(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像生成手段が、前記検査領域の画像を連結することで、前記円筒体の内周面の全周を検査領域とする、入射角の異なる複数の検査領域を生成することを特徴とする請求項3記載の観察装置。
【背景技術】
【0002】
例えば、金属に代表される光沢面に存在する微小な異常部の検査では、一般的に明視野照明よりも暗視野照明による検査の方向が感度が高い。しかし、その一方で、異常部の形状と照明(光源)及びカメラの少なくとも一方の位置、並びに互いの相対位置関係によっては、異常部からの反射光がカメラの方向に向かわずに、異常部を見落とす場合がある。
【0003】
特許文献1には、検査対象物の表面を照明し、その反射光を撮像した画像を処理して、表面の凹凸異常部を検査する装置で、照明手段として異なる位置から光を照射する複数の光源を持ち、それらを交互に切り替えて照明することで、1台のカメラで複数の異なる光源の照明により撮影された画像を得ることが記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、以下の構成バリエーションが記載されている。
【0005】
(1)「明視野となる方向」と「暗視野となる方向」という組み合わせで設置する。この場合、暗視野で見えやすい異常部(キズ等)と、明視野で見えやすい異常部(汚れ等)を両方検出することができ、写り具合の比較から異常部の種類を識別することができる。
【0006】
(2)共に、「暗視野となる方向」で異なる角度から照射、という組み合わせで設置する。この場合、対象物にヘアラインと呼ばれる一定方向の微小凹凸があって異常部認識に支障をきたすような状況で、その方向が検査対象の個体ごとにランダムであるとしても、どちらか都合のよいほうの照明による画像を検査に使うことができる。
【0007】
(3)共に、「明視野となる方向」で異なる角度から照射、という組み合わせで設置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1は、複数の照明が必要であり、それぞれの照明による画像を得るために複数回の撮像が必要となり、検査時間が冗長する。
【0010】
なお、特許文献1のように、検査対象が平面であればエリアカメラ等で検査対象領域を1回で撮像できるが、例えば、円筒部材の内壁面が検査対象面であり、当該円筒部材の内方に光学系が挿入できない場合がある。
【0011】
この場合、円筒部材を回転させながら、内壁面を部分的に撮像し1周分の画像を得るといった連続撮像する必要があり、複数の照明を切り替えて撮像すると、さらに、検査時間の冗長を招くことになる。
【0012】
本発明は上記事実を考慮し、検査時間の冗長を招くことなく、入射光の角度が異なる状態で撮像した画像を生成することができる観察装置、画像解析処理制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、検査対象の検査面を照明する照明手段と、前記検査面を撮像する撮像手段と、前記検査対象又は前記照明手段の少なくとも一方を移動しながら、前記撮像手段により前記検査面を複数回に分けて撮像すると共に、各回の撮像画像領域
の暗視野領域内で固定的に設定された検査領域であっ
て、前記検査対象の検査面の法線の方向と前記照明手段が照射した光が当該検査面に入射する方向とがなす角度である入射角度が異なる複数箇所の検査領域、に位置する
同一回の撮影時期の画像をそれぞれ切り出す切り出し手段と、前記切り出し手段で切り出した、それぞれの前記検査領域の画像を撮像順に連結し、入射角度条件が異なる複数種の検査画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段で生成した複数種の検査画像に基づいて検査面の状態を解析する解析手段と、を有している。
【0014】
本発明によれば、検査対象の検査面を照明する照明手段と、前記検査面を撮像する撮像手段とを備える。
【0015】
画像解析処理として、切り出し手段は、検査対象又は前記照明手段の少なくとも一方を移動しながら、撮像手段により検査面を複数回に分けて撮像する。また、切り出し手段は、検査領域に位置する画像をそれぞれ切り出す。
【0016】
検査領域は、各回の撮像画像領域内で固定的に設定され、検査対象の検査面の法線
の方向と前記照明手段
が照射した光が当該検査面に入射する方向とがなす角度である入射角度が異なる複数箇所に存在する。
【0017】
画像生成手段は、切り出した、入射角が同一のそれぞれの検査領域の画像を撮像順に連結し、入射角度条件が異なる複数種の検査画像を生成する。
【0018】
解析手段は、生成した複数種の検査画像に基づいて検査面の状態を解析する。
【0019】
検査対象の検査面の法線と照明手段の光軸の入射角とが異なる複数箇所の検査領域を切り出すことができるため、例えば、検査状態(例えば、傷等の検出)の精度を高めることができる。
【0020】
本発明は、検査対象の検査面を照明する照明手段と、前記検査面を撮像する撮像手段と、前記検査対象を弧状に移動しながら、前記撮像手段により前記検査面を複数回に分けて撮像すると共に、各回の撮像画像領域
の暗視野領域内で固定的に設定された検査領域であっ
て、前記検査対象の検査面の法線の方向と前記照明手段が照射した光が当該検査面に入射する方向とがなす角度である入射角度が異なる複数箇所の検査領域、に位置する
同一回の撮影時期の画像をそれぞれ切り出す切り出し手段と、前記切り出し手段で切り出した、前記入射角度が同一のそれぞれの前記検査領域の画像を撮像順に連結し、入射角度条件が異なる複数種の検査画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段で生成した複数種の検査画像に基づいて検査面の状態を解析する解析手段と、を有している。
【0021】
本発明によれば、検査対象の検査面を照明する照明手段と、前記検査面を撮像する撮像手段とを備える。
【0022】
画像解析処理として、切り出し手段は、検査対象又は前記照明手段の少なくとも一方を移動しながら、撮像手段により検査面を複数回に分けて撮像する。また、切り出し手段は、検査領域に位置する画像をそれぞれ切り出す。
【0023】
検査領域は、各回の撮像画像領域内で固定的に設定され、検査対象の検査面の法線
の方向と前記照明手段
が照射した光が当該検査面に入射する方向とがなす角度である入射角度が異なる複数箇所に存在する。
【0024】
画像生成手段は、切り出した、入射角が同一のそれぞれの前記検査領域の画像を撮像順に連結し、入射角度条件が異なる複数種の検査画像を生成する。
【0025】
解析手段は、生成した複数種の検査画像に基づいて検査面の状態を解析する。
【0026】
検査対象の検査面の法線と照明手段の光軸の入射角とが異なる複数箇所の検査領域を切り出すことができるため、例えば、検査状態(例えば、傷等の検出)の精度を高めることができる。
【0027】
本発明は、円筒体の外部から内周面に向けて、固定された光軸で照明する照明手段と、前記照明手段の照明の反射光を用いて、暗視野照明による画像を撮像する撮像手段と、前記円筒体を軸周りに回転させながら、前記撮像手段により前記内周面を覗き込むように前記内周面の全周を複数回に分けて撮像すると共に、各回の撮像画像領域
の暗視野領域内で固定的に設定された検査領域であっ
て、前記内周面の法線の方向と前記照明手段が照射した光が当該内周面に入射する方向とがなす角度である入射角度が異なる複数箇所の検査領域、に位置する
同一回の撮影時期の画像をそれぞれ切り出す切り出し手段と、前記切り出し手段で切り出した、前記入射角度が同一のそれぞれの前記検査領域の画像を撮像順に連結し、入射角度条件が異なる複数種の検査画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段で生成した複数種の検査画像に基づいて検査面の状態を解析する解析手段と、を有している。
【0028】
本発明によれば、円筒体の内周面に向けて、固定された光軸で照明する照明手段と、前記照明手段の照明の反射光を用いて、暗視野照明による画像を撮像する撮像手段とを備える。
【0029】
画像解析処理として、切り出し手段は、円筒体を軸周りに回転させながら、前記撮像手段により前記内周面を覗き込むように前記内周面の全周を複数回に分けて撮像する。また、切り出し手段は、検査領域に位置する画像をそれぞれ切り出す。
【0030】
検査領域は、各回の撮像画像領域内で固定的に設定され、内周面の法線
の方向と前記照明手段
が照射した光が当該内周面に入射する方向とがなす角度である入射角度が異なる複数箇所に存在する。
【0031】
画像生成手段は、切り出した、入射角が同一のそれぞれの前記検査領域の画像を撮像順に連結し、入射角度条件が異なる複数種の検査画像を生成する。
【0032】
解析手段は、生成した複数種の検査画像に基づいて検査面の状態を解析する。
【0033】
内周面の法線と照明手段の光軸の入射角とが異なる複数箇所の検査領域を切り出すことができるため、例えば、検査状態(例えば、傷等の検出)の精度を高めることができる。
【0034】
本発明において、前記画像生成手段が、前記検査領域の画像を連結することで、前記円筒体の内周面の全周を検査領域とする、入射角の異なる複数の検査領域を生成することを特徴としている。
【0035】
検査領域を連結することで、円筒体の内周面の全周を検査領域とすることができる。
【0036】
本発明は、コンピュータを、観察装置の切り出し手段、画像生成手段、及び解析手段として動作させる、
【0037】
画像解析処理制御プログラムである。
【発明の効果】
【0038】
以上説明した如く本発明では、検査時間の冗長を招くことなく、入射光の角度が異なる状態で撮像した画像を生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1には、第1の実施の形態に係る観察装置10が示されている。観察装置10は、位置決め装置12と、画像処理装置14とを備えている。
【0042】
図2に示される如く、位置決め装置12は、回転テーブル16の検査台18に、検査対象である円筒体20が位置決めされている。
【0043】
回転テーブル16は、回転軸16Aがパルスモータ22(
図1参照)に連結されており、このパルスモータ22の駆動で回転軸16Aを中心に回転(間欠回転)するようになっている。
【0044】
図3に示される如く、検査台18に位置決めされた円筒体20は、回転軸16Aと同軸となるように位置決めされており、回転テーブル16の回転に伴って、円筒体20が軸回転する。この場合、パルスモータ22を駆動させるパルス数に基づき、回転テーブル16を間欠に回転させる。なお、パルスモータ22は、理論的にパルス信号に基づいて、常に間欠に回転(以下、間欠回転という)するものであるが、ここでの「間欠に回転」とは、予め定めたパルス毎に回転及び停止を繰り返すことを言う。一例として、後述する実施例(
図7参照)における、2.88°毎の回転及び停止の繰り返しを間欠回転という。
【0045】
図2に示される如く、回転テーブル16の上方には、撮像手段としてのカメラ24と、照明手段としての1個の光源26が配置されている。
【0046】
カメラ24の撮像光軸は、撮像する領域の一部が、円筒体20の上端開口から内周面20Aを覗き込んで撮像可能となるように設定されている。
【0047】
また、光源26は、カメラ24で撮像可能な円筒体20の内周面20Aを含む領域を照明する。なお、光源26から照射される光は、拡散光であることが望ましい。或いは、拡散光の光束の光軸周りのごく一部で、カメラ24で撮像可能な円筒体20の内周面20Aを含む領域を照明するようにしてもよい。
【0048】
パルスモータ22の駆動、及び光源26の点灯は、画像処理装置14(
図1参照)によって制御される。
【0049】
図1に示される如く、画像処理装置14は、マイクロコンピュータ28を備えている。
【0050】
マイクロコンピュータ28は、CPU28A、RAM28B、ROM28C、入出力ポート(I/O)28D、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス28Eを備える。
【0051】
I/O28Dには、照明制御部30を介して光源26が接続され、また、駆動制御部32を介してパルスモータ22が接続されている。さらに、I/O28Dには、カメラ24及びハードディスク34が接続されている。
【0052】
画像処理装置14では、回転テーブル16(
図2参照)の検査台18に円筒体20が位置決めされると、照明制御部30の制御により光源26を点灯させた状態で、駆動制御部32の制御によりパルスモータ22を所定パルス単位で間欠回転させる。この間欠回転の静止状態で、カメラ24による撮像を実行する。間欠回転は、1周(360°)を整数分割された角度毎が好ましい。なお、カメラ24の解像度、シャッタースピード等に依存するが、回転テーブル16を連続回転させて動画として撮像し、必要な画像コマを選択するようにしてもよい。
【0053】
カメラ24で撮像した間欠回転の静止状態毎の画像データは、画像処理装置14のハードディスク34に一時的に格納される。なお、画像データの記憶先は、ハードディスク34に限定されず、SDカードに代表されるICメモリであってもよい。
【0054】
また、画像処理装置14では、回転テーブル16の1周(360°)分の複数の画像データが揃うまで回転すると、CPU28Aで実行される画像処理制御プログラムによって、ハードディスク34に格納した画像データを読み出して、画像処理(画像解析処理)が実行される。
【0055】
画像解析処理は、各画像データから暗視野領域を特定する第1工程、特定した暗視野領域から検査領域を切り出す第2工程、撮像順に検査領域を連結する第3工程、連結した画像に対して背景差分処理等の画質を調整する第4工程、連結した検査領域の画像の濃度(輝度)に基づき傷等の有無及び位置を抽出する第5工程、及び検査結果に関する情報を外部へ出力する第6工程を含む。
【0056】
第1工程は、
図4(A)に示される撮像画像領域36の中から、点線矩形枠で示される複数の暗視野領域38A、38Bを特定する工程である。暗視野領域38A、38Bは、カメラ24で撮像した画像において、正常な表面ではカメラ24に光が届かない領域であり、逆に傷等があると光が届き、傷等の検査が可能となる(
図4(B)参照)。但し、暗視野領域38A、38Bであっても、傷等の形状と光の入射角度条件によっては、光がカメラ24に届かない場合がある。光の入射角度条件が同じとみなせる領域は、特定した暗視野領域38A、38Bよりも一般的に狭い。
【0057】
第2工程は、
図4(A)に示される暗視野領域38A、38Bのそれぞれから、実線矩形枠で示される検査領域40A、40Bを切り出す工程である。検査領域40A、40Bは、暗視野領域38A、38Bの中で、光の入射角度条件が同じとみなせる領域であり、円筒体20の回転(間欠回転)により、順次周方向の異なる内周面20Aが配置され、この同一の検査領域40A、40B内の画像を切り出していく。ここで、検査領域40A、40Bにおいては、光の入射角度条件が異ならせることが必須である。
【0058】
以下、本明細書では、暗視野領域38A、38Bを含む複数の暗視野領域を総称する場合、「暗視野領域38という。また、検査領域40A、40Bを含む複数の検査領域を総称する場合、「検査領域40」という。
【0059】
図4(A)では、1つの暗視野領域38A(又は38B)から1つの検査領域40A(又は40B)を切り出しているが、例えば、1つの暗視野領域38Aから複数の検査領域40A、40Bを切り出してもよい。
【0060】
複数のそれぞれの検査領域40は、円筒体20の内周面20Aの円弧面であることで、それぞれ光源26からの光の入射角度が異なることになり、条件の異なる検査領域40ということができる。
【0061】
すなわち、第1の実施の形態では、1回(1周)のカメラ24による撮像、かつ1個の光源による照明で、同じ円筒体20の内周面20Aを、異なる条件(光の入射角が異なる条件)で、i種類の検査領域(iは切り出し数に相当)を切り出すことができる。
【0062】
第3工程は、
図4(C)に示される如く、前記第2工程で切り出した条件の異なる複数種の検査領域40毎に、同一種類の検査領域40の画像を撮像順に連結する工程である。なお、
図4(C)では同一条件の2個の検査領域40Aを連結する状態を示している。このとき、検査領域40Aの幅と間欠回転とのステップ角(Δθ)に相当する移動量と一致させ、双方(
図4(C)に示す画像1及び画像2参照)から切り出した画像(検査領域40A)を並べると、うまく連結できる。
【0063】
この連結を円筒体20の1周分実行することで、円筒体20の内周面20Aの全周を検査領域40Aとすることができる。この第3工程を条件の異なるi種類の検査領域40で実行し、i種類の全周の検査領域40を生成する。
【0064】
第4工程は、第3工程で連結した、円筒体20の内周面20Aの全周分の検査領域40の傷等の検査が明瞭となるような画質調整(例えば、背景差分処理等)を実行する工程である。
【0065】
第5工程は、画質調整後の円筒体20の内周面20Aの全周分の検査領域40の濃度(輝度)に基づき、傷等の有無を抽出すると共に、検出した傷等の位置を特定する工程である。
【0066】
第6工程は、検査結果に関する情報を、外部の出力デバイス(モニタ、プリンタ、ランプ、スピーカ等)へ出力し、検査結果を報知する工程である。
【0067】
以下に、第1の実施の形態の作用を、
図5及び
図6のフローチャートに従い説明する。
【0068】
図5は、第1の実施の形態に係る観察装置10における、円筒体20の内周面20Aの傷検査工程の流れを示すメインルーチンである。
【0069】
ステップ100では、検査台18の円筒体20への位置決めが完了し、検査開始の指示があったか否かを判断する。このステップ100で否定判定された場合は、このルーチンは終了する。また、ステップ100で肯定判定されると、ステップ102へ移行して光源26を点灯し、次いでステップ104へ移行して画像(静止画)を撮像して、ステップ106へ移行する。
【0070】
ステップ106では、撮像した画像データをハードディスク34等に一時的に格納し、次いでステップ108へ移行して、パルスモータ22を駆動して、回転テーブル16を所定角度回転させる。回転テーブル16の回転に伴って、検査台18に位置決めされている円筒体20も同軸で回転する。
【0071】
次のステップ110では、回転テーブル16(及び円筒体20)が1周したか否かを判断し、否定判定された場合は、次の回転角度位置での撮像を実行するべく、ステップ104へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0072】
また、ステップ110で肯定判定されると、円筒体20の1周分の画像を撮像し終えたと判断し、ステップ112へ移行して、光源を消灯し、ステップ114へ移行する。
【0073】
ステップ114では、画像解析処理(
図6参照)が実行される。
【0074】
図6は、
図5のステップ114で実行される画像解析処理の流れを示す画像解析処理サブルーチンである。
【0075】
ステップ120では、ハードディスク34等に一時的に格納した画像データを読み出し、次いで、ステップ122へ移行して、各画像データ(撮像画像領域36)から暗視野領域38を特定する(第1工程)。
【0076】
次のステップ124では、複数の暗視野領域38の各々から検査領域40を切り出すことにより、条件の異なる(入射角度が異なる)複数種の検査領域40を取得し(第2工程)、ステップ126へ移行する。
【0077】
ステップ126では、同一種類の検査領域40(例えば、40A,40B毎)を撮像順に連結して円筒体20の内周面20Aの全周にわたるi種類の検査領域40を生成し(第3工程)、次いで、ステップ128へ移行して、ステップ126で生成したi種類の全周分の検査領域40を対象に、傷等の検査が明瞭となるような画質調整(例えば、背景差分処理等)を実行する(第4工程)。
【0078】
次のステップ130では、円筒体20の内周面20Aの検査を実行する(第5工程)。すなわち、画質調整後の円筒体20の内周面20Aの全周分の検査領域40の濃度(輝度)に基づき、異常部位である傷等の有無を抽出すると共に、検出した傷等の異常部位の位置を特定する。
【0079】
次のステップ132では、ステップ130で実行した検査の結果を予め定めた出力デバイスへ出力して(第6工程)、このルーチンは終了する。なお、出力デバイスとしては、モニタ、プリンタ等が代表的であるが、傷等の異常があった場合に、色や点灯状態で報知するランプや、音で報知するスピーカであってもよい。
【0081】
図7及び
図8は、第1の実施の形態において、円筒体20の内周面20Aから全周にわたり切り出した検査領域40を連結する実施例である。
【0082】
この実施例では、円筒体20の内周面20A(全周360°)を125分割し、125個の検査領域40を連結する。
【0083】
すなわち、パルスモータ22の駆動を制御して、回転テーブル16を2.88°毎に間欠に回転し、停止時に撮像する。この撮像によって、ハードディスク34等には、125枚の画像データが記憶される。
【0084】
図8(A)に示される如く、ハードディスク34等に記憶された画像データを読み出し、125種類の撮像画像領域36の暗視野領域38の中から検査領域40を切り出す。
【0085】
切り出した125種類の暗視野領域38は、撮像順に連結し、背景差分処理等の画質調整を行う(
図8(B)参照)。
【0086】
図8(C)に示される如く、傷等の異常部分の濃度(輝度)が強調されることで、確実に円筒体20の内周面20Aの傷等の異常を検出することができる。
【0088】
以下に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付して、その構成の説明を省略する。
【0089】
第2の実施の形態の特徴は、照明手段として、複数の光源26R、26G、26Bを設置した点にある。複数の光源26R、26G、26Bを適用した第2の実施の形態は、1個の光源26を適用した第1の実施の形態に比べて、円筒体20の内周面20Aへ入射する光の入射角の種類を増加することができる。
【0090】
図9に示される如く、回転テーブル16の上方には、撮像手段としてのカメラ24と、照明手段としての3個の光源26R、26G、26Bが配置されている。
【0091】
カメラ24の撮像光軸は、撮像する領域の一部が、円筒体20の上端開口から内周面20Aを覗き込んで撮像可能となるように設定されている。
【0092】
また、光源26R、26G、26Bは、カメラ24で撮像可能な円筒体20の内周面20Aを含む領域を照明する。なお、光源26R、26G、26Bから照射される光は、拡散光であることが望ましい。或いは、拡散光の光束の光軸周りのごく一部で、カメラ24で撮像可能な円筒体20の内周面20Aを含む領域を照明するようにしてもよい。
【0093】
図9に示される如く、光源26R及び光源26Bは、カメラ24を間に挟むように配置され、それぞれ、異なる角度の光軸で円筒体20の内周面20Aを照射するようになっている。
【0094】
また、光源26Gは、円筒体20の上方に配置され、光源26Gの光軸は、当該円筒体20の軸線と平行とされている。光源26Gは、例えば、円筒体20の内周面20Aに設けられた段差部の上面を照射するのに適している。
【0095】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に第1工程から第6工程を実行する。
【0096】
図10(A)に示される如く、第2の実施の形態では、第1工程における撮像画像領域56からの暗視野領域58の特定、及び、第2工程の暗視野領域58からの検査領域60A〜60Dの切り出しにおいて、3個の光源26R、26G、26Bのそれぞれから照射された光を用いる。例えば、光源26R(赤照明)による光を用いた検査領域60A、60B、及び光源26B(青照明)による光を用いた検査領域60C、60Dを切り出すことができる(
図10(B)参照)。
【0097】
なお、光源26G(緑照明)に関しては、円筒体20の内周面20Aの段差部に特化して利用されるものであり、第1の実施の形態における1個の光源26と同一の画像解析処理工程を実行すればよい。
【0098】
なお、第2の実施の形態では、照明手段として光源26R、26G、26Bを用いたが、特に、色分けする必要はなく、カメラ24で受ける光の円筒体20の内周面20Aへの入射角度が異なっていればよい。従って、複数の同一色(例えば、白色)の光源であってもよい。また、色分けした場合、カメラ24側の画像解析で色分解して、色別に傷等の異常を検査するようにしてもよい。