特許第6797072号(P6797072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797072
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20201130BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B60R21/264
   B01J7/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-91317(P2017-91317)
(22)【出願日】2017年5月1日
(65)【公開番号】特開2018-188001(P2018-188001A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】山本 紘士
(72)【発明者】
【氏名】藪田 幹夫
【審査官】 鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−160252(JP,A)
【文献】 特開2003−89339(JP,A)
【文献】 特開2012−86839(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/42010(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/51673(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/221176(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/288574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、前記天板と軸方向に対向する位置にある底板と、前記天板と前記底板の間にあるガス排出口が形成された周壁部からなるハウジンングを有しており、
前記ハウジンング内が、軸方向および半径方向に仕切るように配置された隔壁によって、第1ガス発生剤が収容された前記天板側の第1燃焼室と、第2ガス発生剤が収容された前記底板側の第2燃焼室に分離されており、
前記底板には、前記第1ガス発生剤を着火燃焼させる第1点火器と、前記第2ガス発生剤を着火燃焼させる第2点火器が配置されており、
前記隔壁が、前記第1燃焼室と前記第2燃焼室を連通させるための連通孔を有する、前記第1点火器を包囲する筒状部と、前記筒状部の前記天板側の第2開口部から半径方向外側に伸ばされた環状部を有しているものであり、
前記筒状部の第2開口部とは軸方向反対側の第1開口部が前記第1点火器に当接され、前記環状部の外周縁部が前記ハウジングの周壁部に当接されていることで前記第1燃焼室と前記第2燃焼室が分離されているものである、ガス発生器。
【請求項2】
前記第1点火器がハウジングの中心軸から偏在されており、
前記隔壁の筒状部が、第1開口部が半径方向内側に突き出された環状内側突出部を有しており、
前記隔壁の環状部が、前記筒状部の第2開口部から半径方向外側に向かって、前記底板に沿う方向に形成された環状平面部と、前記環状平面部から前記天板方向に傾斜した環状傾斜面部と、前記環状傾斜面部から前記周壁部に沿う方向に形成された環状壁面部および前記環状壁面部の開口部に形成されたフランジ部を有しており、
前記環状内側突出部が前記第1点火器と前記底板に当接されており、少なくとも前記フランジ部が前記ハウジングの周壁部に当接されていることで前記第1燃焼室と前記第2燃焼室が分離されているものである、請求項1記載のガス発生器。
【請求項3】
前記環状平面部が、前記第2点火器の着火部と軸方向に対向する位置において前記天板側に突き出された凸部と前記凸部に対応する凹部を有しており、
前記第2点火器が、前記着火部を前記凹部と軸方向に対向させて配置されているものである、請求項2記載のガス発生器。
【請求項4】
前記ハウジングがディフューザシェルとクロージャシェルの組み合わせからなるものであり、
前記ディフューザシェルが、天板、ガス排出口を有する第1周壁部、前記天板に対向する第1開口部からなり、前記第1周壁部が、前記ガス排出口と前記第1開口部の間において、前記ガス排出口が形成された部分の内径(d1)と前記第1開口部に繋がる部分の内径(d2)の違い(d2>d1)による環状面部を有しているものであり、
前記クロージャシェルが、底板、第2周壁部、前記底板に対向する第2開口部からなるものであり、
前記ディフューザシェルの第1周壁部内に前記クロージャシェルの第2周壁部が嵌め込まれているものであり、
前記隔壁の環状部の環状壁面部が前記クロージャシェルの第2周壁部に当接され、前記隔壁の環状部のフランジ部が、前記クロージャシェルの第2開口部の環状端面、前記ディフューザシェルの環状面部との間に挟まれているものである、請求項2記載のガス発生器。
【請求項5】
さらに筒状フィルタを有しており、前記筒状フィルタの第1端面が前記天板に当接され、第2端面が前記隔壁の環状部の環状傾斜面部に当接され、外側周面の一部が環状壁面部に当接され、前記周壁部に形成されたガス排出口との間に間隔をおいて配置されているものである、請求項2記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグなどの人員拘束装置に使用されるガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
二つの点火器と二つの燃焼室を有しているガス発生器として、燃焼室が隔壁により上下に分離されたタイプのデュアルパイロ式のものがある。
特許文献1の図1に示すガス発生器は、内部空間が分離プレート5、主燃焼室エンハンサチューブ12、第2燃焼室エンハンサチューブ13の3つの隔壁の組み合わせによって、主燃焼室1と第2燃焼室2の二つの燃焼室に分離されている。このため、部品数が多く、工数も多くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 6,199,906B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、構造が簡単で組み立ても簡単にできるガス発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、天板と、前記天板と軸方向に対向する位置にある底板と、前記天板と前記底板の間にあるガス排出口が形成された周壁部からなるハウジンングを有しており、
前記ハウジンング内が、軸方向および半径方向に仕切るように配置された隔壁によって、第1ガス発生剤が収容された前記天板側の第1燃焼室と、第2ガス発生剤が収容された前記底板側の第2燃焼室に分離されており、
前記底板には、前記第1ガス発生剤を燃焼させる第1点火器と、前記第2ガス発生剤を燃焼させる第2点火器が配置されており、
前記隔壁が、前記第1燃焼室と前記第2燃焼室を連通させるための連通孔を有する、前記第1点火器を包囲する筒状部と、前記筒状部の前記天板側の第2開口部から半径方向外側に伸ばされた環状部を有しているものであり、
前記筒状部の第2開口部とは軸方向反対側の第1開口部が前記第1点火器に当接され、前記環状部の外周縁部が前記ハウジングの周壁部に当接されていること前記第1燃焼室と前記第2燃焼室が分離されているものである、ガス発生器を提供する。
【0006】
本発明のガス発生器は、ハウジンングの底板を下、天板を上にした状態のとき、ハウジンング内部が一つの隔壁で上下の二室に分離されているものであり、上側が第1燃焼室、下側が第2燃焼室になっている。
ハウジンングは、鉄、ステンレスなどの金属製である。
第1燃焼室内の第1ガス発生剤は第1点火器により着火燃焼され、第2燃焼室内の第2ガス発生剤は第2点火器により着火燃焼される。
第1点火器と第2点火器は、着火部を含む点火器本体が樹脂を介して金属製カラーと一体化されたものなどの公知のものが使用可能であり、いずれも底板に形成された穴に取り付けられている。
【0007】
隔壁は、筒状部と環状部を有する部品であり、鉄、ステンレスなどの金属製である。
筒状部と環状部は一体成形されたものが好ましいが、別部材の筒状部と環状部が溶接などで一体にされたものでもよい。
筒状部と環状部は、それらの寸法を調整することで、ハウジング内に圧入して固定されていてもよい。
【0008】
筒状部は、周壁部、底板側の第1開口部、天板側の第2開口部を有しており、周壁部は第1燃焼室と第2燃焼室を連通させるための1または複数の連通孔を有している。連通孔は、内側から金属製のシールテープなどの閉塞部材で閉塞されている。このため筒状部の内側から荷重や圧力がかかったときの閉塞部材の破裂圧は、外側から貼り付けられている場合と比べて大きい。
環状部は、筒状部の第2開口部から半径方向外側に伸ばされた形状のものであり、平面、曲面、段差面、または平面、曲面および段差面の組み合わせからなるものである。
筒状部は、軸方向に延在することで第1点火器を包囲して第2燃焼室から分離しており、環状部は半径方向に延在することで第1燃焼室と第2燃焼室をハウジング内で上下に分離している。
筒状部の第2開口部は第1燃焼室内に面しており、第1点火器は第1ガス発生剤と接触されているが、別に第1点火器と第1ガス発生剤の間に袋状容器などに入った伝火薬が配置されていてもよい。
【0009】
第1点火器が作動して火炎などの燃焼生成物が発生すると、第1燃焼室内の第1ガス発生剤が着火燃焼されて燃焼ガスが発生した後、ガス排出口から排出される。このとき、第1燃焼室と第2燃焼室は隔壁で仕切られ、かつ筒状部の連通孔が閉塞部材で閉塞された状態が維持されているため、第1点火器の作動により第2燃焼室内の第2ガス発生剤が着火されることはない。
第2点火器が作動して炎などの燃焼生成物が発生すると、第2燃焼室内の第2ガス発生剤が着火燃焼されて燃焼ガスが発生する。
第2燃焼室内で発生した燃焼ガスは、隔壁の筒状部に形成された連通孔の閉塞部材を破って隔壁の筒状部内に入ったあと、第1燃焼室を経由してガス排出口から排出される。
本発明のガス発生器は、筒状部と環状部が一体になった状態の隔壁により第1燃焼室と第2燃焼室が分離されているので、ガス発生器の組み立てが容易である。
また一つの隔壁により第1燃焼室と第2燃焼室が分離されており、特許文献1のガス発生器のように複数の部品間の接触部分がなく、隔壁とハウジングとの接触部分のみであるため、第1燃焼室から第2燃焼室への燃焼ガス漏れの防止が容易になる。例えば筒状部と環状部は、板材をプレス成形で一体に形成することが出来る。
さらに筒状部と環状部が一体になっていることから隔壁全体で作動時の圧力を受けるため、変形し難く、部分的に歪みが生じることもないため、第1燃焼室から第2燃焼室への燃焼ガス漏れの防止が容易になる。また環状部は、筒状部の第2開口部の変形を抑制する補強手段として機能する。さらに第1ガス発生剤からの燃焼ガスで、第1燃焼室の内部圧力が上昇したときに、環状部の環状平面部は一体となって底板方向に押されることになるため、筒状部の第1開口部とハウジングの底板との密着性が増し、第1燃焼室内の燃焼ガスが第2燃焼室内に入って誤作動することが防止される。
【0010】
本発明のガス発生器の好ましい実施形態は、前記第1点火器がハウジングの中心軸から偏在されており、
前記隔壁の筒状部が、第1開口部が半径方向内側に突き出された環状内側突出部を有しており、
前記隔壁の環状部が、前記筒状部の第2開口部から半径方向外側に向かって、前記底板に沿う方向に形成された環状平面部と、前記環状平面部から前記天板方向に傾斜した環状傾斜面部と、前記環状傾斜面部から前記周壁部に沿う方向に形成された環状壁面部および前記環状壁面部の開口部に形成されたフランジ部を有しており、
前記環状内側突出部が前記第1点火器と前記底板に当接されており、少なくとも前記フランジ部が前記ハウジングの周壁部に当接されていることで前記第1燃焼室と前記第2燃焼室が分離されているものである。
【0011】
第1点火器はハウジングの中心軸から偏在しており、隔壁は、筒状部の環状内側突出部が第1点火器(第1点火器の金属製カラー)と底板に当接されており、環状部が半径方向外側に伸ばされていることで第1燃焼室と第2燃焼室が分離されている。
隔壁が環状内側突出部と環状形斜面部を有することで、第1燃焼室の内部圧力が上昇したときに、環状内側突出部と環状部の環状平面部と環状傾斜面部は一体となって底板方向に押されることになる。よってハウジングの底板および周壁部との接触面積が増え、これらに対する密着性が増し、第1燃焼室内の燃焼ガスが第2燃焼室内に入って誤作動することが防止される。
また、第1点火器がハウジングの中心軸から偏在され、第1点火器が環状内側突出部に当接されて第1開口部に貫通されていることから、隔壁をハウジング内に取り付けた後に隔壁の回転を阻止でき、固定強度が高められる。環状内側突出部は、筒状部の第1開口部の内側に360°連続して形成されている。またフランジ部も360°連続して形成されている。
【0012】
本発明のガス発生器の好ましい実施形態は、前記環状平面部が、前記第2点火器の着火部と軸方向に対向する位置において前記天板側に突き出された凸部と前記凸部に対応する凹部を有しており、
前記第2点火器が、前記着火部を前記凹部と軸方向に対向させて配置されているものである。
【0013】
凸部とそれに対応する形状の凹部は、半球状などの曲面からなるものが好ましい。凸部は環状平面部の第1燃焼室側に形成され、凹部は環状平面部の第2燃焼室側で凸部に対応した位置に形成されている。前記凹部が曲面であると、第2点火器が作動して生じた火炎などの燃焼生成物が第2燃焼室内に拡散し易くなるので好ましい。
また上記したとおり、第1点火器が作動して第1ガス発生剤が着火燃焼されて燃焼ガスが発生し、第1燃焼室の内部圧力の上昇により軸方向両側(天板側と底板側の両方)に力が加えられたとき、環状部の環状平面部と環状傾斜面部は底板方向に押されることになる。このとき、環状平面部が底板方向に突き出すように変形しても、凹部があるため、環状平面部が第2点火器の着火部に当接することが防止されるので、第2点火器の着火部分の開裂に影響がない。
【0014】
本発明のガス発生器の好ましい実施形態は、前記ハウジングがディフューザシェルとクロージャシェルの組み合わせからなるものであり、
前記ディフューザシェルが、天板、ガス排出口を有する第1周壁部、前記天板に対向する第1開口部からなり、前記第1周壁部が、前記ガス排出口と前記第1開口部の間において、前記ガス排出口が形成された部分の内径(d1)と前記第1開口部に繋がる部分の内径(d2)の違い(d2>d1)による環状面部を有しているものであり、
前記クロージャシェルが、底板、第2周壁部、前記底板に対向する第2開口部からなるものであり、
前記ディフューザシェルの第1周壁部内に前記クロージャシェルの第2周壁部が嵌め込まれているものであり、
前記隔壁の環状部の環状壁面部が前記クロージャシェルの第2周壁部に当接され、前記前記隔壁の環状部のフランジ部が、前記クロージャシェルの第2開口部の環状端面、前記ディフューザシェルの環状面部との間に挟まれているものである。
【0015】
ハウジングは、ディフューザシェルとクロージャシェルの組み合わせからなり、ディフューザシェルの第1周壁部内にクロージャシェルの第2周壁部が嵌め込まれている。ディフューザシェルとクロージャシェルは、接触部分において溶接されている。
ディフューザシェルの第1周壁部内にクロージャシェルの第2周壁部が嵌め込まれていることで、クロージャシェルの第2開口部の環状端面はハウジング内部に位置しているため、環状端面に隔壁のフランジ部が当接されている。
さらに隔壁のフランジ部は、第2開口部の環状端面とディフューザシェルの環状面部により挟まれており、隔壁の環状壁面部はクロージャシェルの第2周壁部に当接されているので、隔壁は軸方向へも半径方向へも移動せずに固定されている。
このため、作動時の圧力が隔壁に加えられたとき、隔壁はしっかりと固定されており、ハウジングとの密着性が維持される。
【0016】
本発明のガス発生器の好ましい実施形態は、さらに筒状フィルタを有しており、前記筒状フィルタの第1端面が前記天板に当接され、第2端面が前記隔壁の環状部の環状傾斜面部に当接され、外側周面の一部が環状壁面部に当接され、前記周壁部に形成されたガス排出口との間に間隔をおいて配置されているものである。
【0017】
筒状フィルタの第2端面が半径方向外側に高くなる環状傾斜面に当接されているため、作動時に第1燃焼室内の圧力が上昇して筒状フィルタに対して半径方向外側に力が加えられたときでも、筒状フィルタの移動が阻止される。このため、筒状フィルタとハウジング周壁部のガス排出口との間隔が維持され、燃焼ガスの排出が円滑に実施されるので好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のガス発生器は、ハウジングの天板側の第1燃焼室とハウジングの底板側の第2燃焼室が軸方向および半径方向に仕切るように配置された一つの隔壁によって分離された構造であるため、組み立てが簡単である。また隔壁の変形を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のガス発生器の軸X方向断面図。
図2図1のハウジングのみを取り出した断面図で、点火器も合わせて示している。
図3図1の隔壁の断面図。
図4図1のハウジングの部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のガス発生器の一実施形態を図1図4により説明する。
ガス発生器1は、ディフューザシェル11とクロージャシェル21からなるハウジング10を有している。ディフューザシェル11とクロージャシェル21は、いずれも鉄、ステンレスなどからなるものである。
ディフューザシェル11は、天板12、第1周壁部13、第1開口部11aを有しており、第1周壁部13には周方向に均等間隔をおいて複数のガス排出口14が形成されている。第1周壁部13は第1開口部11aにフランジ部15を有している。
第1周壁部13は、ガス排出口14と第1開口部11aの間において、ガス排出口14が形成されている部分の内径(d1)と第1開口部11aに繋がる部分の内径(d2)の違い(d2>d1)による環状面部16を有している。
複数のガス排出口14は、内側から金属製のシールテープで閉塞されている。
【0021】
クロージャシェル21は、底板22、第2周壁部23と第2開口部21aを有している。
底板22には間隔をおいて二つの穴が形成されており、前記二つの穴に第1点火器32と第2点火器42が取り付けられている。
第1点火器32は、ハウジンング10の中心軸Xに近い位置に配置されてはいるが、中心軸Xから偏在している。第2点火器42は、第1点火器32と比べるとハウジンング10の中心軸Xから遠い位置に配置されている。
図1の実施形態では、第1点火器32は、第1点火器32の中心軸が中心軸Xから第2周壁部23までの距離の20〜30%の範囲に位置するように配置されている。
また図1の実施形態では、第2点火器32は、第2点火器32の中心軸が中心軸Xから第2周壁部23までの距離の40〜60%の範囲に位置するように配置されている。
【0022】
ハウジンング10は、ディフューザシェル11の第1周壁部13の第1開口部11a近傍の内側面とクロージャシェル21の第2周壁部23の第2開口部21a近傍の外側面が接触した状態で、前記接触部分において溶接固定されている。
ハウジンング10は、ディフューザシェル11内にクロージャシェル21が入り込んだ状態になっているため、図1図4に示すとおり、第2周壁部23の環状端面24がハウジング10内部に面している。
ディフューザシェル11とクロージャシェル21の接続部分には、環状面部16、環状端面24、第1周壁部13からなる環状溝18が形成されている。
【0023】
ハウジンング10内は、軸方向および半径方向に配置された隔壁50によって、天板12側の第1燃焼室30と底板22側の第2燃焼室40に分離されている。
第1燃焼室30内には、第1点火器32の着火部と接触した状態で第1ガス発生剤31が収容され、第2燃焼室40内には、第2点火器42と接触した状態で第2ガス発生剤41が収容されている。着火部は、点火薬を収容した部分で、作動の際に高温ガスや火炎などの燃焼生成物を発生する部分であって、第2ガス発生剤41はこの着火部に接触した状態で充填されている。
第1燃焼室30では、必要に応じて、第1点火器32と第1ガス発生剤31の間に袋状容器内に入れた伝火薬を配置することもできる。袋状容器は、第1点火器の作動や伝火薬の燃焼で容易に溶融、開裂、破壊をするものを使用する。
【0024】
隔壁50は、ステンレス、鉄などの金属製のものであり、図1図3に示すものは一体成形されたものである。
隔壁50は、筒状部51と環状部55を有している。
【0025】
筒状部51は、周壁部52、底板22側の第1開口部51a、軸X方向反対側の第2開口部51bを有しており、第1開口部51a側には半径方向内側に突き出された環状内側突出部53を有している。
周壁部52には、作動時に第1燃焼室30と第2燃焼室40を連通させるための連通孔54が形成されており、内側から閉塞部材となる金属製のシールテープで閉塞されている。
筒状部51の環状内側突出部53は底板22に当接され、環状内側突出部53の先端にある環状内側端面53aが第1点火器32の金属製カラーに当接されている。
【0026】
環状部55は、筒状部51の第2開口部51bから半径方向外側に向かって、底板22に沿う方向に形成された環状平面部56と、環状平面部56から天板12方向に傾斜した環状傾斜面部57と、環状傾斜面部57から周壁部(第1周壁部13および第2周壁部23)に沿う方向に形成された環状壁面部58および環状壁面部58の開口部に形成されたフランジ部59を有している。
環状部55は、環状壁面部58がクロージャシェル21の第2周壁部23に当接され、フランジ部59が環状端面24と環状面部16とで挟まれた状態で環状溝18内に位置している。
【0027】
ハウジング10内は、隔壁50の筒状部51が軸X方向に延在し、隔壁50の環状部55が半径方向に延在するによって、第1燃焼室30と第2燃焼室40が分離されている。
【0028】
隔壁50の環状平面部56は、第2点火器42の着火部と軸方向に対向する位置において天板12側に突き出された凸部と、前記凸部に対応する凹部を有するようにすることができる。前記凹部を有しているときは、第2点火器42の着火部は凹部と軸X方向に対向されるように配置される。
隔壁50は、筒状部51の環状内側突出部53(環状内側端面53a)の内径と第1点火器32の金属製カラーの外径、環状部55の外径とハウジング10の内径、隔壁50の高さなどを調整することで圧入されている。
【0029】
図1の実施形態では、筒状フィルタ70が配置されている。
筒状フィルタ70は、第1端面72が天板12に当接され、第2端面71が環状傾斜面部57に当接され、外側周面73の下部(底板22側)が環状壁面部58に当接されている。筒状フィルタ70とガス排出口14を有する第1周壁部13の間には、筒状間隙が形成されている。
図1の実施し形態では、環状傾斜面部57と軸X方向に対向する天板12も環状傾斜面部57と同形状の傾斜面になっているが、天板12は平面でもよい。
【0030】
次に、ガス発生器1の組み立て方法の一実施形態を説明する。
クロージャシェル21の底板22の二つの穴に第1点火器32と第2点火器42を取り付ける。
次に、第2燃焼室40内に第2ガス発生剤41を入れる。
次に、隔壁50を筒状部51の環状内側突出部53が底板22に当接され、環状内側端面53aが第1点火器32の金属製カラーに当接され、環状壁面部58がクロージャシェル21の第2周壁部23に当接され、フランジ部59が環状端面24に当接されるように圧入する。
次に、筒状フィルタ70を配置したあと、第1燃焼室30内に第1ガス発生剤31を入れる。
次に、ディフューザシェル11をクロージャシェル21の外側に嵌め込む。このとき、隔壁50のフランジ部59は環状溝18内において環状端面24と環状面部16との間に挟まれている。
次に、ディフューザシェル11とクロージャシェル21の接触部分を溶接する。
【0031】
図1のガス発生器1をエアバッグ装置に取り付けたときの動作を説明する。
本発明のガス発生器1は、第1点火器32が先に作動して、第2点火器42が遅れて作動する形態、あるいは第1点火器32のみが作動する形態において特に効果があるものである。以下の例では、第1点火器32が先に作動して、第2点火器42が遅れて作動する形態について説明する。
第1点火器32が先に作動したとき、第1点火器32から生じた火炎などにより第1燃焼室30内の第1ガス発生剤31が着火燃焼されて、燃焼ガスを生じさせる。
燃焼ガスは筒状フィルタ70を通ったあと、シールテープを破ってガス排出口14から排出されてエアバッグを膨張させる。
燃焼ガスにより第1燃焼室30内の圧力が高まったとき、隔壁50の環状内側突出部53は底板22に押しつけられ、環状壁面部58はクロージャシェル21の第2周壁部23に押しつけられ、フランジ部59は環状溝18内にて第1周壁部13に押しつけられる。また連通孔54は周壁部52の内側から金属製のシールテープで閉塞されているため破裂圧が高く破れないことから、第1燃焼室30から第2燃焼室40に燃焼ガスが漏れることが防止される。
また隔壁50の全体で作動時の圧力を受けること、特に第1開口部51aに環状内側突出部53と第2開口部51bに環状部55が形成さていることから隔壁全体が変形し難く、部分的に歪みが生じ難くなっていることも、第1燃焼室30から第2燃焼室40への燃焼ガス漏れ防止に寄与している。
【0032】
僅かに遅れて第2点火器42が作動して第2燃焼室40内の第2ガス発生剤41が着火燃焼されて、燃焼ガスを生じさせる。
第2点火器42は隔壁50(環状部55の環状平面部56)に対向配置され、作動時に生じた火炎などが隔壁50に衝突して拡散し易くなっており、それにより第2ガス発生剤41の着火性が向上されるため好ましい。特に隔壁50の環状平面部56に凹部が形成されて、第2点火器42の着火部と隔壁50の間に隙間が形成されている実施形態では、前記作用がより顕著に発現されるとともに、第2点火器42の着火における開裂に隔壁が干渉しないので好ましい。
第2燃焼室40で生じた燃焼ガスは、筒状部51の連通孔54を通って第1燃焼室30内に入り、筒状フィルタ70を通ったあとガス排出口14から排出されてさらにエアバッグを膨張させる。連通孔54を覆う金属製のシールテープは、第2燃焼室40側からの圧力で、周壁部52から容易に脱落する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のガス発生器は、自動車に搭載されるエアバッグ装置用として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ガス発生器
10 ハウジング
11 ディフューザシェル
12 天板
21 クロージャシェル
22 底板
30 第1燃焼室
31 第1ガス発生剤
32 第1点火器
40 第2燃焼室
41 第2ガス発生剤
42 第2点火器
50 隔壁
51 筒状部
54 連通孔
55 環状部
図1
図2
図3
図4