるが、疑似写真地図の作製過程で、傾きは鉛直センサで求まり、回転は継続するスキャン軌跡上の座標情報の引継ぎ処理により求まるので従来の相互標定処理は不要で、又対地標定もスキャナで地上を測定しているので不要となる。
【0169】
更に、写真測量の測定の為の画像マッチング処理は、対応するスキャン軌跡間で行えばよく、信頼性が向上すると共に、処理時間が短縮される。
【0170】
尚、上記した画像とスキャン軌跡、スキャンデータと画像との関連付け、スキャン軌跡に基づく画像の連結、前記姿勢検出器26の検出結果に基づくスキャンデータの補正、画像の補正、更に疑似写真地図の作製等の処理は、前記地上基地4で行ってもよく、或は前記測定装置12の前記制御演算部24で行ってもよい。
【0171】
又、上記実施例では、前記UAV測定装置2の位置情報を前記トータルステーション3で取得したが、前記飛行体11にGNSSを搭載し、GNSSにより前記UAV測定装置2の位置情報を取得する様にしてもよい。更に、前記トータルステーション3とGNSSの両方を備えてもよい。この場合、衛星からの電波が届かない場所では前記トータルステーション3で測定し、障害物があり、該トータルステーション3で前記UAV測定装置2を追尾できない場所ではGNSSにより測定する等、適宜使い分けてもよい。
【0172】
又、スキャンモードも少なくとも2次元スキャンであればよく、又閉ループスキャンであることが好ましい。又、測距光の偏向手段も光学プリズムの代りに回転方向の異なる2つの回転可能なミラーを用い、ミラーにより偏向し、更にミラーの回転により2次元にスキャンしてもよい。
【0173】
又、スキャンパターンは円に限られるものではない。例えば、前記光学プリズム41a,41bの回転(回転速度、回転方向)の組合わせで種々のスキャンパターンが実現できる。
図13は、スキャンパターンの一例を示しており、花びら状にスキャンした場合を示している。
【0174】
又、前記撮像ユニット20は、前記測定装置12に一体に組込まれたものではなく、該測定装置12と所定の関係で取付けられ、同期のとれるカメラ等であってもよい。
【0175】
尚、上記実施例では、前記測定装置12を前記ジンバル機構15を介して前記飛行体11に設けたが、飛行装置が安定で傾きの少ない場合、前記姿勢検出器26で検出した傾斜に基づき、撮像した写真を補正する様にすれば、前記ジンバル機構15は省略することができる。