【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る
パラシュート展開装置は、点火薬を収容するカップ状のケースを有し、前記点火薬の燃焼により作動時に作動用ガスを発生する点火器と、前記点火器により発生された前記作動用ガスにより推進し、端部に凹部が形成され一軸方向に延びたピストンと、を備え、前記ケースに対して前記凹部が圧入されることにより前記ピストンが前記ケースに保持されている
パイロアクチュエータを用いたものであって、前記ピストンヘッドの前記推進の方向側に配置した状態の前記パラシュートを前記ピストンとともに収納するパラシュート収納容器を備え、前記ピストンの推進力を用いて前記パラシュートを前記パラシュート収納容器の外方に展開させるものである。
【0008】
上記(1)の構成によれば、点火器のケースに対してピストンの凹部が圧入されることで当該ピストンがケースに保持される。これによって、簡単な構造で且つ部品点数を増加させることなくピストンを所定位置に固定することが可能となる。
【0009】
また、上記の構成によれば、圧入圧力又は圧入深さを変えることによって、ケースの外壁とピストンの凹部の内壁とで形成される燃焼室の体積を変えることができる。これにより、パイロアクチュエータの出力(つまりピストンの推進力)を容易に調整することが可能となる。
【0010】
(2) 上記(1)の
パラシュート展開装置においては、前記凹部の、軸方向に沿う内壁部の開口側端部に面取りが施されていることが好ましい。面取りはカット面又はR面であってもよい。
【0011】
上記(2)の構成によれば、ケースにピストンの凹部を圧入する際に当該凹部の内壁部がケースに引っ掛かり難くなる。また、ケースの接触による欠けが生じ難くなる。
【0012】
(3) 上記(1)又は(2)の
パラシュート展開装置においては、前記凹部の、軸方向に沿う内壁部に排出溝が設けられていることが好ましい。
【0013】
上記(3)の構成によれば、ケースにピストンの凹部を圧入する際に当該凹部内の空気を排出溝から逃すことができるので、圧入し易くなる。
【0014】
(4) 上記(1)乃至(3)の
パラシュート展開装置においては、前記凹部の、軸方向に沿う内壁部に、シボ加工による表面処理部が形成されていてもよい。
【0015】
上記(4)の構成によれば、ケースにピストンの凹部を圧入する際に当該凹部内の空気を、シボ加工により粗面となった表面処理部から逃すことができるので、圧入し易くなる。
【0016】
(5) 上記(1)乃至(4)の
パラシュート展開装置においては、前記凹部の、軸方向に沿う内壁部に、前記軸方向に交差する方向に突出するリブが設けられていてもよい。
【0017】
上記(5)の構成によれば、リブによってケースの外壁部と凹部の内壁部との間に空間を形成することができる。これによって、凹部内の空気を上記空間から逃すことができるので、圧入し易くなる。
【0018】
(6) 上記(5)の
パラシュート展開装置においては、前記リブは部分的に環状に形成されていることが好ましい。
【0019】
上記(6)の構成によれば、部分的に環状に形成されたリブによってケースの外壁部と凹部の内壁部との間に必要最小限の空間を形成することができる。これによって、圧入の際に凹部内の空気を上記空間から逃すことができるので、圧入し易くなる。
【0020】
(7) 上記(1)乃至(6)の
パラシュート展開装置においては、前記ピストンは、前記凹部側に配置された第1部分と、前記凹部側と逆側に配置され前記第1部分と径が異なる第2部分とを有してもよい。
【0021】
上記(7)の構成によれば、ピストンを収容する筒状のハウジングを採用し且つ当該ハウジング内に係止部を設ける場合に、第1部分の径が第2部分の径よりも大きければ、ピストンの推進時に上記第1部分と第2部分との段差の部分を係止部に当接させてピストンがハウジング内から抜け切らないようにすることができる。すなわち、第1部分と第2部分との段差の部分にストッパー機能を持たせることが可能となる。
【0022】
(8) 上記(7)の
パラシュート展開装置においては、前記第1部分は、前記第2部分よりも大径であることが好ましい。
【0023】
上記(8)の構成によれば、上述の通り、ピストンがハウジング内から抜け切らないようにすることができる。
【0024】
(9) 上記(7)又は(8)の
パラシュート展開装置においては、前記第2部分はピストンロッドであることが好ましい。
【0025】
上記(9)の構成によれば、ピストンの第2部分を細長形状のピストンロッドとすることにより、ピストン全体を軽量化することができる。
【0026】
(10) 上記(7)乃至(9)の
パラシュート展開装置は、前記ピストンの推進方向を規制する筒状のハウジングをさらに備えることが好ましい。
【0027】
上記(10)の構成によれば、ハウジングによってピストンの推進方向が規制できるので、パイロアクチュエータの出力方向を一定とすることができる。
【0028】
(11) 上記(10)の
パラシュート展開装置は、前記点火器の前記ケースが前記ハウジング内に配置された状態で前記点火器を保持すると共に、前記ハウジングの一端部に固定されたホルダをさらに備えることが好ましい。
【0029】
上記(11)の構成によれば、ホルダによって、ハウジングに対する点火器のケースの位置、より厳密には燃焼室の位置を安定して固定することができる。
【0030】
(12) 上記(11)の
パラシュート展開装置においては、前記ハウジングと前記ホルダとが溶接により接合されていることが好ましい。
【0031】
上記(12)の構成によれば、ハウジングをホルダに対して強固に固定することができる。
【0032】
(13) 上記(11)又は(12)の
パラシュート展開装置においては、前記ハウジングは、その一端部において外側に延出されたフランジ部を有し、前記ホルダは、前記フランジ部に嵌合される嵌合溝と、前記フランジ部をかしめ固定するためのかしめ鍔とを有してもよい。
【0033】
上記(13)の構成によれば、ハウジングをホルダに対して強固に固定することができる。
【0034】
(14) 上記(10)乃至(13)の
パラシュート展開装置においては、前記ピストンの前記第1部分の外壁部と前記ハウジングの内壁部との間に空隙が設けられ、前記空隙において前記第1部分の外壁部と前記ハウジングの内壁部との間に第1シール部材が設けられていることが好ましい。
【0035】
上記(14)の構成によれば、ピストンのハウジング内における推進により当該ハウジング内に生じる圧縮気体が第1部分の外壁部とハウジングの内壁部との隙間から流出することを第1シール部材によって防止することができる。これにより、ピストンの推進力が低下することを回避することができる。
【0036】
(15) 上記(10)乃至(14)の
パラシュート展開装置においては、前記ハウジングの一端部に前記点火器が固定され、前記ハウジングの他端部には前記ピストンの前記第2部分を挿通する孔部を有すると共に前記ピストンの推進時に前記第1部分を係止する係止部が設けられていることが好ましい。
【0037】
上記(15)の構成によれば、点火器により発生する燃焼ガス又は燃焼熱によりピストンを推進させることができる。そして、ピストンの第2部分を孔部を介して外方に向けて推進させることができる。また、ピストンの推進時に当該ピストンの第1部分を係止部に当接させてピストンがハウジング内から抜け切らないようにすることができる。
【0038】
(16) 上記(15)の
パラシュート展開装置においては、前記係止部における前記孔部の周壁部と前記ピストンの前記第2部分の外壁部との間に第2シール部材が設けられていることが好ましい。
【0039】
上記(16)の構成によれば、ハウジング内に生じる圧縮気体が第2部分の外壁部と孔部の周壁部との隙間から流出することを第2シール部材によって防止することができる。これにより、ピストンの推進力が低下することを回避することができる。
【0040】
(17) 上記(15)又は(16)の
パラシュート展開装置においては、作動時に前記第1部分が前記係止部に衝突することによって発生する衝撃を緩衝する衝撃緩衝部材が、前記ピストンの前記第1部分と前記係止部との間に設けられていることが好ましい。
【0041】
上記(17)の構成によれば、作動時にピストンの第1部分が衝撃緩衝部材に当接するので、当該第1部分および係止部に対する衝撃を緩和することができる。
【0042】
(18) 上記(11)乃至(17)の
パラシュート展開装置においては、前記ピストンの前記第1部分と前記第2部分との間に、前記第1部分よりも小径であって前記第2部分よりも大径である第3部分が形成されており、前記第3部分の径は前記係止部の前記孔部の径よりも小さく、前記第1部分の径は前記孔部の径よりも大きくてもよい。
【0043】
上記(18)の構成によれば、ピストンの推進時に第1部分を係止部に当接させて当該ピストンがハウジング内から抜け切らないようにすることができる。また、ピストンの第2部分の外壁と孔部の内周壁との隙間が比較的広いため、ピストンの第2部分が孔部の内周壁に接触することなく外方に向けてスムーズに推進することができる。