(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着剤層が、2液硬化型の接着剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤とを含む、2液硬化型の紫外線吸収性接着剤組成物の硬化物から構成される層である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明積層体。
前記透明積層体について、測定波長200nm〜500nm、スキャン速度600nm/分、及びスリット幅4.00nmの条件にて紫外線透過率を測定したときに、波長360nmm、330nm、及び270nmにおける紫外線透過率がいずれも5.0%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明積層体。
前記外層と前記内層とを、2液硬化型の接着剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤とを含む、2液硬化型の紫外線吸収性接着剤組成物を用いるドライラミネートによって積層する、請求項8に記載の透明積層体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<透明積層体>
本発明の透明積層体は、
外層、接着剤層、及び内層をこの順に有し、
接着剤層が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含む。
【0018】
本発明は、透明積層体における接着剤層が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の2種類の紫外線吸収剤を含むことを特徴とする。
【0019】
透明積層体における接着剤層は、接着剤材料を溶媒に溶解した溶液状の接着剤組成物として塗布して形成されることが多い。この接着剤組成物の塗布量には限界があるため、得られる接着剤層は薄層になり、したがって、接着剤層に含まれ得る紫外線吸収剤の絶対量には限界がある。一方で、透明積層体を包装容器として使用するときの内容物の劣化防止のためには、広い範囲の紫外光の透過を遮断することが要求される。
【0020】
薄層の接着剤層に含まれ得る程度の少量で、広い範囲の紫外光の透過を遮断することができ、しかも接着剤組成物に使用される溶媒に可溶な紫外線吸収剤、又はこのような紫外線吸収剤の組み合わせは、従来技術において知られていない。
【0021】
本発明は、透明積層体における接着剤層に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の2種類の紫外線吸収剤を含ませることにより、上記の要求のすべてを同時に満たすことに成功したものである。
【0022】
[外層]
本発明の透明積層体における外層は、透明樹脂層であってよく、特に、ヒートシール性を有する透明樹脂層を含む単層構成又は多層構成の層であってよい。
【0023】
本発明の透明積層体を用いて容器を製造するとき、シート状の透明積層体を筒状に丸めて外層及び内層の端部を重複させ、この重複部をヒートシールして筒状体に成形することがある。このとき、外層と内層とが融着するようにヒートシールされるから、外層を構成するヒートシール性を有する透明樹脂としては、内層樹脂とのヒートシール性が良好なものが好ましい。
【0024】
透明樹脂層、特に上記のようなヒートシール性を有する透明樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)等を挙げることができる。ポリエチレンは、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等であってよい。ヒートシール性を有する透明樹脂は、これらの樹脂のシート、フィルム、又はこれらの樹脂を含む組成物を用いて形成されたコーティング膜であってよく、特にLLDPEフィルムであってよい。したがって、外層は、LLDPEフィルムを含む単層構成又は多層構成の層であってよい。
【0025】
本発明の透明積層体における外層は、透明樹脂層、特にLLDPEフィルムの他に、例えば、ポリエステル層、無機蒸着層等を有していてよい。ポリエステル層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等から構成される一軸又は二軸の延伸フィルム等であってよい。
【0026】
外層の厚みは、例えば、20μm以上、40μm以上、60μm以上、又は80μm以上であってよく、例えば、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、又は100μm以下であってよい。
【0027】
[接着剤層]
本発明の透明積層体の接着剤層は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の双方を含む。
【0028】
本発明の透明積層体における接着剤層は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の双方を含み、外層と内層とを接着して積層することができる限り、任意のものであってよい。この接着剤層は、1液型又は2液型の接着剤を含む接着剤組成物の硬化物であってもよい。
【0029】
1液型の接着剤は、例えば、酢酸ビニル樹脂系接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤等であってよい。
【0030】
2液型の接着剤は、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤等の、主剤と硬化剤とから構成される2液硬化型の接着剤であってよい。
【0031】
得られる透明積層体が紫外光の照射によって変色しないようにするために、接着剤は芳香族環を有しないものであってよい。例えば、2液反応型接着剤の硬化剤は、脂肪族系硬化剤であってよい。
【0032】
本発明の透明積層体における接着剤層は、上記の接着剤、例えば2液硬化型接着剤の主剤及び硬化剤、並びにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤が溶媒に溶解された、2液硬化型の紫外線吸収性接着剤組成物を硬化させることによって得ることができる。溶媒は、例えば酢酸エチル等であってよい。
【0033】
本発明の透明積層体における接着剤層は、外層と内層とのラミネート強度を十分に高くする観点から、透明積層体単位面積当たりの接着剤層の量として、2.0g/m
2以上、2.5g/m
2以上、3.0g/m
2以上、3.5g/m
2以上、又は4.0g/m
2以上の量であってよい。一方で、ラミネート強度を確保すること、若しくは塗布法による製造を可能にすること、又はこれらの双方の観点から、透明積層体単位面積当たりの接着剤層の量は、8.0g/m
2以下、7.0g/m
2以下、6.0g/m
2以下、又は5.0g/m
2以下の量であってよい。
【0034】
(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物、そのハロゲン化物等であってよい。
【0035】
具体的には、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物は、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等であってよい。
【0036】
ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物のハロゲン化物は、例えば、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(別名:2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−(2−メチルペンタン−2−イル)−5−(2−メチルブタン−2−イル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等であってよい。
【0037】
接着剤層におけるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の使用量は、透明積層体の面積当たり、例えば、0.10g/m
2以上、0.13g/m
2以上、0.15g/m
2以上、0.17g/m
2以上、0.19g/m
2以上、又は0.21g/m
2以上であってよい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の使用量を十分に多くすると、紫外光を効果的に遮断することができ、特に、後述のベンゾフェノン系紫外線吸収剤による遮断が不十分な380nm以上400nm以下の波長領域の紫外光及び波長310nm付近の紫外光を、十分に遮断することができる。
【0038】
接着剤層におけるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の使用量は、透明積層体の面積当たり、例えば、0.30g/m
2以下、0.28g/m
2以下、0.25g/m
2以下、0.23g/m
2以下、又は0.21g/m
2以下であってよい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の使用量が過剰でない接着剤層は、外層と内層とを高い接着力で積層することができ、両層間のラミネート強度を十分に高いものとすることができる。
【0039】
接着剤層におけるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の使用量は、紫外線の遮断性とラミネート強度とのバランスを最大限に考慮した場合、透明積層体の面積当たり、例えば、0.13g/m
2以上0.28g/m
2以下の範囲であってよい。
【0040】
(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、ヒドロキシ置換ベンゾフェノン化合物物等であってよい。
【0041】
ヒドロキシ置換ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(別名:[2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)フェニル](フェニル)メタノン)、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等であってよい。
【0042】
接着剤層におけるベンゾフェノン系紫外線吸収剤の使用量は、透明積層体の面積当たり、例えば、0.10g/m
2以上、0.13g/m
2以上、0.15g/m
2以上、0.17g/m
2以上、0.18g/m
2以上、又は0.20g/m
2以上であってよい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の使用量を十分に多くすると、特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤による遮断が不十分な波長330nm付近の紫外光を、十分に遮断することができる。
【0043】
接着剤層におけるベンゾフェノン系紫外線吸収剤の使用量は、透明積層体の面積当たり、例えば、2.00g/m
2以下、1.80g/m
2以下、1.50g/m
2以下、1.30g/m
2以下、1.00g/m
2以下、0.80g/m
2以下、0.50g/m
2以下、0.40g/m
2以下、又は0.30g/m
2以下であってよい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の使用量が過剰でない接着剤層は、外層と内層とを高い接着力で積層することができ、両層間のラミネート強度を十分に高いものとすることができる。
【0044】
接着剤層におけるベンゾフェノン系紫外線吸収剤の使用量は、紫外線の遮断性とラミネート強度とのバランスを最大限に考慮した場合、透明積層体の面積当たり、例えば、0.15g/m
2以上1.76g/m
2以下の範囲であってよい。
【0045】
(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の併用)
接着剤層におけるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の合計の使用量は、透明積層体の単位面積あたり、例えば、0.30g/m
2以上、0.35g/m
2以上、0.40g/m
2以上、又は0.45g/m
2以上であってよく、例えば、2.50g/m
2以下、2.00g/m
2以下、1.50g/m
2以下、1.00g/m
2以下、又は0.50g/m
2以下であってよい。
【0046】
透明積層体における外層と内層とのラミネート強度を十分に高いものとし、かつ、高度の紫外線吸収能及び高度の透明性を示す透明積層体とするための、接着剤層中の紫外線吸収剤の好ましい使用量は、透明積層体の単位面積あたり、0.13g/m
2以上0.28g/m
2以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、0.15g/m
2以上1.76g/m
2以下のベンゾフェノン系紫外線吸収剤とを組み合わせて使用してよい。特に好ましくは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.23g/m
2と、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤0.24g/m
2との組み合わせである。
【0047】
(紫外線吸収剤の含有量の測定)
透明積層体における、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤それぞれの含有量は、透明積層体試料を溶媒に浸漬して紫外線吸収剤を抽出し、必要に応じて濃縮したうえで、得られた抽出液の液体クロマトグラフィーを測定することにより、定量することができる。液体クロマトグラフィーの測定結果を、もとの透明積層体試料の単位面積当たりの値に換算すればよい。抽出溶媒としては、例えばクロロホルムが適切である。
【0048】
[内層]
本発明の透明積層体における内層は、透明樹脂層を含む単層構成又は多層構成の層であってよい。
【0049】
本発明の透明積層体を用いて容器を製造するときに、内層と外層とを融着させることが予定されている場合、内層はヒートシール性を有する透明樹脂層を含んでよく、外層樹脂とのヒートシール性が良好な透明樹脂層を含んでよい。
【0050】
内層を構成する透明樹脂としては、例えばポリエチレン等を挙げることができ、例えば、LDPE、LLDPE、MDPE、HDPE等から適宜に選択して使用してよい。内層を構成する透明樹脂は、これらの樹脂のシート、フィルム、又はこれらの樹脂を含む組成物を用いて形成されたコーティング膜であってよく、特にLLDPEフィルムであってよい。したがって、内層は、LLDPEフィルムを含む単層構成又は多層構成の層であってよい。
【0051】
本発明の透明積層体における内層は、上記のような透明樹脂層、特にLLDPEフィルムの他に、透明積層体に剛性を付与する基材層を有していてよい。基材層は、例えば、ポリエステル層、ナイロン層等であってよい。ポリエステル層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等から構成される一軸又は二軸の延伸フィルム等であってよい。ナイロン層は、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等から構成される一軸又は二軸の延伸フィルム等であってよい。
【0052】
剛性の付与効果を有効に発揮させるとの観点から、基材層の厚みは、例えば、8μm以上、10μm以上、又は12μm以上であってよい。一方で、基材層を過度に厚くすると、費用対効果の面で不利となり、また、シールの際のサイドシーム形成への悪影響を回避するとの観点から、基材層の厚みは、例えば、25μm以下、20μm以下、又は15μm以下であってよい。
【0053】
内層の厚みは、例えば、20μm以上、40μm以上、60μm以上、又は80μm以上であってよく、例えば、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、又は100μm以下であってよい。内層が基材層を含むとき、これらの厚みは、基材層の厚みを含む値である。
【0054】
[印刷層]
本発明の透明積層体は、必要に応じて、印刷層を含んでよい。印刷層は、例えば、内容物の製品名、説明、注意事項等、及び購買意欲を刺激するための意匠等の印刷絵柄を含んでよい。印刷層は、外層及び内層のどちらに配置してもよい。外層及び内層が多層である場合には、これらの多層のうちの任意の層に配置してよい。例えば、内層のうちの、内容物に接する側とは反対側の最外面上に印刷層を配置して、該印刷層上に本発明所定の接着剤層を介して外層を接着することも、本発明の範囲に含まれる。
【0055】
印刷層の形成は、公知のインキ組成物(例えばUVインキ組成物)を使用して、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷等の適宜の印刷方法によって行われてよい。
【0056】
<透明積層体の製造方法>
本発明の透明積層体は、例えば、外層及び内層を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含む接着剤層を介して積層することを含む方法により、製造されてよい。
【0057】
外層、内層、及び紫外線吸収剤としては、それぞれ、透明積層体を構成する材料として上記に例示したものの中から、所望のものを選択して用いてよい。外層又は内層が多層構成のものである場合には、例えば、溶融押出ラミネート、ドライラミネート等の適宜の方法によって積層したうえで用いてよい。外層又は内層が他層構成である場合の積層、及び外層と内層との接着に先立ち、層の加工面に予めコロナ放電処理等の適宜の処理を行っておいてもよい。
【0058】
接着剤層は、外層若しくは内層又はこれらの双方の面上に、例えば、
接着剤と、
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤と、
酢酸エチルと
を含む、紫外線吸収性接着剤組成物を塗布した後、外層と内層とを積層し、次いで紫外線吸収性接着剤組成物中の溶媒を除去し、かつ接着剤を硬化させることによって形成されてよい。
【0059】
上記の紫外線吸収性接着剤組成物に含まれる接着剤は、1液型の接着剤であっても、2液型(2液硬化型)の接着剤であってもよく、上記に例示した接着剤の中から、所望のものを選択して用いてよい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤それぞれの種類及び量も、透明積層体における所望の接着剤層に応じて、適宜に設定されてよい。酢酸エチルの使用量は、得られる紫外線吸収性接着剤組成物中の固形分含量が、例えば、10重量%以上、15重量%以上、又は20重量%以上、例えば、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下となるような量で使用されてよい。
【0060】
本発明の透明積層体は、特に、外層と内層とを、2液硬化型の接着剤と紫外線吸収剤とを含む、2液硬化型の紫外線吸収性接着剤組成物を用いるドライラミネートによって積層することが好ましい。この2液硬化型の紫外線吸収性接着剤組成物は、2液硬化型の接着剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤と、酢酸エチルとを含んでいてよい。
【0061】
<透明積層体の特性>
本発明の透明積層体は、透明性、特に可視光に対する透明性が高いとともに、紫外光に対する遮断性に優れるものである。
【0062】
紫外光に対する遮断性に関しては、本発明の透明積層体について、紫外可視近赤外分光光度計を用い、測定波長200nm〜500nm、スキャン速度600nm/分、及びスリット幅4.00nmの条件にて紫外線透過率を測定したときに、波長360nmm、330nm、及び270nmにおける紫外線透過率は、いずれも5.0%以下であってよい。このときの透明積層体の360nmにおける紫外線透過率は、4.5%以下、4.0%以下、3.5%以下、又は3.0%以下であってよい。透明積層体の330nm及び270nmにおける紫外線透過率は、それぞれ、4.0%以下、3.0%以下、2.0%以下、又は1.5%以下であってよい。
【0063】
上記のとおり、本発明の透明積層体は、特に360nm以下の波長領域の紫外光に対する遮断効率が高い。したがって、本発明の透明積層体は、外層及び内層が紫外線遮断性を持たない材料(例えばPE)である場合でも、高度の紫外線遮断性が付与されたものとなる。また、積層体材料として一般的に使用されるPETは、300nm以下の波長領域の紫外光はよく遮断するが、320nm以上の波長領域では有意の透過率を示す。本発明の透明積層体は、外層及び内層がPETから構成される場合であっても、360nm以下の紫外光を効率よく遮断することができるから、外層及び内層の材料が本来有していた紫外線遮断範囲が広がることとなる。
【0064】
可視光に対する透明性に関して、本発明の透明積層体について、JIS K 7105に準拠して測定したヘイズは、例えば、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、又は30%以下であってよい。
【0065】
本発明の透明積層体は、外層と内層とが紫外線吸収剤を含む接着剤層によって接着されているにもかかわらず、両層間のラミネート強度が非常に高いものである。具体的には、本発明の透明積層体から作製した幅15mmの試験片について、JIS K 6854に準拠して測定したT型剥離強度は、10.0N/15mm以上、12.0N/15mm以上、13.0N/15mm以上、13.5N/15mm以上、14.0N/15mm以上、14.5N/15mm以上、又は15N/15mm以上であってよい。
【0066】
<透明積層体の用途>
本発明の透明積層体は、例えば、ラミネートチューブ容器、ラミネート包装袋等として用いられてよい。本発明の透明積層体は、具体的には例えば、化粧品、医薬品、食品等のラミネートチューブ容器として用いられてよい。
【0067】
ラミネートチューブ容器は、胴部、胴部よりも径の小さい口部、及び胴部と口部とを連結する肩部から成っていてよい。ラミネートチューブ容器は、例えば、本発明の透明積層体を筒状に丸めて筒状の胴部を形成した後、別途に製造した肩部及び口部と溶着させる方法、圧縮成形によって肩部の形成と筒状胴部との溶着とを同時に行う方法、等を含む適宜の方法等によって製造されてよい。
【実施例】
【0068】
以下の実施例及び比較例において使用した樹脂フィルム及び試薬は、それぞれ、以下とおりである。以下において、樹脂フィルムの名称の後に記載されたカッコ内の数字はフィルム厚み(μm)である。
【0069】
[樹脂フィルム]
LLDPE1(100):タマポリ(株)製、直鎖低密度ポリエチレン、品名「SE620N」、厚み100μm
LLDPE2(80):東洋紡(株)製、直鎖低密度ポリエチレン、品名「LIX−NP L4102」、厚み80μm
LDPE:旭化成(株)製、低密度ポリエチレン、品名「サンテック−LD M1880E」
PET(12):ユニチカ(株)製、二軸延伸ポリエステルフィルム、品名「PETB」、厚み12μm
【0070】
[接着剤]
エステル系主剤(東洋インキ(株)製、品名「TM277」、不揮発分55重量%)及び脂肪族系硬化剤(東洋インキ(株)製、品名「CAT−RT86」、不揮発分60重量%)から構成される、2液反応硬化型ドライラミネート接着剤
【0071】
[紫外線吸収剤]
LA−36:(株)ADEKA製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−t−ブチル−4−メチルフェノール、品名「アデカスタブLA−36」
1413:(株)ADEKA製、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、[2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)フェニル](フェニル)メタノン、品名「アデカスタブ1413」
【0072】
<紫外線透過率の評価>
[比較例1〜4及び実施例1〜8]
(1)紫外線吸収性接着剤組成物の調製
接着剤(主剤)10g(不揮発分5.5g)と酢酸エチル11.94gとを混合して、溶液Aを得た。紫外線吸収剤「LA−36」及び「1413」の各所定量を量り取り、溶液Aに混合して、溶液Bを得た。次いで、接着剤(硬化剤)2g(不揮発分1.2g)を、溶液Bに混合して、2液硬化型の紫外線吸収性接着剤組成物を調製した。
【0073】
ここで、紫外線吸収剤「LA−36」及び「1413」は、それぞれ、接着剤中の固形分(すなわち、接着剤(主剤)及び接着剤(硬化剤)の不揮発分の合計重量)を100重量%としたときに、表1の「接着剤に対する重量比」欄に示した割合(重量%)となる量を混ぜ合わせて使用した。
【0074】
なお、比較例4では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤「LA−36」の使用量を、接着剤中の固形分に対する重量割合が7重量%(透明積層体の単位面積当たり0.34g/m
2)となる量に設定して、紫外線吸収性接着剤組成物の調製を試みたが、紫外線吸収剤が完全には溶解しなかったため、以降の実験を行わなかった。
【0075】
(2)透明積層体の作製
LLDPE1(100)を2枚準備し、それぞれの片面にコロナ放電処理を施した。
【0076】
LLDPE1(100)のうちの1枚のコロナ放電処理面上に、紫外線吸収性接着剤組成物を、グラビア塗布により固形分換算4.2g/m
2の塗布量にて塗布し、もう1枚のLLDPE1(100)のコロナ放電処理面と貼り合わせ、40℃において5日間(120時間)静置して接着剤を硬化させることにより、以下の層構成の透明積層体を得た。
LLDPE1(100)/紫外線吸収剤含有接着剤層/LLDPE1(100)
【0077】
(3)紫外線吸収剤の含有量の測定
得られた透明積層体を10cm×10cmの正方形シート状にカットしたものを試料とした。このシートを1辺約1cmの略正方形の小片状に細断して、クロロホルム中に浸漬し、紫外線吸収剤を抽出した。抽出液を減圧にて濃縮した後に液体クロマトグラフィーを行い、抽出液に含まれていた紫外線吸収剤の量を定量し、測定に用いた透明積層体試料の単位面積当たりの値に換算した。
【0078】
(4)紫外線透過率の測定
(株)日立ハイテクサイエンス製の紫外可視近赤外分光光度計、品名「UH4150」を用い、以下の条件下で、得られた透明積層体試料の紫外線透過率を測定した。このときの、波長360nmm、330nm、及び270nmにおける紫外線透過率を、透明積層体の透明性の指標として採用した。
測定波長:200nm〜500nm
スキャン速度:600nm/分
サンプリング間隔:1nm
スリット幅:4.00nm
【0079】
(5)ヘイズの測定
得られた透明積層体のヘイズを、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率・反射計、品名「HR100」を用い、JIS K 7105に準拠して測定した。
【0080】
(6)測定結果の提示
比較例1〜3及び実施例1〜8の透明積層体試料について得られた波長360nm、330nm、及び270nmの紫外線透過率、並びにヘイズの測定結果を、各透明積層体中の紫外線吸収剤の含有量とともに、表1に示した。また、波長360nm、330nm、及び270nmの紫外線透過率の数値の根拠として用いた、比較例1〜3の透明積層体試料の紫外線透過率チャートを
図2に、実施例5の透明積層体試料の紫外線透過率チャートを
図3に、それぞれ示した。
実施例1〜4及び実施例6〜8の紫外線透過率チャートの添付は省略するが、表1中のこれらの実施例における紫外線透過率の数値は、それぞれ該当する紫外線透過率チャートから抜粋した数値である。
【0081】
【表1】
【0082】
表1、並びに
図2及び
図3を参照すると、以下のことが理解される。
【0083】
接着剤層中の紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤「LA−36」のみを含む比較例1の透明積層体試料では、400nmよりも短い波長で紫外線透過率が急激に減少し、360nm付近ではほぼ問題のない透過率レベルに達したが、波長330nm付近及び270nm付近で透過率が高くなるピークが見られた。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤「LA−36」の量を接着剤組成物中の不揮発分に対して7重量%(透明積層体の単位面積当たり0.34g/m
2に相当)まで増やした比較例4では、上述のとおり、接着剤組成物中の紫外線吸収剤を溶媒に完全に溶解することはできなかった。
【0084】
一方、接着剤中の紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤「1413」のみを含む比較例2の透明積層体試料では、380nm付近まで高い紫外線透過率が維持された。比較例2の透明積層体試料の紫外線透過率は、380nmよりも低い波長で減少したが、360nm付近では高いレベルを維持しており、更に310nm付近及び270nm付近で透過率が高くなるピークが見られた。
【0085】
比較例2におけるベンゾフェノン系紫外線吸収剤「1413」の含有量を増加させた比較例3の透明積層体試料の紫外線透過率は、380nmよりも短い波長領域において全体的に減少したが、360nm付近の透過率のレベルはまだ高く、310nm付近及び270nm付近で透過率が高くなるピークも維持されていた。
【0086】
これらに対して、接着剤層中の紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤「LA−36」及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤「1413」の双方を含む実施例1の透明積層体試料は、400nmよりも短い波長で紫外線透過率が急激に減少し、360nm付近で問題のない透過率レベルに達するとともに、波長330nm付近及び310nm付近の透過率の上昇ピークも見られなかった。波長270nm付近に、紫外線透過率が若干上昇するピークが確認されたが、問題になるレベルではない。実施例2〜8の透明積層体試料について測定された波長360nm、330nm、及び270nmの紫外線透過率は、いずれも低い値を示した。
【0087】
また、ここで得られた透明積層体は、いずれもヘイズが低く、可視光線に対して高い透明性を有していた。
【0088】
以上のことから、接着剤層中にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の双方を含む本発明の態様は、可視光線に対しては高い透明性を示しつつ、360nmよりも短い波長領域の紫外線を吸収し、本実施例で測定した領域における紫外線透過率を問題のないレベルまで減少させ得ることが検証された。
【0089】
<ラミネート強度の評価>
[比較例5及び実施例9〜14]
(1)内層(べース積層体)の作製
以下の手順により、下記の層構成の、印刷絵柄を有する内層を作製した。
(印刷絵柄)/LDPE(40)/PET(12)/接着剤層/LLDPE1(100)/LDPE(70)/LLDPE1(100)
【0090】
PET(12)の片面にコロナ放電処理を施した。このPET(12)のコロナ放電処理面に、2液反応硬化型ドライラミネート接着剤層を介してLLDPE1(100)を積層して、積層体A(PET(12)/接着剤層/LLDPE1(100))を得た。
【0091】
積層体AのLLDPE1(100)側の面上に、溶融させたLDPEを介して別のLLDPE1(100)を積層し、積層体B(PET(12)/接着剤層/LLDPE1(100)/LDPE(70)/LLDPE1(100))を得た。
【0092】
積層体BのPET(12)側の面上に、溶融させたLDPEを、アンカーコート層を介して積層して厚み40μmのLPDE層(LDPE(40))として、積層体C(LDPE(40)/PET(12)/接着剤層/LLDPE1(100)/LDPE(70)/LLDPE1(100))を得た。
【0093】
更に、積層体CのLDPE(40)側の面上の一部領域に、UVインキを用いて絵柄の印刷を行うことにより、印刷絵柄の層を含めて7層構成の、印刷絵柄を有するベース積層体を得た。
【0094】
(2)紫外線吸収性接着剤組成物の調製
紫外線吸収剤「LA−36」及び「1413」の使用量を、それぞれ、接着剤中の固形分を100重量%としたときに表2の「接着剤に対する重量比」欄に示した割合(重量%)となる量とした他は、[比較例1〜4及び実施例1〜8]におけるのと同様にして、2液硬化型の紫外線吸収性接着剤組成物を調製した。なお、比較例5における接着剤組成物には、紫外線吸収剤が含有されていない。
【0095】
(3)透明積層体の作製
ベース積層体の、印刷絵柄を有するLDPE(40)側の面上に、紫外線吸収性接着剤組成物を、グラビア塗布により、固形分換算4.2g/m
2の塗布量にて塗布し、LLDPE2(80)と貼り合わせることにより、以下の層構成の透明積層体を得た。
LLDPE2(80)/紫外線吸収剤含有接着剤層/(印刷絵柄)/LDPE(40)/PET(12)/接着剤層/LLDPE1(100)/LDPE(70)/LLDPE1(100)
【0096】
(4)ラミネート強度の測定
上記で得られた透明積層体から、MD方向を長軸として、幅15mm×長さ100mmの短冊状の試験片を切り出し、紫外線吸収剤含有接着剤層を介して貼り合わされたLLDPE2(80)層とLDPE(40)層との間を剥離し、JIS K 6854に準拠して以下の条件にてT型剥離強度の測定を行った。試験は、各試験片について105回ずつ行い、その平均値をラミネート強度として採用した。
測定装置:(株)東洋精機製作所製、ストログラフ、品名「VES10」
つかみ移動速度:300mm/分
【0097】
(5)紫外線吸収剤の含有量の測定
作製した透明積層体に含まれる紫外線吸収剤を、[比較例1〜4及び実施例1〜8]におけるのと同様にして、液体クロマトグラフィーにて定量した。
【0098】
(6)測定結果の提示
比較例5、及び実施例9〜14の透明積層体試料について得られたラミネート強度の測定結果を、各透明積層体中の紫外線吸収剤の含有量とともに、表2に示した。
【0099】
【表2】
【0100】
表2から明らかなとおり、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤「LA−36」及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤「1413」の双方を含む接着剤組成物を使用して積層した場合であっても、層間のラミネート強度が損なわれることはなく、高いラミネート強度を示した。上記の実施例においては、内層の最表面に絵柄を印刷したうえで、外層と積層していることにも留意されたい。
【0101】
<ブリードアウトの有無の確認>
上記の透明積層体において、紫外線吸収剤のブリードアウトの有無の確認を行った。
実施例13で得られた透明積層体の表面及び裏面を、それぞれ、エタノールで拭き取ったときの、拭き取り前後の紫外線透過率を測定した。この測定は、日立ハイテクサイエンス製UV−VIS分光光度計UH4150を用い、以下の条件下で行った。
測定波長:210nm〜600nm
スキャン速度:600nm/分
サンプリング間隔:1nm
スリット幅:4.00nm
【0102】
得られた紫外線透過率のチャートを、
図4及び
図5に示した。
図4(a)は、実施例13で得られた透明積層体の表面をエタノールで拭き取る前の紫外線透過率チャートであり、
図4(b)は、この透明積層体の表面をエタノールで拭き取った後の紫外線透過率チャートである。
図5(a)は、実施例13で得られた透明積層体の裏面をエタノールで拭き取る前の紫外線透過率チャートであり、
図5(b)は、この透明積層体の裏面をエタノールで拭き取った後の紫外線透過率チャートである。
【0103】
図4及び
図5から明らかなように、透明積層体の表面又は裏面をエタノールにて拭き取る前後で、紫外線透過率に差は見られなかった。このことから、透明積層体の表面又は裏面に、紫外線吸収能に影響を与える程度の紫外線吸収剤のブリードアウトは起きていないことが確認された。
【0104】
<ヘイズの測定>
実施例13で作製した透明積層体の、印刷絵柄を有さない透明な部分のヘイズを、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率・反射計、品名「HR100」を用い、JIS K 7105に準拠して測定した。この透明積層体試料のヘイズは、表3に示したとおり、27.9%であり、容器としたときに内容物の視認が可能な透明性を有していることが確認された。
【0105】
【表3】