(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の連結部のそれぞれが、前記融着部を間に挟み且つ前記融着部から第1距離だけ離れている、一対の仮想往復線を備えており、前記一対の連結部のそれぞれにおいて、前記縫い目が、前記一対の仮想往復線上に、前記本縫いの掛け合わせ部を備えているとともに、前記縫い目が、前記一対の仮想往復線の間を、前記融着部と所定の角度で交差しながら、直線的に往復している、請求項1又は2に記載の連結構造。
前記一対の連結部のそれぞれが、前記一対の仮想往復線より内側に配置され、前記融着部を間に挟み且つ前記融着部から第2距離だけ離れている、一対の内側仮想線を備えており、前記一対の連結部のそれぞれにおいて、前記縫い目が、前記一対の内側仮想線と交差する部分に、前記本縫いの掛け合わせ部をさらに備えている、請求項3に記載の連結構造。
前記連結構造が、前記一対の連結部の少なくとも一方に、前記テープ状基材の、前記引手部の側の面に隣接するシート部材をさらに備えており、前記シート部材が、合成繊維を含み、前記長手方向に延びる両端縁を備えており、前記一対の連結部の少なくとも一方において、前記融着部が、前記シート部材の前記両端縁の少なくとも一方の端縁をさらに融着しており、前記縫い目が、前記テープ状基材及び前記シート部材と、前記一対の布帛のそれぞれとの間を、前記融着部を間に挟んで往復している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の連結構造。
前記シート部材が、前記幅方向において前記エレメント部に向かってループしているループ部をさらに備えており、前記融着部が、前記シート部材の前記両端縁の他方の端縁をさらに融着している、請求項7に記載の連結構造。
前記連結構造が、前記引手部と反対側の面に、前記エレメント部を覆うように配置されたフラップ部をさらに備えており、前記フラップ部が、合成繊維を含み、前記幅方向の一方の端縁及び他方の端縁を有し、前記一対の連結部の一方において、前記融着部が、前記フラップ部の前記一方の端縁をさらに融着しており、前記縫い目が、前記テープ状基材及び前記フラップ部と、前記一対の布帛のそれぞれとの間を、前記融着部を間に挟んで往復している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の連結構造。
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有するスライドファスナーと、一対の布帛との連結構造であって、
上記スライドファスナーが、上記長手方向に沿って配置されたテープ状基材と、上記テープ状基材を開閉可能なエレメント部と、上記エレメント部を開閉させる、引手部を備えるスライダー部とを有し、
上記テープ状基材が、合成繊維を含み、上記幅方向の両端に基材両端縁を備えており、
上記一対の布帛のそれぞれが、合成繊維を含み、上記基材両端縁のそれぞれに沿った布帛端縁を備えており、
上記連結構造が、上記スライドファスナー及び上記一対の布帛の境界部に、
(i)上記基材両端縁のそれぞれと、上記布帛端縁とが融着している融着部と、
(ii)上記テープ状基材と、上記一対の布帛のそれぞれとの間を、上記融着部を間に挟んで往復している、本縫いの縫い目と、
から構成されている、一対の連結部を含む、
ことを特徴とする、上記連結構造。
【0009】
上記連結構造は、スライドファスナーと、一対の布帛との境界部に、一対の連結部を含む。一対の連結部のそれぞれは、所定の融着部と、所定の縫い目とから構成され、従来の連結構造と比較して、薄さと、柔らかさとに優れる。また、上記連結構造では、一対の連結部の柔らかさに起因してスライダー部をスライドさせやすく、そして一対の連結部の薄さに起因して、スライダー部をスライドさせる際に、スライダー部が一対の布帛を噛み込みにくく、スライドファスナーの開閉操作を行いやすい。
また、上記連結構造は、従来の連結構造と比較して薄く、美観に優れている。
【0010】
[態様2]
上記一対の連結部のそれぞれにおいて、上記テープ状基材と、上記一対の布帛のそれぞれとが、上記厚さ方向に重複していない、態様1に記載の連結構造。
【0011】
上記連結構造では、一対の連結部のそれぞれにおいて、テープ状基材と、一対の布帛のそれぞれとが、スライドファスナーの厚さ方向に重複していないので、上記一対の連結部のそれぞれが、薄さと、柔らかさとに優れる。従って、上記連結構造では、スライドファスナーの開閉操作を行いやすい。
【0012】
[態様3]
上記スライドファスナーが、上記幅方向に分離可能である、態様1又は2に記載の連結構造。
上記連結構造では、上記スライドファスナーが、スライドファスナーの幅方向に分離可能なタイプであり、上記連結構造は、スライドファスナーが分離した状態から非分離状態への移行操作(例えば、蝶棒を箱に挿入する挿入操作等)を行いやすく、そしてスライドファスナーの開閉操作を行いやすい。
【0013】
[態様4]
上記一対の連結部のそれぞれが、上記融着部を間に挟み且つ上記融着部から第1距離だけ離れている、一対の仮想往復線を備えており、上記一対の連結部のそれぞれにおいて、上記縫い目が、上記一対の仮想往復線上に、上記本縫いの掛け合わせ部を備えているとともに、上記縫い目が、上記一対の仮想往復線の間を、上記融着部と所定の角度で交差しながら、直線的に往復している、態様1〜3のいずれか一項に記載の連結構造。
【0014】
上記連結構造では、一対の連結部のそれぞれにおいて、縫い目が、上記一対の仮想往復線上に、上記本縫いの掛け合わせ部を備えているとともに、一対の仮想往復線の間を、融着部と所定の角度で交差しながら、直線的に往復している。従って、上記連結構造に、融着部と直交する方向(すわなち、スライドファスナーの幅方向)の引張力が加えられた場合に、一対の連結部のそれぞれにおいて、縫い目が、引張力に応じて、所定の変形量分、変形することができる。従って、上記連結構造では、一対の連結部のそれぞれが柔らかく、融着部が破断しにくい。以上より、上記連結構造は、スライダー部をスライドさせやすく、スライドファスナーの開閉操作を行いやすいとともに、上記幅方向の引張力を加えられた場合の強度に優れる。
【0015】
[態様5]
上記一対の連結部のそれぞれが、上記一対の仮想往復線より内側に配置され、上記融着部を間に挟み且つ上記融着部から第2距離だけ離れている、一対の内側仮想線を備えており、上記一対の連結部のそれぞれにおいて、上記縫い目が、上記一対の内側仮想線と交差する部分に、上記本縫いの掛け合わせ部をさらに備えている、態様4に記載の連結構造。
【0016】
上記連結構造では、一対の連結部のそれぞれにおいて、縫い目が、上記一対の内側仮想線と交差する部分に、上記本縫いの掛け合わせ部をさらに備えているので、上記連結構造が、上記幅方向の引張力を加えられた場合の強度に優れる。
【0017】
[態様6]
第2距離が、第1距離の40%以上の大きさを有する、態様5に記載の連結構造。
【0018】
上記連結構造では、第2距離が、第1距離と所定の関係を有しており、一対の仮想往復線上の掛け合わせ部と、一対の内側仮想線上の掛け合わせ部との位置が、掛け合わせ部が均等に配置された場合と比較して近くなる。従って、上記連結構造に、上記幅方向の引張力を加えた場合に、最も大きな力が加わる一対の仮想往復線上の掛け合わせ部を、一対の内側仮想線上の掛け合わせ部が補助することができるので、一対の仮想往復線上の掛け合わせ部及び一対の内側仮想線上の掛け合わせ部が破断しにくく、そして一対の仮想往復線上の掛け合わせ部及び一対の内側仮想線上の掛け合わせ部が存在する針穴が拡張しにくくなる。
【0019】
[態様7]
上記一対の布帛のそれぞれの素材が、上記テープ状基材の素材よりも伸びやすい、態様1〜6のいずれか一項に記載の連結構造。
【0020】
上記連結構造では、上記一対の布帛のそれぞれの素材が、上記テープ状基材の素材よりも伸びやすい。従って、上記連結構造は、スライドファスナーの幅方向に局所的な引張力が加わった場合の強度に優れる。
【0021】
すなわち、一方の手で、スライドファスナーのエレメント部を保持し、他方の手で、一対の布帛を構成する一方の布帛の所定の把持部分を把持し、一方の布帛に、上記幅方向の所定の引張力を加えると、一方の布帛及びスライドファスナーが厚さ方向に変形しながら、平面方向(長手方向及び幅方向を含む平面)においては、一方の布帛が、把持部分を中心として、スライドファスナーに向かって略扇形にその範囲を拡げながら伸長するとともに、スライドファスナーが、一方の布帛の把持部分を中心として、略円弧の形状に変形する。それに伴い、一方の布帛及びテープ状基材を連結する一方の連結部、並びに、一方の連結部を構成する一方の融着部及び一方の縫い目が、略円弧の形状に変形する。その結果、所定の引張力に、一方の融着部の略円弧に変形した部分と、一方の縫い目の略円弧に変形した部分との全体で抵抗することができ、一方の融着部の略円弧に変形した部分の単位長さ(長手方向の長さ)当たりに加わる力と、一方の縫い目の略円弧に変形した部分の単位長さ(長手方向の長さ)当たりに加わる力とを小さくすることができるため、上記連結構造は、スライドファスナーの幅方向に局所的な引張力が加わった場合の強度に優れる。
【0022】
[態様8]
上記連結構造が、上記一対の連結部の少なくとも一方に、上記テープ状基材の、上記引手部の側の面に隣接するシート部材をさらに備えており、上記シート部材が、合成繊維を含み、上記長手方向に延びる両端縁を備えており、上記一対の連結部の少なくとも一方において、上記融着部が、上記シート部材の上記両端縁の少なくとも一方の端縁をさらに融着しており、上記縫い目が、上記テープ状基材及び上記シート部材と、上記一対の布帛のそれぞれとの間を、上記融着部を間に挟んで往復している、態様1〜7のいずれか一項に記載の連結構造。
【0023】
上記連結構造は、玉縁仕様として、所定のシート部材を備えている場合であっても、薄さと、柔らかさとに優れる。従って、上記連結構造では、一対の連結部の柔らかさに起因してスライダー部をスライドさせやすく、そして一対の連結部の薄さに起因して、スライダー部をスライドさせる際に、スライダー部が、一対の布帛及びシート部材を噛み込みにくく、スライドファスナーの開閉操作を行いやすい。
【0024】
[態様9]
上記シート部材が、上記幅方向において上記エレメント部に向かってループしているループ部をさらに備えており、上記融着部が、上記シート部材の上記両端縁の他方の端縁をさらに融着している、態様8に記載の連結構造。
【0025】
上記連結構造は、上記融着部が、上記シート部材の上記両端縁の他方の端縁をさらに融着している場合であっても、薄さと、柔らかさとに優れる。従って、上記連結構造では、一対の連結部の柔らかさに起因してスライダー部をスライドさせやすく、そして一対の連結部の薄さに起因して、スライダー部をスライドさせる際に、スライダー部が一対の布帛及びループ部を備えるシート部材を噛み込みにくく、スライドファスナーの開閉操作を行いやすい。
【0026】
[態様10]
上記連結構造が、上記引手部と反対側の面に、上記エレメント部を覆うように配置されたフラップ部をさらに備えており、上記フラップ部が、合成繊維を含み、上記幅方向の一方の端縁及び他方の端縁を有し、上記一対の連結部の一方において、上記融着部が、上記フラップ部の上記一方の端縁をさらに融着しており、上記縫い目が、上記テープ状基材及び上記フラップ部と、上記一対の布帛のそれぞれとの間を、上記融着部を間に挟んで往復している、態様1〜9のいずれか一項に記載の連結構造。
【0027】
上記連結構造は、いわゆる、インナーフラップ部を備えている場合であっても、薄さと、柔らかさとに優れる。従って、上記連結構造では、一対の連結部の柔らかさに起因してスライダー部をスライドさせやすく、そして一対の連結部の薄さに起因して、スライダー部をスライドさせる際に、スライダー部が一対の布帛及びインナーフラップ部を噛み込みにくく、スライドファスナーの開閉操作を行いやすい。
【0028】
[態様11]
上記一対の布帛のそれぞれの素材が、フリース、フェルト、ジャージ、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様1〜10のいずれか一項に記載の連結構造。
【0029】
上記連結構造は、一対の布帛のそれぞれの素材が、嵩高いものであっても、薄さと、柔らかさとに優れる。従って、上記連結構造では、一対の連結部の柔らかさに起因してスライダー部をスライドさせやすく、そして一対の連結部の薄さに起因して、スライダー部をスライドさせる際に、スライダー部が一対の布帛を噛み込みにくく、スライドファスナーの開閉操作を行いやすい。
【0030】
[態様12]
衣服用である、態様1〜11のいずれかに記載の連結構造。
上記連結構造は衣服用であり、上記連結構造を備えている衣服は、スライドファスナーが、着用者の正面にない場合、例えば、スライドファスナーが衣服の正面に配置されている場合であって、当該衣服を着用しているときに、スライドファスナーの開閉操作を行いやすい。
【0031】
[態様13]
スライドファスナーと、一対の布帛との連結構造を形成する方法であって、
上記スライドファスナーが、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有しており、上記長手方向に沿って配置されたテープ状基材と、上記テープ状基材を開閉可能なエレメント部と、上記エレメント部を開閉させる、引手部を備えるスライダー部とを有し、
上記テープ状基材が、合成繊維を含み、上記幅方向の両端に基材両端縁を備えており、
上記一対の布帛のそれぞれが、合成繊維を含み、上記基材両端縁のそれぞれに沿った布帛端縁を備えており、
上記方法が、次の各ステップ:
上記テープ状基材及びカットすべき両端部を含むカット前テープ状基材と、一対のカット前布帛であって、それぞれが上記一対の布帛のそれぞれ及びカットすべき端部を含むものとを、上記厚さ方向に重ね合わせ、上記カットすべき両端部のそれぞれ及びカットすべき端部を切除しながら、上記基材両端縁のそれぞれと、上記布帛端縁との間に融着部を形成するステップ;
上記テープ状基材と、上記一対の布帛のそれぞれとを、上記融着部を間に挟んで上記幅方向に隣接するように配置するステップ;
上記テープ状基材と、上記一対の布帛のそれぞれとの間を、上記融着部を間に挟んで往復している、本縫いの縫い目を形成するステップ;
を含むことを特徴とする、上記方法。
上記方法は、上述の効果を有する連結構造を形成することができる。
【0032】
本開示のスライドファスナーと、一対の布帛との連結構造(以下、単に「連結構造」と称する場合がある)、並びにスライドファスナーと、一対の布帛との連結構造を形成する方法(以下、単に「連結構造の形成方法」と称する場合がある)について、以下、詳細に説明する。
【0033】
<スライドファスナーと、一対の布帛との連結構造>
[第1実施形態]
図1〜
図5は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う連結構造1を説明するための図である。具体的には、
図1〜
図3は、それぞれ、連結構造1の斜視図、正面図及び背面図である。
図4は、
図1のIV−IV端面における端面模式図である。なお、
図4は、端面図ではあるが、理解のため、第1縫い目25及び第2縫い目27(第1糸39及び第2糸41)、並びにエレメント部103は、若干の奥行きを含む形で示している。
図5は、
図2のV部分における、第1縫い目25の拡大模式図である。
【0034】
第1実施形態に従う連結構造1は、長手方向LD、幅方向WD及び厚さ方向TDを有するスライドファスナー3と、スライドファスナー3の幅方向WDの両外側に配置された一対の布帛5とを備えている。スライドファスナー3は、長手方向LDに沿って配置されているテープ状基材101と、長手方向LDに沿ってテープ状基材101に固定され且つテープ状基材101を開閉可能なエレメント部103と、エレメント部103を開閉させるスライダー部105とを有する。スライダー部105は、スライダー部105をスライドさせるための引手部107を備えている。スライドファスナー3は、単一のスライダー部105を備える分離可能タイプのスライドファスナーであり、箱115、箱棒117及び蝶棒119を備えている。
なお、連結構造1は、引手部107が存在する側の面である表面13と、引手部107が存在しない側の面である反対側の裏面15とを有する。
【0035】
使用者は、テープ状基材101が分離された状態から、蝶棒119を、箱棒117に隣接するように箱115に挿入し、次いで、スライダー部105を、箱115と反対方向にスライドさせ、エレメント部103が分離された状態から、エレメント部103が係合された状態に切替え、スライドファスナー3を閉じることができる。また、閉じたスライドファスナー3は、スライダー部105を、箱115の方向にスライドさせることにより、エレメント部103が係合された状態から、エレメント部103が分離された状態に切替えることができる。
【0036】
テープ状基材101は、合成繊維を含んでおり、そして幅方向WDの両端に、基材両端縁109、具体的には、一方の基材端縁111及び他方の基材端縁113を備えている。
一対の布帛5は、第1布帛201と、第2布帛205とから構成される。第1布帛201は、合成繊維を含み、テープ状基材101の一方の基材端縁111に沿った第1布帛端縁203を備えている。第2布帛205は、合成繊維を含み、テープ状基材101の他方の基材端縁113に沿った第2布帛端縁207を備えている。
第1布帛201と、第2布帛205とは、同一の素材から構成されており、そして第1布帛201及び第2布帛205のそれぞれの素材は、テープ状基材101の素材よりも伸びやすい。
【0037】
連結構造1は、スライドファスナー3と、一対の布帛5(第1布帛201及び第2布帛205)との境界部に、一対の連結部7(第1連結部9及び第2連結部11)を備えている。一対の連結部7(第1連結部9及び第2連結部11)は、(i)融着部17(第1融着部19及び第2融着部21)と、(ii)本縫いの縫い目23(第1縫い目25及び第2縫い目27)とから構成されている。
【0038】
具体的には、第1連結部9は、スライドファスナー3及び第1布帛201の境界部に、(i)テープ状基材101の一方の基材端縁111と、第1布帛201の第1布帛端縁203とが融着している第1融着部19と、(ii)テープ状基材101と、第1布帛201との間を、第1融着部19を間に挟んで往復している、本縫いの第1縫い目25とから構成されている。
なお、第1連結部9では、テープ状基材101と、第1布帛201とが、厚さ方向TDに重複していない。そうすることにより、第1連結部9が、薄さと、柔らかさとに優れる。
【0039】
第2連結部11は、スライドファスナー3及び第2布帛205の境界部に、(i)テープ状基材101の他方の基材端縁113と、第2布帛205の第2布帛端縁207とが融着している第2融着部21と、(ii)テープ状基材101と、第2布帛205との間を、第2融着部21を間に挟んで往復している、本縫いの第2縫い目27とから構成されている。
なお、第2連結部11では、テープ状基材101と、第2布帛205とが、厚さ方向TDに重複していない。そうすることにより、第2連結部11が、薄さと、柔らかさとに優れる。
【0040】
第1実施形態に従う連結構造1は、上述の一対の連結部7(第1連結部9及び第2連結部11)を備えており、薄さと、柔らかさとに優れている。従って、連結構造1では、スライドファスナー3が分離した状態から、蝶棒119を、箱棒117に隣接するように、箱115に挿入する挿入操作を行いやすく、そしてスライダー部105をスライドさせて、エレメント部103、ひいてはスライドファスナー3の開閉操作を行いやすい。
【0041】
図5は、
図2のV部分における、第1連結部9の拡大模式図である。なお、第2連結部11は、第1連結部9と同様の構造を有するので、説明は省略する。
図5に示されるように、第1連結部9は、第1融着部19から第1距離D
1だけ離間し、第1融着部19に沿って長手方向LDに延びている、一対の仮想往復線、具体的には、第1仮想往復線L
R1及び第2仮想往復線L
R2を備えている。第1仮想往復線L
R1は、第1布帛201に配置されており、そして第2仮想往復線L
R2は、テープ状基材101に配置されている。
【0042】
第1縫い目25は、第1仮想往復線L
R1及び第2仮想往復線L
R2の間を、第1融着部19と、所定の角度θで交差しながら、直線的に往復している。従って、第1連結部9に、第1融着部19が延びる方向(すなわち、長手方向LD)と直交する直交方向(すなわち、幅方向WD)の引張力が加わると、第1縫い目25は、第1縫い目25が配置されている第1布帛201及びテープ状基材101の伸びやすさにもよるが、第1縫い目25が配置されている第1布帛201及びテープ状基材101の伸びに合わせて、第1縫い目25が、幅方向WDに長くなるように且つ長手方向LDに短くなるように変形することができる。
【0043】
第1縫い目25は、第1布帛201及びテープ状基材101の伸長性を無視すると、第1縫い目25の、第1仮想往復線L
R1及び第2仮想往復線L
R2の間の部分が、幅方向WDと平行になるまで変形することができる。その場合には、第1縫い目25は、第1仮想往復線L
R1及び第2仮想往復線L
R2の間の長さ(
図5におけるL
S)と、第1仮想往復線L
R1及び第2仮想往復線L
R2の間の距離(第1距離の2倍、
図5におけるD
1の2倍)との差の分だけ、第1縫い目25が、幅方向WDに長くなるように変形することができる。
【0044】
従って、第1連結部9に、幅方向WDの引張力が加えられた場合に、第1縫い目25が、第1布帛201の伸長に合わせて、所定の変形量分、変形することができるため、第1連結部9が柔らかくなるとともに、第1融着部19が保護され、第1融着部19が破断しにくくなる。
第2連結部11も同様であり、第2連結部11に、幅方向WDの引張力が加えられた場合に、第2縫い目27が、第2布帛205の伸長に合わせて、所定の変形量分、変形することができるため、第2連結部11が柔らかくなるとともに、第2融着部21が保護され、第2融着部21が破断しにくくなる。
【0045】
第1連結部9はまた、第1仮想往復線L
R1及び第2仮想往復線L
R2の内側に配置された、一対の内側仮想線、具体的には、第1内側仮想線L
I1と、第2内側仮想線L
I2とを備えている。第1内側仮想線L
I1及び第2内側仮想線L
I2は、第1融着部19を間に挟み、第1融着部19から所定の第2距離D
2だけ離間している。第1内側仮想線L
I1は、第1布帛201に配置されており、そして第2内側仮想線L
I2は、テープ状基材101に配置されている。第2連結部11も、第1連結部9と同様である。
【0046】
第1縫い目25は、第1仮想往復線L
R1、第1内側仮想線L
I1、第2内側仮想線L
I2及び第2仮想往復線L
R2と交差する部分に、本縫いの複数の掛け合わせ部29を備えている。具体的には、第1縫い目25が、第1仮想往復線L
R1、第1内側仮想線L
I1、第2内側仮想線L
I2及び第2仮想往復線L
R2と交差する部分に、それぞれ、複数の第1掛け合わせ部31、複数の第2掛け合わせ部33、複数の第3掛け合わせ部35、及び複数の第4掛け合わせ部37を備えている。
【0047】
本縫いの複数の掛け合わせ部29(複数の第1掛け合わせ部31、複数の第2掛け合わせ部33、複数の第3掛け合わせ部35、及び複数の第4掛け合わせ部37)のそれぞれには、針穴(図示せず)が存在し、当該針穴において、表面13側に配置された第1糸39と、裏面15側に配置された第2糸41とが掛け合わされている。第2連結部11も、第1連結部9と同様である。
以上より、第1連結部9では、第1仮想往復線L
R1及び第2仮想往復線L
R2上のみに本縫いの掛け合わせ部29が存在する場合と比較して、第1糸39と、第2糸41との掛け合わせ部の個数密度が増え、そして第2連結部11でも同様であることから、連結構造1が、幅方向WDの引張力を加えられた場合の強度に優れる。
【0048】
第2距離D
2は、第1距離D
1の50%の大きさを有する。それにより、複数の第2掛け合わせ部33のそれぞれが、複数の第1掛け合わせ部31のそれぞれに近い位置に配置され、複数の第3掛け合わせ部35のそれぞれが、複数の第4掛け合わせ部37のそれぞれに近い位置に配置されるため、連結構造1に、幅方向WDの引張力を加えた場合に、最も大きな力が加わる複数の第1掛け合わせ部31のそれぞれを、複数の第2掛け合わせ部33のそれぞれが補助することができ、そして複数の第4掛け合わせ部37のそれぞれを、複数の第3掛け合わせ部35のそれぞれが補助することができる。
【0049】
その結果、複数の第1掛け合わせ部31のそれぞれが破断しにくくなり、複数の第1掛け合わせ部31のそれぞれが存在する針穴が拡張しにくくなり、そして複数の第4掛け合わせ部37のそれぞれが破断しにくくなり、複数の第4掛け合わせ部37のそれぞれが存在する針穴が拡張しにくくなる。
また、複数の第2掛け合わせ部33のそれぞれと、複数の第3掛け合わせ部35のそれぞれとが破断しにくくなり、そして複数の第2掛け合わせ部33のそれぞれが存在する針穴と、複数の第3掛け合わせ部35のそれぞれが存在する針穴とが拡張しにくくなる。
【0050】
従って、第1連結部9では、幅方向WDの引張力が加えられた場合に、複数の掛け合わせ部29(複数の第1掛け合わせ部31、複数の第2掛け合わせ部33、複数の第3掛け合わせ部35、及び複数の第4掛け合わせ部37)のそれぞれに加わる力、並びに複数の掛け合わせ部29のそれぞれの針穴に加わる力が分散され、そして第2連結部11でも同様であることから、連結構造1が、幅方向WDの引張力が加えられた場合の強度に優れる。
【0051】
図6は、幅方向WDに局所的な引張力が加わった場合の、連結構造1の強度を説明するための模式図である。
図6は、連結構造1の、表面13側の図である。
図6に示されるように、一方の手で、スライドファスナー3のエレメント部103を保持し、他方の手で、第1布帛201の所定の把持部分209を把持して、スライドファスナー3から遠ざかるように幅方向WDに、第1布帛201に所定の引張力Fを加えると、第1布帛201及びスライドファスナー3が厚さ方向TDに変形しながら、平面方向(長手方向LD及び幅方向WDを含む平面)においては、第1布帛201が、把持部分209を中心として、スライドファスナー3に向かって略扇形211にその範囲を拡げながら伸長するとともに、スライドファスナー3が、第1布帛201の把持部分209を中心として、略扇形211の略円弧213を構成する。第1布帛201が、所定の伸長性を有するものの、テープ状基材101が伸長性をほぼ有しないためである。また、スライドファスナー3の略円弧213の形状への変形に伴い、第1連結部9を構成する第1融着部19と、第1縫い目25のうち、テープ状基材101上に存在する第1縫い目第1部分215とは、スライドファスナー3の略円弧213の形状への変形に追従する。
【0052】
第1縫い目25のうち、第1布帛201上に存在する第1縫い目第2部分217は、第1布帛201の伸長とともに変形する。なお、第1縫い目第2部分217と、第1融着部19とで形成される複数の図形のそれぞれを、第1仮想往復線L
R1上に存在する第1掛け合わせ部31を頂点とし、第1融着部19を底辺とする仮想二等辺三角形として表現する。
第1布帛201が伸長するに伴い、第1縫い目第2部分217は、仮想二等辺三角形の頂角の角度が小さくなるように変形するとともに、仮想二等辺三角形の頂点が、第1布帛201の把持部分209を向くように変形する。
【0053】
従って、所定の引張力Fが加わると、第1布帛201に存在する第1仮想往復線L
R1もまた、スライドファスナー3と同様に略円弧の形状に変形し、そして第1仮想往復線L
R1上に存在する複数の第1掛け合わせ部31もまた略円弧上に配列することになるので、第1布帛201に加わった所定の引張力Fに、略円弧上に配列する複数の第1掛け合わせ部31の全体で抵抗することができ、略円弧上に配列する複数の第1掛け合わせ部31のそれぞれに加わる力を小さくすることができるため、複数の第1掛け合わせ部31のそれぞれにおける第1糸39及び第2糸(図示せず)の掛け合わせが破断しにくくなり、そして複数の第1掛け合わせ部31のそれぞれが存在する針穴そのものが拡張しにくくなる。
【0054】
所定の引張力Fが加わると、第1内側仮想線L
I1もまた、第1仮想往復線L
R1と同様に、略円弧の形状に変形する。第1実施形態では、上述のように、第2距離D
2が第1距離D
1の50%の大きさを有するため、第2距離D
2が第1距離D
1の33.3%である場合(掛け合わせ部が均等に配置されている場合)と比較して、所定の引張力Fが加わることにより、最も大きな力が加わる部分である、複数の第1掛け合わせ部31を、複数の第2掛け合わせ部33が補助することができる。従って、複数の第1掛け合わせ部31が破断しにくくなり、そして複数の第1掛け合わせ部31のそれぞれが存在する針穴が拡張しにくくなる。また、複数の第2掛け合わせ部33が破断しにくくなり、そして複数の第2掛け合わせ部33のそれぞれが存在する針穴が拡張しにくくなる。
【0055】
なお、第1融着部19はまた、スライドファスナー3の略円弧213の形状への変形に伴い、略円弧の形状に変形することから、所定の引張力Fに、第1融着部19の略円弧の形状に変形した部分全体で抵抗することができ、第1融着部19の略円弧の形状に変形した部分の単位長さ当たりに加わる力を小さくすることができるため、第1融着部19が破断しにくくなる。
以上のとおり、連結構造1は、幅方向WDに局所的な引張力が加えられた場合の強度に優れる。
【0056】
[第2実施形態]
図7は、本開示の別の実施形態(以下、「第2実施形態」と称する)に従う連結構造1を説明するための図である。
図7は、
図1のIV−IV端面に相当する端面模式図である。
第2実施形態に従う連結構造1は、一対の連結部7、すなわち、第1連結部9及び第2連結部11を備えている。
【0057】
第2実施形態に従う連結構造1は、第1連結部9に、テープ状基材101の、引手部107側の面(表面13)に隣接する第1シート部材301をさらに備えている。第1シート部材301は、テープ状基材101と、厚さ方向TDに重複しているが、第1布帛201と、厚さ方向TDに重複していない。第1シート部材301は、長手方向LDに延びており、幅方向WDにおいて、エレメント部103に向かってループしている第1ループ部303と、長手方向LDに延びる、2つの第1端縁305とを備えている。
第1シート部材301は、合成繊維を含む。
【0058】
第1連結部9は、(i)第1布帛201の第1布帛端縁203と、第1シート部材301の2つの第1端縁305と、テープ状基材101の一方の基材端縁111とを融着している第1融着部19と、(ii)1層のテープ状基材101及び2層の第1シート部材301(計3層)と、1層の第1布帛201との間を、第1融着部19を間に挟んで往復している第1縫い目25とから構成されている。
【0059】
第2実施形態に従う連結構造1は、第2連結部11に、テープ状基材101の、引手部107側の面(表面13)に隣接する第2シート部材307をさらに備えている。第2シート部材307は、テープ状基材101と、厚さ方向TDに重複しているが、第2布帛205と、厚さ方向TDに重複していない。第2シート部材307は、長手方向LDに延びており、幅方向WDにおいて、エレメント部103に向かってループしている第2ループ部309と、長手方向LDに延びる、2つの第2端縁311とを備えている。
第2シート部材307は、合成繊維を含む。
【0060】
第2連結部11は、(i)第2布帛205の第2布帛端縁207と、第2シート部材307の2つの第2端縁311と、テープ状基材101の他方の基材端縁113とを融着している第2融着部21と、(ii)1層のテープ状基材101及び2層の第2シート部材307(計3層)と、1層の第2布帛205との間を、第2融着部21を間に挟んで往復している第2縫い目27とから構成されている。
【0061】
第1シート部材301及び第2シート部材307は、いわゆる、玉縁仕様と称されるものであるが、第2実施形態に従う連結構造1は、薄さと、柔らかさとに優れる。従って、連結構造1では、第1連結部9及び第2連結部11の柔らかさに起因してスライダー部105をスライドさせやすく、そして第1連結部9及び第2連結部11の薄さに起因して、スライダー部105をスライドさせる際に、スライダー部105が、第1布帛201及び第2布帛205、並びに第1シート部材301及び第2シート部材307を噛み込みにくく、スライドファスナー3の開閉操作を行いやすい。
第2実施形態に従う連結構造1は、その他の部分は、第1実施形態に従う連結構造1と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
[第3実施形態]
図8は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第3実施形態」と称する)に従う連結構造1を説明するための図である。
図8は、
図1のIV−IV端面に相当する端面模式図である。
第3実施形態に従う連結構造1は、引手部107と反対側の面である裏面15に、スライドファスナー3を覆うように配置されたフラップ部401をさらに備えている。フラップ部401は、合成繊維を含み、幅方向WDの一方のフラップ部端縁403及び他方のフラップ部端縁405を有する。
【0063】
第1連結部9は、(i)テープ状基材101の一方の基材端縁111と、第1布帛201の第1布帛端縁203と、フラップ部401の一方のフラップ部端縁403とを融着している第1融着部19と、(ii)1層のテープ状基材101及び1層のフラップ部401(計2層)と、1層の第1布帛201との間を、第1融着部19を間に挟んで往復している第1縫い目25とから構成されている。
【0064】
第2連結部11は、(i)テープ状基材101の他方の基材端縁113と、第2布帛205の第2布帛端縁207とを融着している第2融着部21と、(ii)1層のテープ状基材101と、1層の第2布帛205との間を、第2融着部21を間に挟んで往復している第2縫い目27とから構成されている。
第2融着部21は、フラップ部401の一方のフラップ部端縁403及び他方のフラップ部端縁405を融着しておらず、そして第2縫い目27は、フラップ部401を往復していない。
【0065】
フラップ部401は、いわゆる、インナーフラップ部と称されるものであるが、第3実施形態に従う連結構造1は、インナーフラップ部を備える場合であっても、薄さと、柔らかさとに優れる。従って、連結構造1では、第1連結部9及び第2連結部11の柔らかさに起因してスライダー部105をスライドさせやすく、そして第1連結部9及び第2連結部11の薄さに起因して、スライダー部105をスライドさせる際に、スライダー部105が、第1布帛201及び第2布帛205、並びにフラップ部401を噛み込みにくく、スライドファスナー3の開閉操作を行いやすい。
第3実施形態に従う連結構造1は、その他の部分は、第1実施形態に従う連結構造1と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
図9は、第1実施形態に従う連結構造1を含む上衣501の例を示す図である。上衣501は、前身頃の中央に、連結構造1を備えている。
【0067】
<スライドファスナーと、一対の布帛との連結構造を形成する方法>
本開示の連結構造の形成方法は、次の各ステップを含む。
・上記テープ状基材及びカットすべき両端部を含むカット前テープ状基材と、一対のカット前布帛であって、それぞれが上記一対の布帛のそれぞれ及びカットすべき端部を含むものとを、上記厚さ方向に重ね合わせ、上記カットすべき両端部のそれぞれ及びカットすべき端部を切除しながら、上記基材両端縁のそれぞれと、上記布帛端縁との間に融着部を形成するステップ(以下、「切除及び融着部形成ステップ」と称する)
・上記テープ状基材と、上記一対の布帛のそれぞれとを、上記融着部を間に挟んで上記幅方向に隣接するように配置するステップ(以下、「配置ステップ」と称する)
・上記テープ状基材と、上記一対の布帛のそれぞれとの間を、上記融着部を間に挟んで往復している、本縫いの縫い目を形成するステップ(以下、「縫い目形成ステップ」と称する)
【0068】
また、本開示の連結構造の形成方法は、以下の構成を備えている。
・上記スライドファスナーが、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有しており、上記長手方向に沿って配置されたテープ状基材と、上記テープ状基材を開閉可能なエレメント部と、上記エレメント部を開閉させる、引手部を備えるスライダー部とを有する。
・上記テープ状基材が、合成繊維を含み、上記幅方向の両端に基材両端縁を備えている。
・上記一対の布帛のそれぞれが、合成繊維を含み、上記基材両端縁のそれぞれに沿った布帛端縁を備えている。
【0069】
本開示の実施形態の1つ(以下、「第4実施形態」と称する場合がある)に従う連結構造の形成方法として、第1実施形態に従う連結構造1を形成する方法を、
図10を用いて説明する。なお、
図10は、
図1のIV−IV端面に相当する端面模式図である。
なお、第1実施形態に従う連結構造1自体は、第1実施形態において説明済みであるので、
図10に関連して説明することは省略する。
【0070】
[切除及び融着部形成ステップ]
切除及び融着部形成ステップでは、
図10(a)に示されるように、テープ状基材101、カットすべき一方の基材端部603及びカットすべき他方の基材端部605を含むカット前テープ状基材601と、第1布帛201及びカットすべき第1布帛端部609を含むカット前第1布帛607とを、カットすべき一方の基材端部603及びカットすべき第1布帛端部609が厚さ方向TDに重なるように、厚さ方向TDに重ね合わせ、重ね合わせシート611を形成する。
【0071】
次いで、
図10(a)及び(b)に示されるように、重ね合わせシート611を、カット線L
Cでカットし、カットすべき一方の基材端部603及びカットすべき第1布帛端部609を切除しながら、一方の基材端縁111及び第1布帛端縁203の間に第1融着部19を備える融着シート613を形成する。
上記切除及び融着部形成ステップは、市販の超音波ミシンを用いて実施することができる。上記超音波ミシンとしては、例えば、PFAFF社製の8301が挙げられる。
【0072】
[配置ステップ]
配置ステップでは、
図10(c)に示されるように、カット前テープ状基材601と、第1布帛201とを、テープ状基材101の部分及び第1布帛201が、第1融着部19を間に挟んで幅方向WDに隣接するように展開し、展開シート615を形成する。
【0073】
[縫い目形成ステップ]
縫い目形成ステップでは、展開シート615の、テープ状基材101の部分と、第1布帛201との間を、第1融着部19を間に挟んで往復している、本縫いの第1縫い目25を形成し、
図10(d)に示される、第1連結部9を形成する。
上記縫い目形成ステップは、市販のミシン、例えば、市販の千鳥縫いミシンを用いて実施することができる。上記千鳥縫いミシンとしては、例えば、JUKI社製のダイレクトドライブ高速電子本縫千鳥縫自動糸切りミシンLZ2290Aシリーズが挙げられる。第1実施形態に従う連結構造1の第1縫い目25は、千鳥縫いミシンを用いて、4点千鳥縫いすることにより形成される。
【0074】
次いで、カット前テープ状基材601と、第2布帛(図示せず)及びカットすべき第2布帛端部(図示せず)を含むカット前第2布帛(図示せず)との間で、上述の切除及び融着部形成ステップ、配置ステップ及び縫い目形成ステップを繰返し、第2連結部(図示せず)を形成し、第1実施形態に従う連結構造(図示せず)を形成することができる。
【0075】
本開示の連結構造では、テープ状基材が合成繊維を含む限り、スライドファスナーは、特に制限されず、市販のものを採用することができる。
上記スライドファスナーとしては、単一のスライダー部を含むタイプ、例えば、分離不可タイプ(スライダー部の移動が、下止等により制限され、テープ状基材が分離不可であるタイプ)、分離可能タイプ(スライダー部の移動が下止等によって制限されず、テープ状基材を2つに分離可能なタイプ)、複数のスライダー部を含むタイプ、例えば、頭合わせタイプ(2つのスライダー部の間のエレメント部が分離されているタイプ)、尻合わせタイプ(2つのスライダー部間のエレメント部が係合されているタイプ)等が挙げられる。
【0076】
本開示の連結構造では、上述のスライドファスナーのタイプのいずれを採用した場合であっても、スライドファスナーの開閉操作を行いやすい。連結構造が、薄さと、柔らかさとに優れるからである。
また、本開示の連結構造において、上述の分離可能タイプのスライドファスナーを採用した場合には、スライドファスナーを分離した状態から非分離状態への移行動作、例えば、蝶棒を箱に挿入する挿入操作を行いやすい。連結構造が、薄さと、柔らかさとに優れるからである。
【0077】
本開示の連結構造では、一対の布帛の素材は、同一の素材であってもよく、そして異なる素材であってもよい。
また、本開示の連結構造では、一対の布帛のそれぞれの素材は、合成繊維を含むものであれば、特に制限されずに、例えば、織物、編物、不織布等であることができる。
上記一対の布帛のそれぞれの具体例としては、フリース、フェルト、ジャージ、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群が挙げられる。一対の布帛のそれぞれが嵩高いものであっても、本開示の連結構造は、薄さと、柔らかさとに優れ、スライダー部のスライド性に優れる。
上記一対の布帛のそれぞれの素材は、スライドファスナーのテープ状基材の素材よりも伸びやすいことが好ましい。上記連結構造が、スライドファスナーの幅方向に局所的な引張力が加わった場合の強度に優れるためである。
【0078】
上記合成繊維としては、単一の成分を含むもの、例えば、単一繊維、又は複数の成分を含むもの、例えば、複合繊維が挙げられる。上記成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド等が挙げられる。
【0079】
上記複合繊維の例としては、例えば、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空型繊維;扁平、Y型、C型等の異型繊維;潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維等が挙げられる。上記複合繊維、特に融点の異なる2種の成分を含む複合繊維は、上述の融着部を柔らかくする観点から好ましい。
【0080】
上記テープ状基材及び一対の布帛のそれぞれは、合成繊維から成ることができ、そして合成繊維以外の繊維、例えば、天然繊維、例えば、非木材パルプ繊維(例えば、麻繊維、綿繊維)、再生セルロース繊維(例えば、レーヨン繊維)、半合成繊維(例えば、アセテート繊維)等をさらに含んでもよい。
上記テープ状基材及び一対の布帛のそれぞれは、合成繊維を、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは70質量%、そしてさらに好ましくは80質量%以上、そしてさらにいっそう好ましくは100質量%含むことが好ましい。融着部の融着性、ひいては一対の連結部の強度の観点からである。
【0081】
本開示の連結構造では、一対の連結部のそれぞれは、融着部と、本縫いの縫い目とから構成される。
上記融着部では、テープ状基材が含む少なくとも1種の合成繊維と、一対の布帛のそれぞれの布帛端縁において、一対の布帛のそれぞれが含む少なくとも1種の合成繊維とが融着している。テープ状基材及び/又は一対の布帛が、融点の異なる2種以上の合成繊維の成分を含む場合(例えば、一対の布帛のそれぞれが、2種以上の成分からなる複合繊維を含む場合、2種以上の単一繊維を含む場合等)には、低融点の成分が上述の融着部において融着してれば、高融点の成分は、上記融着部において融着していなくともよい。また、テープ状基材及び/又は一対の布帛が、天然繊維を含む場合には、天然繊維は、上記融着部において、合成繊維と融着していてもよく、そして合成繊維と融着していなくともよい。
【0082】
上記本縫いの縫い目は、テープ状基材と、一対の布帛のそれぞれとの間を、融着部を間に挟んで往復しているものであれば、平面(長手方向及び幅方向を含む平面)方向の形状は、特に制限されるものではない。また、上記本縫いの縫い目は、融着部と90°以外の角度で交差しながら、テープ状基材と、一対の布帛のそれぞれとの間を往復することが好ましい。本開示の効果の観点からである。
なお、本明細書において、縫い目と、融着部との交差は、本開示の連結構造を平面視した場合(連結構造を、スライドファスナーの厚さ方向から観察した場合)に交差していることを意味し、縫い目と、融着部とが、スライドファスナーの厚さ方向に離間していてもよい。
【0083】
上記縫い目は、一対の仮想往復線の間を往復することが好ましく、そして融着部と所定の角度で交差しながら、一対の仮想往復線の間を直線的に往復していることがより好ましい。そうすることにより、上記連結構造では、スライダー部をスライドさせやすく、スライドファスナーの開閉操作を行いやすいとともに、融着部が破断しにくくなる。
【0084】
上記所定の角度は、0°超且つ90°未満であり、好ましくは30°超且つ85°未満、そしてより好ましくは60°超且つ80°未満である。スライドファスナーの開閉操作のしやすさと、連結構造に幅方向の引張力が加えられた場合の強度との観点からである。なお、上述の所定の角度は、融着部と、縫い目とが形成する2種の角度のうち、90°以下の角度を意味する。
【0085】
上述の一対の仮想往復線は、融着部を間に挟んで配置されている。また、一対の仮想往復線のそれぞれは、融着部から所定の第1距離だけ離れて配置されていることが好ましい。一対の連結部の強度の観点からである。また、一対の連結部の美観の観点からである。
【0086】
上記本縫いの縫い目が一対の仮想往復線の間を往復している場合には、上記本縫いの縫い目は、一対の仮想往復線上に本縫いの掛け合わせ部を備えていることが好ましく、そして上記本縫いの縫い目は、一対の仮想往復線の間に、本縫いの掛け合わせ部をさらに備えていることがより好ましい。上記連結構造に、スライドファスナーの幅方向の引張力が加えられた場合の強度の観点からである。
【0087】
上記本縫いの縫い目が、一対の仮想往復線の間に本縫いの掛け合わせ部をさらに備えている場合には、上記縫い目が、一対の仮想往復線と、一対の内側仮想線と交差する部分に、本縫いの掛け合わせ部を備えていることが好ましい。上記連結構造に、スライドファスナーの幅方向の引張力が加えられた場合の強度の観点からである。
【0088】
なお、一対の内側仮想線は、融着部を間に挟んで、一対の仮想往復線より内側に配置されており、そして、一対の内側仮想線のそれぞれは、融着部から所定の第2距離だけ離れていることが好ましい。上記連結構造に、スライドファスナーの幅方向の引張力が加えられた場合の強度の観点からである。
【0089】
一対の連結部のそれぞれが、一対の仮想往復線及び一対の内側仮想線を備えており、縫い目が、一対の仮想往復線と、一対の内側仮想線と交差する部分に、本縫いの掛け合わせ部を備えている場合には、第2距離は、第1距離未満の任意の位置に配置されることができる。例えば、掛け合わせ部が均等に配置されるように、第2距離が、第1距離の1/3の大きさを有してもよい。
【0090】
また、第2距離は、第1距離の、好ましくは40%以上且つ100%未満、より好ましくは45%以上且つ80%未満、そしてさらに好ましくは48%以上且つ60%未満の範囲にある。第2距離を上述の範囲にすることにより、一対の仮想往復線上の掛け合わせ部と、一対の内側仮想線上の掛け合わせ部との位置が近くなる。従って、最も大きな力が加わる一対の仮想往復線上の掛け合わせ部を、一対の内側仮想線上の掛け合わせ部が補助することができるので、一対の仮想往復線上の掛け合わせ部及び一対の内側仮想線上の掛け合わせ部が破断しにくく、そして一対の仮想往復線上の掛け合わせ部及び一対の内側仮想線上の掛け合わせ部が存在する針穴が拡張しにくくなる。
【0091】
本開示の連結構造では、一対の連結部のそれぞれにおいて、テープ状基材と、一対の布帛のそれぞれとが、スライドファスナーの厚さ方向に重複しておらず、テープ状基材と、一対の布帛のそれぞれとの重複部を有しないことが好ましい。そうすることにより、上記一対の連結部のそれぞれが、薄さと、柔らかさとに優れ、上記連結構造では、スライダー部のスライド性に優れることとなる。
なお、一対の連結部のそれぞれでは、テープ状基材と、一対の布帛のそれぞれとが、縫い目を形成する際に多少巻き込まれてしまったような部分は、上述の重複部には含まれない。
【0092】
本開示の連結構造は、一対の連結部に、玉縁仕様として、テープ状基材の引手部側の面に隣接するシート部材をさらに備えている場合には、一対の連結部において、融着部が、シート部材の両端縁の一方をさらに融着していてもよく、そしてシート部材の両端縁の両方をさらに融着していてもよい。
また、本開示の連結構造は、一対の連結部の一方又は両方に、上述のシート部材を備えることができる。
シート部材の素材としては、上述の布帛と同様のものが挙げられる。
【0093】
本開示の連結構造がフラップ部を含む実施形態では、フラップ部は、引手部と反対側の面に、エレメント部を覆うように配置されることができ、そして例えば、エレメント部及びテープ状基材を覆うように配置されることができる。少なくともエレメント部が、着用者の肌等に直接触れることを抑制するためである。スライドファスナーから、フラップ部側に外気が侵入することを抑制する観点と、スライダー部が、着用者が着用している衣服を噛み込まないようにする観点とからは、フラップ部が、スライドファスナー側の面に、フィルム層を備えていてもよい。
上記フラップ部の素材としては、上述の布帛と同様のものが挙げられる。
【0094】
本開示の連結構造は、スライドファスナーを含むものであれば、特に制限されず、種々の物品に適用されうる。上記物品としては、スライドファスナーを含むもので有れば、特に制限されず、例えば、衣服(例えば、上衣、下衣)、バッグ、アクセサリー等が挙げられる。上記物品は、衣服であることが好ましい。衣服は、一般的に着用状態でスライドファスナーを開閉する必要が有り、蝶棒を箱に挿入する挿入操作を行いにくく、そしてスライダー部をスライドさせにくく、スライドファスナーの開閉操作を行いにくい場合が多いからである。