(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、開先充填材散布装置を備えたサブマージアーク溶接装置の側面図である。
サブマージアーク溶接装置100は、開先充填材散布装置200を備える。開先充填材散布装置200は、トーチよりも溶接進行方向の前方で、被溶接部材である鋼板15の開先に開先充填材を供給する。
【0011】
まず、サブマージアーク溶接装置100の基本構成を説明する。
鋼板15は、図示しないコンベア上を所定の溶接位置まで搬送されてきて、その溶接線が
図1の左右方向に延びるように配置される。
【0012】
サブマージアーク溶接装置100では、支持部材17が、溶接機走行ビーム上の走行台車(図示せず)に支持されており、
図1の左右方向に往復走行駆動される。したがって、支持部材17は、鋼板15の溶接線に沿って所定の溶接位置に移動できる。
【0013】
支持部材17には、第1電極19を有する第1トーチ27、第2電極21を有する第2トーチ29、及び第3電極23を有する第3トーチ31が溶接線方向に直列に配置される。第1トーチ27、第2トーチ29、及び第3トーチ31は、支持部材17が備える架台25に固定される。第1電極19、第2電極21、及び第3電極23には、第1トーチ27、第2トーチ29、及び第3トーチ31のそれぞれから溶接ワイヤが鋼板15の開先11(
図2参照)に向けて送給される。
【0014】
支持部材17には、架台25の溶接方向前方の部分に支持アーム40が固定される。支持アーム40の溶接方向前方には、鋼板15の終端を検出する終端検知器33が配置される。終端検知器33は、支持アーム40に固定された回転軸35と、回転軸35により回転可能に支持されたアーム37と、アーム37の先端に取り付けられたセンサ39と、回転軸35を回転駆動するアーム駆動アクチュエータ41を備える。このアーム駆動アクチュエータ41の駆動力は、適宜の減速機を介して回転軸35に伝達され、アーム37を水平位置(動作態様)と、垂直位置(退避態様)との間で回転駆動する。検出された終端位置情報は、第1トーチ27、第2トーチ29、及び第3トーチ31による、溶接線に沿った溶接の終了タイミングの制御に使用される。
【0015】
支持アーム40の終端検知器33の後方には、倣い検知器47が配置される。倣い検知器47は溶接線に沿った開先内を、開先11に案内されて移動することにより、この溶接線の位置を検知する。この倣い検知器47によって、第1トーチ27、第2トーチ29、及び第3トーチ31が確実に溶接線に沿って移動できるように制御され、第1トーチ27、第2トーチ29、及び第3トーチ31から送給された溶接ワイヤが、開先内に確実に供給される。この倣い検知器47も、適宜の駆動装置により昇降可能に固定用部材42に取り付けられている。
【0016】
また、第1トーチ27にはフラックス散布ノズル51が溶接方向前側に配置され、第3トーチ31にはフラックス散布ノズル53が溶接方向前方に配置される。フラックス散布ノズル51は、第1電極19と第2電極21の溶接方向前方にフラックスを散布し、フラックス散布ノズル53は、第3電極23の溶接方向前方にフラックスを散布する。
【0017】
支持部材17の架台25の溶接方向後部には、フラックス回収部49が設置される。フラックス回収部49は、フラックス散布ノズル51とフラックス散布ノズル53から開先上に散布されたフラックスのうち、溶接時に溶融せずに残存したものを溶接後に吸引して回収する。フラックス回収部49は、フラックスを吸引するフラックス回収ノズル55と、フラックス回収ノズル55を、揺動軸57を介して所定の範囲内で揺動可能に支持する支持部59と、鉛直方向に延びるガイドレール61と、支持部59が固定されてガイドレール61に対して摺動するスライダ63と、シリンダロッド65の先端がスライダ63に連結されたシリンダ67と、を備える。
【0018】
シリンダ67を駆動して、そのシリンダロッド65を退行させると、シリンダロッド65に連結されたスライダ63がガイドレール61に沿って上方に移動する。一方、シリンダ67を駆動して、そのシリンダロッド65を進行させると、スライダ63がガイドレール61に沿って下降し、フラックス回収ノズル55の下端が開先上に位置する。このフラックス回収ノズル55は、動作態様では、溶接線上における第3電極23の溶接方向後方で開先上に位置し、退避態様においては、スライダ63と共にガイドレール61に沿って上昇する。
【0019】
上記構成のサブマージアーク溶接装置100は、図示しない制御部を備える。制御部は、終端検知器33のセンサ39からの終端検知信号に基づいて、終端検知器33のアーム37の駆動、倣い検知器47の上昇、充填材ホッパからの開先充填材13の供給、第1電極19、第2電極21、及び第3電極23の溶接条件、フラックス回収ノズル55の上昇等を、所定のシーケンスに従って制御する。
【0020】
次に、開先充填材散布装置200の構成を説明する。
図2は
図1に示した開先充填材散布装置の斜視図、
図3は
図2に示した磁気シールド部近傍の拡大斜視図である。
開先充填材散布装置200は、ホッパ43と、上流側通路75及び下流側通路77からなる連通路と、充填材供給調整部73と、充填材散布部45と、磁気シールド部71と、を有する。充填材供給調整部73は、開先充填材13の散布量を増減させる機能を有する。充填材散布部45は、一端部が下流側通路77に接続され、他端部が散布口69(
図3参照)を有する。磁気シールド部71は、連通路の散布口69側を覆って配設される。
【0021】
具体的には、支持部材17には、架台25の前面に、開先充填材を貯留するホッパ43が設置される。また、ホッパ43の下端には、連通路の基端部となる上流側通路75が接続される。上流側通路75は、充填材供給調整部73の上部に連通される。充填材供給調整部73は、支持部材17の溶接方向前方に設けた調整部アーム85に固定される。充填材供給調整部73の下部は、下流側通路77に連通される。そして、下流側通路77は、支持アーム40に固定された固定用部材42を介して、倣い検知器47の溶接方向後方に配置された充填材散布部45に接続される。この充填材散布部45は、固定用部材42に固定された支持パイプ87によって支持される。また、下流側通路77は、柔軟な樹脂やゴム製のホースにより構成される。
【0022】
充填材散布部45の先端は、第1電極19の溶接方向前方で、開先11に向けて配置される。したがって、ホッパ43から送給される開先充填材は、充填材散布部45の先端から鋼板15の開先内に充填される。充填された開先充填材は、開先11内を均一に埋めて、開先形状の不同を緩和させる。
【0023】
充填材供給調整部73は、ホッパ43と充填材散布部45とを連結する連通路の途中に設けられる。つまり、調整部アーム85(
図1も参照)に取り付けられたモータブラケット79に、上下一対のフランジ83A,83Bが設けられる。一対のフランジ83A,83Bには、充填材供給調整部73のケーシング81が固定される。ケーシング81には減速機110とロータ駆動用のモータ111が取り付けられている。
【0024】
充填材散布部45には、固定用部材42(
図1参照)に固定された支持パイプ87が並設される。また、下流側通路77の下端は、中空円筒状の銅製のノズル部材91の上端部が接続される。
【0025】
支持パイプ87の下端部には、ノズル位置調整金具89が、支持パイプ87の長手方向に沿ってスライド自在に取り付けられる。ノズル位置調整金具89は、ノズル部材91を一体に支持する。ノズル部材91は、下端部が散布口69とされ、上端部が下流側通路77の内側にスライド自在に挿入される挿入口となっている。ノズル部材91は、ノズル位置調整金具89のノズル固定つまみ93によって、支持パイプ87に対する上下方向位置を固定及び固定解除することにより、鋼板15に対して所望の離間距離で位置決め可能となる。なお、ノズル部材91に代えて、下流側通路77のホース先端をそのまま延設して配置してもよい。
【0026】
また、支持パイプ87には、ノズル位置調整金具89の下方に、防磁シールド位置調整金具95が支持パイプ87の長手方向に沿ってスライド自在に取り付けられる。防磁シールド位置調整金具95は、円筒状の磁気シールド部71を支持する。磁気シールド部71は、鋼材からなり、ノズル部材91の散布口69の外周面を同軸で覆って配設される。磁気シールド部71は、防磁シールド位置調整金具95のシールド固定つまみ97によって、支持パイプ87に対する上下方向位置を固定及び固定解除することにより、鋼板15に対して所望の離間距離で位置決め可能となる。
【0027】
つまり、磁気シールド部71は、防磁シールド位置調整金具95の支持パイプ87に沿った位置調整により、鋼板15に対する散布口69との相対位置を容易に変更可能に構成されている。つまり、磁気シールド部71は、散布口69よりも鋼板15側に延出可能であり、また、磁気シールド部71を散布口69よりも鋼板15側と反対側に配置して、ノズル部材91を磁気シールド部71の下端から容易に延出可能となっている。
【0028】
磁気シールド部71は、第1トーチ27、第2トーチ29、及び第3トーチ31(
図1参照)から発生する磁界を遮蔽するために用いられる。磁気シールド部71は、磁界中に設けると、磁力線が磁気シールド部71自体に集中して通るようになり、円筒内部に存在する粒状の鉄等の開先充填材13に磁界の影響が及ばない。これにより、磁気シールド部71の円筒内部においては、磁界が遮蔽され、円筒内部を通過する開先充填材13に作用する磁力が抑制される。
【0029】
なお、磁気シールド部71の外周には、必要に応じて、均し板固定金具101が取り付けられ、均し板固定金具101に均し板99が固定される。この均し板固定金具101も、均し板固定つまみ103を固定及び固定解除することにより、磁気シールド部71に対して上下方向へスライド可能となる。
【0030】
均し板99は、下方先端に向けて徐々に狭幅となる先細り形状で、先端に平坦部105を有する。この平坦部105が、上下方向のスライドによって開先11内に挿入可能となる。均し板99を取り付けた場合には、開先11に挿入された開先充填材13を、平坦部105によって開先11の底部から所望の高さに更に均一化できる。
【0031】
図4は
図3のV方向から見た磁気シールド部71の縦断面図である。
開先充填材散布装置200は、磁気シールド部71が、ノズル部材91の外周面から離間して配置されることが好ましい。
【0032】
次に、充填材供給調整部73について説明する。
図5は
図2に示した充填材供給調整部73の要部拡大図である。
充填材供給調整部73は、ケーシング81の内方にロータ107が収容される。ロータ107は、連通路の上流側通路75と下流側通路77との間に介装される。ロータ107は、ロータ回転軸109が、上流側通路75と下流側通路77の延在方向(
図5の上下方向)に直交する方向に配置される。ロータ回転軸109には、モータブラケット79に固定された減速機110を介してロータ駆動用のモータ111が接続される。
【0033】
このモータ111は、不図示の制御部により駆動される。充填材供給調整部73は、モータ111の回転速度(回転数)に応じて、ノズル部材91からの開先充填材13の供給量の増減が可能となる。制御部は、開先11内における開先充填材13の散布高さ、サブマージアーク溶接装置100の走行速度等に応じて、モータ111の回転速度(回転数)を増減制御する。
【0034】
図6は
図5に示したロータ107の斜視図である。
ロータ107では、連通路に表出するロータ外周面113に、ロータ107の周方向に沿って複数の充填材ポケット115が画成される。ロータ107は、ケーシング81の内方において、ロータ外周面113で上流側通路75をほぼ塞ぎ、開先充填材13の自由落下を阻止している。上流側通路75の出口に面したロータ外周面113には、充填材ポケット115が位置して、上流側通路75を落下する開先充填材13は、この充填材ポケット115に収容される。ロータ107が回転駆動されることにより、開先充填材13を収容した充填材ポケット115が下方へ向けて移動し、充填材ポケット115に収容された開先充填材13が下流側通路77へ排出される。ロータ107の静止状態では、開先充填材13が下流側通路77に排出されず、ロータ107の回転時に、ロータ107の回転速度(回転数)に応じた量の開先充填材13が下流側通路77に供給される。
【0035】
次に、上述の構成を有するサブマージアーク溶接装置100の基本動作を説明する。
サブマージアーク溶接装置100は、溶接を開始する際、溶接始端部のタブ板上に、第1電極19、第2電極21、及び第3電極23がセットされる。それより、先行する終端検知器33と倣い検知器47は、鋼板15上にセットされる。この状態では、フラックス回収ノズル55は、上方に退避した状態にある。
【0036】
溶接が開始されると、サブマージアーク溶接装置100は、第1電極19、第2電極21、及び第3電極23による溶接を続けながら溶接進行方向に走行する。この溶接時において、鋼板15の開先11には、第1電極19、第2電極21及び第3電極23から送出された溶接ワイヤが挿入される。そして、第1電極19の溶接方向前方の位置で、フラックス散布ノズル51からフラックスが開先11に散布される。なお、このフラックス散布ノズル51の更に溶接方向前方の位置では、開先充填材散布装置200の充填材散布部45から開先充填材13が開先11に供給されている。よって、第1電極19、第2電極21、及び第3電極23から送出された溶接ワイヤの先端は、開先11内の開先充填材13上に盛られたフラックス内に挿入されて、アーク放電がなされる。
【0037】
そして、溶接ビードの開始点の近傍にフラックス回収ノズル55が到達したとき、フラックス回収ノズル55を手動スイッチで下降させ、不要となったフラックスの回収を始める。
【0038】
開先充填材散布装置200は、開先充填材13の散布口69が、サブマージアーク溶接装置100の溶接方向の前方に配置され、溶接に先立ち、開先充填材13を開先11に供給する。つまり、ホッパ43に投入された開先充填材13が、連通路を通り、散布口69から鋼板15の開先11へ散布される。
【0039】
開先充填材散布装置200の溶接方向の後方には、フラックス散布ノズル51、第1電極19、第2電極21、フラックス散布ノズル53、第3電極23が順に配設される。したがって、開先11の底部に供給された開先充填材13上にフラックスが盛られ、第1電極19、第2電極21、及び第3電極23から突出する各溶接ワイヤは、それぞれフラックス中に挿入される。
【0040】
開先11の底部には、
図4に示すように、仮溶接した溶接部が凸部117となって部分的に存在する場合がある。その場合、凸部117は、散布された開先充填材13によって埋められて、平坦化される。また、凸部117の上に散布された開先充填材13は、凸部117が存在しない箇所よりも盛り上がることがある。この盛り上がりが生じた場合でも、散布口69の溶接方向後方に直近で取り付けられた均し板99によって確実に平坦化される。その結果、開先形状の不同を解消して、安定したビードの形成が可能となる。
【0041】
ここで、連通路を通り散布口69から散布される開先充填材13は、溶接方向の後方で第1電極19、第2電極21及び第3電極23により溶接ワイヤに供給される溶接電流によって生じた磁界の影響を受ける。磁界の影響を受けた開先充填材13は、連通路内で例えば磁気吸引力により塊となり、連通路を詰まらせる。その結果、開先充填材13が散布されなかったり、散布されても開先11の狙い位置に十分に供給されなかったりする。これらの原因により開先充填材13の不足が生じていると、散布されたフラックスが凹凸状に盛られる。その結果、滑らかなビード面が形成されなくなる。
【0042】
そこで、本構成の開先充填材散布装置200では、散布口69の外周面を磁気シールド部71で覆っている。そのため、磁気シールド部71は、溶接時の溶接電流により生じた磁界が、散布口69側の連通路に作用することを抑制する。これにより、開先充填材13は、磁界の影響を受けることが抑制され、散布口69からスムーズに排出される。その結果、開先充填材13は、常に一定の供給量で開先11へ供給される。その結果、常に均一な高さで充填が可能となる。なお、均し板99は必ずしも必要ではなく、開先充填材13が所望の供給量で安定供給できれば、開先11内では開先充填材13が概ね平坦に盛られるようになる。
【0043】
また、開先充填材散布装置200では、磁気シールド部71が散布口69から鋼板15に向かって延設されている場合、開先充填材13が、散布口69から開先11に挿入されるまでの間も磁界の影響を受けることを抑制できる。これにより、開先充填材13は、散布口69から開先11に向けて出た後、落下途中で磁力によって落下方向が変化することを抑制できる。その結果、開先充填材13を、無駄なく狙いの所定位置へ高精度に充填可能となる。
【0044】
更に、開先充填材散布装置200では、充填材供給調整部73を備えることにより開先充填材13の供給量を適切に増減調整できる。
充填材供給調整部73は、上流側通路75の出口に配置されたロータ107によって、開先充填材13の移動が止められる。そして、ロータ107が回転すると、上流側通路75に位置していた充填材ポケット115は、上流側通路75の出口から外れて、充填材ポケット115に入り込んだ開先充填材13が下流側通路77に落下する。これにより、ロータ107の回転速度(回転数)に比例した開先充填材13を開先11に供給でき、開先11への開先充填材13の散布量を、簡素な構造で、しかも、正確かつ容易に制御できる。
【0045】
このようにして、充填材供給調整部73は、開先充填材13の開先11への供給不足や供給過剰を防止でき、必要とする十分な供給量を得るために溶接速度を落とすことや、必要以上の無駄な散布を防止できる。
【0046】
そして、本構成によるサブマージアーク溶接装置100では、開先充填材散布装置200により開先充填材13が磁界の影響を受け難くなり、所望量の開先充填材13が開先11の狙い位置に常に確実に供給される。このため、開先11内に溶接方向に沿って均等に開先充填材13が配置される。その結果、安定したアーク溶接を実施でき、均質で滑らかなビード面を形成できる。
【0047】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0048】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 開先充填材を被溶接部材の開先に散布しながら前記被溶接部材を溶接するサブマージアーク溶接装置に用いる開先充填材散布装置であって、
前記開先充填材を前記開先に供給し、先端に散布口を有する連通路と、
前記連通路の前記散布口側を覆って配設された磁気シールド部と、
を備える開先充填材散布装置。
この開先充填材散布装置によれば、磁気シールド部が連通路の散布口側を覆って設けられている。磁気シールド部は、アーク溶接時の溶接電流により生じた磁界が、散布口近傍の連通路に作用することを抑制する。これにより、開先充填材は、磁界の影響により、一部が塊となって、連通路内で詰まりを生じさせることが抑制され、散布口からスムーズに排出される。その結果、開先充填材を、常に一定の割合で開先内へ供給でき、開先内で均一な高さにできる。
【0049】
(2) 前記磁気シールド部は、前記散布口を覆って配置されている(1)に記載の開先充填材散布装置。
この開先充填材散布装置によれば、磁気シールド部が散布口を覆って配置されるので、開先充填材が散布口から開先に落下するまでの間に、磁界の影響を受けることを抑制できる。これにより、磁力による開先充填材の落下方向の変化を抑制でき、開先充填材の狙い位置への安定した供給が可能となる。
【0050】
(3) 前記散布口は、前記磁気シールド部の先端から突出して配置されている(1)に記載の開先充填材散布装置。
この開先充填材散布装置によれば、散布口が磁気シールド部の先端から突出しているため、散布口を開先に近づけて配置できる。これにより、開先充填材の狙い位置への安定した供給が可能となる。
【0051】
(4) 前記連通路の途中に配置され、前記開先充填材の散布量を増減する充填材供給調整部を備える(1)〜(3)のいずれか一つに記載の開先充填材散布装置。
この開先充填材散布装置によれば、開先充填材の供給量の不足と、必要以上の無駄な開先充填材の散布とを防止して、常に適正量の開先充填材の供給が行える。
【0052】
(5) 前記連通路は、上流側通路と下流側通路とを有し、
前記充填材供給調整部は、前記上流側通路と前記下流側通路との間に介装されたロータと、前記ロータのロータ回転軸を駆動するモータと、を有し、
前記ロータは、前記連通路に表出されるロータ外周面に、前記ロータの周方向に沿って複数の充填材ポケットが画成され、前記ロータの回転に応じて前記上流側通路から前記充填材ポケットに充填された前記開先充填材が前記下流側通路に供給される(4)に記載の開先充填材散布装置。
この開先充填材散布装置によれば、ロータが回転すると、上流側通路に位置していた充填材ポケットは、上流側通路の出口から外れて、充填材ポケットに入り込んだ開先充填材が下流側通路に落下する。これにより、ロータの回転速度(回転数)に比例した開先充填材を開先に供給でき、開先への開先充填材の散布量を、簡素な構造で、しかも、正確かつ容易に制御できる。
【0053】
(6) (1)〜(5)のいずれか一つの開先充填材散布装置を備えたサブマージアーク溶接装置。
このサブマージアーク溶接装置によれば、開先充填材散布装置により開先充填材が磁界の影響を受け難くなり、開先充填材が、開先の狙い位置に十分に供給される。その結果、均質で滑らかなビード面が形成可能となる。