(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797058
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】ワイヤ上のパルプ材料の含水量を測定するための方法および器具
(51)【国際特許分類】
D21F 7/00 20060101AFI20201130BHJP
D21F 7/06 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
D21F7/00 Z
D21F7/06
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-68019(P2017-68019)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-197897(P2017-197897A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年1月31日
(31)【優先権主張番号】A 211/2016
(32)【優先日】2016年4月25日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】595101137
【氏名又は名称】クラウス・バルテルムス
【氏名又は名称原語表記】Klaus Bartelmuss
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・バルテルムス
【審査官】
長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−003248(JP,A)
【文献】
実開昭63−033453(JP,U)
【文献】
特開2007−248161(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3156521(JP,U)
【文献】
特開平07−294471(JP,A)
【文献】
特開昭53−014810(JP,A)
【文献】
二葉勝,フォーミングセクションの革新的濾水測定器”FiberScan”,紙パルプ技術タイムス,日本,株式会社テックタイムス,2007年 6月 1日,第50巻,第6号,第61−63頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00−1/38
D21C1/00−11/14
D21D1/00−99/00
D21F1/00−13/12
D21G1/00−9/00
D21H11/00−27/42
D21J1/00−7/00
G01N5/00−9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ材料の含水量を測定するための手段(2)を有し、前記手段に対応配置されている制御・データ処理ユニット(5)を有し、そして、送受信装置を有する、および/または、測定されたデータを前記制御・データ処理ユニット(5)へ送信するデータ線のための接続部を有する、製紙設備でワイヤ(11)の上のパルプ材料(12)の含水量を測定するための方法において、前記含水量の測定中に、前記測定手段(2)が前記ワイヤ(11)の下側に押圧される際の圧力が判断されて、前記含水量の測定が所定範囲の接触圧力で実行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
水分センサ(22)を有して好ましくは測定ロッド(3)に固定されうる、前記パルプ材料の前記含水量を測定するための手段(2)を有し、前記手段に対応配置されている制御・データ処理ユニット(5)を有し、そして、送受信装置を有する、および/または、測定されたデータを前記制御・データ処理ユニット(5)へ送信するデータ線のための接続部を有する、製紙設備でワイヤ(11)の上のパルプ材料(12)の含水量を測定するための器具(1)において、前記パルプ材料の前記含水量を測定するための前記手段(2)に、前記手段が前記ワイヤ(11)に押圧される際の圧力範囲を判断および表示するための測定装置(6)が形成されていることを特徴とする器具。
【請求項3】
バネ要素(63)の作用を受ける前記水分センサ(22)が中で変位されうるハウジング(21)が、前記含水量を測定するための前記手段(2)に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記水分センサ(22)が配置されるとともに、前記バネ要素(63)の作用を受けて前記水分センサが中で変位されうる円筒空洞(24)が前記ハウジング(21)に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記水分センサ(22)と前記ハウジング(21)との間に作用する圧縮コイルバネにより前記バネ要素(63)が形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記ハウジング(21)の前記円筒空洞(24)に環状断面の領域(24a)が形成されることと、前記環状領域(24a)へ突出して前記領域の端面の間で変位されうる摺動スリーブ(61)が前記水分センサ(22)に固定形成されていることとを特徴とする、請求項4と5のいずれかに記載の器具。
【請求項7】
前記摺動スリーブ(61)と前記ハウジング(21)との間に前記バネ要素(63)が配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
耐摩耗支持体(25)が、前記ワイヤ(11)に面する側で前記水分センサ(22)に形成されていることを特徴とする、請求項2から7の一つに記載の器具。
【請求項9】
前記耐摩耗支持体(25)がセラミック材料のプレートであることを特徴とする、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記耐摩耗支持体(25)が前記水分センサ(22)に交換可能に固定されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載の器具。
【請求項11】
セラミック材料の前記耐摩耗支持体(25)と前記水分センサ(22)との間にシール(67)が設けられることを特徴とする、請求項10に記載の器具。
【請求項12】
弾性密封カフ(68)によって、また適宜、少なくとも一つの密封リング(69,69a)によって、前記水分センサ(22)と前記ハウジング(21)とが液体の侵入に対して密封されていることを特徴とする、請求項3から11の一つに記載の器具。
【請求項13】
前記ハウジング(21)に対する前記水分センサ(22)の位置が判断および表示されるための少なくとも一つの位置センサ(64)が前記摺動スリーブ(61)に対応配置されていることを特徴とする、請求項6から12の一つに記載の器具。
【請求項14】
互いから軸方向距離を置いて配置されて前記位置センサ(64)と相互作用を行う二つの摺動リング(62)が前記摺動スリーブ(61)に形成されていることを特徴とする、請求項6から13の一つに記載の器具。
【請求項15】
前記ハウジング(21)に配置されているLEDランプ(66)が前記位置センサ(64)に接続され、前記ハウジング(21)に対する前記水分センサ(22)の変位の結果として前記位置センサ(64)が前記摺動リング(62)の間の領域に配置されるとすぐに、前記LEDランプによって光信号が出力されることを特徴とする、請求項14に記載の器具。
【請求項16】
機械的および電気的接続のため互いに対応配置されている結合部(23,33)が、前記測定手段(2)のハウジング(21)と前記測定ロッド(3)とに形成されていることを特徴とする、請求項3から14の一つに記載の器具。
【請求項17】
互いに対応配置されている回路基板(27,37)とセンタリング要素(28,38)とが前記結合部(23,33)に形成されていることを特徴とする、請求項16に記載の器具。
【請求項18】
前記測定ロッド(3)の長さが調節可能および固定可能であることを特徴とする、請求項2から17の一つに記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプ材料の含水量を測定するための手段を有し、この手段に対応配置される制御・データ処理ユニットを有し、そして、送受信装置を有する、および/または、測定されたデータを制御・データ処理ユニットへ送信するデータ線のための接続部を有する、製紙設備でワイヤの上のパルプ材料の含水量を測定するための方法および器具に関している。
【背景技術】
【0002】
製紙設備では、ワイヤの上のパルプ材料の含水量を測定することと、この設備の運転を制御するためこのように判断された測定値を使用することとが周知である。これらの測定は、ワイヤの長さに沿った異なる点で、そしてワイヤの側縁の一方から約半メートル〜1メートルの距離で実施される。個々の測定点で判断されるパルプ材料の含水量の値は、データメモリに入力される。
【0003】
これらの測定の実施のため、ワイヤ上のパルプ材料の含水量を測定するための手段が二つの端の一方に形成されている測定ロッドが使用される。測定を実施可能にするため、測定ロッドによって所定の測定点でワイヤの下側に測定手段が押圧される。
【0004】
この周知の先行技術に関しては、例えば特許文献1が参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第2162731号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの測定中には測定手段がワイヤへ押圧される際の圧力が考慮されないので、乾燥プロセスの最適制御のための要件はこの周知の先行技術により満たされない。ゆえに本発明は、この短所が回避されるための方法および器具を考案するという目的に基づいている。本発明によれば、含水量の測定中に、含水量を測定するための手段がワイヤの下側に押圧される際の圧力が判断されて、含水量の測定がこの接触圧力の規定範囲で実行されるという点で、この目的が達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による器具では、パルプ材料の含水量を測定するための手段には、パルプ材料の含水量を測定するための手段がワイヤに押圧される際の圧力範囲を判断および表示するための測定装置が形成されている。
【0008】
含水量を測定するための手段には、バネ要素の作用を受ける水分センサが中で変位されうるハウジングが、好ましくは形成されている。詳しく記すと、水分センサが配置されるとともにバネ要素の作用を受けてこのセンサが変位されうる円筒空洞が、ハウジングに形成されているのである。バネ要素は好ましくは、水分センサとハウジングとの間に作用する圧縮コイルバネにより形成される。
【0009】
この場合、ハウジングの円筒空洞には環状断面の領域が形成され、環状領域へ突出してその端面の間で変位されうる摺動スリーブが水分センサに固定形成されている。詳しく記すと、摺動スリーブとハウジングとの間にバネ要素が配置されている。
【0010】
水分センサに交換可能に固定される耐摩耗支持体、詳しくはセラミック材料製のプレートが、ワイヤに面する側で水分センサに好ましくは形成される。さらに、セラミック材料の支持体と水分センサとの間にはシールが設けられうる。加えて、弾性密封カフによって、また適宜、少なくとも一つの密封リングによって、水分センサとハウジングとが液体の侵入に対して好ましくは密封される。
【0011】
好ましくは、ハウジングに対する水分センサの位置が判断および表示されるための少なくとも一つの位置センサが、摺動スリーブに対応配置される。この目的のため、互いから軸方向距離を置いて配置されて位置センサと相互作用を行う二つの摺動リングが、摺動スリーブに形成されうる。さらに、好ましくはハウジングに配置されるLEDランプが位置センサに接続され、ハウジングに対する水分センサの変位の結果として摺動リングの間の領域に位置センサが配置されるとすぐに、このランプによって光信号が出力される。
【0012】
測定手段のハウジングと測定ロッドには、機械的および電気的接続のため互いに対応配置される結合部が好ましくは形成されている。ここで、互いに対応配置される回路基板とセンタリング要素とが結合部に好ましくは形成される。加えて、測定ロッドの長さは調節可能かつ固定可能でありうる。
【0013】
図面に図示されている例示的実施形態を使用することにより、本発明による方法と本発明による器具とがより詳しく下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】製紙設備でワイヤ上のパルプ材料の含水量を測定するための器具を不等角投影図で示す。
【
図2】
図1による器具の個々の構成部を不等角投影図で示す。
【
図2A】
図1による器具の個々の構成部を不等角投影図で示す。
【
図2B】
図1による器具の個々の構成部を不等角投影図で示す。
【
図2C】
図1による器具の個々の構成部を不等角投影図で示す。
【
図3】
図1による器具の構成部を形成する、ワイヤ上のパルプ材料の含水量を測定するための手段を、接触圧力を判断するための手段の第1位置において垂直断面で示す。
【
図3A】
図3による手段を、接触圧力を判断するための手段の第2位置において垂直断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
製紙設備でワイヤ11の上のパルプ材料12の含水量を測定するための、
図1に図示された器具1は、測定手段2と測定ロッド3とハンドル部4と制御・データ処理ユニット5とを有する。
【0016】
測定を実施するため、測定手段2は、測定ロッド3によってワイヤ11の下側に押圧され、ワイヤの上側にはパルプ材料12が配置されている。これらの測定は、ワイヤ11の長さに沿った所定の点で、そしてワイヤ11の縁の一方から約半メートル〜1メートルの距離で実施される。測定ロッド3の長さは調節可能かつ固定可能である。測定を実施および制御するのに必要な電気的および電子的手段は、ハンドル部4に配置されている。詳しく記すと、ハンドル部4には送受信装置が設けられ、この装置によってハンドル部4が制御・データ処理ユニット5に無線で接続されているのである。
【0017】
図2から分かるように、測定手段2にはハウジング21が形成され、測定の実施のためワイヤ11の下側に押圧される水分センサ22がハウジングに設けられている。さらに、測定手段2は、測定ロッド3への接続のための結合部23を備えている。
【0018】
図2Aから分かるように、測定ロッド3は、互いに変位されうるとともに、クランプリング32によってその相互位置に固定されうる二つの管形部品31,31aを包含し、これは、測定ロッド3の長さが調節可能であることを意味している。左端で、測定ロッド3には第1結合部33が形成され、これは測定手段2の結合部23に対応配置される。さらに、測定ロッド3は、水準器34とデジタルディスプレイ35とを装備している。右端では、測定ロッド3をハンドル部4に接続するのに使用される第2結合部36が、測定ロッド3に形成されている。
【0019】
図2Bから分かるように、ハンドル部4には、オン/オフボタン41と、機能ボタン42と、スタートボタン43と、LEDランプを備える透明領域44とが形成されている。左端部では、測定ロッド3の結合部36に対応配置される第1結合部46がハンドル部4に形成されている。右端部では、充電ソケット47がハンドル部4に形成されている。データメモリ、送受信装置、制御装置、切換装置その他、そしてバッテリなど、測定を実施するための電気および電子装置が、ハンドル部4の内部に配置されている。
【0020】
図2Cに図示されているのは、ディスプレイ51が形成されるとともに、同様に送受信装置が形成されている制御・データメモリユニット5であり、送受信装置は、ハンドル部4に配置されている送受信装置と相互作用を行う。
【0021】
測定の実施のため、
図1に図示されているように測定手段2と測定ロッド3とハンドル部4とが互いに接続され、ワイヤ11の下側に手段2が押圧される。
【0022】
図3には、製紙設備でワイヤ11の上のパルプ材料12の含水量を測定するための手段2が図示されている。手段2には、円筒空洞24を包囲するハウジング21が形成されている。この空洞24に配置されているのは、パルプ材料12の含水量を測定するためのセンサ22である。センサ22の上端には、外側金属リング部25aとセラミック材料の内側部25bとを包含する測定プレート25が設けられている。リング部25aは、ネジ25cによりセンサ22に固定されている。内側部25bは、リング部25aによってセンサ22に交換可能に固定されている。測定に影響を与える内側部25bの構造は、特定の測定要件に対応するように選択される。センサ22からの出力は、結合部23に配置されている回路基板27に線26を介して伝えられる。
【0023】
パルプ材料12の含水量の正確な測定結果を得るには、所定の圧力範囲にある圧力で測定手段2をワイヤ11に押圧することが必要である。これを保証するため、センサ22は空洞24の中で垂直方向調節可能に取り付けられ、所定範囲内の接触圧力を得るための手段6が測定手段2に形成されている。空洞24には、環状断面の幅広部分24aが形成されている。センサ22に固定されているのは、互いに軸方向距離を置いて配置されている二つの摺動リング62が形成された摺動スリーブ61である。摺動スリーブ61と幅広部分24aの下端面との間には、ハウジング21とセンサ22との間に作用する圧縮コイルバネの形のバネ要素63が設けられている。センサ22は、測定プレート25でワイヤ11の下側に押圧されるとすぐに、ハウジング21で圧縮コイルバネ63の作用と反対に下向きに変位され、その結果、圧縮コイルバネ63が圧縮され、センサ22がワイヤ11に押圧される際にバネにより発生される圧力が上昇する。
【0024】
測定プレート25がごくわずかな圧力でワイヤ11に当接しているセンサ22の上端位置が、
図3に図示されている。対照的に
図3Aには、センサ22がワイヤ11に押圧される際に適度な圧力が圧縮コイルバネ63により加えられているセンサ22の中央垂直位置が図示されている。
【0025】
測定プレート25がワイヤ11に押圧される際の圧力を測定するとともに、測定結果でこの圧力を考慮するため、摺動スリーブ61には位置センサ64が対応配置されている。摺動スリーブ61は金属で製造されている。対照的に、摺動リング62はプラスチック材料で製造されている。位置センサ64に対する摺動スリーブ61および摺動リング62の変位の間には、センサと反対に配置されている領域の導電性の変化に基づいて、二つの摺動リング62の間で位置センサ64が配置されている位置が測定される。この位置では、圧縮コイルバネ63により所定の接触圧力が発生される。位置センサ64からの出力は、線65を介してハウジング21のLEDランプ66へ伝えられ、これによって所定の接触圧力に必要とされるセンサ22の位置が示される。線65は回路基板27にも接続されているので、接触圧力は制御・データ処理ユニット5にも送信される。
【0026】
測定プレート25の内側部25bと、紙パルプ12の含水量を測定するためのセンサ22との間には、密封リング67が設けられている。さらに、センサ22とハウジング21との間には、密封カフ68が設けられている。加えて、別の密封リング69,69aによってセンサ22がハウジング21に対して密封されている。密封要素67,68,69,69aによって、パルプ材料12から漏出する液体がハウジング21へ浸透することが防止される。こうして、センサ22がワイヤ11に押圧される際の予定圧力を発生させるための手段6は、液体の流入に対して保護され、これは、センサがダメージを受けず使用可能状態を保つことを意味する。
【0027】
含水量を測定するための手段2を測定ロッド3に結合するには、第一に結合部23、そして第二に測定ロッド3の結合部33が使用される。結合部23は、外ネジが形成された管形部品として形成されている。結合部33は、結合部23にネジ止めされるユニオンナットとして形成されている。この結合で、回路基板27は、測定ロッド3に属する回路基板37に対応配置される。これら二つの回路基板27,37には、互いに対応配置された接点が形成されている。測定装置2と測定ロッド3との結合中に設備で回路基板27,37を互いに正確な位置に置くため、結合部23には位置決め孔28が形成されて、結合部33には、位置決め孔28に対応配置される位置決めピン38が形成されている。回路基板37に接続されているのは、螺旋形のデータ線39であり、データ線は測定ロッド3の中に配置されている。測定ロッド3上の水準器34によって、ワイヤ11に対する測定手段2の角度位置が検査されうる。測定の実施に関連して選択されたデータが、ディスプレイ35により表示される。
【0028】
ワイヤ11の上のパルプ材料12の含水量を測定するための器具1の全体は、ハンドル部4に配置されているオン・オフボタン41によりオンに切り換えられる。機能の選択および設定は、機能ボタン42を介して実行される。スタートボタン43によって、ワイヤ11の上のセンサ22の必要接触圧力に到達し、これがLEDランプ66で位置センサ64によって示されるとすぐに、ワイヤ11の上のパルプ材料12の含水量の測定が実施される。測定手段2の位置決めと測定結果とに関するすべてのデータは、ハンドル部4に配置されたバッファメモリに記憶される。さらに、このデータは、ハンドル部4に配置された送信装置を介して制御・データ処理ユニット5へ送信され、ここでデータが記憶および評価される。このデータはディスプレイ51に表示されうる。
【0029】
この器具は、以下のように使用に供される。製紙設備の構造的特徴が制御・データ処理ユニット5にロードされ、この設備がディスプレイ51に表示される。さらに、ワイヤ11が移動する速度など、設備の運転にとって重要なデータと、製造される紙のパラメータとが、制御・データ処理システム5に記憶される。次に、含水量の測定が実施される予定の点が記憶され、これらの測定点も同様にディスプレイ51に表示される。さらに、測定の開始前に校正が実施されるかどうかなどに存する測定プログラムが入力される。それから、個々の測定点でワイヤ11に測定手段2が押圧される。測定手段2がワイヤ11に押圧される際の圧力が所定範囲に入るとすぐに、パルプ材料12の含水量の測定が実施される。その結果得られた測定値が、個々の測定点に対応配置されて記憶される。そして測定結果が評価され、製造プロセスの制御に使用される。
【0030】
本発明は、以下の特徴を有する。
[1]
パルプ材料の含水量を測定するための手段(2)を有し、前記手段に対応配置されている制御・データ処理ユニット(5)を有し、そして、送受信装置を有する、および/または、測定されたデータを前記制御・データ処理ユニット(5)へ送信するデータ線のための接続部を有する、製紙設備でワイヤ(11)の上のパルプ材料(12)の含水量を測定するための方法において、前記含水量の測定中に、前記測定手段(2)が前記ワイヤ(11)の下側に押圧される際の圧力が判断されて、前記含水量の測定が所定範囲の接触圧力で実行されることを特徴とする方法。
[2]
水分センサ(22)を有して好ましくは測定ロッド(3)に固定されうる、前記パルプ材料の前記含水量を測定するための手段(2)を有し、前記手段に対応配置されている制御・データ処理ユニット(5)を有し、そして、送受信装置を有する、および/または、測定されたデータを前記制御・データ処理ユニット(5)へ送信するデータ線のための接続部を有する、製紙設備でワイヤ(11)の上のパルプ材料(12)の含水量を測定するための器具(1)において、前記パルプ材料の前記含水量を測定するための前記手段(2)に、前記手段が前記ワイヤ(11)に押圧される際の圧力範囲を判断および表示するための測定装置(6)が形成されていることを特徴とする器具。
[3]
バネ要素(63)の作用を受ける前記水分センサ(22)が中で変位されうるハウジング(21)が、前記含水量を測定するための前記手段(2)に形成されていることを特徴とする、上記[2]に記載の器具。
[4]
前記水分センサ(22)が配置されるとともに、前記バネ要素(63)の作用を受けて前記水分センサが中で変位されうる円筒空洞(24)が前記ハウジング(21)に形成されていることを特徴とする、上記[3]に記載の器具。
[5]
前記水分センサ(22)と前記ハウジング(21)との間に作用する圧縮コイルバネにより前記バネ要素(63)が形成されていることを特徴とする、上記[4]に記載の器具。
[6]
前記ハウジング(21)の前記円筒空洞(24)に環状断面の領域(24a)が形成されることと、前記環状領域(24a)へ突出して前記領域の端面の間で変位されうる摺動スリーブ(61)が前記水分センサ(22)に固定形成されていることとを特徴とする、上記[4]と[5]のいずれかに記載の器具。
[7]
前記摺動スリーブ(61)と前記ハウジング(21)との間に前記バネ要素(63)が配置されていることを特徴とする、上記[6]に記載の器具。
[8]
耐摩耗支持体(25)、詳しくはセラミック材料のプレートが、前記ワイヤ(11)に面する側で前記水分センサ(22)に形成されていることを特徴とする、上記[2]から[7]の一つに記載の器具。
[9]
前記耐摩耗支持体(25)が前記水分センサ(22)に交換可能に固定されていることを特徴とする、上記[8]に記載の器具。
[10]
前記セラミック材料の前記支持体(25)と前記水分センサ(22)との間にシール(67)が設けられることを特徴とする、上記[9]に記載の器具。
[11]
弾性密封カフ(68)によって、また適宜、少なくとも一つの密封リング(69,69a)によって、前記水分センサ(22)と前記ハウジング(21)とが液体の侵入に対して密封されていることを特徴とする、上記[3]から[10]の一つに記載の器具。
[12]
前記ハウジング(21)に対する前記水分センサ(22)の位置が判断および表示されるための少なくとも一つの位置センサ(64)が前記摺動スリーブ(61)に対応配置されていることを特徴とする、上記[6]から[11]の一つに記載の器具。
[13]
互いから軸方向距離を置いて配置されて前記位置センサ(64)と相互作用を行う二つの摺動リング(62)が前記摺動スリーブ(61)に形成されていることを特徴とする、上記[6]から[12]の一つに記載の器具。
[14]
前記ハウジング(21)に配置されているLEDランプ(66)が前記位置センサ(64)に接続され、前記ハウジング(21)に対する前記水分センサ(22)の変位の結果として前記位置センサ(64)が前記摺動リング(62)の間の領域に配置されるとすぐに、前記LEDランプによって光信号が出力されることを特徴とする、上記[13]に記載の器具。
[15]
機械的および電気的接続のため互いに対応配置されている結合部(23,33)が、前記測定手段(2)のハウジング(21)と前記測定ロッド(3)とに形成されていることを特徴とする、上記[3]から[13]の一つに記載の器具。
[16]
互いに対応配置されている回路基板(27,37)とセンタリング要素(28,38)とが前記結合部(23,33)に形成されていることを特徴とする、上記[15]に記載の器具。
[17]
前記測定ロッド(3)の長さが調節可能および固定可能であることを特徴とする、上記[2]から[16]の一つに記載の器具。
【符号の説明】
【0031】
1 器具
2 測定手段
3 測定ロッド
4 ハンドル部
5 制御・データ処理ユニット
11 ワイヤ
12 パルプ材料
21 ハウジング
22 水分センサ
23 測定手段の結合部
24 円筒空洞
24a 環状領域
25 耐摩耗支持体、測定プレート
25a 外側金属リング部
25b 内側部
25c ネジ
26,65 線
27 回路基板
28 センタリング要素/位置決め孔
31,31a 管形部品
32 クランプリング
33 測定ロッドの第1結合部
34 水準器
35 デジタルディスプレイ
36 測定ロッドの第2結合部
37 回路基板
38 センタリング要素/位置決めピン
39 データ線
41 オン/オフボタン
42 機能ボタン
43 スタートボタン
44 透明領域
46 ハンドル部の第1結合部
47 充電ソケット
51 ディスプレイ
61 摺動スリーブ
62 摺動リング
63 バネ要素
64 位置センサ
66 LEDランプ
67 シール、密封リング、密封要素
68 弾性密封カフ
69,69a 密封リング