(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797094
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】3次元物体プリンタにおける押出機ヘッドのための一定圧力フィラメントドライバ
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20201130BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20201130BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20201130BHJP
B29C 64/343 20170101ALI20201130BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20201130BHJP
B29C 48/25 20190101ALI20201130BHJP
B29C 48/92 20190101ALI20201130BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20201130BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20201130BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20201130BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/118
B29C64/321
B29C64/343
B29C64/393
B29C48/25
B29C48/92
B33Y50/02
B33Y30/00
B33Y10/00
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-196681(P2017-196681)
(22)【出願日】2017年10月10日
(65)【公開番号】特開2018-69732(P2018-69732A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2020年9月17日
(31)【優先権主張番号】15/334,721
(32)【優先日】2016年10月26日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バリー・ピー・マンデル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・ニストロム
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジー・リン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エイ・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド・エイ・マンテル
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−518267(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/014543(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0231829(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0043094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 − 64/40
B29C 48/25
B29C 48/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機ヘッドであって、熱可塑性材料を貯蔵するように構成された前記押出機ヘッド内のマニホルド及び前記マニホルドに流体的に接続される少なくとも1つのノズルであって、熱可塑性材料が前記マニホルドから流れて、前記少なくとも1つのノズルから放出されるのを可能とする少なくとも1つのノズルを有する押出機ヘッドと、
押出材料のフィラメントが入ることができるチャネル及び前記押出材料の前記フィラメントを前記チャネルの前記マニホルドに最も近い部分において溶融させる一方、前記チャネルの他の部分においては前記押出材料の前記フィラメントを固体のままとさせて、前記チャネルの前記マニホルドに最も近い前記部分において熱可塑性材料を形成するように前記チャネル内で前記押出材料の前記フィラメントを熱処理するように構成された少なくとも1つの加熱素子を有するヒータであって、前記熱可塑性材料が前記ヒータ内の前記チャネルから流れて、前記マニホルド内に流入するのを可能とするように前記ヒータ内の前記チャネルが前記押出機ヘッドにおける前記マニホルドに流体的に接続されたヒータと、
出力軸を有するアクチュエータと、
前記アクチュエータが機械的可動子を動作させるのを可能とするように前記アクチュエータの前記出力軸に動作可能に接続された機械的可動子であって、前記機械的可動子は、前記ヒータの前記チャネルへ前記押出材料の前記フィラメントが入る前に前記押出材料の前記フィラメントに力を印加し、前記アクチュエータが前記機械的可動子を動作させたときに前記ヒータ内の前記チャネルへと前記押出材料の前記フィラメントを移動させるように位置決めされた機械的可動子と、
前記機械的可動子によって前記ヒータの前記チャネル内へ移動される前記押出材料の前記フィラメントに及ぼされる力を制限するように前記アクチュエータの前記出力軸に動作可能に接続されたスリップクラッチと、
前記マニホルド内の前記熱可塑性材料の圧力を示す信号を生成するように構成されたセンサと、
前記センサ及び前記アクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、前記センサによって生成される信号を使用して前記アクチュエータの前記出力軸の回転速度を調整し、印刷条件を参照して前記スリップクラッチについてのトルク設定ポイントを調整するように構成されたコントローラとを備える装置。
【請求項2】
前記印刷条件は、前記ヒータへと移動される押出材料の種類、前記熱可塑性材料の温度、前記押出機ヘッドが移動される速度、及び物体上に形成される特徴の位置、の内の1つ以上である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記機械的可動子は、ローラである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記スリップクラッチは、トルク摩擦板クラッチ、磁粉クラッチ、磁気ヒステリシスクラッチ、強磁性流体クラッチ、空気圧クラッチ、又は永久磁石クラッチ、の内の1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのノズルと前記マニホルドとの間に動作可能に接続された少なくとも1つの弁であって、前記マニホルドと前記少なくとも1つのノズルとの間のチャンネルを選択的に開く弁をさらに備え、
前記コントローラは、前記少なくとも1つの弁を動作させ、前記少なくとも1つのノズルから熱可塑性材料を選択的に押し出すようにさらに構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記コントローラが前記押出機ヘッドを動作させて前記熱可塑性材料で物体を形成する前に、前記マニホルド内の前記熱可塑性材料に所定の範囲内で圧力を生じさせるように前記アクチュエータを動作させるようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
印刷条件を参照して前記アクチュエータを動作させるための圧力設定ポイントを調整するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記印刷条件は、前記ヒータへと移動される押出材料の種類、前記熱可塑性材料の温度、前記押出機ヘッドが移動される速度、及び物体上に形成される特徴の位置、の内の1つ以上である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
押出機ヘッドであって、熱可塑性材料を貯蔵するように構成された前記押出機ヘッド内のマニホルド及び前記マニホルドに流体的に接続される少なくとも1つのノズルであって、熱可塑性材料が前記マニホルドから流れて、前記少なくとも1つのノズルから放出されるのを可能とする少なくとも1つのノズルを有する押出機ヘッドと、
押出材料のフィラメントが入ることができるチャネル及び前記押出材料の前記フィラメントを前記チャネルの前記マニホルドに最も近い部分において溶融させる一方、前記チャネルの他の部分においては前記押出材料の前記フィラメントを固体のままとさせて、前記チャネルの前記マニホルドに最も近い前記部分において熱可塑性材料を形成するように前記チャネル内で前記押出材料の前記フィラメントを熱処理するように構成された少なくとも1つの加熱素子を有するヒータであって、前記熱可塑性材料が前記ヒータ内の前記チャネルから流れて、前記マニホルド内に流入するのを可能とするように前記ヒータ内の前記チャネルが前記押出機ヘッドにおける前記マニホルドに流体的に接続されたヒータと、
出力軸を有するアクチュエータと、
前記アクチュエータが機械的可動子を動作させるのを可能とするように前記アクチュエータの前記出力軸に動作可能に接続された機械的可動子であって、前記機械的可動子は、前記ヒータの前記チャネルへ前記押出材料の前記フィラメントが入る前に前記押出材料の前記フィラメントに力を印加し、前記アクチュエータが前記機械的可動子を動作させたときに前記ヒータ内の前記チャネルへと前記押出材料の前記フィラメントを移動させるように位置決めされた機械的可動子と、
前記機械的可動子によって前記ヒータの前記チャネル内へ移動される前記押出材料の前記フィラメントに及ぼされる力を制限するように前記アクチュエータの前記出力軸に動作可能に接続されたスリップクラッチと、
前記マニホルド内の前記熱可塑性材料の圧力を示す信号を生成するように構成されたセンサと、
前記センサ及び前記アクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、前記センサによって生成される信号を使用して前記アクチュエータの前記出力軸の回転速度を調整し、前記マニホルド内の圧力又は前記アクチュエータの前記出力軸の速度を示す、他のセンサによって生成された信号を参照して前記少なくとも1つのノズルの目詰まりを検出し、前記少なくとも1つのノズルの目詰まりを検出すると前記機械的可動子の速度及び前記スリップクラッチのトルク設定ポイントを調整するように構成されたコントローラとを備える装置。
【請求項10】
押出機ヘッドであって、熱可塑性材料を貯蔵するように構成された前記押出機ヘッド内のマニホルド及び前記マニホルドに流体的に接続される少なくとも1つのノズルであって、熱可塑性材料が前記マニホルドから流れて、前記少なくとも1つのノズルから放出されるのを可能とする少なくとも1つのノズルを有する押出機ヘッドと、
押出材料のフィラメントが入ることができるチャネル及び前記押出材料の前記フィラメントを前記チャネルの前記マニホルドに最も近い部分において溶融させる一方、前記チャネルの他の部分においては前記押出材料の前記フィラメントを固体のままとさせて、前記チャネルの前記マニホルドに最も近い前記部分において熱可塑性材料を形成するように前記チャネル内で前記押出材料の前記フィラメントを熱処理するように構成された少なくとも1つの加熱素子を有するヒータであって、前記熱可塑性材料が前記ヒータ内の前記チャネルから流れて、前記マニホルド内に流入するのを可能とするように前記ヒータ内の前記チャネルが前記押出機ヘッドにおける前記マニホルドに流体的に接続されたヒータと、
出力軸を有するアクチュエータと、
前記アクチュエータが機械的可動子を動作させるのを可能とするように前記アクチュエータの前記出力軸に動作可能に接続された機械的可動子であって、前記機械的可動子は、前記ヒータの前記チャネルへ前記押出材料の前記フィラメントが入る前に前記押出材料の前記フィラメントに力を印加し、前記アクチュエータが前記機械的可動子を動作させたときに前記ヒータ内の前記チャネルへと前記押出材料の前記フィラメントを移動させるように位置決めされた機械的可動子と、
前記機械的可動子が回転する速度を示す信号を生成するように構成されたセンサと、
前記機械的可動子によって前記ヒータの前記チャネル内へ移動される前記押出材料の前記フィラメントに及ぼされる力を制限するように前記アクチュエータの前記出力軸に動作可能に接続されたスリップクラッチと、
前記センサ及び前記アクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、前記センサによって生成される信号を使用して前記アクチュエータの前記出力軸の回転速度を調整し、前記アクチュエータの前記出力軸が前記機械的可動子が回転する速度よりも速い速度に保たれるように構成されたコントローラとを備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3次元物体プリンタにおいて使用される押出機に関し、より具体的には、押出材料供給システムによって材料が供給される押出機に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形としても知られている3次元印刷は、実質的に任意形状のディジタルモデルから3次元立体物体を製造するプロセスである。多くの3次元印刷技術は、積層造形装置が前に堆積された層の上部に部品の連続層を形成する積層プロセスを使用する。これらの技術の一部は、ABS樹脂などの押出材料を熱可塑性材料へと軟化又は溶融した後に所定パターンで熱可塑性材料を放出する押出機ヘッドを使用する。プリンタは、典型的には、様々な形状及び構造を有する3次元印刷物体を形成する熱可塑性材料の連続層を形成するように押出機ヘッドを動作させる。3次元印刷物体の各層が形成された後、熱可塑性材料は冷却され、3次元印刷物体の下地層に層を接着するように硬化する。この積層造形方法は、切断又は穿孔などの減法プロセスによるワークピースからの材料の除去にほとんど依拠する従来の物体形成技術とは区別される。
【0003】
熱可塑性材料は、押出機ヘッド内のマニホルドに貯蔵される。押出機ヘッドにおける1つ以上のノズルによって放出された熱可塑性材料の量は、物体の製造中に変化する。これらの変動は、押出機ヘッドのノズル数、押出機ヘッド及び物体支持面が互いに移動する速度、形成される物体の面積、材料の温度などによって引き起こされる。マニホルド内の熱可塑性材料の変動する流量は、ノズル又は複数のノズルを介したその送達のために材料の圧力に影響を与える。適切な範囲内の圧力は、各ノズルが材料の適切に形成された流れを放出するのを可能とするのに好ましい。熱可塑性材料の押出中においてマニホルド内の圧力を所定範囲内に維持する押出機ヘッドが有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
新たな装置は、押出機ヘッドのマニホルド内に貯蔵された熱可塑性材料の圧力が所定範囲内に維持されるのを可能とする。本装置は、熱可塑性材料を貯蔵するように構成されたマニホルド及びマニホルドからの熱可塑性材料が放出されることができる少なくとも1つのノズルを有する押出機ヘッドと、押出材料が通過することができるチャネル及び押出材料を溶融させて熱可塑性材料を形成するようにチャネル内で押出材料を熱処理するように構成された少なくとも1つの加熱素子を有するヒータであって、熱可塑性材料がマニホルド内に流入するのを可能とするようにヒータ内のチャネルが押出機ヘッドにおけるマニホルドに流体的に接続されたヒータと、出力軸を有するアクチュエータと、アクチュエータが機械的可動子を動作させるのを可能とするようにアクチュエータの出力軸に動作可能に接続された機械的可動子であって、アクチュエータが機械的可動子を動作させたときに押出材料の供給源からヒータにおけるチャネルへと押出材料を移動させるように押出材料に力を印加するように位置決めされた機械的可動子と、機械的可動子によって押出材料に及ぼされる力を制限するようにアクチュエータの出力軸に動作可能に接続されたスリップクラッチとを含む。
【0005】
新たな方法は、押出機ヘッドのマニホルド内に貯蔵された熱可塑性材料の圧力が所定範囲内に維持されるのを可能とする。本方法は、押出材料をヒータへと移動させるように所定範囲内の力を及ぼすように機械的可動子を動作させることと、押出材料を溶融して熱可塑性材料を押し出す押出機ヘッドに向かって移動する熱可塑性材料を形成するようにヒータを動作させることと、機械的可動子によって押出材料に及ぼされる力をスリップクラッチによって制限することとを含む。
【0006】
押出機ヘッドを提供するシステムの前述の態様及び他の特徴は、添付図面と関連して以下の詳細な説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、押出機ヘッドのマニホルド内の熱可塑性材料の圧力を所定範囲内に維持する固体押出材料供給システムを含む積層造形システムを示している。
【
図2】
図2は、
図1のシステムにおけるコントローラによって実装されるフィードバックシステムのブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1のシステムにおけるコントローラによって実装される代替フィードバックシステムのブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1の固体押出材料供給システムを有していないマルチノズル押出印刷ヘッドを有する従来技術の3次元物体プリンタの図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願明細書に開示された装置の環境及び装置の詳細の一般的な理解のために、図面が参照される。図面において、同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【0009】
本願明細書において使用される場合、用語「押出材料」は、積層造形システムにおける押出機ヘッドによって放出されることになる熱可塑性材料を形成するように軟化又は溶融される材料を指す。押出材料は、厳密に限定されるものではないが、3次元印刷物体の永久部を形成する「造形材料」と、印刷プロセス中に造形材料の部分を支持するために一時的構造を形成した後に印刷プロセスの完了後に必要に応じて除去される「支持材料」との双方を含む。造形材料の例は、限定されるものではないが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチック、ポリ乳酸(PLA)、脂肪族又は半芳香族ポリアミド(ナイロン)、懸濁炭素繊維又は他の骨材材料を含むプラスチック、導電性ポリマー、及び押出機ヘッドを介した放出に適した熱可塑性材料を生成するために熱処理されることができる任意の他の形態の材料を含む。支持材料の例は、限定されるものではないが、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリビニルアルコール(PVA)、及び熱処理された後に押出可能な他の材料を含む。いくつかの押出プリンタにおいて、押出材料は、一般に「フィラメント」として知られている材料の連続した細長ストランドとして供給される。このフィラメントは、スプール又は他の供給源から押出材料フィラメントを引っ張って押出機ヘッド内のマニホルドに流体的に接続されたヒータにフィラメントを供給する1つ以上のローラによって固体形態で供給される。ヒータは、マニホルド内に流入する熱可塑性材料を形成するように押出材料フィラメントを軟化又は溶融する。ノズルとマニホルドとの間に位置する弁が開放したとき、熱可塑性材料の一部は、ノズルを介してマニホルドから流出して熱可塑性材料の流れとして放出される。本願明細書において使用される場合、押出材料に適用される用語「溶融」は、3次元物体プリンタの動作中に印刷ヘッドにおける1つ以上のノズルを介した熱可塑性材料の押出を可能とするように押出材料を軟化させるか又は押出材料を相変化させる押出材料についての温度の任意の上昇を指す。溶融した押出材料はまた、この文書において「熱可塑性材料」として示される。当業者が認識するように、特定のアモルファス押出材料は、プリンタの動作中に純液体状態に遷移しない。
【0010】
本願明細書において使用される場合、用語「押出機ヘッド」は、単一の流体チャンバ内で押出材料を溶融して1つ以上のノズルに接続されたマニホルドに溶融した押出材料を供給するプリンタの要素を指す。いくつかの押出機ヘッドは、熱可塑性材料がノズルを選択的に流れるのを可能とするように電子的に動作させることができる弁アセンブリを含む。弁アセンブリは、熱可塑性材料を押し出すようにマニホルドに対する1つ以上のノズルの独立した接続を可能とする。本願明細書において使用される場合、用語「ノズル」は、押出機ヘッドにおけるマニホルドに流体的に接続され且つ熱可塑性材料が受像面に向けて放出される押出機ヘッドにおけるオリフィスを指す。動作中において、ノズルは、押出機ヘッドのプロセス経路に沿って熱可塑性材料の略連続した直線配置を押し出すことができる。コントローラは、弁アセンブリに接続されたノズルが熱可塑性材料を押し出すのを制御するように弁アセンブリにおける弁を動作させる。ノズルの直径は、押し出された熱可塑性材料のライン幅に影響を与える。異なる印刷ヘッドの実施形態は、より狭いオリフィスによって生成されるライン幅よりも大きい幅を有するラインを生成するより広いオリフィスを有するオリフィスサイズの範囲を有するノズルを含む。
【0011】
本願明細書において使用される場合、用語「マニホルド」は、3次元物体印刷動作中に印刷ヘッドにおける1つ以上のノズルに送達するための熱可塑性材料の供給源を保持する押出機ヘッドのハウジング内に形成された空洞を指す。以下により詳細に記載されるシステムは、マニホルド内の熱可塑性材料の圧力を所定範囲内に維持する速度でヒータに押出材料を供給するように構成されている。その圧力は、1つ以上のノズルが熱可塑性材料を押し出す速度が調整されるのを可能とする。具体的には、複数のノズルに接続された弁が個別に活性化又は非活性化されていても、フィラメント供給システムは、印刷動作中に活性化された弁の数が変わるとともにマニホルドが略一定の速度で押出機ヘッドにおけるノズルに対して任意の活性化された弁を介して熱可塑性材料を供給するのを可能とする。
【0012】
本願明細書において使用される場合、用語「押出材料の配置」は、押出印刷ヘッドが3次元物体印刷動作中に受像面上に形成する押出材料の任意のパターンを指す。押出材料の一般的な配置は、押出材料の直線配置及び押出材料の湾曲配置を含む。いくつかの構成において、押出機ヘッドは、押出材料の連続的な塊を有する配置を形成するように連続的に熱可塑性材料を押し出す一方で、他の構成において、押出機ヘッドは、直線又は曲線経路に沿って配置された熱可塑性材料の小さな群を形成するように間欠的に動作する。3次元物体プリンタは、押出材料の異なる配置の組み合わせを使用して様々な構造を形成する。さらに、3次元物体プリンタにおけるコントローラは、押出機ヘッドを動作させて押出材料の各配置を形成する前に押出材料の異なる配置に対応する物体画像データ及び押出機ヘッド経路データを使用する。以下に記載されるように、コントローラは、必要に応じて、3次元印刷動作中に1つ以上のノズルを介して熱可塑性材料の複数の配置を形成するように弁アセンブリの動作を調整する。
【0013】
本願明細書において使用される場合、用語「プロセス方向」は、押出機ヘッドとヘッドにおける1つ以上のノズルから押し出された熱可塑性材料を受ける受像面との間の相対運動の方向を指す。受像面は、積層造形プロセス中に3次元印刷物体又は部分的に形成された3次元物体の表面を保持する支持部材のいずれかである。本願明細書に記載された例示的な実施形態において、1つ以上のアクチュエータは、支持部材まわりに押出機ヘッドを移動させるが、他のシステムの実施形態は、押出機ヘッドが静止したままプロセス方向における相対運動を生み出すように支持部材を移動させる。いくつかのシステムは、異なる運動軸についての双方のシステムの組み合わせを使用する。
【0014】
本願明細書において使用される場合、用語「クロスプロセス方向」は、プロセス方向の平面内のプロセス方向に対して垂直な軸を指す。プロセス方向及びクロスプロセス方向は、押出機ヘッド及び熱可塑性材料を受ける面の移動の相対経路を指す。いくつかの構成において、押出機ヘッドは、クロスプロセス方向に沿って延在するノズルのアレイを含む。押出機ヘッド内の隣接ノズルは、クロスプロセス方向に所定距離だけ離れている。いくつかの構成において、システムは、押出機ヘッドにおけるノズルから押し出される熱可塑性材料の配置を分離する対応するクロスプロセス方向距離を調整するために、押出機ヘッドにおける異なるノズルを分離するクロスプロセス方向距離を調整するように押出機ヘッドを回転させる。
【0015】
積層造形システムの動作中において、押出機ヘッドは、3次元物体印刷処理中に熱可塑性材料を受ける面に対して直線及び曲線経路の双方に沿ってプロセス方向に移動する。さらに、システムにおけるアクチュエータは、必要に応じて、押出機ヘッドが熱可塑性材料の各配置間において所定距離を有する熱可塑性材料の2つ以上の配置を形成するのを可能とするために、押出機ヘッドにおけるノズルを分離する有効クロスプロセス距離を調整するようにZ軸まわりに押出機ヘッドを回転させる。押出機ヘッドは、印刷物体の層に2次元領域の外壁を形成するように外周に沿って且つ熱可塑性材料を有する2次元領域の全て又は一部を満たすように周囲内を移動する。
【0016】
図4は、3次元印刷物体140を形成するために押出機ヘッド108を動作させるように構成された従来技術の3次元物体積層造形システム又はプリンタ100を示している。プリンタ100は、物体を形成するために平面運動を使用するプリンタとして示されているが、この文書に記載された押出機ヘッド及び押出材料の機械的可動子を有する他のプリンタアーキテクチャが使用可能である。これらのアーキテクチャは、デルタ・ボット、選択的コンプライアンス・アセンブリ・ロボットアーム(SCARA)、多軸プリンタ、非デカルトプリンタなどを含む。プリンタ100は、支持部材102と、マルチノズル押出機ヘッド108と、押出機ヘッド支持アーム112と、コントローラ128と、メモリ132と、X/Yアクチュエータ150と、任意のZθアクチュエータ154と、Zアクチュエータ158とを含む。プリンタ100において、X/Yアクチュエータ150は、
図4に示されている物体140などの3次元印刷物体における1つの層を形成する熱可塑性材料の配置を押し出すようにX及びY軸に沿って2次元平面(「X−Y平面」)内の異なる位置に押出機ヘッド108を移動させる。例えば、
図4において、X/Yアクチュエータ150は、Y軸に沿って移動させるようにガイドレール113に沿って支持アーム112及び押出機ヘッド108を並進させるとともに、X/Yアクチュエータ150は、X軸に沿って印刷ヘッドを移動させるように支持アーム112の長さに沿って押出機ヘッド108を並進させる。押し出されたパターンは、層内の1つ以上の領域及び熱可塑性材料パターンの輪郭内の領域を埋める熱可塑性材料の領域の双方の輪郭を含む。Zアクチュエータ158は、物体が印刷プロセス中に形成されるのにともない、押出機ヘッド108におけるノズルが物体140の上に熱可塑性材料を押し出すのに適切な高さのままであるのを確実にするために、Z軸に沿って押出機ヘッド108と支持部材102との間の距離を制御する。Zθアクチュエータ154は、Z軸まわりに回転する押出機ヘッド108のいくつかの実施形態についてのZ軸まわりの押出機ヘッド108の回転角度(
図4におけるZθとして参照)を制御する。この移動は、押出機ヘッド108におけるノズル間の分離を制御するが、いくつかの押出機ヘッドは、製造プロセス中に回転を必要としない。システム100において、X/Yアクチュエータ150、Zθアクチュエータ154及びZアクチュエータ158は、電動モータ、ステッピングモータ、又は任意の他の適切な電気機械装置などの電気機械アクチュエータとして具現化される。
図4の例示的な実施形態において、3次元物体プリンタ100は、熱可塑性材料の複数の層から形成される3次元印刷物体140の形成中に示されている。
【0017】
支持部材102は、製造プロセス中に3次元印刷物体140を支持するガラス板、ポリマー板、又は発泡体面などの平面部材である。
図4の実施形態において、Zアクチュエータ158はまた、押出機ヘッド108が物体140の上面から所定距離を維持するのを確実にするために、熱可塑性材料の各層の塗布後に押出機ヘッド108から離れてZ方向に支持部材102を移動させる。押出機ヘッド108は、複数のノズルを含み、各ノズルは、支持部材102の表面又は物体140のような部分的に形成された物体の表面上に熱可塑性材料を押し出す。
図4の例において、押出材料は、ABSプラスチックのスプールである押出材料供給源110からのフィラメント又は押出機ヘッド108に押出材料を供給するためにスプールから剥がす他の適切な押出材料フィラメントとして供給される。
【0018】
支持アーム112は、支持部材と、印刷動作中に押出機ヘッド108を移動させる1つ以上のアクチュエータとを含む。システム100において、1つ以上のアクチュエータ150は、印刷動作中にX及びY軸に沿って支持アーム112及び押出機ヘッド108を移動させる。例えば、アクチュエータ150のうちの1つは、Y軸に沿って支持アーム112及び押出機ヘッド108を移動させる一方で、他のアクチュエータは、X軸に沿って移動させるように支持アーム112の長さに沿って押出機ヘッド108を移動させる。システム100において、X/Yアクチュエータ150は、必要に応じて、直線又は曲線経路のいずれかに沿って同時にX及びY軸の双方に沿って押出機ヘッド108を移動させる。コントローラ128は、押出機ヘッド108におけるノズルが支持部材102上に又は物体140の前に形成された層上に熱可塑性材料を押し出すのを可能とする直線及び曲線経路の双方における押出機ヘッド108の移動を制御する。コントローラ128は、必要に応じて、X軸又はY軸に沿ったラスタライズ動作において押出機ヘッド108を移動させるが、X/Yアクチュエータ150はまた、X−Y平面内の任意の直線又は曲線経路に沿って押出機ヘッド108を移動させることができる。
【0019】
コントローラ128は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)又はプリンタ100を動作させるように構成された他のディジタルロジックなどのディジタルロジックデバイスである。プリンタ100において、コントローラ128は、支持部材102及び支持アーム112の移動を制御する1つ以上のアクチュエータに動作可能に接続されている。コントローラ128はまた、メモリ132に動作可能に接続されている。プリンタ100の実施形態において、メモリ132はランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなどの揮発性データ記憶装置と、固体データ記憶装置、磁気ディスク、光ディスク又は任意の他の適切なデータ記憶装置などの不揮発性データ記憶装置とを含む。メモリ132は、プログラミングされた命令データ134及び3次元(3D)物体画像データ136を記憶する。コントローラ128は、3次元印刷物体140を形成し且つ物体140の1つ以上の表面上に2次元画像を印刷するためにプリンタ100における要素を動作させるように記憶されたプログラム命令134を実行する。3D物体画像データ136は、例えば、プリンタ100が3次元物体印刷プロセス中に形成する熱可塑性材料の各層に対応する複数の2次元画像データパターンを含む。押出機ヘッド経路制御データ138は、コントローラ128がX/Yアクチュエータ150を使用して押出機ヘッド108の移動の経路を制御し且つZθアクチュエータ154を使用して押出機ヘッド108の向きを制御するように処理する幾何学的データのセット又はアクチュエータ制御コマンドを含む。コントローラ128は、上述したように支持部材102の上に押出機ヘッド108を移動させるようにアクチュエータを動作させるとともに、ヘッドは、物体を形成するように熱可塑性材料を押し出す。
【0020】
図1は、押出機ヘッド108における複数のノズルから熱可塑性材料を放出するための弁の開閉を制御するように動作するコントローラ128に動作可能に接続された押出機ヘッド108におけるアクチュエータアセンブリ204を含む積層造形システム100’を示している。具体的には、コントローラ128は、熱可塑性材料を放出して3次元印刷物体140の各層に熱可塑性材料の配置を形成するように、押出機ヘッド108における弁に接続されたアセンブリ204における異なるアクチュエータを活性化及び非活性化する。システム100’はまた、システム100’の動作中にマニホルド216内の熱可塑性材料の圧力を所定範囲内に維持する速度で供給源110からヒータ208にフィラメントを供給する押出材料分配システム212を含む。分配システム212は、マニホルド内の熱可塑性材料の圧力の調整に適している1つの実施形態である。さらに、コントローラ128は、分配システム212がヒータ208に固体フィラメントを送達する速度を制御するように分配システム212におけるアクチュエータに動作可能に接続されている。ヒータ208は、駆動ローラ224を介してヒータ208に供給される押出材料フィラメント220を軟化又は溶融する。アクチュエータ240は、ローラ224を駆動し、コントローラ128に動作可能に接続されており、そのため、コントローラは、アクチュエータがローラ224を駆動する速度を調整することができる。ローラ224に対向する他のローラは、フリーホイールであり、そのため、ローラ224が駆動される回転速度にしたがう。
図1は、ヒータ208にフィラメント220を移動させるための機械的可動子として電気機械アクチュエータ及び駆動ローラ224を使用する供給システムを示しているが、代替実施形態は、回転オーガ又はスクリュの形態で機械的可動子を動作させるために1つ以上のアクチュエータを使用する。オーガ又はスクリュは、押出材料粉末又はペレットの形態で固相押出材料をヒータ208へと移動させる。
【0021】
図1の実施形態において、ヒータ208は、ステンレス鋼から形成され、コントローラ128に動作可能に接続された電気抵抗加熱素子などの1つ以上の加熱素子228を含む。コントローラ128は、ヒータ208内のチャネル232における押出材料220のフィラメントを軟化又は溶融するように選択的に電流に加熱素子228を接続するように構成されている。
図1は、固体フィラメント220として固相で押出材料を受けるヒータ208を示しているが、代替実施形態においては、粉末状又はペレット状押出材料として固相で押出材料を受ける。冷却フィン236は、ヒータ208から上流のチャネル232内の熱を減衰する。冷却フィン236において又は冷却フィン236の付近においてチャネル232内で固体のままである押出材料の一部は、熱可塑性材料がマニホルド216に対する接続部以外の任意の他の開口からのヒータから出るのを防止するチャネル232内のシールを形成する。押出機ヘッド108はまた、マニホルド216内の熱可塑性材料について高温を維持するために追加の加熱素子を含むことができる。いくつかの実施形態において、マニホルド216内の温度を維持するために断熱材が押出機ヘッド108の外側部分を被覆している。
【0022】
マニホルド216内の熱可塑性材料の流体圧力を所定範囲内に維持し、押出材料への損傷を回避し、ノズルを通る押出速度を制御するために、スリップクラッチ244がアクチュエータ240の駆動軸に動作可能に接続されている。この文書において使用される場合、用語「スリップクラッチ」は、所定の設定ポイントまで物体を移動させるように物体に摩擦力を印加する装置を指す。摩擦力についての所定の設定ポイントについての範囲を超えた場合、装置はスリップし、そのため、もはや物体に摩擦力を印加しない。スリップクラッチは、フィラメント220に及ぼされる力がいくら多くの弁が開放されても又はいくら高速にアクチュエータ240がローラ224を駆動しても一定のままであるのを可能とする。この一定の力は、フィラメント駆動ローラ224の最速予想回転速度よりも高速でアクチュエータ240を駆動することによって又はローラ224上にエンコーダホイール248を配置してセンサ252によって回転速度を検知することによって維持されることができる。
【0023】
センサ252によって生成された信号は、ローラ224の回転角度を示し、コントローラ128は、ローラ224の速度を特定するためにこの信号を受信する。コントローラ128は、さらに、アクチュエータの速度を制御するためにアクチュエータ240に供給される信号を調整するように構成されている。コントローラがアクチュエータ240の速度を制御するように構成されている場合、コントローラ128は、アクチュエータ240を動作させ、そのため、その速度は、ローラ224の回転よりも僅かに高速である。この動作は、駆動ローラ224上のトルクが常にスリップクラッチトルクの関数であるのを確実にする。1つの弁/ノズルの組み合わせが開放されている場合、フィラメント220は、ゆっくりと移動する。アセンブリ204における全てのアクチュエータ/弁の組み合わせが開放されている場合、フィラメントは、より迅速に移動を開始し、コントローラ128は、アクチュエータの出力軸がセンサ252によって示されるローラ224の速度よりも高速に回転しているのを確実にするために、その速度を増加させるようにアクチュエータ240を直ちに動作させる。遅延は、本質的に、フィラメントに印加される力と押出機ヘッダのノズル領域における熱可塑性材料の圧力との間に存在する。これらの遅延の経験的データは、スリップクラッチが押出機ヘッドのノズル領域において熱可塑性材料のより均一な圧力を提供するように動作するのを可能とするスリップクラッチについての設定ポイントが定義されるのを可能とする。
【0024】
センサ252によって生成された信号はまた、アクチュエータ240の他の態様を調整するためにコントローラ128によって使用可能である。例えば、積層造形システムのヒータにフィラメントを供給する速度は、押出機ヘッドによって押し出されることになる熱可塑性材料の量に比例するように調整可能である。スリップクラッチのトルク設定ポイントを制御することにより、コントローラは、比例定数を1又はそれよりも僅かに高く維持することができる。ヒータ及び押出機ヘッドに供給される材料が多すぎることに応答してクラッチについてのトルク設定ポイントを参照してクラッチがスリップするとき、1の比例定数のまわりの所定範囲外の変動の補償が行われる。この種の制御は、アクチュエータの出力軸の回転を調整するために使用可能である。
【0025】
いくつかの実施形態において、スリップクラッチ244についてのトルクレベルは、システム100’の動作用に経験的に決定されて設定される。他の実施形態において、上述したように、センサ252は、ローラ224の回転速度を特定する信号を生成し、コントローラ128は、さらに、アクチュエータ240を動作させる制御装置からの信号を調整するようにセンサ252からの信号を使用するように構成されている。このフィードバックループを有する実施形態において、コントローラ128がローラ224の回転速度を示す信号を参照してアクチュエータ240の動作を調整する比例・積分・微分(PID)コントローラを実装する
図2に示されるフィードバックシステムが構成されることができる。このシステムは、スリップクラッチがスリップするサイクル総数を低減させるために使用される。上述したように、アクチュエータ240は、ローラ224の回転速度よりも僅かに高速な速度でその出力軸を駆動する必要があるにすぎない。この種の動作は、スリップクラッチが係合されるのを保つのに役立ち、そのため、クラッチスリップの時間数が最小化され、クラッチの寿命が延長される。
【0026】
コントローラ128は、ローラ224の回転速度を超えるアクチュエータ出力軸の僅かに高い速度を特定するコントローラに接続されたメモリに記憶された設定ポイントを有する。この文書において使用される場合、用語「設定ポイント」は、コントローラが設定ポイントに関する所定範囲内に設定ポイントに対応するパラメータを保持するように要素を動作させるために使用するパラメータ値を意味する。例えば、コントローラ128は、設定ポイントのまわりの所定範囲内の出力信号によって特定される速度で出力軸を回転させるようにアクチュエータ240を動作させる信号を変化させる。アクチュエータについての指令速度に加えて、アクチュエータアセンブリ204において開閉される弁の数及びクラッチについてのトルク設定ポイントはまた、フィラメント駆動システム212の動作に影響を与える。ローラ224の得られる回転速度は、センサ252によって生成される信号によって特定される。コントローラ128のPIDコントローラは、メモリに記憶された差動設定ポイントを参照してこの信号からエラーを特定し、アクチュエータ240を動作させるようにコントローラによって出力される信号を調整する。あるいは、コントローラ128は、スリップクラッチについてのトルクレベルを変更することができるか、又は、コントローラ128は、トルクレベルを変更してコントローラがアクチュエータを動作させる信号を調整することができる。
【0027】
フィードバック制御システムの代替実施形態が
図3に示されている。この実施形態において、コントローラ128は、マニホルド216内の熱可塑性材料の圧力を示す信号を参照してアクチュエータ240の動作を調整する比例・積分・微分(PID)コントローラを実装するように構成されている。そのため、マニホルド216内の熱可塑性材料の圧力を検知するように圧力センサ260(
図1)が配置されており、センサによって生成された圧力レベルを示す信号は、アクチュエータ240の動作のための出力信号を調整するために
図2のPIDコントローラによって使用されることができる。このシステムはまた、スリップクラッチがスリップするサイクル総数を低減させるために使用される。コントローラ128は、マニホルド216内の熱可塑性材料についての圧力を特定するコントローラに接続されたメモリに記憶された設定ポイントを有する。コントローラ128は、出力信号によって特定される速度で出力軸を回転させるようにアクチュエータ240を動作させる信号を出力する。アクチュエータについての指令速度に加えて、アクチュエータアセンブリ204において開閉される弁の数及びクラッチについてのトルク設定ポイントはまた、フィラメント駆動システム212の動作に影響を与える。マニホルド216内の熱可塑性材料の圧力は、センサ260によって生成される信号によって特定される。コントローラ128のPIDコントローラは、圧力設定ポイントを参照してこの信号からエラーを特定し、コントローラによってアクチュエータ240に対して出力される信号を調整する。あるいは、コントローラ128は、スリップクラッチについてのトルクレベルを変更することができるか、又は、コントローラ128は、トルクレベルを変更してコントローラがアクチュエータを動作させる信号を調整することができる。
【0028】
スリップクラッチ244は、固定又は調整可能なトルク摩擦板クラッチ、磁粉クラッチ、磁気ヒステリシスクラッチ、強磁性流体クラッチ、空気圧クラッチ、又は永久磁石クラッチとすることができる。磁気的に作動するタイプのクラッチは、クラッチに電圧を印加することによって調整されるそれらのトルク設定ポイントを有することができる。この特徴は、印刷条件を参照してクラッチにおけるトルク設定ポイントが変更されるのを可能とする。用語「印刷条件」は、物体の十分な形成のためにマニホルド内の必要とされる熱可塑性材料の量に影響を与える現在進行中の製造動作のパラメータを指す。これらの印刷条件は、押出機ヘッドに供給される押出材料の種類、押出機ヘッドから放出される熱可塑性材料の温度、押出機ヘッドがX−Y平面内で移動される速度、物体上に形成される特徴の位置などを含む。
【0029】
圧力センサ260を有する実施形態において、コントローラ128は、さらに、マニホルド216内の圧力を監視するように構成されることができる。圧力が特定時間に開放される弁の数について予想されるよりも大きい場合、コントローラは、ノズルの目詰まりの指標として状態を検出する。回転速度センサ252を有する実施形態において、ローラの回転速度が監視され、ローラ224の回転速度が特定時間に開放される弁の数について予想されるよりも小さい場合、コントローラ128は、ノズルの目詰まりの指標として状態を検出する。いずれの実施形態においても、コントローラ128は、アラームを生成することができ、メンテナンスのためにシステムオフラインとすることができる。押出供給システム212はまた、マニホルド内の所定圧力を所定範囲内に確立するように任意のノズルが開放される前に動作することができる。さらに、押出機ヘッド108が所定の有意な期間に動作しない場合、押出機ヘッドを減圧しながら、スリップクラッチについてのトルクレベルは、ゼロ又はゼロ付近に設定されることができる。