特許第6797070号(P6797070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797070
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】赤外線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20201130BHJP
   G01J 5/48 20060101ALI20201130BHJP
   G02B 7/36 20060101ALI20201130BHJP
   G02B 7/28 20060101ALI20201130BHJP
   G03B 13/36 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   H04N5/232 120
   G01J5/48 D
   G02B7/36
   G02B7/28 H
   G03B13/36
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-90337(P2017-90337)
(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公開番号】特開2018-191072(P2018-191072A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227836
【氏名又は名称】日本アビオニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 修一
【審査官】 中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−194579(JP,A)
【文献】 特開2010−107866(JP,A)
【文献】 特開2003−241074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G01J 5/48
G02B 7/28
G02B 7/36
G03B 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線撮像素子と、
前記赤外線撮像素子に赤外線を集光するレンズと、
前記レンズに対して前記赤外線撮像素子をフォーカス方向に駆動するフォーカス駆動部と、
前記赤外線撮像素子から出力される信号に基づいて生成された赤外線撮像データを対象物の温度を示す温度データの集合体である赤外線画像データに変換する温度データ変換処理部と、
前記温度データ変換処理部から得られる前記赤外線画像データからコントラスト値を算出するコントラスト算出部と、
前記コントラスト算出部から前記コントラスト値を取得しながら前記フォーカス駆動部を駆動制御するフォーカス制御部と
を具備する赤外線撮影装置であり、
前記フォーカス制御部は、
前記赤外線撮像素子をフォーカス方向に所定の距離を高速で駆動した後、前記赤外線撮像素子を所定の整定時間が経過するまで一時停止をすべく前記フォーカス駆動部を駆動制御する粗シークを実行した後に、前記コントラスト算出部から前記コントラスト値を取得し、
現在のコントラスト値が直前の前記粗シークの時点におけるコントラスト値より小さくなった時点で前記粗シークを終了し、
前記粗シークを終了させた後、前記赤外線撮像素子をフォーカス方向に所定の距離にて低速で駆動すべく前記フォーカス駆動部を駆動制御する微シークを実行しながら前記コントラスト算出部から前記コントラスト値を取得し、
現在のコントラスト値が直前の前記微シークにおけるコントラスト値より小さく、かつ、前記粗シークの終了時点におけるコントラスト値より大きい場合に前記微シークを終了する、
赤外線撮影装置。
【請求項2】
前記フォーカス制御部は、前記粗シークにおいて、前記赤外線撮像素子を焦点深度の2倍以上4倍以下の距離で高速駆動する、
請求項1に記載の赤外線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス機能を有する赤外線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人が開発し、製造販売している赤外線撮影装置は、離れた対象物の温度を測定することが可能であり、様々な現場や用途に利用されている。
例えば製鉄所では、レールにぶら下げられ、溶融した鉄が充填されている取鍋の表面温度を遠距離から非接触で計測することで、コンクリートの内鍋の削れ具合を監視する。
また、建造物の外壁を赤外線撮影装置で撮影し、外壁の温度上昇のムラが生じている箇所から、建造物の外壁の剥離箇所を推測することが行われている。
【0003】
本発明に関係すると思われる先行技術文献として、特許文献1が挙げられる。この特許文献1には、発熱体の移動方向を確実に検出し、自動的に撮影のための信号を生成する熱画像撮影システム及び熱画像撮影装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−198254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
赤外線撮影装置にオートフォーカス機能を実装しようとすると、可視光カメラとは異なり、撮像素子が温度変化に追従するまでに時間がかかる。このため、可視光カメラに近い感覚でオートフォーカス機能を実現することが極めて困難であった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、迅速なオートフォーカス機能を備えた赤外線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の赤外線撮影装置は、赤外線撮像素子と、赤外線撮像素子に赤外線を集光するレンズと、レンズに対して赤外線撮像素子をフォーカス方向に駆動するフォーカス駆動部と、赤外線撮像素子から出力される信号に基づいて生成された赤外線撮像データを対象物の温度を示す温度データの集合体である赤外線画像データに変換する温度データ変換処理部と、温度データ変換処理部から得られる赤外線画像データからコントラスト値を算出するコントラスト算出部と、コントラスト算出部からコントラスト値を取得しながらフォーカス駆動部を駆動制御するフォーカス制御部とを具備する。
フォーカス制御部は、赤外線撮像素子をフォーカス方向に所定の距離を高速で駆動した後、赤外線撮像素子を所定の整定時間が経過するまで一時停止をすべくフォーカス駆動部を駆動制御する粗シークを実行する。その後、コントラスト算出部からコントラスト値を取得し、現在のコントラスト値が直前の粗シークの時点におけるコントラスト値より小さくなった時点で粗シークを終了する。そして、粗シークを終了させた後、赤外線撮像素子をフォーカス方向に所定の距離にて低速で駆動すべくフォーカス駆動部を駆動制御する微シークを実行しながらコントラスト算出部からコントラスト値を取得し、現在のコントラスト値が直前の微シークにおけるコントラスト値より小さく、かつ、粗シークの終了時点におけるコントラスト値より大きい場合に微シークを終了する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の赤外線撮影装置によれば、従来製品と比べて大幅に迅速なオートフォーカス機能を実現することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の例である、赤外線撮影装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】制御部のソフトウェア機能を示すブロック図である。
図3】フォーカス制御部が実行するフォーカス制御の、処理の流れを示すフローチャートである。
図4】粗シークと微シークにおける赤外線撮像素子の位置とコントラスト値の対応関係を示す模式的なグラフである。
図5】粗シークと微シークにおける赤外線撮像素子の位置とコントラスト値の対応関係を示す模式的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[赤外線撮影装置:ハードウェア構成]
図1は、本発明の実施形態の例である、赤外線撮影装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態に係る赤外線撮影装置101は、可視光カメラや従来の赤外線撮影装置とは異なり、レンズ102を固定し、赤外線撮像素子103をステッピングモータ104とリードスクリュー105でフォーカス方向に駆動する。従来の赤外線撮影装置ではレンズ102を駆動していたが、赤外線撮像素子103の方がレンズ102に比べて軽いので、高速な駆動制御が可能となる。また、フォーカス駆動機構を構成する、ステッピングモータ104やリードスクリュー105等の機械部品の負担を軽減し、部品の長寿命化を実現することが可能になる。
【0011】
キャリッジ111には、赤外線撮像素子103とバッファアンプ107とA/D変換器108が載置されている。ステッピングモータ104によってリードスクリュー105を回転駆動すると、キャリッジ111はリードスクリュー105に嵌合する突出片110aを通じてリードスクリュー105の長手方向に駆動される。
駆動対象となる構成物は、プリント基板上に固定された赤外線撮像素子103のみとすることも、また、赤外線撮像素子103の出力を増幅するバッファアンプ107や周波数帯域を制限する図示しないローパスフィルタ、アナログ出力をデジタル出力に変換するA/D変換器108を含むアナログフロントエンドを含めた構成とすることも可能である。
【0012】
赤外線撮像素子103の出力信号はバッファアンプ107によって増幅される。バッファアンプの出力信号はA/D変換器108によって赤外線撮像データに変換される。赤外線撮像データはFPGA(field-programmable gate array)106に入力される。また、FPGA106には1画面分のデジタル赤外線画像データを蓄積するフレームバッファ120も接続されている。FPGA106は、マイコンよりなる制御部110では処理が困難な、大量のデータ処理を実行して、赤外線撮像データを対象物の温度を示す温度データの集合体である赤外線画像データに変換する。この大量のデータ処理には、赤外線撮像素子103を構成する個々の温度データに存在する感度のばらつきを均一化する演算処理の他、後述するコントラスト値の演算処理が含まれる。
【0013】
フレームバッファ120から得られる赤外線画像データはFPGA106を通じて外部に出力される。赤外線撮像素子103はステッピングモータ104とリードスクリュー105によってフォーカス方向に駆動される。フォーカス駆動範囲は、フォトインタラプタ109a、109bによって規制される。
なお、フォーカス駆動範囲を規制する手段は、フォトインタラプタ109a、109bに限られない。例えばマイクロスイッチ等の他のセンサを用いる他、フォーカス駆動機構のメカストップをステッピングモータ104に流れる電流の変化で検出する等が考えられる。
ステッピングモータ104とリードスクリュー105は、赤外線撮像素子103が載置されているキャリッジ111をフォーカス方向に駆動するフォーカス駆動部と総称することができる。
【0014】
制御部110にはFPGA106が接続される他、前述のフォトインタラプタ109a、109bが接続される。更に、制御部110には外部から制御指示情報が入力される。
制御部110には、ステッピングモータ104を駆動するモータドライバ112が接続されている。
制御部110は、外部から制御指示情報の一種であるフォーカス制御命令を受信すると、FPGA106にて算出された画像コントラスト値を参照するとともに、モータドライバ112を通じてステッピングモータ104を制御することで、フォーカス制御を実現する。
【0015】
[制御部110:ソフトウェア機能]
図2は、制御部110のソフトウェア機能を示すブロック図である。
A/D変換器108から出力される赤外線撮像データは、FPGA106に含まれている温度データ変換処理部207によって、赤外線画像データに変換される。コントラスト算出部202は、赤外線画像データを読み込み、1フレーム分の赤外線画像データにおけるコントラスト値を算出する。
フォーカス制御部201は、コントラスト算出部202が算出した1フレーム分の赤外線画像データにおけるコントラスト値を、FPGA106から読み出す。例えば、1フレーム分の赤外線画像データを読み込むと、コントラスト算出部202では、予め指定された領域に相当するデータについて、微分値の絶対値(ある画素の出力値と2つ離れた画素の出力値との差を計算し、負の値であれば正の値へ転換する)を算出する。そして、微分値の絶対値の積算値を取得して、これをコントラスト値とする。なお、このコントラスト値算出処理は制御部110で行っても良い。指定する領域の一例として、画面中心の横1ラインの場合や、画面中央のn×n画素領域(nは20〜200程度の整数)がある。
【0016】
フォーカス制御部201は、フォトインタラプタ109a、109bの出力信号と、ステッピングモータ104に供給したステップパルスの数を計数するステッパカウンタ203の値で、赤外線撮像素子103の位置を把握する。そして、外部からフォーカス制御の実行を指示する制御指示情報を受信すると、コントラスト算出部202からコントラスト値を取得し、直前コントラスト値メモリ204にコントラスト値を記憶しながら、赤外線撮像素子103を高速に移動する粗シークモードを実行する。この粗シークモードの際、フォーカス制御部201は固定値である閾値205とコントラスト値の大小関係を参照する。所定の条件を満たしたら、フォーカス制御部201はその時点のコントラスト値を粗シークコントラスト値メモリ206に記憶した上で、粗シークモードよりも赤外線撮像素子103を低速に移動する微シークモードに移行して、コントラスト値のピークを示す位置を探索する。
フォトインタラプタ109a、109bの出力信号は、赤外線撮像素子位置の校正及び、あるいはシーク範囲の制限に使用される。赤外線撮像素子の原点位置は例えば、フォトインタラプタ109aの出力が変化した(例えば、論理信号レベルのHighからLow)位置に基づいて決定され、フォトインタラプタ109bの出力が変化した位置を、これ以上シークを行わないシークの強制終了位置とする。
【0017】
[フォーカス制御部201:ソフトウェア機能]
図3は、フォーカス制御部201が実行するフォーカス制御の、処理の流れを示すフローチャートである。
フォーカス制御部201は、外部からの指示を受けてフォーカス制御処理を開始すると(S301)、先ず赤外線撮像素子103が載置されているキャリッジ111を現在の位置から近い側のシーク端へシークする(S302)。次に、フォーカス制御部201はコントラスト算出部202から現在のコントラスト値を取得する。そして、得られたコントラスト値を直前コントラスト値メモリ204に保存する(S303)。
フォーカス制御部201は、ステップS303を終了した時点から、粗シークモードになる。
【0018】
次に、フォーカス制御部201はキャリッジ111に対し、高速な移動と一時停止を繰り返す、粗シークを実行する(S304)。キャリッジ111に対する粗シーク(1回あたりの移動)の距離は、焦点深度の2倍以上から4倍以下が好ましい。粗シークの距離がこの範囲より短いと、フォーカス制御速度の向上が見込めない。逆に、粗シークの距離がこの範囲より長いと、粗シークモード後の微シークモードで必要以上に時間が掛かってしまい、逆にフォーカス制御速度が低下する場合が生じる。
【0019】
次に、フォーカス制御部201は垂直同期信号2回分(2フレーム分)の時間を待った後、コントラスト算出部202から現在のコントラスト値を取得する(S305)。
キャリッジ111の粗シークにおける一時停止は、赤外線撮像素子103出力の正確な計測に必要な整定時間である。フォーカス駆動時に入力する赤外線光量は赤外線撮像素子103の位置変化に応じて瞬間的に変化するものの、赤外線撮像素子103の応答時間が10msec程度と長いため、赤外線の受光量を正確に計測することができない。各々の停止位置における赤外線の受光量を赤外線撮像素子103が正しく計測するために、2フレーム分の整定時間を設けている。赤外線撮像素子のフレーム周期は通常16.7msec程度であるため、2フレーム分の時間を設定しておけば前述の応答時間より十分に長い時間が確保できる。
【0020】
次に、フォーカス制御部201は、キャリッジ111の粗シークをこのまま継続すべきか(粗シークモードを維持し続けるか)、それとも微シークモードに移行すべきかを判定する(S306)。判定の条件は、以下の通りである。
<1>ステップS305で取得した現在のコントラスト値(以下「現在コントラスト値」と略す)が閾値205より大きく、かつ
<2>直前コントラスト値メモリ204に保存されているコントラスト値(以下「直前コントラスト値」と略す)が閾値205より大きく、かつ
<3>現在コントラスト値が直前コントラスト値より小さい。
なお、図3のステップS306の「&&」は論理積の「かつ」を意味している。
【0021】
フォーカス制御は、コントラスト値のピークを探索する作業である。ところで、先に説明したように、コントラスト算出部202は赤外線画像データの一部からサンプルを抜き出して、微分演算を行う。このため、コントラスト算出部202が算出したコントラスト値には往々にしてノイズが含まれることがある。そこで、コントラスト値のピーク値を探索する処理がノイズによって左右されないようにするため、コントラスト値が所定の閾値205を上回った値である、という条件を定めている。これが上記の条件<1>及び<2>である。
フォーカス位置の探索動作は、粗シークを継続するに連れて徐々に上昇するコントラスト値が、直前コントラスト値より現在コントラスト値が下回った時点で粗シークを停止する。これが上記の条件<3>である。
【0022】
上記<1>、<2>及び<3>の条件をすべて満たした場合には(S306のYES)、フォーカス制御部201は粗シークモードを終了する条件が整ったと判断して、ステップS308へ移行する。そうでない場合、すなわち<1>、<2>または<3>の何れか一つでも満たさなかった場合には(S306のNO)、ステップS305でコントラスト算出部202から取得した現在コントラスト値を直前コントラスト値メモリ204に保存する(S307)。そして、ステップS304から再度粗シークを継続する。
【0023】
ステップS306で上記<1>、<2>及び<3>の条件をすべて満たした場合には(S306のYES)、フォーカス制御部201は粗シークモードを終了する条件が整ったと判断して、現在コントラスト値を粗シークコントラスト値メモリ206に保存する(S308)。なお、この時点で、粗シークコントラスト値メモリ206に保存されたコントラスト値(以下「粗シークコントラスト値」と略す)は、ステップS306の条件をクリアしているので、必ず閾値205より大きい値である。
フォーカス制御部201は、ステップS308を終了した時点から、微シークモードになる。
【0024】
次に、フォーカス制御部201は、粗シークの時とは逆方向に赤外線撮像素子103が載置されているキャリッジ111を低速で駆動する、微シーク移動を実行して(S309)、コントラスト算出部202から現在のコントラスト値を取得する(S310)。赤外線撮像素子103が載置されているキャリッジ111を低速で駆動するので、ステップS304及びS305で行った、粗シークにおける移動と一時停止、そして整定時間待ちの繰り返しは不要である。つまり、ステッピングモータ104とリードスクリュー105で赤外線撮像素子103が載置されているキャリッジ111を低速移動させながら、赤外線画像データを読み込み、その都度(例えば、赤外線撮影装置の1フレームの周期に相当する時間間隔、60Hzの場合であれば、16.7msec間隔)コントラスト値を取得する。
【0025】
次に、フォーカス制御部201は、キャリッジ111に対する微シークモードをこのまま継続すべきか、それとも微シークモードを終了すべきかを判定する(S311)。判定の条件は、以下の通りである。
<4>ステップS310で取得した現在コントラスト値が直前コントラスト値より小さく、かつ
<5>現在コントラスト値が粗シークコントラスト値より大きい。
【0026】
ステップS308の時点では、赤外線撮像素子103はコントラスト値が最大を示すフォーカス位置(以下「フォーカス最適位置」と略す)を通り過ぎている。そこで、ステップS309で赤外線撮像素子103を逆方向に駆動して、通り過ぎたフォーカス最適位置の探索を行う。この時、ノイズがなければ、フォーカス最適位置に至る迄は、現在コントラスト値の方が直前コントラスト値より大きい。これが上記の条件<4>である。しかし、ノイズが混入すると、本来のフォーカス最適位置に至っていないにもかかわらず、条件<4>を満たしてしまう可能性が考えられる。
そこで、現在コントラスト値が必ず閾値205より大きい値である粗シークコントラスト値より大きければ、現在コントラスト値がノイズの影響で小さくなったのではないと判断できる。これが上記の条件<5>である。
【0027】
上記<4>及び<5>の条件をすべて満たした場合には(S311のYES)、フォーカス制御部201は微シークを終了する条件が整ったと判断して、一連の処理を終了する(S314)。
ステップS311において、<4>または<5>の何れかまたは両方を満たさなかった場合には(S311のNO)、フォーカス制御部201は次に、現在コントラスト値が閾値205より大きいか、確認する(S312)。現在コントラスト値が閾値205より大きいならば(S312のYES)、現在コントラスト値はノイズではないので、ステップS310でコントラスト算出部202から取得した現在コントラスト値を直前コントラスト値メモリ204に保存する(S313)。そして、ステップS309から再度微シークを継続する。
【0028】
ステップS312において、現在コントラスト値が閾値205以下であるならば(S312のNO)、現在コントラスト値はノイズであるので、ステップS313の処理を行わずに、ステップS309から再度微シークを継続する。
【0029】
図4Aは、粗シークにおける赤外線撮像素子103の位置とコントラスト値の対応関係を示す模式的なグラフである。横軸は赤外線撮像素子103の位置であり、縦軸はコントラスト値である。
図4Bは、微シークにおける赤外線撮像素子103の位置とコントラスト値の対応関係を示す模式的なグラフである。図4Aの頂点部分を拡大したものである。
なお、図4A及び図4Bと、後述する図4Cにおいて、フォーカス最適位置をP401として示す。
赤外線撮像素子103がグラフの左側から右側へ、粗シーク移動と2フレーム分の一時停止を繰り返しながら移動すると、コントラスト値が徐々に上昇する。
m−1回目(mは自然数)の粗シーク動作において、m−1回目P402のコントラスト値はm−2回目P403のコントラスト値よりも大きい。よって、この時点では粗シークを継続する(S306のNO)。
m回目P404の粗シーク動作において、m回目P404のコントラスト値はm−1回目P402のコントラスト値よりも小さい。よって、この時点では粗シークを終了する(S306のYES)。
【0030】
図4Bは、微シークにおける赤外線撮像素子103の位置とコントラスト値の対応関係を示す模式的なグラフである。図4Aの頂点部分を拡大したものである。
粗シークでは赤外線撮像素子103がグラフの左側から右側へ移動していた。そして、最後の粗シークで赤外線撮像素子103はフォーカス最適位置を通り過ぎている(P404)。そこで、微シークは粗シークの逆方向、つまりグラフの右側から左側へ移動する。その際、粗シークの最後の位置のコントラスト値を粗シークコントラスト値メモリ206に記憶しておく。
赤外線撮像素子103がグラフの右側から左側へ、微シーク移動すると、コントラスト値が徐々に上昇する。
【0031】
図4Bにおいて、粗シークにおけるm回目P404のコントラスト値は、微シークにおけるn=1回目(nは自然数)のコントラスト値である。
n=2回目の粗シーク動作において、n=2回目P405のコントラスト値はn=1回目P404のコントラスト値よりも大きい。よって、この時点では微シークを継続する(S311のNO)。
現在コントラスト値より直前コントラスト値が小さくなった地点が、フォーカス最適位置P401を僅かに通り過ぎた地点となる。
【0032】
粗シークの動作には、二通りのパターンがある。
図5Aは、粗シークにおける赤外線撮像素子103の位置とコントラスト値の対応関係を示す模式的なグラフである。横軸は赤外線撮像素子103の位置であり、縦軸はコントラスト値である。
図5Bは、微シークにおける赤外線撮像素子103の位置とコントラスト値の対応関係を示す模式的なグラフである。図5Aの頂点部分を拡大したものである。
図4A及び図4Bと、図5A及び図5Bの異なる点は、フォーカス最適位置の場所である。
図4A及び図4Bでは、フォーカス最適位置P401は、m−1回目P402とm回目P404との間にある。つまり、m回目の粗シークの段階で、フォーカス位置はフォーカス最適位置P401を通過している。
一方、図5A及び図5Bでは、フォーカス最適位置P501は、m−1回目P502とm−2回目P503との間にある。つまり、m−1回目の粗シークの段階で、既にフォーカス位置はフォーカス最適位置P401を通過している。
しかし、何れの場合でも、図3のステップS309からS311における微シークでフォーカス最適位置P401を捉えることができる。
【0033】
本発明の実施形態においては、赤外線撮影装置101を開示した。
赤外線撮影装置101におけるフォーカス探索を、赤外線撮像素子103を高速に駆動して一時停止を行う粗シークと、赤外線撮像素子103を低速に駆動する微シークの組み合わせで実現した。可視光カメラとは異なり、赤外線撮像素子103は温度変化に対する追従性に劣るので、高速駆動には一時停止と待機時間を設けた。また、粗シークの駆動距離を焦点深度の2倍以上4倍以下に規定することで、適切な高速フォーカス駆動が実現できる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、更にはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0035】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の揮発性あるいは不揮発性のストレージ、または、ICカード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0036】
101…赤外線撮影装置、102…レンズ、103…赤外線撮像素子、104…ステッピングモータ、105…リードスクリュー、106…FPGA、107…バッファアンプ、108…A/D変換器、120…フレームバッファ、109a、109b…フォトインタラプタ、110…制御部、111…キャリッジ、112…モータドライバ、201…フォーカス制御部、202…コントラスト算出部、203…ステッパカウンタ、204…直前コントラスト値メモリ、205…閾値、206…粗シークコントラスト値メモリ、207…温度データ変換処理部
図1
図2
図3
図4
図5