特許第6797112号(P6797112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797112
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/50 20060101AFI20201130BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20201130BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20201130BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20201130BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20201130BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20201130BHJP
   C09J 175/14 20060101ALI20201130BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20201130BHJP
   B32B 27/06 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   C08F2/50
   C08F2/44 B
   C08F290/06
   C09J4/00
   C09J11/06
   C09J4/02
   C09J175/14
   G02F1/1333
   B32B27/06
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-520785(P2017-520785)
(86)(22)【出願日】2016年5月25日
(86)【国際出願番号】JP2016065482
(87)【国際公開番号】WO2016190361
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年4月3日
(31)【優先権主張番号】特願2015-106483(P2015-106483)
(32)【優先日】2015年5月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高崎 一平
(72)【発明者】
【氏名】深尾 健司
(72)【発明者】
【氏名】中島 剛介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 慶次
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/091769(WO,A1)
【文献】 特開2004−115653(JP,A)
【文献】 特開平07−268284(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/027580(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/141314(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02821454(EP,A1)
【文献】 国際公開第2015/080101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00− 2/60
290/00−290/14
299/00−299/08
C09J 4/00− 4/06
11/00− 11/08
175/00−175/16
B32B 1/00− 43/00
G02F 1/00− 1/39
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(P)、(C)〜(E)を含有する組成物。
(P)重合性ビニル化合物
(C)光重合開始剤
(D)セバシン酸ジエステル
(E)粘着付与剤
【請求項2】
(D)が式(1)で表されるセバシン酸ジエステルである請求項1に記載の組成物。
式(1)
【化1】
(式中、R1、R2は炭素数1〜18のアルキル基であり、R3は炭素数8のアルキレン基であり、R1、R2は同一でも異なっていても良い。)
【請求項3】
更に、(F)チオールを含有する請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(F)チオールがポリチオールである請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
更に、(G)酸化防止剤を含有する請求項1〜4のうちの1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(P)重合性ビニル化合物が、(A)多官能(メタ)アクリレート及び(B)単官能(メタ)アクリレートを含有する請求項1〜5のうちの1項に記載の組成物。
【請求項7】
(A)多官能(メタ)アクリレートが、ウレタン(メタ)アクリレートである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
(B)単官能(メタ)アクリレートが、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
(D)の使用量が、(P)及び(D)の合計100質量部中、5〜50質量部である請求項1〜8のうちの1項に記載の組成物。
【請求項10】
(E)粘着付与剤が、完全水素化ロジン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂からなる群のうちの1種以上である請求項1〜9のうちの1項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のうちの1項に記載の組成物からなる硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1〜10のうちの1項に記載の組成物からなる接着剤組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の接着剤組成物の硬化体。
【請求項14】
請求項13に記載の硬化体により被着体が被覆又は接合された複合体。
【請求項15】
被着体がトリアセチルセルロース、フッ素系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ガラス、金属からなる群から選ばれる1種以上である、請求項14に記載の複合体。
【請求項16】
請求項12に記載の接着剤組成物により被着体を貼り合わせたタッチパネル積層体。
【請求項17】
請求項12に記載の接着剤組成物により被着体を貼り合わせた液晶パネル積層体。
【請求項18】
請求項16に記載のタッチパネル積層体を用いたディスプレイ。
【請求項19】
請求項17に記載の液晶パネル積層体を用いたディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD(液晶ディスプレイ)等の表示体の上に搭載するタッチパネルには、抵抗膜式、静電容量式、電磁誘導式、光学式等がある。これらのタッチパネルの表面に、見た目のデザイン性を良くする化粧板や、タッチする位置を指定するアイコンシートを貼り合わせる場合がある。静電容量式タッチパネルは、透明基板の上に透明電極を形成し、その上に透明板を貼り合わせた構造を有している。
【0003】
従来、化粧板とタッチパネルとの貼り合わせ、アイコンシートとタッチパネルとの貼り合わせ、透明基板と透明板の貼り合わせには、接着剤を用いていた。
【0004】
特に、光硬化性接着剤組成物でこれらの各部材同士を貼りあわせる際、代表的な方法として、両被着体に接着剤を挟んで貼り合わせた後、ディスプレイの正面方向から可視光線若しくは紫外線を照射し、接着剤を硬化させることで、両被着体を接着する方法がある。
【0005】
特許文献1は、(A)ポリイソプレン、ポリブタジエン又はポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマー、(B)柔軟化成分、並びに(C1)フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO付加物(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートから選択した(メタ)アクリレートモノマーを含む光硬化型樹脂組成物が記載されている。しかし、本発明の組成物、特に(D)ジカルボン酸ジエステルを含有する組成物について、特許文献1には記載がない。
【0006】
近年、LCD等の表示体のガラスが薄くなってきている。ガラスが薄くなると外部応力でLCDが変形しやすくなる。薄いガラスを用いたLCD等の表示体と、アクリル板やポリカーボネート板等の光学機能材料とを、貼り合わせた場合、ガラスとアクリル等の線膨張の違いや、アクリル板やポリカーボネート等のプラスチック成型材の成型時の歪みにより、耐熱試験や耐湿試験において成型歪みの緩和や吸湿/乾燥が起こり、寸法変化や反り等の面精度変化が起きる。
【0007】
特許文献2は、ウレタン系(メタ)アクリレート、ポリブタジエン系(メタ)アクリレート、及びイソプレン系(メタ)アクリレートを成分とする硬化樹脂が記載されている。しかし、特許文献2の方法により、この変形を抑えようとした場合、接着面が剥がれたり、LCDが割れたり、LCDが表示ムラになったりするという課題があった。
【0008】
特許文献2の課題の解決策として、特許文献3のようなUV硬化型樹脂が記載されている。特許文献3はイソボルニル(メタ)アクリレートのような剛直な骨格モノマーをベースとした高弾性樹脂であるが故に、高温信頼性試験において被着体の膨張収縮に耐えることができず、剥がれを生じてしまう可能性があった。本発明は、イソボルニル(メタ)アクリレートのような剛直な骨格のモノマーを使用しなくても、高温信頼性試験において被着体の膨張収縮に耐える設計を有する。
【0009】
化粧板とタッチパネルとの貼り合わせ、アイコンシートとタッチパネルとの貼り合わせ、透明基板と透明板の貼り合わせ等といった用途では、使用環境を想定した加温雰囲気での被着体の変形に追随できる程度の柔軟性を有することが望ましいとされている。
【0010】
一方、使用環境を想定した加温雰囲気での被着体の変形に追随できる程度の柔軟性を有するが故に、耐熱試験後の着色、変色、耐湿試験後の強度低下といった課題があることも明らかとなっている。上記課題の解決策として、特許文献4は、ポリイソプレン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上のオリゴマーとヒンダードアミンとを含有する光硬化型接着組成物が記載されている。しかし、本発明の組成物、特に(D)ジカルボン酸ジエステルを含有する組成物について、特許文献4には記載がない。
【0011】
特許文献5には、特定のイオウ含有(メタ)アクリレート化合物またはこれを含むラジカル反応性組成物、紫外線吸収剤、光重合開始剤、及び酸化防止剤を含むことを特徴とする光硬化性組成物が記載されている。しかし、本発明の組成物、特に(D)ジカルボン酸ジエステルを含有する組成物について、特許文献5には記載がない。
【0012】
特許文献6には、不飽和二重結合を有する官能基を2つ以上有するウレタン(メタ)アクリレート(A)、不飽和二重結合を有する官能基を1つ有するモノマー(B)、光重合開始剤(C)、チオール基を2つ以上有するポリチオール化合物(D)を含有する組成物であって、該組成物中におけるウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量割合が2重量%〜30重量%である光硬化型透明接着剤組成物が記載されている。しかし、本発明の組成物、特に(D)ジカルボン酸ジエステルを含有する組成物について、特許文献6には記載がない。
【0013】
接着剤組成物の硬化後にも表面の粘接着性を保つ方法として、粘着付与剤を添加する方法がある。特許文献7に粘着付与剤として水素化ロジン樹脂粘着付与剤、または、脂肪族完全飽和炭化水素樹脂粘着付与剤、または、水素化テルペン樹脂粘着付与剤を含有するアクリル系粘着剤が記載されている。しかし、本発明の組成物、特に(D)ジカルボン酸ジエステルを含有する組成物について、特許文献7には記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2010/027041号
【特許文献2】特開2004−77887号公報
【特許文献3】特開昭64−85209号公報
【特許文献4】特開2012−46658号公報
【特許文献5】特開2002−097224号公報
【特許文献6】特開2009−001655号公報
【特許文献7】特開2006−225531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、例えば、タッチパネル等の表示体に使用される化粧板やアイコンシートを貼り合わせる場合、透明基板と透明基板とを貼り合わせる場合、表示体と光学機能材料とを貼り合わせる場合に、接着面が剥がれたり、表示体のガラスが割れたりするという従来技術の課題、耐熱、耐湿試験後の変色、強度低下という課題を解決する、硬化性樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
即ち、本発明は、下記(P)、(C)〜(E)を含有する組成物であり、
(P)重合性ビニル化合物
(C)光重合開始剤
(D)ジカルボン酸ジエステル
(E)粘着付与剤
(D)が式(1)で表されるジカルボン酸ジエステルである該組成物であり
式(1)
【化1】
(式中、R1、R2は炭素数1〜18のアルキル基、R3は炭素数1〜10のアルキレン基、R1、R2は同一でも異なっていても良い。)、
(D)がセバシン酸ジエステルである該組成物であり、更に、(F)チオールを含有する該組成物であり、前記(F)チオールがポリチオールである該組成物であり、更に、(G)酸化防止剤を含有する該組成物であり、前記(P)重合性ビニル化合物が、(A)多官能(メタ)アクリレート及び(B)単官能(メタ)アクリレートを含有する該組成物であり、(A)多官能(メタ)アクリレートが、ウレタン(メタ)アクリレートである該組成物であり、(B)単官能(メタ)アクリレートが、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である該組成物であり、(D)の使用量が、(P)及び(D)の合計100質量部中、5〜50質量部である該組成物であり、(E)粘着付与剤が、完全水素化ロジン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂からなる群のうちの1種以上である該組成物であり、該組成物からなる硬化性樹脂組成物であり、該組成物からなる接着剤組成物であり、該接着剤組成物の硬化体であり、該硬化体により被着体が被覆又は接合された複合体であり、該被着体がトリアセチルセルロース、フッ素系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ガラス、金属からなる群から選ばれる1種以上である複合体であり、該接着剤組成物により被着体を貼り合わせたタッチパネル積層体であり、該接着剤組成物により被着体を貼り合わせた液晶パネル積層体であり、該タッチパネル積層体を用いたディスプレイであり、該液晶パネル積層体を用いたディスプレイであり、前記(P)重合性ビニル化合物が、(A)多官能(メタ)アクリレート及び(B)単官能(メタ)アクリレートを含有し、(A)多官能(メタ)アクリレートが、ウレタン(メタ)アクリレートであり、(B)単官能(メタ)アクリレートが、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上であり、(A)多官能(メタ)アクリレートの使用量は、(A)、(B)及び(D)の合計量100質量部中、10〜90質量部であり、(B)単官能(メタ)アクリレートの使用量は、(A)、(B)及び(D)の合計量100質量部中、3〜80質量部であり、(D)ジカルボン酸ジエステルの使用量は、(P)及び(D)の合計100質量部に対して、1〜50質量部であり、(E)粘着付与剤が、完全水素化ロジン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂からなる群のうちの1種以上であり、(E)粘着付与剤の使用量は、(P)及び(D)の合計100質量部に対して、1〜40質量部であり、更に、(P)及び(D)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部の(F)ポリチオールを含有し、更に、(G)酸化防止剤を含有する該接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、例えば、硬化後も表面に接着性を保持する、組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(P)重合性ビニル化合物としては、(メタ)アクリレートが好ましく、(A)多官能(メタ)アクリレート及び(B)単官能(メタ)アクリレートを含有することがより好ましい。(A)多官能(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートをいう。多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマー/ポリマー末端又は側鎖に2個以上(メタ)アクロイル化された多官能(メタ)アクリレートのオリゴマー/ポリマー等が挙げられる。
【0019】
多官能(メタ)アクリレートのオリゴマー/ポリマーとしては、1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、1,2−水素化ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本曹達社製「TEAI−1000」)、1,4−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、ポリイソプレン末端(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリブタジエン末端(メタ)ウレタンアクリレートや水素化ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートは、分子構造の末端が(メタ)アクリレートである。これらの中では、効果が大きい点で、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの中では、ポリブタジエン系ウレタン(メタ)アクリレート、水素化ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種以上が好ましく、水素化ポリブタジエン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種以上がより好ましい。水素化ポリブタジエン系ウレタン(メタ)アクリレートの中では、1,2−水素化ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0020】
ここで、ウレタン(メタ)アクリレートとは、例えば、ポリオール化合物(以後、Xで表す)と有機ポリイソシアネート化合物(以後、Yで表す)とヒドロキシ(メタ)アクリレート(以後、Zで表す)とを反応(例えば、重縮合反応)させることにより得られる、分子内にウレタン結合を有するウレタン(メタ)アクリレートをいう。
【0021】
ポリオール化合物(X)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ブチルエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールや、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール、カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等のポリジエン系ポリオール、ポリジメチルシロキサンポリオール等のシリコーンポリオール等が挙げられる。該多価アルコール又は該ポリオールと、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール等も挙げられる。
【0022】
これらの中では、ポリオール化合物(X)として、ポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールからなる群のうちの1種以上が好ましく、水素化ポリブタジエンポリオール、ポリエステルポリオールからなる群のうちの1種以上がより好ましい。水素化ポリブタジエンポリオールの中では、式(2)を表される化合物(nは正数)が好ましい。
【0023】
式(2)
【化2】
(式中、nは正数である。)
【0024】
ここで、ポリブタジエン系ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオール化合物(X)がポリブタジエンポリオールである。ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリートは、例えば、ポリオール化合物(X)がポリエステルポリオールである。ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオール化合物(X)がポリエーテルポリオールである。
【0025】
有機ポリイソシアネート化合物(Y)としては、格別に限定される必要はないが、例えば芳香族系、脂肪族系、環式脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートが使用できる。中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m−TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)等のポリイソシアネート、これらポリイソシアネートの三量体化合物、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等が好適に用いられる。これらの中では、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)及び/又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
【0026】
ヒドロキシ(メタ)アクリレート(Z)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0027】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中では、式(3)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
式(3)
Z−O−(R4−O−)p−H
(式中、Zは(メタ)アクリロイル基、R4はアルキレン基、pは1〜10の整数を表す。)
【0028】
式(3)におけるR4のアルキレン基の炭素数は1〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。
【0029】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種以上が好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの製法は、例えば、特開平7−25957号公報、特開2002−173515号公報、特開平7−292048号公報、特開2000−351819号公報等に記載されている。
【0030】
多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、1000〜60000が好ましく、1500〜40000がより好ましい。重量平均分子量は、下記の条件にて、溶剤としてテトラヒドロフランを用い、GPCシステム(東ソ−社製SC−8010)等を使用し、市販の標準ポリスチレンで検量線を作成して求める。
【0031】
流速:1.0ml/min
設定温度:40℃カラム構成:東ソー社製「TSK guardcolumn MP(×L)」6.0mmID×4.0cm1本、および東ソー社製「TSK−GELMULTIPOREHXL−M」7.8mmID×30.0cm(理論段数16,000段)2本、計3本(全体として理論段数32,000段)
サンプル注入量:100μl(試料液濃度1mg/ml)
送液圧力:39kg/cm2
検出器:RI検出器
【0032】
(P)重合性ビニル化合物が、(A)多官能(メタ)アクリレート及び(B)単官能(メタ)アクリレートを含有する場合、(A)多官能(メタ)アクリレートの使用量は、(A)、(B)及び(D)の合計量100質量部中、10〜90質量部が好ましく、30〜90質量部がより好ましく、40〜85質量部がさらに好ましく、30〜80質量部がなおさらに好ましく、40〜75質量部が最も好ましい。10質量部以上であれば、接着性が低下する恐れがなく、90質量部以下であれば、良好な硬化性が得られる。
【0033】
(B)単官能(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートをいう。(B)単官能(メタ)アクリレートの中では、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種以上が好ましい。
フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの中では、式(4)で表されるフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートが好ましい。
【0034】
式(4)
【化3】
(式中、R1は水素又は炭素数1〜16のアルキル基である。R2はアルキレン基である。R3は水素又はメチル基である。mは1〜6である。)
【0035】
1はアルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数は5〜13が好ましく、9が好ましい。R2はエチレン基が好ましい。mは4が好ましい。R1が炭素数9のアルキル基であるノニルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートとしては、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド8モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキサイド2.5モル変性)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
アルキル(メタ)アクリレートの中では、炭素数2〜16のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル基は、飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。アルキル基は、非置換であることが好ましい。
【0037】
炭素数2〜16個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、接着性や耐湿性の点で、オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、ノルマルオクチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0038】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中では、前述の式(3)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
式(3)
Z−O−(R4−O−)p−H
(Zは(メタ)アクリロイル基、R4はアルキレン基、pは1〜10の整数を表す。)
【0039】
式(3)におけるR4のアルキレン基の炭素数は1〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。
【0040】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、接着性や耐湿性の点で、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0041】
(P)重合性ビニル化合物が、(A)多官能(メタ)アクリレート及び(B)単官能(メタ)アクリレートを含有する場合、(B)単官能(メタ)アクリレートの使用量は、(A)、(B)及び(D)の合計量100質量部中、3〜80質量部が好ましく、5〜80質量部がより好ましく、15〜65質量部がさらにより好ましく、20〜60質量部が最も好ましい。3質量部以上であれば良好な硬化性が得られ、80質量部以下であれば、接着性が低下するおそれがない。
【0042】
(C)光重合開始剤は、可視光線や紫外線の活性光線により増感させて樹脂組成物の光硬化を促進するために使用するものである。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン誘導体、ジエトキシアセトフェノン、4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジフェニルジスルフィド、チオキサントン及びその誘導体、カンファーキノン、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−ブロモエチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−メチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸クロライド等のカンファーキノン誘導体、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のα−アミノアルキルフェノン誘導体、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシポスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジエトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル及びオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等が挙げられる。光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、効果が大きい点で、ベンゾイン誘導体、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、アシルホスフィンオキサイド誘導体からなる群のうちの1種以上が好ましい。ベンゾイン誘導体の中では、ベンジルジメチルケタールが好ましい。アシルホスフィンオキサイド誘導体の中では、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドからなる群のうちの1種以上が好ましい。
【0043】
(C)光重合開始剤の使用量は、(A)、(B)及び(D)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。0.01質量部以上であれば、良好な硬化性が得られ、10質量部以下で良好な深部硬化性が得られる。
【0044】
(D)ジカルボン酸ジエステルとしては、脂肪族二塩基酸ジエステルが好ましい。脂肪族二塩基酸ジエステルとしては、式(1)で表される化合物が好ましい。
【0045】
式(1)
【化4】
(式中、R1、R2、及びR3の定義は上述したとおりである。)
【0046】
式(1)で表される化合物のR1、R2は、飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。また、上記R1、R2は、非置換であることが好ましい。上記R1、R2は、炭素数2〜12のアルキル基が好ましく、炭素数4〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数8のアルキル基が最も好ましい。式(1)で表される化合物のR3は、飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。また上記R3は、非置換であることが好ましい。上記R3は、炭素数4〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数7〜8のアルキレン基がより好ましく、炭素数8のアルキレン基が最も好ましい。
【0047】
(D)ジカルボン酸ジエステルは、例えば、深部硬化性を良好にし、粘度を調整するために使用される化合物である。
【0048】
(D)式(1)で表されるジカルボン酸ジエステルとして、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジプロピル、シュウ酸ジイソプロピル、シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジヘキシル、シュウ酸ジオクチル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジイソプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジt−ブチル、コハク酸ビス(2−エチルヘキシル)、コハク酸ビス(2−エトキシエチル)、グルタル酸ジエチル、グルタル酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ブチル、アジピン酸ジt−ブチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、ピメリン酸ジメチル、ピメリン酸ジエチル、ピメリン酸ジイソプロピル、ピメリン酸ジブチル、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、スベリン酸ジプロピル、スベリン酸ジイソプロピル、アゼライン酸ジメチル、アゼライン酸ジエチル、アゼライン酸ジプロピル、アゼライン酸ジイソプロピル、アゼライン酸ジブチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)等が挙げられる。これらのジカルボン酸ジエステルは1種又は2種以上を使用できる。(D)ジカルボン酸ジエステルの中では、セバシン酸ジエステルが好ましい。セバシン酸ジエステルの中では、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)が好ましい。
【0049】
(D)ジカルボン酸ジエステルの使用量は、(P)及び(D)の合計100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、5〜45質量部がより好ましく、8〜20質量部が最も好ましい。1質量部以上であれば良好な粘度が得られ、50質量部以下であれば良好な深部硬化性が得られる。
【0050】
(E)粘着付与剤は、例えば、一般にタッキファイヤあるいは粘着付与樹脂とも呼ばれる化合物であり、硬化後も接着剤硬化物表面に粘着性を保持するために使用される化合物である。粘着付与剤には、紫外線によって劣化しにくく、耐候性が高い粘着付与剤が好ましい。粘着付与剤としては、水素化ロジン樹脂(完全水素化ロジン樹脂)、脂肪族完全飽和炭化水素樹脂、水素化テルペン樹脂(完全水素化テルペン樹脂)、芳香族変性水素化テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、スチレン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素化テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。これらの中では、完全水素化ロジン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂からなる群のうちの1種以上が好ましい。
【0051】
(E)粘着付与剤の使用量は、(P)及び(D)の合計100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜25質量部が最も好ましく、10〜20質量部が尚更好ましい。1質量部以上であれば硬化後の表面に良好な粘着力が得られ、40質量部以下であれば良好な透明性が得られる。
【0052】
本発明の組成物は、(F)チオールを使用できる。(F)チオールとは、1個以上のチオール基を有する化合物をいう。チオールの中では、深部硬化性の点で、ポリチオールが好ましい。(F)ポリチオールとは、2個以上のチオール基を有する化合物をいう。ポリチオールとしては、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、3−メルカプトブチレート誘導体等が挙げられる。これらのポリチオールは、1種又は2種以上を使用できる。
【0053】
(F)ポリチオールの中では、3−メルカプトブチレート誘導体とメルカプトプロピオネート誘導体からなる群のうちの1種以上が好ましい。例えば、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。(F)ポリチオールの中では、1級又は2級のポリチオールが好ましい。
【0054】
(F)ポリチオールの使用量は、(P)及び(D)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。0.1質量部以上であれば良好な深部硬化性が得られ、10質量部以下であれば硬化性樹脂組成物の熱による着色や変色が小さくなる。
【0055】
本発明の組成物は、貯蔵安定性向上のために、(G)酸化防止剤を使用できる。酸化防止剤としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノール、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ジターシャリーブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジターシャリーブチル−p−ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、ターシャリーブチルカテコール、2−ブチル−4−ヒドロキシアニソール及び2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらの中では、6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノールが好ましい。
【0056】
(G)酸化防止剤の使用量は、(P)及び(D)の合計100質量部に対して、0.001〜0.5質量部が好ましく、0.005〜0.1質量部がより好ましい。0.001質量部以上であれば硬化性樹脂組成物の熱による着色や変色が小さく、0.5質量部以下であれば良好な深部硬化性が得られる。
【0057】
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、一般に使用されているアクリルゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム等の各種エラストマー、極性有機溶媒等の溶剤、増量材、補強材、可塑剤、増粘剤、染料、顔料、難燃剤、シランカップリング剤及び界面活性剤等の添加剤を使用してもよい。
【0058】
本発明の組成物にて接着した硬化体は、完全硬化させた後にリワーク(再利用)することが可能である。リワークの方法としては特に制限は無いが、貼り合わされた1種又は2種の被着体間に0.01〜100Nの荷重を負荷することにより被着体同士を解体し、解体後の被着体を再利用することが可能となる。
【0059】
本発明の組成物は、例えば、硬化性樹脂組成物であり、接着剤組成物として使用できる。本発明の組成物は、硬化率が90%以上に至った硬化物の状態でも、各種の被着体の貼り合わせに充分な接着性・粘着性を保持した組成物である。本発明の組成物は、例えば、片方の被着体上に塗布した接着剤組成物に、可視光線若しくは紫外線を照射した後、もう一方の被着体と貼り合わせることで、可視光線若しくは紫外線が透過しない箇所も関係なく硬化し、被着体を貼り合わせできる接着剤組成物である。
【0060】
本発明の接着剤組成物は、例えば、可視光線若しくは紫外線を照射することによって、接着剤組成物の硬化体を得ることができる。
【0061】
本発明の硬化体によって被着体を被覆又は接合された複合体が得られる。被着体は、特に限定しないが、トリアセチルセルロース、フッ素系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ガラス、金属からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0062】
本発明の接着剤組成物を用いて、被着体を貼り合わせたタッチパネル積層体を得ることができる。
本発明の接着剤組成物を用いて、被着体を貼り合わせたタッチパネル積層体を得ることができる。上記タッチパネル積層体を用いてディスプレイを得ることができる。
本発明の接着剤組成物を用いて、被着体を貼り合わせた液晶パネル積層体を得ることができる。上記液晶パネル積層体を用いてディスプレイを得ることができる。
【実施例】
【0063】
以下に、実験例をあげて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特記しない限り、23℃で、実験した。
【0064】
(実験例1)
表1に示す組成の硬化性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0065】
実験例に記載の硬化性樹脂組成物中の各成分としては、以下の化合物を選択した。
【0066】
(A)成分の多官能(メタ)アクリレートとして、以下の化合物を選択した。
(A−2)ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(「オリゴマー2」、構造は以下の通り、ポリオール化合物は、1,4−ブタンジオールとアジピン酸との縮合物であるポリエステルポリオールと、エチレングリコールとアジピン酸との縮合物であるポリエステルポリオールとを有する化合物(1,4−ブタンジオールとアジピン酸との縮合物であるポリエステルポリオール:エチレングリコールとアジピン酸との縮合物であるポリエステルポリオール=2:3(モル比))、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルアクリレート、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量18000)
(A−1)ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(「オリゴマー1」、構造は以下の通り、ポリオール化合物は、水素化ポリブタジエンポリオールとアジピン酸との縮合物であるポリエステルポリオール、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは4−ヒドロキシブチルアクリレート、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量25000、水素化ポリブタジエンポリオールは式(3)を表される化合物(nは正数))
(A−3)水素化ポリブタジエン系ウレタンアクリレート(「オリゴマー3」、水素化ポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレートである。なお、構造は以下の通り、ポリオール化合物は水素化ポリブタジエンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルアクリレート、重量平均分子量19000、水素化ポリブタジエンポリオールは式(2)で表される化合物(nは正数))
(A−4)水素化ポリブタジエン系ウレタンアクリレート(「オリゴマー4」、但し希釈モノマーとしてn−オクチルアクリレート20質量%含有し、水素化ポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレートである。なお、構造は以下の通り、ポリオール化合物は水素化ポリブタジエンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルアクリレート、重量平均分子量35000、水素化ポリブタジエンポリオールは式(2)で表される化合物(nは正数))
【0067】
(B)成分の単官能(メタ)アクリレートとして、以下の化合物を選択した。
(B−1)ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(式(4)では、m=4)(東亜合成社製「M−113」)
(B−2)ラウリルアクリレート(大阪有機社製「LA」)
(B−3)4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(日本化成社「4HBA」)
(B−4)n−オクチルアクリレート(以下「NOAA」と略す)
【0068】
(C)成分の、光重合開始剤として、以下の化合物を選択した。
(C−1)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure184」)
(C−2)2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF社製「LucirinTPO」)
(C−3)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「Irgacure819」)
【0069】
(D)成分のジカルボン酸ジエステルとして、以下の化合物を選択した。
(D−1)セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)(新日本理化社製「サンソサイザーDOS」)(以下「DOS」と略す)
(D−2)アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)(以下「DOA」と略す)
【0070】
(E)成分の粘着付与剤として、以下の化合物を選択した。
(E−1)ハリマ化成製 ハリタックF85(完全水素化ロジン樹脂)
(E−2)ヤスハラケミカル製 YSレジンTR105(芳香族変性テルペン樹脂)
(E−3)ヤスハラケミカル製 YSポリスターTH130(テルペンフェノール樹脂)
【0071】
(F)成分のチオール化合物として、以下の化合物を選択した。
(F−1)ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工社製「カレンズMT PE1」)(以下「MT−PE1」と略す)
(F−2)2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート(SC有機化学製「EHMP」)
【0072】
(G)成分の酸化防止剤として、以下の化合物を選択した。
(G−1)6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノール(住友化学工業社製「スミライザーGP」)(以下「GP」と略す)
【0073】
各種物性は、次のように測定した。
【0074】
〔光硬化性〕
温度23℃で測定した。光硬化性に関しては、テンパックスガラス(幅25mm×長さ25mm×厚さ2mm)の表面に硬化性樹脂組成物を厚み0.1mmになるように塗布した。その後、無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置を用い、波長365nmのUV光を積算光量1500mJ/cm2の条件にて照射し、硬化させた。
硬化率は、FT−IRを使用し、以下の式により算出した。炭素と炭素の二重結合の吸収スペクトルは、1600cm-1付近のピークを用いた。
(硬化率)=100−(硬化後の、炭素と炭素の二重結合の吸収スペクトルの強度)/(硬化前の、炭素と炭素の二重結合の吸収スペクトルの強度)×100(%)
【0075】
〔ガラス接着性評価(ガラス抗張力評価)〕
スライドガラス試験片(市販品、幅20mm×長さ76mm×厚さ1.1mm)の中央部に、厚み200μm×幅20mm×長さ20mmのテフロン(登録商標)テープをスペーサーとして用い、硬化性樹脂組成物を半径4mmの円状に塗布したのち、光を照射して硬化させた。光照射条件は上記〔光硬化性〕の項に記載の方法に従い、硬化性樹脂組成物を硬化させた後に、同サイズのスライドガラス試験片と十字状になるように貼り合わせ、1kgf/cm2の圧力をかけて接着した(接着面積50mm2)。上記条件にてスライドガラス試験片同士を接着した後、万能試験機を用いて十字状に接着したスライドガラス試験片のうちの一方にのみ圧力をかけ、抗張力(単位:kPa)を測定した。抗張力は、温度23℃、湿度50%の環境下で速度10mm/分で測定した。
【0076】
〔ポリカーボネート接着性評価(ポリカーボネート抗張力評価)〕
ポリカーボネート試験片(帝人社製「パンライト」、幅25mm×長さ25mm×厚さ2.0mm)の中央部に、厚み200μm×幅20mm×長さ20mmのテフロン(登録商標)テープをスペーサーとして用い、硬化性樹脂組成物を半径4mmの円状に塗布したのち、光を照射して硬化させた。光照射条件は上記〔光硬化性〕の項に記載の方法に従い、硬化性樹脂組成物を硬化させた後に、同サイズのポリカーボネート試験片と十字状になるように貼り合わせ、1kgf/cm2の圧力をかけて接着した(接着面積50mm2)。上記条件にてポリカーボネート試験片同士を接着した後、万能試験機を用いて十字状に接着したポリカーボネート試験片のうちの一方にのみ圧力をかけ、抗張力(単位:kPa)を測定した。抗張力は、温度23℃、湿度50%の環境下で速度10mm/分で測定した。
【0077】
〔耐湿熱性評価(外観観察(黄変度))〕
EAGLE XG(登録商標)ガラス(幅50mm×長さ70mm×厚さ0.7mm)同士を、硬化性樹脂組成物を用いて、硬化性樹脂組成物層の厚みを200μmにして接着させ、硬化させた。光照射条件は上記〔光硬化性〕の項に記載の方法に従った。硬化後、該接着試験片を、恒温恒湿槽を用いて、温度85℃、相対湿度95%の環境下に1000時間暴露した。暴露後、該接着試験片のΔb値を、カラー測定装置(SHIMADZU社製「UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER」)にて測定し、黄変度とした。
【0078】
【表1】
【0079】
表1から以下が認められた。本発明は、優れた効果を有する。粘着付与剤を使用しない場合(比較例1)、接着性が小さく、本発明の効果を有しない。粘着付与剤が多いと、透明性が小さくなり、硬化性が小さくなる(実施例6)。
【0080】
(実験例2)
表2に示す組成の硬化性樹脂組成物を用いて、深部硬化性を評価した。結果を表2に示す。
【0081】
〔深部硬化性〕
直径5mmφの穴の開いた長さ20mm黒チューブに、硬化性樹脂組成物を充填し、上部からブラックライトにて1mW/cm2(365nm)の光を100秒間照射した(積算光量は100mJ/cm2)。その後、黒チューブから硬化物を取り出し、未硬化部分を取り除き、硬化している部分の厚みをマイクロメーターで測定した。
【0082】
【表2】
【0083】
表2から以下が認められた。チオールを使用した場合、深部硬化性を有する。
【0084】
(実験例3)
表3に示す組成の硬化性樹脂組成物を用いて、粘度を評価した。結果を表3に示す。
【0085】
〔粘度〕
組成物の粘度はE型粘度計を用い、温度25℃、回転数20rpmの条件下で測定した。
【0086】
【表3】
【0087】
表3から以下が認められた。本発明は、優れた効果を有する。ジカルボン酸ジエステルを使用しない場合(比較例2)、粘度が大きい。粘度が小さい場合、被着体へ塗布しやすくなり、塗布作業性に優れる。
【0088】
本発明は、例えば、硬化後も表面に接着性を保持する、組成物を提供できる。更に、以下効果も有する。
【0089】
被着体であるアイコンシートやタッチパネルは、表示体の駆動用ICや配線やLCDの枠シール剤を隠し、表示エリアのみを見えるようにし、デザイン性を向上するために、遮光部を印刷等で被覆する場合がある。従来の光硬化性接着剤組成物は、硬化が進行する程、表面の粘接着力(タック力とも呼称される、本稿では粘接着力で統一する)が低下する傾向があった。このため、被着体同士を接着するには、接着剤を片方の被着体上に塗布したのち、未硬化の液状のまま、或いは、接着剤を完全に硬化しない程度に硬化させた(「半硬化」「仮硬化」等とも呼ばれる)状態で、もう一方の被着体を貼り合わせ後に、紫外光を照射して硬化させる方式がしばしばとられる。このとき、前述の遮光部が存在すると、遮光部の下の光硬化性接着剤組成物は、光が当たらずに硬化しないため、接着が不十分となる場合があった。
【0090】
本発明は、上記課題も解決した発明であり、例えば、以下の効果を有する。本発明は、一方の被着体上に塗布した接着剤組成物を予め硬化してから被着体同士を貼り合わせることにより、被着体に遮光部が存在してもその影響を受けずに硬化性樹脂組成物を硬化することが可能である。本発明は、硬化収縮率が小さく、寸法変化や反り等の面精度変化が起きない。本発明は、高温信頼性試験において、被着体の膨張収縮に耐えることができる。本発明は、耐熱試験後の着色、変色、耐湿試験後の強度低下といった問題が起こらない。
【0091】
本発明は、例えば、タッチパネル等の表示体に使用される化粧板やアイコンシートを貼り合わせる場合、透明基板と透明基板とを貼り合わせる場合、印刷加工された部分を貼り合わせる場合に、印刷等の遮光部により、被着体正面からでは可視光線若しくは紫外線が当たらない箇所においても、各被着体を貼り合わせる前に、片方の被着体上に塗布した接着剤に、予め可視光線若しくは紫外線を照射し、硬化させておくことで、遮光部の有無に関わらず、貼り合わせ面の接着剤が一様に硬化した硬化性樹脂組成物を提供できる。本発明は、遮光部の下の硬化性接着樹脂の硬化が可能であり、接着剤の硬化不良を抑制する効果を有する。